03/02/24 第1回看護師等養成所の教育活動等に関する自己評価指針作成検討会議事録 第1回 看護師等養成所の教育活動等に関する自己評価指針作成検討会議事録 日時 平成15年2月24日(月) 10:00~ 場所 厚生労働省専用第17会議室(16階) 出席メンバー 浅川明子、荒川真知子、笠井勝代、鈴木ミドリ、成田容子、菱沼典子、 平山朝子、舟島なをみ、星北斗、山﨑美惠子(五十音順、敬称略) ○田村看護課長 ただいまから第1回「看護師等養成所の教育活動に関する自己評価指針作成検討会」 を開催いたします。委員の皆さまにおかれましては、年度末もお近い状況の中で大変ご 多忙のことと思いますが、本検討会にご出席をいただきまして、誠にありがとうござい ます。開催にあたりまして、篠崎医政局長よりご挨拶を申し上げます。 ○篠崎医政局長 おはようございます。本日は大変ご多忙の中を、また朝早くからご参集いただきまし てありがとうございました。今日はたまたま衆議院の予算委員会で医療集中の審議が朝 からございました関係で、少し遅れて参りました。申し訳ございませんでした。 この医療集中の議論の中でも質問がいくつか出ているところですが、特に医療の高度 化・専門化の進展に伴いまして、特に看護の質の向上は非常に大きな課題であります し、また国民の要望でもあるわけでございます。昨年の5月に新たな看護のあり方に関 する検討会が発足いたしまして、特に在宅医療を中心にして、看護の今後のあり方につ いてご検討をいただいているところでございます。3月中には何らかの結論を出してい ただくことになっております。また、昨年の11月からは看護の基礎教育における技術教 育のあり方に関する検討会もスタートしていまして、特に卒前教育におきます看護技術 能力の開発や、向上を図るためのさまざまな施策について、ご議論をいただいていると ころでございます。 今、看護のことについて、国民の関心が非常に高いところでございますが、こういう 状況を踏まえまして、今日お集まりをいただきました先生方におきましては、看護師な どの学校の養成所におきまして、この教育の充実に自主的に取り組む環境を整備するた めに、自己点検あるいは評価指針の作成をお願いしたいと考えています。このごろは大 学教育環境におきましては、アメリカではもうだいぶ前から進んでいるようですが、自 主的に点検をするということが、普通になってまいりました。それがひいては看護師の 質の向上につながっているということであろうと思っているところですので、どうかこ の検討会をよろしくお願いをしたいと思います。 今、医療制度の抜本改革が行われています。厚生労働省に4つのチームがございまし て、私どもは医療提供体制の改革のチームを受け持っているわけですが、その中で特に 大きいのが、いわゆる医療人の質の向上ということでございます。そういう意味合いか ら、この検討会におきます成果を十分に踏まえて、医療制度改革に取り組んでいきたい と、このように考えているわけでございます。どうかよろしくお願いいたします。 ○田村看護課長 それでは本検討会委員の皆さま及び事務局のご紹介をさせていただきます。まず委員 からご紹介いたします。海老名高等看護学院学院長の浅川明子委員です。東京警察病院 附属看護専門学校教務部長の荒川真知子委員です。国立善通寺病院附属善通寺看護学校 副学校長の笠井勝代委員です。福島県立総合衛生学院保健学科長の鈴木ミドリ委員で す。医療法人社団スズキ病院附属助産婦学校教科長の成田容子委員です。聖路加看護大 学看護学部長の菱沼典子委員です。岐阜県立看護大学学長の平山朝子委員です。千葉大 学看護学部教授舟島なをみ委員です。社団法人日本医師会常任理事の星北斗委員です。 社団法人日本看護協会看護教育・研究センター長の山崎美恵子委員です。どうぞよろし くお願いいたします。 事務局を紹介させていただきます。私、医政局看護課長の田村です。厚生労働省看護 研修研究センター所長の丸山美知子です。看護研修研究センター教務科長の和賀です。 看護課の補佐の勝又です。よろしくお願いいたします。 座長を皆さまにお諮りをしたいと思っていますが、この検討会は看護師等の養成所の 自己評価・自己点検ということでございますし、養成所の先生であり、かつ長い間看護 教育に携わっていらっしゃいました浅川委員に座長をお願いしたいと事務局としては考 えておりますが、皆さまいかがでございましょうか。 (賛同) ○田村看護課長 皆さまのご賛同をいただきましたので、浅川委員に座長をお願いしたいと思います。 座長席にお移りいただきまして、ひと言ご挨拶をいただきたいと思います。そして議事 の進行に入っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○浅川座長 このたび本会の座長にご推薦いただきました浅川と申します。不慣れではございます けれども、皆さまのご協力を得て効率よく、なおかつ内容のある検討会にできたらと 思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 議事に入ります前に、当検討会の進め方について確認をしたいと思います。事務局よ ろしくお願いいたします。 ○田村看護課長 検討会の公開のことですが、まず、議事録については事務局でまとめまして、その内 容を各委員にお目通しをいただいた後に、厚生労働省のホームページで公表する形をと りたいと思っています。最近この種の検討会はすべて公開という形になっていますの で、大勢の皆さまがお見えになることもございます。残念ながら今日は少ない状況です が、いずれにしましても、すべて公開の形で進めさせていただきますので、ご了承いた だければと思います。 ○浅川座長 それでは議事に入ってまいりたいと存じます。まず事務局より提出されています資料 について説明をお願いいたします。 ○勝又看護課長補佐 資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、委員のメンバー表になってい ます。資料1が検討会の目的等が書いてある資料です。資料2が専修学校設置基準に関 していくつか綴りがとじてあると思います。資料3が自己点検・評価の経緯が1枚紙に なっています。資料4が看護師等養成所自己点検・自己評価指針の原案ということで何 十頁かの資料になっています。参考資料として、自己点検・自己評価指針(原案)の事 前調査の概要と事前調査の要旨になっています。以上が本日の資料です。よろしいで しょうか。 ○浅川座長 揃っているようです。 ○勝又看護課長補佐 資料の1から3に関して私からご説明をさせていただきます。資料1は、検討会の目 的です。先ほど医政局長からもご挨拶させていただきましたように、医療の高度化、専 門化の進展とともに、国民意識の変化、医療安全に対する国民の意識の向上に伴い、こ れらに対応した資質の高い看護職員の養成が求められている状況です。 そういった中におきまして、大学においては教育活動に関する自己評価及び、第三者 評価などが進められてきていまして、大学においてはもう既に自己評価は90%進んでい ると、聞いているところです。専修学校においては、平成14年3月から専修学校設置基 準等の改正が行われ、専修学校の教育活動等の状況に関して、自ら評価を行って、その 結果を公表することが努力義務とされました。看護学校・養成所については、専修学校 の指定を受けているということで、平成14年3月から努力義務化されました。 本検討会においては、このような状況も踏まえて、看護師等養成所が教育活動等の状 況を自己評価するための指針を作成して、看護教育の充実に自主的に取り組めるように 環境を整備するということで、この検討会を立ち上げました。看護師等養成所の自己評 価指針の作成が、大きな検討内容になっています。スケジュールとしましては、もう年 度末ぎりぎりなのですが、本日と、もう既に先生方にお願いをしていますように、3月 26日の2回で指針の作成をお願いしたいと考えています。 資料2ですが、専修学校設置基準に関しての改正が、平成14年3月29日に公布されま して、平成14年4月1日から施行になっています。その自己評価の第1条の2ですが、 「専修学校はその教育水準の向上を図り、当該専修学校の目的、及び社会的使命を達成 するために、当該専門学校における教育活動等の状況について、自ら点検・評価を行 い、その結果を公表するよう努めなければならない」という改正が行われました。その ために適切な項目を設定することと、適当な体制を整えて行う。しかもさらにそれを当 該専修学校の職員以外の者によっても検証を行うよう努めなければならない、というこ とが設置基準の中に記載されたところです。さらに「それらに関して積極的に情報を公 開していくべきもの」と位置づけられています。 