03/07/30 第4回神経芽細胞腫マススクリーニング検査のあり方に関する検討会議事録                    第4回       神経芽細胞腫マススクリーニング検査のあり方に関する検討会                    議事録                     日時 平成15年7月30日(水)                        13:35〜15:43                     場所 経済産業省別館共用1111会議室  宮本補佐  定刻になりましたので、ただいまから第4回神経芽細胞腫マススクリーニング検査の あり方に関する検討会を開催させていただきます。  本日はお忙しい中ご参集いただきましてありがとうございます。本日は委員の皆様、 全員ご出席ということでご連絡いただいておりますが、梅田委員は若干遅れられていま す。  それでは座長、よろしくお願いいたします。  久道座長  それでは、事務局から配布資料の確認をお願いします。  宮本補佐  本日の配布資料は資料番号1から4まででございます。それから、机上配布資料とい たしまして、本検討会に寄せられました意見書が2つ、澤田様、西様から寄せられてい ます。第2回にもいただきましたが、今回も机上配布させていただいております。  久道座長  それでは、今日の進め方ですが、最初に前回までに皆様に議論いただいた内容につい て事務局で整理していただいたものがありますので、それをご説明していただきます。 そのあとに、いま配布した1枚ものの資料ですが、これが秦委員が新しいデータという ことである研究者から入手した資料ですが、これについて説明をしていただいて、その あとに、これまでの議論の報告書案について、今日の最大の議論はここですが、そのご 検討をお願いする、ということになります。  まず、事務局から前回の検討会に関連した部分についての説明をお願いします。  宮本補佐  前回検討会における主な議論、資料3です。  (現在行われている全国を対象とする前向きのコホート研究の意義)   ・この研究については、今後見守っていくべきものと思うが、いろいろな課題も抱    えており、この結果が出てもそれなりの留保が必要である。このような観点から    すると、待つことが得策かどうか。というようなご意見が吉村委員からありまし    た。   ・他のがん検診では介入研究が実施されていないものの、多数の観察研究が一貫し    た結果を示していることをもって有効であると判断しているものもある。ニュア    ンスを調整して、意義を否定するものではないことを明確にすべき、だという意    見が久道座長からありました。  (検査事業の死亡率の減少効果と不利益の比較について)   ・不利益の評価をどのように行うのかが課題。コストパフォーマンスで行うのが一    般的であるが、それがこのがんになじむかどうかは疑問がある、という意見が久    道座長からありました。   ・何人の子どもをがんから救うことができるかというメリットと、それに対するデ    メリットとして、罹患率が増えたためにその治療を受けることになるということ    についてどのようにバランスをかけて評価するのか、ある程度でも推計をする必    要があるのではないか、という意見がありました。   ・検診を受けないで自然に見つかった神経芽細胞腫の死亡率がどの程度であるのか    というデータが必要であるが、日本では検診を始める前の時期の生存率を使うし    かないが、医療は進歩しているのでどの程度その数値を使うことができるか疑    問、というご発言がありました。 以上が前回の主なご意見です。  久道座長  いまの説明、簡単にまとめられていますが、何かご意見ございますか。こんな趣旨で 言ったのではなかったとか、あるいは発言のあった方の中で、まとめに取り上げられて いないが、とか。よろしいですね。  それでは、秦委員に説明していただきますが、これは事前に委員に送られています か。  宮本補佐  事前にはお送りしていません。  久道座長  そうですか。じゃあ、秦先生、お願いします。  秦委員  この資料は、静岡県立こども病院の浜崎臨床検査科長がまとめられた資料です。静岡 県立こども病院、大阪市立総合医療センター、大阪府立母子医療センター、神奈川県立 こども医療センター、の合計4つの施設で1975年から2001年までに取り扱った 神経芽腫の症例533例を年代別にその組織型を比較したものです。全体数をパーセン トで示していますが、白いのが非マス例の神経芽腫、網目がマス例の神経芽腫、黒いの が神経節腫、神経節腫というのは良性の腫瘍で神経芽腫から分化・成熟して神経芽腫に なるといわれている腫瘍です。これらの頻度の比をとったものです。  1975年から5年毎に頻度が出ていますが、1975年から1984年、これはマ ススクリーニングが全国規模ではまだ行われなかったときで、神経節腫、良性の腫瘍は かなりのパーセントを占めていますが、1985年から全国的にマススクリーニング事 業が開始され、2000〜2001年になりますと、良性の神経節腫は劇的に減少して いるというようなデータです。  このデータは、主任研究者の浜崎先生にこの検討会に出すということで了解を得てお ります。ちなみにこのデータは「小児がん」の今年の10月号に掲載されることになっ ているということです。以上です。  久道座長  いま説明で、総数はいくつ、何例でしたか。  秦委員  533例です。  久道座長  その内訳はわかりますか。非マススクリーニング例の神経芽腫は?  秦委員  533例中、神経芽腫のマス例が296例、非マスが185例、神経節腫は52例で す。  久道座長  このグラフがある程度ナチュラルヒストリーの数値を推測するのにかなり明解なグラ フなのかなあというふうに思うんですが。例えば、マススクリーニングで発見される乳 児神経芽腫症例の約3割ぐらいは良性腫瘍である神経節腫、乳児神経芽腫が自然経過の 中で分化あるいは成熟して神経節腫という形になっていくのではないかということを示 唆する、ということでいいんでしょうか。マススクリーニングが開始されて、その神経 節腫の発見がぐーんと少なくなって、そのかわりに神経芽腫のマススクリーニング例が 増えていってる、こういうことだと思うんですが、このグラフについて、委員の先生 方、ご質問、ご意見ございますか。  橋都委員  これはパーセンテージで示されていますが、全国的にいえば、神経芽腫瘍の症例数は 2倍近くに増えているんですよね。ですから、当然、この施設においても75年ぐらい に比べれば、2000年ではトータルの症例数はほぼ2倍になっているんですね。  久道座長  2倍ですね。  吉村委員  これの分母はもともと神経芽腫として診断をされたものなんでしょうか。神経節腫は 激減したということですが、一番最初に見つけられたときは神経芽腫だった?  秦委員  この533例はすべて手術で摘出された例です。  吉村委員  要するに、腫瘍があって摘出された症例の中の分布。  秦委員  これは全部組織を確かめた所見ですので、手術でとった症例533例です。  久道座長  神経節腫の平均年齢は大体5、6歳とか、マススクリーニングで発見された神経芽腫 の例は大体1年未満ですね。そして、マススクリーニング以外で発見される神経芽腫の 年齢は平均2歳から3歳という数値の全体の中でどのぐらいのパーセントだという数値 だと思います。そうですよね。  秦委員  そうですね。  久道座長  ほかにご意見、質問はないでしょうか。神経芽腫から神経節腫に移行するような時期 というのは、これではわかりませんね。  秦委員  これではわかりません。  久道座長  ほかの文献等ではどうなんでしょうか。  秦委員  神経芽腫の国際分類をしたときに、各年齢の神経芽腫を組織像の亜分類でずっと並べ ていくと、神経芽腫から神経節腫に移行して行くということと、それから、もう一つ は、自然観察を行った80数例のうち25例が腫瘍とらえたわけですが、その腫瘍の組 織像の観察では2才前後から神経節腫に向かうような傾向を示しているという事実かつ あります。  久道座長  それから、先生は詳しいのを持ってるだろうと思うんですが、マススクリーニングで 発見された神経芽腫のほとんどは死亡例はないわけですね。そして、非マススクリーニ ングの神経芽腫は半分ないしは6割ぐらいは死亡するような症例であると。  秦委員  このデータに関しては、そこまでは調べてないと思います。これはあくまでも神経節 腫の頻度が年代的にどういうふうに推移したかというのがテーマですので、マス例につ いてどういうアウトカムが出たかというデータからはとっておりません。  吉村委員  この533例は4つの施設からのものということですが、全体の登録はいままで2千 例強ありましたね。その中に入っているわけですね。それの4分の1ぐらいと考えても よろしいんでしょうか。  秦委員  いやちがいます。533例はマスで発見されていない症例も全部入っています。先生 のいわれる2千余例というのはマスで発見された全国の症例数です。この533例のう ちには、例えば2歳で見つかった症例、5歳で見つかった症例ももちろん入っていま す。ですから、これは必ずしもマス例ばかりではありません。  久道座長  全体の15%ぐらいじゃないかしら。マス例は296例だから。  吉村委員  私は臨床の先生方が全部登録されているケースだと、私が間違っているかもしれませ んけど、2千数百はいままでの小児がん学会で報告されているケースかと思っていたん ですが、違うんですか。  橋都委員  2千以上というのはマス例だけではないですね、それは。何年からの分かわかりませ んが、それはすべての含んだ集計だと思います。  吉村委員  毎年報告を出しておられますよね。  橋都委員  全国集計。  吉村委員  この533は当然その中に入っている数値と考えてもいいのかということですが。  秦委員  533例のうちマス例は入っていると思います。  久道座長  よろしいでしょうか。それでは、報告書案を検討することになりますが、その前にこ れまでの3回の検討会で我々が議論した中でほかの方々、何名かの方から意見が寄せら れています。これについては前回もそういう意見を紹介しておりましたので、今回も事 務局から説明していただきます。  宮本補佐  2つのご意見が寄せられておりますので、ご紹介します。  1つは澤田様よりいただきましたご意見で、内容としましては、スクリーニングが行 われなければ、早期発見はできないということを強調しておられて。  