03/06/17 不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会第19回議事録       不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第19回)議事録 1 日時   平成15年6月17日(火) 9:30〜11:30 2 場所   専用第13会議室(厚生労働省5階) 3 出席者 (1) 委員(五十音順、◎は座長)   (1)伊藤 眞(東京大学大学院法学政治学研究科教授)   (2)小幡純子(上智大学法学部教授)   (3)菊池信男(弁護士)  ◎(4)諏訪康雄(法政大学社会学部教授)   (5)村中孝史(京都大学大学院法学研究科教授)   (6)山川隆一(筑波大学社会科学系教授) (2)行政    青木審議官、熊谷労政担当参事官、中原調査官、    山嵜中労委事務局審査第一課長、松本参事官補佐 4 議事 ○ ただいまから「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会」の第19回会合を開 催する。本日は都合により毛塚委員、岩村委員が欠席である。また小幡委員は少々遅れ て出席とのことである。  本日のテーマであるが、引き続き各論の具体的検討を行いたいと考えている。前回、 前々回と「審査手続の改善」についての議論をお願いした。そこで本日は「審査体制の 改善」についての議論で、続きをお願いしたいと思う。  前回までと同様、手元に議論の参考となる資料が配布されているので、最初に事務局 から説明をいただいた上で、皆さんと検討したい。よろしくお願いする。 (事務局から資料No.1-1からNo.2-3についての説明。) ○ それでは、最初に今説明いただいたものについて、何か質問、疑義があるだろう か。よろしいだろうか。では、中身に入らせていただく。もうご覧になってお分かりの ように、二系列のテーマである。1つが審査体制の充実強化ということであり、他方が 地労委に対する規制緩和という、こうした二点である。順番にそれぞれ40〜50分ずつ御 議論いただこうと思うので、最初に論点1の「審査体制の充実強化」という問題につい て御議論、御意見いただこうと思う。よろしくお願いする。 ○ 公益委員の常勤化ということを少し議論してきたわけであるが、常勤化をする場 合、全員を常勤化するというのと、一部をするというのがあると思うが、お配りいただ いた資料によると、公正取引委員会というのは全員が常勤であるというタイプで、公害 等調整委員会というのは、これは半分強… ○ 7人のうち4人が常勤で3人が非常勤であるので、半分強ということである。 ○ その実態が分かれば教えていただきたいのであるが、常勤と非常勤が混じったとき の仕事のやり方というか、分担というか、どういう感じでされるのかというのが、イメ ージが少しつかめない。例えば、常勤ということであると、ずっといて仕事をしている わけで、そうすると相当の事務量をこなすことが出来ると。そうすると、労働委員会で もし公益委員が常勤化されると、その人は自分で命令書を書くかも知れない。ところ が、非常勤の方は、担当事件数が少ないと言っても、命令書を一から自分で書くという ことになると相当しんどいのではなかろうかと思う。そうすると、常勤の人と非常勤の 人が対応するときに、事件によって、ある命令書は委員が書いていると。あるいはある 命令書は事務局が書いて、それに目を通していると。そういう一種のアンバランスみた いなものが生じて、その点、それはそれとして問題がなければ良いのであるが、何か問 題が出てくる気がしないのかというのが一点ある。その辺りで、公害等調整委員会とい うのはどういうふうにされているのか、分かれば教えていただきたいと思う。 ○ 公害等調整委員会は、うかがっているところでは、対象となる事件数のそう多い委 員会ではないところであるが、基本的に裁定案については、事務局の審査官が書くとい う形で、審査官の中に法曹資格を有する方、裁判所から来ている方がいて、その方々が 書かれるケースが一般的であるようである。常勤の委員は書いていて、非常勤の委員は 書いていないとか、そういうことではないということである。聞いているところでは、 常勤と非常勤で役割に差はないということである。 ○ いろいろな場合があると思うが、ここに挙がっている例ではないが、この頃は情報 公開審査会とか、ここには挙がっていないが、公健法の補償の審査会というのがあっ て、私はそれには入っているのであるが、あれは皆常勤、非常勤があって、たぶん労働 委員会とシステムが違うのは、小委員会制である。つまり、大体3人一組で一事件であ る。情報公開審査会もそうで、今4部会になったが、それぞれの1部会ごとに常勤1 人、非常勤2人の構成になっている。情報公開審査会の場合は、書くのは事務局なの で、そういう意味での分担というのはないわけであるが、情報公開審査会の場合、国に 1つあるわけで、地方に行って口頭で話を聞くなどというときは、非常勤がなかなか対 応出来ないので、常勤の委員が1人で出かけていって、地方の在住者の意見陳述等を聞 いてくるというふうな役割分担はしている。公健法の補償審査会の方は、常勤が4人で 非常勤が2人であるが、あの場合は自分で書いていて、大体常勤2人、非常勤1人とい う3人構成で1つの組織にするので、別に非常勤が書いても良いわけであるが、通常の 場合は常勤の方が余裕があるので、常勤の方が書いているのが普通である。労働委員会 のように、1人体制となって、例えば常勤、例えば非常勤ということになるのがどうな のかというと、ちょっとあまり例がないのかなという感じがする。 ○ 小委員会方式とセットでという。 ○ そういうのが普通である。ただ、今までの例がそうだというだけであって、他のは 全部違うというわけではないと思う。 ○ 今の情報公開審査会の後の話で、公健法というのは成年後見法であろうか。 ○ そうではなく、公害健康被害補償法に基づく… ○ 失礼した。その場合の小委員会方式というのは、固定的な委員会なのか、それとも 事件に合わせてそのつど構成するのか。 ○ 情報公開審査会の場合は固定である。第1部会、第2部会、第3部会と大体省庁ご とに分かれている。しかし、公害健康被害の方は、事件ごとにいろいろな3人が、事件 ごとにこのグループ、事件ごとにこのグループと、事件ごとに組み合わせが違ったよう な形で運用している。 ○ その場合、ヒアリングというか、いわゆる意見陳述については3人ないし複数のパ ネルが担当するということで、全て小委員会で最後まで行くということか。 ○ そうである。最後の裁決まで小委員会でやる。 ○ ついでに事務局におうかがいしたいのであるが、特許というのは、当然そのジャン ルに合わせて合議体を組むということになっているのであるが、公調委と海難審判庁の ような場合も、小委員会のような形で担当すると思うが、これは固定的な、例えば最高 裁の小法廷のような人選なのか、あるいはケースバイケースで作っている小委員会なの か。 ○ 公害の方は事案によってメンバーが変わるというように聞いている。こちらははっ きりしないが、たぶん高等海難審判庁の方も全体が9人で5人ずつで組むので、たぶん 事件ごとに組み合わせを決めていると思う。 ○ 都労委のような事件の多いところで、3人1組の委員会にしてしまったら、それは 動きが取れなくなる可能性があるのではないか。 ○ そう思う。 ○ つまり、委員数を増やさないままにやったとしたらということで。 ○ 今の体制で行くと、常勤委員はたくさん事件を抱えるということになるかも知れな い。非常勤と比べると、事件数の割当てが…  例えば、何人常勤がいるか分からないが、合議のときに小委員会方式を使うという可 能性はあって、常勤が1人加わった形での小委員会の合議という可能性はあるかも知れ ない。 ○ 小委員会方式で、1人は常勤、他の2人は非常勤ということになると、他の2人は どうしても参与委員的になってしまわないか。常勤の人は非常に良く分かっていて、議 論をリードして、他の人は特に何かなければまあまあということになるのではないか。 ○ 情報公開の場合はそうでもない。あそこは大体学者は皆非常勤である。 ○ 論客が多いということであろうか。 ○ むしろ、常勤はまとめ役のような感じなのではないか。 ○ もう1つ良いか。あまり次元の高い話ではないが、労働委員会の非常勤の委員とい うのは、給与から言うと比較的高い。財政負担との関係で言うと、常勤化とか一部常勤 化と言ったときに、当然委員の数を減らすことを前提にしているのか、今までの議論の 中ではそこはどうなのであろうか。私は何となく減らすことが前提になっていないと、 到底理解が得られないように思うのであるが。 ○ つまり、常勤が1人3人前で働けば、非常勤の人が2人減るという、そんなふうな 計算になるかどうかということである。そうすると、定員を5とか7とか固定的にやっ ている今のやり方を柔軟化しておかないと、とてもではないがやれないだろうという。 ○ 非常勤の負担を減らしてお金を安くする。そしてそれを常勤に回すという、そうい う可能性もある。 ○ しかし、いずれにしても、常勤を入れれば人件費総額はかなり上がるだろう。いろ いろな保険その他のコストを入れていくと、常勤というのは非常勤と比べて随分大きく なる。そうすると、我々はこれまでの議論では、常勤は是非必要だ、やるべきだという ふうに言ってきたわけであるが、この段階で最終報告を考えるとなると、入れるとした らどんなやり方で入れたら良いのかという、そしてその常勤の方に持ち味を生かしてい ただいて、かつ非常勤とうまく連携を取るにはどんな工夫が必要なのかという詰めがま だ要るということである。そこで、何かさらにご示唆があればお願いしたい。例えば情 報公開審査会を例に取っていただくと、仮にそこのように3人制でやったりすると、ど ういうふうになるのであろうか。都労委がこういうふうに3人制でやったとするとどう かを、ちょっとシミュレーションしてみると。 ○ 情報公開審査会は、何しろそれぞれの部会が週1回必ずやっていて、しかも2時間 で終わらないというような、かなり非常勤でも任務がきつい。件数が多いので。地方の 情報公開審査会というのは、大体皆非常勤である。月1ぐらいでゆっくりやっている。 東京都の情報公開審査会は部会を3つ持っていて、それぞれ部会ごとにやっているが。 だから、確かに地方の常勤化というのは予算的にもきついのではないかと思う。中労委 は今でも置けるようにはなっていると思う。 ○ 法律上は2人以内である。 ○ 法律上はそうである。ただ、地方が置きたいとなって… ○ 置けないことになっている。 ○ 今はそうである。 ○ 地方は全部非常勤になっているので。 ○ だから、次の議題の縛りに関わるのかも知れないが、世の中どういうふうに変わっ てくるか分からないから、全体の人数を減らしても常勤化でどんと事件処理をすると。 例えば、常勤であれば集中して入れるということも可能かも知れないし、そういう可能 性が出来た方が良いのかなという。少なくとも、出来ないというシステムにしておく必 要はない。それは完全にそうである。 ○ 「やれ」というのではなく、「出来る」という形で柔軟化をする。それぞれの考え 方次第で、適切な組み合わせが出来るようにしておく。  和解のような、我々にとって非常に重要なものは情報公開審査会ではないのであろう か。 ○ ない。 ○ 取下げがあるかどうかだけであって。 ○ あれは和解はないので、結論が出てしまう。 ○ そういうのは、この常勤化との関係ではどう影響するだろうか。 ○ 常勤委員で非常勤委員が減った場合に、常勤の方の事件が非常に多くなって、色が 付きやすいというか。今でも、誰に当たるかというのはある。公益委員の誰にたまたま 当たるかというのはそれぞれである。そう考えれば別に、それで早く事件処理が進むの であれば、それでも良いかも知れない。だから、集中してしまうというか、当然常勤で あれば、ある程度たくさん事件を務めることになる。だから、審理が早くなるというこ とはあるのではないか。 ○ 和解も含めて。 ○ 和解も含めて。そうすると、例えば東京都の労働委員会の常勤委員がどういう人か によって、事件のある程度の傾向というのがかなり、今のようにいろいろではなくて、 ということにはなる。でも、それはそれぞれの事件の申立人にしてみれば、今だって結 局のところは同じである。 ○ さらに、全くの仮定の考えであるが、仮に常勤1人、非常勤2人という3人体制で 臨むということにすると、そこに付く労使の参与はやはり1人ずつであろう。3人ずつ が付いてという、そんな大がかりにはならないであろう。 ○ それはそうだと思う。 ○ 私が今申し上げたのは、1人体制での常勤化という話で、なかなか3人というのは … ○ ただ、そのときにこういう問題はどうであろうか。