資料2-2ですが、これはさらに専修学校設置基準を基にして、局長から通知が出さ れていますが、改正の概要としては先ほど申し上げた内容で、自己評価、それから情報 の積極的な提供、施行期日ということになっています。2頁の上4行目ぐらいからです が、自己評価を行う対象としては、教育課程あるいは学習指導、生徒指導、進路指導等 の教育活動を初めとして、施設設備、修了者の就職状況、生徒の資格取得状況、社会人 の受入れ状況、附帯教育事業の実施状況、留学生の受入れ状況、大学や高等学校との連 携状況、産学連携の実施状況などが考えられるが、それぞれの専修学校の状況とか、そ の養成のあり方とかといったものに考え合わせて、適切な項目をそれぞれのところで立 ててください、ということが留意事項の中に挙がっています。 また、自己評価の結果の公表については、広報誌の発行とか説明会の開催、さらには インターネットの利用など、専修学校への進学を希望する者をはじめ、生徒、保護者、 地域住民等が知ることができるよう、適切な広報の方法を工夫することが規定されてい ます。そういったことがこの局長通知の中で留意事項として挙がっているものです。 資料3、「自己点検・評価の経緯」ですが、もうほとんど先生方はご承知だと思いま すが、大学では1991年(平成3年)に大学設置基準の大幅な緩和が行われ、さらに自己 点検・評価の努力義務化がなされました。平成4年に大学基準協会で大学の「自己点検 ・評価の手引き」の作成が行われ、平成5年には国立大学において、自己点検・自己評 価は6割を超える実施率となりました。平成9年においては8割を超える大学が少なく とも1回実施されている。さらに平成11年には大学設置基準の改定が行われて、自己点 検・評価の実施義務化が行われましたし、さらに公表も義務づけをされたところです。 外部評価の取り入れの努力義務化も平成11年にはなされていまして、平成12年には9割 の大学で自己評価・自己点検が行われている状況です。さらには大学においてはもう既 に第三者評価が行われてきている状況です。 専修学校においては平成14年から自己点検が努力義務化されたということで、看護学 校・養成所に関しては、例えば国立の看護学校の養成所で、独自に評価の努力が行われ ました。それから杉森先生等が看護専門学校における自己点検・評価基準を開発される などの動きはあるのですが、まだまだ積極的に自己点検・評価が行われている状況では なく、これから取り組んでいこうという時ですので、指針をある程度示させていただ き、対応をさせていただきたいと思っているところです。以上が1から3に関しての資 料の説明です。 資料4に関しては、センターの教務科長から説明をさせていただきたいと思います。 ○和賀教務科長 これから資料4についての説明に入らせていただきますが、なにぶんにも不慣れなも のですから、どうぞよろしくお願い申し上げます。これからの私の説明は、大きく3つ に分けて説明させていただきたいと思います。 第1点は、本指針原案の作成に当たってについて、第2点は指針原案の内容、第3点 は指針原案の活用可能性について、述べさせていただきたいと思います。 第1点ですが、指針原案の作成に当たって、次のようなことを検討しました。大学評 価、先ほど勝又補佐から説明がありましたように、2000年以降、大学評価・学位授与機 構を通して、国立大学の第三者評価が実施された経緯がありますが、その結果等を読ま せていただきました結果、まず目的に関わる問題が挙がってきました。それは第三者評 価に対する義務の意識が先行して、自己点検・自己評価に重要な主体性に基づいた実施 が問題として挙がってくることがわかってきました。つまり、義務を果たすための資料 づくりとかがしやすいのではないかということが懸念されたわけです。 2点目に努力義務の段階で、8割の学校において1回は実施しているという結果があ るわけですが、結果的には実施義務となったということで、先ほど申し上げたことがよ り裏づけられるのではないかと考えました。したがって、自己点検・自己評価と教育の 改善向上とのつながりが、明確になっていく必要があるのではないかと考えています。 自己点検・自己評価を1回で終わったとするのではなくて、継続の意義を見出せるよう にする必要があるのではないかということが考えられます。以上3点が目的に関わる問 題として挙がってまいりました。 次は評価の実際における問題として6点ほど挙がっています。第1点は、実際に大学 の評価を体験された直接の大学の担当者としての直接の意見などもありますが、求めら れている基準の内容の理解がかなり困難だ、ということが挙がってまいりました。 第2点は、評価をするにも資料の蓄積がないという実態が、文献等でもはっきり読み 取れました。どのような資料、データに基づけば良いのかとか、どのように収集するの かとか、どの程度の量を集めれば良いのかとか、それをどのようにまとめるかなどとい う資料を、もっと組織的に集めたりする必要性があるのですが、資料の蓄積がないとい うことが、はっきり浮かび上がってきました。ここからは指針の原案作成に当たって、 どのような資料に基づいていなければならないか、ということを示す必要性を強く感じ ています。 第3点目には、自己点検・自己評価のための組織を立ち上げる必要が当然あるわけで すが、教員と事務職員の協力が必要ですが、誰がどのようなことを行うかとか、強い リーダーシップが必要なのだということが、はっきり読み取れてまいりました。 第4点目は、大学等におきまして、大きな組織が自ずとあるわけですが、その大学等 においても自己点検・自己評価をするに当たって、また第三者評価のための資料を提示 するに当たって、資料の収集とか分析とか、まとめるエネルギー、それからコンセンサ スを得るためのエネルギーなど、多大なエネルギーを要することがわかってきました。 したがいまして、このような多大なエネルギーをかけても、自己点検・自己評価を行う 意義が理解されて、そして意欲的な実施の行為が導き出させるような原案になっている 必要があるのではないかと考えました。この多大なエネルギーと組織を立ち上げること に関しては、日常の教育への影響は看護師と養成所では、大学に比較してたいへん大き いのではないかということが考えられました。 第5点目では、自己点検・自己評価のための基礎的知識が必要なのだ、ということが 浮かび上がってまいりました。実際に評価に携わった方からの意見などでは、肝心の知 識がないのだということが、たびたび言われています。第三者評価と公表をどのように するのかという問題も挙がってまいりました。以上のような大きい目的に関わる問題 と、評価の実際に関わる問題を踏まえて、指針の原案の作成に入りました。 もう1点、これは後ほどでも良いのですが、今申し上げておきますと、評価対象カテ ゴリーの設定に当たり、文献検討をしたところ、今日ご出席の舟島先生、笠井先生等 で、資料3の中にもありますように、自己点検・自己評価の指針というか、項目が開発 されていたり、実際に実施されていたりということがありました。 先ほど私が申し上げました評価の実際における問題等を考えた時に、既に先生方がな されていたり、開発された指針に基づいてすることも考えられましたが、実際に自己点 検・自己評価のための知識が必要であったり、評価基準がよくわからないなどというこ とがあっては、意欲的に取り組めないだろうということが考えられましたので、大学基 準協会が出している大学評価マニュアル等を参考にして、基準の説明、解説等が必要で あることが考えられました。したがって、その基準の解説や説明を付けるに当たり、他 者の項目に説明を付けるわけにはいかないので、自ら私どもが項目の設定に取りかかっ たわけです。 以上のような考え方に基づき資料4を説明させていただきます。資料4の表紙に看護 師等養成所自己点検・自己評価指針(原案)としてありますが、自己点検・自己評価と 分けてあるのは、大学等の評価の文献等から単に「自己評価」という言葉だけで十分で はないのかという考え方もあるかと思いますが、ある考えでは、評価は他者がするもの で自分がするのは点検なのだということがあって、大学評価の中では「自己点検・評価 」という・で結んでいる言葉が多く見られますが、私どもは教育を長いことしてきた経 緯から、自己評価という言葉も十分使ってきましたので、そこにあえて「自己点検・自 己評価」と並べさせていただきました。 目次ですが、本指針原案は大きく4つから構成しています。1つは看護師等養成所の 自己点検・自己評価についての基本的な考え方。看護師等養成所の自己点検・自己評価 指針。それから<点検>(評価内容)。一覧と、自己点検・自己評価の実施にあたって という構成で作成しています。 次頁ですが、まず基本的な考え方として、教育評価の意味をそこに掲載しています。 