03/06/19 第1回食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会議事録      第1回 食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会                     平成15年 6月19日(木)                         三田共用会議所3階 第3特別会議室            石井母子保健課長補佐  それでは定刻となりましたので、ただいまから食を通じた健全育成のあり方に関する 検討会を開催いたします。  本日は大変お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。開会に当た りまして、雇用均等・児童家庭局岩田局長よりごあいさつ申し上げます。 岩田雇用均等・児童家庭局長  おはようございます。先生方におかれましては、大変お忙しい中、また一部、御遠方 から御参加いただいている方もございますけれども、委員の御就任をお引き受けいただ き、また、今朝は御参集をいただきまして大変ありがとうございます。まだおそろいで ない先生もいらっしゃいますが、追って御出席いただけるものと考えております。  私の方から、問題意識といいますか、危機意識を少しお話しさせていただきたいと思 います。食の問題は、さまざまな観点からの議論が今なされておりますけれども、子供 の健全育成を担当しております厚生労働省の立場からいいますと、少なくとも見過ごす ことのできない二つの大きな問題があると思っております。  一つは健康の問題でございます。後ほど資料に沿って御説明をさせていただくことに なろうかと思いますけれども、子供はまさに発育・発達の段階にありながら、きちんと 食事がとれていないという問題がございます。飽食の時代といわれながら、子供たちの 中には、必要なエネルギーが摂取できていない、あるいは必要な栄養がとれていないと いったような問題がございます。  これは、朝の食事をきちんととらないということとも無関係ではないと思います。朝 の欠食の問題につきましても、つい数年前までは中学生、高校生の問題であると思われ ておりましたけれども、統計などを見ますと小学生の中にもそういうお子さんが少なか らずおられますし、さらに就学前のお子さんにつきましてもそういった状態があるとい うことで、大変心配をいたしております。  また、子供の肥満の問題もございまして、小学生では約1割のお子さんが肥満である と考えられておりますし、また思春期におきましては、拒食症、過食症といった心の健 康の問題との関連で、食事がきちんととれないといったような問題がございます。  いずれも子供の育ちにとって大変重要な問題であると思いますが、こういった子供時 代の食の問題というのは、子供時代の健康問題だけではなく、大人になってからも終生 の健康上の問題につながっているということがわかってきておりますので、そういう意 味では、生涯を通じた健康問題の土台の部分が崩れているのではないかというような危 機感を抱いております。  もう一つの問題としましては、食事は物を口に入れるということだけではなく、それ をつくるプロセス、そして食べるプロセスといったことを通じて、家族との人間関係と いいますか、家族を形成する、人間性をはぐくむといった側面も大変重要であるという ふうに考えております。  そういった点から現状を見てみますと、家族がそろって食事をするという機会がだん だん減ってきておりまして、特に父親が夕食に一緒に参加できないという、父親の働き 方の問題もあろうかと思いますけれども、家族の人間関係が大変希薄になってきている という面もあるように思います。  また、私の世代から見ると、親が家庭で子供のために一生懸命に食事をつくるという ことは当たり前だったわけですけれども、今日、比較的若い親の世代の状況を見ますと 、食事をつくることについての意欲や喜びが感じられない、そして食についての知識や 具体的に料理をする技術も知らないといったような方が出てきているようです。そうい った家庭で育った子供というのは、その子供が大人になったときに、みずから食事をつ くるということをやるはずがないわけでございます。  そのように家族という単位で見たときの食の問題ということも、大変深刻な状況であ ると考えているところでございます。  いわば危機的な状況にあると思いますけれども、一方で、全国のさまざまな地域で、 さまざまな主体によって、こういった問題を克服するための取り組みが始まっていると いうことは心強いことでございます。  厚生労働省といたしましては、国民的な健康づくり運動という取り組みの一環として 、具体的には「健康日本21」と呼んでおります、21世紀の初頭10年間の国民健康づくり 運動や、その運動と連動して、特に母子保健の分野にターゲットを置いた「健やか親子2 1」という取り組みを推進しております。その中で食の問題、食生活の改善の問題に取り 組んでいるところでございます。  さらに最近の取り組みといたしましては、少子化が進行していることに対応しまして 、従来の少子化対策につけ加えたもう一段の対策を講じるということで、ことしの3月 に関係省庁の大臣が、次世代育成支援に関する当面の取り組み方針を取りまとめるとい うことになったわけでございます。  その中で、子供の健康と安心・安全の確保を図るといったような観点から、いわゆる 食育と呼ばれておりますけれども、食を通じた健康づくりや家族形成、人間性の育成と いった問題に取り組むということを重大な課題の一つとして掲げさせていただいたとこ ろでございます。  今般、食育について今後一層の取り組みが推進されますようにこの検討会を立ち上げ させていただいたわけでございますが、委員の諸先生方におかれましては、子供の発達 段階に応じた食育を進めるためにどうしたらいいかということについて、ぜひお知恵を ちょうだいしたいというふうに考えております。  簡単ではございますけれども、会議の冒頭に当たりましてごあいさつをさせていただ きました。どうぞよろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  続きまして、今回は初会合でございますので、委員の先生方お1人ずつに、ごあいさ つを兼ねまして自己紹介をいただきたいと思います。それでは足立委員からよろしくお 願いいたします。 足立委員  女子栄養大学の足立己幸です。どうぞよろしくお願いいたします。  最近考えさせられることが多くあります。私共は20年ほど前から小中学生を学習者 とする“自然から食卓まで子ども自身が構想し、実践する食事づくりセミナー”をやっ ております。いろいろな家庭環境にある子どもたち、例えば親から虐待を受け、家族と の人間関係がうまくいっていない子どももいます。そのような子もセミナー参加後に学 習したその内容でお母さんに健康状態に合わせたお弁当を作ってあげ、そのことがきっ かけで、スムーズに話が出来るようになり、さらに自分からすすんで、家族の食事づく りを申し出たりして、家族の方からよろこびの連絡を受けたことなどです。 食事は子どもから大人たちに気持ちを伝えていく、身近なメッセージの場だということ がとても心にしみこんで、この会議に期待をしております。どうぞよろしくおねがいい たします。  石井母子保健課長補佐  では上原委員、お願いいたします。 上原委員  愛知県の教育委員会の上原と申します。よろしくお願いいたします。  私は教育委員会におりますけれども、少し前は学校の現場で学校給食を実施していま した。小学校や中学校では、今お話がありましたようにいろいろと問題が出てきている のではないかと思っております。  愛知県におきましても、食の問題というのはとても重要に考えておりまして、平成13 年から知事枠という特別予算をかけて、食育ということを進めている途中であります。 学校の中にもなかなか浸透していくというか、徹底されるのは難しいのですけれども、 それをひとつの道として進めていきたいというふうに思っております。いろいろ勉強さ せていただきますので、よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  続きまして岡田委員、お願いします。 岡田委員  千葉大学教育学部の養護教諭養成課程の岡田加奈子と申します。私は学校健康教育を 主にやっているのですが、食については最近かかわらせていただくことが多く、自分で 健康教育をやっていながらも、自分自身が食についてはちゃんとしていなかったという ことを感じています。  また、私的なことですが、うちには3歳になる双子がおります。最近は口が達者にな ってきまして、ちゃんと御飯を食べてから行かなくてはいけないよ、とか、ちゃんとみ んなそろってから食べなくてはいけないよ、というふうに御指導をいただいています。  学校や保育園を通じて、母親や家庭が変わっていくということを自分自身で非常によ く体験しておりますので、今回の検討会でも、この機会に自分も変わり、また自分から もメッセージを出せていけたらと思っています。よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  加藤委員、お願いいたします。 加藤委員  国立保健医療科学院の加藤と申します。小児科の方から、主に乳幼児の発育・発達に ついて研究してまいりました。2年ほど前に、母子健康手帳のグラフにつきましても調 整させていただきました。小児の発育・発達や健康を考える上で、食というものが大変 基本的に重要なものであることは痛感いたしております。  先ほど、足立先生のお話を聞いておりまして、私もけがをして二、三日休んだときに 、当時6歳だった娘がおにぎりをつくってくれたことを急に思い出しまして、親子の基 本はやはり食なのだということを改めて確認いたしました。今回は勉強させていただき たいと思いますので、よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  佐藤委員は岩手からいらっしゃる関係で、おくれているという連絡をいただいており ます。星委員、お願いいたします。 星委員  脚本家の星みつると申します。私は13年前に、NHK教育テレビ「ひとりでできるも ん」という幼児番組を提案、番組化し、それ以来、食を通して子どもたちを見つめなが ら、番組の脚本を書き続けております。  「ひとりでできるもん」の企画は、子供料理の番組を作ろうという考えで出発したも のではありませんでした。むしろ、その名の通り、子どもが「ひとりでできる」ことを 増やしていく番組として、日常生活の中で子どもたちができることを探した結果、子ど も料理に行き着いたと言えます。家庭のキッチンには、子どもたちのチャレンジできる ことが、全て揃っています。本日は子供の立場に立って、いろいろと発言していきたい と思います。よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  御園委員、お願いいたします。 御園委員  社会福祉法人豊福祉会みつわ台保育園長の御園でございます。保育士になって、長い のですが、食は命ということを私はずっと感じております。  乳幼児にとって、人間形成を図る上で一番大事な、よく食べる、よく眠る、戸外で元 気に遊ぶということが今、崩れかかっております。特に食については心配な状況でござ います。保育園と子育て支援センターも併設しているのですが、利用している親子の姿 からも食の重要性をますます感じております。どうぞよろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  村田委員、お願いいたします。 