03/04/15 第10回医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会議事録        第10回医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会                    議事録                         日時 平成15年4月15日                            10時〜                         場所 厚生労働省共用第7会議室 ○堺部会長  定刻になりましたので、「第10回医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会 」を始めます。  委員の皆様方には、お忙しい中をご出席くださいまして誠にありがとうございます。 一部の委員の方が若干遅れてお見えになりますが、本日は、委員全員のご出席をもって 検討部会を開催いたします。なお、梅田昭夫委員に替わりまして、新たに日本歯科医師 会専務理事にご就任になられました新井誠四郎氏に、本検討部会の委員にご就任いただ きます。新井委員、どうかよろしくお願いいたします。 ○新井委員  新井です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○堺部会長  では、本日の議事に移りたいと思います。  第9回では、これまでの議論を基に起草委員会で報告書(案)を作成していただきま した。そのご説明をしていただいて、さらに論議をしていただきました。今回はそこの 論議を踏まえて、さらにその報告書(案)を改正していただく。本日はそれについて議 論を行いたいと思います。  まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○宮本専門官  本日の資料は、資料1「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」報告書 (案)になります。また、本部会宛ての意見書等が4件ありますので、委員の皆様の机 上に配付しています。以上です。 ○堺部会長  それでは、これより議事に入ります。本日の議事の進め方ですが、まず前田起草委員 長より今回の報告書(案)をご説明いただき、その後質疑応答、ご議論を伺いたいと思 います。  前田起草委員長、よろしくお願いいたします。 ○前田委員  それでは、お手元に配付した資料1をご覧いただきたいと思います。この(案)は本 日最終的に確定して提出するということですので、ややくどい感じがするかと思います が、詳しめにご説明したいと思います。  1ページに目次が示されていますが、1部に事故事例情報の現状と活用の考え方を示 し、2部にそれを踏まえて具体的な取組みを示したという形で、いままでご議論いただ いてきたものをそのまま踏襲したということで、一部修正した所があります。その点を 特に強調しながら読み上げてといいますか、ご説明を申し上げたいと思います。  2ページ「はじめに」の所ですが、ここはほとんど修正はありません。ただ、基本的 な部分ですのでちょっと読み上げます。「医療の安全と信頼を高めるためには、事故事 例情報を適切に活用し、事故を未然に防止するとともに、事故が発生した場合にも、そ の情報を適切に取扱い、再発防止策の策定時に役立てることが求められている。しか し、事故事例情報については、その取扱いによっては、一方の当事者が法的責任の面で 不利益を被る恐れがあるなど様々な問題があり」、その後に一文が入っているのです が、「医療機関内では既に活用が始まっているものの」、という事実を加えて、「現状 ではこのような情報を取り扱う社会的な体制が必ずしも十分に整備されていない状況に ある」。この「十分に整備されていない」という所を踏まえてこの検討会が進められた ということです。「平成14年4月に医療安全対策会議において取りまとめられた『医療 安全推進総合対策』においても、この問題は、法的な側面も含めてさらに検討すべきと されている。また、国会等においても事故事例情報を医療安全対策に活用すべきである と指摘されているところである。こうした背景のもと、本検討部会は平成14年7月に設 置されたものであり、医療安全対策のさらなる推進のため、事故事例情報をどのように 活用すべきかという観点から、被害者の親族や患者支援団体、医療関係団体等のヒヤリ ングを含め10回にわたって精力的に検討を行い、今回、ここに議論の成果として報告書 を取りまとめたところである。今般の報告書を契機として、事故事例情報等を活用し て、医療安全対策がさらに推進されるよう切に願うものである」。という前書きになっ ています。  中身ですが、第1部「医療に係る事故事例情報の現状と活用の考え方」で、この「事 故事例情報の現状」の所、それから、2.「事故事例情報活用の基本的な考え方」に関 しては、前回の資料から変更がありません。また、この部分は、この部会発足時からい ままで長く議論されてきたことで、それの取りまとめで、何回か確認されているので問 題はないかと思いますが、この部分はポイントだけサラッと読み上げたいと思います。  現状としては、「医療事故が社会問題化する中、医療機関をはじめ、医療関係団体、 医薬品・医療用具等企業、行政、その他の多くの団体において、医療の安全と信頼を高 めるための各種の取組が行われている」。ということを踏まえた上で、「これらの取組 の中でも、近年医療機関等において積極的に取り組まれているのが安全管理であり、厚 生労働省においても、病院、診療所に安全管理指針、安全管理委員会、安全管理研修、 院内における事故報告等の医療安全確保を目的とした改善方策を制度化するとともに、 これに加え、特定機能病院等に安全管理者、安全管理部門、患者相談体制、の整備を制 度化してある」。ということです。  さらに、この部会で多く話題になりました「ヒヤリ・ハット事例を収集・分析し、そ の改善方策の実施により、同様の事故の発生を防止するための取組が進められている。 厚生労働省においても『医療安全ネットワーク整備事業』を実施しており、収集開始 後、約1年1カ月で3万5千件の収集を行った」、ということもここでご議論いただい たところです。  「さらに、一部の医療関係団体においては、事故やヒヤリ・ハット事例を関係者の間 で共有し、安全対策に活用する取組が先駆的に始まっている。しかし、事故事例を全国 的に共有し、安全対策に活用する取組については今後の検討課題だとされている」。と いうことです。  また、米、英など、諸外国にふれた上で、「世界保健機構においても、事故の発生頻 度の把握方法等を含め、現在、検討がなされている状況にある」。こういう状況の中 で、事故事例情報活用の基本的な考え方としては、これもここでは確定しているのです が、「医療政策上の最も重要な課題として、医療の安全と信頼の向上を図るための社会 的システムの構築が求められている。医療安全対策における最大の目的は、事故の発生 予防・再発防止である。このためには事故の原因を分析し、適切な対応方策を立て、こ れを各医療機関・医療従事者に周知徹底していくことが最も重要な対策となる。このた めには、事故事例情報が医療機関等から幅広く提供されることが必要である」。こうい うコンセプトで具体的に組み立てられるということです。「また、これと併せて医療安 全対策を進めていくためには、基礎情報として全国的な医療事故の発生頻度の把握が必 要である。さらに、医療安全の観点から、個別の医療機関に関する適切な情報が広く国 民に提供されることが必要となっている。これらのことから、情報を収集する目的とし ては、まず事故の発生予防・再発防止を最優先とし、さらに全国的な事故の発生頻度の 把握や、医療機関の安全性に関する指標の開発などの調査研究を行うべきである。これ らとは別に紛争事例への適切な対処も強く求められていることから、当事者の苦情や相 談等への対応も併せて検討していくべき課題である」。