この学校の教育評価の意味として、「学校の教育目的・目標の実現を目指して行われる 教育活動に関する決定を行うにあたって、必要な資料を収集し、整理をして、それを フィードバックする手続きである」。本日はこの文献等を示していませんが、この文言 は杉森みどり先生の『看護教育学』第3版、2000年にあります。この文言は杉森先生が 第2版でもこのように提示していますが、そこから表示させていただきました。 この定義、意義は、広く看護学校等で理解されている意味として、十分意味があるも のとして、ここに掲載させていただきました。この意味は実際の教育が当該目標をどの 程度、達成したかを見極め、次の教育活動改善への方向づけ、その結果を再度、目標の 達成度から解釈することの循環的、継続的過程と理解して、意味として掲載いたしまし た。 自己点検・自己評価の目的ですが、養成所設立後の教育・研究活動を通して自らの努 力によって、看護師等養成所における教育の水準の維持・向上、創意工夫のある教育の 追及の実現を図ることを考えています。枠でくくってある言葉は、指定基準の改正のた びに、この狙いがずっと謳われてきたことを、ここに抜粋して掲載しているものです。 それは言い換えますと、養成所の設立において認可を受けるわけですが、それを内部的 品質保証のしくみとして持っていることである、というふうに考えました。 教育評価と教育の改善・発展を、あえてここでは強調の意味で分けて掲載していま す。教育評価というのは、先ほど1番で申しましたように、改善・発展まで含めるもの だろうと理解をしていますが、内部的品質保証のしくみを強調して書く意味で、ここで は分けて書いています。教育評価の所は、自ら点検し評価し、それで教育改善・発展さ せていく。つまり、自ら改善をしていくということです。そのために内部品質保証のし くみとしては、何をどのように見極めるか、改善の知識と方法を持っていることである と考えています。そのことが即ち養成所の維持発展につながるということで、上に述べ た目的につながるということを考え、それを図式化したものです。 次頁です。自己点検・自己評価の対象は、先生方の開発された基準等を十分参考にさ せていただきながら、評価の対象の枠組みとして、概念図として、安彦忠彦著の『教育 過程編成論』の中からの図を参考にさせていただき、加筆させていただいたもので、I からIXのカテゴリーがあります。Iが教育理念・目的のカテゴリー、IIは教育目標のカ テゴリー、IIIは教育課程経営のカテゴリー、IVは教授・学習・評価過程、Vは経営・管 理過程、VIは入学、VIIは卒業・就業・進学のカテゴリー、VIIIは地域社会/国際交流、 IXは研究です。 このところでは、例えば研究とか国際交流は看護師等養成所では、まだ必要があるか どうかという議論があるかとは思いますが、ここでは私どもがまず差し当たって設定し ておいたほうが、今後の看護師等養成所において、必要になれば活用できるようにとい う意味で、私どもがそこで必要性を判断するよりも、ここに掲載して基準を示しておい たほうがいいのではないかということで、ここに入れてあります。 自己点検・自己評価指針については4頁で説明させていただきます。この指針は文字 どおり看護師等養成所の自己点検・自己評価のための指針として作成してあります。本 指針は自己点検・自己評価の領域・項目、その基準、自己点検・自己評価のために必要 とする「資料(データ)」、及び基準を踏まえて、点検する視点をあげて構成していま す。 基準は、各養成所において自己点検・自己評価についての、知識と方法を理解しなが ら進めていけるように、各自己点検・自己評価の項目について、どのように見極めてい けば良いのか、基本的な説明を含めて記述しています。指針の後半には各項目で設定し た点検を一覧できるようにした上で、各項目に対して、自養成所がどのような現状にあ るかを測定できるように、「非常によく当てはまる」から「全く当てはまらない」の尺 度を設定してあります。この指針は各養成所が活用して、自ら改善していくための指針 であり、養成所間の相対的レベルを図るものではありません。 3で述べたように、各養成所が常に評価結果に基づいて、改善の方法を見出し、その 方向に向かって努力をしていくための指針として設定してあります。評価が高くなるこ とは、基準の内容が示すように、各養成所が自らの設定した教育理念・教育目標達成に 向けて、つねに自己点検・自己評価の機能を働かせながら、看護師等養成所としての自 校の水準を維持・発展するよう努力していることを示すものであると考えています。 評価のカテゴリーは9領域で、点検は59項目を設定していますが、一度にすべての領 域と項目を改善できるとは限りません。自己点検・自己評価が継続的に計画的に実施で きるようになっていくことに意味があるので、実際に取り組める領域や項目から始める ことが望ましいと考えています。この指針に基づいた評価結果について、より客観性の ある方向づけを得るためには、さらに第三者評価を得る機会を設定することが望ましい と考えています。 次頁以降31頁までは、先ほど述べたカテゴリーについて、基準として私ども内部で考 え、このような文言として表現しました。ここでは基本的には「必要である」というこ との表現と、「まあ、望ましい」というような表現と、それから基本的に「なぜ必要で あるのか」ということの説明を加えることで、基準という表現の枠の中に入れました。 先ほど説明しましたように、自己点検・自己評価をしていく時の、いちばんのネックと いうものかはわかりませんが、データ、資料の蓄積が十分でないとたいへんということ がわかりましたので、この説明をしている基準の内容に沿って、どのようなデータや資 料があればいいのかということを、そこに「資料(データ)」として示してあります。 7頁です。全部ではありませんが、随所にこの基準の説明が理解しやすいように、 図というのは時々誤解を招くものですが、ある程度図式化してよりわかりやすくしたも のとして、図を挿入しています。 次頁です。カテゴリーごとに、以上の基準と項目と、データを踏まえて、どのように 点検をしていけばよいのかということで、指針と言ったらいいのでしょうか、「点検」 ということで、さらに方向性がわかるような項目を設定して挙げています。以下すべて のカテゴリーについて、この構成で記述しています。 31頁から35頁までは、今申しました「点検」についてと全く同じものですが、一覧と してまとめたものです。それに対して「非常によく当てはまる」「よく当てはまる」 「大体当てはまる」「あまり当てはまらない」「全く当てはまらない」という尺度を付 けて、学校の今の状態がわかるようなものとして作成しました。 36頁ですが、自己点検・自己評価をするに当たって、開始と継続が最も気になること ではないかと考えましたので、Dとして自己点検・自己評価の開始と継続について挙げ ています。そこでは、そこに資料を収集する段階、それから点検・評価を挙げて解釈し てフィードバックをする過程が、1の教育評価の意味に基づいて作成したものですが、 これをどのようにするかということが、たいへん問題になってくると考えたので、例と して第一ラウンド、第二ラウンドという考え方で挙げました。この第一ラウンド、第二 ラウンドという考え方は、文献等からイギリスの看護系の大学で、こういう第一ラウン ド、第二ラウンドという考え方で評価をしていることがわかりましたので、それを参考 にさせていただきました。 第一ラウンドは、自己点検・自己評価のための組織を立ち上げること。それから本指 針に基づいて最初の自己点検・自己評価を実施してみること。3番目は本指針及び自己 点検・評価に関する知識と方法について、不明な点の理解を深めること。この段階にお いて、本指針中に基準の理解を確実にしていくこと。4番目、自己点検・自己評価につ いて、どのように取り組むか等について計画・立案する。その内容は自己点検・自己評 価のどのようなカテゴリーから取り組むか等について明確にする。指針の中の「資料( データ)」について、組織的な蓄積計画を明確にする。自己点検・自己評価の時期を明 確にする。 上記3で計画した時期において、自己点検・自己評価を実施し、その結果に基づいて 改善点と改善の手だてを明示する。そして、挙げられた改善点を実際に改善する。上 記、1、5を振り返り、自己点検・自己評価の組織とその活動内容をより精緻に整えて いく。これによって第一ラウンド即ち自己点検・自己評価の土台を作る段階が考えられ ます。これは3、4年ぐらいかと考えていますが、それは養成所等では3年が1クール なので、4年目に行うのがよいのかなと、そのぐらいの意味です。 