02/12/20 新たな看護のあり方に関する検討会(第8回)議事録          第8回新たな看護のあり方に関する検討会議事録         日時     平成14年12月20日(金)        10:00〜12:00 場所     経済産業省別館第1111会議室 出席メンバー 井部俊子、上野桂子、内布敦子、川越厚、川村佐和子、國井治子、        西澤寛俊、平林勝政、藤上雅子、宮武 剛、柳田喜美子        (五十音順、敬称略) ○看護課長  ただいまから、「第8回新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたします。年 度末のお忙しい中、委員皆様方には当検討会にご出席を賜りまして本当にありがとうご ざいます。川村座長議事進行をお願いいたします。 ○川村座長  本日の議題は3件あります。まず、検討課題である「在宅医療における必要な衛生材 料等の供給の現状」と「在宅における注射の取扱いについて」を検討していきますが、 初めに「衛生材料等の供給」について、上野委員からお話を伺い、意見発表の後に、事 務局資料の説明をお願いいたします。 ○上野委員  訪問看護制度ができたときには、介護を中心とする訪問看護ということでいろいろな 報酬等が決められたと思うのです。今は在院日数の短縮化により、非常に医療依存の高 い方が在宅に戻ってきている状況になっています。その中で、当初から衛生材料の供給 に対しては課題になっていたのですが、そのまま「現状と課題」ということでまとめま したのでお話をしてみたいと思います。  現状の問題として、1つは「医師側の問題」といいますか、本来、診療報酬体系の中 で在宅医療処置に必要な医療器具、衛生材料等は保険適用という形になっており、医師 が在総診(寝たきり在宅老人総合診療料や在宅療養管理指導料をとっている場合は出さ なければいけないということがあるわけですが、そこのところが十二分に理解されてい ない。というよりも、先生方のが取り方がわからないで損をしているというのが事実だ と思います。そういう意味で、十分な供給がされていないという現状があります。  訪問看護へ行ったときに、これは必要だと思っても、なかなかすぐには対応ができな い。生理食塩水やイソジン等々が欲しいといった場合に、これが、病院等との連携の場 合で、比較的大きな医療機関だと出していただけるのですが、開業医の先生方の場合に は非常に難しい部分があります。  例えばカテーテル等は、病院などの場合にはロットで確保すると思うのですが、開業 医の先生の場合にはロットで確保することによってロスが生じます。1人の利用者のた めに、30本入りのものを確保しなければいけないとか、1ダース手元に置かなければい けないということがあります。それは、仕入れの問題がありますので、単品では先生方 が確保しにくいという問題が生じていると思います。  医療費の請求ができるということを、よく在宅をやっている先生方はわかるのですが 、訪問看護はいろいろな先生方と接しますので、先生方のほうが保険点数の取り方をわ かっていない部分があるように聞いています。先生方でも、外科系の先生と内科系の先 生では全然違います。外科系の先生は、フォーリーカテーテルが欲しいとか、マーゲン チューブが欲しいという場合でも手元にたくさん持っていますけれども、内科系の先生 の場合にはそれがほとんど手元にはないという状況があります。そういうことで現実的 には提供がされてなくて、看護師等が混乱しています。  看護師側の状況とすると、初回訪問に行って褥瘡があったとしても、そのときには自 分の手元には衛生材料がありませんのでどうするかというと、また医師の所に戻って「 先生、こういう状況なのですがいかがいたしましょうか」という相談をします。「それ では何を使ったらいいのだろうか」「今の状況だとこれぐらいものはいかがでしょうか 」ということを先生方と話をして、「今から業者に頼むので、午後から取りに来てくれ 」という状況になって、またそこでロスが発生して、2回3回という往復になってくる ということも実際に起きています。  緊急時の対応ということがあります。夜間にフォーリーカテーテルが抜けたというよ うな場合に、医師からは1本しか処方されていませんので、夜間に行っても手元にない ということになります。そうすると、ステーションで何らかの形で確保しなければいけ ないという問題が生じています。その何らかの形で確保するということが、本当は薬事 法に触れるのだということは重々わかっていながら、緊急時の対応のために何らかの形 で確保する、というのが現在のステーションの状況ではないかと思います。  利用者側にすると、病院に入院しているときはまるめの中に入っていますので自費が 発生していてもほとんど気づかないと思うのです。ところが在宅に戻ってくると、自費 が丸々見えますので、すごく負担感を感じます。本来、衛生材料等々はステーションで お金を取ってはいけないと言われています。県等の監査などでも、ステーションでガー ゼ1枚取っているとなると、ガーゼ1枚を利用者から同意を得て取っているのか。同意 書はどういうものを使っているのだ、という非常に厳しい行政のチェックの下に、緊急 の場合はガーゼ1枚取っていますというようにするのですが、利用者とすれば、今まで は負担したことがないのを、そういう形で負担しなければいけないという現状もありま す。  そういう現状がたくさんあるわけですが、今後の課題として言えることは、医師が取 る指導管理料に、点滴などの輸液セットや絆創膏等々は含まれていないと聞いています ので、そういうものがきちんと提供できる制度上の手当てが必要ではないかと思います 。  訪問看護ステーション側では、薬事法の問題はありますけれども、そんなに大きなも のではなくても、緊急時に対応できるだけのものを準備できないかと思います。今、在 宅では、医療依存度が非常に高くなって帰ってきていますので、血糖測定やパルスオキ シメーターのようなもの、それからアンビューのようなものもステーションでは準備し なければいけません。その辺のところをどう考えていくかという辺りが課題になるのか と思います。  2頁に示しましたのは、平成12年3月に全国訪問看護事業協会が調査したものです。 これは、医療の供給状況を示してあります。これは、ほとんどが吸引用カテーテルや、 留置カテーテル、栄養セット等々の医療にかかるところに関しては、医師が提供してい るという結果が出ています。ステーションが独自で調達したり、関連医療機関からいた だいているものという形のものがあります。吸引をしなければいけないとか、フォーリ ー交換をしなくてはいけないというものに関しては、医師が取って出していただいてい るということです。  3頁に書いてあるのは「看護消耗品」と名付けてあります。ガーゼ、綿花、綿球とい った看護に使える消耗品について、ほとんど利用者が購入しているのが46.1%になって います。この中で医師が出してくれているのが26%です。ステーションはお金を取れな いということで、ステーションが無償で支給というのが7.4%です。