ということです。  それから、国民への情報提供も重要であるということを踏まえて、さらにその事故事 例の取扱いに当たってはこの問題の特性を踏まえて考慮すべき点を2点挙げています。  第1点は、「医療行為はそもそも人体に対する侵襲的行為であり、患者に望ましくな い結果が生じた場合にも、それが医療行為に起因するものか、本来の疾病によるものか 判断が困難なものが存在している。第2に、事故の再発防止・発生予防のためには、事 故の原因や背景等を含めてできる限り多くの情報を収集し、適切に分析することが最重 要であり、このためには、医療機関自らが分析・検討することが必要である、というこ とです。「したがって、それぞれの活用目的に応じて、適切かつ現実的な収集方法を具 体的に考えていくべきである」ということです。  これを踏まえて3.「医療安全対策の視点からの事故事例情報の活用方針」というこ とです。まず、発生予防・再発防止のための活用に関して、○1つ目「発生予防・再発 防止のためには事故を教訓として役立てることが大変重要であり、このためには医療機 関、医療関係団体のみならず、患者・家族等からも幅広く事故に関する情報を収集し、 それらを総合的に分析・検討した上で、その結果を事故の発生予防・再発防止に役立て るため幅広く提供する仕組みを構築すべきである」。  ○2つ目「事故の発生予防・再発防止の有用な情報を可能な限り幅広く収集するため には、医療事故の特性を踏まえると、収集範囲を厳密に区分せず、事故の原因や背景ま で含めた情報を収集することが必要である。また、改善方策の策定を行うためには、事 故を起こした医療機関自らが事故の原因や背景をできる限り掘り下げて分析した事故事 例情報の収集を行い」、ここが新しくなった部分なのですが、「ヒューマンファクター 等の要因も含めた分析を行うことが重要である」。この部分は前回から修正されていま す。  「このため、すべての医療機関を対象に事故事例情報を幅広く収集することが必要で ある。また、事故を防止していく上で有用な事例については、その内容を具体的に例示 した上で、それに該当する情報についてはすべての医療機関から報告を強く促す方策が 重要である」という文章にしてあります。  「一方、この際、事故の発生予防・再発防止を目的とする報告によって報告者が不利 益を被ることがあっては不合理であり、事故事例情報の積極的な報告も望むことが難し い。したがって、事故事例情報の活用の具体的な仕組みを構築していく際には、医療機 関や医療従事者が」、その後修正されていますが。「いやしくも防衛医療や委縮医療に 陥ることがないように、適切な対策を併せて講じていくべきである」。ということで す。「また、患者・家族等の個人情報の保護のための対策も不可欠である」。というこ とです。  次に、「医療従事者に対し、事故事例情報等の報告の意義やその責務の周知、事故の 分析や予防方策等に関する教育・研修を充実していくべきである。また、事故事例情報 等の提供が促進される環境の整備もしていくべきである」。ここの部分は前回から変わ っていません。  若干修正があるのは次の部分で、「さらに、事故事例情報等の収集・分析は行政や直 接の関係者から独立し、国民や医療関係者からも信頼される中立の第三者機関により実 施することがもっとも適切である」。これは一貫してこの委員会でご議論していただい たことですが、その中で、「医療関係者、法律の専門家に加えて有識者等の意見を踏ま えた適切な運営を行う仕組みとすべきである」。と、医療関係者と法律家以外に有識者 等というのを加えています。「そして、この第三者機関の分析結果は事故の発生予防・ 再発防止に役立てるため幅広く公表し、行政、医療関係団体、医薬品・医療用具等企業 等などの関係機関はその情報に基づいて必要な対策を検討するべきである。また、第三 者機関が、その知見を活用して、医療機関に対して技術的な支援をすることも必要であ る、ということです。  これらを踏まえると、「事故事例情報の活用に当たっては、現行の医療安全対策ネッ トワーク整備事業が参考になる」。「上記の対策を講じ、事故事例情報の活用を進める ものとするが、これと併せて、特に、重大な事例については、例えば、事故の分析体制 が確立されている国立高度専門医療センター、国立病院、国立療養所、大学病院に対し て報告を義務付けるなど、その収集の促進を図っていくべきである」。この部分は修正 が加えられている所です。「この場合、報告を求める重大な事例の範囲の所について は、今後専門家等の意見を聞きながら早急に検討すべきである」。ということです。  その次の所も新たに加えられた修正点ですが、「当面、上記の医療機関に報告を義務 付けるなどの方針で事故事例の情報の活用を進めるものとするが、今後とも、本制度の 充実を検討していくべきである」。ということです。これは従来のご議論を踏まえたも のであることは疑いないわけですが、文言上に若干修正が加えられています。どうして も文言に付随して、実質的にも動きが出てくる可能性がないわけではないのですが、基 本的にはいままでの考え方の枠で文言を修正していかないといけない。これは前回と比 較していただければと思います。いまの、最後の所が重要なポイントです。  次ぎに、(2)の「事故発生頻度の把握等」ということですが、これに関してはまっ たく新しい修正は加えられていません。全国的な発生頻度を把握し、さらに2番目に、 個別医療機関ごとの安全性に関する適切な情報の提供をいただくということ。それから 3番目として、「医療安全に関する必要な研究の推進」を行っていくべきである。それ はある意味で第三者機関とは切り離して行っていくべきであるというご議論だったかと 思います。ここは従来の議論から変わっていませんので、この程度にしたいと思いま す。  4.「個別事例の対応方針」に関しては若干の修正というか微調整があります。まず (1)「患者・家族からの相談等への迅速な対応」、これが再発防止と並んである意味 でもうひとつの柱だったわけですが、これに関しては、「患者・家族からの苦情や相談 に迅速に対応するシステムを構築することは、当事者間の理解の促進や紛争の未然防止 を図り、医療への信頼を確保する観点からも極めて重要である」。「すでに、医療機 関、地域医師会、患者支援団体等における患者相談は一定の成果を得ており、今後とも さらなる充実が期待される」。平成15年度から都道府県等に設置する『医療安全支援セ ンター』。ここは訂正という感じですが、『支援』という言葉を入れて「『医療安全支 援センター』においては、患者・家族からの苦情や相談等に対して、中立的な立場で当 事者間の問題解決に向けた取組を支援することとしているが、今後、事故の発生予防・ 再発防止の観点から、さらに以下の機能充実を図るべきである」。  「センターは、患者の視点に立った事故の発生予防・再発防止という観点から、寄せ られた事例を収集・分析し、医療機関へ情報提供するとともに医療安全への普及啓発な どを行う仕組みが必要である」。さらに、前節で述べた「患者・家族からの幅広い情報 収集の一環として、事故事例情報の収集に係る第三者機関に対して事故防止に有用な情 報提供を行うものとする」。それから、「センターは、当事者の求めに応じて専門家を 派遣し、事故の原因究明や改善方策等に関する指導・助言を行うことにより、当事者の 話合いを支援する機能も有効であり、今後、これらの実施に向けた環境整備を進めてい くことが必要である」。ということです。  さらに、最後から2つ目ですが、「近年の訴訟件数や紛争の長期化を考えると、裁判 外での紛争解決手段の充実が求められている。しかしながら、この場合、医療事故か否 かの判定、責任の割合の判断、訴訟の仕組等が整備されることが前提であり、これらを どのように構築していくかにつき具体的な検討が必要と考えられる。