第二ラウンドは、第一ラウンドを踏まえて、教育の水準の維持及び創意工夫のある教 育の追及に向けて、自己点検・自己評価を継続していくということと、第三者評価を得 る機会を設定し、より客観性のあるフィードバックが得られるようにすることと、評価 結果についての公表を計画的に実施する。これは例ですので、学校・養成所等がどう考 えるかは、また考え方であるかと思います。 第3点目として、本原案は本当に出来上がったばかりで、本来ならこの検討委員会に かける前に、十分調査などをして、妥当性を検証しておくべきでしたが、まだそこまで いってなく現在調査中です。先生方のお手元にありますように、調査対象校を概ね10分 の1、無作為抽出して、層化しましたのは、3年過程と2年過程。それから設立年が影 響することが考えられましたので、1946年から1966年、1967年から1988年まで、1989年 から1996年まで、1997年以降と、この層化に分けて概ね10分の1の無作為抽出をしまし た。 そこに書いているそれ以外の表は内訳です。その結果は、1学年数の学校がそれぐら いの学校になったということと、設置主体別に見ると、そういう設置主体の学校が結果 として選ばれたということです。調査に当たっては、電話でお願いをして、了解を得て から発送しました。以上です。 ○浅川座長 ありがとうございました。たいへん膨大な検討資料をご提出いただいているわけです が、最初に、ただいままでのご説明の資料の内容について、何かご質問等がありました らお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○星委員 前に送っていただいたものと若干違うみたいなのですが、事前調査に送ったものは、 前のバージョンですね。 ○和賀教務科長 そうです。今回お示ししたものは、前に送ったものとどこが違うかと言いますと、ま ず大変急いで作っていたので言葉が、@を付けたりなどしてたいへん失礼しましたが、 その文言の訂正と、それから一部臨床実習に関して、学生の事故に対応する対応等が抜 けていたので、それを付け加えた点だけです。 ○浅川座長 資料に関してのご質問はよろしいでしょうか。それでは、事務局から出されている案 について、ご意見をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それぞれご意見 があろうかと思いますが、最初フリーに全体の資料の説明を伺いましたところでご意 見、ご感想等をお伺いできればと思います。 ○星委員 看護師等養成所と言った場合には、保健師、助産師、看護師、そして准看護師が一般 論とすれば入るはずなのですが、資料の中身を見ると准看護師の話は全く抜いていて、 明らかに看護師、保健師、助産師と書いているように私は読んだのですが、そうではな いですね。 ○田村看護課長 基本的には4職種の養成所です。ただ、准看護師の養成所については、専修学校の指 定を受けていないところもあるので、その場合には特に努力義務ということにはならな いのではないかと思いますが、ご参考にしていただければというふうに考えているとこ ろです。 ○星委員 そうだとすれば、そう書いていただいたほうが、私は誤解を受けなくていいのではな いかと思います。いずれなくなるのならいいのだという発言があるのかと思いますが、 それはないと思います。とりあえず必要なことだと思いますので、これだけは主張とい いますかお願いをしたいと思います。 ○浅川座長 事務局のほう何かございますか。 ○田村看護課長 結構です。 ○浅川座長 最初はフリーで進めたいと思いますが、ご感想でも結構ですが、何かございますか。 ○星委員 私は4年課程の看護学校の学院長もしているので、そういう姿勢で見せてもらってい ます。私だけなのかもしれませんが、ひとつは用語が非常にわかりにくい。うちの教員 に聞くと、それは教育で使っている用語だと言うのですが、自己評価を、教員でない人 たちも入れて見てもらおうという時に、これを見せたとたんに皆さん逃げ出します。私 も見たら嫌になります。 少なくとも解説のところに使う言葉は一般の用語、わかりやすい置き換えをお願いし ないと、例えば「教材」という言葉は、中身を見ればこれをふたつの意味で使っていま す。私たちは、「教材」と言えばブツを思い浮べます。普通の人はですね。ところが皆 さんは「教材」と言っても文脈からふたつの意味をきちんと嗅ぎ分ける能力を持ってい る。しかし、その能力のない人を含めて、例えば生徒だとか家族だとか、あるいは地域 の人たちとかも、その評価者の中に入れてやりなさいと言っているのに、これは、この ままではたぶん使えないだろうと私は思います。 まずこの評価の目的は、言われたように中身の充実なのでしょうけれども、今の話に も関連しますが、設置者がこれから教育に力を入れていくべきなのか、あるいはもう止 めてしまおうというのかというのは、現実に起こり得る問題です。あるいはカリキュラ ムの見直しなどについて設置者にも、自分たちの学院・学校の運営がどうなっているの かということをわかってもらわなくてはいけないのだというのが、ひとつの目標だと思 うのです。これには書いてありませんが。 国立病院でもそうですし、いろいろな公的な病院が、順番に看護師の養成所を止めて います。私はこれは非常にまずい状況だと思うので、そういう設置者に対して、理解を 得るような中身、つまり、どれだけの効果が上がっているのかを、もう少しピーアール というと、ちょっとお手盛りの気がしますが、もう少しわかりやすくしていかないとい けない。 設置者もそうですが、実習をしに行こうとか、あるいは院外講習をお願いしようとい う時に、果たしてあなたの学校はどういうことをしているのですかという問いに、きち んと答えられなければいけないと思うのです。そういう意味で私たちは一方的に実施施 設を「環境」と呼んでいますが、じつは環境ではなくてパートナーなのですね。その パートナーの理解を得るための自分たちの努力についてはあまり書いてなくて、その協 力が得られているかという、こちらサイドの意見ばかり出ている。そうなると、なかな か理解が得られずに、結果的には大学に研修施設を全部持っていかれてしまうことにな りはしないか。 もうひとつ言わせていただきますと、私たちはさまざまな社会活動を学校教育の一環 として、あるいは責務としてやっているわけです。それはなぜかというと、社会におけ る役割があるからだと、一部書いてありますが、我々のやっている教育は特に地域社会 にとってプラスなのだという面と、それから地域社会に対する私たちの関わり方、特に 端的、具体的に言えば、課外活動です。例えばボランティアのエイズの何とかキャンペ ーンに参加するとか、献血のお願いに行くとか、いろいろなことをやっていますが、あ あいうものを果たしてどういうふうに位置づけるのかについて、全く言及がないので、 その辺りも私は考えてほしいと思います。 最後にもうひとつ、教員の問題について、これは学習者を評価することによって教員 の評価を表裏一体のものというふうに表現していますが、私は必ずしもそうは思いませ ん。何も教員個々の評価をして、あの先生は良い先生だとか、悪い先生だとかいうのを この中に入れる必要はありませんが、教員が、自分たちが今教えているしくみの中で確 実に成長しているのだ、普通はそうですね。最初から先生方のように立派ではありませ んので、5年間の経験をし、そして1年なりの勉強に行って帰って来て、最初のクラス を持ち苦労をして、一人ひとりの教員が成長過程をきちんと踏めるようなことに配慮し ているのかということは、学校としての評価のひとつの項目であり得るのだろうと私は 思います。ですから一人ひとりの教員の評価を毎回しろみたいな話ではなく、自分たち の教育の体制が、それぞれの教員の成長を促すのかという観点が必要だと。 もうひとつ言えば、教員は途中で代わるわけです。その時に教育の継続性が保たれる ようなことを、きちんと我々は配慮しているのか。それはもちろんカリキュラムが継続 性なんとかというのは書いてありますが、人というレベルにおいて継続性が担保される ような機能を私たち自身が持っているのかということも十分に配慮すべきだと思いま す。いきなりいろいろ言いましたが、後で議事録を読んでいただければ分かると思いま すが、そういうことを少し考えていただくと、すごく良いものになるのだろうというこ とで、たいへんに期待をしています。 ○浅川座長 ありがとうございました。たくさんご意見をいただきましたが、いかがでしょうか。 菱沼先生のところは取り組んでいらっしゃいますが、そういう観点からご感想やご意見 を伺えればと思います。 ○菱沼委員 私はいただいた原案のほうを読ませていただきましたので、もしかして今日いただい た資料と少し違うのがあるかもしれませんが、非常に細かく丁寧にお書きいただいてい ます。