ステーションが実費 で支給しているのが16.4%というデータが出ています。このように、医療備品に関して は比較的医師が出してくれるのですが、看護消耗品に関しては出していただけないので 、何らかの形で購入をしているという状況があります。  4頁に書いてあるのは、看護用器具のところで、吸引カテーテル等医師が出している 部分で、利用者への負担がどれぐらいになっているかという一覧表です。本来、診療報 酬の中できちんと提供していただければ、私たちは本当にケアがしやすい状況になって きます。ただ、先生方が在宅総合診療料を取っているのか、在宅寝たきり患者指導処置 料を取っているのか、訪問看護ステーションでは全然わからないです。それがわかって いれば、「先生、これは取れるのではないですか」ということもあるのですが、医師が どのような点数を取って診療に及んでいるのか、私たちの所では知るすべがないのです 。訪問看護指示書に在総診を取っているとか記載があれば、「先生は取っておられるん ですね。それでは、これは出していただけますか」と言うこともできるのですが、その 辺のところはまだわかっていないということが実際問題としてあります。医療処置をも っている人の所に、在宅ケアがスムーズに行われるためにどうすればいいか、というこ とを考えていただければと思います。以上です。 ○川村座長  非常に現実的なことを数字でお示しいただいたと思います。次に、事務局から説明を お願いいたします。 ○土生企画官  資料2、資料3についてご説明いたします。資料2ですが、ただいま上野委員からさ まざまな問題提起をいただきましたし、中間まとめにも検討課題として盛り込まれてお ります衛生材料等の供給体制について制度上の仕組みを整理したものです。表紙をめく ると「事例」ということで、四角の中に事例の概要と、それを図解したものがあります 。これは、さまざまな衛生材料、医療機器の例を示すために、いろいろな処置を極端に 示したものです。  概要ですが、脳内出血で療養中の男性高齢者を前提とし、処置の内容としては褥瘡が 発生していることに伴う処置、胃瘻を造設している、膀胱留置カテーテルを挿入してい る、痰詰まりを起こしているということで、気管切開呼吸管理をし、吸入吸引を行って いる、合わせて抗生剤による点滴の静脈内注射といった5種類の処置を行っているとい う事例です。  2頁には、ただいまご説明いたしました医療処置に対応した看護の内容、それに伴う 医療機器、衛生材料、薬剤等々を幅広に整理したものです。左に医療処置の内容がそれ ぞれ種類別に示してありますし、真ん中にはそれぞれに必要な医療機器・衛生材料・消 毒薬を整理しています。  その診療報酬上の取扱いということですが、真ん中の医療機器・衛生材料・消毒薬に ついては、表の下のほうに※で書いてありますように、在宅指導管理料の診療報酬の点 数の中に含まれているということですので、在宅指導管理料を取っていれば、当然その 医療機関としては供給すべきという整理になっています。  一方、薬剤と特定保険医療材料については、こうした在宅の指導管理料とは別に、薬 剤料と特定保険医療材料料が別途請求できるということになっています。いずれにして も、医療機関が適切に十分な種類・量の供給をする必要があるということです。  3頁には、そうした取扱いを前提にして、在宅療養にかかわる医療機関、訪問看護ス テーション、患者との関係を非常に機械的ではありますが整理しました。(1)の所で医師 が診察を行い、必要な衛生材料・医療機器・薬剤などを提供する。その診察の結果に基 づいて訪問看護の指示を訪問看護ステーションに出すということです。(3)訪問看護ステ ーションでは、必要な看護ケアを提供するということですけれども、その際に観察、患 者からの相談の結果、さらにどういう衛生材料、あるいは医療機器等が必要かというこ とを観察・相談するということです。  その結果として(5)の上のほうにまいりまして、訪問の結果を医師・医療機関に報告す る際に、利用者の状態に合った衛生材料等の不足や変更を伝えていただくことになるの ではないかということです。その報告の結果に基づいて、さらに(6)で必要な衛生材料・ 医療機器・薬剤などを医療機関が提供する、という制度になっています。  4頁は、診療報酬でポイントとなっている医療機関の在宅療養指導管理料の概要です 。たくさん種類が書いてありますけれども、月1回、基本的にはこのうちいずれかを算 定するということです。当然のことながら1点の点数は10円になっています。この指導 管理料は、基本的な点数だけを列挙させていただいたものですので、この中でそれぞれ 医療処置の内容、あるいは使う医療用具などの種類によって、当然のことながら加算さ れるものもたくさんあります。  5頁はまとめです。衛生材料等について、必要なものが在宅療養の現場で十分供給さ れていない、という現状があるわけですけれども、整理をすると、今ご説明いたしまし た在宅療養指導管理料を点数として取っているということが前提ですので、ここに保険 局医療課の通知をお示ししておりますが、下線部分にありますように必要かつ十分な量 の衛生材料等を支給するということが通知上も明記されております。  (10)のところも抜粋してありますけれども、その例示として指導管理に要する消毒 薬、衛生材料、あるいは医療用具等は当該保険医療機関が提供するとされているところ です。こうした取扱いを前提にすると、さまざまな現場でのお悩み、ご苦労はあろうか と思いますけれども、制度上の整理として私どもが問題点として考えると、こうした制 度というか取扱いが医療機関や訪問看護ステーションにおいて、まだ十分周知されてい ない面があるのではないかということが1点あります。  また、こうした制度を前提としても、訪問看護ステーションと医療機関の情報の流れ といいますか、コミュニケーションの状況というもので、なかなかきめ細かな対応がで きない面があるのではないか。こうした点について、まだまだ改善の余地があるのでは ないか、ということを考えている次第です。衛生材料等についての、健康保険上の取扱 いを整理すると以上のようになります。  資料3「在宅における注射の取扱いについて」ですが、この課題も中間まとめの中で 、在宅に関する諸制度について取り上げられた最後の課題です。表紙をめくりますと、 この検討会の中間まとめを踏まえ、「静脈注射が、医師の指示の下に診療の補助行為と して実施できる」となったわけですけれども、健康保険上の取扱いとしては、「医師の 指示を受けて看護師等が単独で訪問して静脈注射等を行っても、診療報酬を医師が請求 できない」という仕組みになっているので、これを改善できないかという問題提起と承 知しております。  これを、ごく単純な例ということで図解したのがその下です。最初に医師が往診、訪 問診療を行い、例えば3日間静脈注射が必要と判断した場合ということです。1日目は 、当然医師が診察を行い、なおかつ注射を行うということですが、残りの2日間につい ては看護師が単独で訪問して注射を行う、ということが保険上認められないかという問 題です。  