したがって、これ らの点については、医療をめぐる裁判外の紛争解決の現状や自動車事故等の他分野での 動向等を参考としつつ、別途、調査研究を行い、議論を重ねていくことが求められ る」。まさに医療紛争に関しての研究を第三者機関とは別個に進めていくべきであると いう提言になっています。  「このほか、厚生労働省医政局で別途設けられている『資料に関する情報提供との在 り方に関する検討会』における議論を踏まえ、患者・家族への診療情報を推進する」。 ということ。これはこの部会のやや範囲を超えていることですが、その議論を踏まえて 情報提供を進めていくべきであるということを、この部会として提言する、ということ です。  (2)「事故の発生予防・再発防止のための医療機関・医療従事者への対応」とし て、事故発生予防・再発防止の場合に、安全対策の徹底を図るのみならず、行政処分に ついて、医道審議会においての検討に触れて、さらに医療関係団体や学会が安全対策を 推進し、さらに自浄作用を発揮することを期待する文章です。ここの部分は、修正が加 えられていません。いままでのご議論をまとめてあるということです。  以上、第1部で実質的な議論、かなり第2部の具体的な取組と重なる形で記述してあ ります。それを踏まえて、ただ、第2部としては、やはり第2部として完結したものと しての取組として、やや重複する面がありますが、取組をまとめて書いているというこ とです。先の第1部に対応して、事故の発生予防・再発防止のための制度が1で、それ から、第2の柱が、患者・家族の相談体制の充実のためにどうするかということ、3が その他の国の取組ということです。これは先ほどの現状を踏まえて、施策ということ で、やや重複する部分がありますので、そこの部分は詰めて説明をしたいと思うので す。  新たに「目的」の所で加えられたポイントとして、3番目に「第三者機関によって収 集した情報は処分に用いないものとする」。という修正が加わっています。それから、 第三者機関、業務運営に関して、(2)○の1番目は従来の議論をそのまま受けたもの ですが、○の2番目、「第三者機関は、このような議論を中立・公正に行い、かつ透明 性を確保するために」、先ほどの議論で出てきましたけれど、「医療関係者、法律の専 門家に加えて有識者等を入れて意見を十分に聞くシステムを設ける」。という具体的な 取組、内容提言になっています。  (3)「収集の仕組み」は、これはやはり先ほどの現状の部分とほぼ対応して書いて ありますけれど、第三者機関は幅広く医療機関、関係団体、支援センター、患者・家族 から収集する。それから、すべての医療機関を対象にして厳密に区分せずに事故事例を 広く収集するというのが2番目の○で、そのときに防衛医療とか萎縮医療にならないよ うな配慮をしなければいけないということをその具体的な取組の中にも指摘してありま す。  改めて、ここでご確認いただかねばならないのが10ページの上の○でして、具体的な 事故事例情報の活用を進めること。それから、重大な事例についての収集に関して、国 立高度専門医療センター、国立病院、国立療養所、大学病院に対して報告を義務付ける ということです。その収集を促進させていくということです。  ただ、その次の○ですが、「当面、上記の医療機関に報告を義務付けるなどの方針で 事故事例の情報の活用を進めるものとするが、今後とも本制度の充実を検討していくも のである」と。当面は上記医療機関に限って義務付ける、しかし、充実を検討してい く、という書き方になっています。これは先ほどやや強調した部分に対応している取組 の書き方になっています。  相談体制も柱としては「医療安全支援センター」で行っていくということで、先ほど の話とほぼ重なってくると思いますが、修正点としては「医療安全支援」という言葉が 入っているということです。業務内容、運営、その他、先ほどの問題点の処理にほぼ対 応した内容ですので、お目通しいただければと思います。特に強調すべき点はないかと 思います。  (4)「今後充実強化すべき機能」として、センターは「医療機関へ情報提供すると ともに研修普及啓発等を行う」。それから、(2)「センターは事故事例の収集に係る第 三者機関」で、ここの「事故事例の収集に係る」という所は修正が加わっています。  さらに、先ほども読み上げましたが、「センターは当事者からの求めに応じて専門家 を派遣し、事故の原因究明や改善方策等に関する助言を行う」ということです。  あと、センターと切り離されて、その他の考慮上を中心とした国の取組として、第1 に、医療安全に関する情報の提供や普及啓発を行うということ。それから、いくつかの 調査研究を実施していくということで、厚生労働省が行っていく調査研究の第1の柱は 「全国的な事故発生頻度の把握」、それから、第2の柱が、12ページの3行目ですが、 「国民の適切な医療機関選択に資する指標の開発」ということです。「厚生労働科学研 究において、国民の医療機関の選択に資する医療機関の安全性に関する指標の開発に取 り組む」、ということです。  3番目「医療安全に必要な研究の推進」として、やはり「厚生労働科学研究におい て、医療機関における事故の原因や背景の分析手法等、医療安全の必要な調査研究を引 き続き積極的に進める」。さらに、先ほど出てきた裁判外の処理として、「調停や斡旋 等の裁判外での紛争解決を図る仕組の在り方に関する調査研究を実施する」という具体 的な提言を行っています。  その他の取組として、「事故の発生予防・再発防止のため、国及び地方自治体は引き 続き医療機関における安全管理体制の確保に係る指導監督を徹底する」。また、これも 先ほど触れた点ですが、「診療情報に関する提供の在り方や医師等に関する行政処分の 在り方に関する検討との調整を図りつつ、必要な施策を総合的に実施する」ということ を提言しています。  最後に「その他」として、医療機関、医療関係団体、患者支援団体における患者相談 の一層の充実を期待し、さらに医療関係団体や学会が会員の資質向上のため教育や認定 制度の充実を図る、それから医療安全対策が進展する、さらに自浄作用を発揮するとい うことを期待する、という形で実質的な内容を閉じています。  また、「おわりに」として、文言が若干修正されていますが、「我が国の医療安全対 策を推進するため、事故事例情報の活用方策について」と。この1行目の部分は修正が 加えられた部分です。「今後の方針及び対策を明らかにしたところである。厚生労働省 においては、これらの対策を確実に実施するために、必要な予算の確保、教育啓発活 動、規制を含む制度の見直しなどの施策を早急に取り組まれたい。また、対策の実施状 況を踏まえて、必要な見直しを講じられたい」。という要望で締めくくるという形に なっています。  一部まったくご紹介がなかったかどうかですが、そういう点を除いて内容的にはいま までのご議論を踏まえて、起草委員会として修正を加えてきたものだと考えています。 ご指摘の点がありましたらご議論をいただければと思います。  以上でご報告を終わります。 ○堺部会長  ありがとうございました。  それでは、これからご意見、ご質議を頂戴したいと思います。  本日はこの検討部会の最終回になると思いますので、すべての委員からご意見を頂戴 したいと思います。今回の報告案は、前回の報告案と比較すると若干、字句及び内容の 修正も行われております。その辺も踏まえて、特にこの所について質疑を行いたいとい う点がありましたらご発言をお願いいたします。 ○辻本委員  3頁の第1部の1の2つ目の○に「本年4月より特定機能病院等」とありますが、私 ども患者の立場として「等」ということをどう理解しておけばいいでしょうか。  また医療安全支援センターの業務の中に、当事者間の話し合いを支援するために、医 師等の専門家の派遣を行う、と11頁真ん中辺りの(3)にも書いてあります。これは患者 サービスへの担保になるのか、システムとして地域、2次医療圏に仕組として作ってい く方向性が担保されているのかどうか。2点伺います。 ○堺部会長  いまの辻本委員のご質問は、この4月から厚生労働省が始めていることの内容ですの で、事務局から、特定機能病院等の「等」の説明をしていただき、次にセンターからの 医師派遣の説明をお願いいたします。 ○医療安全推進室長  3頁の「等」から説明いたします。特定機能病院等の「等」は臨床研修病院です。 「等」とせずに「及び臨床研修病院」と書いても同じです。  10〜11頁の事故の原因究明や改善に当たる専門家の派遣の件ですが、この事業は本年 4月からということで、現在都道府県や保健所設置市、政令指定都市等に設置を働きか け、指導しているところです。この体制が4月1日からすぐに全国すべてというのは、 なかなか難しい点もあろうかと思いますが、専門家が各自治体において確保できるよう に、必要な研修等を国の総合支援事業、安全支援センターの支援事業として医療機能評 価機構において行うことになっております。今後研修、普及、啓発、事例の収集や提供 等を行っていく予定です。そういう中で、各自治体でこういう専門家を確保する。専門 的な能力を高めていただくことを通じて普及、定着を図っていきたいと考えておりま す。今後引き続き充実していくべき課題であり、その方向で努力したいと思っておりま す。 ○川端委員  いくつか質問があります。9頁の第2部に新しく付け加わった部分で、目的の3番目 の○は「処分に用いないものとする」という漠然とした書き方がされていますが、具体 的にはどんな方法で「処分に用いない」ということを確保しようとするのでしょうか。  同じ9頁の(3)の3番目の○が「防衛医療や萎縮医療に陥らないための適切な対策 を講じる」となっていますが、これも具体的にはどんなことを考えているのでしょう か。 ○堺部会長  それは今後の検討にかかっている部分もあろうかと思いますが、「処分に用いないも のとする」という言葉の意味はどういうことかというお尋ねですので、前田起草委員長 にお答えいただきたいのですが、いかがでしょうか。 ○前田委員  非常に広く見えるのですが、今までここで議論したように、情報を集める目的の第1 は発生予防・再発防止であり、そのために情報が第三者機関に集まりやすくするという ことで、処分に専ら用いるための収集の場ではないのです。それが先ほどの萎縮医療と いう所にもつながっていると思うのですが、処分の中に広く刑事処分も含めて、令状が 来て出さないのではないということは、はっきりしているわけです。基本的に、第三者 機関が処分に向けるための情報を集めるものではない。ここで集められた情報の目的外 使用は制限されているという趣旨を示したものです。厳密なところは事務局から補足し ていただくほうがいいと思います。  防衛医療や萎縮医療に陥らない適切な対策というのは、患者団体の側からも出て、議 論の中にも含まれていたものです。情報を集めることによって、角を矯めて牛を殺すよ うなことになってはならないのです。ただ、医療の側が心配している、そういうものに ならないためにどういう施策をとるか。逆に、それをやりすぎると情報収集の効果が 減っていくので、それはまさに今後の課題です。しかし方向性としては、ここでご議論 いただいた方向で動かしていくことは間違いないと思います。 ○堺部会長  今後の進め方等について、事務局で計画があるかと思いますので、それも含めて、い まの質問について補足をお願いします。 ○医療安全推進室長  ただいまご指摘の点は今後の検討課題になってくると思いますが、考え方として、事 故報告を提出したことによって不利益を被る、それによって結果的に情報の収集が滞っ てしまうということがないようにしなければいけないと考えております。具体的にその 措置をどういうふうに講ずるかについては今後の検討課題ではありますが、例えば匿名 化等の手段をうまく用いることもひとつの手段だと思っております。  いずれにしても、これから実施に向けて、事故報告を収集する第三者機関の性格や位 置付けとも合わせて検討していかなければならない課題だと思っております。 ○川端委員  11頁の(4)の1番目の○の(2)に「当事者の同意に基づき」とあります。この「当 事者」が相談した当事者の同意ということなら当然のことなのですが、紛争の当事者と いうことで、医療機関の同意も要るのだということを意味されているのだとすると、医 療機関側が拒否したときは第三者機関に報告できないことになってしまうのではないか と思うので、それがどういう趣旨かお聞きしたいのです。 ○前田委員  事例を別の機関に流していくためには、情報の発信源の同意が必要である、という原 則を書いただけです。特にここでは患者側の視点で書いてあると思うのです。患者さん に黙って情報を持っていくことはしないけれども、逆に、病院の側がそこで同意しない から外に出すなと言ったときにどうするか、というところをどうするか。事務局から補 足していただくことがあればお願いします。 ○医療安全推進室長  ここでの当事者というのは、業務の流れからいって、相談をしてきた方になるのでは ないかと思います。その具体的なやり方等はこれから、第三者機関の業務の運営方法の 中で、どんなフォーマットでどう情報を求めるかという具体的な所とも関係してくると 思いますが、基本的な考え方は「両方の」ということではないかという感じがしており ます。 ○星委員  最後がよくわからなかったのですが、医療機関の了解をとらなくても情報提供できる と理解しているのですか。それとも、医療機関の了解を必要とすると考えているのです か。ここでいう「当事者」は、訴えた人、情報を持ち込んだ人だけを指しているのです か。 ○医療安全推進室長  情報を持ち込んだ人を当事者といいます。 ○星委員  具体的に煮詰まってない事を軽々しく言ってほしくないのです。私は今、川端委員が おっしゃったようなことの心配もわかりますが、相談に応じて紛争解決に医療機関もい ろいろな意味で調査に協力した。その結果として有用なデータが得られたというものが 結局これらの情報だと私は思います。そういうものが医療機関の同意なしに出ていくと いうのはおかしな話だろうと私は思います。センターの機能は、あくまで中立的に患者 さんなり医療機関なりからの話を聞いて、紛争なら紛争の早期解決のために資するとい う立場で仕事をしていただくのでしょうから、患者さんサイドだけのことで、病院なり 医療機関の了解をとらなくていいのだというようなことは議論してないですね。議論な く、イメージでお答えになるとすれば変だと思いますが、いかがですか。 ○前田委員  ここで出てくる情報というのは、患者さんが相談に来て、センターとして処理したり して、医療からもいろいろ情報を出していただいたりするとして、それを今度設置する 第三者機関に情報提供するのです。第三者機関はかなり情報の秘匿性がきちっとして、 その使用目的は「発生予防・再発防止に有用な」ということなのです。その縛りがあり ますので、患者から、こういう事故に遭ったので、いろいろあって、場合によっては、 医療側はそんな情報を第三者機関に出してほしくないということがあるかもしれない。 そういうものも発生予防・再発防止という観点から、一応、第三者機関には上げておい たほうがいいという可能性はあるのではないかと思っております。いずれにせよ、その 辺のディテールについて議論を詰めたわけではありませんし、どういう形でどこまでを 第三者機関に持っていくのがいいかは今後の検討課題と考えていただくべきだと思いま す。確かに、どこでも議論してない中身の問題まで固まっているように聞こえたとすれ ば行きすぎだったと思います。やはり、医師の側の納得のいく説明がつかないものを出 すことはないということが前提です。趣旨は、なるべく第三者機関に再発を防止するた めの情報を有効に集める。ただ、パッとイメージしたときには相談を持ち込んだ方の同 意は少なくともなければいけないのではないかというぐらいで、固めたわけではありま せん。 ○堺部会長  センターの運用はいま厚生労働省及び都道府県が検討しておられますし、第三者機関 の運用は、今後厚生労働省を中心に進められていくと思います。