久道座長  資料、ありますか。委員の方には机上配布資料というものがありますので、ご覧くだ さい。  宮本補佐  スクリーニングがなければ早期発見できないということを強調されておりまして、そ の認知についての評価ということを中心にご意見をいただいております。  もう一つの西様からいただきましたご意見は、フランスの副腎腫瘍の死亡のデータと 日本のデータを比較されまして、そのことによって日本の副腎腫瘍による死亡減少の効 果はマススクリーニングによるものではないか、ということで、手術を受けるという不 利益があったとしても救命できるということについて強調すべきだということを中心に ご意見をいただいております。  久道座長  皆さんご覧になっていますね、ディテールも。このことについて何かご意見ございま すか。いま簡単にお話されましたが、委員の方々は事前にご覧になっていると思います が、いかがでしょうか。  吉村委員  1番の疫学的調査の基盤と有効性の評価、というところですが、検査の精度が違うこ とがどうかということが一つあるようですが、検査精度がどうであったということと、 スクリーニングでその地域に応用したときに効果があるかどうかということは別の議論 だろうと思うんですね。それで、もちろん精度の高いスクリーニングの検査を受けるこ とはいいと思うんですが、それそのものが即ちスクリーニングをしたために早く治療が できて、そのために死亡率が下がるという評価そのものにはならないというふうに思い ます。  それからもう一点は、6ヵ月か12ヵ月かという話ですが、これは当然やってみなけ ればわからないことですので、このままデータを即比較できるということではない。  ですから、ある点では澤田先生おっしゃっておられることはそのとおりでございます けども、ある点ではマススクリーニングとしてどうかというふうな話とはちょっと違っ てくるかなと考えます。  橋都委員  澤田先生のご意見ですけれども、利益というところにマススクリーニングの分子生物 学的な検討が進み、あるいは、N-myc の増幅がなければ治療を軽減できるということが 判明した、ということが書いてありますけど、私はこの点に関しては全く同意見であり まして、マススクリーニングの結果として神経芽腫に対する理解が非常に深まったとい うこと、これは事実で、誰も否定する人はいないと思うんですね。ただ、それとマスス クリーニングとしてこれを行うかどうかということは全く別問題でありまして、私はい ままで行われたマススクリーニングは、言葉は適当かどうかわかりませんけども、一種 の非常に壮大な実験であったという感じがしております。それによって神経芽腫に対す る理解が極めて深まった。特にわが国において深まったということは事実だと思います が、マススクリーニングを今後も早期発見のために行っていくかどうかということ、こ れは議論がちょっと違うんじゃないかというふうに思います。  吉村委員  私も橋都先生のご意見に賛成でありまして、ここにいろいろ書いてあることはそのと おりだと思いますし、これだけのことがやられなければ、おそらく神経芽細胞腫につい ていろいろとわからなかったことはそのとおりであります。しかしながら、98%の予 後が非常にいいということについては、一部確かに悪い方もおられるわけですが、要す るに、私たちが対象にしている集団、その中でみつかったものが本当にスクリーニング として適切な集団であるのかないのか。だから、本当に助けられる人をスクリーニング で見つけて、治療をしたために救命できる。私たちはそういう人たちを本当に見つけて いってたのかどうか、ということについては、いろいろと今後検討しなければいけない 課題ではないか。そういう意味で、澤田先生のおっしゃっることは、一部でそういうこ とがあるということは私も認めていますが、それは全体ではないと思っております。  久道座長  いまのお話と関連するんですが、これはほかの方の意見の中にも出てくるんですけど も、これまでの議論では不利益についての議論が多いけれども、利益についての議論が 少ないのではないか。あるいは全くされてないという話さえもあるんですが、この点は どうですかね。吉村委員から関連した発言がありましたが、いかがですか。  橋都委員  最大の利益は、私は神経芽腫の自然史が初めてはっきりしたということ。それから、 神経芽腫の中にサブグループがあって予後の良好なもの、予後の不良なもの、あるいは その中間のもの、3グループぐらいに分けられるのではないかという考えが主流になっ てきていますけど、これはマススクリーニングを行ったことによってはじめて明らかに なってきたことで、結果としてこれは科学的な意味で非常に大きな利益であったという ことができますね。しかし、利益という意味では、死亡率低下ということ以外には、受 診した患者さんにとっては利益はないわけですから、それが証明されない限りはマスス クリーニングとしての利益ということを言うのは難しいのではないかというのが私の基 本的な考えです。  梅田委員  現場で説明しなければいけない立場としては、いま先生が言われた死亡率が下がる、 死亡数が減るという症例があるというのならば、無意味な治療を受ける人たちを完全に なくすようなことをやってくれればいいのではないか。検査自体、これは簡単で負荷は かかりませんから、そういうふうにやってくれて死亡率が下がるんだったらいいんじゃ ないかと言われたときに我々どう答えたらいいのかということをお教え願いたい。死亡 率が下がるということは非常に大きなメリットなので。  橋都委員  経過観察ということをやっていく場合、例えば、マススクリーニングで見つかった症 例は全部経過観察していこうというコンセンサスができたとしますね。しかし、症例に よっては頻回にCTを撮らないといけないという症例も当然あると思います。エコーだ けでは腫瘍をディテクトできないという場合もありますから。そうしますと、総体とし てみると、CTで浴びる線量は相当な線量ですから、それを乳児期に頻回に浴びるとい うこと自体が果たしていいものかどうか。あるいは、経過を見ている間にもし転移が起 こってしまったら一体どうするのかというような問題もあります。  ですから、経過を見るということをマススクリーニング発見例全部に適用するという ことは実際には非常に難しいことではないかと思っています。それはひとつの考えなん ですが、それにはきちんとした基本的なエビデンスといったものがないと、それをやる ことはある意味ではリスクを患者も医者も負うわけですから。経過を見てるうちに転移 が起こってしまったらそれで許されるのかということになりますし、そうじゃなくて も、経過を見るために検査を頻回にやらなければいけない。しかも、乳児であれば、C T、MRIをやるためにも鎮静あるいは麻酔をかけないといけないわけです。そういっ た不利益すべてを考えた上でそれでもいいということなら別ですけれども、死亡率が少 しでも下がるんだったらそのまま続けていいという根拠には簡単にはならないのではな いかと私は思います。  梅田委員  そう言われた場合、いまの段階でも死んでしまうような患者さんと、そうじゃない、 自然に退縮していくような患者さんの見分けはつかないということでよろしいんです か。  橋都委員  それは極めて難しいと思います。  梅田委員  そして、それはわからないとした上で、それをずうっと見なければいけないとした ら、先生のおっしゃるのは、ずうっと見ていくときもたくさん線量を浴びたり、いろん な薬を飲んだりする、その集団に対するトータルの不利益のほうが、ずうっと放ってお いて死亡する子が出てくる、それを救うことの利益よりも、先生は大きいとお考えにな るし、おそらく学会全体としてもそれはそう考えられるだろうというお話ですか。  橋都委員  そうですね。ですから、現在のマススクリーニングによる死亡率の低下は、私はゼロ であるとは思っていませんで、おそらく多少はあるのだろうというふうに思うのです が、それは実際には非常に小さいのではないかというのが私の考えです。そうだとする と、発見されたすべての症例に少なくともいままでは手術なり化学療法をやってきた、 その不利益は非常に大きいし、そうじゃなくて、そういう症例をすべて経過観察とする としても、そのために負うリスクはやはり非常に大きいものがあるんじゃないか。です から、そのリスクとベネフィットの比較になるんだと思うんですね。  梅田委員  ということは 逆にマススクリーニングをなしにしても自然に腫瘍が見つかった患者 さんのみにそういう治療に入ったほうが日本の子ども全体に対する負荷を減らすことに なると。  橋都委員  僕の考えはそうじゃないんです。僕の考えは、少なくとも6ヵ月で行うマススクリー ニングに関して、これはやめるべきであると。それで、1歳、あるいは18ヵ月でやる マススクリーニングがいまの方法よりさらに有効である可能性はあると思うんです。そ れを限定してやるんだったら、僕はいいと思うんです。今後パイロットスタディなりを 日本で行って、12ヵ月のマススクリーニングではこれだけ腫瘍を発見できる。死亡率 がこれだけ低下する。あるいは、18ヵ月のほうがさらに有効であると、そういう証拠 が出れば、僕はそれは導入すべきだと思います。マススクリーニングを全くゼロにすべ きだというわけではないんです、僕の基本的な考えは。  久道座長  ほかにございますか。これは僕のイメージなんですが、例えば、5歳あたりまでに神 経芽腫として臨床的に発見されるものが100例だとして、集団にマススクリーニング を6ヵ月でやった結果、チェックされて神経芽腫であるとされるのが200になると、 そういうことですね、イメージとしては。要するに100例増えると。その100例増 えた神経芽腫のうちの3割から4割は分化・成熟をして神経節腫、良性のものになって いくということでよろしいんですね、イメージとしては。  秦委員  消退するか分化・成熟するかということで。少し議論が分かれるかもしれないんです が、一般にがんの早期診断というのは、そのがんが多段階進展をするものに対しては有 効だと思いますけれども、6ヵ月のマススクリーニングで見つかる神経芽腫というのは 多段階進展をしない腫瘍であるということが、先ほど橋都委員が言われたように、壮大 な実験で明らかになった。そういう状況じゃないかと思います。ただ、1歳6ヵ月、あ るいは1歳以上の神経芽腫はたぶん違っていて、多段階進展をする可能性があるという ことがいままで蓄積されたデータでわかるのではないかと思っています。  