これについて現在の取扱いを調べたものが2頁で、以下点数表の解釈から抜粋をした ものです。これも、保険局の通知です。注射薬剤の種類が長々書いてありますけれども 、(1)の最後のところを見ますと、注射が必要欠くべからざるものである場合は、往 診して治療をすべきものであるということで、医師が往診して注射を実施するというこ とが、少なくとも現状では前提にされているということです。  3頁も同様でして、保健師が注射をできないかということに対し、これも通知の末尾 を見ますと、保険医が往診して治療すべきものであるということです。こうした点を今 後改善していく必要があるのではないかという問題提起だということで、厚生労働省と しても受け止めております。ただ、この点は中医協の審議事項ということですので、今 後の改定などの際に十分検討していただくよう、私どもから、担当課である保険局医療 課のほうに伝えているということです。事務局からの説明は以上です。 ○川村座長  今、いただきました資料を2つに分けて、「在宅における注射の取扱い」の件ついて は後ほど時間を取るようにいたしますので、まず「在宅における必要な衛生材料等の供 給体制について」、上野委員のご意見や事務局の説明を踏まえ、皆様のご意見をお聞か せいただければと思います。 ○川越委員  これは上野委員、あるいは事務局のほうに聞いたらいいのかよくわからないのですが 、資料1の1頁の「今後の検討課題」の看護師側の検討課題として挙げているところに 、「物品(衛生材料、看護用具等)を扱っている事実があるが、薬事法では禁止されて いる」という表現がされていますが、これは具体的にこういう格好になっているのでし ょうか。例えば、ガーゼを置いていたらいけないというような格好になっているのでし ょうか。 ○土生企画官  薬事法の取扱いについて補足して説明いたします。薬事法においては、それぞれ医療 用具とか、極端な例でいうと医薬品は、それぞれ薬事法上の種類に応じて規制のやり方 が異なっていると承知しております。  医療用具でいうと、薬事法に基づいて届出が必要となっておりますので、そうした届 出をしていただければ、医療用具を保管なり販売することは、一応薬事法上は可能だと いうことになるのだと思います。  ただ、一方では健康保険法上の取扱いとの問題があると承知しております。保険診療 として医療用具なりを販売するということになると、健康保険で認められていないよう な自己負担を患者にお願いすることになりますので、これは健康保険上の取扱いとして は、先ほどご説明をいたしましたように、診療報酬上で手当てをされている医療機関が 、保険診療の一環として医療用具なりを提供することになっています。  そのほかのものの貯蔵ということになると、医薬品の場合は許可ということになって おりますので、当然薬剤師がいなければできないことになっていますので、訪問看護ス テーションでは、通常そういうことはないのかということです。  医薬品以外のガーゼといいますか、雑品といいますか、普通に売っているようなもの は薬事法上の問題は特にないと理解していますが、健康保険上の問題としては、先ほど の医療用具と同じような問題があるのではないかと理解しております。 ○藤上委員  衛生材料の中には、薬局方として指定されているガーゼとか脱脂綿があります。そう いうものの取扱いは薬剤師がいないといけないことになると思います。 ○川村座長  その説明で事務局のほうはよろしいですか。 ○土生企画官  はい、ありがとうございました。 ○國井委員  事務局から、この課題として医療機関に周知されていないのではないかということと 、そのコミュニケーションが足りないのではないかという問題提起がありましたが、そ れだけで解決するのかということを疑問に思います。訪問看護事業財団という訪問看護 事業をサポートしている財団がありますが、そこに衛生材料に関する問い合わせは非常 に多いです。実際はその医療機関が提供しなければいけないのですけれども、先ほど上 野委員がおっしゃいましたように、在宅医療をやっている先生方もいろいろ専門領域が 違います。専門領域の違うところは無理なところがあって、適切な材料の判断や量のと ころでもナースが困り果てる状況があって、いろいろ細かい問い合せが非常に多いです 。これは、システムとして何か整えられないのかということを非常に思います。 ○川村座長  現行のやり方以上の、何か処置が必要ではないかということですか。 ○國井委員  そうです。在院日数の短縮で、一方に在宅医療を推進しようという動きがあるわけで すから、今までの医師の判断や能力だけに頼っていくのは結構難しいのかと思います。 ○川村座長  何か具体的な提案がありますか。 ○國井委員  訪問看護ステーションには、いろいろ法律の規制があるようですけれども、点数など 法律の規制を課しながら、あるところでは衛生材料の管理も可能なようなことはできな いのかということを、これは非常に乱暴な発言かもしれませんけれどもそう思います。 ○川村座長  ご提案としては、今の制度上は無理かもしれないけれども、訪問看護ステーションな どが、こういう一部のものについて取扱いができるようにできないだろうか、というご 発言でよろしいですか。 ○國井委員  はい。 ○川村座長  実際に、訪問看護の方は困っているのではないかと思いますが、ほかのご提案、ご意 見はございませんか。本日いただいた数値を見ますと、利用者の負担もあるように思い ますので、こういう点が利用者の立場から適切な医療を提供する、という坂口大臣の趣 旨を踏まえると、こういうところはどうやったら改善できるかというのが1つのテーマ かと思います。 ○宮武委員  これは、医療保険の世界であるわけですから、介護保険の世界になると、当然ながら 訪問看護ステーションが請求できるわけですね。 ○上野委員  介護保険でも医療保険でも、訪問看護ステーションは制度の中では一緒です。 ○宮武委員  そうすると、看護用の器具などについても全く同じ規制になっているのですか。 ○上野委員  はい、それはすべて診療報酬の中で、という形になっておりますので、医師が出すこ とになっていますので、訪問看護ステーションではこれを取り扱うことにはなっていま せん。 ○宮武委員  介護保険のほうの報酬点数1単位10円というところは全く別にして、この種の器具全 部医療保険のほうで見て、介護保険のほうはソフトのほうの人件費だけに絞られてくる ということですか。 ○上野委員  医療保険の場合は、訪問看護療養費プラス管理療療費があります。その管理療養費に 当たる部分が、介護保険でいうと1時間8,300円なのですが、5,300円プラスで8,300円に なっているところが管理療養費に当たる部分と伺っておりますので、それがあるから材 料費が入っているかというと、それは入っていません。 ○宮武委員  介護保険ができたことによって、医療保険と介護保険とできちっと整理しなければい けない時代に来ているということも言えるわけですね。