村田委員  和洋女子大学の大学院総合生活研究科というところにおります村田でございます。も ともとは小児科医でありまして、臨床をやっておりました。平成12年までは東京女子医 科大学の附属第二病院という荒川区にあります病院で、小児科の責任者をやっておりま した。  もともと小児科医として、どちらかといいますと発達よりも発育の方ですけれども、 そういったものをどのような形で評価したらいいのかといったことをやりながら、昭和4 3年ごろ女子医大へまいりました。そこに肝臓が悪いということで送られてきた中学生 の男の子がおりました。迷うことなく肝炎だということで、経過を見て、どうも気がつ いてみたら、肥満のための脂肪肝でありました。これは大変だ、肥満のことも少しやら なければいけないと思って仕事を始めましたところ、社会の方でも肥満の問題が大変大 きくなってまいりまして、先ほどもお話がありましたように、小学生の10人の1人くら いは肥満しているといったことから、子供の食の問題、大きくは生活の問題といったこ とに、いろいろな機会に参加させていただいたり、いろいろな経験をさせていただいた りしてまいりました。  この会が子供たちにとって大変有意義なものになっていく、そういうところに参加さ せていただくことに大変意義を感じております。よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  ありがとうございました。  本日御出席予定の渡辺委員からは若干おくれるという御連絡が入っております。なお 、本日は吉池委員、吉田委員が所用により御欠席となっております。  次に事務局の御紹介をさせていただきます。中央が先ほどごあいさつをいたしました 岩田局長でございます。 岩田雇用均等・児童家庭局長  よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  その左が谷口母子保健課長でございます。 谷口母子保健課長  よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  その左が河野栄養専門官でございます。 河野栄養専門官  よろしくお願いいたします。 石井母子保健課長補佐  私は課長補佐の石井でございます。よろしくお願いいたします。また事務局のスタッ フが若干名、周りに座っております。よろしくお願いいたします。  議事に入ります前に、本検討会の座長でございますが、事務局といたしましては村田 委員にお願いいたしたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。  御異議がないようですので、村田委員、座長席にお願いいたします。  それでは、これ以降の議事の進行につきましては座長にお願いしたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 村田座長  ただいまこの会の座長に御指名をいただきまして、大変責任を感じております。ここ に御出席の各委員の皆さんは、いろいろな面で実践的な経験を既に十分にお持ちだと思 いますし、これからまた子供たちのために、いろいろな考え方といいますか、そういっ たものもお持ちの方ばかりだというふうに理解いたしますので、この会が、これからの 子供たちの食を通じてのいろいろな問題について、非常に大きなインパクトを与えるよ うな会になりますように、皆様の御協力をお願いしたいと思います。  この会は、ごらんのように公開になっておりまして、議事録も公開されることになっ ておりますので、そのことをよくお含みの上、進行の方をお願いいたします。  それではお手元にお配りしてあります資料につきまして、事務局の方から確認をよろ しくお願いいたします。 河野栄養専門官  本日お手元にお配りしております資料は、議事次第の下に記載してございますように 、資料1から4、それから参考資料の1、2となってございます。  まず、議事次第をおめくりいただきまして検討会名簿、続きまして資料1として検討 の方向性について(案)、資料2として検討課題メモ(案)、資料3として子供の食を めぐる現状について、資料4はクリップどめの若干厚い資料になってございますが、子 供の食に関する取り組み例について、参考1といたしまして本検討会の開催要項、参考 2としまして次世代育成支援に関する当面の取り組み方針、以上でございます。 村田座長  お手元の資料を御確認いただきまして、何か問題がございますでしょうか。問題がご ざいませんようでしたら、事務局の方から本検討会設置の趣旨及び検討の方向につきま して、御説明をお願いいたしたいと思います。 谷口母子保健課長  御説明をさせていただきます。本検討会設置の趣旨などにつきましては、先ほどの局 長のあいさつの中でかなり詳しくお話しいたしましたので、私の方からは、資料に沿い まして、その背景となるところを補足させていただきたいというふうに思います。  まず、後ろの方についてございます参考の1、食を通じた子供の健全育成のあり方に 関する検討会の開催要項をごらんください。その1番に目的というものがございます。 これはまさに先ほど局長が大体申し上げたことでございますけれども、基本的に子供を 取り巻くさまざまな問題が社会化をしておりますので、このようなことに対しまして、 どのように行政として今後取り組んでいくかということにつきまして、専門家の御意見 をいただいた上で進めていくということを考えまして、この検討会を開かせていただい たわけでございます。  6番に検討課題ということがございますが、子供の発達段階に応じた、食を通じた子 供の健全育成のねらいというのがどこにあるのか、またそれをどのように共通化してい くのか。また、はぐくむべき、食べる力と簡単に書いてしまいましたけれども、これは 正しく食べる能力といってもよいのかもしれません。そういったものはどのようなもの であるのかといった御検討も必要かというふうに考えております。  それから2番といたしまして、子供一人一人の食べる力をはぐくんでいくための具体 的な支援方策についてといったところも、この検討会におきまして、ぜひ御議論をいた だければというふうに考えているところでございます。  今回は第1回目でございますが、できましたら年内に一応のコンセンサスといいます か、検討会としてのおまとめをいただければ幸いであると考えているところでございま す。  この検討会におきまして、その結果といいますか、アウトカムがどのように今後の施 策に反映されるかということにつきまして、これも先ほど局長が若干申しましたけれど も、参考の2の資料をごらんいただきながら補足をさせていただきたいというふうに思 います。  あいさつの中にもございましたように、平成15年3月に少子化対策推進関係閣僚会議 というものが開催されまして、そのときの資料、当面の取り組み方針というのが参考の 2でございます。その1ページの下の方に書いてございますが、取り組み方針の基本的 な考え方というのが、家庭や地域の子育て力の低下に対応して、次の世代を担う子供を 育成する家庭を社会全体で支援する、これを我々は最近、次世代育成支援というふうに よく使っておりますけれども、その支援をすることによりまして、子供が心身ともに健 やかに育つための環境を整備すること、というふうに考えているところでございます。  次に2枚目でございます。今後の推進方策といたしまして、一つ目の丸のところに書 いてございますが、平成15年及び16年の2カ年を、次世代育成支援対策の基盤整備期間 であるという位置づけをいたしまして、一連の立法措置を講ずるというふうにいたして おります。具体的にはその次の丸のところでありますが、今年、15年におきましては、 地方自治体、それから企業も加えて、そういったところにおける今後10年間の取り組み を促進するための次世代育成支援対策推進法案を国会に出しております。  これは3月の段階の話でございまして、今はもう6月でございますから、国会には既 に出しております。衆議院ではもう議論が済みまして、今後は参議院に舞台を移そうと いうのが、この法律につきましての現状でございます。  その法律の中では、国が指針を前もって示しました上で、それを受けて、市町村及び 都道府県、事業主が行動計画というものを策定するということになっております。  そのために、その中身についてもこれから詰めなくてはいけないわけでありますけれ ども、市町村、都道府県で考えていただく行動計画の中身にどのようなものを盛り込ん でいただくのか、そういったことを我々としても今後、準備をするということになって いるところでございます。それとあわせまして、今申しました次世代育成支援対策推進 法案だけではなく、具体的な各メニューということで今までやってきているのが児童福 祉法でございますので、その児童福祉法につきましても改正をして、細かい中身まで詰 めていこうという、両輪でやっていくというスタイルをとろうとしているところでござ います。  また資料を少し飛ばさせていただきまして、13ページの下の方から14ページにかけま して、特に子供の健康と安心・安全の確保というのがございます。13ページの囲みの中 に、第一に食を通じた健康づくり、それから家族形成や人間性の育成(食育)と書いて ございます。ほかにもたくさんあるわけでございますが、こういった食の関係の部分と いうのを今後ちゃんと詰めた上で、行動計画にちゃんと生かしていただけるようなもの にしていこうというふうに私どもは考えているところでございます。  14ページの上にも書いてございますが、国民の食生活の改善を目的とした食生活指針 の推進、それから子供の食生活に関する支援マニュアルや学習教材の開発等といったよ うなことを踏まえまして、食育の普及を図るということを考えてはどうかということで ございまして、そのために検討会の先生方のお手を煩わし、御苦労をいただくことにな るかと存じますけれども、その成果品を、15ページに書いてございます次世代育成支援 対策推進法の中の行動計画にぜひ盛り込んでいきたいというふうに考えているところで ございます。それが一連の今回の検討会を設置させていただきました背景と申しますか 、経緯の説明にさせていただきたいというふうに思っております。  若干戻っていただきますが、資料の1をごらんいただきたいと思います。事務局とし ては、こういった背景の中で御検討をいただきたいというふうに考えておりますけれど も、具体的な検討の方向性、検討課題というものにつきまして、若干御説明をさせてい ただきたいと思います。  まず資料1の、方向性、検討のねらいというところでございます。まず社会全体で子 供の食の重要性についての認識を高めて、食に関する取り組みを支援していくための、 食を通じた子供の健全育成というものがあるわけでございます。そのねらいというのは そもそも何なのか、共有化ということをいかに進めていけばいいのかということが、ひ とつの検討のねらいではないかというふうに私どもは考えております。  そのためには、下の丸にも書いてございますように、これまでも確かに子供の食にか かわる関係機関、団体といった、さまざまなところでやっていただいてはおりますが、 個々の取り組みにとどまっている部分もあるでしょうから、それを連携した取り組みに していくことによって共有化するということもあるでしょうし、多種多様な場での取り 組みを展開して進めることによって、やはりそれも共有化をすることにつながるかとい うふうに考えております。  それから右の方に書いてございますが、実際の子供の食のパターンを今後変えていく ためには、当然支援をする方々が必要になります。