もし、1人体制でやったとし て、公益だけが常勤で、労使が非常勤であると。特に労働側は結構かなりの組合の地位 に上がっている役員の方がいると、自分の本務の仕事だけで忙しくて仕方がない。経営 側も場合によってはまだ現役の方がいて、そうすると護送船団方式で一番船足の遅いと ころに引っ張られて、集中的に入れるといっても限界があるということがあるのではな いか。 ○ 当事者の弁護士の都合というのは裁判所と同様であるので、参与委員ということで あろう。 ○ 都労委の場合、日程調整で参与委員のいずれかが差し障りがあるということは、い かがであろうか。ないだろうか。 ○ 良くある。 ○ 当事者が良いと言うのに。 ○ ある。 ○ だから、これの問題もある。 ○ 確かにそうである。 ○ 特に、組合大会がすごく忙しい時期にかかると、なかなか入らなくなってしまう。 ○ 特に、私の経験では使用者側がそういうことがある。 ○ それでは、その方は現役であろう。 ○ そうだったのである。 ○ 私は、常勤化というのは人が得られるかどうかということが最大の問題であると 思っている。それで人が得られないとなると強化になるかという問題が現実的に大きい と思うので、あまり先は考えを詰めていないが、何のために常勤化を考えるかという と、処理能力を向上させて、処理件数をアップして、早く処理出来るようにするという のが、前提だと思う。仮に常勤化をするとすると、今までの話に出ていたように、給与 からいっても、たくさん事件を処理出来る常勤を採用しておきながら、人数を非常勤の ときと同じにするということは、ちょっと考えられない。そうすると、結局人数が減っ てきて、おまけに処理のスピードアップを目指すというのだと、複数の小委員会的なこ とをやったのではちっともスピードアップにならないと思う。それは単独制でやるとい うことが前提で最終判断の責任を持っている公益委員だけを常勤かするということでは いかがであろうか。訴訟事件でも単独体を合議体に切り替えてしまうと、それだけで処 理件数はがた落ちになるので、やはり事件が多いときは常に合議体を減らして単独体を 増やすというのが常道である。全部合議体に切り替えたら処理件数が落ちてしまうの で、現実的には公益委員だけの可能な限りの常勤化の道を開いて、やはり単独でやる、 ということではないのかという感じがする。 ○ それしか選択肢はないと思う。 ○ 参与委員も、どうしても都合が付かない場合はということもある。公益委員がいれ ば、次回は1人欠席ということでもやれないことはないから。 ○ ここのところは、単独制がどう見ても現実的であるというふうに考えるので、やる として、非常勤の参与の片側が出られないというとき、あるいは両側が出られないとい うときにどうするかは、これまで出来るだけ合わせて譲ってきた理由は、やはり全体の 労働委員会の運用があまりぎくしゃくしないようにというふうに考え、配慮されてきた のだろうと思う。だから、その辺の割り切りをどうするかという。組み合わせるという ことになるだろうか。 ○ 今は三者ともに非常勤で、その三者の都合で日を入れているわけである。それはそ れで入っている。そのうちの1人、公益委員が仮に常勤がある程度増えてくると、その 人の分は日が調整しやすくなる。だから、今より日が調整しにくくなるわけではなく て、論理的にはしやすくなる方に、行くということではないか。 ○ スピードを100キロ出してほしいと思ったけれども、今の30キロに比べると50キロ ぐらいにはなると。 ○ 日を入れやすい可能性が増える。 ○ それはその通りだと思う。 ○ 方向としては、今言ったような方向しか考えられないと思う。 ○ その場合、単独というのは、審理については1人で行うということか、それとも命 令の作成や発出のところも1人でということか。後者ということになると、相当の質、 裁判官のようなかなりの資格を持った委員が必要となり、現状の労働委員会では厳しい 場合があろうかと思う。 ○ 単独は調査・審問と命令書の起案・作成までで、やはり判断のところは全体でやる か小委員会でやるか。ということだと思う。 ○ あと、ちょっと別な点であるけれども、常勤制を導入する場合には、今の話だと常 勤の役割についても2つの途があったような気がするが、それは質的な違いを置くか否 かの違いである。例えば職務として、こういう常勤には特別な職務を与える場合と、あ るいは仕事の割り振りの量的な違いにするに留める場合がある。どちらかと言うと、後 者の方が実際的という感じであろうか。 ○ そうだと思う。自分で作成するとかいうのは、今でも事務局が書いているという か、それぞれの労働委員会まかせなわけであるから、まあ、そこまで踏み込んでやるか も知れないけれども、そこはあまり深入りしすぎてもどうかなと。 ○ 一方で、単独制ということであると、それぞれの常勤であれ非常勤であれ、最終的 な命令案の作成という点では同じになるような気もすするけれども、逆にあまり常勤委 員の仕事の質を変えてしまうと、逆に労働委員会の非常勤委員の役割にどんな意味があ るのかということも出てきそうな気もする。 ○ 常勤、非常勤混在という仕組みにした場合、おそらく、現実的に、先ほど指摘した ように、大学の先生だとか、弁護士が常勤になってもらえるかと疑問だと思う。だか ら、何かの仕事をリタイアしたという方になりがちであろう。権限をどうするかを考え るときに、常勤の方に高度な権限を考えると、適当な人がいればそれで良いが、常勤で 大学の先生や弁護士でなくて、そういう人が得られるかというと、ちょっと難しいかな という感じがする。 ○ 大体リタイアした後の人になってしまう。 ○ そして、他の仕事を隆々とやっている人はやってくれない。どうしてもそうなりが ちである。 ○ リタイアした後の人でも、この頃は、今の地労委の会長でもそういう方もいるの で。でも、それは常勤でもなってくれるかなという感じがする。ちょっと年齢的にリタ イア後の方であれば。 ○ 結局人によるので、常勤だから権限を高くというふうにしてしまうわけにいくかど うかということである。 ○ つまりこういうことであろう。常勤にあまり高度なものを望むと、その高度なもの に合っただけの人が得られるか。得るためには、要するに報酬を相当出さなければなら なくなるけれども、そんなことが可能なのかどうかということであろう。