例えば訪問看護の場合に、褥瘡 の手当ても当然ながらなさるわけですし、一定程度のいろいろな材料費はかかるわけで す。材料費については込み込みに入っているわけですね。30分なら1時間単位で訪問看 護の単位の中に入っているわけですか。 ○上野委員  訪問看護は、介護保険だろうが、医療保険だろうが、訪問看護の内容は一切変わりま せん。ただお金は変わります。訪問看護を医療保険で行くと、30分から2時間の訪問で 、平均で大体1万円です。それは、訪問看護療養費の基本部分にプラス管理療養費・重 症管理加算・緊急時訪問看護加算等で平均すると1万円前後にになります。  介護保険では、1時間8,300円というところは、5,300円プラス医療保険でいう管理療 養費が入っての値段と伺っています。そうすると、その管理療養費というところは何か ということになると思うのです。訪問看護ステーションは病院と違いますので、医師が すぐそばにいるわけではないというところで、医療機関とも連絡を取りますし、いろい ろなサービスとも連絡を取りますし、家族とも連絡を取りますし、その方をケアする上 でいろいろなことにかかわるというところの療養費の算定になっています。  訪問看護の内容そのものは訪問看護療養費の中に入りますので、それは訪問看護、例 えば行って観察をして、ケアをしてというところの部分です。そのケアをするところに は、こういう材料費は一切入りません。その材料費は、例えば消毒をしなければいけな いというようなところに関しては、本来だと医師から家族が貰ってきていたものを使う という形になると思います。でも、各家族の所に必ず置いているわけではないので、便 宜上は訪問看護ステーションが消毒薬を持っていって、そこでケアをしてくるというの が今の現状になっています。それは医療保険だろうが介護保険だろうが同じです。 ○宮武委員  わかりました。ただ、介護保険の制度ができたことによって、例えばその中に材料費 を含んだ包括点数みたいなものがあれば解決できるわけですね。 ○西澤委員  厚生労働省の説明資料2の2頁ですが、診療報酬点数上は算定できるようになってい るわけです。問題は、診療報酬のルール通りするということが大前提で、その上でどこ かを変えなければ駄目なのかという議論、していないのだったら、ルール通りするため にはどうしたらいいかということを議論すべきであって、していないから別のほうを認 めろという議論に行きかけているので、それは修正したほうがよろしいのではないかと 思います。 ○川村座長  西澤先生のご意見もありましたが、別の中身でも結構ですのでありますでしょうか。 ○上野委員  基本的には西澤先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、どうなのでしょうか、 フォーリーカテーテルの入っている利用者に、医師はフォーリーカテーテルを1本出し ます。しかし、予備のためにもう1本出されるでしょうか。私たちが困るのは、緊急時 に対応できないというところが困るわけです。あらかじめ出してあれば、それは予備で いくらでも使えますけれども、緊急時に対応できるためにどうするかというところは、 この中にはたぶん入っていないのではないでしょうか。2本あげなさい、ということは ないと思います。  もう1つは業者の問題だと思うのですが大きいロットですよね。開業医の先生方向け に、在宅材料をコンパクトに少しずつ分けてあげられるようなシステムができていれば 、少しでもそれだけの在庫は抱えられると思うのです。そうではなくて箱ごととなると 、1人の利用者のために箱ごとというのは難しいです。大きな医療機関では全然問題な いと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○西澤委員  あくまで個人的な考えですけれども、指導管理料を算定しているということは、材料 を提供しているということを含めて包括的にいただいているのですから、その対応をす るのは医療機関の役目だと思います。もし、医療機関のほうで、今言われたように大量 に買えないとかいろいろな問題があるのでしたら、診療報酬上の改善を要求するぺきで あって、訪問看護の立場から言うのはちょっと筋が違うのではないかということを今聞 いていて思いました。その点を整理して議論した方がよいのではないかと思います。お っしゃる意味はよくわかります。 ○井部委員  衛生材料というか、診療材料の供給については病院内においても、非常に遅れていま す。大量にドカッと来て、それで在庫が多くて、病院の経営を圧迫しているというよう なことが医療機関では問題になっております。企業ではサプライチェーンということで 、かなりコンパクトに、必要なものだけ必要な所に届けるといった体制がかなり確立さ れていて、ネジ1本でも届けるといった体制があると聞いております。医療機関では物 品の供給が病院の中でも非常に窮屈ですし、在宅でもなかなか欲しいものが手に入らな いといった制度の障害をうすうす感じたりします。  ですからもっと飛躍して、しかるべき衛生材料の販売元から直接必要なものを、小さ なパックでも届けるといったことを積極的に考えたらどうかと思うのですが、それはい かがでしょうか。制度をすべて突破することはできないでしょうか。 ○川村座長  大変斬新なご意見ですね。上野先生のお話にちょっと付け加えますが、、私が訪問看 護をしておりましたころには、そういう材料の不備が多かったのかもしれませんが、例 えばバルーンカテーテルや気管カニューレというのがときどき故障といいますか、事前 のチェックをするためにバルーンを膨らませて、最初はいいのですが、もう一度やった ときにリスが起こってしぼんでしまうということで、使えないものがたまたまその1本 に当たってしまうときには大変困るのです。そういう配慮が、今はなかなかされていな いということです。これは、訪問看護師のほうの問題ではないと思います。そういった ところも含めて、供給の枠が広がるといいという思いがいたします。予備という考え方 ではない、現実の問題もあるというところもお伝えしたいと思います。 ○内布委員  これは、診療報酬に既に含まれているにもかかわらず、医師がそれを患者に与えてい ないがために起こってくるものと、それから緊急時の対応という2つの問題があると思 います。緊急時のものは医師にも事前に供給しておく義務はないと思うのです。診療報 酬を請求していて、供給する義務があるにもかかわらず患者が与えられていない場合は 、請求すればすぐに滞りなく出していただけるのであれば、訪問看護ステーションの看 護師は一生懸命言う。言っていけば改善していくかなと思います。  それでも出し渋りがもしあるような場合は、出し渋りをした医師に関しては、管理料 としての診療報酬を与えない、というような罰則があれば、医師もきちんと動くのだと 思います。罰則がなければ、医師も脅かされませんので、出し渋りをした分自分は儲か るわけですから、その余剰分は自分の懐に入っていくわけです。そうすると、誰も見て いなければそういうことが起こってくるだろうと思いますので、きちんと罰則なりそう いうものがあることが必要であると思います。  