私どもは、その支援をする人々のア プローチの転換ということも必要ではないかというふうに危機意識として持っておりま して、例えば、これまでの私どものサイドでいえば、若干、栄養食品中心のアプローチ があったかと思うのですが、それだけではなく、局長のあいさつの中にもありましたよ うに、実際に食事をつくって喜びを感じるとか、もう少しいえば食の文化的な面といっ たことも含めて、食の持つ多面性な要素を重視したアプローチというものがあるのでは ないかと考えております。それから一方向の指導、これはどちらかというと上意下達と いう意味がこの言葉の中に含まれているのかもしれませんが、そういったことから、食 べる力を子供たち自身がみずからはぐくむというふうなことを目指したアプローチに転 換していかなくてはいけないのではないかといったことを、支援する人たち自身も、や はり自分自身の行動の変容として考えていかなくてはいけないのではないかという視点 でございます。  そのようことを前提にいたしまして、乳幼児期から思春期に至る、子供の発達・発育 の各フェーズに応じて、食を通じた子供の健全育成のねらいというものをはっきりと打 ち出していき、発育・発達の時期にあることを踏まえながら、食についてどういう能力 をはぐくむかということも整理をしていただく必要があるのではないかというふうに考 えているところでございます。  そういったところを大まかに、少なくともある程度の概念整理をしていただいた上で 、必ずしも必要なのかどうかはこれからの議論かとは思いますが、例えばわかりやすい 食育指針のような形にまとめるということも一つの方法だろうと思いますし、そういっ たことを踏まえまして、一番右側に書いてございますように、具体的な支援方策の提案 、例えば具体的な支援マニュアルといったことに結びつくということも考えられようか と思いますので、こういったことも具体的に御検討いただいてもいいのではないかとい うふうに考えているところでございます。それが資料1でございます。  お時間をちょうだいして恐縮でございますが、資料2もあわせて御説明をさせていた だきます。具体的な検討課題メモとして、事務局としてとりあえずこのようなことはい かがかということで準備をさせていただきました。もちろん、このとおりやらねばなら ないということではございませんので、そのあたりは御討議をお願いしたいと思います 。  まず一つ目といたしまして、子供の食を巡る現状について、今回の検討を進めるに当 たって特に認識しておくべき課題としてはどのようなものがあるかということで、まず 現状認識を皆様方の中で共有していただくことが必要ではないかということで、後ほど 資料も説明させていただければと考えております。  この中では、子供の変化は当然でありますけれども、先ほど局長も申しましたように 親自身の問題ということもございますので、親自身の問題、親子のかかわり、家庭の変 化、それから社会の環境の変化といったところも若干御説明をさせていただきまして、 認識を共有化させていただければというふうに考えております。  それから2番でございますが、子供の発育・発達段階に応じました健全育成のねらい 、目標についてということであります。繰り返しになりますけれども、乳幼児期から思 春期といったような各フェーズを通しまして、子供の健やかな心と体の発達のために、 食に関していえばどのようなことをねらいとすべきかということを御検討いただくこと になるかというふうに考えております。  それから、これも繰り返しになりますが、発達段階における食をめぐる課題、それか ら支援方法が当然異なるというふうにも考えられますので、大きく幾つかの段階に分け るとすると、どのような段階に分けて考えることが適当なのかといったことも御検討い ただくべきかというふうに思っております。  3番でございますが、ペーパーでは簡単に食べる力とまとめてしまいましたけれども 、食には多面的な要素がございまして、子供の時期に食というものを通じてどのような 力をはぐくんでいくことが必要なのかという問題意識でございます。正しく食べる能力 と私は先ほど申しましたけれども、そういったことをはぐくむことによりまして、さら にどういう能力が子供たちの身についていくのだろうか、例えば健康のかかわりと書い てございますが、これはかみ砕けば健康を保持する能力というふうに言ってもいいかも しれません。こういったものが食を正しく理解する能力によって養われるのではないか というふうに考えてもいいかもしれません。  一つのかかわりと書いてありますが、これは一つのコミュニケーション能力、良好な 人間関係、生きることの尊さを知る能力、こういったものが食べる力を得ることによっ て、はぐくまれるのではないかというふうに考えてもいいかと私どもは考えております 。  また、食べ物とのかかわりということを書いてございますが、例えば食べ物がいかに つくられていくのかといったことも理解した上で、生産過程の部分についての感謝の気 持ちを持つとか、そういったこともあるというふうに考えてもいいかもしれません。  それが環境文化とのかかわりということでありますので、食文化を通じて社会環境や 地域文化といったものを理解するような能力といったものも身につけられるのではない か、それがひいてはすべての子供たちの、ひとりの望ましい人間としての成長に結びつ けられるのではないかという少し欲張ったねらいも実はございまして、そのあたりを広 範なお立場から御議論を進めていただければというふうに思っております。  ただ、余り話を広げますと、とりとめがなくなるという恐れがございます。この会議 は厚生労働省の会議でございますので、我々事務局といたしましては、できれば子供の 健全な心と体の健康というところを中心課題にしていただければ大変ありがたいという 気持ちはございます。そういった点を含めましてぜひ御検討を賜りたいということを、 この検討会を開催させていただきましたねらいということについての説明にかえさせて いただきたいと思います。ありがとうございました。 村田座長  どうもありがとうございました。今、谷口課長の方から、この会の設置の基本的なね らい、あるいは具体的な方策といったことについて御説明がございましたけれども、総 論的な議論と申しますか、そういった観点から、今の御説明につきまして、委員の皆様 方から、何か御意見や御質問等はございますか。  今、申し上げましたように基本的な問題点でございますので、むしろこれから御説明 いただきます具体的な資料の解説等の後で、またいろいろと御意見をいただければとい うふうに思います。  それでは引き続きまして、具体的な説明が資料3、資料4にございますので、これに ついて御説明をお願いいたします。 河野栄養専門官  それでは資料3を御説明いたします。今、課長の方から説明がありましたように、現 状の認識の共有化ということで、子供の食をめぐる現状についてという形でデータを幾 つかお示ししておりますので、ポイントについて御説明をさせていただきたいと思いま す。  まず子供の変化ということで、小児期における肥満の増加と書いてございますが、こ れは6歳から14歳における肥満の割合を年次推移として整理してございます。男子では どの年齢でも増加ということで、特に9歳から11歳で、1996年から2000年では15%とい う形になっております。いずれの年齢においても、先ほどの局長の冒頭のあいさつの中 にもありましたように、1割前後が肥満に該当しているという状態にございます。  一方で、思春期においてはやせの発現という課題がございます。健やか親子21という 、21世紀の主要な取り組みを提示した中にも、指標として、15歳の女性の思春期やせ症 の発生頻度というのが盛り込まれております。これにつきましては平成14年度に初めて 全国規模の調査が行われまして、このたびベースラインが追加されてございます。  具体的な数値といたしましては、中学1年から高校3年では思春期やせ症の累積発症 率が2.3%、さらに不健康やせということでお示ししておりますが、成長曲線を一定の基 準以上に外れた不健康なやせ方をしている、いわゆる思春期やせ症の予備軍と想定され る割合は、中学3年で5.5%、高校3年で13.4%というふうになってございます。  次のページに移ります。今の思春期やせの問題とも関連してくるのですが、自分の体 型についてということで、それぞれ小学生、中学生、高校生の自己評価が示されており ます。  特に女子の中でやせたいと思っている割合が高く、小学校五、六年生でも、かなりや せたいが9.9%、少しだけやせたいというものと合わせると、約半数の49.7%になってお ります。さらに中学生、高校生と進むにつれてその割合がふえまして、高校生の女子で は、かなりやせたいと思っている者の割合が45.1%という現状もございます。  続きまして3ページの方に移らせていただきます。朝食の状況ということで、平成12 年の幼児健康度調査の中の幼児の状況を見てみますと、週に一、二回しか食べないとい う者が、どの年齢を通しても2%前後見受けられます。また、週に一、二回抜く、ある いは三、四回抜くというものと合わせると、幼児期においても大体10%前後に欠食の状 況が見られるというデータでございます。  小学生、中学生につきましては棒グラフでお示しをしております。注釈が抜けていて 申しわけございませんが、左側のグラフが男子、右側のグラフが女子という形になって ございます。平成7年と12年を比較してみますと、中学生の男子を除いては必ず食べる という者の割合が若干減少しておりまして、一方でほとんど食べないという者の割合が 増加しております。特に中学生の女子では、右側下のグラフになりますが、必ず食べる が平成12年で79.6%、ほとんど食べないが男女ともに5%見られるということになって おります。  続きまして4ページに移らせていただきます。親、親子のかかわり、家庭の変化とい うことですが、まず家族そろって夕食をとる頻度ということで、昭和61年から平成13年 までの年次推移を5年ごとにお示ししております。  毎日食べるという者が、昭和61年の36.5%から平成11年では31.6%、あるいは週4日 以上食べるは、昭和61年では21.8%が、平成13年では17.1%と、ある程度定期的に食べ ている家庭が減少している傾向にございます。  次に幼児へのおやつの与え方についての平成2年と平成12年についての比較でござい ます。平成2年に比べて平成12年では、1歳から5、6歳までのいずれの年齢において も、特に気をつけていないと回答している者の割合が10%から20%高くなっております 。一方、中ほどのグラフになりますが、時間を決めて与えるという回答は、平成2年に 比べて平成12年の方が、いずれの年齢においても20%から30%少なくなっているという データでございます。さらに、欲しがるときに与えるという回答については、平成2年 では児の年齢が上がるに従って率は下がっておりますが、平成12年においては児の年齢 が上がるに従って割合がふえてございます。  このようにおやつというものひとつをとってみても、家庭の中での対応のあり方が変 わってきているという状況がうかがえるかと思います。  続きまして5ページをごらんいただきたいと思います。これは、いわゆる現在の大人 の食事についての知識や技術、関心についてお示ししたデータでございます。  まず適切な食品選択や食事の準備のために必要な知識、技術については、全くない、 余りないというふうに回答する者が、20歳代、30歳代の男性では7割となっており、女 性においても5割前後見られるという実態でございます。  また、健康づくりのための栄養や食事についての関心ということで、20歳代の男性で は、全く考えないが12.9%、余り考えないが32.2%で、2人に1人が考えていないとな っております。