03/05/13 第8回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会議事録       第8回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会                        日時 平成15年5月13日(火)                           18:00〜                        場所 厚生労働省省議室(9階) ○前田座長  定刻になりましたので、第8回の「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関す る分科会」を始めたいと思います。各委員の皆様にはご多忙のところ、本分科会にお集 まりいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、議事に従いまして始めさせ ていただきたいと思います。  本分科会も、これまで計7回の開催を数え、在宅ALS患者に対するたんの吸引につ いての患者・家族の負担の軽減を図るための方策について議論を重ねてきたわけです が、概ね主たる論点について議論の方向性が見えたかと存じます。そこで、前回の資料 にもありましたように、これまでの議論のとりまとめを踏まえて事務局から報告書(案 )が提示されております。本日は、この報告書(案)について議論をいただき、各委員 のご了解をいただければ、これを本分科会の総意としてとりまとめたいと考えておりま す。それでは、事務局から報告書(案)について説明をお願いいたします。 ○稼農補佐  委員の皆様方、お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございま す。今日の資料は、「報告書(案)」という形で用意しました。これについて前回の 「これまでの議論のとりまとめ」の部分から変わった主な点について説明をいたしま す。  「報告書(案)」の1頁です。報告書の案ですので、「はじめに」を追加しました。 最初の○ですが、ALS患者のたんの吸引については、当該行為が患者の身体に及ぼす 危険性にかんがみ、原則として、医師又は看護職員が行うべきものとされてまいりまし た。  次の○は、在宅ALS患者にとっては、頻繁にたんの吸引が必要であることから、家 族が24時間体制で介護を行っているなど、患者・家族の負担が非常に大きくなってお り、その負担の軽減を図ることが求められている。  3つ目の○は、このような現状にかんがみ、在宅ALS患者に対するたんの吸引行為 についての患者・家族の負担の軽減を図るための方策について検討するため、当分科会 が平成15年2月3日に設置されたところです。  4つ目の○は、この分科会においては、ALS患者、家族、看護職員、ホームヘルパ ー等の関係者からヒアリングを行うなど、在宅ALS患者の療養生活の質の向上を図る ための看護師等の役割及びALS患者に対するたんの吸引行為の医学的・法律学的整理 について、これまで検討してきたところであるということで、これまでの経過につい て、「はじめに」で記述しております。  最後の○では、「公表するものである」という旨を記載しています。2頁について は、大きな修正点はありませんので省略したいと思います。  3頁です。(3)の「医療サービスと福祉サービスの適切な連携確保」の最初の○です が、ここについては最初の部分で、各関係機関が相互の連携を適切に図って、地域での チームケア体制を確立していくことが求められている旨を記述しています。これについ て、その次に付け加えておりますように、「このため、国及び地方公共団体において、 引き続き、各機関の連携体制やチームケア体制の確立を支援するための施策を講ずるべ きである」ということで、国及び地方公共団体の役割について明確にすべきだという前 回の議論の際のご指摘を踏まえ、ここに追加しております。  2つ目の○ですが、ここについては医学的な管理が必要である在宅ALS患者につい てのチームケア体制において、主治医が中心となるべきであるということで書いてお り、この部分については患者の退院時指導に際してのチームケア体制の確立について記 述しています。この部分についても、国及び地方公共団体において、これまでやってき た事業について追加しています。最後の4行目に、「また、国及び地方公共団体におい て、『特定疾患医療従事者研修』や『難病患者等ホームヘルパー養成研修事業』など、 医療や福祉の関係者の研修を引き続き適切に実施する必要がある」を追加しています。  4頁です。3行目の○についても、国、地方公共団体の取組みとして、平成15年度か ら開始される難病相談・支援センター事業を推進するなど、ALS患者や家族に対する 相談・支援などを充実させる必要があるということで、取組みについて記述を追加して います。  (4)の「在宅療養を支援する機器の開発」です。ここについては、前回の議論の中で 引き続き、機器の研究開発を促進する旨を記載しておりましたが、「研究開発のみなら ず、その普及を図っていくことが重要である」というご意見を踏まえ、研究開発及び普 及の促進という形で追加しています。  5頁です。3.「たんの吸引行為について」の(2)「家族以外の者によるたんの吸 引について」ですが、前回のとりまとめの部分では、2行目の「ALS患者に対する家 族以外の者によるたんの吸引については」ということで始めていましたが、その前の段 階で、「その危険性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則である」という ことを書くべきではないかというご意見を踏まえて、冒頭にそれを追加しております。  また言葉の細かいところですが、「家族以外の者」という定義の部分ですが、これに ついては「医師及び看護職員を除く」という前回よりすっきりした形にしています。  2つ目の○については、在宅療養の現状について、「もう少し丁寧に説明を加えるべ きである」というご意見を踏まえて、「しかしながら、たんの吸引は頻繁に行う必要が あることから、大部分の在宅ALS患者において、医師や看護職員によるたんの吸引に 加えて、家族が行っているのが現状であり、家族の負担軽減が求められている」という 記述を加えております。  同じ○の下から3行目に「この場合においても」というところで、医療サービスを受 ける機会が閉ざされないようにすべきであるというのが前回の資料ですが、積極的に医 療サービスが関わる側面についても記述すべきではないかという議論があって、それを 踏まえて、「医師及び看護職員が積極的に関わっていくべきである」という記述を追加 しています。  5頁の最後の○で、「この取扱いについて、訪問看護サービスの更なる充実やたんの 自動吸引装置の開発・普及の推進等、今後における在宅療養環境の変化に応じて、適宜 ・適切に見直すことが必要である」と前回の資料で記述していましたが、「一定期間後 に今回の措置の実施状況について確認をすべきではないか」という議論があって、「ま ずは3年後に今回の措置の実施状況や在宅ALS患者を取り巻く療養環境の整備状況等 について確認すべきである」という記述を追加しております。  次の○(6頁)ですが、この部分については前回の議論の中で、「今後の検討課題と して明記すべきである」という意見を踏まえ、「また、今回の措置は在宅ALS患者の 療養環境の現状にかんがみ、当面やむを得ない措置として実施するものであって、ホー ムヘルパー業務として位置付けられるものではないが、医療と福祉の関係、それぞれの 役割分担も含めて、在宅医療に携わる者の行う業務や在宅医療そのものの在り方につい ての議論が必要であるという意見もあり、これについては、今後検討すべき課題である と考える」ということで、検討課題である旨を明確にしています。  以下の部分が条件について示したものですが、最初のi)「療養環境の管理」の部分 については、用語の整理をしています。「主治医」とのみ記載していた部分について、 入院先の主治医、在宅のかかりつけ医という言葉を、これ以下で使い、役割が分かるよ うにということで記載しています。最初の○については、入院先の医師は患者の病状等 を把握し、退院が可能かどうかについて総合的に判断を行うようにしています。  i)の4つ目の○ですが、前回の資料においては、在宅への移行に備えた準備につい て、「家族が必要な物品の準備を」という記載をしていましたが、ここについてはご意 見をいただき、「入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、患者の在宅への 移行に備え、医療機器・衛生材料等必要な準備を関係者の連携の下に行う」という記述 にしています。また「医療機器・衛生材料等については、患者の状態に合わせ、入院先 の医師や在宅のかかりつけ医が必要かつ十分に患者に提供することが必要である」と記 載しています。  7頁です。iii)の「家族以外の者に対する教育」の部分等において、単に主治医と していたところについて、「入院先の医師や在宅のかかりつけ医」という表現をしてい ます。  8頁です。「本検討会では、在宅ALS患者の在宅療養環境の向上を図るとともに、 患者及び家族の負担を軽減する観点から、必要な措置について検討を重ねてきた。  これらの措置が有効に機能するためには、在宅ALS患者の療養生活を支援する関係 者が一体となって取り組むことが不可欠であり、国及び地方公共団体を始め、関係者の 更なる努力を期待するとともに、これらの措置を通じて、患者及び家族の療養環境が向 上していくことが望まれる」ということで、「おわりに」という部分を付け加えまし た。  9頁は「在宅ALS患者のたんの吸引における訪問看護と家族以外の者との連携」の 図です。これについても前回の議論を踏まえ、いちばん上の部分に「国」を入れまし た。また、右の囲みの「家族以外の者」については、本文の記述と合わせて、「家族以 外の者(医師及び看護職員を除く。)」としています。前回はヘルパー、ボランティア 等という例示をしていましたが、例示によって誤解を生じないように、ヘルパーが業務 として行うような印象を与えないようにと、本文と合わせた記述にしております。  10頁です。「いまの図については当面の措置の連携の図であるが、ALS患者を支援 する主な事業について、全体像が分かるような図が必要ではないか」という指摘をいた だき、これを踏まえてALS患者・家族を取り巻く都道府県、保健所、町村、医療機 関、あるいは患者団体、難病情報センター、下の部分では介護保険の関係で、全体につ いて主な事業を図示して、参考資料として付けたものです。  資料の説明は以上ですが、前回の分科会で質問のあった今回の措置と介護保険、支援 費制度との関係などについて説明をしたいと思います。