久道座長  このこと以外に、例えば、西先生がコメンとして寄こしたフランスとの比較における 計算のしかた、これは坪野先生、どうですか。  坪野委員  西先生の意見書の趣旨は、日本の副腎の悪性腫瘍の死亡率の年次推移と、フランスの 同じ副腎の悪性腫瘍の死亡率の年次推移を比べたということですので、表1で簡単に論 旨を簡単に確かめると、左が日本で、右がフランスで、一番上の1〜4歳、これが一番 大事なわけですが、右の検診をやっていないフランスでは、1979年から81年に 10万対の死亡率が0.72で、これを100%とすると、直近の97年から99年は 0.48で68.4%だと。ですから、検診をやってないフランスでは副腎の悪性新生 物は3割程度しか下がっていない。それに対して、日本で同じことをみると、1979 〜81年では1.04、97〜99年では0.38ということですので36.7%と4 割近くにまで下がった。フランスでは7割にしか下がっていないものが、日本では3分 の1近くに下がっている。これが日本において検診をやってきたことの効果を示してい るのだ、ということが西先生の趣旨であります。  これはまだ論文になったりしているものではありませんので、これを独立のエビデン スとして扱うことが適切であるか、ちょっと疑問はありますけど、日本とフランスの違 いを検診の効果に結びつける解釈と、これは全く違う解釈も可能でして、それをお話し ます。一番後ろに付表というのがありますが、これは各年齢集団内におけるHPLCの 受検者数の割合を西先生が計算されているわけですが、1979年から84年までは検 診を行っていませんので当然0%、85年から87年あたりは1歳から4歳のみで5% ぐらいです。HPLCは効果があるけれども、定性法は効果がないというのが基本的に 西先生のお立場だと思うんですが、そうだとすると、1979年から87年までの間は HPLCはほとんどやってないわけですので、この間の死亡率の減少がもしあったとし ても、それは少なくとも検診のせいではないということになります。そういう目でもう 一度表1を見ていただくと、実は日本の副腎の悪性新生物の死亡率は1979〜81年 は1.04、82〜84年は0.98、85〜87は0.66で、HPLCが導入され る前の時点で既に4割近く低下している。つまり、HPLCの検診が導入される前の時 期に既に日本では副腎悪性新生物の死亡率が4割低下していた。そして、85〜87年 からまたずっと下がっていきますけれども、仮に85〜87年の0.66という数字を 100%として、97〜99年の0.38の比をとると57.6%ということになりま す。つまり、日本ではHPLCによる検診が始まってから現在までの間に大体4割ぐら い死亡率が低下したことになるわけです。フランスでは同じような時期には3割減った ということですので、逆にいうと、日本のデータでは、検診を導入する前から非常に大 きく死亡率が低下していて、検診を始めてから現在までの死亡率低下の程度、約4割と いうのは、検診を全然やってないフランスの3割というのとほとんど同じだという解釈 もできるわけです。  最初の会議のときに、日本での1〜4歳の死亡率の年次推移がありました。あのとき に検診を本格的に導入する前から死亡率が下がり始めているということを指摘しました が、それが逆に非常にはっきり読み取れるデータというふうにも解釈できるということ です。  橋都委員  それとこれ、日本は罹患数が約倍になっているわけですね。それでその増えた分のほ とんどはマススクリーニングで生存率が100%近いわけですから、死亡率が低下する のはある意味では当然のような気がするんですけど、そういう解釈は間違いなんでしょ うか。罹患率が約倍になって、マススクリーニングで増えた分はほとんど死亡率ゼロに なったわけですよね。そうすると死亡率は当然低下するように考えられるんですが。  坪野委員  それは必ずしもそうはならないと思います。倍に増えているところは、検診をやらな ければそもそも診断されない人たちですので、検診で罹患数が増えているということ と、死亡率の低下は必ずしも一致しません。この場合の死亡率は致命率ではありません で、分母は子どもの数100万人とか全体をとって、分子は亡くなった数ですので。  橋都委員  必ずしもそうはならない。  坪野委員  もしも、検診なりなんなりでみつかったがん患者を分母にして、その中で死んだ人の 割合というのは致命率といいますが、これは当然年次的に下がっていくわけですが、そ れはいわゆる検診の効果として言われている死亡率、つまり、ポピュレーションが分母 で、がんで亡くなった数が分子で死亡率になりますので。  久道座長  死亡率と致命率っていうのは間違いやすいんですね。ですから、我々、臨床では普 通、生存率を使いますね。患者を分母にした場合の1−生存率が致命率ですね。そし て、死亡率はいま坪野先生が言ったように、分母が患者の数ではなくて、ゼネラルポ ピュレーションなんですね。  これについて、ご意見ございませんか。  それでは、今日もいろいろ議論がありましたけれども、これまでの議論をまとめた報 告書を今日はまとめなければならないんですが、その案を検討したいと思いますので、 事務局から説明をお願いいたします。  宮本補佐  資料4をご覧ください。資料4は、前回検討いただきました議論のまとめを中心とい たしまして、前回の議論を加えたものです。読み上げるような形で全体を紹介したいと 思います。まず最初ですが、  「小児がんの一種である神経芽細胞腫を早期に発見し、できるだけ早い段階で適切な 措置を講じることを目的として、生後6〜7ヶ月の全ての乳児を対象に、尿によるマス スクリーニング検査を行う事業(神経芽細胞腫検査事業)が昭和59年度以降実施され てきたところである。  近年、欧米において神経芽細胞腫マススクリーニングの有効性に関して疑問があると の報告がなされ、日本においても本事業の実施が与える影響について検討する必要があ る。このため、経済産業省雇用均等・児童家庭局長が招集する検討会が開催され、神経 芽細胞腫マススクリーニング検査の今後のあり方について検討を行った。」  これがまえがきの部分です。招集が参集となっています。訂正させていただきます。 「1 神経芽細胞腫け下事業の経緯」   神経芽細胞腫は、カテコラミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)  を産生することが知られており、尿に含まれるカテコラミンの代謝産物であるVMA  (バニールマンデル酸)、HVA(ホモバニリン酸)を測定することにより、神経芽  細胞腫を早期に発見し、早期治療に結びつけようと考えられた。   1歳未満で発見される神経芽細胞腫は予後が比較的良好であるのに対し、1歳以降  で発見される神経芽細胞腫は、治療が困難であり、死亡に至る例が多いことも、マス  スクリーニングが必要であると考えられた基礎となった。   このような考え方に基づいて、わが国では昭和48年に神経芽細胞腫検査事業が京  都市で開始され、その後、いくつかの自治体が続いて実施するようになった。   旧厚生省は、昭和58年に医師、検査技術者、保健師を対象とた「神経芽細胞腫研  修会」を開催し、その翌年から、都道府県・指定都市を実施主体とする神経芽細胞腫  検査事業に対する補助を開始した。近年では、対象者の9割が受診し、約200名の  神経芽細胞腫の患者が発見されている。累計では平成13年度までに2913人が発  見されている。」  久道座長  ここまでで切って、どうですか、何か問題がございますか。表現でも。これはそもそ も母子保健事業としてやったんでしょ、正式には何というんでしたっけ。  宮本補佐  事業としましては、神経芽細胞腫検査事業ということでやられています。  久道座長  そうなの? 最初は違うんじゃない、名前が。例えば、がん検診が老人保健事業、ヘ ルス事業の一環としてがん検診をやったというふうな形からすると、母子保健補助事業 ということじゃなかったかな。  渡邉審議官  少なくとも、母子保健法に基づく検査事業ではないんですね。  久道座長  母子保健補助事業という……。  渡邉審議官  法律に基づく補助事業ではないんです。  久道座長  法律に基づく補助事業ではないのね。  渡邉審議官  母子保健課が所管する母子保健関係事業の一環をなしている。  久道座長  ああそうですか。これでいいんですね。それでは、もし何か気がついたら直すことに して、ほかに何かございませんか。  なければ2番、有効性の評価に行ってください。  宮本補佐  はい、読み上げます。  「2 神経芽細胞腫検査事業の有効性の評価について    一般にマススクリーニングの評価においては、(1)死亡率減少効果があるか (2)   マススクリーニングによる不利益はないか が最も重要である。  (1)わが国において実施している神経芽細胞腫検査事業の神経芽細胞腫に対する死    亡率減少効果について  (海外で実施された介入研究の結果)   ・2002年、ドイツとカナダにおいて実施された2つの介入研究において、死亡    率減少効果について否定的な結果が発表されている。  (わが国における観察研究の結果)   ・わが国において、神経芽細胞腫検査事業の実施前と実施後の死亡率の比較を行っ    た観察研究は7件であったが、必ずしも結果は一致していない。2件で統計的に    有意な死亡率の低下が見られている。   ・神経芽細胞腫検査事業の実施前と実施後の比較については、化学療法の改善な    ど、治療の向上による死亡率の減少も含むと考えられるため、結果の解釈には慎    重な態度が必要である。   ・また、わが国において、神経芽細胞腫マススクリーニングの受診者と未受診者の    比較を行った観察研究は5件あり、このうち、統計的に有意は死亡率の低下を示    したのは、25都道府県における後ろ向きコホート研究と全国を対象とした前向    きコホート研究の平成13年度報告の2件がある。この2件は厚生労働科学研究    事業として行われている。   ・マススクリーニングの受診者と未受診者の比較を行う観察研究の結果は、診療行    動などが受診者と未受診者で異なる可能性があるなど、様々な要因の影響を受け    る可能性が高いことから、一般に、研究デザインとしては、介入研究に比較して    劣るとされており、すでに介入研究の結果が示された現在、その結果の解釈には    慎重な態度が必要である。  (現在行われいる全国を対象とする受診者と未受診者を比較する前向きコホート研究  の意義)   ・現在、全国を対象とする受診者と未受診者を比較する前向きコホート研究が実施    されており、平成13年度報告では、統計的に有意な神経芽細胞腫の死亡率の低    下を示している。これは全国を対象として実施されていることなど、これまでに    実施された研究よりも優れている点があり、その結果は参考になる部分があると    考えられる。しかし、これまでわが国に行われた観察研究と同様、その結果の解    釈には慎重な態度が必要であり、今後、最終結果として死亡率の低下を示す結果    が得られた場合であっても、この研究だけをもって死亡率減少効果を示す確定的    な証拠とすることはできない。」  久道座長  ここでいったん切ります。いかがですか。いま読み上げた文言の中で。  秦委員  細かいことですが、わが国においる観察研究の結果の4番目・の、「診療行動などが 受診者と未受診者で異なる……」というところ、診療行動では……。  久道座長  ほんとは受診行動ですね。だけども、この場合、乳児が受診行動もないものだから、 ほんとは乳児の親ですよね、おそらく、ですから、この表現は受診行動とするのが普通 なんですが、乳児の受診行動というのは、赤ちゃんがそんなのはないわけです。ですか ら、ここはおとなのがん検診のバイアスのことをちょっと入れたんですが、これは変え たほうがいいですね。  坪野委員  例えば、もっと端的に、罹患率と致命率で、致命率が違うというのは、例えば、病気 が重くなるまで病院に行かないとか、受診が遅れるということで。  久道座長  ここはどう直したらいいですか。  坪野委員  受診者と未受診者で罹患率や致命率が違うと。  久道座長  診療行動などが、というのを取って「受診者と未受診者で罹患率と致命率が異なる可 能性があるなど」とする。  坪野委員  あるいは、もっと一般的な表現にすると「特性が異なる可能性がある」。  久道座長  罹患率などの特性が異なる、でいいかね。  梅田委員  すみません、罹患率も変わるんですか。罹患率というのは日本人全体で一緒だと思う んですけど、そうじゃないんですか。  久道座長  それは違います。平均すれば出てきますけども、罹患率は全然違うんですね。胃がん だって、秋田と沖縄では違いますね。死亡率も違う。罹患率も違います。  梅田委員  わかりました、すみません。  久道座長  ここは「受診者と未受診者で特性が異なるなど、様々な要因の影響を受ける……」 と。ほかに不適切な表現など、気がついたところはありませんか。  坪野委員  (1)のタイトルなんですが、ここは海外の研究と日本の研究、両方を整理している ので、わが国において実施している、というのは、ないほうがいいかと。  久道座長  そうですね、最初に海外での研究を紹介してますから。  坪野委員  それから、一番下の前向きコホート研究の意義、というところで、平成13年度のは 中間報告で、この研究そのものはまだ進行中なので、そのことをはっきり書いておいた ほうがいいので、前向きコホート研究が実施されており、というのを、進行中で、とし て、平成13年度報告では、は、平成13年度の中間報告では、としたほうが適切かと 思います。  久道座長  いいですか。(1)のタイトルは、わが国において実施している、は削ってもいい ね。神経芽細胞腫に対する、というのもおかしいから、神経芽細胞腫検査事業の死亡率 減少効果についてでいいんじゃないかな。  ほかになければ、3ページ、不利益について。  宮本補佐  「(2)神経芽細胞腫検査事業の不利益について  (神経芽細胞腫検査事業による患者数の増加)   ・一般的に、がんのスクリーニングは開始すると一時的に罹患率が上昇するが、そ    の後継続すると、以前の水準に戻り、長期的にみて罹患率は一定する。これに対    し、多くの研究結果は、神経芽細胞腫検査事業が開始された後、神経芽細胞腫の    累積罹患率が2倍程度に増加することを示している。また、神経芽細胞腫マスス    クリーニングによって発見された例では、積極的な治療を行わなくても、自然に    腫瘍が退縮する場合があることが観察されている。2002年に日本小児がん学    会が発表したデータによると、1998年に無治療で経過が観察されている82    例が登録され、このうち、2001年まで無治療のままの例は59例あった。残    りの23例は方針を変更して手術を受けており、その理由は、家族の希望や腫瘍    の増大や縮小しないことなどであった。手術を受けた例の病理組織を検討する    と、予後不良の兆候を示すものはなかった。  (治療による合併症)   ・1999年に日本小児がん学会が発表したデータによると、1976年から    1996年までに神経芽細胞腫マススクリーニングによって発見された1453    例のうち1226例に手術が行われ、このうち132例に治療による合併症が認    められた他、1025例に化学療法が行われ、このうち49例に治療による合併    症があったことが報告されている。治療による合併症による死亡は、手術につい    て8例、化学療法について10例あったことが報告されている。  (その他の不利益)   ・このほか、治療そのものによる子どもの身体的負担の他、家族にとっても、子ど    もが疾患を抱えることの心理的負担や、付き添いなどの負担があると考えられ    る。」  久道座長  ここで切って、不利益について、何がございますか。(神経芽細胞腫検査事業による 患者数の増加)の2つ目の・で、また神経芽細胞腫マススクリーニングによって発見さ れた……というところ、これは、生後6ヶ月で行われる、と入れたらどうでしょうか。 自動的にいまのはそうなってるんですが、あとの事項にもちょっと影響するので、生後 6ヶ月で行われる現在のマススクリーニングは、ということになるんですが、これを入 れたほうがはっきりするね。  ほかに何かございますか、不利益の表現のしかたで。合併症の数などはこれでいいん ですね。データに基づいて記載されていますね。  宮本補佐  発表されたデータから。  久道座長  これまで出てきた数値ですね。  秦委員  最初のところの、累積罹患率が2倍程度に増加していることを示している、というの は不利益になるというのがちょっとよくわかりません。議論を蒸し返してしまうかもし れませんが。  久道座長  このことが不利益になるかどうか、ということですか。  吉村委員  通常のがんの集団検診であれば、最初はポンと罹患率は上がりますよね。しかしなが ら、定常状態になれば、罹患というのは本来あまり変わらない訳ですから、スクリーニ ングによって変化することはないわけです。ところが、この神経芽細胞腫のスクリーニ ングの場合は、高い状態がずうっと続いてるわけです。2倍に増えている状態がスクリ ーニングを続けている間じゅう続いている。すなわち、一時的に上がっただけではなく て、余計見つけられている。余計見つけられていることはどうなのかということは書か ないといけないかなあと思うんですけど。そのことがこの話だろうと思うんですね。い わゆる検診初期に一時的に羅患率が高くなる話とはちょっと違う形になっていますの で、そこをちょっと説明したほうがいいかと。  秦委員  要するに、過剰診断?  吉村委員  そうですね。検査で診断されるわけですが、その中には本来だったら、予後に関して はどうもない人たちも入っているということがそぐわない。  秦委員  よくわかるんですが、報告書として出す場合に、後に何かあったほうがいいかと思い ますけど。  谷口課長  文章が舌足らずなところがあるかなと思いまして、いま考えたんですけど、(2)の タイトルそのものを神経芽細胞腫検査事業による不利益について といま書いてござい ますが、一番目の・の感覚は、罹患率が2倍程度増加することによって過剰診断になる ということを示唆しているわけですので、タイトルそのものを、神経芽細胞腫検査事業 による過剰診断の可能性と不利益について、というふうに書けば、中身を正直表してる んじゃないかと思うんですけど、いかがでございましょうか。  久道座長  神経芽細胞腫検査事業による過剰診断と不利益の可能性について、とする。そのほう がわかりやすいですね。  ほかにございませんか。それじゃあ、気がついたら元に戻りますので、(3)有効性 の評価についてのまとめに行きます。  宮本補佐  「(3)有効性の評価のまとめ  (死亡率の減少効果の有無について)   ・現行の神経芽細胞腫検査事業による死亡率減少効果の有無は、現在明確でない。  (死亡率の減少効果の有無が今後、明確になる可能性について)   ・現在、わが国で行われている全国を対象とした受検者と未受検者を比較する前向    きコホート研究はすでに平成13年度報告を出しており、死亡率の減少効果を示    しているが、この解釈には慎重な態度が必要である。そのため、現状のままで    は、今後、わが国で神経芽細胞腫検査事業の死亡率減少効果の有無を示す十分な    証拠が得られることは難しい状況にある。  (不利益について)   ・神経芽細胞腫マススクリーニングによって発見される例の中には、相当程度、積    極的治療を必要としない例が含まれていると考えられている。また、治療そのも    のによる負担の他、治療によって合併症を生じる可能性があるなど、神経芽細胞    腫マススクリーニングによって不利益を受ける場合があることは否定できない。」  久道座長  いま、場合というのを可能性と言い換えたんだけど、場合でいいんですか、可能性で すか。治療によって合併症を生じる場合のほうがいいんですか、読んだほうが正しい の?  宮本補佐  場合です。読み間違いです、すみません。  久道座長  細かいことだけど、受検者という表現と受診者というのがあるので、受診者に統一し てください。  これはどうですか。  橋都委員  先ほども出ましたけど、前向きコホート研究は中間報告ですね、平成13年度報告と なっているのは。  谷口課長  ただいまの点でございますけれども、3ページの下から2行目のところ、前向きコホ ート研究はすでに、平成13年度において中間報告を出しており、という形に改めさせ ていただきたいと思います。  久道座長  平成13年度において中間報告を出しており、と。  谷口課長  失礼いたしました。  久道座長  ほかにございませんか。よろしいですか。それでは、だんだん重要なところになりま すが、3の神経芽細胞腫検査事業の今後のあり方ですね、お願いします。  