そうすると、 ありうべき常勤の人的資源像を念頭に置くと、今、両委員が言っているようなところ が、多くの人が妥当だと納得する線になると思うので、それを前提に常勤と非常勤の仕 事の割り振り、組み立て方を考える方が良いということだろうか。 ○ ただ、法科大学院の実務家教育のようなものであるけれども、休日以外は全てフル タイムで働くという常勤、これが普通の形である。ただ、それだけではなく、仮に週3 日はフルタイムで働いて、その他は自分の本来の業務をしても良いということが制度と して可能であれば、かなり供給源は広がると思う。どうであろうか。 ○ それがもう1つである。会社で言えば正社員と非正社員の間に準社員というのを設 けるような、準常勤というのか、週のうち月、水、金とか月、火、水とか何でも良いの であるが、3日ぐらいは朝から夕方までいるという。 ○ 公務員だからどうなのであろうか。ロースクールも、国立は結局どうなのであろう か。国立大の講師になっても大丈夫なのであろうか。しかし、これはまさに地方公務員 だから、出来るのであろうか。 ○ 出来ないであろうか。 ○ 今、短時間公務員を導入しようかという提案が地方公務員の研究会で議論されてい るけれども、そのような枠組みが導入されるかどうかであろう。 ○ そうすれば少し給料も安くて済む。逆に言うと、常勤といえどもそういうのが可能 であれば。 ○ そういう制度がもし作られると、地労委ごとの差異も非常にはっきりとやりやすく なる。東京のように非常に忙しいところは、完全フルタイムとかハーフフルタイムと か、いろいろ置いて、地方であればハーフフルタイムだけとか。  では、これはまた他の制度との関わりがあるので、問題点として指摘しておく。他に いかがであろうか。 ○ 先ほどの労使参与の話であるけれども、あれはある事件について同じ労使が必ず ずっと付いていないといけないのであろうか。 ○ しかし、この事件はこの三者でと言うと思う。 ○ ドイツの労働裁判所などは、必ずしも同じ人ではない。誰かいれば良い。 ○ 公益も良いのか。 ○ 公益というか、裁判官は同じ人である。だから、同じ曜日を決めておいて、そこに 期日を入れていく。だから、基本的には同じ人になるのであるが、どうしても駄目な場 合はずらす場合がある。 ○ 病院の勤務医みたいになっているわけである。何曜日は鈴木先生、何曜日は田中先 生というふうになるという。 ○ カルテを見て前に見ている人のが分かるという。和解に参与委員が入ることを考え ると、ちょっと何となく事件にずっとつき合いをして、多少信頼関係を得ていてという 方でないと辛いかなという感じはある。 ○ 何と言うか、調査・審問というか、別に労使がいなくても開けると。それで公益だ けで、それで良いということであれば、あまりこだわる必要はないのかも知れない。し かし、どうしてもそれが必要だというのであれば、いないときは他の人に代わりに来て もらうということでOKにしてもらうということを考えるのはどうか。だから、どちらか の選択肢を採る。今の話だと、いなくても良いということの方が…だから、労使がどう しても、参与は絶対にいないと駄目だと強く主張したら、考えても良いかと思うのだ が。 ○ 要するに、迅速性の要請をどのくらい強く見るかということで左右されるのかと思 う。相当に迅速性の理念が非常に強いドイツでも、三者で行う審理まで行のは、複雑な 事件が多いのであろうから、事件の単純性にも左右されるのではないかという気もす る。 ○ ただ、ドイツも9割ぐらいは和解であろう。 ○ それは裁判になる前に和解手続があって、それで。 ○ そこへ来た後の話であろうか。 ○ そうである。だから、ほとんど裁判官1人で10分か15分ずつ。ほとんどの事件はそ れで処理される。 ○ それでは、常勤化は流れとしては望ましいだろうと。ただし、それを入れるに当た っての周辺条件の整備というのはやはり必要であろう。かつ、他の委員会でやっている ような合議制を新たに組み合わせで入れるというのは、ちょっと現実的ではないだろう といったような、大まかな方向が出てきているので、それらと合わせて事務局にも検討 していただこうと思うが、これまでに出たポイントの中に、もう相互に関係しているも のがいくつもあった。例えば、今5人でやっている地労委があって、仮に1人常勤を入 れたら、プラス非常勤4人というのはどう見てもおかしいから、非常勤が2人減って、 常勤1人と非常勤2人とか、例えばこんなふうになるとすると、今の最低5人置かなけ ればならないという規定がネックになってしまう。それから、以前から問題になってい るような、もう少し柔軟にやれたら良いのではないかというような部分に関わるところ で、地労委が自分たちに規則制定権を付与してほしいと言っている問題、この第2番目 の論点に入らせていただこうと思う。  ご案内の通り、これは地方自治事務化との関わりで、より強く要請が出て、ここにあ るように、基本的には反対する理由はないのではないか。ただし、全部そんなことを やってしまうというわけには行かないので、ある枠の中でやれるというのはどうだろう かという議論が、これまでなされていたわけである。改めて御意見をうかがいたい。 ○ ここにも常勤化というのがある。前の議題への付け加えであるが、かなり強力な審 理日数の短縮という意味では、かなり常勤化というのは効くのではないかと思う。それ を本当に要求されるのであれば、いろいろな研修をやるとかいうような効果よりは、非 常に日数的に効くのは常勤化ではないかという気がする。それが求められるとすればと いうことであるが。 ○ つまり即効性ということであろう。研修というのは長い目で見れば良いかも知れな いけれども、要するに歩留まり率があまりよろしくないという。 ○ おそらく。1件当たりの急いだ事件についても、常勤が担当していると、本当に早 く解決してしまうということが可能かと。定数とかについて、私は分権推進委員会に所 属していた関係で、要するに必置規制というのは見直せと。なるべくその組織について はこうであるべきであるというような、こうでなければならないという縛りを外すとい うのが分権なので。労働委員会を置くというのはいくら何でも良いのであるが、その労 働委員会はどうで何人いて、非常勤だけで何人とか、そういう話。それから、事務局組 織がいるということはあっても良いが、中の細々したことまでいるかなというのはあ る。  次長というのは都労委にはいただろうか。 ○ ご存じの通り、中労委には審査担当の次長と、調整担当の次長がいると。それに相 当するものが各地労委にあるという。