まず、今回の措置によって行う たんの吸引の行為が、ホームヘルパーの行う業務に含まれるのか否かについてです。た んの吸引は原則として医行為に該当するものですので、介護保険法や支援費制度におけ る訪問介護には含まれません。  次に、今回の措置によるたんの吸引について、介護報酬や支援費制度上の評価はどう なるのかという点ですが、当該たんの吸引については、介護保険法、あるいは支援費制 度上の訪問介護には当たらないため、たんの吸引自体は介護報酬、あるいは支援費制度 上の評価も行われないことになります。  今回の措置によるたんの吸引についての責任の関係ですが、仮に事故等が起こった場 合の責任は、個々の状況に応じて判断されるべきものではあるが、医師、訪問看護師の 指導の下でホームヘルパーの資格を持つ方が訪問介護としてではなく、利用者に対して 行う行為であることから、一般的には当該行為を行った個人と指導を行った医師、看護 師の間で、それぞれの責任の度合いに応じて、責任を負うことになるのではないかと考 えられます。 ○前田座長  どうもありがとうございました。全体についての質疑があると思いますが、「はじめ に」の部分から伺いたいと思います。それでは、説明のあった順に行いたいと思いま す。「はじめに」の導入部分は、新たに付け加えたわけですが、この部分に関してご質 問、ご意見をお願いいたします。特にありませんか。  この分科会ができた経緯と、この分科会の開催状況をまとめていただいたということ ですので、これは客観的なことでご異存がなければ、このまま報告書の頭に付け加える ということで先に進めたいと思います。 ○平林委員  「はじめに」に直接関係するわけではありませんが、どこで書いていくのがいいのか よく分からなかったので質問します。かつては少なくともALS患者に対するホームヘ ルパーの行為は医師法に違反するとか、医行為だからやってはいけないということで、 ずっと禁じてきたという経緯があるわけです。それがこの分科会で、やっていいという 解除をしていく方向で議論が進んでいるわけです。その理由についてどこかに書いてお く必要がないかということを前回申したつもりですが、それは必要ないと判断されたの か、「はじめに」の最初の文章がそのことを含意しているのかを質問いたします。 ○稼農補佐  「はじめに」の最初の部分でこれまでの経緯の冒頭として、ALS患者のたんの吸引 については、原則として医師又は看護職員が行うべきものとされてきたというところ が、いまご指摘のあったところで、中身の議論がそのあと続いていくということで考え ております。 ○前田座長  要するに、頭の所に、危険だからできなかったということが書いてあって、補足的に 説明がありますか。 ○稼農補佐  補足をいたしますと、1頁でこれまでのことを書いており、5頁の(2)の2つ目の ○の、「しかしながら」で今回の措置について記述をしており、全体としてこれまでは 原則はこうだったが、「しかしながら」という流れではないかと思っています。 ○平林委員  こだわるつもりはないのですが、と言って発言するのはこだわっているのかもしれま せん。5頁は結論として一定の条件の下で、当面の措置として行うことはやむを得ない というわけですから、全体の流れとしては賛成か反対かはともかくとして了解できま す。私が前回言ったのは、その理由を書く必要はないかということで、その理由につい ては全く触れられておらず、事実の従来こういう取り扱いがなされてきたということ と、今回こういう方向であるということは書かれているのですが、その間を繋ぐものと しての理由が何とも見えてこず、それで本当に説明責任を果たしたことになるのかとい う懸念を持つものですから、しつこく質問しております。 ○前田座長  理由がないと言われるのですが、危険性が減ったわけではなく、必要性が認識される ようになり、現実に行われてきて、家族の負担軽減の必要性がある。このような状況が あったので、評価が変わったというのが実質的な理由だと、私は読んだのです。ですか ら、今まで危険だったものを評価が変わって許されるようになっていく、その前提とし ては現実にニーズがあって、それを認識するようになり、それを踏まえて変えていくわ けで、必ずしも法律が変わったから変わるということではありません。確かに押さえた 書き方にはなっていますが、これで十分変えるだけの理由があるというか、変えること が許されるかどうかに関しては、そのあとで書き込まれている条件を見合った上で、こ の範囲なら認められるという形になっているのだと思います。ですから、もう少し理由 がなければ文章として弱いというご意見は分からないことはないのです。補足すること があればお願いします。 ○医事課長  特に結構です。 ○前田座長  報告書の結論として、たんの吸引を、もちろん一定の条件付きで、こういう前提の議 論を踏まえて認めるということを申し上げている理由として、私はこれで足りているの だと考えたのですが、足りないという考えもあり得ると思います。  それでは、1.「はじめに」はこのぐらいにして、2.「在宅ALS患者の療養環境 の向上を図るための措置について」ですが、ご質問、ご意見をいただきたいと思いま す。 ○川村委員  3頁の(3)の2つ目の○の下のほうに、「国及び地方公共団体において、『特定疾患 医療従事者研修』や『難病患者等ホームヘルパー養成研修事業』」と書いてあって、 「研修を引き続き適切に実施する必要がある」となっていますが、ここで期待されるこ とは、たんの吸引までも含めた研修をすることが求められていると解釈するのですか。 今までの総合的な研修内容をきちんとさらに継続するということなのですか。 ○菊岡補佐  これについては、従来の議論、前回の議論を踏まえて、従来から行われている従事者 研修やホームヘルパーの養成研修事業などを、きちんと適切に行っていくという内容 で、ここに書き込まれている2つの研修事業について、引き続き適切な内容で行ってい くということで、特段内容を今回の議論に限定するものではないと考えています。 ○川村委員  その適切にというのは、たんの吸引の方法についてまで入っているわけではないとい う解釈でよろしいですか。 ○菊岡補佐  こちらはそのように理解しています。 ○川村委員  といいますのは、きちんと研修事業を行いますと、自治体の公的な研修修了書が渡さ れます。私なども担当していますが、100人ぐらいに同時に講義をする研修の一部で、 たんの吸引について説明したとしても充分なことはできません。しかし、公的な研修修 了書が渡されているのだから、ちゃんとできるのだと言われると、担当する者としては とても困ってしまいます。今までの議論としては個別的な指導、特定の個人に対しての 指導ということで限定されていたと思うので、誤解をされるときついので、質問しまし た。できれば誤解されない表現にしていただければ幸いです。 ○前田座長  補足的に説明をお願いします。 ○菊岡補佐  いま委員からお話があったとおりですので、誤解のないような形にすべきだと考えて おります。 ○前田座長  これは文の問題というより、書き方で誤解のないようにきちんとすればというご指摘 と受け止めてよろしいですね。 ○伊藤委員  ただいまの2.に関して、去る4月30日に厚生労働省が医療提供体制の改革のビジョ ン案を示しました。その中の「質が高く、効率的な医療の提供」の「当面進めるべき施 策」の(1)の8について、「訪問看護を担う人材の育成を支援し、訪問看護ステー ションについて、看護技術の質の向上を図るとともに、その普及を推進する」とあり、 「在宅ALS患者について、訪問看護等による支援策の充実に努め、安心して療養生活 を送ることができる環境整備を図る」という文言が盛り込まれています。これはこの分 科会の親委員会の「看護の在り方の検討会」及び本分科会の検討を踏まえて、このよう に盛り込まれたものであるかと理解しており、どこかに人材の育成に関しても、極めて 重大なことですし、また実際に家族以外の方で吸引等について担当いただける方に関し て、その人材の育成を図っていくことを盛り込んでおいていただくことが重要ではない かと考えるところですが、いかがでしょうか。 ○看護職員確保対策官  いま委員が言われたのは、ビジョン案についてということでしょうか。 ○伊藤委員  ビジョン案の中で、特に在宅ALSと極めて具体的に書き込まれているということで すので、看護職の方は看護職での人材育成を、極めて重要な課題として取り組まれると 思います。家族以外の者についても、在宅ALSに関しては訪問看護等によるという部 分で含みを持たせた表現ですので、これはあくまでビジョンの案ですが、将来的に実際 に関わりを持ってもらう方を育てていかないことには、現実問題としてニーズになかな かお応えできないということもあるかと思いますので、その辺りを質問しました。 ○看護職員確保対策官  ビジョン案について、ALSの方々についての記述が入っているのは、当然この分科 会で議論していることを反映していることは間違いのないところだと理解しています。  ただ、かなり長期的なビジョンで、そのビジョンの下にある当面の施策という構成に なっており、当面の施策として、いまのビジョンに盛り込まれたような表現になってい ます。ビジョン案としては、4月30日に公表していますので、その後さまざまなご意見 を承りながら、ビジョン案自体の検討が進められていくという段取りになりますので、 ビジョン案の今後の段取りの中でご意見として承れればと考えております。 ○星委員  いまの伊藤委員の発言は、とりようによっては本質論になってしまうので、気を付け て取り扱っていただきたいのです。「本来、看護職、あるいは医療職がやるべきだ」と 書いて、そして「当面の措置として」と言っている延長線上に、「そういう取り扱いを する人」というのは、どういう方を想定しているのかが明確ではありませんが、例え ば、それが家族以外の者に定義される人であって、何らかの医療の関連職種以外の資格 を持った人だと言うのだとすれば、むしろそれは書くべきではないと言うべきだと思い ます。 ○山崎委員  少なくともこの分科会では、そういう議論ではなかったと私も認識しております。ビ ジョン案はビジョン案でこれから議論に付すということですから、この分科会からの意 見ということではありません。 ○伊藤委員  私が質問したのは、ビジョン案の中で在宅ALSに具体的に言及したということが あって、その中で訪問看護師等による支援策の充実に努めていくのだということを、さ まざまな取りようもあります。それについて、この分科会との関係がどうなのかを、ま ず質問したということと、人材の育成という点に関して、医療職の、特に看護の部分で 山崎委員も何度もそのことについて指摘していたわけですが、人材育成ということに関 して、一部文言に盛り込むべき必要があるのではないかという質問をしたわけです。 ○看護課長  すでに報告書(案)の2頁の(2)で、「訪問看護サービスの充実と質の向上」とかな りのスペースを取って書いているつもりです。そしてビジョン案で「訪問看護師等」と 呼んでいるのは、訪問看護に従事している看護師、准看護師を想定しています。 ○前田座長  これは大事なものですので、文言を全部読んだ上で議論したほうがよかったのです が、長いもので飛び飛びに説明した関係もあって、課長の説明のように、看護の方で吸 引に携わる方の技術の向上のことをここに書き込んであります。もちろん看護・医療職 員以外が行うことを認めるということで、また認めた範囲で担当してくださる方にどう 教育するかということにも関心を持っているわけですが、今後看護の中でどういう任務 になっていくかに関してまでは積極的に踏み込んではおらず、この報告書ではそれ以上 は発言していないというのが、山崎委員、星委員のご指摘のとおりの線だと思います。 これからまた動いていくとは思いますし、現場からの動きで議論が盛んになっていくと 思いますが、報告書としてはこの線でまとめたということです。 ○伊藤委員  はい、その趣旨で今まで議論してきたところですので、座長のご説明もよく理解でき ますし、いろいろな見直しでもフィードバックがかかってくる内容かと理解いたしま す。 ○星委員  細かい文言になるのかもしれません。3頁の最後の○ですが、1つ気になるのは、 「保健所保健師等の難病患者への関わりが弱まった」とあり、前回読んだときも違和感 がありました。聞くところによると必ずしもそうではないという話もあります。「保健 所保健師」と書くから何となく分からないので、保健所保健師等というのは、まさに保 健所の機能のことを指しているのだと思いますから、保健所機能に期待をするのだとい う書き方をしたほうが分かりやすいのではないかと思います。  「弱まったという指摘もあるが」というのは、そういう指摘をしておられる方もある し、確かに議論として聞いたのですが、いろいろな所に聞いてみると、現状の機能の集 約化で難病対策に力を入れているという話も聞きます。現場は一生懸命やっていますの で、そのように書いたらどうかと思います。 ○前田座長  ご趣旨はよく分かるのですが、この文章はまさに「弱まったという指摘もあるが」と いうことで、弱まったということがこの会の指摘したいポイントではなく、こういう状 況もあるし、ALS患者の体制確立にとって、保健所がキーとして非常に重要な役割を 持っている。だから頑張ってほしいという趣旨になっているわけです。言い方でもう少 し直るのだったらいいのですが、保健所にもう少し頑張ってほしいというのを入れてお きたいと思います。それは星委員も同じだと思います。 ○星委員  私もそう思います。私も保健所へいたことがありますが、「保健所保健師等」と書か れると違和感があります。まさに保健所の対応というか、それぞれの専門を持っている 人たちの力の集約でやっているわけです。後ろの図を見ても保健所機能ということが書 かれているので、ここは保健所の機能が大切だと単純に書いてもらったほうがいいのか と感じます。 ○前田座長  大きな趣旨の違いではないので、もちろん直しますが、いまの議論を踏まえてという ことで、よろしいですね。 ○伊藤委員  いまの星委員の提案は、まさに私もそう思っていて、保健師の方々の活躍ぶりはこの 2、3年実に著しいものがあるわけで、それで看護師以外にも保健師が大事だとか、私 などはこだわりを持って発言いたしました。難病の最初の窓口が保健所であるという、 それがとても大事なことだと思いますので、そのように書いていただくのがよろしいと 思います。 ○山崎委員  関連です。星委員が保健所全体の機能と言われたニュアンスは非常によく分かるので すが、逆に保健師の立場から言いますと、難病の対策というのは、非常に動きにくい業 務の1つになっています。つまり、結核は結核予防法に規定されているなどいろいろな 法定業務になると、例えば、訪問のための交通費なども予算的に非常に得やすいわけで すが、難病は本当に業務がしにくい側面があるという現場の声もありますので、私は最 後の行の「保健所保健師が担うべき総合的な調整機能は極めて重要であり、今後とも調 整機能の充実強化を図るべきだ」というのは残して、きちんと保健所保健師について、 この分科会から提言をしていただいたほうが機能が果たせるのではないかと思っており ます。 ○前田座長  最終的に直す上で、いまの点に関して星委員のご意見を伺っておきたいと思います。 ○星委員  私が言ったのは、保健所保健師というのは機能ではなく、職の名前で、私は保健所の 機能だろうと思っています。ですから、保健所保健師の努力を否定するつもりはありま せん。ただ、これは保健所に勤めている保健師だからできる調整機能で、保健所保健師 という特別なものがあって、特別にファンクションするものが存在しているのなら別で すが、これは国語の問題で、私はそうではないだろうと思います。 ○前田座長  実質的には大別はなく、事実上、やはり保健所の機能、そこで働いている保健師の頑 張りが必要だということで、機能を充実する方向で考えていくという形で修文できれば 直させていただきたいと思います。この点はこのぐらいにさせていただきたいと思いま す。 ○伊藤委員  はなはだ細かなことですが、4頁の上から3行目の○の「なお、平成15年度から開始 される云々」ですが、平成15年度はすでに始まっており、平成15年10月から開始される のでしょうか、それとも平成15年度でよろしいのでしょうか。 ○菊岡補佐  平成15年度と考えていただれればいいと思います。通知については4月に発出してお りますので、10月ということはありません。 ○星委員  4頁の(2)の(1)も気になる表現です。これも表現の問題なのでしょうが、「在宅 への移行の判断は、医師の判断に基づくものであるが」と書いて、「患者の病状や患者 の療養環境も踏まえた、適切な退院時指導の実施を促進するため、退院時指導の基本的 な指針作りが必要である」とあります。これは3つのバラバラのことを1つの文章の中 に書いているので、大変分かりにくい文章になっています。  最初の、在宅への移行は、医師の判断に基づくのだというのは、そうでしょう。そし て退院時指導が適切に療養環境を踏まえて実施されることが重要だというのは、それも そうでしょう。でも、そのために行うことが退院時指導の基本的な指針作りなのかとい うと、退院時の基本的な指針作りが、適切な退院時指導の実施に直接繋がるものなの か、素朴な疑問です。言っていることは何となく理解できますが、現実に必要なこと と、「そのため」以降の必要であるということが重なっていないような気がするのです が、いかがでしょうか。 ○前田座長  私などはその辺の事情がよく分からないので、単純に退院時の指導の基本的な指針を 全国レベルである程度統一するのが、いまの地方分権の時代に合うのかどうかですが、 レベルの高い指針を作れば適切な退院時指導に繋がると読んだのですが、事務局から説 明してください。 ○稼農補佐  いまご指摘のあったところは、もちろん星委員が言われたように、適切な退院指導に 繋がるようにということが大前提で、最初の部分に、医師の判断に基づくものである が、より適切に退院指導に繋がる、促進するというために何をしたらいいかということ で、適切な退院指導に繋げるためには基本的な指針があって、それが適切な退院指導に 役立つような指針であればいいのではないかということで、ここにこのように書きまし た。 ○星委員  たぶん言葉の問題だと思います。退院時指導というのは、まさに退院時の指導なので す。ここで言いたいのは、在宅への移行をきちんとしましょう。そのときにはいろいろ な環境などに気を配る必要があります。それは非常にバリエーションがあります。しか し、それをうまく活用して、できるだけ入院から在宅へというのがうまくいくようにし ましょうということなのです。  そのためにやることとして、退院時指導の基本的な指針を作ることも、もちろん1つ の方法としてあるのかもしれませんが、それをすれば、これらのことがうまくいく。つ まり、移行の判断や移行への取り付けが非常にうまくいくのだということにならないの だろうと思います。ですから、そこを分かるように書き分けられないのですかと言って いるつもりです。基本的な指針というのも、かなり難しそうですが、これを作りさえす れば、入院から在宅への円滑な移行ができるのだというように見えませんか。私はそう ではないと思うのです。 ○稼農補佐  表現等を少し工夫させていただきまして、趣旨が明確になるようにしたいと思いま す。 ○星委員  これは時間的な経緯からすれば、在宅への移行に至るまでにどんなことが必要かを整 理するということがあって、退院時指導があって、在宅の療養生活があるわけです。実 は3つは連続しているが、いま議論しているのは退院時指導という、ある時点のものだ けを抜き出しているから大変違和感があるので、連続する3つの事柄が極めて大切だ。 それらについてみんなが理解し、在宅への移行がうまくいくようにしようということが ここに書かれるべき項目だろうと私は理解しています。 ○稼農補佐  いまの表現で、指針作りそれだけが目的化して、本来の全体の円滑な部分が、この言 葉に集約されて、かえって分かりにくくなっているのではないかという指摘だと受け止 めております。「指針」という文言が目立ってしまって、かえってそうなるのではない かというご指摘だろうと思いますので、少し工夫を加えなければいけないと思います。 ○伊藤委員  いまの関連ですが、診断のための検査入院などがあって、実際に診断をされ、そのあ と在宅へ移行される。また病状が進んで気管切開等をされて人工呼吸器を着ける、着け ないといろいろあるでしょうが、在宅へ移行されるという、入院から在宅への移行に関 しての基本的な進行を標準化するようなクリティカルパス、もしくはクリニカルパスの 作成というところは、いろいろ試みがなされているところですが、そういった在宅移行 への道筋を示すということで、私はここは退院時指導のみになりますと、一断面を捉え たものにしかすぎない。もう少し全体の流れを標準化するような試みが必要だと理解し たところです。 ○星委員  そういうことなのです。結局、退院時指導だけにこだわると、特に指針となってしま うと、「こうこうなったら出しなさい」、あるいは「出す条件はこれこれこうですよ」 ということが独り歩きをすると非常に危険だと思います。ですから、基本的には、在宅 が絶対にいいのだ、すべからく在宅に出すべきだという議論ではないわけです。そうい うことも含めて在宅への移行をする場合は、その移行に当たっての考えるべきことは必 ずたくさんありますよと。移行するのなら、そういう基本的なものが満たされている必 要がありますということだと思うのです。  