宮本補佐  「3 神経芽細胞腫検査事業の今後のあり方について    神経芽細胞腫検査事業は、死亡率減少効果の有無が明確でない一方、自然に退縮   する例に対して手術などの治療を行うなどの負担をかけており、このまま継続する   ことは難しいと判断される。  (1)検討  (死亡率減少効果が確立する可能性)   ・わが国では今後、海外から示された研究結果よりも精度の高い研究を実施できる    見通しはなく、このままではわが国において実施されている神経芽細胞腫検査事    業の死亡率減少効果の有無を示す十分な証拠が得られることは難しい状況にあ    る。  (不利益が解消する可能性)   ・神経芽細胞腫マススクリーニングで発見された例に対し、化学療法を施行する率    が減少するなど、治療の負担を軽くする傾向にある。さらに一部の施設では、条    件にやる症例を対象に、経過観察を行い、無治療の方針で対応している。しか    し、現在のところ、無治療とするという方針は実施を含めて関係者の一致した考    え方となっておらず、結果として本来治療を受ける必要がない人にも治療を行っ    ている現状にあり、少なくとも、短期間のうちにこれらが解消される見通しはな    い。  (神経芽細胞腫マススクリーニングで発見されることの保護者にとっての意義)   ・どのように行動すればよいのかが確定していない状況では、検査結果は保護者の    不安を強めるものであり、一方、保護者が自ら対応策を判断することも困難であ    る。かかる状況では、保護者にとって、神経芽細胞腫マススクリーニングで発見    されることの意義は明らかであるとは言えない。  (2)検査事業の休止   ・これらの状況を勘案すると、現在の神経芽細胞腫検査事業をこのまま継続するこ    とは困難であり、新たな知見により有効性が確立されない限り、以下の対応をで    きるだけ速やかに行うことを条件に、いったん休止することが適切である。ま    た、引き続き、神経芽細胞腫に関する状況を評価し、これに基づいた適切な対応    をとることが適切である。  (3)検査事業休止の条件    (1)神経芽細胞腫の罹患と死亡の把握     今後、神経芽細胞腫検査事業休止の影響の確認や、神経芽細胞腫の治療成績の     改善を図るための取り組みを評価するには、神経芽細胞腫の罹患と死亡を正確     に把握することが必要となる。今後、神経芽細胞腫の罹患と死亡を継続的に把     握する体制を早急に確立することが望まれる。    (2)神経芽細胞腫マススクリーニングの実施時期変更の検討     神経芽細胞腫マススクリーニングの実施時期については、現在の生後6ヶ月よ     りも遅い時期に変更することによって、発見すべく例の把握が向上する可能性     があるとの指摘がある。これについては、今後十分検討し、実施時期を変更し     た神経芽細胞腫マススクリーニングの死亡率減少効果について介入研究などを     行う可能性の検討が望まれる。    (3)神経芽細胞腫の治療成績を改善するための研究の推進と治療体制の確立     進行した神経芽細胞腫は、現在においてもなお治療の難しい疾患である。神経     芽細胞腫検査事業もこのような状況に対応して実施されたことを鑑みると、さ     らなる有効な治療法の開発や、有効性が認められた治療法を普及する仕組みの     確立など、神経芽細胞腫の治療成績を改善するための取り組みが望まれる。」  久道座長  ここで切ってご議論いただきます。いかがでしょうか。  坪野委員  最初のところですが、ここも久道先生のコメントと同じで、神経芽細胞腫検査事業 は、と無限定に書かないで、生後6ヶ月を対象とする現行の神経芽細胞腫検査事業は、 としたほうがいいのではないかと思います。  久道座長  そうだね。生後6ヶ月で行われる現行の神経芽細胞腫検査事業は、と。  いかがでしょうか、ご意見ありませんか。  橋都委員  4ページの一番下の(神経芽細胞腫マススクリーニングで発見されることの保護者に とっての意義)の最初のところ、どのように行動すればよいのかが確定していない状況 では、というのは、どうもちょっと意味が取りにくいように思うんですが、ここは要す るに、マススクリーニングで発見された神経芽腫に対する治療方針が確定していない状 況では、ということですよね。そういうふうにしたほうがわかりやすい。これは保護者 がどのように行動したらいいか、ということは確かなんですが、これだけを読むとわか りにくいので、マススクリーニングで発見された神経芽腫に対する治療方針が確定して いないために保護者がどう行動していいかわからないということだと思いますので、そ のような表現のほうがよろしいのかなと思います。  久道座長  どうでしょうね。実はこの報告書の内容によっては、ということもあるんですよね、 そもそもが。この検討会でまとめる報告書によっては、保護者はもちろんのこと、いろ んな関係者がどのような対応をとったらいいかというのは、非常に不安を抱かせること になりますので、これを見て、報告書の書き方が大事だなと思ったんですね。ですか ら、いま先生おっしゃるとおり、保護者にとってどうもわからないような表現では、こ れまた問題なので、このへん、うまい表現はないですかね。  宮本補佐  橋都委員のおっしゃったような趣旨で訂正させていただきます。  久道座長  橋都先生がおっしゃったようなことで考えてください。ほかにございませんか。  柳田委員  いままでのこの報告書、全体を見せていただいておりますが、本事業に関する外国の 報告、あるいは日本の報告は、現在のところ、まだ確かなエビデンスは得られていない ものの今後のマススクリーニングのあり方を再検討する時期にあるということで方向性 が見えてきた、あるいは、認識を新たにしなければいけないという感じはいたしており ます。マススクリーニングの目的は、1歳以上で発見されてきたような予後不良な神経 芽細胞腫を1歳未満で早期に発見治療して死亡率を低下させることにあるというふうに 認識しておりますけれども、本来不要だった治療を行っておったり、あるいは治療を行 うことによって合併症が生ずる可能性があることで有害であるという見方もあったり、 しかし、そういう過剰診断の度合の程度を個別に管理する方法もない。また、それを証 明する方法もない。自然退縮するなどで患者に心理的負担をかけている面もあるという ことを考えますと、前から出ておりますように、久繁報告などでも死亡率は確かに低下 したといわれておりますが、いままでの後ろ向きのコホート研究でも、それはあり方に 問題があると。しかし、死亡率の低下はおかしいのではないかということを明確にする 報告もない。こうなりますと、現在行われている前向きのコホート研究の結果を踏まえ て早急に結論づけるのではなくて、慎重に取り組んで、それまでの研究報告と比較検証 して、しかる後に方向性を出すのが本当であろうと思いますので、現状では暫定期間を おくということになるのではないか。  これはこと人命に関することでございますので、第2回の検討会でも申しましたよう に、その責任の所在を、こういう不利益があるが、国の事業としていつまでもやってお くのかという考えがある一方、もしこれで訴訟にでもなったらどうするのかという責任 の所在をあらかじめ明確にすることをしっかりしておかないといけないということと、 (3)の(1)神経芽細胞腫の罹患と死亡の把握 (2)神経芽細胞腫マススクリーニングの 実施時期変更の検討 (3)神経芽細胞腫の治療成績を改善するための研究の推進と治療 体制の確立 こういうことを今後しっかりやっていき、その結果で、方向性が出されれ ばいいのではないかというふうに考えております。  久道座長  どうもありがとうございます。いま先生おっしゃったようなことをきちっと答えを出 すためには、このまま続けていったのではだめなんですよね。研究そのものができない んですね、おそらく。罹患と死亡率の正確な把握、それから検査の時期を変えた場合の 有効性について検討するためにも、いまのように95%も受診しているような状況では おそらく不可能なんですね、結果を出すためには。それはよろしいんですか、一時、間 をおいてとおっしゃったのは。  柳田委員  暫定期間をおいて考えるべきではないかと。  久道座長  ほかに。  吉村委員  死亡率減少効果についてはいろいろ議論されていますけれども、死亡率減少があれ ば、それはスクリーニングの効果である、ということには単純にはならないと思いま す。ここのところが一緒にされているような感じがしますので、要するに、スクリーニ ングをしたことによって死亡率の減少があるならば、それは効果ですけれども、しか し、他の理由で日本全体的に死亡率が下がった、時期の問題でいろいろ言ってるわけで すが、そういうことで単に死亡率が下がっているから、それがスクリーニングの効果だ とはいえないわけで、そこのところを文章上、2の(3)の2番目に今後明確になる可 能性というところで、死亡率の減少効果の有無が、いまの前向きコホート研究でずうっ と行ってもなおかついろんな問題が残るというか、解釈上、十分な証拠を得ることは難 しい、ということはありますが、そういうことは確認しておかなくてもいいんでしょう か。ちょっとぼやっと書いてあるので。一応はマススクリーニング効果を見るために前 向きのコホート研究をやる形で中間報告ではスクリーニングで死亡率が下がったという 解釈になっているわけですね。これをそのまま続けて、最終報告で同じように死亡率が 下がったということがあっても、それはまだ十分ではありませんよ、というふうな見通 しを少ししないと、待てばいいじゃないか、という形になるのかなと感じるものですか ら、すなわち、死亡率が単に下がればいいということだけではなくて、それはいろんな 問題も含んでいるからという点を理解できるように。そこのところはちょっとぼかして はあるんですけど、読まれた方がそのままだとわかるかなと、ちょっと気になって。一 方では、死亡率が下がってるじゃないか。それなのになぜやめるのか、という主張に対 する回答というか、そういう形のものが。  宮本補佐  ご発言に関連した部分としまして、いくつかの記述を行っております。1つ目は、2 ページの一番下で、(現在行われています前向きコホート研究の意義)というところ。 それから3ページ目の下の(死亡率の減少効果の有無が今後、明確になる可能性につい て)というところ、それから、いまお話のございました4ページの(1)と(死亡率減 少効果が確立する可能性)。ほぼ同様の内容ですが、こういったところに先生のご趣旨 は記述してございます。