まあ、昔の考えである。中央が作ったら、それの ミニ版をいっぱい作らせるという。それを今度は、そういう形で運用するわけではない と先ほど言ったが、もっと柔軟にしようではないかという考え方である。 ○ 必置規制は結局、全く地方にまかせてしまうと、例えばもう何も事務局もなくなっ てしまうとか、そこまで行くといけないから、最低限は置いておかないといけないだろ うという、そういう趣旨であろう。 ○ 組織の柔軟性については、私も地方分権の方針で進めて結構かと私も思うが、規則 制定権というのはどちらかというと手続面を対象にすることが多かったような気がする のであるが、そもそも地方の組織の不服申立て版として中央の組織があるという体制に なって、それだけでは済まないのかも知れないが、いずれにしても、手続についての規 則制定権までそれぞれ認めて、それぞれの異なる手続が地方にあるということが良いか どうかという点は議論を要するのではないか。 ○ そこは非常に重要なポイントであって、隣り合わせた自治体、都道府県で、片方に 行くときともう片方に行くときでは全く違う手続になってしまうわけには行かない。そ うすると、やはり全体の中労委が作っている規則は、そういう部分は、やはりどこへ 行っても一緒というふうにしておかないと、いわば法の下の平等に反するとなろう。た だ、細かなことで違うだろう。それが何なのか良く分からないのであるけれども、あり そうな気はする。我々が良く知っているもので言えば、文科省の、学校だったら窓の大 きさはいくつだとか、窓はいくつ作れとか言っているのは、地方ごとに窓の大きさを変 えたり、数を少し変えたりする程度のことは良いだろうということが規則制定であるか どうかである。  今、関係団体の意見を皆に配布いただいた。この下の方の「(4)規則制定権」という のが、今話題になっているものである。 ○ 本来は、出来れば労組法と労組法の施行令で書ききって、統一的にこれは労働組合 の不当労働行為の救済についてはこういうふうにやるべきであるというのを、本来は全 国的にこれだけはというものは、そっちで書ききった方が良い。あとそれ以外は、地方 で決めてもらうというふうに。中労委の規則制定は、結局今どうなっているのか。地労 委に対してどういう関係になるのであっただろうか。 ○ それでは、ちょっと専門家がいるので。 ○ 中央労働委員会の規則制定権というのは、要するに地方労働委員会は中央労働委員 会が定めた規則に従って手続を進めるということである。 ○ それはどこに書いてあるのか。 ○ 規則制定権は労組法の26条である。 ○ 労組法の中に中央労働委員会の規則に従うと。 ○ 中央労働委員会が中央労働委員会と地方労働委員会が行う手続に関する規則を制定 し、公布する権限を有すると。 ○ 地方ごとの実情に応じた規則を定める必要というのは、一体どういうものがあるの か。 ○ 我々が労働委員会のワーキンググループでこういう議論をしたとき、不当労働行為 審査との関わりではほとんどないのではないかというふうになっていたが、調整事件は ある程度地方の特色があって良いのではないかと、こういうことであった。ただ、想像 力が足りなくて思いつかないけれども、ひょっとしたら地労委ごとに、本当に部分的な 細部だけれども、その範囲では独自に規則を作れるという権限がほしいというふうに 言っているわけであったので。地労委側からそういう要望があったので、そこまで否定 する必要はないだろうという、こんなような議論だったと覚えている。いずれにして も、現行通り法令及び中労委規則によることとするが、という形で、大きな縛りはほと んどそれで決めてしまって、細則的な部分はそれによることがありうるというふうに書 いて、要するに議論を閉じなかった。ただ、一体何があるのかと問われると、何がある のかという気はする。 ○ 審査手続きのうち調査については、公益委員が担当するのか、あるいは職員の方が 行うのかにつき、確かに地労委によって違いがあったと思う。それとも調整手続の話だ ったであろうか。 ○ 調整はかなり地方ごとによって、やり方が特色があったような気がする。これまで もヒアリングすると。 ○ 解釈の問題であるが、地方自治法上の一般的な委員会の規則制定権があるから、今 でも出来るという解釈になるのか。あまり詰めたことがないか。 ○ あまり議論したことがないが、労組法の方がどちらかと言うと… ○ それで、中労委の方に規則制定権があると。それで地方労働委員会の行う手続に関 する規則を制定しているのは分かるのであるが、それと抵触した場合に優先の問題は出 てくるにせよ、それ以外のそこに書いていないという場合は出来ないのか。委員会は一 般的な規則制定権を持っているわけであるから。 ○ 一般的にということであろう。出来ないことはないのかも知れないが、労組法上の 手続については中労委が定めると。 ○ 手続は専権だということであろう。 ○ 抵触したら駄目だと。なるほど。それではそうやって思いこんでやってきただけで あると。労働委員会の呪縛である。 ○ 実際には、中労委が作った規則の中でも解釈の違いがあるものはあると思うが、そ れについては、それはそれで地方ごとに、独自にというか、解釈してやっているわけで あろう。何か問題が起きたときにこうしろというような。今の話だと、それ自体を、そ もそも規則制定権は全部排除されていると取られてしまっているので、そこでは出来な いという解釈をしてきたということなのであろうか。 ○ この条文だと、「法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若 しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し」となっており、 「法律の定めるところにより」となっているので。労働委員会の権限というのは、基本 的には労働関係法令に基づく行為を行うことになるので、だからちょっとなかなか、そ れ以外に概括的・一般的な規定は掛かるかも知れないが、「その権限に属する事務に関 して」はなかなか難しいのではないかと思う。具体的にはほとんどないと思う。 ○ 法律を強く読むときに、普通、委員会は知事と違う執行機関の1つだから、通常は 規則制定権があるようである。しかし、地方労働委員会は労組法によって設置されてい て。 ○ 自治法上、地方労働委員会の事務として、「地方労働委員会は、別に法律の定める ところにより、労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い、並びに不当労働行為に関 し調査し、審問し及び命令を発し、労働争議の斡旋、調停及び仲裁を行い、その他労働 関係に関する事務を執行する」となっている。 ○ 労組法の中に規則制定権がない以上… ○ 難しいのではないかということである。 ○ そうか。そうすると、逆に書いてあげないといけないということになる。 ○ というような感じで議論がされている。あるいはその間、コンセプトは自治事務化 以前のときのコンセプトを引っ張っているのかも知れないが、いずれにしても皆呪縛に 掛かってしまっているならば、ちょっと書いても良いかというのがこの意見である。た だ、何があるかというと良く分からないので、「ありうる」というような弱い線に。他 は「出来ることとする」と書いてある。 ○ 確か、どこの地労委であったか、調査の仕方について、職員が現地調査を行ってい るということを聞いたことがあるが、調査の場合はあいまいな一般的規定になってしま うのかも知れないが、運用が地域によって違うということはあるかも知れない。たとえ ば、なかなか当事者に来てもらいにくいような広いところであるとか、日本海側と太平 洋側にまたがるとか、そういう地域であろうか。 ○ 規制緩和の問題と規則制定権を与えるかという問題は同じ側面があると思う。だか ら、法律で規制緩和して今の形になったと。そうしたら、おそらくそれで良いのではな いか。規制緩和ということで。規則制定権の問題というのは、自治事務化したことと関 係があるのか。 ○ そうである。地方分権の流れである。 ○ 自治事務化である。だから、自治事務化すると本当は一般法が掛かってきて、国の 法令は出来るだけ地方が自主的に運用出来るように解釈されなければいけないというの が地方自治法の2条で、法令受託事務なら良いのであるが、自治事務の場合は一般規定 が掛かるから、要するにあまり国の法令とか、中労委の規則制定で縛るなという感じに なる。そこは自治事務にしたので今更であるが、自治事務になっているのであるから、 そこは一般的な。もちろん救済手続であるから、中労委に行けるようなシステムになっ ているからとか、そういういろいろな理屈はありうるけれども、普通の自治事務と違う ということはあるのであろうが、やはり自治事務化すると規制緩和というよりは地方の 自主性、労働委員会も本来の姿としては、全国一律は最小限で、いろいろやっても良い のだというのが本来の建前ではある。そうすると、自分で規則制定して良いということ になる。本当のことを言うと、中労委の規則であまり縛るなというのが自治事務化した ところからの帰結なのであるが、それはそう言ったら困るという、いろいろな問題があ るのであろうから。 ○ まさにポイントはそこであって、ワーキンググループの議論を聞いていても、1つ の意見は自治事務化原理主義者というのがあって、そうすると今のようなふうになって しまって、花の色もいろいろあるのと同じように、労働委員会も赤い花だとか白い花だ とか黄色い花だとかいろいろあって良い、というような議論が一方である。しかし他方 で、全国的事件などがあったら大変なことになって大混乱ではないかという、やはり事 柄の性質がというふうになって、このようなところに実質的には落ち着いていると。本 当にそれは、原理的に考えるとそういうようなことであろう。少なくとも、したがって 今は、多彩になってきたところがどこに見られるかというと、例えば個別紛争の処理は 全部がやっているわけではない。だんだんやっているところは増えてきた。しかし、 やっている中身はすごく違う。相当踏み込んでやる場合と、あまり踏み込まない場合 と、それから都労委のように全然やらない場合と。そこでは少し自治事務化の色が出て きている。 ○ 労働委員会に、いろいろな地方によって仕事を付与してしまうという可能性もある わけであろう。労組法の労働委員会なのであるが、地方によっては、例えば仕事がなく なってきたりした場合に、もっとたくさん仕事をさせるような事務の追加を条例でする という可能性だって、実務上ある。必置規制緩和というのは、要するに1つある組織を 出来るだけ柔軟に一番効率よく使うべきであるという発想であるから、そういうことも ありうる。それを一般化するとそういう感じになるだろう。 ○ 個別紛争解決促進法がなくても、あっせん等は地方自治法に基づいて出来るという ことだったので、今は条例とか要綱で処理要領を作っているようであるが、ということ は、個別紛争の解決に関しては労組法に基づく権限ではないから、規則制定は地方自治 法を根拠に出来るという、そういう解釈で良いのであろうか。 ○ そうであろう。 ○ したがって、話がどんどん我々の範疇からは離れていくが、今の指摘を受けて、自 治事務だという形でどんどんやりたいというふうになると、周りにいろいろなものに取 り組んでいく、巨大化していく労働委員会というのもありうるわけである。例えば地方 が無料の職業紹介をやるとか、これから出てきたりすると、それがそういう窓口を持っ たりとか、あるいは最近はキャリア・カウンセリングとかいろいろなものがあるので、 そのようなものとか。そんなふうにだって理論上はありうる。それで、その根拠はおそ らく地方自治法に基づく方の規則制定権であろう。 ○ そうなのであるが、先ほどの「法律の定めるところにより」をどう引くか。ちょっ と今自治法のコンメンタールを見ていないので。 ○ 先ほどの話だと、労組法に基づいて設置されているのであるから。そう簡単に行か ないか。 ○ だから、その辺りは難しいところであるが、元の設置は労組法であるが、いったん 出来た組織がそれしかやってはいけないということはないから、そこは自治体の条例で 追加するという可能性は不可能ではない。ただ、その場合の規則制定権が、「法律で定 めるところ」の法律が厳しいとなると、確かに条例ベースだと規則制定しないといけな い。ただ、その場合は結構条例で書いてしまう。 ○ 例というのはあるだろうか。国で小さく作っておいたものが、地方でものすごく巨 大なものになっていたというような。 ○ 一般的には今回の分権改革のときに必置規制を見直しして、例えば温泉審議会など というのがあったのに、そういう名前はもうやめると。そういう名前を付けていると身 動きつかなくなるから、何とか環境審議会とかいう、ともかく名称をあまり決めないと いうふうに、大体今回の分権改革で全て整理した。