単に情報不足で、「そんなものを提供しなければいけないなんて知らなかった」とい うレベルのものであれば、情報を事前に行きわたらせることによってかなり改善できる のではないかと思います。現実的にはそのように迫まっていくのがいちばん妥当ではな いかと思うのです。  私は、アメリカでビジティングナースと一緒に訪問看護の研修をやらせていただいた ことがあります。そのときの衛生材料の扱い方は、ビジティングナースアソシエーショ ン(日本の訪問看護ステーション組織)に大きな倉庫があり、そこにパックで保管され ていました。例えばIVHに必要な道具はワンパッケージになっていました。それも保 険点数ごとになっていました。  アメリカでは、保険料が高い人と、少ない人と、国が賄っている人があります。その 中には、安い材料で、ガーゼもちょっと粗悪なものも用意されており、安い保険で賄わ れている人はそういうパッケージでというふうに全部用意されています。訪問看護師の 車のトランクの中にはそういうものがビッシリ入っていて、そういうものは当然使うと いう状況になっていました。  あとは医療用に必要なもので、その患者が在宅に置いておかなければいけないような もの(カテーテルの管等)はデリバリー会社があって、その会社が1日1回必要なもの を家の中の棚に補充していきます。ですから、患者の家の中の棚には、いつでも必要な ものが補充されているので、看護師はそこへ来てそれを使う、患者も自分でそれを使う 、というような形になっていました。  私もシステムを勉強しに行ったわけではないので、そのデリバリー会社がどのように して動いているのかというところまでは把握してないのですが、そういうふうにすると 看護師は何の滞りもなく仕事ができます。私は、衛生材料でアメリカで悩んだことは一 度もありませんでした。井部先生がおっしゃるようなことができれば、看護師は本当に 動きやすいし、材料がないということで患者も不安になることもないのではないかと思 います。長期的には、そういうことも考えなければいけないのではないかと思います。 ○川村座長  元に戻りますけれども、この制度の周知の問題や、それの運用上の問題が少し改善で きるのであれば、そういったところについてのご意見をいただきたいと思います。実際 上はかなり周知の努力はされているということなのでしょうか。具体的には、主治医が おられる医療機関、または主治医がこれをどのように知っているかということと、もう 1つは訪問看護師側の話があると思います。訪問看護ステーションのほうでは、こうい うことの情報は伝わっているのでしょうか。 ○上野委員  衛生材料のことに関してですが、私は浜松なのですが在宅療養委員会と合同で月1回 会議を行っていますので、そういう場では困っていることなどのお話はします。そうす ると先生方は「それではみんなに伝えなくてはいけないな」という形で、在宅療養委員 会の先生方ですので意識は高いですから、そういう形では話をしていただいています。  ただ、先ほど言いました看護消耗費のようなところに関しては、どうしても先生から 全部下さいというわけにはいかなくて、そういうところはどうしても訪問看護ステーシ ョンで準備をせざるを得ないという形です。 ○川村座長  柳田先生はいかがですか。 ○柳田委員  在宅指導管理料の中にちゃんと含まれているのであれば、現場である程度……そうい うことはしっかり周知徹底すべきですし、主治医のあり方を考えなければならないこち ら側の問題であります。その辺の連携がなかなか行われていなかったのだろうと解釈し ています。  指示のあり方がどうのこうのということも、主治医のほうのあり方を考えなければな らない問題が出てきました。前の厚生科学研究などでは、そういうところがある程度決 められていなかったのでしょうか。平成10年に訪問看護事業協会で何かできていますが 、その辺りはまだ決められないできたわけですね。大体それぞれの医療機関に任せなが ら来たということなのでしょうね。そういうことについて、あまり詳しく話し合いをし たことはないということなのでしょうか。 ○上野委員  衛生材料の問題は、とにかく訪問看護ステーションは提供してはいけないという縛り の中から出発していますので、どうやって先生方からいただこうかというところできて います。電話相談やいろいろな所で、どうしたらいいんだ、出してくれないんです、と いうことはずっと言われていました。そういったことに関して1回調査をしてみたら、 こういう結果が出てきて、医療器具に関しては比較的出してくれていますが、看護消耗 品に関しては出ていないということです。  逆に言うと、往診してくれる先生が多くなってきているわりには、自分たちが何を出 せるのかをご存じではないのではないか、ということもクローズアップされてきている ということです。先生方がきちんと出されれば、先生方の収入にもきちんと反映するは ずなのですが、そこのところもわかっていない先生も多いということは聞きます。 ○藤上委員  事務局に質問します。医薬品は別として、衛生材料・医療用具に関しては、すべて診 療側の医師の指導管理料の中にすべて含まれているのですか。そうではないものはない のですか。 ○土生企画官  診療上必要なものは、2頁の図で在宅指導管理料の中に医療機器・衛生材料・消毒薬 と必要なものはすべて含まれていると考えております。これは別だとおっしゃった薬剤 等については別途請求できる、という仕組みですので、少なくとも現行の診療報酬の取 扱いとしてはすべて含まれているという理解です。 ○藤上委員  1つ疑問に思ったのは、上野委員から、医師が請求できることを知らないので請求し ていないのではないかというお話がありました。すべて指導管理料の中に、衛生材料、 医療用具は含まれているということですね。 ○川村座長  資料2の2頁の薬剤料、特定保険医療材料料というのは、例えばこれはどういうもの になるのですか。具体的には訪問看護ステーションで使うようなものでは、どのような ものが含まれているのでしょうか。 ○看護課長  資料2の2頁では、真ん中の医療機器、衛生材料、消毒薬がすべてこの在宅指導管理 料の中に含まれていますというものです。衛生材料が片仮名でたくさん書いてあります が、こうしたものがすべて含まれているという整理です。 ○川村座長  右の列の2つは。 ○看護課長  右側は、特定保険医療材料料という形で、別途在宅指導管理料以外に、例えば気管カ ニューレの請求ができます。胃栄養用のカテーテルが請求できる形になっているという 整理です。 ○柳田委員  これから見ると、訪問看護ステーションとの連携がよく取れていない、というような ことを感じますが、そういうことではないのですか。そういうこともあるのでしょうね 。大体それに従って考えて出す、というのは当たり前のような気がするのです。 ○上野委員  連携が取れてないわけではないと思います。連携が取れてないわけではないのですが 、先ほど話したように初回のときに行って、手持ちに何もなくて行ったり来たりしなく てはいけない。