いま言われたのは在宅に行くのが必然の流れで、ある条件が整えば在宅に移行すると いうことが、本当にそうなのか、そこは私たちはここでは議論していないので、そのこ とに立ち入ることはできないと思いますが、少なくとも指導の要件を示して、それが示 されれば、それに従って日本全国が「エイヤのドン」でやるのだということにはすべき ではないのだろうと思います。 ○平林委員  私は基本的に星委員の意見に賛成です。 ○前田座長  いまのことで事務局は、それを受け止めて文章をお願いします。そんなに長い文章を 加えろという趣旨ではないと思います。私は分からなかったのですが、指針作りだけで はというご指摘はよく分かりましたので、移行の判断の中身の問題にももう少し踏み込 んだ文章を書いていただくということで、この点はよろしいでしょうか。ほかにありま すか。 ○福永委員  5頁です。実際にはいちばん大きな問題になるかと思います。ALS患者に対する家 族以外の者の定義ですが、全体としてはヘルパーを主体にして考えている表現だと思い ます。どういう形で家族以外の者の定義を考えていたのでしょうか。極端に言うと、P T、OTなども含まれますか。 ○稼農補佐  基本的には原則として前置きのところ、医師及び看護職員が行うものとされてきたと いうことがありますので、その部分を逆に除いたという定義の仕方をしています。 ○福永委員  議論が噛み合っていないと思います。家族以外の者というのは、この図表でもそうで すが、医師、看護職員を除いて、家族以外の者と言ったら、私たちは主にヘルパーを、 ある程度頭に置きながらの議論だったと思うのです。例えば、在宅に行っているPT、 OTは多いので、PTやOTからも要望があったと思いますが、そういうことは含まれ るのかどうかを聞きたいのです。 ○医事課長  ここに明示している医師及び看護職員、それで家族ということ以外については、この 会でまだ特段議論しておりませんので、その部分については今後の議論だと認識してい ます。 ○福永委員  実際には、具体的には今回これがあった場合は、ヘルパーだけということになるので すか。 ○医事課長  だけということにはならないと思います。 ○福永委員  今日が最後の議論だとすると、この問題もありますし、かなり積み残した議論があり ます。実際はかなりALSに限定した話になってきたのです。私は筋ジスを対象にかな りの患者を持っていますが、当然筋ジスの在宅の患者の問題などには触れないで今まで きました。この会が今日で終わるとすれば、そういうのはいろいろな形で今後は検討会 などに繋がっていくことを考えておられるのかどうか。時間との関係を考えたときにど うされるつもりかと思ったのです。 ○前田座長  2つの非常に重い問題をご指摘になっています。第1点の、ここで言う「家族以外の 者」の意義ですが、医事課長が説明されたように、それ以上の議論はしていません。た だ、医行為であるから、医師、看護師以外はできないと言っており、家族は例外的に認 めたものについて、家族以外にも広げるというのが今回の趣旨で、その家族以外の者を どこまで詰めてというのは時間の関係でやり切れていないというのはご指摘のとおりで す。そこを詰めなくても一応報告書は、この形で出していこうという判断ですが、先生 はもう少し詰めておいたほうがいいという趣旨ですか。 ○福永委員  いや、時間との問題やいろいろ兼ね合いがあるでしょうから。ただ、これだけの表現 だと、読んだ方はヘルパーはもちろん、ほかの職種はたくさんありますから、そういう 職種についてはどうなのかという質問は当然くると思いますが、今回はそれについては あまり議論しておらず、「家族以外の者」ということでまとめるという形になるのです か。 ○医事課長  この報告書の時点ではそういうことになりますが、今後は必要に応じて検討すべきも のは検討したいと思います。ヘルパーだけではなく、ボランティアもこの会にも出てま いりました。そういう意味でこれ以外の方を限定しているわけではないということで す。 ○前田座長  ですから、ヘルパーに限定しているわけではないというのは一致していると思うので す。 ○平林委員  いま福永委員がおっしゃられたことは私も疑問に思っていたことなので、確認をした いのです。いま我々はホームヘルパーを対象として議論してきましたが、こういうまと め方をすると、ボランティアも介護福祉士も含まれるし、理学療法士、作業療法士のみ ならず、場合によっては臨床工学技士、言語聴覚士も入ってくるという形です。それ以 外の本来たんの吸引を認められていない職種の人も、この分科会の基本的な枠組みの中 で、すなわち個別的な医師と、個別的な患者と、個別的なたんの吸引を行う者との関係 の中で、一定の条件が満たされ合意がとられれば、それを妨げることはできないという 理解でよいですか。 ○医事課長  私はそう理解しております。 ○星委員  そこまで議論はしていないと思うのです。 ○医事課長  議論はしていないのです。 ○星委員  ただ、私は例えばOT、PTという職を持っていくわけではないという理解をしてい ました。少なくともヘルパーもヘルパーの業務として行くのではないということを明確 にしてきたわけで、たまたまその方がOTの資格を持っている、あるいはPTの資格を 持っていると考えれば同じだろうと思いますので、OT、PTが良いか悪いかというこ とを言った途端に、それを業として認めるかどうかという議論ですから、それはしな かったわけです。 ○前田座長  それは私の言い方も誤解を招いたかもしれませんが、療養士の方等について類型的に 議論したわけではないですね。ただ、先ほどの枠組みの中で、そういうものを取り外し て、ボランティアに近い形でやるのを拒否するわけでもないです。今回、基本的には ホームヘルパーの方々の活動を念頭に置いて、それにプラスしてボランティアの方も少 し念頭に入れていくようにした。それがこの検討会の前提事実で残りますが、論理的に は療養士の方が業としてやるのを入れるつもりは毛頭ないのですが、その方を排除する 必要もないというだけのことです。これ以上の議論はしていないので、ここで止めさせ ていただきます。  もう1つの問題は非常に重い問題で、ALS患者に限る問題なのかどうかということ で、この報告書の範囲内としてはこれが投げかけられて、我々は所与の問題として議論 してきたわけです。それ以外にいろいろ問題があるということが視野に入っていなかっ たわけではないのですが、これに関して意見があればお願いします。 ○五阿弥委員  議事録を見てもらえばわかるように、第1回目で冒頭からこの問題は指摘されている わけです。なぜ17万人の署名があったのか、私も言いましたし、ほかの方も言いまし た。ALSの患者だけではなくて、たんの吸引を必要とする方は大勢いるわけです。た だし、この会議ではALSに限って議論をしたのですが、当時、三浦補佐は、要は応用 可能かどうかは結論が出たタイミングで決断すべきだということを述べているわけで す。今回の議論は、どういう条件であれば家族以外の者がたんの吸引ができるのかとい うことを話し合って、一定の条件を作ったわけです。だから、これは基本形だと思いま す。そういう意味で、応用形をどこまで広げるかというのは、ここが議論の場ではなく て、国が常識的な判断をしてもらいたいと私自身は思います。 ○山崎委員  いまの2つの点については、この検討会はあくまでもALSに限定して議論してきた し、家族以外の者についても、「しかしながら」の○の所にあるように、今回これを極 めて限定的に開くということは、家族の負担軽減が求められていると。滞在型であれ、 24時間巡回型であれ、訪問看護職がケアできるのであれば、それは必要ないということ で議論してきたわけですから、家族負担を軽減するために、バックグラウンドはどうで あれ、どなたかがボランティアで吸引をする。しかも訪問看護計画の下に指導を受けて やるということなので、それはほかの職種に広げることではない。それから、あくまで もALS患者のということで議論してきたので、ほかの疾患に広げるのかということで あれば、それは担当課のほうで逐次1つずつ、新たに検討会を起こされるなり何なり処 理することだろうと受け止めておりますが、それでよいのですね。 ○五阿弥委員  私が言ったのは、これは国の責任でやるべきであって、検討会をいちいち作る必要は ないということです。基本形を作ったのだから、応用形は国の責任でやったほうがいい のではないですか。ALSだけというのは誰が見てもおかしいと思うわけですから、そ こは常識的に判断したほうがよいのではないでしょうか。 ○平林委員  5頁の「しかしながら」の所に絡んでいる議論だと思うのですが、これがあくまでも 一定の条件の下での当面の措置として、いわば例外的に一定の条件が認められた場合に 認められるという理解だと思うのです。そのときに、例外は例外だから、なるべく考え 方が他に及ばないような形で作るというのが、一般的なルールの作り方だろうと思うの です。そういう観点で見ると、いま我々が検討しているルールは必ずしも歯止めがうま く効かない、他に波及することを含んだルールを作っているということを少なくとも認 識したうえで、我々はこの検討会の結論を考えていかなければならないだろう。  それをどう使うかは厚生労働省の判断によるかもしれないし、あるいはこの報告書を 読んだそれぞれの方が、それをどのように理解されるかにかかってくるのです。ただ、 ルールを作る者としては、波及効果があり得るのだということを考えてルールを作るべ きだということはいちばん最初のときにもお話して、おそらく皆さんそういうことをお 考えになりつつ議論をしてきたのだろうと思うのです。私としてはそういうことを申し 上げておきたいし、その意味で前回、前々回から申し上げているように、私は本当にこ ういうルールの作り方でいいのだろうかという疑問を持っております。 ○伊藤委員  宮城県の所で説明したのですが、宮城県の制度がどういう目的で作られたのかという と、家族のレスパイトのためということで、一貫した議論を成したわけです。今回も同 じように家族の負担の軽減に関して議論を進めてきたわけですが、ALSに関して宮城 県でも「合理的なえこひいき」という表現が、委員の間で取り沙汰されたわけです。優 先順位をつけざるを得ない現実があるわけで、その中で知事が「最も大変な方から施策 を打ち出していきましょう」とおっしゃって、2年ほど検討を重ねたということです。 この会も最も優先度の高いものについての結論を明確にするのが第1の目的であり、そ れ以外にもおのずと優先度の高いものが出てくるわけで、それについては継続的に考え ていかざるを得ない。この会として、他のことについてまで議論することは、もはやで きないわけですが、他の事柄についても検討すべき課題はたくさんあるのだ、というこ とを改めて認識するということです。 ○福永委員  私は基本的には、先ほど五阿弥委員が言われたことに賛成です。臨床の現場では、確 かにALSについて議論してきたわけですが、患者はALSと筋ジストロフィー、SP MA等の病気がありますが、いろいろな形で在宅をやっているのが現実です。実際問題 として、リスクを含めて一定の条件等を議論してきたわけです。ただ、これがいろいろ なことに波及するのは、厚生労働省の責任の中であると思います。そうしないと、1疾 患ずつ検討会を開くというのは非現実的だし、また患者への説明の整合性もつきがたい し、その辺りは厚生労働省で考えていくべき問題ではないかと思います。確かにこの会 はALSを念頭に置いた形のルール作りとかリスクの問題等を検討してきたわけです が、吸引においてALSと筋ジスではどこが違うのかと言えば、現実的にはそれほど違 いはないわけです。だから、そういうことだろうと理解しているのです。 ○前田座長  座長なのであまり発言しないほうがいいと思うのですが、私も福永委員、五阿弥委員 と全く同じ考え方なのです。むしろALSに限って非常に典型的で、絶対必要で皆さん から文句の出ないものを作っていくことが、周辺で本当に必要な方に広げていく最短の 道であるという判断です。そのあと、これで基本形ができて、それに準じてどこの要件 を変えればいいかは、やはり厚生労働省にお考えいただきたい。また、考えていただけ ると私は思っているのです。もちろん、周辺でどこまで広げるかで、その周辺が曖昧に 漠としたものになっていくと、介護との限界などいろいろな難しい問題が出てきます。 ですから、いちばんはっきりしたところで動き出して、それに準じた形でどこまで広げ られるかというのが現実的な対応です。本当に微妙なところに広がっていくときには、 山崎委員がおっしゃったように、検討会を開かなければいけない場合も出てくる。た だ、ALSとほとんど同じだけ重大なものであり、必要性の高いものに関しては、それ に準じて広げていくのが筋であると思います。ただ、今回の検討会の説明の中にそれを 入れると、かえって混乱するという考えを私は持っております。 ○川村委員  6頁の最初の○の所に、いまのことを裏返した形で書いてあると私は読んできたので すが、いかがなものでしょうか。ホームヘルパーの業務と個別的な個人としての行動と の関係、それを業、またはもっと大きな役割分担としては今後きちんと考えていく必要 があるというところです。 ○前田座長  川村委員の意見も踏まえて、ここは今後の重要な検討の課題であって、業とか何とか というのに踏み込んだ議論はここでは控えておこう。ただ、そこの中ではいままでこの 場で議論されたわけで、これだけきちっとした記録が残っているわけですから、それを 踏まえて今後検討することになろうかと思うのです。私も指摘のとおりだと思っており ます。 ○五阿弥委員  6頁の最初の○は、たんの吸引のことを言っているわけではなくて、これは山崎委員 も平林委員も何度もおっしゃったことですが、要するに医療と介護のあり方の問題をも う1回整理する必要があるではないか。実際は介護保険制度の前にやるべきことを、国 のほうできちんとやっていない。ですから、たんの吸引はその問題の1つではあります が、例えば看護業務のあり方、介護業務のあり方も含めて、あり方を検討したほうがい いだろう。それについて、「必要であるという意見もあり」というのは非常に弱いわけ です。これでは結局うやむやにされそうで、ここは今後のいちばん重要な課題だと思い ますので、「議論が必要であり、これについては今後早急に検討すべきである」という 言葉に書き替えていただければと思います。その中で、医療と介護のあり方をきちんと 議論していただきたいと思います。たんの吸引の問題については、ここではALSだけ の報告書にしておいて、あとは厚労省が判断すべきことなのではないかと思います。 ○前田座長  私も勘違いしていたのですが、医療と介護の切り分けの問題を議論してからでないと 駄目かどうかについては議論があって、議論してからでないと先に進めないわけではな い、という意見はかなり多かったわけです。しかし、医療と介護の関係を議論しなけれ ばいけない、その必要性が高いということは、委員の間でも一致しているのだと思うの です。今後、可能であればもちろんこの議論は進めたいし、早急に始めたいという意味 でも、ここはあまり異論がないのだと私も思っております。 ○星委員  その点に関して提案があるのですが、今回の措置はホームヘルパーの業務として位置 付けられるものではない、これは何度も言ってきたことです。その話と「が」以降の話 が対応していないで、すごく変な場所に置いてあるのです。いまの五阿弥委員の意見も そうなのですが、これとは別なのです。つまり、この議論をするに当たってはこのこと が問題になったのだ。しかし、それは先送りにして、あるいはそれはペンディングにし て、この議論をしたのだと。「この議論」というのは、「たんの吸引」です。そして、 前の「この議論」は「切り分けの問題」です。その「この」が重なっていて、この文章 は非常にわかりにくいし、かつ誤解を招く作りになっています。「また、今回の措置 は」は、「なお、この取扱いについては」の前に入れるべきだろう。そして、「また、 この取扱いについては」、あるいは「この措置は」でもいいのですが、この次の○の 云々ということがある。  「が」以降の所は○を別にして、こういうことがあったのだと。これは「たんの吸引 」から外して書くなら「おわりに」の冒頭にきっちりと書いて、いまのような意見があ って、早急に議論することが必要だという意見で一致するのであれば、「早急に議論が 必要だ」ということであって、これをたんの所に書くからわからないのです。そのこと を提案したいと思います。 ○山崎委員  私も全く同じ意見で、「また」から「やむを得ない措置」というのはたんのことです ので、それは「今回の」という所だと思います。それ以降は、私は前回、「残された課 題」という形で明記してほしいと申し上げた記憶があるので、「おわりに」の辺りで整 理していただきたいと思います。  先ほど「医療提供体制改革」のビジョン案の話が出ましたが、8月以降、一般病床が 急性期と療養型と区分され、在宅とつながっていきます。「療養病棟、在宅への早期退 院」の所も臨床が重点化、効率化ということも明記されていることから在宅が拡大して いく。また、それらと並びで医療と介護の役割分担は平成17年の介護保険の見直しなど もありますが、ここでは議論してこれませんでした。また、これは医政局だけの議論で もないので、在宅医療、療養環境整備という形で膨らませながら議論を早急に進めてい ただきたい、というのがこの検討会の大方の意見ではないかと私は認識しております。 ○伊藤委員  全く賛成で、部局横断的な議論が必要な話ですから、それについては「今後の課題」 で明記するということかと思います。 ○前田座長  事務局、いまのまとめの直しは大丈夫ですね。 ○福永委員  同じ6頁の「医療機器・衛生材料等については、患者の状態に合わせ、入院先の医師 や在宅のかかりつけ医が必要かつ十分に患者に提供することが必要である」というの は、確かにそうなのです。ただ、うちも在宅をやっているのですが、これを患者の要求 どおりやると、いまの管理医療の中では病院は持ち出しで、やむなく患者に負担をお願 いしている状況が多いと思うのです。こういう書き方は当然と言えば当然なのですが、 管理料、指導料等、ある面では包括的なものを上げてもらわなければ、これに沿って病 院がやっていたら在宅は赤字で、やる人はいなくなる気もするのです。これはこのよう に書いてもいいのですが、そういう問題が含まれると思います。 ○星委員  いまの所の直し方を考えてきたのですが、「患者の状態に合わせ、必要かつ十分に提 供されるようにしていくべき」としてはどうか。「入院先の医師や在宅のかかりつけ医 は」という表現は、制度上から言ってもこの医者が100%責任を持っているわけではない 部分があるので、全体としてそういうものが揃う必要があるのだと思います。そのため には、いまおっしゃったような診療報酬の話も1つでしょうし、あるいは何らかの支援 制度は必要なのかもしれません。100%このお二方の責任にしてしまうのはかなり酷だ ろうし、現状の制度から言っても、100%この人たちの責任だとは言いきれないと私は 理解しています。 ○看護課長  この部分の記述については、新たな看護のあり方の検討会で、在宅での医療材料の供 給について2時間取って検討した結果、このような表現になったものをここへ持ってき ています。前回の提案でこのような表現にしておりますが、この「入院先の医師や在宅 のかかりつけ医が」という表現になっている部分は、在宅療養指導管理料をいただいて いる医師の責任においてというニュアンスです。 ○星委員  ですから、正確に書くべきだろうと思います。もう1つ、福永委員から話があったよ うに、それでは賄いきれないのだという議論があって、新たな看護の検討会でそうなっ たからと言っても、現場の医師、あるいは現場の医療機関がそれではもたないという話 をしているのだから、そのことを書き込むべきだろうと思います。ですから、それを私 は否定していなくて、福永委員も否定するとはおっしゃっていませんので、正確に書い てください。つまり、本当はいま言ったとおりなのです。指導料を取っている人が責任 を持ちますということなのです。ですから、ある意味ではこの「医師あるいはかかりつ け医が責任を持つ」という表現は誤りなのです。書くならそのように正確に書いていた だいたうえで、「なお、この場合にあっても十分な材料が提供されるような体制の整備 が必要だ」という書き込みをしてもらえれば、私たちは別にそれ以上のことを言うつも りはありません。 ○前田座長  いまの点は、親委員会が決められたことなので重いとは思うのですが。 ○川村委員  親委員会が決めたというよりも、ここについては事務局が担当部署と討論されて、そ の結果を書いていただいたと承知しおります。その議論がこうすべきだということでは なかったと思います。いまの制度ではこれだということで、そのように書いていただい たと思います。 ○前田座長  そうすると、その辺はご見解の相違があるということですか。 ○川村委員  実態がそれにそぐわないということは私たちも意見を出しました。 ○星委員  ですから、実態がそぐわないと川村委員がおっしゃったこと、私も覚えています。実 際としては十分でないのだということがあります。その原因が医療機関が必要なものを 猫ババしているなら、それはけしからんと言っていただいて結構ですが、そうでないと いうこともみんな知っているわけです。ただ、ここで1文そう書くと、かかりつけ医と 入院先の病院が一義的に責任を持って、100%出すのだというように見えるのは変でしょ うと。