あるいは女性の20歳代につきましても、全く考えないが4.3%、余り考え ないが19.6%ということで、4人に1人は考えていないという状況になっております。  それでは最後のページになりますが、環境等の変化ということで、ここでは市販の離 乳食の利用状況、もしくは小学生、中学生の子供のいる家庭での調理済みの食品、イン スタント食品の利用状況の年次推移の変化をお示しさせていただきました。  市販の離乳食の利用状況については、1歳児の保護者に対して平成2年と平成12年を 比べているものですが、よく利用したという者が16.7%から30.0%に増加しており、一 方、余り使わなかったという方々は37.6%から24.7%に減少しております。  続きまして家庭での調理済みの食品、インスタント食品の使用状況ですが、小学生の 保護者の場合、週に1から3日程度という回答が、平成7年では34.7%、平成12年では4 2.5%隣っており、同様に中学生の保護者におきましても、平成7年で33.6%、平成12年 で43.1%に変化しているということで、週に1日から3日程度、使う者の割合がふえて いるということになってございます。  このように社会環境あるいは食品加工技術の進展、流通の多様化によって、乳幼児期 から家庭内での食事提供のあり方が変化している一例ということでお示しいたしており ますが、このほかにも考慮すべき点があると思いますので、後ほど御審議いただけます ようお願いいたします。  続きまして資料4に移らせていただきます。こちらは子供の食に関する取り組み例に ついてということで、食についての基本的な考え方を示す資料でありますとか、あるい は現在展開されているものの幾つかを御紹介させていただきます。  まず1枚めくっていただきまして、国民全体の食生活改善ということですが、平成12 年に、食生活指針というものが、文部科学省、厚生労働省、農林水産省の3省で決定を されてございます。内容については10項目から構成されておりまして、1項目目に食事 を楽しみましょうという生活の質の向上に配慮したものから始まり、3項目目以降、食 物の組み合わせについて、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスをといった料理レ ベルの問題であるとか、あるいは御飯などの穀類をしっかりと、あるいは野菜・果物と いったような形で、食材レベル、食品レベルの組み合わせについて、さらに食塩や脂肪 は控え目にという栄養素レベルについて示された後、食事と運動でありますとか、ある いは中ほどの8項目目、9項目目あたりには、食文化、さらには食糧資源、環境問題を 視野に入れた幅広い内容として構成されているという現状がございます。  続きまして、実際の保育所の場面では食事についてどういった配慮がなされているか ということの参考になる資料といたしまして、保育所保育指針に見られる食事の課題と いうものをお示ししております。  保育所保育指針というのは、各年齢の発達の特徴に応じて保育の年齢や内容が示され ているもので、その中から食事に関する部分を抜粋して整理したものが、この2枚紙と いうことになります。  6カ月未満児の一番上の項目を見ていただくと、一人一人の子供の生活のリズムを重 視して、食欲などの生理的欲求を十分に満たし、生命の保持と生活の安定を図るという 基本的な部分から始まりまして、6カ月以降、各年齢を通しての特徴的な点としまして は、例えば6カ月から1歳3カ月未満児の3項目目、楽しい雰囲気の中で喜んで食事が できるようにする、あるいは1歳3カ月から2歳未満児のところの2項目目、楽しい雰 囲気の中で昼食や間食が食べられるようにするといったように、楽しく食べるというこ とが基本的な考え方になっているという点が特徴的な点と言えると思います。  続きまして、学校の現場についてということで、本日は文部科学省さんの方から試料 提供をいただいたものを添付してございます。食生活学習教材、食生活を考えようとい うことで、小学生用と中学生用が作成され、食に関する指導を進めているところでござ います。  内容でございますが、小学生用の表紙を1枚おめくりいただきますと目次の部分がご ざいますが、一日のスタートは朝御飯からということで、健康的な食生活のあり方や、 望ましい食習慣を身につけることをねらいとしたものであるとか、あるいはどんな食べ 方がいいのかなということで、食生活における自己管理能力を身につけることをねらい としたもの、さらに地域に伝わる料理を大切にしようということで、日本の食文化の理 解の観点が盛り込まれた内容で構成されております。  最後に自治体における食育に関する取り組みということですが、目標の共有化をどう 図るかという観点で自治体での取り組みも進んでおりまして、今回はタイプの異なる三 つを挙げさせていただきました。  まず1ページにございますのが、21世紀を担う子供たちの食育ガイドライン、保育園 、幼稚園の園児への食育のために、ということで東京都南多摩保健所で作成されている もので、食育の到達目標として、まず食の楽しさ、大切さがわかるということがねらい とされ、その下に、食育目標として6項目の目標が整理をされてございます  さらに2ページの方に移りますと、各食育目標に対して、それぞれどういったものを 目指していくか、それを具体化するものとして、食育項目というものが21項目に整理を されております。  3ページに移りますが、こちらはA3横の表で、かなり細かい文字になっております けれども、今お示しした21項目に対して、それぞれ、その行動が各年齢を追ってどのよ うに変化していくかということを取りまとめてございます。各年齢の食行動の変化の情 報を共有化して、それに応じた食育を進めていくことをねらいとしたものでございます 。  二つ目の例としまして、茨城県食育推進行動指針ということで、茨城県食育支援ネッ トワーク会議というものが取りまとめたものをお示ししております。  4ページの策定の趣旨の3行目からになりますが、子供の健全育成のために不可欠な 食については、家庭だけの問題ではなく、子供の発達段階に応じて、保育所、幼稚園、 学校、医療機関、生産者、食品流通産業、外食産業、行政等の関係機関・団体の連携に より、社会全体で取り組む必要がある。このため、各関係機関・団体が、食に対する共 通認識を持つと同時に、ということで、各関係機関・団体が目標を共有化して、それぞ れがどういった取り組みをしていくかといったような構成になってございます。  具体的には、6ページに具体的目標ということでお示ししております。その一つ目と しては、親が子供に働きかけることで達成される項目ということで、子供が朝食を毎日 とる、あるいは家族そろって夕食をとるなどの7項目。そのほかに地域や職域などの協 力で達成される項目としては、子供が野菜づくりなどの体験をする、から始まり、5項 目。さらに行動が変わることによって達成される項目、あるいは生活の質を示す項目と いったような形で、関係機関の目標の共有化を図るということで作成されているものの 例でございます。  最後に3つ目といたしまして、7ページになります。こちらは食育実践ガイドという ことで、静岡県の健康福祉部さんの方で作成されているものですが、食育の目指すもの として、行動レベルではなくて、どういう力をはぐくむかということで、花びらの形で 1から7として、食べ物と体の関係がわかる力、あるいは体によい食べ物を選ぶことが できる力ということで、七つの力をどうはぐくんでいくかという観点で整理をされてい るものでございます。  以上の各現場、自治体の取り組みを踏まえまして、きょうの御議論の参考にしていた だけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。 村田座長  どうもありがとうございました。ここにいらっしゃる委員の皆さんは、今御説明をい ただいた内容等について、いろいろ御経験があったり、あるいは具体的な対応等もなさ ったりしていると思うのですが、そのことにつきましては本日は議論をしている時間が ございませんので、今御説明いただきましたような趣旨に沿った資料などがございまし たら、後ほど事務局の方にお届けいただきたいと思います。  そういったことを前提といたしまして、今御説明いただきましたことについて、何か ここで発言しておかなければいけないとお思いの委員の方はどなたかいらっしゃいます でしょうか。  特別に御発言がないようであれば、先ほど申し上げましたように、今御説明いただき ましたような観点、こういった検討会を立ち上げ、具体的にいろいろな問題点を整理し ていく上で考えなければいけない点でのエビデンスといいますか、現状、それからまた 具体的になされている方策等につきまして、何か案をお持ちでございましたら、それは 後ほど事務局の方へお届けいただくとしまして、改めて資料2の方へお目通しをいただ きたいと思います。  ここには検討課題1、2、3と挙げてございまして、これにつきまして、各委員の皆 さん方のお考えをお聞かせいただくと同時に、この検討会の共通した考え方といいます か、理解といったものの基本ができ上がればというふうに考えておりますが、差し当た って御意見はございませんでしょうか。時間割ということにいたしますと、各項目20分 ずつくらいでございますが、ございませんでしょうか。  ございませんようでしたら、差し当たって最初の会議でございますので、順番に足立 委員の方から、検討項目の1につきまして、事務局からの説明等も踏まえて、御意見を お聞かせいただければありがたいと思います。 足立委員  問題点がすごくよく整理されていたので大変わかりやすかったです。2点あります。 1つは“食事を楽しむ”ことに注目して検討してほしいということです。2つ目は問題 点の連動性に注目して検討してほしいことです。後の方で説明にあった、食を楽しむ、 または食事を楽しむというようなことについての現状分析を少ししてみたことがありま す。実際に幼児の場合にも小学生の場合にも、食事を楽しんでいると答えているグルー プ、または幼児の場合であれば、周りの人たちが食事を楽しんでいると思っていると答 えているグループはそうではないグループに比べて、ここで御説明のあったようないろ いろな側面について、かなりはっきりした特徴が出てきているのを確認しています。  体の面からも実際の朝食の摂食行動からも、親や養育者たちの食事や食事に対する態 度の側面からも、いろいろな問題点がつながってきているということから問題点の連動 性をもう少し丁寧に見ていくと、この食育の委員会で取り上げていく中心課題といいま すか、見えやすい指標が出てくるのではないか。その一つに、食事を楽しむということ も挙げることができるのではないかと思いました。  それと少し似ているのですが、幼児について日常的に、いただきます、ごちそうさま といったあいさつをしているかどうかで子供たちのグルーピングをして、食をめぐる側 面についての実態を比較してみたときに、かなりはっきりとした連動性が見えています ので、そういった食事のときのあいさつといった視点も一つの見方としてあるのではな いかと思いました。 村田座長  ありがとうございました。先ほど1、2、3を20分くらいずつということで申し上げ たのですが、足立委員の御意見をいろいろと伺っておりますとそれぞれ関連があると思 いますし、時間の関係もございますので、1について、2について、3についてという ことではなく、全体の立場に立っての御意見でも結構でございます。それぞれどの観点 に立っているかという、1、2、3といった項目をある程度明らかにしていただければ 、こちらの理解もしやすいのですが、そのような形でお話を順番に伺っていった方がい いかと思います。