審議会とかについては何でも入れら れるようにするという、大枠の実態によって。名前を固定してしまうと良くないという 話である。だから、こういう例はまだある。普通はそこで整理している。ここは、いく ら何でもきちんとした委員会であるので、教育委員会とか労働委員会とか、いわゆる地 軸局の、他の多元的な執行機関としての委員会だから、そこまでめちゃくちゃではない から、それはないけれども、でも条例で…いや、まだ例はたぶんないと思う。 ○ では、あまりその話をしていると議論が前に進まないから、我々は不当労働行為制 度の方の研究会であるので、そちらの方に戻って、不当労働行為制度の、ということ で、調査・審問との関わりで、細部を地労委ごとに決められるような規則制定権という のは、仮にいけないとは言えないのではないかというふうにすると… ○ 法令とか中労委規則に違反しないときにおいてということそのものになると思う。 規則制定権を与えるとかどうとかいうことは。あるかどうかという問題がそもそもある のであろうが。 ○ 組織の、公益の人数とかはある程度柔軟にしても良いのかなと言う気がするが、手 続面というのは理屈を言えば、審査の結果とかに反映するはずだから、あまりそこを自 由に出来るというのもどうか。だから、公益委員は行かなくて良いと。事務局職員だ と。そうすると、それに基づく判断というのがそれで良いのかという議論につながると 思う。だから、むしろ手続面はあまりいじれないのではないか。実情を分かっていない と言われたらそれまでであるが。 ○ 理屈はそうではないかと思う。それはやはり、隣の県に行ったら全く違ったやり方 をされていたと言ったら、非常にいろいろな意味で混乱を来すと思う。 ○ だから、考え方は中労委か裁判所でならせるという考え方なのであろう。終わりで はないと。 ○ それとの関係では、例えば取消訴訟に行ったときにイメージがどうなるかという問 題もあるのではないか。中労委に来れば最終的には違ってくるのかも知れないけれど も、それぞれの地方労働委員会で別々の手続だとなると、裁判所としてどう見るか。地 方に規則制定権を与えているということであれば、そうした事態もありうるわけである が、イメージの問題はあるかという気がしている。もし地方独自の手続があるとすれ ば、例えば破産手続などでは東京と大阪で運用の実務が違っているように、先ほど言わ れたかも知れないが、運用要領みたいなものでの対処することは可能かどうか。あるい は既にそのようなものがあるのかも知れないという気もするのであるが。 ○ こういう細部の規則の制定の権限を地労委レベルに認めた場合に、その規則に定め られている手続との関係で、司法審査において、片や違法な手続になり、片やそうはな らないというところの違いが生ずるということが、実際上ありうるのかどうかという感 じがする。どちらにしても、規則制定の権限を認め、上位法令の範囲内で細目を定める 余地を認めるべきだという議論に対して反対する根拠はないのではないかと思う。 ○ 万が一変な規則を作った場合、そしてその規則通りにやっていけば、その規則自身 の問題を当然上に行く方が主張すれば、中労委の変な規則が万が一あった場合に、これ が中労委の規則に反するとか、法令に反するとか、そういう主張が出来るわけであるか ら、是正の手段はあるということになる。 ○ では、この辺りの議論でやめたい。実例がぱっと出てこないので、なかなかこうい う抽象論というのは原理論にならざるを得なくなる。原理論になれば結論は出ないの で、この程度にしておいて、他に何か地労委に関する規制緩和等でどうであろうか。地 労委の経験のある委員は何かどうであろうか。 ○ 名称を変えるというのはどうであろうか。 ○ 「地方」などというのはやめようと。だから、東京地方労働委員会ではなくて東京 労働委員会、大阪地方労働委員会ではなくて大阪労働委員会。返す刀で中央労働委員会 の「中央」を取ったときに何という名前にするかが、良い案が出てこない。 ○ 「中央」はそのままで良い。 ○ もちろん良いのであるが、何となく地方分権の時代に、「中央」という名前を残し ているのは変な感じがしないでもない。原理的に考えれば。 ○ 委員会で事件数が少ないところは、まとめてやったらどうかという話をしていた が、あれはもう難しいのであろうか。 ○ 広域で。 ○ 自治事務化である以上、とにかくそれは我々のいうことではないということだろ う。 ○ 現在はどうなっているのであろうか。 ○ でも労組法上はどうなっているのであろうか。都道府県に地労委を置くということ であろう。だから、それは今は出来ないということであろう。 ○ そうである。 ○ 地方分権というのがされたからということである。 ○ 世の中都道府県ごとという時代になるから、何が何だか分からなくなるかも知れな い。県が合併したり。 ○ 合併すれば問題はかなり解決するかも知れない。 ○ 今出来ないのを出来るように改正しようと言うと、この地方分権の時代に何事だと いう感じであしらわれそうな気がする。 ○ 置かなければいけないのか。 ○ そうである。法律上は「都道府県知事の所轄の下に、地方労働委員会を置く。」 と。 ○ 実質論としては、面積ごとにあまり遠いところに行かないといけないというのは、 権利救済に照らして良くないという、そういう本質論があるのであれば、出来ないわけ であるし、という感じであろう。 ○ それは巡回裁判所的にやっても良いわけである。それは裁判体の方が行けば良い。 ○ ただ、巡回だったら集中というのが対にくっつくので。 ○ これは、管轄はどうなっているのか。例えば、熊本の地労委が鹿児島の事件を扱う ということは出来たのであろうか。 ○ 管轄の調整をするわけである。片方は熊本に住んでいて、もう片方は会社が鹿児島 だなどというときは、どちらに行くかというときは調整して。普通は会社側の方でやる のだと思うが。 ○ 両方とも鹿児島の当事者で、それは熊本の労働委員会は出来ないという。たぶんそ うであろう。 ○ それはたぶん労働委員会に行ったら駄目であろう。 ○ それはどのレベルで出来ないのか。そういう管轄権というのはどこで決まっている のか。 ○ 労組法の中に書いてあるのか。 ○ そもそも、県のものは県でやることになっているが、具体的な管轄の手続について は労組法施行令の27条というのがあって、「住所地若しくは主たる事務所の所在地を管 轄する地労委又は不当労働行為が行われた地を管轄する地労委」である。