その経緯の中でこの辺 が明らかになると理解しております。 ○岸委員  星委員に伺いたいのですが、不同意とされるケースというのはどういう場合を想定し ているのですか。 ○星委員  私は不同意になるケースを想定しているのではないのです。基本的にこのセンターの 機能は2人の当事者間の話し合いの支援である。その結果として、みんなにとって有用 なプロセスがあって、それをみんなで活用してもらいましょう。あるいは、患者さんか らの訴えがこういう場合にあるのだから、そういうものについての考え方をみんな整理 しましょうと、そういう意味で第三者機関に上げることについては意味があるし、その ことについて文句を言うつもりはありません。しかし、原則的に当事者というのは2人 いて、その間にセンターというものが機能としてあるときに、一方の同意だけをもっ て、例えば問題解決に積極的に参加した医療機関の同意が全くなしにそれが自動的に送 られる、という形は礼儀違反ではないかということなのです。なにも隠してくれと医療 機関が言っているのではないので、そのことは理解してほしいのです。 ○新井委員  大変わかりやすく、要領よくおまとめいただいて、委員各位に敬意を表しますが、1 点だけお伺いします。5頁3「活用方針」の2つ目の○の下から3行に「事故を起こし た医療機関自らが事故の原因や背景をできる限り分析した事故事例情報の収集を行い」 とありますが、これは「収集」でなくて「提供」ではないでしょうか。 ○堺部会長  事故事例情報の収集はこれから、どのような体制で行うかという検討が行われること になっておりますが、事務局のほうから説明をお願いします。 ○医療安全推進室長  この文章の主語が明示されていないので、少し紛らわしくなってしまったのだと思い ます。ここは全体として国あるいは第三者機関、集めるほうの文章で書いているために 「収集」となっておりますが、その直前に、分析自体は医療の現場でしていただくとい うことがどうしても不可欠です。その文章が入った結果「収集」の主語が不明確になっ たのだと思うのですが、その前の部分も含めて、全体にこの文章は第三者機関が集める ことを前提にして書いてあるので、こういう文章になっているのです。 ○星委員  11頁(4)の(3)に「センターは‥‥事故の原因究明や改善・方策等に関する助言等を 行う」とあります。事故の原因究明を直接行うわけではないと私は理解していますが、 日本語の書き方として、事故の原因究明を行うとも読めます。事故の原因究明は行わな い、その調停に類することはしないと言って始まったセンターのはずですので、そこら 辺の紛らわしさは是非とも訂正していただきたいと思います。  もう1点伺います。6頁に新しく出来た3つ目の○について、「事故事例情報の活用 を進めるものとするが、今後とも、本制度の充実を検討していくべき」という書き方が してあります。それについて私は異論を唱えるつもりはありません。確かに制度を充実 して、再発防止に資するデータがより多く集まることを願います。ただし、その1つ上 の○の2行目に書いてあるとおり、「事故の分析体制が確立されている医療機関から義 務付けをして集める」から価値があるのだということを念頭に考えなければいけない。 そのためには、義務付けることを広げていくという制度の充実を考える前に、事故事例 分析体制が確立されている医療機関を1つでも増やしていくような支援方策があって、 その上でみんなの役に立つ情報がみんなの役に立つ形で集まる、そういう意味での制度 の充実を目指すのだという理解をしてもらう。単純にこの義務付けの範囲が広がってい くのだという理解では、思ったような方向には行かないのだろうと私は思うのです。  ここに書いてあるものを見れば、すべて国立であり、大部分国のお金でリスク・マネ ージャーなどが配置できる医療機関です。一方で中小の医療機関は、そういう人たちを 養成するために研修に出すことさえ厳しい状況で頑張っている医療機関もあるわけで す。  最後に、予算的な裏付けとありました。私はずっとお金の話はしないできましたが、 本当に価値ある情報を集めて事故防止に取り組むのだというのであれば、もっとそうい った意味での制度が充実するようなお金を是非とも用意していただいて、そういうもの によって前に進めるような書き方も考えていただければありがたいと思います。 ○堺部会長  13頁の「おわりに」のところに、「必要な予算の確保、教育啓発活動」などという文 言がありますので、これは全体を包括するものだという理解ができるかと思います。そ れでは今までご発言のなかった委員の方々からご意見を頂戴したいと思います。三宅委 員、よろしくお願いいたします。 ○三宅委員  これは全体に比較的よくまとまったのではないかと私は思いますが、具体的な中身に ついては今後検討すべき問題がたくさんあると思っています。殊に第三者機関の機能に ついては、これから随分議論される必要があると思います。しかも、「医療安全支援セ ンター」からの情報も入ってくるということになりますと、富士見産婦人科の事件のよ うな情報がもし支援センターから入ってきたときに、第三者機関としてどういう処置を していくのが本当に適切なのだろうかと考えますと、第三者機関が何らかのウォッチャ ー的な働きも必要だという気もします。ただ、その中身についてはこれから検討すべき ことだろうと思います。 ○星委員  一言申し上げます。議論のあった所はいくつかありました。そして、医療界全体に大 きなインパクトのあることも確かでしょうし、それは重く受け止める必要があると私も 考えています。ただ、「萎縮医療に陥らないように」と2回書かれているように、私た ち自身がこの問題に正面から取り組んで、決して患者さんに不利益が発生しないように することを是非とも担保できるように、今後の制度設計や第三者機関の在り方などにつ いて検討してほしいと思いますので、是非ともそういうことを記録に残していただきた いと思います。 ○樋口(正)委員  私は起草委員でしたので、大きな意味では全然注文はありません。しかし、私は診療 所の立場なので、角を矯めて牛を殺すようなシステムにならないようにしていただきた いのです。  また、社会一般にこういう制度が出来たことがPRされた時点で、サブシステムとし てのインターネット情報が周りで動いて、足りない所はそこで補完されていくのではな いかと思っております。 ○樋口(範)委員  私は起草の過程には携わっておりませんので、起草委員の方々がいろいろ苦労され て、こういう形でまとめていただいたことに委員として、また個人として感謝申し上げ ます。一歩でも二歩でも前進を図るという点で、何らかの意味のある報告書になるので はないかと期待もしております。  その上で少しだけコメントをさせていただきます。私は大学でアメリカの法律を教え ていて、少しアメリカの医療を勉強している人間です。  アメリカのものについて一言だけコメントします。そんなに単純なものではないと 思っているのですが、そういう注意書きの上でものすごく単純化して言うと、医療事故 に関する不法行為になる場合、裁判になれば、加害者と被害者という形で対立構造をつ くってしまいます。しかし、実はお医者さんだって、自分が行ったことに対してではあ りますが、被害者です。こういう事態は両方にとって望ましくない。できるだけそれを 少なくし、無くすることが理想だという点では一致できるはずのものです。  ところが、個別の事例になると加害者と被害者という話になります。アメリカのやり 方をものすごく単純化して言うと、全体として医療事故を少なくしようということで、 個別事例の訴訟の所でできるだけ解決しようとしているのです。医療過誤訴訟というも のを広げていって、その中でどんどん対立させて、そこで情報を明らかにして、こうい う問題があるのだということを広く世の中に知らしめて他山の石にする。