上原委員お願いいたします。 上原委員  私は先ほど言いましたように、小学校、中学校の学校給食を通して子供の食の実態と いうものを見ているのですけれども、今御説明をいただきました資料で、生まれてから 幼児期までの、例えば加工品が多くなっているという家庭の実態を見ると、特に最近は 、小学校に入ると好き嫌いをはっきり出す子がふえてきているというのはよく言われる ことです。以前ですと、泣きながらでも学校給食を最後まで食べようというような先生 方の指導があったのですが、今はそうではなく、個人個人が食べられる範囲で、という 指導でやっておりますので、そういったことも影響しているのかと思いますが、食べ物 を一生懸命食べようという気持ちではなく、極端な例では、ある学級では床に食べ物が 落ちているわけです。それは子供たちが嫌いな食べ物を落としていく、食べ物を大事に しない、そういった子供は実際には今出てきたのではなくて、出てきているというのが 実態です。  ではそれをどうしていくかといいますと、生活科だとか、今日お示しいただきました 文部科学省の食生活の学習教材のようなものを使って、栄養士さんが指導をするわけで す。それによって変わってきているということはありますが、やはりうちの県でも保護 者の方や先生方に聞くと、一番の問題として、子供のマナーが悪くなってきているとい うことをよく言われます。それは好き嫌いを含めてということですが、食に対する姿勢 、食べようとする意欲が子供たちに少し欠けてきている。楽しく食べようということを 幼稚園や保育園のころから学習をしているとは思うのですが、楽しく食べようという意 味が、自分が楽しく食べればいいというふうにとらえられていて、それが個人個人を見 るということの弊害なのかなというふうに思ってきてしまいます。  愛知県では、マナーというのは、はしの上げ下ろしではなく、一緒に食べる人が不快 感を覚えず、一緒に食べる人みんなが楽しく食べるということがマナーですよ、という ような教え方をしてくださいという話をしています。やはりそこからまず教えなければ いけないかということです。  先ほどのあいさつのときにもお話を出しましたけれども、愛知県でやっていた特別予 算でやったその背景には、平成12年度に、市町村に対して、子供たちの食について何が 一番問題ですかと聞いたのですが、そのときにやはりマナーと答えられる市町村がかな り多かったということがあります。  話が前後して申しわけないのですが、これからの指針の出し方ということになります が、やはり栄養的な面からではなく、先生方が一体になって指導していかなくてはいけ ないというふうに思います。  先日、ある先生が、早くつくれる朝食というテーマで家庭科の授業をしたのですが、 そうするとグループに分かれて早くつくろうとするわけです。先生としては、楽しく料 理をすることを教えたいという気持ちでやられたのだと思いますが、早くつくるという ことになりますと、あるグループはつくり終えてしまっているのに、ほかのグループは まだ一生懸命つくっていて、その間は手持ちぶさたで何もすることがないということが ありました。  小学校5、6年生にも、まず、みんなで楽しくお料理をするというのは、こういうこ とが楽しいんだよ、と教えなければわからないのですが、そこを手放してしまって、自 分でやってみようというようなことをやると、私のグループはこんな料理しかできなく てつまらなかったというようなことしか残らなくて、すごくかわいそうだったという授 業でした。  何が言いたいかというと、やはり発達段階というのは非常に大事なことで、1、2年 生は対先生と自分とのコミュニケーションで授業も進みますが、3、4年生になります と、自分が仲間の中でどうやって生きようかというふうに考え始めるときです。5、6 年生になると、だれかのためにしてあげようと考える。そういう発達段階があるわけで すから、やはり食の指導も、子供たちの発達段階をつかんでいくという、ある程度の指 針、具体的には先ほど課長さんがおっしゃいましたように、具体的な食育指針というの はぜひ出していく必要があるというふうに思います。 村田座長  ありがとうございました。とりあえず第1回目でございますので、順番にお話を伺っ ていきたいと思います。岡田委員、どうぞ。 岡田委員  子供の食をめぐる現状についてですが、子供たちは学校が終わってからすぐに塾へ行 ったり、習い事をしたりしていて忙しいですので、夕食を早く食べましょうとか、2回 食べないようにと言われても、なかなかきちんと食事ができないという現状があります 。そういったときに、やはり理想を言っていてはだめだと思います。  例えば、塾へ行っている子がたくさんいたら、塾は勉強を教えるだけではなく、学習 を効果的にするためには食事をちゃんととらなくてはいけないので、お弁当の時間をと るというように夕食のことも考えて、その内容についても、親に情報を提供できるよう な塾でなくてはいけないのではないかというふうに感じております。  また保育所では、現在は非常に長い時間、子供を預かってくださる保育所がふえて、 例えば認可の保育所の中でも、8時まで預かってくださるという保育所もありますが、 そのような保育所で食事が出なかったりする現状をどういうふうに考えていくのかと、 自分自身非常に悩んでいるところです。  もう少し理想と現状とのギャップがないような形で、こういった形であれば理想に近 づけるというようなバリエーションがあるといいかなというふうに考えています。  というのは、夕食が一番リラックスできるので夕食は皆さんで食べましょうと言われ ても、なかなか夕食の時間に戻って来られない保護者もたくさんおりますので、そうい った場合には例えば週末だけとか、朝食のときはこういったことができるのではないか といった、提案のバリエーションができると、もう少し理想と現状のギャップがなくな って、保護者の方も、我々にはできないというふうには考えないのではないかと感じて おります。  それから、子供たちは比較的、広告によって食品やおやつを選んでいると思いますの で、そういった広告に対する見方、分析する力のようなものも発達段階に応じて育成し ていく必要があると感じております。  また、子供はやはり身体的健康については認識しづらいということがあります。子供 は食事をきちんととらなくても、比較的に健康を感じると思います。ですから健康を考 えたときに、先ほど心の健康、身体的健康ということが出ていましたが、社会的健康と いうこともあると思います。みんなで楽しく食べて、人とかかわりながらいろいろなこ とをするということが社会的健康につながり、おいしく食べるということが心理的な健 康につながり、最終的には体にいいということが身体的健康につながる。つまり、楽し い、おいしい、健康によいということが、社会的、心理的、身体的健康につながるとい った視点が大切かなというふうに感じています。  この間、小学校5年生が自分たちで食事をつくって、保護者の方もおかずを持ってき て、給食からも出て、それで食材を選ぶという弁当づくり大作戦というものをしたので すが、それが終わってから子供たちが、きょうはすごく楽しかったと言っていまして、 どうして楽しかったのかと聞きましたら、1人の子が、手づくりだから楽しいんだと言 いました。するとほかの子が、でも、家でもお母さんは手づくりじゃないかと言いまし たら、みんな考えていて、わかった、みんなで手づくりだからおいしいんだと言って、 拍手が沸いたんです。そういった体験を通じて、楽しいということを感じるということ が大切で楽しくなければなかなか続かないと感じております。  我々も子供たちを通じて変わっていく、そして我々も変わりながら、子供たちと一緒 に育っていくという発想が必要と感じています。以上です。 村田座長  ありがとうございました。続きまして加藤委員、お願いします。 加藤委員  育児環境の変化ですとか、食環境の変化ということで、前半に局長、課長、そして専 門官の方から御説明がありましたけれども、例えば資料に出ております幼児健康度調査 などにおきましては、親が精神的な余裕が持てないという結果が出ていると思うのです が、これも子供の食環境の一部として、要するにつくる側に精神的な余裕がない、食を 通じた心のつながりを持っていこうにも、親自身が心身の健康に不調を感じる割合がふ えているという現状がございまして、その辺もファミリー全体として、いかに健全にか かわっていけるようにするかということがあると思いました。  育児環境の変化の一つといたしまして、女性の社会進出があるかと思うのですが、ベ ビーフード、ファストフード等の考え方や取り上げ方などについて、いろいろな育児環 境の中で、いかにベターにしていけるかというような観点も必要かなと思います。  環境の変化という点で、資料3の1ページに思春期やせ症について御提示をいただき ましたが、女性が比較的スリム化しているということについて、若干思うところもござ いますけれども、例えば思春期の女性は非常に痩身願望が強く、現在、女性の20代は比 較的痩身傾向が強くなってきているのではないかと思います。  乳幼児身体発育調査などを見ておりましても、出生体重は減少をしております。これ は、そんなに心配するような程度ではないというふうに意味づけて発表をいたしており ますけれども、実際に10年くらい前までは10年間で70グラムの減少だったのですけれど も、ここ10年間は、平均体重が10年間で100グラム減少しておりまして、やはりお母様方 を見ていましても、妊娠中に余り召し上がらないように気をつけていらっしゃるとか、 そういったことを実際に触れていて実感いたします。  また、学校保健統計を見ていましても、若い女性の方もどんどんやせていっていらっ しゃるということで、ひとつの大きな流れとして、どういうふうにとらえていけばいい かということも少し感じたりいたします。  それに関連しまして、現場で聞く話ですけれども、若いころからの摂食障害を引きず ったまま妊娠されて出産されたお母様方がだんだんふえてきて、その指導に困っている 現場の方が結構いらっしゃいます。結局自分が食べたり吐いたりしているので母乳が出 なかったり、離乳食の指導をしていこうと思っても、お母さん自身が、つくる、食べる ということに対してつまずきを持っているので話がなかなか入っていかないとか、その ような悩みを持っていらっしゃる方も多いので、そういったこともあるということをお 伝えしたいと思います。  環境はこのように変わっているわけですけれども、3番目の食に関する多様的な要素 というところで、やはり発育・発達に個人差がありますように、食べ方も一人一人違い ますので、その点はこれからマニュアルなどをつくっていく上で、少し考えに入れるべ きかと思います。  例えば保健所、保健センターの栄養士さんは、御自身でもすごくお料理が好きだし、 得意だと自認していらっしゃる方、大人の人たちであれば絶対に喜んでもらえるという 自信を持っている方が、御自身のお子さんをお持ちになると、1人目と2人目で全然食 べ方が違って、何をつくってあげても自分の子供が離乳食を食べてくれなかったという ことで、相当に落ち込んだりなさいます。  例えば岡田先生にも双子のお子さんがいらっしゃるということですが、双子の食べっ ぷりも、同じ環境の中でも全然違うというように、一人一人でかなり違うので、同じよ うにマニュアルをつくってしまうと、そのとおりにできない人が多発してしまうのでは ないかという気がします。  年齢段階も必要でしょうけれども、個別性、いわゆるむら食いをなさる方、早い方、 遅い方、小食な方といろいろな方がいらっしゃいますので、考慮に入れていくことが必 要かなというふうに存じております。