実際の制度とも整合しませんねと。そのことが整合するように書いたうえで、足 りない状況が起こっている原因はいくつかあります。その病院が十分でない対応をして いる場合もあるでしょうが、診療報酬が十分でないという意見もあるわけですから、そ のことは並べて書いたらいかがですかという提案です。 ○前田座長  ということで修文できますか。 ○看護課長  そこの所は可能だと思います。 ○前田座長  その点はいまの方向で直していただくということでいいですね。 ○川村委員  いままでの議論からうつりますが、カフマシーン、リモートアラームのシステム、メ ラサキューム(唾液用低圧持続吸引器)等、咳の代行をさせるような機器とか、唾液を 低圧で持続的に吸引する機器等を試しに使った患者さんから、その機器を継続的に使え るような希望が出ていますが、今は制度がありません。その前の○に「自動吸引器」が あったと思いますが、それだけではなくて、たんの吸引に関係してそれを容易にするよ うな道具も整理されるように期待するという話が出ておりますので、広げて書き込んで いただければありがたいと思っています。いまから新しく開発するという物だけではな く、既に輸入している物とか、リース制度に乗っているといった物についての助成で す。 ○前田座長  いまの点いかがでしょうか。医療器具の利用をより容易にするようなことですね。具 体的な器具名、その他を書くということではないですね。 ○川村委員  どういう書き方がいいかわかりませんが、皆さん方が試用なさってみていて良い物が あるのだということがわかっております。それを使っていただけるようにしたほうがい いと思っております。 ○稼農補佐  いまの所ですが、4頁の「機器の開発」に機器の新たな開発と普及の促進ということ が書いてありますが、ここで既存の機器についての普及ということが含まれるようにす る。後ろのほうは条件の所なので、ここは新たな機器の開発ということだけになってい ますが、この部分にそのほかの機器の普及という点を織り込んだ形の表現にしたいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○前田座長  4頁の(4)に入れ込むということですか。 ○川村委員  患者さんが読んで、「たんの自動吸引装置等」の「等」がもっと幅広いものだと理解 できる書きぶりにしていただけると、大変ありがたいと思います。 ○伊藤委員  これは前回も申し上げたのですが、いろいろな機器に関して、ことALSに関して非 常にプログレシブ、進行性のものであって、前倒しをして提供していただかないと甚だ 使い勝手が悪いということがあります。いまの座長のまとめ、あるいは事務局の答えに も関連するのですが、いろいろな機器を早め早めに提供するというニュアンスが伝わる ようにしていただくと大変ありがたいと思います。 ○山崎委員  別紙の図と、7頁の「医師及び看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施」と いう言葉の整理で、1つ目の○に「当該家族以外の者は、入院先の医師や在宅のかかり つけ医及び看護職員の指導の下で、(中略)連携を密にして、適正なたんの吸引を実施 する」とあるのですが、訪問看護計画その他、連携・協働しながら報告、同行訪問した りしてここをやると図の中に書いてあるので、もう少し書き加えるといいと思います。  2つ目の○の「吸引の範囲」で、前回意見を申し忘れていたのですが、「家族以外の 者が行うたんの吸引の範囲は、口・鼻腔内の吸引」、これはよいと思います。次の「気 管カニューレ内部まで」というのは、「カニューレ下端より肺側の」というのは大変危 険だが、「気管カニューレ内部まで」との切り分けで、あたかも気管カニューレ内部の 所まではリスクが少ないかのような書きぶりになっているのです。よく考えてみると、 気管カニューレに吸引のチューブを入れるということは、人工呼吸器を一旦外す行為で す。そうすると、これは家族がやっているからということではありましょうが、個別具 体に医師、訪問看護師等から指導を受けた者でも、人工呼吸器をいじる話になります。 しかし、カニューレ内部まで吸引していただかないと、患者自身は楽にならないという ことを考えると、この「気管カニューレ内部まで」という記述はやむを得ないかと思い ますが、これは人工呼吸器を外して、また戻すということで、むしろそちらの側面から リスクがないわけではありませんので、そのことがよく皆様にわかるように加筆をする とよいと思います。私ども医療人は、カニューレ内部というと人工呼吸器を一旦外すと すぐわかるわけですが、一般の方はそうではないかもしれません。人工呼吸器を着けた り外したりすることでのリスクは大きいわけですので、その辺がわかる形で加えるなり するとよいという感じがしております。 ○前田座長  そうすると、趣旨としてはカニューレ内部までを限度とするということで、これは致 し方ないけれども、その上の危険性を指摘するような文章を付け加えればよいというこ とですか。それは大丈夫ですね。その前に山崎委員から指摘のあった点は大丈夫です ね。 ○看護課長  グループ訪問等の具体を書くということですね。 ○前田座長  図と対応して書き込むということです。 ○伊藤委員  7頁のv)の3つ目の○に、「入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、 定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を適正に行うことができていることを確認す る」という文言があります。関連の別紙の図では、「訪問看護計画に基づく指導・同行 訪問・連絡・相談・報告」となっていて、これはおそらく「報告」に含まれる内容と密 接に関係すると思うのですが、訪問看護については、まさしく左にあるとおり書式を もって報告書を提出させていただく。家族以外の者の報告はどのような形でなされるべ きなのか。介護については介護の記録というのがありますが、記録と口頭をもって報告 とすべきなのか。左側の医師・看護師の場合に関しては明確にわかるのですが、訪問看 護ステーションに対して報告するというのは、どのような内容を想定しているのかにつ いて質問したいと思います。 ○稼農補佐  ここの報告のあり方というのは、家族以外の方と個別の訪問看護の看護師の間で、 「こういう報告をしましょう。こういう場合はこうしましょう」というのは個別具体的 にできてくるのかと思います。それを踏まえて、報告を受けた訪問看護師と在宅のかか りつけ医との間で、通常の報告との関係で整理をしていくという形になるのではないか と想定しております。 ○伊藤委員  個別具体的にということですね。わかりました。 ○星委員  これも言葉の問題で、7頁のv)の○の所と別紙の所ですが、1つ目の○に「当該患 者に対して適切な訪問看護体制がとられていることを原則とする」とあります。表にも ないのですが、これは訪問診療もするわけで、アンド・オアではないかというのが1つ で、私はそれを入れてほしいと思っております。  もう1つ、まさに言葉の問題ですが、「在宅のかかりつけ医」というと、私にはかか りつけの医者が家にいるとしか読めないので、何とか考えてくれと申し上げたのです が、どうも知恵がないようですから、「在宅の」を取ったらどうかというのが私のアイ ディアです。これはどう見ても、国語的に言えば家にいる医者のことを指します。  もう1つ大切なことを議論していただきたいのですが、もしかすると聞いている方に とっては腹の立つことかもしれません。ヘルシンキ宣言、あるいはさまざまな世界的な 医の倫理綱領、あるいはいろいろな所で言われていることがそうなのですが、世界的に 言って、当該患者が家族、あるいは実際に訪問に来てくれている人、あるいは医者の 方々に遠慮をして、本当は嫌なのだけれども、しょうがないからいい、と言ってしまう 同意を同意とは言わないと考えるのが普通です。そういう意味では、「患者との関係」 の1つ上に「文書により同意する」とありますが、文書で明確にすると書かれているの はここだけなのです。こう書いた報告書の案を見てきましたが、こういうことで本当に いいのかどうか。  つまり、端的な例を申し上げれば、本当はヘルパーにやってほしくない。しかし、家 族とヘルパーの間は大変うまくいっていて、「この方でいいよね」ということで同意を 取られて、本当は嫌なのだということがもしあると、これは倫理上も大変な問題になる だろうと私は思うのです。ここであえて「文書により同意する」と書いてあるから、私 はそういうことを気にしてしまうのですが、その辺りに関する議論は不要なのか、ある いは倫理的な側面からしておく必要があるのか。それは座長にお尋ねしたいと思いま す。 ○前田座長  同意の前に「在宅のかかりつけ医」という表現についてなのですが、「在宅の」を 取って「かかりつけ医」だと、入院先の先生が入ってきてしまうわけです。 ○看護課長  取るのは「在宅の」の「の」だけですね。 ○星委員  いや、「在宅の」を取ってしまっていいと思うのです。 ○前田座長  先ほどは「在宅の」を取るとおっしゃったので、そうするとまた紛れが出ますね。 ○星委員  いや、これは入院先の先生がかかりつけ医であることもあるわけで、実際に2人が同 一人物のことだってあるわけです。私もあまり言葉が上手ではないのですが、何とか考 えてくれというお願いです。ただ、私がこれを素直に読むと、何度も言うように、医者 が家にいるとしか読めませんので、読めるようにしてほしいということです。 ○医事課長  「在宅患者の」とか、「在宅患者に対するかかりつけ医」とか、「在宅医療のかかり つけ医」等、そこは工夫してみたいと思います。 ○前田座長  1つ上の「文書により同意する」ということですが、これは口頭の同意より文書によ る同意をきちっとという意味で作ってあると思うのですが、もっと真摯なというか、い ろいろな影響から自由な形で患者自身が同意を判断できる、あるいはそれを表現できる 場を特別に作らなければいけないのではないかという趣旨ですか。 ○星委員  ここでいう「文書により同意する」というのは、先ほど来出ている責任関係との話が 非常に深いと思うのです。何かあったときに、誰の責任に帰するのかという話で、例え ば医師がオーダーを出せば医師の責任になります。ですから、それではないですね。看 護師がお願いするわけでも、家族がお願いするわけでもなく、ご自身が家族以外の者に 対してお願いをし、それも文書で取っておくという形だけがここに書かれているわけで す。そういう形で、責任関係をその二者の関係だけにしておいていいのか、あるいはそ うでしかその議論を進められないのか。その議論をしてきていないのではないかという 趣旨でして、私はこれをどうこうしろということを申し上げているわけではありませ ん。