こういったものをどのように整理するかかと思います。  坪野委員  「死亡率減少効果」という表現をするとそれは因果関係を意味していることになる。 つまり、検診をやったことが原因で死亡率が下がったということになってしまう。観察 研究の結果を表現する場合にはもうちょっと慎重に、例えば、受診群の死亡率が未受診 群の死亡率より低いことが観察されたとしても云々、という形に変えたらどうでしょう か。受診群の死亡率が未受診群の死亡率より低い場合でも、いろんな問題があるからそ れを直ちに検診の効果と結びつけることはできないと。観察研究について言及するとき に、減少効果ということをそのまま言ってしまうと、久道先生いわれたように、ミスリ ーディングされることもあるかと思います。  久道座長  いろんなところに、このままでは、とか、このまま継続するとと、このまま、という 表現があるんですが、この理解は、このまま全国的にこれをやっているような状況で は、死亡率減少効果を証明する、確立する方法論にはならないだろう。評価を確立する ための方法論は介入研究ですよね。同じコホート研究だけれども、介入する研究と、た だ観察をやっていくコホート研究とは、ちょっと意味が違うのではないかと僕は思って いたんですよ。ですから、いろんなところに「このまま」とあるのは、このままではど んなやり方をしても、前向きコホート研究をやっても、有効性の効果を証明する、ある いは確立するには非常に問題がある、難しいということなので、その効果を確立するた めの方法としては、いったんいまの状態をストップして、その上でできる地域で、き ちっとしたデザインでやるべきではないか、という表現で書いているんだと僕は解釈し てるんですけど。宮本さん、そういう気分だった?  宮本補佐  正直に申し上げますと、前回の久道座長の発言で、完全に否定するものではないとい うニュアンスをどのように出すかということがございましたので、それをこのようにし てみたということで、明確な書き方になったかといわれますと、若干……。  久道座長  きちっとしたデザインによる介入研究をしないと明確になりませんよ、ということを 書いたほうが、吉村先生がおっしゃるような、誤解されることを心配されるような発言 にはならないわけですよね。平成13年度において中間報告を出しているように云々、 というのは、まさしく前向きコホートの観察研究ですから、介入研究じゃないわけです よね。それで解釈するのは慎重な態度が必要と、これは僕はいいと思うんですけどね。  ほかにございませんか。  谷口課長  いまの点とも関連いたしますけれども、4ページの(1)検討の1つ目でございます (死亡率減少効果が確立する可能性)というところの1行目ですが、いまのままの文章 ですと、金輪際できないような感じになっておりますので、先ほどの議論を聞いており ますと、例えば「現行の事業をこのまま継続する限りは、わが国では今後、海外から示 された研究結果よりも精度の高い介入研究を実施する見通しはなく」というぐらいのこ とにしておくのが妥当かと感じるところでございますが。  久道座長  いいですね。そのほうが非常にわかりやすいですね。その修正はいいですね。  あともう一つ、5ページで検査事業の休止、中止でなく休止という表現を使っていま すが、休止と中止は違うんですか、意味合いが。中止は休むんだよね。受け止め方がか なり……、いいですか、行政が使う言葉で。いったんという言葉はついてるけどね。よ くわからないんですよ、中止と休止。  渡邉審議官  確定的なことでなくて言いますけれども、いま止めるというニュアンス、止めていろ んな判断をするんだということで、一般的に中止といった場合はもう金輪際やらないと いうことにもとりますので、いまそこまで判断しているのではないという、あまり例の ない表現かもしれませんが、この場の雰囲気からすると、休止という言葉ぐらいがちょ うど対応するかと。  久道座長  そうですか。それから、休止の条件として(1)、(2)、(3)とありますね。これはいい んですね。いいんですね、というのは厚労省に対して言っているんですけども、早急に やらなきゃならない条件なんでしょう、ここに書いてあることは。もし休止と行政的に 判断するとすれば、この3つについては早急にしてもらいたい、ということですよね。 これはよろしいですね。  谷口課長  はい、検討会でこのように議論していただきまして、(1)から(3)までのことが学問的 に必要であるということでございますれば、行政といたしましても、真摯に対応しなけ ればいけないと考えておりますので。  久道座長  たしかに学問的にもあれなんですが、休止に至るいろんな状況から考えて、このくら いやらないと国民には説明がつかないというところもありますよね。  坪野委員  休止の条件、というのがわかりづらいというか、要するに、こういう条件で休止す る、という意味なんだと思うんですけども、むしろ、ここに書いてあることは、いった ん休止した上でこういうことをやりなさい、という話だと思うので、もう少し前向けの 表現のほうがいいのかなと。  久道座長  例えば?  坪野委員  それはちょっと思いつかないんですが、要するに、中止した上で今後必要な対応策と いうことですよね、この3つのことはいずれも。これを条件にやめます、という話では なくて。  渡邉審議官  これは休止に当たっての条件というつもりで書いてると思いまして、休止をするため の条件ではないということですよね。この条件が成就しない限りは休止せずに事業を引 き続き実施するということをいっているという意味ではないということが確認されれば いいわけで、そういう表現に修正したほうがいいね。  久道座長  なんか誤解されないようなうまい表現は。  坪野委員  休止後に必要な対応策とか施策とか。  秦委員  我々の立場としては、ほんとは休止するためにはこの3つの条件が必要であると、ほ んとはそれぐらいの強さだと思うんです。だから、少なくとも私は、中止をするために はこの3つの条件を満たさないとしにくい、というところまで行かないと、この検討会 の意味がないんじゃないかと思います。  久道座長  休止する方向性でいくのなら、これはすぐ検討してくださいと。  秦委員  望まれる、とかいう話ではなくて、確立すべきであるとか、要するに、これが条件で あるというところまでいかないと。というのは、これをほんとに放っておくとどうなる かということは誰もわからないので、それを常に監視するということが条件で休止する なら休止をするという、そういうニュアンスをつけておく必要があるんじゃないかと思 うんですけど。  久道座長  この(1)、(2)、(3)は文末は全部、望まれる、と書いてあるね。望まれる、じゃだめ だという話なんですよ。どうですか、ほかの委員の方は。前野委員、意見を聞かなかっ たけど、これはどうですか。  前野委員  この3条件を見まして、これなら納得できる、と思ったんですね。望まれる、という 表現も、問題は実施であって、実施できるものであるならば、表現は如何様でも構わな いと思いますし、こちらで審議されるに当たっては、マスコミはどういうふうに考える という問題があったので、休止にあたって要請するということだとは思ったんですが、 それはもう少し強い表現を厚労省がお求めになるのであれば、そのほうがよろしいと思 います。  梅田委員  その前の(2)検査事業の休止の下の2行「また、引き続き、神経芽細胞腫に関する 状況を評価し、これに基づいた適切な対応をとることが適切である」という、この文章 の下の条件だと思うんですけれども、この2行を強めて、適切である、ではなくて、や らなければならない、というようにすることで、その条件は(1)、(2)、(3)である、と いうふうに言い方が可能じゃないかと思うんですけれども。  久道座長  それはいいかもしれないね。ですから、(1)、(2)、(3)の、例えば(1)、早急に確立す ることが望まれる、というのを、が以下をとって「早急に確立すること」で切ったほう が、いま先生おっしゃるような、前の文章とのつながりでいえば、望まれる、としない で、「確立すること」、(2)は、可能性の検討が望まれる、ではなくて「可能性を検討 すること」、改善するための取り組みが望まれる、は「改善するため取り組むこと」と する。これは事務局に聞かなければまずいんですが、今後、具体的に対応策を進めると きのことまで心配してあげるという意味で聞いていたんですけど、課長さん、どうで しょう。いい表現、ありますか。あまり強すぎてもいけないと思いますが。  谷口課長  ただいまのご意見伺いまして、一例でございますが、5ページの(2)検査事業の休 止 の最後のほうでございます、これに基づいた、といございますが、「これに基づい た休止に当たっての条件として、次のような対応をとることが必要である」、ここでと りあえず切らせていただきまして、次の(3)は取ってしまって、(1)、(2)、(3)をず らずらと並べて、それぞれの文末は、例えば(1)ですと「早急に確立すること。」 (2) ですと「行う可能性を検討する。」 (3)は「改善するための取り組みをすること。」 というように言い切る形にさせていただきたいと思います。細かいところは調整させて いただきたいと思いますが。  久道座長  そうですね。表現には微妙なところがあるかもしれませんが、趣旨としてはこの検討 会の委員の方はそういう気持ちだということでよろしいですね。  坪野委員  端的に「中止」あるいは「一時中止」ではだめなんですか。先ほどおっしゃったよう に、休止というのは次にまた動き出すことが前提にされているわけですけれども。  久道座長  前提でもないんじゃない。前提ではないよね、休止は。可能性はあるけれども。  谷口課長  相変わらず6ヶ月がだめだ、だめだという話になっているといつまでもできないとい うことも当然あると思うんですけれども。  坪野委員  言葉にはそれほどこだわりませんけれども、日本語としては「一時中止」というのが 一番ふさわしいかなと。  久道座長  現行の生後6ヶ月で行うマススクリーニングは中止ということを前提にしていると思 うんですね。それはほんとに中止して、しかし、1年、あるいは1年半でやるかどうか は別として、このマススクリーニングはやるべきかどうかということについては、中止 とはしてないわけですね。要するに、結果によっては、有効であるという可能性があれ ば再開する。その再開の場合には現行の方法はしないけれども、ということなんです よ、みんなの理解は。