以上でございます。 村田座長  ありがとうございました。それでは続きまして佐藤委員、よろしくお願いいたします 。 佐藤委員  岩手大学の佐藤でございます。事情がありまして、おくれてしまいました。初めに皆 様方に一言おわびを申し上げたいと思います。大変申しわけありませんでした。 村田座長  それでは我々も簡単に自己紹介をいたしましたので、短い時間で大変申しわけござい ませんが、自己紹介をお願いしまして、それからお話を伺わせていただければと思いま す。 佐藤委員  はじめまして。私がここにいるのは少し場違いなのかなという思いをしながら、しか し農業と教育というものを自分の研究対象としてこれまで生きてきたものですから、そ ちらの中から何らかのアプローチができればという思いでおります。  実は私は小、中、高、養護学校の教員を経て、現在大学で仕事をしておりますが、も ともとは社会学が専門でございます。学位はたまたま情報科学というふうになっており ますけれども、これまではずっと日本の社会変動をテーマに研究してきました。そして その中で、人間がどう変化してきたのかということを見てきたわけでございます。そう いった中で、ここ10年くらい深く関心を寄せているのが食と農ということでございます 。  早速ですが、事前にファクス等でちょうだいいたしましたいろいろな資料や、本日い ただいた資料を見せていただいた上で、若干のお願いと、それから私の方で今、何を考 えているかということを3、4分のところで御説明を申し上げたいと思います。  まず初めに、先ほど専門官の方から、非常に御丁寧な、しかも的確な資料の提示と御 説明をいただいたのですが、その上でひとつお願いがございます。まず一つは資料3で ございます。これは既に十分に資料をお持ちなのだと思いますが、きょうは第1回とい うことで、かなり遠慮なされて精選なされたのだと思いますけれども、その上でお願い があるのですが、例えば資料3の子供の変化の部分については、肥満または思春期やせ ということがありますが、むしろ厚労省さんの行政の中で非常に深刻化するのは、生活 習慣病やアレルギーにかかわること、一昨年もアレルギー剤の医療費だけで3兆円くら いかかっていますね。そういったことが子供の世界にどれだけの影響を及ぼしているの か、実際にそういった子供たちがどういうふうになっているのかということがわかれば ありがたいというふうに思っております。  それから2ページ目ですが、自分の体験についてということでいろいろと書かれてお りますけれども、これは大切なことだと思うのですが、こういった、例えば自分がもっ とやせたいと思っているような子供に、自分自身として基本的な生活習慣を直そうとし ているのか、ないしはどんな生活習慣をしているのか、それから食生活を自分できちん と改善していこうということに対して意欲を持っているのか、持っていないのか、そう いったクロス集計といいますか、そういったデータがあるとありがたいと思います。  さまざまなデータ表や世論調査表を見させていただいているのですが、そこに踏み込 んで、実際に今いろいろな悩みを抱えている子供たちが、次にどういうアクションをと ろうとしているのかというところの数値が見えてこないのが、今までの悲しいところか と思っております。  続けて4ページ目でございます。これは農水省さんなどが非常に細かい資料をつくっ ておりますので、これも参考にすればいいかというふうに思っておりますが、実は家族 そろって夕食をとる頻度などがいろいろなところに出ておりますけれども、先ほどから もインスタント食品などのお話も出ておりますが、何を食べているのかということがあ った方がいいのだろうと思います。そして、おふくろの味が袋の味になって既に20年た っているわけですから、どんなものをちゃんと用意しているかとか、そういったことが あるといいと思います。  それからおやつの与え方ですが、これは農水省さんのデータで、私は非常に深刻に受 けとめておりますが、日本人が1年間に消費する米の購入代金が、一昨年のデータでは 4万2千円であります。これに対してスナック類の購入代金が平均して8万7千円になっ ています。このスナック類と米の購入代金の変化が起こったのは1987年ですが、このと きに日本人は、米よりもスナック菓子類を食う方に手を出すような、そういった消費行 動になっているということです。  本日の検討会では非常に大きな問題がたくさんあるのですが、今どうやって真っ当な 消費者、子供たちや保護者を育てていったらいいかという、本格的な消費者教育の時代 を迎えているのであろうというふうに思うのであります。そういった意味では厚生労働 省さんのやれる仕事というのは非常に多くあるだろうというふうに思っております。  ほかにもいろいろとあるわけですが、この問題はそのくらいでとめておきまして、何 が言いたいのかということですが、実は私はこういった子供たちの食の健全育成という のは、結局、私たちの中に、食べるという行為そのものが、命を食らうということと、 それらを私たち自身は食べやすい形にして、つまり農民やフードビジネスにかかわる多 くの方々、そして調理をする人たちがさまざまなかかわりを持って汗を流した結果を私 たちがいただくということ、先ほども、いただきます、ありがとうございます、ごちそ うさまというあいさつのお話がありましたけれども、そのことを私たちの基本理念とし てもう1回再生できるのかどうかというふうに考えてございます。  食べるということ、食生活にかかわるということは、実は極めてプライベートな分野 にかかります。しかも子育てというのは、本来は公教育の概念から申しましても、法的 な概念から申しましても、本来は親権であります。それを共同体行為に委託するという 中でやっていることでありますけれども、しかし例えばもう既に厚生労働省さんなどが 十分に分析しておられるように、日本という国家社会は、もう既に家庭や地域の子育て 機能、つまり子供の養育機能に関する機能不全が始まってから20年たっているわけです 。それを元祖切れる世代と私は呼んでおりますけれども、20年前に荒れる中学生が出現 したわけです。そしてそのときに私もいろいろと調査をさせていただいたのですが、東 大の学生の中にも、四本足の鶏をかく子供が3割くらいいました。それから茨城県の日 立のあたりの小学生たちにいろいろな調査をやったときにも、お魚さんはパックで泳い でいると言って譲らない子供がいたわけでございまして、非常に大変でした。  つまり生き物の現場と私たちの乖離減少が非常に激しくなっている。そして自分自身 が生きているという実感を持てない。私はこれを自己家畜化、ないしは自己ペット化と 呼びますけれども、そういう子供たちが20年前に出現した。つまり逆に言いますと、現 在の20代から30代後半までの世代というのは、その人たちだということの深刻さをどう 克服するかということが最大の問題というふうに思っております。  そこで何ができるかというと、つまり20世紀的な社会システムの問題に食い込まざる を得ない。  きょうは余り大げさなことは言いませんが、私が岩手県や東北でずっとやってきたこ とは、スローライフ、スローフード。それから武部大臣や前の玉沢さんにも随分と言い ましたけれども、これは身土不二、農都不二、農と都市を分離せずに、そして健全な地 域社会をつくることが健全な子供たちの育成につながるということを言ってまいりまし た。  ことしの7月から私は何をするかと申しますと、岩手県では食育専門官をつくること になりました。東北地方では栄養士を栄養教諭とする、そして地域社会の中で学校をひ とつの核にいたしますけれども、保健所その他の方々といろいろと手を組みながら、食 文化を伝えるための栄養教諭態勢をつくり上げていくということでございます。  ここにはオール地場産学校給食の実践その他もございますけれども、この点につきま しては、私は愛知県や茨城県などにも随分と行かせていただいておりますが、私は今言 った3点を基本的な関心として抱いております。よろしくお願いいたします。 村田座長  ありがとうございました。それでは続きまして星委員、よろしくお願いいたします。 星委員  私は脚本家として幼児番組の制作に係わってきた経験から、子供の視点で食育を考え てみたいと思っています。今から28年くらい前に某食品メーカーのTVコマーシャルで 、「僕、食べる人。私、つくる人。」というコマーシャルがありました。料理を作るの は女性であるという不平等な表現からいろいろと議論の呼びましたが、そんな時代から さらに15年ほどたって、子供料理の草分け番組として「ひとりでできるもん!」がスタ ートしました。  番組をスタートさせるにあたっては、「子どもに料理をさせてもいいのか?」「包丁 を使わせても怪我はしないか?」「コンロの火で火事にはならないか?」などのさまざ まな意見の中で何とかそれらの問題を解決しながら、子どもに「できた!」という自信 を持たせる番組を作って行こうと苦心を重ねてきました。  先に申しましたように、そもそもこの番組は、子供に料理をつくらせることが目的で はなく、「子供のできることを増やしていこう!」という考えから出発しています。当 初、工作などから始まり、水泳・自転車乗り・家の手伝いから修繕に至るまで子供ので きることはいろいろありそうに思われました。しかし、子供の身近にあり、多くの発見 がある場所は家庭のキッチンでした。  キッチンには、火や水、刃物などの道具の発見があります。それらの発見を駆使して 料理を作り、それを食べることで満足感と達成感も味わえる。料理を作ることが子ども のやってみたいという気持ちの一番近いところにあったのです。  子どもに料理をさせるにあたり、例えば、包丁の使い方の問題に対しては「ねこの手 」という安全な手の形、これを子供ハウツーと呼んでいますが、子どもハウツーを考案 することもひとつの解決策でした。親が子どもに教える場合でも、最小限の言葉なりヒ ントなりを与えることで子どもが自分自身で考え、自発的に行動していくという流れを 作ることが大切かと思います。  子どもを取り巻く料理環境もどんどん変わってきたように感じます。番組をスタート させた当初は子ども料理というと特殊なジャンルとして受け止められていましたが、今 では、子どもにとっての料理は、自転車に乗れる、鉄棒ができる、水泳ができるという ことと同次元で、たくさんの趣味のひとつにすぎない位にあたりまえのことになってき たと思います。  このような子供料理の環境は、食育を進める上でもとても役に立つのではないかとい う気がしております。  昔の子供たちと現代の子供たちでは、行動や考え方もどんどん変化してきているよう に感じます。いろいろな資料を見ますと、「今どきの子供たち」というようなタイトル が付けられ、現代の子供たちの悪いところばかりが指摘されています。しかし、その反 面、とても良いところもあるということをわかっていただきたいと思います。  例えば、わがままであったり、自己中心的であったり、モラルが低い、公共マナーに 欠けるということを言われますが、その反面、好きなことにはとても一生懸命になる。 それに、はっきりと自分の意見を言えたり、自分に不利益なことでもストレートに意見 を言えたり、自由奔放でやわらかい考え方ができるというような、いいところがありま す。  また、集団でしか行動できないとか、1人では何もできない、たくましさがないとい うようなことも言われますが、今の子どもたちは大人が理解できないようなネットワー クを持っていて、自分にないものを子供同士で補い、何か困難な問題が持ち上がったと きに協力して解決していくという特技を持っています。  