関係のない患 者であれ、医療機関であれ、我々も気をつけよう、という形でつくっているのだと思う のです。  ところが、うまく全体が機能しているかというと、そんなことはなくて、ひとつに は、向こうの統計調査では、医療過誤訴訟、本当の医療過誤は8〜10倍あるのだといい ます。ただ、アメリカの訴訟社会であっても、全部が訴訟になるわけでもないのです。  他方で、訴訟という形になると対立しているわけですから、不利な情報はできるだけ 隠そうとする、出さないようにするわけです。アメリカの場合はディスカバリーなど、 どうしても出せという制度があるので相当程度出てくるとは思いますが、しかし出さな いようにするという構造になるわけです。訴訟だけでうまくいっているかというと、そ んなことは絶対にないわけで、それはアメリカ人もよく知っています。  そうすると、もう1つの制度構築が必要です。訴訟も絶対必要ではあるのですが、そ れ以外の制度構築で、今回のような、第三者機関をつくって両方が望むような状態をつ くり上げようということです。  長広舌をふるって恐縮なのですが、ひとつの考え方は、個別の事例と全体的な医療の 質の維持・向上、医療事故の減少、そういうことにつなげる話とをどうやってつなげる か。頭の中だけで考えますと、民事も刑事も含めて、個別の事例での裁判が終わった段 階で、両当事者はすっきりはしないと思いますが、裁判という形で個別の事例は終わっ たので、あの事故はどうして起こったのか改めて考えてみよう。そして、できるだけ同 じような事故が起きないようにしようという形で時系列に従って切って、その後みんな で一緒になってその情報を共有して、いい方向に持っていこうではないかと、そういう ことが頭の中で考えると本当は可能であるのですが、同じような事例がまた起きたらど うなるのだということになるから、裁判が終わるまで待っていられないわけです。そう すると、時系列を異にすることができなくて、同時並列的に行わざるを得ない。そのと きにいろいろな矛盾、難しい問題が出てきて、今回のような報告書で今後の検討課題が たくさん出てくるという話になるのだろうと思います。  11頁で今問題になった、センターから第三者機関へのつなぎ方の話です。今言った個 別事例の問題と全体的な理想の話とのつなぎ方の問題と見ると、ここでは「当時者の同 意に基づき第三者機関に情報提供する」「事故の発生予防・再発防止に有用な相談事例 について当事者の同意に基づき」とあるのです。  第三者機関への情報提供の仕方は、先ほど匿名化という話もありました。考え方によ っては、なぜ当事者の同意がそもそも要るのだろうか。センターが個別の相談事例から 発しているものであることはわかるのですが、一方で今日の報告書を見ると、医療安全 の支援をまさに全体として行うような機関として位置付けたいということもあるのであ れば、具体的な事例では、当事者にもちゃんとお話した上で第三者機関へつなぐほう が、システムの円滑な運営という点ではいいと思うのですが、それを原則とする必要が そもそもあるのだろうかということすら考えてみる必要があって、もし今後の検討課題 に入れてくださればありがたいと思います。 ○長谷川委員  全体の印象としては、これまでの議論を踏まえて随分わかりやすくまとめていただい たと思っております。特に、目的も性質も対応方法も違う事故事例を集めて分析すると いう部分と、個別の事例に対応するという部分を明確に書き分けておられます。また、 事故を集めて分析するという部分もこれまた、個別の間違いや事例を分析するという部 分と疫学的に全体像を把握して対応するというように書き分けておられて、非常に明確 かと存じます。  そのように考えていきますと5、6、7、8頁の部分が肝になってくるかと思われる わけですが、特に全体の報告書の目的が事故の予防と考えるとすれば、5、6頁に書か れていることは非常に主になると思うのですが、他の委員もおっしゃっているのです が、もっと踏み込んで情報を集める第三者機関の性格や権限、あるいは使える資源がど うなのかということは、まだもう少し不明確か、という印象を持ってはおります。  特に情報をどう集めるか、どう分析、学習するか、その結果をどうフィードバックす るかということについて確かに書いてはあるのですが、少し不明確かなと。  今回随分議論がありましたが、集めるということと分析するということについて矛盾 している。集めるためにはなるべくオープンにしないということが重要ですし、分析を して公開することについてはオープンにする。言外の意味等で5の真ん中ぐらいに「不 利益を被ることはない」と書いてありますが、もう少し踏み込んで明確に、今後の第三 者機関を考えることについては、こういうことを検討すべき課題があるということをい ちばん最後にまとめたほうがいいかなと。例えばさっき申し上げた情報に関する法的保 護の云々かんぬんの課題ですとか、分析方法も有識者という形になっていますが、工学 関係の方は非常に重要と思っていますし、どういう構成でメンバーを決めたらいいかと いう数の検討などです。  それから、フィードバックも意外と単純ではなくて、例えば分析をして、緊急に対応 するべきことですとか、企業に対応するべきこと、施設に対応するなど分析の機会によ っては内容が異なりますから、特にその部分がいちばん書いていません、分析した結果 をどういうふうにフィードバックするかという部分。現段階で書けない部分もあるかと 思いますので、いちばん最後にその辺のことを検討していくということを書かれたほう がいいかという印象を受けました。しかし、非常によくわかっていらっしゃる。  もう1点。個別のものに関しましては、相談者をトレーニングしたり、公報をフィー ドバックしたり、特にその内容から医療機関にもフィードバックすると書いてあります が、実は相談員そのものもこの相談を介していろいろ勉強していくという課程があっ て、全国的な相談事例の検討、相談ではなくプールをつくってフィードバックするとい うことも書いたほうがいいのではないかと思います。以上です。 ○辻本委員  私も起草委員のメンバーに加わらせていただくことができて、起草委員の方々が患者 の側の声ということをしっかり受けとめていただいたことを、大変うれしく思っていま す。そして、本当にいよいよまとめの作業になってきたわけですが、だからといって医 療事故がなくなるわけではありません。  ただ、患者が相談できる、不安・不満の解消の第一歩を踏み込める受け皿が整備され ることで、問題を共有することができる。そのことで、患者さん側に意識改革も進むで あろうという期待を、大きく持っています。ただ、病院の相談窓口においても、さらに は都道府県の医療安全支援センターなどの窓口においても、やはりまだまだ医療現場の 方々の姿勢という問題に、患者が十分安心できる状況がないのも現実です。  特に都道府県二次医療圏ということで、例えば保健所などの役割ということが地域住 民にいまですら十分に理解されていない中で、新たな役割が敷設されるわけですが、そ のことがいかに住民のプラスになるのか。新たな直接サービスのPR活動も期待したい と思います。もちろんそんな方ばかりではないと思うのですが、公に胡座をかいたよう な姿勢の対応という苦情が、私ども民間の相談にも現在すでに届いている状況がありま す。そうした方々の意識改革ということのさらなる教育啓発を、大いに期待したいと 思っています。あくまでも患者さんの自立の支援、患者が医療参加することで協働す る。医療者との関係を構築する中で安全、安心ということを共に築いていく。そうした 新しい医療文化をさらに日本の医療の中に普及し、そうした意識を両者が持てるような 支援システムとして活用されることを是非期待したいと思います。 ○黒田委員  起草された各先生方、ご苦労様でした。  ただ私の感想は、前途多難であるなという感じをしながら、この報告書を読みまし た。何となれば医療過誤を減らそうと思っている、というのはもういま始まったことで はないのだと思います。