そのときに、一時中止という表現をするか、休止とするか、ある いは、いったん休止という表現にするかは、事務局に任せてもいいんじゃないですか ね。先ほど、審議官からも休止という表現でよろしいという話だったんですよね。  渡邉審議官  休止でもよろしいんじゃないでしょうか、と申し上げたんですが。こだわるところで はありませんが。  橋都委員  基本的な考えとしては、現在のマススクリーニングは打ち切って、また新しく必要で あれば別の形のマススクリーニングを始めるということだと思うんですね。一時中止と いうと、一時やめて、同じものをまた始めるというニュアンスがどうしても残りますの で、どちらがいいのかわかりませんが、休止なら休止としたほうがいいように思います けど。  吉村委員  先ほどから座長がおっしゃっておられるように、現行の、ということと、事業という か、神経芽細胞腫の検診というものをどうするかということをちょっと区別をすれば、 ということですね。  久道座長  この文章の中では、スクリーニング全体そのものと、現行のマススクリーニングが混 在しているので、面倒でも全部入れたほうがいいと思います。そのほうがわかりやすい し。  吉村委員  関連して。条件の2番目のところ、生後6ヶ月ということだけでスクリーニングが効 果があるかどうかということを検討するかどうか。ほかの方法、将来どういうふうにな るかわからないんですが、いま、6ヶ月は、という話はしました。じゃあ、1年とか1 年半とかの代替案はあるわけですが、この文章のままだとここで想定してるのは代替案 の1年というものしか出て来ない感じがするんですね。じゃなくて、もう少し幅広く、 事業の具体的なシステム、方法を変えて検討してみれば、あるところでは効果が出るか もわからない。それはいまわからないので、そういうことも含めて検討できるように少 し広げていただけたらいいんじゃないかと思います。  久道座長  (2)の、実施時期については、現在の生後6ヶ月よりも遅い時期、と限定するんじゃ なくて、いまのも含めてということですか、先生がおっしゃるのは。  吉村委員  いまのというよりも、方法の問題、実施の具体的な方法、対象とか、そういうものを 変えることによって、こういう対象だったら効果があるんじゃないか、というふうなこ とも出てくる可能性があるんじゃないかと思うので。  秦委員  単に実施時期だけじゃなくて、システムそのものを変えて行う。  吉村委員  集団検診システムそのものについて検討していくということも含められると。現実に はかなり大変な話ですけれども。  久道座長  そうすると、(2)神経芽細胞腫マススクリーニングの対象、実施時期等の検討。具体 的なことはこの検討会で出す必要はなくて、専門家に任せれば。たぶんこのことをやる とすれば新たに専門家の方々の検討に委ねることになると思いますので、今日は。  谷口課長  たしかに座長おっしゃるとおりでございますし、何をすればいいかはこの場では難し いし、もう少し考えなければいけないことだと思いますので、先生おっしゃったことを 踏まえますと、(2)神経芽細胞腫マススクリーニングの実施時期変更等の検討、として 等の中で読むと。議論はちゃんと残るわけでございますので、この場の議論を踏まえて 我々の課題とさせていただければと思います。  久道座長  それでいいですね。  梅田委員  これも議事録に残しておいていただければいいんですが、かなり問題があるのが、4 ページの下から2つ目の(不利益が解消する可能性)のところで、いろんな施設で対応 方法が違うというのはきちんと統一しなければいけないし、治療法をきちんとやらなけ ればいけないと思うんですが、5ページの条件の(3)で、治療法に限らず、スクリーニ ングをやった後の対応方法をきちんと確立して、日本全国の主要な施設でバラつきのな いようにするということが、再開するときの重要な条件になると思います。  臨床の先生方にお聞きしたいんですが、私がいま言ったようなことは治療法だけでい いのか、ほかにいい表現があるのか。なければ、こういう発言があったということを議 事録に残していただくだけで結構ですけれども。  久道座長  何かありますか。  橋都委員  施設によって一定していないというのが現状だと思います。例えば、VMA、HVA が高値でマススクリーニングで発見された症例が、病院に行ったあと、どういう検査を 受けるか。まず、尿の再検はどの施設でもやると思いますけれども、尿の再検をして、 今度は正常だった場合にどうするかとか、そういう対応に関してはきちんとしたマニュ アルはないと思います。そこでCT、MRIまでやるか、あるいはそうじゃなくて経過 観察をするか。それは施設によって全く違いますので、一定の方針を出すということは 非常に重要なことだと思います。  久道座長  いずれ学会等の問題ですね。  坪野委員  (3)を治療成績のことだけと狭くとらないで、臨床診療の改善と標準化とか、診断治 療を含めてるという形であれば。  谷口課長  これにつきましても、治療法を普及する仕組みの確立など、とシステム的なことも入 れたつもりでございますけども、いずれにしましてもこのへんは座長と事務局で精査さ せていただきたいと思います。  渡邉審議官  申し訳ございませんが、どうしても外せないもう一つの事情がありましてここで退席 いたしますけれども、報告書あともう少しでございますが、いまのようなペースでご精 査いただいて、是非本日中にも整理を終えていただいて、あと、なお確認しながら進め ていただいていますけれども、座長と事務局で最終調整しなければいけないところがあ ると思いますが、そこまで今日なんとかお進めいただいたらほんとに有難いと思ってお ります。  ともかく、海外からの話もあって初めてわが国で神経芽細胞腫マススクリーニングの あり方について本格的な、専門的かつ中立的なご議論をいただいたわけで、非常に貴重 なご検討だと思っておりますので、それを踏まえまして、先ほどの、に当たっての条件 というところでございます。大変大事な行政としての取り組みの必要性も指摘をいただ けようとしているわけでございますので、しっかり対応して参りたいと思っておりま す。  この病気自体は大変重篤な病気になりますので、引き続いてその死亡の減少について あらゆる角度から努力していくべきと考えますが、このスクリーニングにつきまして は、こうした突っ込んだ専門的かつ中立的なご検討をいただき、方向付けをしていただ くということ、大変有難いことと思っております。なにとぞよろしくお願い申し上げま す。  久道座長  それでは残りの部分にいきます。4番目。  宮本補佐  「4 神経芽細胞腫検査事業についての総評と今後新たなマススクリーニングを導入    する際の留意点    神経芽細胞腫検査事業は、神経芽細胞腫が難治性の疾患であり、この予後の改善   を目指して、多くの関係者の努力によって実施されたものである。この事業の実施   により、神経芽細胞腫の自然史をはじめとする有益な知見が明らかとなり、治療に   も大いに生かされることとなったことは評価すべきである。    しかし、有効性を確認する十分な研究が実施されないまま、事業として導入され   たことが、わが国で実施されている神経芽細胞腫検査事業の死亡率減少効果の有無   が明確となっていない大きな要因となっており、この点は大変残念なことである。    今後、この教訓を生かし、新たなマススクリーニングを導入する際には、有効性   の検討を十分に尽くす必要があることに、留意すべきである。」  久道座長  どうですか、この部分。よろしいでしょうか。  坪野委員  細かいことですが、最後の「この教訓を生かし」というところ、導入する場合は、有 効性の検討を事前に十分に尽くす必要がある、ということだと思うので、やりながら事 後的に評価するということではなくて、公的施策として導入する前に、ということをい うべきだと思います。  久道座長  有効性の検討を事前に、ですか。  坪野委員  あるいは、公的施策として導入する前に。  久道座長  新たなマススクリーニングを公的施策として導入する際には、有効性の検討を事前に 十分に尽くす必要があることに、留意すべきである。  秦委員  言葉の問題ではありますが、検討ということはなんとなくわかるんですが、従来の現 行のマススクリーニングがいままで続いてきて、もちろんここに書いてあるように有効 性もあったわけですが、しかし、そうかといって、ずっと続けてきたのには、そこに評 価というものがなかったからじゃないかと思うので、検討というやや曖昧な言葉より も、評価といった言葉を是非入れていただきたい。どこかの時期に必ず評価するような システムが今後は必要だと思いますので。  久道座長  そうすると、この検討を評価と変えると。  秦委員  もし、よろしければ。  久道座長  いいですね、それは。評価の検討ではなくて、評価でいいですね。  それでは、まとめ、最後の部分をお願いします。  宮本補佐  「5 まとめ    これまでに発表された神経芽細胞腫スクリーニングに関するデータを検討した。   この結果に基づき、神経芽細胞腫検査事業は、(1)神経芽細胞腫の罹患と死亡の正   確な把握(2)検査の実施時期変更の検討 (3)治療成績を改善するための研究の推進   と治療胎生の確立、を条件として、いったん休止し、引き続き神経芽細胞腫に関す   る状況を評価し、これに基づいた適切な対応をとることが適切であると考えた。    また、今後新たなスクリーニングを導入する際には、有効制の検討を十分に尽く   す必要があると考えた。    今後、行政はこの報告に基づき適切な対応をすることを望む。」  久道座長  4のところと同じ文言がありますので、直すところがありますね。例えば、有効性の 評価を事前に十分に、と入れる。その前に、導入する際には公的施策として、と、同じ 文言を繰り返すということですね。(2)も、実施時期変更等の、というところも、さっ き直したところは同じく直してください。  吉村委員  先ほどの坪野先生の、事前に、というのがちょっとひっかかるんですけど。もちろ ん、事前にできれば、これに超したことはないわけですけれども、実際にいろんな検査 事業は評価が十分なされて開始されたものばかりではない。しかしそれは常に評価を事 業中にやる。実際には難しい部分もあるんですけど、事前の検討がないと先に進めない となると、現実には非常に苦しい。社会的な要請があって、実施しようとなったとき に、条件が強くなるとちょっとつらいかなと。