それは子どもであることの共通点から生まれる自然な仲間意識で、損得を排除した子 供ならではの活力があり、大人が苦手とする横との強いつながりの証でもあります。  それから、あいさつができない、自分の意思を上手に伝えられない、感情表現が乏し いとも言われますが、それは、大人とは意思の伝達方法がまるで違っていることも影響 していると思います。  例えば、大人が絵文字を見ても、記号化された図形以上のものは感じられませんが 、子供たちは、漫画や文字とを組み合わせることで、言葉以上に雄弁に気持ちや意思を 伝えることができます。反対に大人が行っているようなあいさつや礼儀、マナーという のは、形だけのものと受け取っているためか、かっこ悪い大人の行為だと思っていま す。  今の子は、大人びている、成長が早いとも言われます。これは一見いいようにも聞こ えますが、実際は体験不足や情報過多によって、ケンカさえ満足にできず、子供のケン カが大事故を引き起こしてしまう事態になることも多々あります。他にも現代の子ども たちの特長例はたくさんありますが、時間がかかるのでこの位にしておきます。  私は、これから我々が考えていく食育に関するメッセージをどこまで子供に伝えられ るかが大切なポイントになるのではないか、という気がします。  企画書にまとめられたことを、実際に子どもたちのステージまで降ろして、どんな言 葉で語りかけ、どんな姿勢で相対していったら良いかということを少しずつ考えていき たいと思っています。以上です。 村田座長  ありがとうございました。それでは続きまして御園委員にお願いします。 御園委員  共働き世帯の増加や核家族化など子どもをめぐる社会環境の変化を背景にして、保育 園でも食をめぐる保護者の認識や行動も変化しています。例えば延長保育では、朝の7 時から夜の8時まで、開園していますが夜、8時までの延長保育には、どうしても軽食 を提供しなければいけないという思いで、保護者の方と相談をして、軽食を出すように いたしました。その軽食では子供の一日に必要な栄養量として足りない分を、夕食とし て補って下さいという実行しやすいアドバイスをするようにしています。そのことでお 母さん達はとても気持ちが楽になりますと話をされます。また食卓を囲んだ家族団らん なども減少しています。保育園では、食事はランチルームで食べているのですが、子供 たちは実に楽しそうに食べております。これが家庭でもできたらいいのにと思うのです が、保育園でこういう経験をしていれば、家族や友達と一緒に食べることが楽しいとい うことは、原体験として子供の心の中に残っていくと思っております。  また、食を通した実体験を大切にしています。出来るだけ本物の食品、食材を使用し たり菜園で野菜の栽培もしておりますが、先日、ことし入園した子どもが、先生、大変 、ナスが外れちゃったと言ってナスを持ってきました。ナスが落ちていたのを外れてい たという言葉を使っていました。始めてみたことを素直に話してくれました。  先日、天気の良いときに小遠足へ行きたかったので、お弁当をお願いいたしました。 お母さんたちは皆さんつくってきてくださったのですが、その中に缶詰を二つ持ってき た子どもがいました。とても合理的だと思ったのですが、栄養士と相談をしまして、子 どもが喜ぶようにアレンジしてもらいました。保育園の容器に園庭のトマトも入れて、 きれいに作り、それをデジカメで撮って、お母さん缶詰を、こういうふうにさせていた だきました、とお話をしましたら、お母さんはすごく喜んでくださいました。  食は家庭生活そのものが見えてきます。保護者との連携をあせらず良い関係をつくり 、そしてサポートしていくことが、将来に向けた正しい食生活習慣形成も保育園の食育 に求められる大切な役割の一つであると思います。  きのうの朝、子どもが口を押さえて走ってきて、先生、口が変になったと言いますの で、どうしたのと聞くと、保育園の庭に田植グミというものがあるのですが、これは青 いうちは渋いんですがそれを食べてしまって、何か変だと言うので、それは渋いという のよ、と担任が教えていました。そういった渋いという言葉も、私たちが言葉で幾ら教 えようとしても伝わらないことです。  今の子どもたちは、パソコンも動かせます。例えば泥だんごをつくっていて、つくり 方がわからないと、泥だんごの上手なつくり方の情報をちゃんとパソコンで出すことが 出来ます。  食育については、今の子どもと保護者の現状を受けとめて、相手のレベルに合わせた 現状認識をし、なにを、どんな形で、どんなときに、どのような方法で食べるのがよい のか、どうして食べなくてはいけないのかを伝えていきたいと思っております。まとま りませんが以上でございます。 村田座長  ありがとうございました。それでは渡辺委員、よろしくお願いします。 渡辺委員  渡辺でございます。おくれまして本当に申しわけありません。私は慶応の小児科の外 来と入院治療を10年間取り組んでいる小児精神保健医です。小児精神科医ですが、恐ら く世界で初めて、小児科の真ん中で、フルタイムの精神科出身の小児科医が活動してい る所だと思います。  小児の現場では今、体のことも問題ですけれども、体にあらわれている症状の多くの 要因が、脳腫瘍や心疾患という、いわば古典的な病気ではなく、社会病です。その中で 非常にふえている例が肥満とやせです。  肥満は男の子に多く、やせは女の子に多いということは今、専門官の方からきれいな 御報告をいただきましたけれども、小児科の現場でも食をめぐる問題が非常に深刻な問 題となっております。  私自身は厚生科学研究で、思春期やせ症の予防と早期発見のための対策の研究をさせ ていただきましたけれども、実際には神経性食指不振症の治療に取り組みまして、臨床 経験全体は30年なのですが、そのうちの28年間を、いわば拒食症と呼ばれている神経性 食指不振症の子供たちに取り組み続けております。これは一度なりますと、一生の病気 です。しかも次の世代にも伝わります。  加藤先生がおっしゃったように、拒食症は心の病気を、食べないという形で体に八つ 当たりをして体を壊し、それがおもしろくなってしまってやめられないという病気で、 実は心から発していながら体を壊すという身体病です。  ですから一たん拒食症という診断が出てきた段階で、心、心と言ってもだめであって 、体のリズムを直し、食べるという行為をもう一度リハビリテーションしなければいけ ない。それももちろん口に入れて飲み込むというところからやるわけですが、飲み込ん でも消化できない胃腸であったり、消化できない臓器であったりしますので、本当にそ こからやらなければいけません。  私はきょうのこの食育の会に出させていただきまして、本当に感謝しております。と いうのは、やはり28年間もやってまいりまして、だんだんふえている感じがありますの で、これは単に小児科医や精神科医が頑張ってもだめだ、やはり食べるという問題は、 国民全体で、そして社会のいろいろな分野の先生方から、もう一度改めてお知恵を拝借 して、診療現場で再構成する必要があると思います。  先ほど専門官の先生が報告されていらっしゃいますのを伺いまして、とてもうれしか ったのは、食というものを部分としての食ではなく、生活全体に位置づけて、さまざま な生きる営みと連動していると位置づけているということです。ミクロのレベルあるい は生理的なレベルでは食べ物というものですけれども、もっと社会的な、忙しさといっ たことや、稼いでいかなければ妻子を養えないという人たちもいるわけですから、そう いった連動の中で起きているということが、きょうの会の最初で強調されていまして、 私はすごくうれしく思いました。  日本は戦後の本当に食べ物のない時代からここまで来て、今は食べ物があるのに食べ てくれない女の子たちがいて困っているわけです。しかも、その子供たちの体だけを治 しても、心を治さなければ、その子たちが母親になったときに、自分の赤ちゃんに食べ させることができません。  私が今、取り組んでいる、かつて拒食症だったお母さんたちですが、今は離乳食にと らわれてしまって、離乳食をどのようにすりつぶすかに一日じゅう夢中で、子供はほっ たらかしです。そのことにとらわれて、完璧にやりたくて仕方がない、完璧にやらなく ては気が済まないんです。その気が済まないという不安定な気持ちを、もっとちゃんと 、まあいいかといった、ほどよいアバウトな自然のバランスにしていくまでの治療は、 実は5年、10年かかるのですが、そこをやってもらってない人が母親になったときに、 明らかに私の目の前で子供の離乳食の問題でカッとなっていまして、そして赤ちゃんは そういうお母さんを緊張して見ていますので、お母さんと赤ちゃんの関係はまずくなっ ているわけです。  つまりお母さんは世界一の離乳食を食べさせようと思っていても、お母さんが気づい ていない間に、赤ちゃんとお母さんの関係がまずくなっていて、子供はそのまずい環境 で食べているという皮肉な状況です。しかし、御本人は一生懸命やっていますのでだれ も責められない。  そのときにどうやって治療的なアプローチをするのかというと、その心意気をすごく 喜んであげまして、すばらしい意欲だ、それだけの気持ちで十分だから、あとは缶詰を 使ってもいいから赤ちゃんと遊びましょう、二度とない時間だからというふうに、信頼 関係をつくって少し広げてあげるということを、さりげなくやらなければいけないとい う状況があるわけです。  これは一度かかってしまったら生涯の病気ですから、防ぎたいのですが、それを防ぐ ことは可能だと思います。どのように可能かというと、子供たちのストレス、見捨てら れるという不安、それらをともかく食べないという表現に持っていってはいけないとい うことをよく浸透させることです。その浸透で一番大事なのは、やはり家庭とお昼の給 食のある学校現場だと思います。  私も食べさせるために28年間必死にバトルをしてきましたけれども、最終的に今、若 い医者たちと一緒にやっていることは、これは私が言ったことではなく若い2年医の医 者が言ったのですが、どうしても食べてくれなかった子が食べてくれるようになったと きに、その2年医に1年医の後輩がどうやって食べさせたのかと聞きましたら、真心だ よと答えました。しかも、そう言った小児科医は決して小児摂食障害なんてやりたくな いわけです。将来、自分は遺伝学をやりたい。だけれども私の研修は、ともにいい感じ で寄り添ってあげなければだめだということなので、その子供の担当をした人はどんな に忙しくても必ず一緒に食べる、それなくしては治らない、あとの難しいことはいいん だと。あえて例えてみれば、拒食症になった子供たちというのは冷凍卵で、あなたが冷 凍卵を温めて、温まってきたら中からひながよみがえって、そこから自分で殻を破って いくところまで、あなたが温めなくてはいけない、というようなことを徹底して言って いまして、それは私が余り強く言ってもだめなので、彼を包むように言っていて、彼は うまくできなくても真心さえあればいいというようになってきまして、そのようにして1 0年間やってきたのですが、そういった28年間のバトルの中で行き着いたところは、やは り食という字そのものが示していることだと思います。  食という字は上に傘があります。これは支え合っているという意味の人という字にも 似ていますし、屋根にも似ています。そして、その下によい関係がなくてはいけない。 居心地のよさがなければいけない。いいな、という感じでなければ、拒食症は治せませ ん。  ですから私は、拒食症の子供たちとバトルしてきた自分の人生はむだだったかと思う こともあるのですが、この子たちが教えてくれるのは非常に単純な原点です。  つまり、ともにいい感じで向き合って、お母さんも一緒に座るし、お父さんも座って 、おいしいねと言って、そして特にお父さんがお母さんに、きょうのハンバーグは特別 おいしいなというようなことを一言言わないと、やはり食卓はだめです。  