スイスイいければ、こんな報告書はいらないのだと思うので す。スイスイいかなかったからこそ、こういう報告書がいるのだろうと思うのです。  大変難しいのは、今後どうなっていくのかという中で、第三者機関ということを私も 申しましたけれども、第三者機関というものは何となくもう幻でできてきて、オールマ イティーで解決をできるものではないのだろうと思うのです。そういう意味で、第三者 機関というものは具体的にどんなものだろうかということは、どうも表れてこないし、 そのワークロードはどうしてだろうか、一体こういうことになる人はいるのだろうかと いうのは、委員として大変何か無責任なことを言ってしまっているのではないかという 感じがしないではない。問題は先ほども川端委員からお話がありましたように、9頁の 1の目的の所に書いてある処分に用いないもの、これは大問題だと思いまして、これで 他の事故調査とかがうまくいかない歴史を日本は持っているわけです。責任の問題の処 分というところにどうしてもつながっていく。これを簡単に用いないものとすると書い たら、いままでの法的な日本の歴史が変わるのだろうかということを書いていいのかな という感じがします。  それから、先ほどのセンターの所で、当事者との同意に基づきという、こういうこと がうまくいかなかったからいままですんなりと動いていなかったのだろうと思うので、 こういう辺りに大変引っかかりが出てくるだろうという気がします。  12頁の研究の所で、医療機関選択に関する指標の開発、これは研究としてはいいかも しれませんが、評価される医療機関の方々はどう考えて、それが正しく評価される形に なり得るのだろうかということがあります。12頁のいちばん最後に書いてある自浄作用 がしっかりと効いていれば、こういうトラブルはあまりないのだろうと思うのですが、 これは一体この委員会は期待をすればいいのですか、自浄作用というのは、どういうこ とをするのかということが、どうもこの報告書を読みながら、ちょっと無責任のグルー プに入ってしまったかなという感じを私はすごく感じます。  いずれにしましてもこの新しいシステムを動かしていくときに、いろいろな問題、と きに感情的な問題があったり、利益関係の問題があったり、いままで動かなかったとこ ろにひとつの解決の手を加えていることは事実です。こういう形になりたいと我々は 思っていますがうまくいかないだろう、いろいろなところでぶつかってくることが出て くるでありましょう。是非とも11頁のその他の国の取組等という3番目の項目の中に、 このシステムの品質管理の上からいきますと、plan−doまでやろうとしているわ けです。check−actionなのです。うまくいかないところをどうやって改善 をしていくかという機能というものを、是非とも国かどこかにフォローアップしていけ るようなものを付け加えてもらえると大変ありがたい気がします。以上です。 ○岸委員  私も起草委員の一人ですので、この報告書の案文そのものについては特段申し上げる ことはありませんが、黒田委員がご指摘のとおり、医療というのは純粋科学ではありま せんし、極めてさまざまな職種の方々との利害相反する分野でありまして、なかなか強 権的なひとつのシステムをつくるのは難しいということを黒田委員にご理解願いたいと 思います。  それでもなおかつ引っかかるところがいくつかありますが、先ほど黒田委員もおっ しゃいましたが、基本的にこの制度の根幹となる第三者機関なるものの性格が依然とし て曖昧であるというのは、私は最大のウイークポイントであると思っています。これが どの程度の権威を持ち得るかというのは、やはりまず1つは事務局スタッフの充実が必 要であろう。さらにその上で第三者機関を構成する人々たちの、かなりの見識というも のが問われる。極めて権威があるものでなければ、このシステム全体がまず立ち行かな いだろうというのが1点あります。  それから、我々の今回の直接の議論の中身ではありませんが、そのシステムの大きな 要素になっている都道府県の医療安全支援センターでありますが、これは地方交付税で 見るということだそうですので、となれば自ずから都道府県によって大変なばらつきが 出るだろう。ほとんどろくすっぽ機能しない都道府県も出てくるだろうと思います。お そらく我々がああでもないこうでもないと議論していたようなレベルにまで達しないよ うな都道府県の支援センターも出てくるだろうと思います。  これまでさまざまな地方自治体の組織を見ていきますと、国の予算が付いたからとい うことで、自治体職員の天下り先にしてみたり、あるいは退職間際の人物の当てポスト にするということをやってきた歴史があります。まさにそういう職場になるのではない かという、非常に強い危惧をこの医療安全支援センターには覚えています。  最後にもう1点、いまおそらく我々が医療安全でまず早急に求められているものは、 たぶん病院内の安全確保体制をどういうものにするべきなのか、ということだろうと思 います。やはりモデルケース、それは人的な配置、あるいは病院内の機構としての位置 付け等についてのひとつのモデルケースを、早急に検討して提示しなければ、おそらく 依然として病院でバラバラに安全対策は講じられてくると思います。  これまでの議論の中でも、医療関係の皆さんから安全対策には金がいる、という指摘 がありました。私も医療が安全であるのは当り前であろうと思う反面、これまでそうい う視点で病院経営がなされてこなかったことを考えれば、それなりの体制をつくるには やはり金が必要になるだろうと思います。そういうモデルを1つ提示して、そういう人 的配置、システムが構築された場合においては、診療報酬で何らかのことを検討すると いうこともあってよかろうかと思います。そのようなことをつらつらこの10回の検討会 の中で感じていました。議事録の中に残しておいていただければ幸いだと思います。以 上です。 ○川端委員  医療事故の情報を集めて、それを今後の再発防止のために使うということは、当然国 民全体にとって利益になる制度ですが、お医者さんにとってもいまの医療不信の現状を 考えると非常に利益だろうし、また事故から学ぶというのは医療者にとって基本的な心 構えではないかと思うわけです。ですからその意味で、今後も医療者側にこのシステム の構築と充実のために、積極的に協力していただきたいと思います。多くの部分が今後 の検討に委ねられていますので、その積極的な協力が得られないと、いい制度が実は実 現しないのではないかという心配があります。またその検討にいたずらに時間がかかる ということにもなりかねないと思いますので、是非その点、ご協力をお願いしたいと思 います。  それから、今後の検討課題のうちいままで触れられていなかった点について申し上げ ますと、やはり集める情報の質が問題になってくる。事故の分析をするための情報の 質、これが一方的に報告されるものだけを受け取って分析するというのでは、おそらく 充実しないのではないかと思います。ですから、報告された情報について不足があると 第三者機関が判断した場合には、例えば再報告を求める権限を付与して、事故の情報の 収集とその分析が、充実するようにしていただきたいと思います。  いちばん重要なのは、やはり新しいシステムを動かす上にどうしてもお金が必要なの で、最後のところにさりげなく一言だけ入っていましたが、必要な予算の確保というも のが、やはり厚生労働省に求められているのではないかと思いますので、その点も是非 ご配慮をお願いしたいと思います。 ○岡谷委員  全体的に非常によくまとまっていますし、あるべき姿と言うか、こういう方向で進ん でいけばいいのではないかということについては、非常にわかりやすいまとめではない かと思います。いままで皆様がおっしゃったことは私も感じていますが、ひとつ強調し ておきたいのは、例えば医療機関で事故事例の分析等が十分に行われるということが大 前提になっていますが、分析の結果、原因だとか背景だとかということがはっきりした 場合に、原因や背景を改善、なくしていくということがどう行われるのかという点につ いて、いわゆるフィードバックと長谷川委員がおっしゃいましたが、そこは本当に見え ないところがあるのではないかと思うのです。