それから、行ったときに先生方にそれがなくて、また時間がかかるとか という問題。それから、緊急時のときに緊急対応のものがなくて困るということです。  例えば、「マーゲンチューブ入って、先生これ出してください」という話をすると、 自分の所のロットにないものだから、「利用者に買ってもらおうか」という先生も中に はいるというのは事実のようです。一応言うことはきちんとお話をしていて、医師側に その在庫があるかどうかの問題があったりはします。ですから、コミュニケーションが 悪いというような問題ではないような気がします。扱い方の問題でしょうか。 ○柳田委員  緊急時の対応はよく考えておかなければいけないでしょうね。まさに材料の流通の問 題であるわけです。 ○平林委員  問題はいくつかに分かれると思うのです。衛生材料等についての制度が、診療報酬上 の制度も含めて適切であるかどうかという問題が1つです。仮にそれが適切であったと しても、そのことについて関係者が十分に認識しているかという意識の問題が2つめで す。その2つが仮に適切であり、十分に認識されているとしても、その供給システムが きちんと整備されているかどうかという問題があります。このような大よそ3つの問題 がこの点についてはあると思うのです。その辺を整理して、一つひとつ検討していかな いと、おそらく問題はなかなか解決できないだろうと思います。  制度の問題で、先ほど来お話がありますような、資料2の2頁にあるような形で、医 師がどちらにしてもある程度きちんと責任を持って衛生材料等について供給をするのだ 、というのを是とするのであれば、医師のほうできちんと認識して、その責任を果たし てもらう、ということである程度問題は解決すると思うのです。  ただ、そのように意識したとしても、これも井部委員からお話がありましたように、 開業医レベルではその供給を自分の所ですべての在宅医療に対して十分できないという 状況もあるとすると、社会的なシステムとして、もう少し広い地域の中で衛生材料等を 、薬局・薬剤師等と連携を取りながら、直接医師から供給を受けるのではなくて、一定 の所に行けば、一定の方式で材料を供給できる、というシステムをどう作っていくのか 、ということが考えられるべきではないかと思っています。  この問題は、かなり昔から議論されていて、先ほど来話を伺っていて、何も進歩して いないので唖然としてしまって何もしゃべれないでいたのです。結局事柄は供給システ ムの問題に戻ってくるのではないかと思いますので、少し整理をして具体的な解決策を 提示していかないとならないのではないかと思います。 ○藤上委員  今、平林先生から提供のあり方に関して考えていかなければいけないという提案があ ったのですけれども、平成10年に介護保険が導入されたときに、医師会と、看護協会と 、薬剤師会とで在宅医療介護のあり方に関して検討しています。その中で医薬品はもち ろんのこと、衛生材料、医療用具に関しても薬局側で積極的に提供するべきではないか 、という報告がなされまして、今薬局側ではきちんと提供できるように対応をしている ところです。 ○川村座長  この問題は、今平林委員が整理をしてくださったところでありますけれども、なかな か現実的には根が深いといいますか、今までになかったシステムをどうやって作ってい くかというところになりますので、この場で一つの具体策というのはかなり難しいと思 います。けれども、そういう新しい提供システムを作っていくために三者が、またはそ れ以上に多くの社会の人たちがどのように努力をしていくか、というところにこれから の課題があるように思います。ここでは結論というふうにはならないかもしれませんが 、一つの提案は出していけるのではないかと思います。 ○井部委員  資料の2頁に書いてある衛生材料について川越先生にお聞きしたいのですけれども、 こういう物品が必要であることを医師は知らないのではないかと思うのです。それを供 給するように制度として決めているのはナンセンスではないかと思うのです。気管切開 部にYガーゼを使うといったような細かいことを、少なくとも私の周囲にいる医師は知 らないので、それを出すというのは非現実的だと思うのですがいかがでしょうか。 ○川越委員  おっしゃるとおりだろうと思います。先ほど来の議論を伺っていて、平林委員に問題 を整理していただいたのですが、整理した問題の順番に従って言うと、制度上は今のま までいいのではないかという気がしております。ただ周知徹底してないというか、その 制度を正しく医師側も認識していないし、訪問看護師もドクターに強く言えないという ところがあるのではないかと思います。井部委員からご指摘がありましたように、先ほ ども國井委員がおっしゃっていましたけれども、非常に専門化しておりますので衛生材 料とか細かい器具のことについて1人の医師が全部知っているということは実際問題と して不可能です。現実的には、むしろ看護師にお任せするところが非常に強いというの は致し方ないことではないかと考えております。  私が先ほどから思っていることは、運用上の工夫でかなり問題が解決するのではない かということです。それを言ってしまうと終わりになってしまうかもしれませんけれど も、どこをどうしたらいいのかというのが見えてこないのです。話を聞いていて、私の 所はうまくいっているのにと思っていました。  緊急時にどうするかという問題は確かにありますけれども、私たちの所は訪問看護ス テーションが余分に持っています。フォーリーのカテーテルが常時1個必要だとしたら 、極端な話が2個持っていていただいて、緊急時にはそれを持って駆けつけていただい て、後でそれを補給する。診療所のほうからお返しする、というような形をとっており ますので、現実的にはあまり問題にならないのではないかと思っていました。  もう1つは供給体制の問題です。東京の場合はフォーリーのカテーテル1つと言って も届けてくれるようになっています。上野委員のお話を聞いていて、地方とはその辺で 差があるのかなと思いました。もし、そういうのが全国に行きわたるようになれば、あ まり問題にならないのではないかという気がしております。 ○川村座長  この問題は、人工透析といいますか、家庭透析の方の薬液の輸送の問題とか、人工呼 吸器の貸し出しの問題とか、あちこちで具体的な解決を求める活動があると思います。 基本的に今の日本の制度というのは、医療機関の中で医療を行うという制度になってい ますので、今までのところでは使う人と、収入を得る機関が同一であったと思うのです 。今度、訪問看護が始まる、在宅医療が始まったということで、それが分化していると ころに齟齬があるのではないかと思ったりしています。  いろいろな意見をたくさんいただきましたが、川越先生の所ではうまくいっていると いうのは周知徹底されていると思います。やはり、地方で訪問看護がポツンと1つある ような所とか、いろいろなサービスがまだまだ行き渡っていない所も含めた問題をここ では取り扱っていく、というところに今困難が生じているのかと思ったりしています。 