最初にご説明がありましたように、これが点検のための点検ではなく、教育の質 の向上のためのものである、という断り書きもありますし、そういうものだと思うので す。これをパッと拝見しますと、私の立場ですと、点検のための点検に陥りそうだなと いう感じはいたします。基準にしては中身があまりにも細か過ぎるのではないか。それ ぞれの学校の裁量があまり取れないぐらいに、膨大な量が含まれているように思うこと が1点です。 いわゆるカリキュラム評価の部分に非常に特化されているように思いました。先ほど のご意見にもありましたが、学生生活への配慮だとか、そういったところがもっと考慮 されてもいいのではないかというところがありまして、カリキュラム評価であるなら ば、カリキュラムの評価の部分という形でお出しいただくほうがよろしいのかなという ことです。 これは私が不勉強でたいへん申し訳ないのですが、看護師等の養成所の場合に、設置 主体がどこであるかによって、その設置主体の意図が非常に影響すると思うのです。で すからここで言っておられる設置者あるいは管理者というのを、どこのことを言ってお られるのか。つまり学校の中だけで点検しても、これは始まらない部分が非常にあるわ けなので、そこのところをもう少し示す。例えば学校法人とかいうところでしたら、お そらく設置者とその中の教員等がかなり近いところで、同じ意図でものをやっておられ ることもあり得ると思うのですが、そこのところも明確にすることが、おそらく看護系 の養成所ではひとつ課題になっていくのではないかと思います。それも入ってこないと 将来構想とか何とかということは、学校の中だけで言われても絵空事になるのではない かという感じがいたしました。 ○浅川座長 ありがとうございました。続いてですが菱沼先生、星先生から言葉の問題、臨床実習 施設との関係、そういうような問題についてもご意見がありましたが、大学評価の場合 には、臨床実習施設との関係とか、表現の問題とかは特別配慮されているところがあり ましたら、少しお聞かせいただければと思います。 ○菱沼委員 用語については私、はっきりと何とも申し上げられないのですが、看護教育の中で は、実習という教育形態を非常に大事にしていますので、カリキュラム評価の中で、実 習というのはおそらく多くの大学では項目として挙げていると思います。必ずしも病院 を附属で持っているわけでもありませんし、附属病院を持つ医学部の中にもあるとも限 りませんので、実習病院との関係性については、おそらく皆さんそれぞれ自己点検をさ れていると思います。 ○浅川座長 ありがとうございます。 ○荒川委員 私は3年課程の専門学校の教務部長です。先ほど、学校の自由裁量の部分があまりに も細か過ぎてというお話があったのですが、5年前に新しいカリキュラムを立ち上げる 時に、意気込んで自分たちの望む、本当にそういうものができるのだということでカリ キュラムを作っていきましたが、今いろいろな問題が出てきていて、それを見直す時に どこからするか、部分的には評価をしているのですが、そのつながりがなかなか見えて こない。そういう思いでこれを見た時に、細か過ぎてはいますがやはり不足の部分があ る。例えば文章化をしていなかったとか、そういう資料にあるものをしっかり作ってい なかった。こんな思いで作ったという文章が見当たらなかったということがわかって、 私はものすごく感心をして、あっ、これが不足していたから改善点を見つけ出せなかっ た、ということがわかりました。今先生方の言われるように、本当に細かいところで批 判的な見方ができなかったのですが、これがあれば、今問題になっているところも少し 見えるかなと、そういう思いで拝見いたしました。 ○平山委員 送っていただいた資料4を見ている範囲で、菱沼先生と同様なのですが、やはり自己 点検・評価というのは、その専修学校の教職員の自主的な活動だと思うのです。そし て、自分たちの力で教育内容を充実し、なおかつ専修学校が設置されている理念と目標 というか、社会的使命というか、そういうものをどこまで実施できているかを、自分た ちで自主的に点検していくものであると考えます。だから、点検評価項目というのは当 然、自分たちが設定するものでないといけないと思うのです。 ですから、今日いただいた資料の2-2の局長通知のところの、自己点検・評価・留 意事項に書いてあるような表現形式の項目を、具体的にどう展開するかという道案内を 添える程度で良いと思うのです。これに加えて、専修学校で行っている社会活動なども 含めて自分たちで項目を設定していくということで良いと思うのです。今日配られた資 料は細かすぎる。このような指針に沿って何かをやっていれば、どこか行き着く所に行 くという誤解を招き、自主的に点検し、改善するという趣旨とは逆行するのではないか なと心配するわけです。 ですから、私はこの活動自体が自ら点検して、自ら改革していく、改善していく方向 を見出していくことを奨励する一環だと思うので、あまり細かいものは賛成できませ ん。今言われたような意味で参考になるとおっしゃるならば、参考資料として、カリ キュラムの部分について例示する程度だろうと思います。 もうひとつは、資料がないと言われましたが、じつは看護学校というのは社会的使命 を受けて着実に仕事をしていると思うのです。資料を独自に整えていけば、いくらでも 社会から見て、この学校はこんなことをやっていると納得してもらえるような、いわゆ る責務を果たせるような資料はたくさんあるのではないかと思うのです。専修学校の社 会的使命に向けて、私たちはこういうことをやっていますということを示す資料を自分 たちで作るということで、これもまた自分たちで項目を設定していったらいいのではな いかと思いました。 資料4を読ませてもらって、菱沼先生が言われたこととダブるのですが、カリキュラ ムだけあっても教育は成り立たないのです。特に看護学校教育の場合は、実習の中で学 ぶことが非常に大きいし、確かに現場の看護職種の人たちは教育活動でのパートナーで あって、目的をきちんと共有して、学生に対して自分の学校で養成しようとする看護師 像を共有して導いてくれるべきものなので、そういう人たちと共有ができているかと か、そういうことが点検項目になってくるのではないかと思うぐらい、そこは大事なの です。 臨地実習体制のところも、例えば在宅ケアが重要だと言っていながら、在宅ケアの実 習の場を確保するのにどのような努力をしているかということのほうが、むしろ学校を 運営していく上では大事ではないかと思います。あまり細かいことを基準化して、それ に則ってやるというのは教員の主体性を欠くものになるので注意が必要と思います。 ○浅川座長 先生のところは県立大学を立ち上げて、もう卒業生が何回か出たというところです か。 ○平山委員 いいえ、これからです。 ○浅川座長 この大きな項目の中で、先生のほうで欠けていると感じられる項目は何かあります か。やはり臨地実習の問題、人との関わりの問題でしょうか。 ○平山委員 臨地実習体制の問題は、当然挙げなくてはなりません。その前にまず、人材育成の目 標を挙げ、卒業後どこで、どう活躍することを目指しているのか、卒業してからどこへ 就職し、どこで活躍することをこの学校は期待しているか、当然各学校ごとにあると思 うのです。設置主体別というより、その学校自身が持っているはずです。また気づいた ら申し上げます。 ○浅川座長 ありがとうございます。事務局から何かありませんか。 ○山﨑委員 先ほど学校のほうからご説明がありました、評価の実際についてというので、6点挙 げられたのですが、私も3月まで大学でずっとやってきたものですから、本当にこの6 点というのは、その通りだとまずは感じました。 私はずっと県立の大学でやってきまして、まず点検評価をやるについて設置者が誰で あるか、国なのか、県なのか、私立なのかということによっても全然違うということで す。今までのご意見の繰り返しですが、やはり設置者が誰であるかによって評価の視点 に違いがあるということが1点です。 それから私も全体的な感想として非常に細か過ぎると思います。「システムが必要で ある」とか「連絡会が必要である」という表現をしていますが、実際はどういうシステ ムで、どういう連絡会議を持つことなのか、構成メンバーやそれがどのように機能する のかがいちばん大事だと思います。菱沼先生から出ましたが、やはりカリキュラムに非 常に重点が置かれていて、学生生活が非常に少ないのではないかと思います。「施設、 設備」で、図書に関するところが文言であちこちに少しずつ入っていますが、「専修学 校設置基準」の中に図書館というのはあまり具体的に載っていないのですが、これをど のように評価していくかが大事だと思います。 もう1点は、設置者が違いますので、今日の資料では変わっているかもしれません が、「教官」という言葉は国立系でないと使わないと思います。