ただし、7条 4号については、別に当該不当労働行為に係る同号の労働委員会も管轄すると。 ○ それで、そのどこに指定するかというのは中労委が。 ○ 中労委が管轄指定をするということか。 ○ そうである。 ○ 根本的には自治体の問題であるが、例えば財政負担を軽減したいとか組織を合理化 したいというのであれば、公益委員の人数を減らして、実質的には共同でやると。それ で、そのための法制の整備をするということも、そういう動機が全然ないというなら、 もう我々もそんなことは全然考えなくて良いけれども、必要があるのであればそういう ことを考えることもありうるという。 ○ おっしゃるとおりだと思う。数県がくっついてやって、後は巡回方式みたいなもの で回っていくというのは十分ありうる。ただ、地方分権の時代に、別に声が挙がってこ ないのに、こちらがそういうのはどうか、ああいうのはどうかというのはなかなか難し い。 ○ 現在のまま行くと言っているのなら、それはそれで放っておけば良いことであるか ら。 ○ でも、可能性がないから言っていないのかも知れないから、そこは分からない。 ○ 他方で、やはり今のそれを断固として保持したいという人たちが、むしろ関係者の 中では強い。だから、知事部局のレベルに行けば今の考えに賛成という人はかなりいる と思う。 ○ 隣の県と一緒になれば半分になるという。 ○ 巡回というのは、非常に手数が掛かるし、期日なども入れやすいかどうか。当事者 を呼びつけないで役所の方が出て動き回るということだが、常勤、非常勤の問題が絡ん でくる。同じところの県庁まで行けば仕事ができるというなら良いけれども、隣の県を 回っていかないといけないということになると、委員になるのをためらうのではない か。 ○ 確かに、労働委員会は今でも県に1つしかなくて、アクセスが悪いのであるから。 ○ 北海道とか。 ○ 今も相当悪いのであるから、2,3個くっつけても変わらないかも知れないが。 ○ 権利救済ということであるから、最低限、県の面積ぐらいを捕集するというのがな いと。 ○ 権利救済を言えば、むしろ簡裁の数など比べてはるかに少ないので、もうちょっと 県の合同庁舎みたいなものを使って、その会議室で出かけていってやったら良いのでは ないかと。これは改革論として前からあるのであるが、その前提はやはり常勤化になっ ていってしまうわけである。あるいはそうでなければ、職員に調査権限を相当程度与え る。そうすると今度は職員の専門性というふうに、言うまでもないが全部網の目のよう に絡んで、どうするかとなると、現実的ではないということになってきた。 ○ 職員の調査との関係では、これも地方公務員の議論の中で、広域任用というか、各 地方公共団体だけではなくて、いろいろな公共団体のために共通の仕事をしていく仕組 みを作るとか、そういう議論があるのであるが、それは公務員制度の問題であって、別 に労働委員会制度そのものの問題ではないのかと思う。 ○ 2日と3日とか。 ○ それによって専門性を高めるという方向である。 ○ それは今後の課題。 ○ そうである。 ○ まだ制度化はされていないのであろう。 ○ いない。 ○ 統合していくよりは、皆労働関係の仕事をするし、やらせるような格好で暇だった らという感じではある。いろいろ自治体によって。 ○ 小さな自治体の場合は専門性が高まらないわけであるから、仕事の内容が限られて いると。そういう意味では広域任用で、ある地域の高い仕事をやっておけば、だんだん に専門職として上へ上がれるけれども、今のままだと東京とか大阪のようなところを別 にすれば、非常にきつい。小さな自治体にとってはいわばコンビニ的な役所になってし まうことにもなりかねない。  さて、そうすると一渡り審査体制の充実強化と、地方労働委員会に対する規制緩和と いう問題に御意見をいただいた。他に言い残してしまった点があるだろうか。 ○ 他制度の比較表のところで引っかかったのであるが、審査の補佐の事務局の関係 で、公取と公調委は法曹資格者必置ということになっているが、これはどういう方が なっているのか、裁判官の出向か何かなのか。また、そういう方はどういう仕事をされ ているのか。将来的にはこういった法曹有資格者の対応ができることを考えると、やは りこのような方向もありうるのではないかと思うが。 ○ これはちょっと面白い。片方の公害の方は、法曹資格を有する審査官のみが裁定案 を書くというふうになっている。3人もいるからということであろうか。公取の方は、 必ずしもそうはなっていないようだという。1人しかいないしということであろうか。 ○ 命令を書く人が法曹資格者というのは良いと思う。先ほどのように、常勤の人を1 人ないし2人入れるとしても、やはりある程度高齢の方になると、あまりたくさんその 人に書いてもらうというわけには行かないので、事務局に相当しっかりした人に入って もらうのが良い。 ○ 公調委などは、裁判所から若い人が出る。それで、またあちらに戻ってという感じ で。 ○ 2〜3年で行っているのではないか。 ○ 国の場合は、そういうふうに裁判官が動けるから良いのである。 ○ でも、裁判官の数も徐々に増えてきて、出向先も相当あると思う。官庁にも今は相 当入っていると思う。その辺りをちょっと回してもらって。 ○ 一般の行政官庁にというのは裁判官の育成のための研修の目的で行っている。 ○ 2年ぐらい行っていると思う。 ○ この頃は結構若い人も出る。 ○ なかなか辛い経験のようである。 ○ 他に何か御指摘はいかがであろうか。あるだろうか。よろしいだろうか。  それでは、今日予定した2つの論点の御議論をいただいたので、また事務局にはまと めていただいて、最終報告書には反映するようご尽力いただけたらというふうに思う。 本日の議論はここまでとさせていただいて、後少しで我々の任務が終わるわけである が、最後の胸突き八丁で、次回が6月26日(木)の10:00〜12:00を予定している。お 忙しいところ大変恐縮であるが、どうぞよろしくご参集のほどをお願いする。場所は今 回と同じ5階の第13会議室である。  それでは、本日はありがとうございました。                                      以上          照会先 政策統括官付労政担当参事官室 法規第二係 岩崎、先崎            TEL 03(5253)1111(内線7752,7753)、03(3502)6734(直通)