この議論は足りないのではないですか。そして、自由な意思で同意することは、病 状の特性、あるいはいろいろな家族関係その他の中で非常に難しいことなのだというこ とは認識した上で、どうしてもここで文書で取らなければいけないのかということも議 論していないのではないかということです。 ○前田座長  確かにそこまで深く考えて、この文章が出来上がっていない面はあろうかと思いま す。ただ、先ほどの議論にもありましたが、基本形を示す、そして大きな枠組みとし て、どういう場合に例外的に医師、看護師の方以外で、しかも家族以外の方にたんの吸 引を認めていただけるかというときの柱としては、いちばん基本は患者自身の同意があ ることは間違いないわけです。そうだとすると、先ほど申し上げた骨格を示していくと いうのは、この文章の中ではオフィシャルな同意を取るスタイルとして、「文書による 同意」という書き方で表現しています。短い時間でほかにもっと書き込むことがあっ て、うまく直ればいいのですが。 ○川村委員  うまく直るということではないのですが、「文書により同意」というのは、私などは 直感的に、「お願いいたします」という文書があって、そこに自分の名前を自署すると いうイメージを持つのですが、この患者の方々がそういう署名をなさることは非常に大 変だと思うのです。そうした場合、星委員がおっしゃられたように、その方自身の発意 なのだということをどのように確認できるのかということは、難しいと思うのです。 ○前田座長  患者自身の文書による同意の具体的なやり方について、それは困難ではないかという 指摘ですが、星委員の趣旨もそういうことですか。 ○星委員  それも1つです。もう1つは、本当にフリーの意思でその同意がなされるかどうかと いうことが、保障されていないのではないかということです。つまり、「本当は嫌なの だけれども、しょうがないや」ということを私は強いるべきではないだろうと思いま す。あらゆる行為についての同意というのは、完全にそういうものから解き放たれた下 でするべきだという一般論がありますから、そういう意味でもかなり困難なことではな いだろうかということを申し上げているのです。例えば書くのであれば、「なお、この 際、代諾者について、あるいは自由な同意がなされる環境づくりについて配慮するもの とする」というような逃げ道も書くことは可能だと思いますが、議論していないので す。この議論は極めて倫理的で、かつその患者にとっても重要な話だと思うので、そう いう逃げ方をしていいのかということも一方で思います。 ○前田座長  非常に重い問題だと思うのですが、その点は何らかの形で「真意に基づく同意になる ような配慮をすべきである」のような抽象的な文章を入れざるを得ないのだと思いま す。川村委員が指摘された本人がサインできないというか、意思表示の仕方の問題です が、これは具体的なテクニカルな問題というか、それをどう具体化するかということ で、基本的な我々の考え方としては、患者自身の真意に基づく同意が必要であるという ことだけ申し上げて、それを具体的にどうするかは施行細則というと変なのですが、具 体的な適用の問題としてまたお考えいただく。我々も手術するときに同意させられる定 形化した形のものよりも、もっと血の通ったものが考えられるとは思うのですが、時間 的にそういうことまでこの検討会でやりきれない面があろうかと思います。 ○星委員  変なことを言うようですが、実は同意ということを言い始めて、特に文書でというこ とを言い始めると、さまざまな国際規範などにも、いつでもこの同意は取り消せるのだ ということが書かれているわけです。文書による同意を原則とするのだということ、そ して自由に「この人は嫌だ」ということが言える環境を作ること、あるいはいまおっ しゃったように、代諾者を立てなければできないという環境、あるいは意思の確認が難 しいという病気の特性、あるいは冒頭に申し上げたように、自らフリーに決断する、決 意をする、あるいは同意をすることが極めて困難な病状・病態であるということを少な くとも書いて、この同意は極めて慎重であるべきだということは明示する必要があるの ではないかという意見を持っています。 ○川村委員  いまの星委員の話は大事な所で、むしろこれがいちばんの核心かもしれないと思って おります。どう書けばいいのかと問われるととても困るので、ずっと考えあぐねていた のですが、星委員がおっしゃられたように、「なるほど、そのように表現するのだな」 と伺っておりました。是非、患者さんの自由な意思でこれが行われるように書き込んで いただきたいと思います。 ○前田座長  時間の関係もありますので、最後の「おわりに」の部分の意見を頂戴したいと思いま す。いかがでしょうか。先ほど指摘がありましたように、介護でどこまでやるかという 一般的な問題は今後の課題であって、取り組まなければいけないことは入れるという前 提で、「おわりに」の所はいかがですか。 ○平林委員  先ほど追加的に報告のあったことについて、どこで議論すべきかタイミングを見てい たのですが、うまいタイミングがないので、やはり最後の所にせざるを得ないので、質 問をさせていただきたいと思います。2つ答えをいただいたのですが、訪問介護ないし は介護保険との関係で、介護報酬上の評価を与えられないということについては当然だ ろうと思うのです。質問したのはそういう趣旨ではなくて、介護保険として、トータル で1時間半とか2時間、介護業務を行うという業務命令を受けてヘルパーが来ているわ けです。その中で、本来の業務でないものを行うことは、ほかの部分については介護保 険が支給されるわけですから、それとの関係でバッティングというか、うまく整理がで きなくなってしまうのではないかということを質問したのです。これは医行為であるか ら、それに対して介護保険法上の評価が与えられないというのはそうだろうということ で、あるいは質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、少し論点がずれた答えをいた だいたという感じを持っております。  責任の問題も、実際に悪い結果が起きたときに、業務上過失傷害とか業務上過失致死 という問題についての責任を聞いたのではなくて、いま我々が問題としているのは基本 的に医行為であって、医師法に違反する。医師法に違反するけれども、こういう条件が あれば違法性が阻却される、という流れの中で議論してきたと思うのです。そういう中 で、その条件を満たしていない場合が出てくるわけです。そのときに条件を満たしてい なければ、医師も看護師もヘルパーも、医師法違反の罪を問われることになるのでしょ うか。そのことを質問したのであって、これも私の質問の仕方が悪かったのかもしれま せんが、私が聞きたかったこととずれている答えをいただいたように思います。  それとの関連で、個別的な医師と、個別的な患者と、個別的なホームヘルパーとの関 係で、業務として行うのではないという枠組みの中で議論しているわけです。業務でな いとして、最終的に責任を持っているのは医者であると言ってよいのですね。要するに ヘルパーに吸引の方法等を教えることについての最終責任は医師が負うのだ、それは医 行為が行われるわけですから、医師が責任を負うと理解してよいかどうかを、最後にお 聞きしたいと思います。 ○成松補佐  訪問介護中にたん吸引を行う必要性が出てくることは、想定されうる事態だと考えて います。この行為自体は何かと問われれば、この検討会でも議論してきたとおり、医療 行為であり、かつヘルパー業務に当たらないと整理されています。たん吸引が行われな い訪問介護においても、いろいろなケースがあり、それを細分化していくと、一般に は、それぞれが訪問介護に当たらないようなケースを含み得るようなサービス形態です ので、そのような訪問看護と同様にたん吸引が途中に行われた訪問介護をどう整理する かということです。繰り返しになりますが、厳密に言えば、その行為は訪問介護の業務 に当たらないことになります。ただ、他のケースと同様に、全体として見たときに、訪 問介護の途中で行われているということで、個別具体的な整理にもよると思いますが、 報酬上は全体として評価していくのが実際的ではないかとは考えているところです。 ○平林委員  評価の問題ではなくて、簡単に言えば、ホームヘルパーはホームヘルプ業務を行うの だということで来ているわけですから、それ以外のことをして業務命令違反にならない かということです。 ○成松補佐  現状のホームヘルプサービスを見ていると、いろいろなケースがあると思います。卑 近な例で申し訳ないですが、息子のお茶もついでに出したというケースについて、その 行為があることをもってすべて駄目ということを申し上げるつもりはないと思います。 事業者も、そういったことについてあえて禁止するかどうか、ということを判断される と思いますし、禁止しないといった判断もあり得ると思っています。 ○稼農補佐  責任の問題については、医師法との関係でどう整理されるかということですが、医師 法の整理となると、個々具体的なケースにおいて、家族以外の方が行った行為のあり方 がどうだったのかということと、医師、看護職員に指導を受けながらやるわけですか ら、そことの関係でどういった役割で、どういった責任関係でやられたかということ で、個々具体的な関係の中で、どういう適用関係になるのかは定まっていくと思いま す。一般論として、それについてこうだというのは難しいと思っています。 ○前田座長  明らかに医師の指示に反してめちゃくちゃなことをすれば、それは医師法の問題等、 いろいろ出てくると思うのです。前にも申し上げたのですが、盲腸の手術でも204条の 傷害罪なのです。だけど、誰も盲腸の手術が犯罪だと思っていない。それは違法阻却さ れるからで、違法阻却が類型的に認められているからなのです。確かにたんの吸引は危 険な行為ですが、一定の条件で許される。許されているから正しいことをやっている。 ただ、許される条件についてあまりにも逸脱すれば犯罪になる。ただ、医師法の世界で 我々の業界の刑事の世界が踏み込んでくるような問題というのは、およそ考えられな い。人が亡くなったとき等の問題のときに出てくるということです。  たんの吸引が危険な行為だから医師法でカバーしているということはあるのですが、 それ自体をやることが本来悪いことで、特別な例外があるから許されるという感覚は ちょっと違うと私は思っています。もちろん、条件を決めてやらなければ非常に危険な ことになるから条件を決めるのですが、それをちょっとでも超えたら犯罪で、即処罰さ れる問題で、医師法違反の構成要件に当たってそれが発動されるかというと、それは ニュアンスが違うということだと思っています。 ○平林委員  この点は前から、座長と私の見解が微妙に違ってきて、傷害罪のことを問題としてい るのではなくて、基本的には医師法17条のことを問題としているので、考え方が傷害罪 の違法阻却の場合とは違ってくるだろうと思っておりますが、これはいいと思います。 それはともかくとして、ここに条件がいくつかあって、前回も少し質問しましたが、従 来の経緯を考えていけば、たんの吸引の範囲を口鼻腔内の吸引から気管カニューレ内部 までの気管内吸引とすると限定した場合に、現実問題として気管カニューレ内部を超え て、気管に入って吸引する人は出てくると思います。そのときに、それをどうやって、 誰の責任でチェックしていくのか、事後的なコントロールとかモニタリングを誰がどう いう体制でしていくのか。それはあくまでも個々の医師の責任において行うのか、ある いは全体として、こういう問題についてシステムを作ってチェックしていくのかという ところを知りたかったわけです。  答えは個々の医師の責任だということになるのだろうと予測していますが、別に医師 を信頼しないわけではないのですが、それで本当に患者の安全性が保たれるのかという ことについて私は懸念を持つのです。いちばん最初の議論から申し上げているように、 個々の問題としてではなくて、制度論として問題解決すべきだということで、私はずっ とそのことを申し上げてきたし、途中までは制度論としてどう問題解決するかという形 で議論が進んできたと思います。途中から個別的な問題として議論が進んでいきました ので、最後になるので時間を取るつもりはないのですが、安全性の確保ということを懸 念するので、そのことについて関連して質問と意見を述べさせていただきました。 ○稼農補佐  安全性の確保の面については、今回の条件の部分で最も大事な所だと思います。今回 の条件で、「療養環境の管理」から始まって、「適切な医学的管理」という所まであり ます。家族以外の方が行う場合には、入院先の医師やかかりつけ医からの必要な知識と 技術の習得ということがあります。通常、それで行われる行為については、三者間の連 携の下にやっていくということ。「緊急時の連絡支援体制の確保」ということで、「看 護職員、保健所保健師及び家族以外の者等の間で、緊急時の連絡・支援体制を確保する 」ということと、先ほど話題になった「定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を適 切に行うことができていることを確認する」、この一連の条件の中で安全性が確保され ていくべきではないかと思っています。 ○平林委員  時間がないのでくどくは言いませんが、それはもう十分承知しているつもりなので す。その中で、そのことがきちんと出来ているかということについて、私は第三者が検 証するシステムがないと、こういう問題を考えていく上では十分ではないだろうと思っ ています。それはまさに厚労省が行っている救急救命士の気管挿管のときには、第三者 の検証をどうするかということで、さんざん議論したわけです。それと同じように、あ る職種にしろ、ある人、あるいは全体として従来行われていなかったことが一定の条件 の下で行われる場合に、一定の条件が満たされているかについての検証可能性をきちん と確保しないと、3年後の見直しをするといった場合に、どうやって3年後の見直しを するのかということにつながってくるだろうと思います。そこのところを考えておく必 要があるのではないかということも思って申し上げたわけです。 ○医事課長  ちょっと私の理解が足りないのかもしれないのですが、7頁にも「在宅のかかりつけ 医」の表現は別にして、「入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、定期的 に、当該家族以外の者がたんの吸引を適正に行うことができていることを確認する」と いうことで、その専門職たる関係者が確認をするということでいけないのでしょうか。 ○平林委員  第三者による検証可能性ということを言っているわけですから。 ○前田座長  そうすると、特別にALSの患者の所に抜き打ち的にでも検査機関か何かが見にく る、というような制度を作らないと認めないということですか。 ○平林委員  いや、認めないということは言っていないのですが、そういうことが必要ではないで すか。3年後の見直しをすると書いてあるわけですから、そういうデータがなければ見 直しもできないわけです。そこのことは考えないのですかということです。 ○医事課長  通常の医療、在宅医療も入院医療も含めてですが、そういうシチュエーションという のは私はあまり知りませんので、皆さんに意見をいただければと思います。 ○前田座長  見直しのための資料というのはそれだけに限らないと思うのです。ただ、医療の場で そこまでやるのは、監視カメラ等をずっと置いておくというのはあるかもしれませんけ れども。 ○星委員  監視カメラとか検察官という話ではなくて、平林委員がおっしゃりたいのは、そもそ もこれはあくまで特殊な例だということを言っているわけです。ですから、私のアイ ディアとすれば、そういう例は少なくとも3年間、すべからくどんな状況になっている のかということが分かるような仕組みを、新たな特別に許可するときの1つの条件とし て、国が責任を取るなら国に報告してよこせと。そして、そのデータならデータを、き ちんと厚生労働省が整理をする。そして、その結果をもって次の議論をしようというよ うなものを入れておかないと、いま何件行われているのですか、その後どんななのです かということを言ったときに、何の検証もできなくなる可能性があるのではないか、と いう懸念だと私は受け止めたのです。ですから、これは個別の状況に委ね、そして、問 題があったときに考えますというようなやり方ではなくて、特殊な事情を特別な環境で 許すという状況をモニターをする。それは厚生労働省の責務としてこの中に書かれるべ きでないかということで、言われてみればそうかと私も思います。  もう1点、関連して、この条件の中で「家族の役割について」が私にもいまひとつピ ンと来ないのです。責任問題とも関連してくるのですが、家族の役回り、役どころとい うのがいまひとつピンと来ないのです。患者が家族以外の者に依頼するということが書 かれていますが、そのときに家族という者の役割はどうなのか、あるいは連携をしてい くといったときの家族というものはどうなのか。そういうことが配慮されるべきではな いかと思うのに、抜けていて、余計に不安になるのです。患者が頼んだから、オーダー して文書でもらったからという所に埋没しないような配慮が必要だということと、先ほ ど来おっしゃっているようなことが行われている現状自体が埋没しないような配慮が必 要だろうと思います。 ○前田座長  そういう趣旨だというのはわかるのですが、7頁の下の「医師や看護職員か、定期的 に、適正に行うことができていることを確認する」を、「確認して報告する」とすれば いいのではないですか。 ○星委員  いや、そうではなくて、誰が確認をするかというよりは、こういう行為が行われる状 況そのものが確認されるべきだ、ということを言いたいのだろうと思います。 ○医事課長  そういう意味では、例えば保健所などが一定の状況を把握して、見るといったことも 考えられるかとも思いますので、そこはそういう趣旨を反映されるべく考えてみたいと 思います。 ○星委員  もっと言うならば、届け出を出せと言えば、届け出を受理した保健所の責任になるの ではないかと思って怖がっているところがあるのかもしれませんが、そうではなくて平 林委員がおっしゃるのは、そういう特殊なものが行われて3年後の見直しをするには、 どういう所で、どんな環境で、どんな吸引が、どんな形で行われているということがわ かるように、少なくともそのことを行政は責任を持って調査しなさいということですか ら、その意見があったことは書き止めてほしいと思います。 ○総務課長  5頁の下にあるように、3年後の見直しのときに、今回の実施状況も踏まえてと思っ ています。いまの星委員の指摘はこの実施状況をどのように把握するかということです から、そこは私どもは3年間の経緯というのを丁寧に辿ってみて、必要な作業をして、 3年後の議論に支障のないように十分考えたいと思っています。 ○伊藤委員  トータル・クオリティー・マネジメントということで、要するにそのことを組み込め というのはシステムとして重要なことです。宮城県の場合は、それはたまたま保健所長 という形になっていますが、今回はそれではシステムが違いますから、そのことも含め て厚労省のほうで検討していただく必要があるということかと思います。 ○前田座長  あとはよろしいでしょうか。本日も非常に活発な議論をいただき、どうもありがとう ございました。今日、委員から頂戴した意見については、この場では完全には修文しき れない部分が残ると思います。つきましては、座長として私が責任を持って、事務局の 力を得てこの内容を報告書に反映してまいりたいと思います。それによって、この報告 書を完成させたいと考えております。そういうまとめでよろしいですか。                  (異議なし) ○前田座長  そういう形で報告書をまとめたいと思います。直したものについては、なるべく早 く、何らかの形で委員に目を通していただくようにしたいと思います。事務局から何か ありますか。 ○医事課長  本日も大変熱心にご議論いただきまして、誠にありがとうございました。先ほど座長 からのお話にもありましたように、本日の議論については、指摘のあった点について委 員とも調整のうえ、座長の加筆・修正の上、確認していただいて報告書として取りまと めたいと思っております。報告書として出来上がった時点で、各委員の皆様方には報告 をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これまで計8回、 本分科会に関してご尽力、ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。 ○前田座長  「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」を終了したいと思いま す。委員の皆様方、8回にわたって本当にありがとうございました。                                     −了−                           ┌───────────┐                           │照会先        │                           │厚生労働省医政局医事課│                           │課長補佐 稼農(内2564)│                           │(代表)  03-5253-1111│                           └───────────┘