専修学校設置基準では 「教員」になっているので、やはりそうしないといけないのではないかと思います。 ○浅川座長 今、全体的なご意見ということで伺っておりますので、ひと通りいろいろご感想を伺 えればと思います。 ○笠井委員 私は四国なのですが、平成5年ぐらいから経緯としては国立病院・療養所の再編成と か統合で、いずれなくなる病院に当たるのではないかということで、そうすれば、自分 たちの学校はこんなことがやれているという見直しをしなければいけないということか ら始めました。平成6年ぐらいから少しずつ全体を見直して自己評価をしようというこ とで、最初は教育主事だけが9校集まりまして話し合いながらやってきたという経緯が あります。 全体から言いますと、学校職員全体が評価すべきことで、学校長のランクになります と併任のため、なかなか教育の中身であるカリキュラム全体のところは、話してもわか ってもらえない。将来構想的なところは、国がどう考えるかということで、自分のとこ ろもこういうことをという意見は出してはいるのですが、なかなかうまく出てこないと いうことです。 私たちがやっているのはほとんどハード面で、実施要綱とか実習施設のことも含めな がら、そういう表現が多いのです。今やっているところで、今回出されていたのは、学 生の支援ということではカウンセラーとか司書とか、図書の数とか、現実問題として 我々が困っている辺りです。どうにもならないのですが「有しているかどうか」という ことを入れているのです。そんなものは国の定員の中に入っていないということで、そ れぞれの学校の努力の範囲で、定員化されない部分で実質的には入れているのですが、 やはり公に認めてほしいという願いも込めながら、自己点検の項目に入っていれば、少 し外部が見てくれるのではないかと思います 「雑誌」のところにしても「洋書」とか「洋雑誌」は専修学校であってもということ で、やはり文言として入っていると、そういうことをしなければいけないなという、非 常に細かいところですがそういうものも入れながらやっています。事務職員他、学校を 運営する組織全体で見るにはなかなか難しいということです。今は教員の中だけでやっ ていて、個別に出してくるものと、全体に年度末には教官会議の中で評価委員会、点検 委員会みたいな形をとって内部でやっている状況なのです。 第三者評価については、私が考えている範囲では、実習施設の看護部長さんの範疇に ということで去年からお願いをしているのです。全体を見るのはやはり難しいので、一 応概況書とかは出しているし、説明も実習に行くときはしているが、やはり中身で、そ れはそれ用にしないといけないのかなということで、いま課題として持ってはいるとこ ろです。 私たちは少ない集団ですから、つねに「ここのところはこんなことよ」ということ で、新人が入ったら会議でこんなふうに中身を点検しましょうということを話し合って から、各学校に持って帰っています。四国は平成10年までは9校あったのですが、今年 は4校になりましたので、各学校で出すということは難しいので、全部出してきたもの をアバウトというか、まるめて四国としてはこんな状況だということで公表していま す。紀要の問題にしても各学校ではなくて、四国を全部併せて発行するとかです。研究 授業も管内の各領域別教官が集まって実施しています。改善というところでは、各学校 では難しいが、全部の学校でひとつのものを出していかなければという方向性を出して います。 中身については少しハード面のことが強過ぎるのではないかと思います。教育方法の 授業評価については、別個に副学校長研究班で舟島先生の授業評価を使わせてもらった 経緯があるのですが、その内容も使いながら、少し教員の質的なところは上げていこう かということです。文章化という問題で先ほど荒川先生も言われたように、あまり細か 過ぎてもいけないのですが、なければそれぞれに意味を取り過ぎて難しいので、やはり 文章化すべきかなというところです。いま私たちも文章化せずにいちおうの項目をおい て、「口頭説明」ということで行っているものですから、文章化は大切なのかなと考え ているところです。 ○浅川座長 ある程度手掛かりはあるほうがいいと。しかし細か過ぎるとやはり問題が残るという ことですね。 ○鈴木委員 私も前に送っていただいた原案の中で気になったところについて2、3点お話したい と思います。先ほど多くの先生方からお話がありましたが、専修学校と養成施設の中で は、長年の教育が実際に行われてきたというのは皆さんおわかりだと思います。 施設設備については24頁に「学習・教育環境:施設設備の整備と管理」に若干載って いますが、この中には図書がおもに載っている。「その他の施設設備」については、具 体的な設置基準に則ってと書いてあると思いますが、法律の改正等に基づいて、例えば 身体に障害があっても、それを事前に受け入れないということが法律的になくなってき ている中では、従来の施設設備と違った意味でそのあり方を考えていかなければならな いのではないかと思うのです。その辺については一般的にいちばん不足しているのが施 設設備の問題、教員の問題、実習施設の問題の3つと思うので、その部分については本 当に点検して、今後自分たちがどんなふうに改善していけるのか、具体的になっていく ような自己点検評価の項目が必要だと感じました。 25頁の中にも、「自己点検評価体制」が書いてあって、組織的、体系的に取り組む体 制を整える必要があるところに言葉としては書いてあるのです。それが継続的にきちん と組織として、知識とか方法が明確に持っているかとか、フィードバックされて学校の 理念が改善されているかが点検の2項目になっているのですが、それは施設が定期的に 継続的に行われているか、実施状況の点検も必要と感じました。 2頁目の「自己点検、自己評価の対象」の中に、今言った組織や実習施設の環境とい うのは、この図ではどの辺に位置づけられているのか。私が読んだ中では3番なのか4 番なのか、読んだだけでは理解できなかったわけです。もうひとつは細かくなると思い ますが、図の21頁の中にも「教育課程における単元評価のフィードバックシステム」と 書いてありますが、この辺も内容の中で、上のほうから図があって、教育理念、目的・ 目標、と書いたあとに、学科目の一般目標がふたつ書いてあったり、単元の一般目標が ふたつ書いてあったりするのは、何か意図的なものがあるのかわからなかったことがひ とつです。 それから22頁で、設置者がどこかによってだいぶ変わると思いますが、その設置者の 意思というのは、どの段階が設置者の意思なのかということで、これは基本的には学校 の設置目的とか、あるいは教育理念、教育目的の中に本来であれば出ているものだと思 うのです。それを改めて「設置者の意思」を「管理職にある者の考え方に基づいて」と いうことになってくると、その都度変わることがあるのかと考えると、これがもし変わ るとすれば、設置目的が大きな部分からして変わるものなので、その辺が全体的な設置 目的、教育目的、目標と整合性が出てくるのか読んでいる中ではわかりにくいと感じま した。 ○浅川座長 ありがとうございました。いまの鈴木先生のところで、資料の説明のご意見があった と思いますが、和賀先生よろしいですか。資料の図の見方の中でわからないところがあ りますので。 ○和賀教務科長 特に21頁の図のことに関して、私どもの表現の仕方ですが、例えば3段目の「学科目 の一般目標」「単元の一般目標」は、ふたつ書く必要はあえてないのですが、別にたく さん科目群があって、それから単元群があることを少し表示したほうがいいのかなとい う意味でただ並べて書いただけなのです。今お聞きして紛らわしい図になったというこ とで、これをふたつ書いた意図はそういうことです。それから2頁の組織等に関して は、Vの「領域・経営管理過程」に位置づけているつもりです。 ○浅川座長 今の設置者の意思の考え方については、また後ほどご意見を伺う方向で進めたいと思 います。 ○成田委員 私は助産師学校におりますので、自己評価、自己点検に関しては、部分的にはやって おりますが、こういうふうに体系的にはやっておりませんので、この資料を見せていた だいてすごく私としては勉強になりましたし、指針を作るに当たっての原案で非常に細 かいところまでお示しいただいたという気がいたしました。 ただ、第三者の評価をされることが望ましいということですが、その第三者がイメー ジできないので、どういうほうを設定すればいいのかなという気がしたのです。私も非 常に評価が苦手なものですから、この評価基準等を見せて第三者にお願いした場合、そ の評価についてわかっていないと評価できないような内容も非常に多い気がしました。 それから、先ほど星先生がおっしゃったように、用語が難解という気がしました。