分析した結果を速やかに改善されるよう な仕組みも、きちんと検討していく必要があるのではないかと思います。  それから、医療機関で十分に事故事例の分析を行うことは大事なのですが、そのため に安全管理者を置くとか、そういうことが非常に言われているのですが、現実には例え ば看護職は、ここ3年ぐらい毎年900人ぐらいリスクマネージャーの研修を受けることを やっているのです。それで2,000人近い人がこの3年間ぐらい研修を受けているのです が、実際に病院できちんと役割を担って、そういう仕事ができるような体制がきちんと 整えられている所は本当に少なくて、そういう整備をどうやって進めるか。現実と、報 告書でまとめられたあるべき姿との間に、かなりまだ非常にギャップがあって、実際に 現場ではいろいろなことをやらなくてはいけないのだけれども、なかなかそれをきちん とシステムとしてやっていく、例えば安全管理者を専従で配置するといっても、なかな かそれができない。片手間に、あるいは業務をやりながら、ケアをやりながら片方でそ ういうことをやらなくてはいけない。現場にとっては業務の負担にしかならないような 現実も、私はあるのだと思うのです。ですから、それは是非改善して、現場がやはり速 やかにやるべきことをきちんとやれるような体制を整えていくということは、大きな課 題ではないかと思います。以上です。 ○井上委員  前田委員を始めとして起草委員の先生方、大変なご苦労の末にこの報告書をまとめて いただけたということは、本当に素晴らしかったと考えています。現行の法制度とか医 療慣行、医療システム、さまざまな矛盾を抱えている中で、この報告書は第一歩を印せ たのかと考えていますし、事務局の方々にも大変なご苦労をおかけしたのだと思いま す。仕方のないことなのですが、さまざまな矛盾の中で現状では描ききれなかった部分 もあったように感じます。事故事例の収集と分析も含め、この中にあります第三者機 関、医療安全対策ネットワーク、医療安全支援センターといったものの役割が、いまひ とつはっきりそれぞれの役割と機能が描ききれなかった。これが今後どう関連をし、有 効なシステムとして患者さんの安全のために機能していくのかというのが、ひとつの大 きな課題という気はしています。  もう1つは、分析方法、分析手段です。背景要因とか原因分析などを行う事故の分析 手法、解析方法が、専門分野ごとにきちんと確立をされていない。そういった中で例え ばこの相談センター、第三者機関に上がってくる報告制度があって報告が上がってきて も、それをどう分析をして、分析をしたあとに、教育研究にいかに還元をしていくのか というところが、いまひとつ描ききれなかったところが残念かと思います。  しかし、今度の報告書は、安全対策については前田起草委員長のご苦労はあったと思 いますが、大きな第一歩が印せたのではないかという気がしています。以上です。 ○堺部会長  ありがとうございました。以上さまざまなご意見をいただきました。この報告書案に つきまして字句、あるいは今後の進め方についてのご意見をいただきましたので、それ らを含めて若干の修正をこの最終案に加えた上で、報告書としたいと存します。  なお、修正につきましては、座長の私にご一任いただければと思いますがいかがで しょうか。                 (異議なしの声) ○堺部会長  ありがとうございました。それではそのようにして厚生労働省へ提出します。もちろ ん最終版は、委員の方々へお届けします。  それから、当検討部会の親会議であります医療安全対策推進会議には、適宜報告をし ます。  昨年7月以来10回にわたってこの検討会議を開催し、委員の方々からたくさんのご意 見を頂戴しました。特に、前田起草委員長を始め起草委員の方々には、大変精力的に作 業を進めていただきました。皆様のご協力によって本日報告書がまとまりましたこと に、部会長として厚く御礼を申し上げます。  次に今後の進め方につきまして、事務局からご説明をお願いします。 ○榮畑総務課長  委員の皆様からは、大変ご熱心な議論をいただきまして、本日、報告書をお取りまと めいただき、ありがとうございました。  それでは今後の進め方ですが、今後この報告書を頂戴しまして、特に第三者機関の設 置等につきまして具体的な準備、作業を開始してまいります。その中で、今日の会議で いきますと、6頁の上の10行目ぐらいに、「報告を求める重大な事例の範囲等について 今後専門家等のご意見を聞きながら早急に検討すべき」、と書いてありますが、その専 門家等のご意見を頂戴するための、いわば何人かの専門家の方に集まっていただいた作 業グループを設置させていただいて、ご議論、ご検討をいただきたいと思っています。 どういう方に入っていただくか、進め方等は今後堺部会長とよく相談して進めていきた いと思っています。そのようなことで作業グループの先生方ともご相談しながら、ここ の点につきましてはできるだけ早く詰めた検討をさせていただいて、結論を得たいと 思っています。 ○堺部会長  いまの事務局からのご説明に、何かご質問ありますか。  それでは事務局はいまの説明を踏まえて、ワーキンググループの運営をお願いしま す。またワーキンググループの人選につきましては、事務局と私で相談して決めさせて いただきたいと存じますが、何人かの委員の先生方には引き続きまたお世話をいただく ことになろうかと思います。どうかよろしくお願いします。  それでは最後になりましたが、篠崎医政局長から一言ご挨拶を頂きたいと存じます。 ○篠崎医政局長  一言御礼申し上げたいと思います。堺部会長を始め、検討部会の委員の先生方には、 7月以来10回にわたり、大変お忙しい中を精力的にご審議をいただきまして、誠にあり がとうございました。また前田委員を始め、起草委員の先生方には今回の報告書の取り まとめにつきまして格段のご協力をいただきましたことを、重ねて厚く御礼を申し上げ ます。  医療安全の推進は、私ども医療政策の最重要課題です。ただ私どもだけではなくて、 先進諸国でも大きな課題でありまして、昨年7月にご挨拶をしたときにも申し上げた記 憶がありますが、WHOの総会でも昨年5月に初めて、この医療事故の問題が取り上げ られたところです。  アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどが私どもの少し前を 走っている感じがしますが、WHOの関係の委員には、厚生労働省から長谷川委員を推 薦していまして、今後とも諸外国等のいろいろな新たな知見、情報等は、彼を通じて、 あるいは私どもは直接WHOを通じて得て、それを行政に反映させていきたいと思って います。  本日いただきましたこの報告書を踏まえまして、事故情報を活用していくために必要 な制度の創設、あるいは施策の実施、調査研究の推進などを行ってまいりたいと考えて います。特に事故の報告制度につきましては今後早急に検討しまして、なるべく早くで きるところから実施をしていきたいと考えています。  また、この本文にはうまく書き込むことはできませんでしたが、この部会、あるいは 委員会で各委員からいただきましたご発言、これは議事録に残っていますので、そうい うものを重く受けとめて、今後の行政に反映させていきたいと思っています。本日は、 誠にありがとうございました。 ○堺部会長  では、本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。                      (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                       電話 03-5253-1111(内線2579)