それで、次善の策として、やりながら評 価をしましょう。そうすれば、質的には当然最高のものはできないんですけれども、次 善の策はそういうことになるので、事前という言葉を入れたほうが理想的ですけども、 現実にそぐうかどうか検討を。  久道座長  報告としてはベストなんだけど、ということですね。  坪野委員  今後の教訓というのがまさに、やりながら評価するというやり方で、結果オーライだ ったがん検診、例えば、胃がん検診とか、あるいは日本でやられている現行の肺がん検 診のように、事後的な評価で結果オーライだったものもあるけれども、今回はそうでは ないというところがそもそも話の出発点なので、公的施策として導入するときには事前 の評価が必要であるということは、やはり必要ではないかと思います。  久道座長  この教訓を生かすというんだったらそうだね、文章として。いままで日本のがん検診 で事前に研究として評価した上で導入されたのは大腸がん検診だけなんですよ。これは 厚生省の研究班で便潜血テストによる検診が死亡率減少効果を示唆する、という結論を 出した上で導入した唯一のものです。あとはほとんどやりながら、これと同じように外 国から、肺がんなんかもそうですね。それから、乳がんの手触診だけでやる方法は全く 無効だということがわかって、あれだけでやることはストップになりましたね。ですか ら、そういう意味では事前だけでなくて、走ってしまったものについては、常に評価を する。その時点時点の疫学のレベルで評価していかなければならないと思うんですね。 それは必要なんですが、この教訓を生かして公的施策として導入する際には、事前のほ うがいいんじゃないですか。  吉村委員  それが理想的だとは私も思いますし、賛成です。  久道座長  どうですか、ほかの委員の方は。  橋都委員  僕は専門ではないんですけど、基本的な概念として、事前に、と入れておくのはよろ しいんじゃないかと思うんですね。例えば、現行の抗がん剤の比較試験でも、途中で片 方が明らかに劣るという場合には片方のプロトコールは中止しちゃうという場合もある わけですね。ですから、パイロットスタディで新しいマススクリーニングを始めて、明 らかに有効性があるということがわかれば、それはすぐにも導入するということになる と思いますし、基本的な概念として、事前に、ということを入れておくことは、今回の この教訓からするとよろしいんじゃないかという気がするんですけど。  久道座長  全体を通じて、ここのところは是非直したほうがいいというところがございました ら、どうぞ。  坪野委員  細かいことですけど、まとめの最初の部分「神経芽細胞腫マススクリーニングに関す るデータを検討した」というのは、データというと、一次データを我々がとってきて検 討したような感じなので、文献的検討ですので、もうちょっと一般的な科学的知見と か、スクリーニングの有効性に関する文献的検討を行った、とか、そういうことのほう が。  久道座長  スクリーニングの科学的知見というとなんか変だから「スクリーニングの有効性に関 する文献的検討を行った」と。  ほかにございませんか。細かいところでは、事務局とも調整しながら直さなければい けないところがいくらか出てましたけれども、その程度の軽微な修正については、座長 と事務局にお任せいただけるでしょうか。  どうもありがとうございます。基本的なところは今日提案された案のとおりになりま したけれども。どうなることかと思ったんですが、一応、結論のような形でまとめさせ ていただけるのではないかと思います。  最後にひとこと言っておきたいということ、ございますか。  秦委員  さっきも申し上げたことなんですけど、3つの条件といいましょうか、これを休止す るのと同時にスタートしていただきたい。いずれも予算措置が伴うことでもありますか つ、是非実行していただきたいということです。  それから、治療研究を含めた研究に関しては、大人のがんに比べるとファイナンシエ イションを含めてまだ不十分な面がありまして、特に第3次のがん克服事業も継続され るというニュースもあり、そういうものに対する研究も含めた取り組みを是非国レベル でもバックアップというか、プライマリーを是非やっていただきたいということを切に お願いしたいと思います。  久道座長  いま現行の厚生科学研究というのがありますよね。あれの公募は12月ですか。  宮本補佐  スケジュール、確定しておりませんが、例年は年が明けてからなんですが、来年度以 降分は今年のうちに進めるような前倒しのスケジュールを想定しています。  久道座長  それはいつ頃ですか。  宮本補佐  まだ細かいスケジュールが確定しているわけではありませんが。  久道座長  おそらく、この(1)、(2)、(3)のことを今後やろうとするならば、研究班が1つや2 つではだめだと思いますね、おそらく。臨床の先生を中心にしたグループだとか、いろ んなところが出てくると思うんですね。そういったこともありますので、それは指定研 究じゃないので、公募も可能ですよね。ですから、研究者の方々にチームをつくって応 募してもらう必要があるんじゃないでしょうかね。そのデザインの点数と行政的評価の 合計で採択になるはずですので、行政的評価はこれは必要性は高いんですが、そういう ことも含めて、たぶんこの報告書が出れば、関係する研究者の方々、あるいは臨床の先 生方も含めて、そういう構想を是非進めていってもらいたいなという感じはするんです が。  橋都委員  特に登録事業、小児悪性腫瘍に関してはいま全国規模のポピュレーションベースの登 録事業がないというのが最大の問題点で、学会としても努力はしているんですけども、 なかなか難しい点があります。ですからこれに関しては、単に研究費を出せばいいとい うことでなくて、厚生労働省の全面的な協力がないと確立できないんじゃないかと思い ますので、この点は是非、特に登録事業に対しては行政の支援といいますか、ある程度 イニシアティブをとってやっていただかないとほんとにいいものができないんじゃない かと思っておりますので、これは是非よろしくお願いしたいと思います。  吉村委員  私、この神経芽細胞腫の件についていろいろ勉強をさせていただきましたけれども、 感じましたのは、臨床の先生方のスタンス、それから、公衆衛生・疫学で考えるスタン スがかなりいろいろ違うんですね。それで、こういうことを機会に、是非いろんな交流 をしながらお互いの意見をきちんと出し合って議論していくことが大事だということを 痛感いたしました。今後とも、これは行政の立場でも同じなんですけども、いろんな立 場からの率直な意見交流が、国民のためのいい医療のベースをつくるんじゃないかと思 いますので、是非そういう形で今後ともよろしくお願いしたいと思います。  久道座長  どうもありがとうございました。  橋都委員  最後にひとことだけ発言させていただきたい。この事業は皆さんご存じのように、京 都府立医大の澤田教授が始められたわけで、今日も傍聴においでになっています。結果 的に先生が始められた事業はここで休止という報告が出ましたけれども、なんといいま しても、世界に先駆けてこの方法を導入されたという功績は非常にすばらしいものがあ ると思うんですね。ですから、私は澤田教授の業績は否定されたということではなく て、これから新しい方向に向かうんだということを臨床家として是非強調しておきたい と思います。  久道座長  いや、私も言いたかったんですか、どうもありがとうございました。あと、前野委 員、どうですか。何かありましたら。あとは会ありませんので。  前野委員  4回にわたる検討会には医師以外の唯一の非専門家としてとして参加しました。澤田 先生からは、検討会の議論はマススクリーニングの不利益が強調されすぎている、との ご指摘をいただきました。しかし、患者の視点からしますと、通常の研究班でも学会で も、とかく学問的な場では、治療行為の利益面が先行し、患者の不利益な要素を検討す る面が軽視される傾向があるのではないでしょうか。むしろ患者の視点に立つ不利益部 分をもっとしっかり見直す必要があるのに、まだまだ現状は足りないと考えます。今 後、他の同様の検討会でも過剰な診断、過剰な治療といった要素を含めた見直しのあり かたを、大きな視点の柱として位置づけていかなければいけないと、思います。  久道座長  どうもありがとうございます。ほかになければ、時間が10分ほど予定よりオーバー したんですが、よろしいでしょうか。  それでは、この検討会はこれをもって最後にしたいと思います。軽微な修正について は先ほどご承認いただきましたように、私と事務局で直して、委員の先生方にお送りい たします。  数回にわたってご議論いただきまして、本当にありがとうございました。  あと、傍聴の方々も本当にご苦労様でした。全回出席している方もいました。そうい う意味で我々も開かれた議論をしたのではないかと思っております。どうもありがとう ございます。最後に課長から。  谷口課長  先生方には大変難しい問題をご討議をいただきまして、今日報告書をまとめていただ きました。本当にありがとうございました。たぶん、先生方のお立場からもいろいろ あったことと存じます。そうは言いながらも、ご専門の立場から、中立的、客観的なご 意見をいただきまして、このようにまとめていただきましたこと、重ねてお礼を申し上 げる次第でございます。  今日の報告書、若干座長と微妙な点につきまして修正をする作業が残っておりますけ れども、すり合わせが終わった時点で正式な報告書といたしまして公表させていただき たいと考えております。その結果、報告書を受けまして、十分に検討いたしまして、私 どもとしての慎重な判断の下に適切な対応を次のステップとして考えて参りたいと考え ております。また、報告書の中でもご指摘いただきましたように、行政としてやらねば ならぬことが大きくは3つでございましたが、それ以外にもあるかもしれません。そう いったことを私ども重々留意いたしまして、いきなり事業という形は難しいかもしれま せんけども、少なくとも研究ということで3つをスタートさせるのいうことは責任をも ってやらせていただこうと考えております。  ほんとにいろいろ大変な作業をお願い申し上げたりして心苦しゅう存じますが、おま とめいただきましたこと、御礼を申し上げまして感謝の言葉に替えさせていただきま す。  どうもありがとうございました。  久道座長  どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 宮本(内線:7933) 柏木(内線:7939)