研修 センターで学んでいたときのことを思い出して、細部目標とか体系目標とかいろいろな 目標が出てきて、果たしてどれがどの目標だったか混乱しているような感じですので、 それを一般の方にもしお願いするとしたら難しいという気がいたしました。 あとは「卒業生の状況に対しての評価」もあったのですが、助産師が今のところ1年 で教育をしているので非常に回転が早いですから、学生がどこに就職したかまではわか りますが、その後の変化というのは同窓会を通じてわかると思いますが、職能団体への 参加状況とか、そういったところまでどのように把握すればいいのか少し疑問を感じま した。 この指針を出していただくと、こういう視点で評価をしていけばいいというのはすご くわかるのですが、これはあくまで指針であって、各学校独自のものをこれから作り上 げるということでいいのですか。そうすると、やはり先ほど和賀先生がご説明してくだ さったところで、非常にエネルギーを要するなと感じました。以上です。 ○舟島委員 今、皆様から伺ったお話と私が感じたことはほとんど同じなのですが、4年ぐらい前 に専門学校の教務主任の先生方が40~50人お集まり、そちらで自己点検評価についてお 話させていただいたことがあります。そのときに、先生方が何を評価したらいいのか、 どう評価したらいいのか、それをどうしたらいいのか、ということをとても熱心に聞い ていらしたのです。 今日、細部まで規定しているということが何人もの先生方から出ておりましたが、た ぶんこれはそういう背景を反映しているのではないかと私自身は理解しております。そ れをどうしたらいいか。先生方が「何を評価したらいいのか教えてください」とおっ しゃるのですが、自己点検評価というのはそのものが主体的で、自律的で、継続的で、 循環的に行われなければいけないものですから、まず自己点検評価というのは一体何な のか、この内容の最初にきちんと書き込んで、これは指針になるものであってイコール ではないということがはっきりわかるような形でこれが出されないと、自己点検評価の ための評価になってしまう可能性があると思います。この看護師等養成所の自己点検、 自己評価についての基本的な考え方、理念をもっと明瞭にわかるような最初のところの 作り方というのが重要だと思います。 その上でこの内容を見せていただくと、全国の養成所がみんなこうあったらいいな、 という作られた方の願いがここに反映され過ぎている気がします。評価項目としてのミ ニマムエッセンシャルズは何なのか、どこの学校でもぜったいに評価しなければいけな い項目は何なのか、ということを抽出してお書きになるほうがよいと思います。 もうひとつは、専門学校というのは大学とは違って設置者の意見というものがいろい ろなところで影響してきます。あといろいろなレベル、いろいろな規模がありますの で、啓蒙的な意味で取り入れたほうがよい評価内容は、ミニマムエッセンシャルズでな くても入れておいたほうがいいのかなと思います。例えば「実習」や「学生生活への配 慮」の項目はもちろんそこに入ると思います。また単位互換の問題は全然入っていませ ん。18歳年齢がこれだけ減って、日本の看護職の量、質を維持しようと思ったら、社会 人たちが学習しやすい環境作り、そこのチェックはとても大事だと思うのです。 これは専門学校の先生方はお気づきになっているかもしれませんが、例えば大学の卒 業生が専門学校に入って、一般教養科目で認められる単位はものすごく少ないのです。 ですから、大学の卒業生で看護職の免許を取りたいという人はみんな短大へ行くので す。やはりそれは適切ではないと思うのです。今いろいろな法改正があって壁というも のを取っているのですが、それがまだ専門学校では残っていて、そういう啓蒙的な意味 で取り入れたほうがよい評価項目は入れたほうがいいと思っております。 そして内容について2、3点お話させていただきますと、例えば5頁で、最初に星先 生からご指摘があったことに関しては、私もそのとおりだと思います。看護師養成教育 はこういうものに則っておりとあるのですが、ここにもう1文加えて、専修学校設置基 準のことというのはきちんと省令ですが入れておくべきと思います。あと全体的に基準 としては出ているのですが、評価内容としては出ていないという、いくつか矛盾がある のです。その辺は少しチェックされたほうがいいと思います。「社会へのニーズ」とい うことはかなり何ヶ所かで言っていますが、評価項目では出ていませんので、出すので したら一貫してきちんと出していかなければいけないと思います。 9頁の中で、目標内容としては知識、技術、倫理性、自立性、責任性、指導性、協調 性、柔軟性、探究性、国際性の側面から考える必要が確かにあるのですが、4年制の大 学でも本当にここまでできるか。これは3年課程の専門学校ですよね。そのときにもち ろんこれを全部やったほうがいいとは思いますが、教育は3年間と決められていて、計 画的、目的的でなければいけなくて、その目的に到達できたか、できないかをきちんと 評価できなければいけないと思います。この辺をもう1回吟味をなさったらいいと考え ました。 言葉の問題にしても、11頁ですが、「教育課程経営」という言葉を使っていますが、 この辺はもう少しわかりやすく表現できたらいいと思います。11頁の辺りはかなりわか りにくいのではないかと考えます。 ここはぜったい修正が必要だと思ったのは15頁で、先ほど星先生が指摘なさったとこ ろです。教育内容(教材)になっているのですが、これは高等教育では通用しないと思 います。こういう書き方をされると、専門学校の先生方の中ではそういうことを考えて おられる方はいらっしゃらないと思いますが、教科書で教えるのではなくて、テキスト を教えてしまう。その考え方というのは、教育内容イコール教材という考え方がそこに あると思います。こういうことは啓蒙的な意味できちんと正しいものに修正する必要が あると思います。 また「学習者」と表現したときには「教授者」という言葉がくると思いますし、「学 生」という言葉がくるときは「教員」という言葉がくると思いますので、その辺の用語 の整理も必要かと思います。 20頁の「評価用具、評価基準、評価の時期」というところで、上から2行目ですが、 評価の時期のところで、「事前的評価、形成的評価、総括的評価」という言葉が挙がっ ていますが、この分類というのは、評価の目的による分類なのです。そのように使われ たらいいと思います。 決定的に抜けているところが、学生の意見をどういうふうに教育に反映していくか、 そういう組織があるかどうかとか、事務の人たちに対するチェック項目がないような気 がしました。その辺は特に小さな組織ですので、1人ひとりの存在が非常に重要だと思 いますので、組織全体での自己点検ができるようなものが必要かと思いました。 「評価内容」ですが、選択肢が日本語として妥当ではないような気がしますので、こ の選択肢も少し今後検討の余地があると思います。以上です。 ○浅川座長 大きいところから、細かいところまでありがとうございました。たくさんご意見をい ただきましたが、予定の時刻は11時45分と伺っております。多少時間がありますので、 ここまでお一人ずつ感想を、大きいところ、細かいところ、ご意見をいただきました が、追加で何かありましたらお願いします。 ○星委員 いちいちもっともだなと思ってお伺いをしておりました。この全体が細かいか、細か くないかという議論はあまり私は入口のところで意味がないだろうと思います。先ほど からお話があるように、どれを自分たちの評価項目としてチョイスするのかというの は、それぞれの目的に合わせて選べばいいことだと思います。何をどんなふうに評価し ていいのかわからないと言っているのに、あなたたちで考えなさい、それが勉強なので すと言われてしまえば、いつまで経っても前へ進めません。 はっきり言えばそれは大学ではできるかもしれませんが、我々のようなところではで きません。ただ、これさえすればいいのだよというのではないのだということを教えて いただいた上で、何を見るのか。病院機能評価というのがあるのですが、あの中にも大 項目、中項目、小項目とあります。大項目で何を見るのですか、中項目のどこに着目す るのですか、具体的にどうなっているのですかということを書き示してある。このこと によって、病院がそれを見て、ただそこにAとかBとかという点を取って3点、4点取 れるようにではなくて、病院というのはこういうものを目指さなければいけないのだな ということがわかるわけです。 これは私たちが陥りやすい間違い、つまり今、井の中の蛙であることに着目して、反 省しなければならない時期だと思う。つまり理念はすごく大切ですが、あまり細かな規 定をする必要はないと言うかもしれませんが、今ここでその具体的なものを示さない と、この先私は先折れになってしまうのではないかと心配します。 