そういう感じのところが昔は恐らくあったのだと思います。農作業をして帰ってきて 、みんなでお芋をふかして分かち合ったときに、きょうのお芋はおいしいねという、そ このところがないのだろうと思います。  それは、ある意味では非常に高等なことだと思います。食事を用意した人が、さあ、 御飯だよと言ったときに、その指揮者がタクトを振ることによってほかの人が初めて操 られるのではなく、みんなが十分に心をひとつにしていて、調和して、ともに生きると いうところを子供たちに見せていく。子供たちに体で食べさせていくということが、食 事の場面の持つひとつの象徴的な機能だと思います。私はまず大人が、こういう社会に してしまったことを反省して、みずからがそれをやらなければいけないと思います。  きょうはたまたま岩手から出てきている先生もいらっしゃいますが、先生のお話を聞 きながら思ったのですが、私はいつも早朝に起きます。きょうは5時に起きて庭に出ま した。今は梅の木に実がなっていますが、ことしはゴルフボール以上に大きな梅がなっ ています。私は背が低いですし、枝は高いですから、3メートルくらい上から実が落ち てくるのを待っているわけです。私は毎朝見ているのですが、夜中のうちに落ちるわけ ですから、見ている間は落ちません。ですから、あの実はまだ落ちないなと思いながら 下に落ちているのを拾うわけです。しかし拾ってみると、私より先に虫がおいしい実を 知っていて、きれいに穴をあけて食べています。それを見ると、負けたという感じで、 私は仕方なく、余り穴があいていない実を拾って、梅酒をつくっています。  やはり虫は楽しく食べるということを知っていると思います。穴をあけて、梅のにお いに包まれながら楽しく食べたんだろうなと思うと、悔しいと思います。  少なくとも、1日に1回、週に1回でもいいから、家族が本当にともに生きていてい いなと思える食べ方をする。  私どもは病院ですので、病院で1人の子供と出会いましても、その子が退院していく と二度と出会いません。しかし、この子と過ごした時間は私にとって宝だというような 感じの食事介助をしましょうというふうに言っています。  ですから幼稚園や教育現場でもそうだと思うのですが、私どもが人間としての豊かさ をもう一度再現して、そして若い、苦労をしているお父さんやお母さんたちをいくらで も応援していくという流れの中で、自然体の中で食文化はよみがえっていかないと難し いのではないかと思います。 村田座長  ありがとうございました。この1、2、3については、きょうはまとめをしなければ いけないと思っているのですが、あとで2の2項目の発育段階をどのように考えるかと いうことを少し考えさせていただきたいというか、私なりの意見を述べて、時間の関係 もありますが、場合によっては皆さんの意見もお聞かせいただきたいと思うのですが、 全体的に皆さんのお話を伺っておりまして、これは月並みな言葉ですので、もう少しキ ャッチフレーズとしていい言葉を見つけていただきたいのですが、楽しい食事というの がひとつの大きな核になると思います。そうしますと、きょうの検討項目の1というの は、なぜ今、楽しい食事になっていないのかという観点をいろいろと分析していただけ ればいいのではないか。  それから2の1につきましては、先ほど大枠でくくりましたが、楽しい食事というこ とでいいのではないか。  それから第3には、やはり楽しむということで、食事を楽しむということが、子供の 心と体にどのようなかかわり合いを持っていて、それをよりよい方向に持っていくため にはどのような対応をしていけばいいのか、そのためには子供たちが実際にそういった ことができる、要するに自分たちで楽しい食事に深くかかわりを持ちながら、心と体の 状態がよりよい方向にいくための具体的な方策といったことを考えればいいのではない か。  そしてもう一つの面として、渡辺委員が今お話ししてくださいましたけれども、食の ずれといいますか、代表的なものとして、食事とやせの問題があって、やせの問題は必 ずしも神経性食欲不振症といわれている問題に限らず、全般的な問題があって、ですか ら全体としてはやはり楽しい食事といったものから子供たちがずれた現象として起こし ているものは何なのかという形で、皆様方の考え方といったものを今後いろいろとお聞 かせいただければいいのではないか。  皆さんがおっしゃったことの中に、楽しいという言葉が出てこなかったことはないよ うに拝聴をしておりましたが、そのようなことで、これは別に結論ではないわけですけ れども、また後で、今申し上げたことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思い ます。  子供といいますのは、胎児の段階から乳幼児、それから一般的には学童期、思春期と いうようなわけ方がございますが、これをきっちり分けろと言われても非常に難しい問 題があるのですけれども、しかし発育・発達段階に応じた対応ということも必要ではな いかというふうに思っておりまして、例として挙げておりますが、乳児期、幼児期、学 童期、思春期といったことについて、発育・発達区分についてお考えのある先生はいら っしゃいますでしょうか。 加藤委員  例えば、平成7年に離乳の基本が変わりまして、離乳を完了するのは1歳でなくても よくて、もうちょっと余裕が出てきていると思いますので、1歳というところで完全に 食を分断するのではなく、1歳半や2歳など、その辺はぼかしながらつなげていくとい うような年齢区分も必要かという気がいたしますが、いかがでしょうか。 村田座長  今おっしゃったことを私なりに理解いたしますと、児童福祉法やいろいろな基準では 、乳児というのは1歳未満というふうに、はっきりとした決めがあるわけですね。幼児 につきましても同じような決めがございまして、学童期、思春期というのは少年という くくりでまとめてあるわけですが、そういう一般通念といったものではなく、もう少し 実態に即した考え方をしていかないと、定義や概念があるものですから、乳児期と言っ たりすると、ああ、1歳までか、とお考えになる方もあるし、もっと広がりを持ってお 考えになる方もあるといったことでしょうか。 加藤委員  はい。 村田座長  はい。足立先生、どうぞ。 足立委員  そういったことについて、もう一方で、支援ネットワークの質の違いのようなことも 考慮に入れて考えていかなくてはいけないと思いますので、この辺は一度しっかりと議 論をする方がいいのではないかという感じがします。体と心の発達・発育に視点を置い た場合の区分と、それから、きょうの検討課題全体から見て、最終的には支援ネットワ ークを考えていくところまで考えたときに、どういう区分がいいかという議論が必要な 気がします。 村田座長  ほかに御意見はございませんでしょうか。考えようによりますと、具体的な問題を考 えていくときには具体的な対応を考えなくてはいけないわけですから、こういった区分 というのはおのずとできてくるので、最初から区分をつくって、これに対してはこうし ようというのは、考え方としては逆さなのかもしれない。このような発育・発達に応じ た対応というのは、話が進むに従っておのずとでき上がってくるという考えもございま すね。ほかに御意見はございませんでしょうか。  各委員が言われたこと、足立委員が言われたことを含めまして、このことだけを取り 上げて、乳児期とは、という議論を進めてみても余り意味がないので、基本的な問題点 が浮かび上がったときに、どのように対応していかなければいけないか、そういった段 階でおのずと、こういう時期にはこういう時期というものが浮かび上がってきますね。 だとしますと、この際は改めて軸にこだわって議論をするということは避けておきまし て、足立委員が言われたように、改めてこのことについては考え直さなければいけない というのは、そういう立場で考え直せば、問題はおのずと解決するかというふうに理解 します。  残りの時間がもうごくわずかですので、私なりに勝手なまとめをしたのですが、キャ ッチフレーズとしてはこれからいろいろとお考えをいただくとしても、楽しい食事とい うものを中心において、課題1については、どうして今の食事が楽しいものになってい ないのかという観点から、いろいろな問題を具体的に分析していって、そして子供たち 自身が、自分たちの力で楽しい食事をするようになっていくにはどうしたらいいのかと いうことが、第3の課題になるかと思います。そういったことをこの会の最終的な、先 ほどアウトカムというような言葉が出てきましたが、そういった実りあるものにしてい ければと思います。  結局、大きなねらい2の1の段階では、各時期を通じてどのようなねらいを目標にす るかということでは、大きな主題であるのは楽しい食事ということで、楽しい食事とい う言葉でいいのかどうかということについては、最終的には、内容をわかりやすく、か つ皆さんになじんでいただけて、説得力のあるような言葉に変えていければ大変ありが たいと思っております。  12時までに残り2分を切ってしまいましたが、各委員の中で言い残したことや発言は ありますか。 足立委員  きょうはどちらかといえば親子の関係で話が進んだのですが、高齢者を含めた家族と いう視野を持っていく必要があると思っています。元気高齢者が世の中でかなりたくさ ん活躍できる状態にありますので、1のところの親子のかかわりというところを、その ようなすそ野を持った形で議論が進むとよろしいかと思います。よろしくお願いいたし ます。 村田座長  ありがとうございました。家族という言葉の考え方やアプローチの仕方も大変難しい 問題を含んでおりまして、家族という言葉を聞いたときに、それぞれ頭の中で思い浮か べる情景が、恐らく今はかなり違ってきているのではないかというふうに思ったりして おりまして、今の視点は大変重要ではないかというふうに思いますが、そのほかにどう しても御発言したいという委員の方はいらっしゃいますでしょうか。  特別に御発言がないようでしたら、先ほど申し上げましたように、特に1の課題の、 なぜ今の子供たちは楽しい食事になっていないのかという具体的な資料や、あるいは事 務局の方から3でお示しになりましたけれども、我々はこういうことをやっているとい った御経験や資料といったものがありましたら、ぜひ事務局の方へお送りいただきたい と思います。それをまた事務局の方でおまとめいただいて、皆様方にお示しできれば、 会の進行もよりスムースに進むのではないかというふうに理解いたします。  それでは事務局の方から次回の開催予定日等につきまして御説明をいただけますでし ょうか。 石井母子保健課長補佐  事前に委員の先生方に日程をお尋ねしておりましたところですが、次回の開催は7月 の29日火曜日になります。時間は14時から16時、場所は霞ヶ関経済産業省別館2でござ いますが、これは共同の会議室でございまして、10階の1012会議室で開催する予定をし ております。  正式な御案内は追って差し上げることになります。以上でございます。よろしくお願 いいたします。 村田座長  各委員の先生方のお話を聞いておりまして、この検討会が大変実りあるものになるの ではないかという、うれしい気持ちでおります。私が喜ぶのではなく、子供が喜んでく れなくては困りますが、おかげさまで大体時間どおりに進ませていただきました。御協 力ありがとうございました。それでは本日の会をこれで終わらせていただきます。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課     03−5253−1111(代)     河野(内線:7934)     佐久間(内線:7936)