もうひとつは、例えば卒業生の進路という話が先ほどありましたが、5年後、うちの 卒業生が働いているかどうかわからない、どこに居るかわからない。たぶん全員のこと を把握している学校は日本中探してもそうないと思います。何パーセントの人が働いて いるのか、そして彼女たちがもう1回勉強して、もう1回実践の場に戻ろうといったと きに、私たちはもう1回そういうことに対してどういう支援ができるのか、ということ もじつは社会的な役割として考えなければいけない。ただ単に合格率が高いからいい学 校だ、入学時の偏差値が高いからいい学校だ、ではない。大学がそう言われて評価を導 入してきたように、私たちもそこにいかなければいけない。そのときに私たちにとって 極めて大切なのは、入学時の評価ではなくて、その人たちが卒後に、どういう生活をし ていて、何に困っていて、働いているのか、働いていないのかそういうことまで我々は 考えなければいけないということも、私たちは学校としての社会的な責任を果たすため には考えなければならないことだと思います。 ですから、そういったことも、考えてみなかったということを投げかけてみるひとつ の手段として、この評価項目があるという位置づけをみんなが理解すれば、私は問題は ないと思います。 いろいろお話がありましたし、まず計画を立てているのかということを聞かれている のです。例えば1年間のうちの自分たちの教育計画、あるいは研修・研究計画を立てて いるのか。あるいはそれがきちんと実践されたのか、あるいは適切に共有されたのか。 そういうことをしていないから、設置者から見れば「何してんだあんたらは」というこ とになりがちなのではないかと思います。施設のことについてもしかり、それから組織 についても私たちの小さいながらの良さもあるのでしょうが、やはり組織としての成り 立ちについてきちんとした明確な方向性を位置づけるべきだと私は思います。 これは一般論ではないかもしれませんが、ただ、先ほど図書の話が出ましたが、隣で は予算が30万らしい、うちは20万だから30万にしてくれみたいな、そういう使い方をさ れると、これは設置者が「待ってくれ」と言います。そうではなくて、これはきちんと 定期的にそういうものがなされている、あるいはちゃんと合冊して保存されているとい うことが必要なのだと。どんな本を選んで、いくらでどこで買うかはどうでもいい話 で、それが役に立っているかどうかを別な次元で評価すればいいのですが、あるべきも のがないということがわかるシステムがあるのかどうか、ということは例えば本のこと に関しては明確にされるべきだと思います。いろいろ言いたいことはありますが、いず れにしても、第一歩でしょうから、これで終わる気持は当然ないのでしょうから、思い 切って投げかけてみたらどうかと思います。 ○菱沼委員 Cの項目で、点数化するということは、何か特別な意味があるのですか。点数化して よくできているとか、できていないとかというふうにするとか。 ○和賀教務科長 Cの36頁に第一ラウンド、第二ラウンドという例を示しました。その中で第一ラウン ドの2番と3番、特に3番から4番に移っていくときに、そういう現状把握を全体的に 見たほうがいいのかなという意味で設定いたしました。ですから、欠落とかが一覧でわ かるかなということで、Cの資料は評価のときにこの項目に沿ってずっとやっていくと いうよりも、そういうものとして活用したらいいかと考えています。 ○菱沼委員 Cで出ている項目というのは、いわゆる評価項目で挙がっている項目ですね。その評 価項目に沿ってというか、それを指標にしながら、皆さんが自分たちの学校の評価をし ていったときに、「非常によくそうだ」とか「あまりそうではない」という点数化する 評価をするということは、何か特別な意味があるのですか。 ○和賀教務科長 点数化は積極的な意味はないのですが、この項目はどの程度できているかな、という ことを学校自体が全体として把握したほうがいいかと考えて、わかりやすく設定しただ けです。それが何点ならばいいとか、何点以上が何ということは今考えておりません。 ○平山委員 枠組みについて聞きたいのですが、自己点検評価をしたら各専修学校が専修学校単位 で公表するということですね。 ○田村看護課長 そうだと思います。 ○平山委員 それを横並びにして比較するとか、そういうことではないですね。 ○田村看護課長 そういうことは一切考えておりません。 ○平山委員 そうすると、いま星先生が言われたように、第一歩として出してきたとき、それを目 指す方向がわかるようにして、そして努力するというインパクトになればいいわけです ね。 ○田村看護課長 そうですね。 ○平山委員 そうだとすれば、今そういうものをどういう形で公表するかは各学校が考えて、やっ てきた成果を理解してもらえるようにするにはどういう方法がよいか、ということをそ れぞれが考えるというように規制しないほうが良いと思います。 しかも今は努力義務の段階です。大学では1993年の努力義務のときに、例えば個々の 大学の社会貢献の状況を示す基礎資料を常備したいが、卒業生が今どこで働いているか のデータは持っていない。データは持っていないが、これが必要であるならば何とか作 ろうというので、まずは同窓会と提携して、今どういうふうな仕事をしているかデータ を取るしくみを作りました。これにより、欠損データはあるにしても、大学として社会 に説明できる資料を常備できる体制を努力義務の期間に作ったのです。そういういくつ かのことを各学校がやる時期にしていったらいいのではないかと思います。 ○田村看護課長 評価指針を作成したとしても、先生がおっしゃられたような学校間の比較に使うと か、そういうことは一切考えておりません。そういう意味で、このCの尺度を構成した このやり方が、やはりそういうことに使われる危険性がもしあるならば、それはお示し しないで、むしろ各学校が自分たちなりにその点検項目を示すことによって、それでう ちはできている、できていないというゼロ・1でやるところもあるかと思いますし、3 段階で自分たちの中である程度のレベルで見ていこうというところもあるかもしれませ ん。そういう意味では、そこは自由を残しておくほうがいいと思います。 ○星委員 ですから私も同じことを申し上げたいのですが、最終的に、同窓会組織を通じて、卒 業生の進路、あるいは現状がわかる。それを就職活動に反映させることができるという 目標を作ったら、それをブレイクダウンしていけば同窓会はありますかとか、あるいは 何年かに一遍定期的な調査をするか、あるいはそのつもりはあるのか。あるいはそのと きに彼女たちの意見とか、あるいは学校に期待することについて評価をもらっているの かとか、たぶんそういう細かなことが浮かんでくるはずなのです。 そこまで全部書いてやるかということについては、そこまで全部書いておく必要はな いかもしれませんが、しかしそのことを自分たちが、こういうことも、こういうことも 調べなければいけないということがわかるガイダンスはしてやらなければいけないと思 います。それをしないで、例えば「卒業生の進路についての資料」と言われても、 「はぁ?」と言うだけですから、そういう意味では非常に冷たいところと、繰り返し繰 り返し同じようなことを聞いているところが混在していて、それでは使いにくいと思い ます。私は、個別のひとつのことに関しても、そういうイメージがみんなで共有できる ようなものにぜひともしていただきたいと思います。 ○浅川座長 今日は第1回ということで、大変緊張して臨みましたが、皆さんにたくさんのご意見 をいただきました。本当にこの指針をいかに活用するか、とても大切なものではある が、教育運営上の位置づけ、それから中身の問題、欠落している項目の問題、表示の問 題、たいへん多岐にわたる意見をいただきましてありがとうございました。それでは終 了させていただきます。次回の日程等について事務局からお願いします。 ○勝又看護科長補佐 次回の日程は3月26日の15時からです。場所については決定次第連絡させていただ きます。今日いただいた意見を反映して、もう一度事務局のほうで修正を加えて、先生 方にまた送らせていただきます。2回で終わるかどうかというのは、3月26日という時 間設定しかできなかったものですから、もう少し事務局で今後の開催の時期というか、 締めの時期も検討させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 ○浅川座長 本日はどうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 勝又、金居 連絡先 03-5253-1111(内線 2599、2594)