大変たくさんの建設的な意見をいただいたということで、これは終わりにさせていただ きます。  次に「静脈注射を看護師の診療補助業務の範疇として取り扱う」というところが認め られたところですけれども、それについて診療報酬が請求できない。看護師だけが単独 で訪問して、その報酬が請求できないという状況に対して改善できないか、ということ で資料3で事務局からご提案をいただいた討論に移らせていただきます。まず、賛成と か反対とかのご意見はいかがでしょうか。  これも現行の制度では、昭和26年の通知の影響もあるかと思いますけれども、資料3 の2頁、3頁のような規制がかかっているところです。 ○川越委員  現実にこういう格好をしているというのを、資料1で提示してあるわけですけれども 、多くの開業の先生方はこういう格好で、例えば抗生剤の点滴が必要な場合、最初は行 って診断して、3日間抗生剤の点滴投与をしようということで、こういう形でやってい るのだと思います。  ただ2頁、3頁を見ていてびっくりしたのは、平成12年の段階で、注射をするのだっ たら医者が行ってやらなければいけないというのが生きているわけです。看護師の責任 で静脈注射などを行ってもよいという改定がなされたということですからそれを踏まえ て言うと、この辺も変えていただきたいということを思っております。  このままだと、実は違法をたくさんしているわけです。看護師だけでやるというのも 違法ですし、こういう場合の請求の仕方がどうなるかという問題はどうしても出てきま す。医者の立場からの発言になって恐縮なのですが、その辺をちゃんと整理していただ きたいというのが希望です。 ○國井委員  今回の法解釈の変更で、看護師等も静脈注射が可能になったわけですけれども、それ に関してはそういう機能が拡大したということでいいことだと思います。それに責任が 伴うわけですので、そういうことを引き受けていくときに、きちっと評価されるのかと いうのが私たちはすごく気になるところです。これは川越先生の意見より一歩踏み込ん で、こういう法解釈の変更に伴って、いろいろな保険のところで看護師等が行うことも 、きちっと診療報酬で評価してほしいと希望します。 ○川村座長  別の観点からでも見て、どなたかほかの意見があるでしょうか。 ○上野委員  10月から法解釈が変わったというところで、現状としては指示が来なくなったという ことがあります。今まではこういう形でやっていて、それは先生方もわかっていて、無 診療処方という形になるのでしょうか、2日目はそうなるわけです。先生も、わかって いてやっていただいたわけです。  今度は、明らかに看護師が注射をするといった場合に、その注射薬はその日に誰が出 したのかということになると、診察をしないで出したのかというと、再診料を取れない ことになるということがあります。これは利用者にとっては必要な注射だから今までも やっていたわけなのですけれども、それは療養担当規則との兼ね合いがいろいろあるの だと思うのです。  私も病院のことはよくわからないのですけれども、例えば再診で行ってMRIの予約 をしました。次に検査に来ました。検査のときには再診料を取らないで、検査のみがで きるというシステムだそうです。その次に結果を聞きに行ったときには再診料を取って 診察をする。検査のみのときには再診料を取らなくてもいいという診療報酬の取り方が あるというふうに伺っています。  在宅療養者に限り、初めの日は医師が診察をして、2日分出したときには、その2日 目のものに関しては再診料は取らないけれども、処方ができるという仕組みができれば 、ここの問題はクリアできるのかと考えましたがいかがでしょうか。 ○土生企画官  医療課に聞きましたところでは、今回の診療報酬改定により、薬剤の長期投与は原則 廃止になったと聞いております。注射薬についても、一部日数制限があるようですけれ ども、原則として投与日数の制限はないという取扱いになったと聞いております。最初 の診療のときに、例えば数日分指示するということは可能になっている、というふうに 理解をしております。  先ほどご説明しましたのは、まだ、それが在宅との関係で医師が往診して投与すべき となっているということで、その点はまだこれから検討課題としなければいけないので はないかということで、本日ご意見があったということは、私どもからさらに伝えてお きたいと考えております。 ○川村座長  それは周知されているのでしょうか。上野委員のお話からすると、まだ一般の医師が 知らないからそういう齟齬が生じているということになるのでしょうか。 ○土生企画官  今申し上げましたのは、投与日数の制限の緩和ですので、少なくとも在宅の関係では 、先ほど来申し上げていますように、医師が往診しなければならないということですの で、実質的にその制限の緩和の実効性が上がっていない面があるのではないというふう に理解しております。 ○平林委員  投与日数の制限の緩和とともに、それとは別の問題として、先ほど来お話があります ように、静脈注射が診療の補助業務として認められたというこの検討会の流れを踏まえ て考えていくと、在宅医療の場合、必ずしも医師が行かなくてもいい場合と本当に医師 が行かなくてはいけない場合と両方あると思います。必ずしも医師が行かなくて、訪問 看護師に注射等を行わせしめることが適切であると判断したときには、それが法制上は できることになってきたわけです。それに対して診療報酬上の評価の平仄が合わなくな ってきているということになるわけですから、診療報酬上の医科点数表の解釈等につい ても当然解釈変更がなされてもいいのではないかと思います。  ただ繰り返しますが、そう言ったからといって、なんでもかでも看護師が行けばいい ということを私は言っているつもりは全くないのです。本来医師が在宅医療については 最終的責任を負うべきだと考えておりますので、医師が本当に行かなくてはならないと きは必ずある。そのときには、きちんと医師は医師として対応すべきだというのが前提 となっての話であるということを申し上げておくことが必要だろうと思います。  それともうひとつの問題は、先ほど國井委員からお話がありましたように、診療報酬 上の評価の観点から、訪問看護師が注射をしても、訪問看護師の点数としてはね返って こないというところは、診療報酬全体をガラガラポンしないといけない問題であるのか もしれません。これは将来の問題として、看護の技術料をどう診療報酬上に評価してい くかという大きな問題と絡んでくるのですが、その点も私としてはこの問題を考えると きには看過すべきではないだろうと思っております。 ○井部委員  訪問看護師が在宅で注射をしても、一切収入にはつながらないということですか。指 示書を書いた医師の所へいくということですか。 ○上野委員  今は、そうです。 ○井部委員  それはおかしいですね。なんとしても、それは早く変えないと、ただで注射の技術を 提供してしまうことになるわけですから。 ○平林委員  訪問看護料は全部丸めとして出されており、技術料も丸めの中に入っていますという のが従来からの解釈だと思うのですが、本当にそれでいいのかという疑問は残るだろう と思います。 ○西澤委員  注射手技料はただではなくて、今おっしゃったとおり、訪問看護の包括の金額の中に 入っているという感じです。看護師の技術料はすべて包括で、その中の1つの技術が注 射ということに今はなっているのではないかと思っています。  これはおかしい、という話もありますけれども、実際に病院の中でも看護師が注射し たときの技術料はいくらかというと、本当に微々たる額だと思いますので、それが上乗 せになろうがなるまいが、あまり問題になる額ではないのではないか。ただ、そういう 技術として少しでも認められるというプライド的なものは残るかと思います。  この例示を見たのですけれども、「医師が往診または訪問診療を行えるのは3日間必 要」ということですが、これは急性というか緊急の場合に見えるので、このときは訪問 看護師が行く場合と、ある医療機関の看護師が行く場合と2つのケースがあると思いま すので、議論のほうではそれを分けてだしていただいたほうがわかりやすいかと思いま す。特に、今のような報酬の話になってくるとケースも違ってくるのではないかという 気もしています。  それから、最終的には医師がトータル的な責任を負う。例えば、指示を出した注射で 何かが起きたときには責任を負う、というのは当然医師だと思いますから、その辺の責 任がはっきりするし、手技に対する責任は当然看護師のほうで明確にしていただければ ありがたいと思います。 ○國井委員  先ほどの「診療報酬の評価」のところですが、プライドの問題だけではなくて、いろ いろな病院で看護師の要員などを決めていくときに、看護師の数が非常にいますので、 診療報酬の評価ということは要員配置にもプラスに働くとか、いろいろなことがありま す。現に、今は静脈注射をやっていない所もあるわけですが、それを引き受けていくこ とに関しては、いろいろな教育だとか、新たな業務量が増えてくるという問題がありま す。そういうことが、きちんと評価されるということは非常に大きい意味があります。 ○西澤委員  全く技術を評価しないというのではなくて、看護師の仕事というのは静脈注射だけで はなく、いろいろな専門の業務があるはずですので、すべてを評価すべきだと思うので す。そのときには、1つのところだけ取り上げて付けるやりかたで積み重ねてもおかし いので、トータル的に看護師の業務として評価する方法を考えていただくべきだと思い ます。  おっしゃるとおりで、そのへんがきちんと評価されているかというと、私は評価され ていないと思っておりますので、その点ではまったく一緒です。 ○川村座長  宮武先生は、この点についてどうお考えですか。 ○宮武委員  私が黙っていたのは、静脈注射を看護師がやってもいいということになったわけです から、単独でやった場合もきちっと診療報酬を請求できるのは当たり前のことですから 、解釈を変えればいいだけのことで、当たり前すぎて意見を言う気がしませんでした。 ○柳田委員  責任の問題がありますから、これはいろいろ意見が来ているところですが、やはりそ のようになるべきではないかと思います。 ○川村座長  本日の2つの議題に関しては終わりにさせていただきます。9月に中間まとめを出さ せていただきましたけれども、そこに「在宅医療を取り巻く関連諸制度の再検討の課題 」として、「例えば、在宅における注射の取扱いの見直し、在宅がん末期患者の疼痛を 緩和するための麻薬製剤の適切な使用の促進、必要な衛生材料の供給体制、さらには在 宅患者の死亡時における看護師等の関わり方などの検討が必要との意見もあった」とい うことで、これらのことについて、この検討会としては討論をさせていただいてきたと いうプロセスになります。3番目の議題について事務局から説明をお願いします。 ○医事課長  「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会の設置について」という ことについて説明いたします。ALSというのは、筋萎縮性側索硬化症という難病です 。これについては、最近は在宅での療養が可能になってまいりまして、そういった患者 も相当数増えてまいりました。  そういったなかで、ALSの患者が在宅で療養していくためには、口の中や気管内の 痰を吸引するという行為が大体30分に1回ぐらいの頻度で必要であるということです。 これに対しては、往診が得られた場合は医師が行ったり、あるいは訪問看護師が行った りということであるのですけれども、訪問看護師については人数も非常に少なくて、な かなか利用できない。利用できたとしても週3回程度であって、短時間しかやっていた だけないということから、必然的に患者家族の負担が重くなっているということで、患 者そのものの生存権が脅かされているということなども踏まえて、ALS等の痰の吸引 を必要とする患者に、医師の指導を受けたヘルパー等介護者が、日常の場で吸引を行う ことを認めてください、という要望書が日本ALS協会から、この11月12日に出されて おります。  これに対して、厚生労働大臣から、「この問題に対して検討の場を設けたい」という ことと、「来年の桜の花が咲くころまでには結論を出したい」とお答えになったという こともあり、これを受けて国会の場でも同様な質問が出されまして、その中で大臣から 「関係者の皆様のお話し合いの中で検討する時期にきていると思っている」という答弁 もされておりまして、そういうことを受けて今回この検討の場を分科会を設けたいとい うことです。資料4に書かれておりますように、検討の課題としては「患者の療養生活 の質の向上を図るための看護師等の役割」、それから「痰の吸引行為の医学的・法律的 整理」という観点で検討をお願いしたいと思っております。スケジュールとしては、本 年度末を目途に結論を得たいということですのでよろしくお願いいたします。 ○川村座長  この件につきましては、事務局の説明の趣旨をご理解いただきまして、ご了承いただ きたいと思いますがいかがでしょうか。 ○川越委員  ALS患者に限定したということは、患者の会からの要望があったということに関係 しているのでしょうか。 ○医事課長  当面ALS患者に対する対応が急がれるということでこの問題を第一に取り上げてい ただきたいということです。 ○川越委員  この医療行為に対しては、痰の吸引行為をしてもいいかという、そこに限定する予定 なのでしょうか、それはまだこれからの課題なのでしょうか。 ○医事課長  とりあえず、まずその問題を整理したいということです。 ○川村座長  よろしければ、ご了解いただいたということで進めさせていただきます。事務局は忙 しくなりますがよろしくお願いいたします。本日は、今まで懸案になりました検討事項 について一通り済ませておりますが、この一言は絶対に言いたいということがあればお 願いいたします。 ○國井委員  これから、まとめのところでもうちょっと収斂されていくのかもしれないのですが、 医師の包括的指示の下にというようなことで、いろいろな意見が出ましたが、それに伴 って看護職にどいういうことが可能になったということがもうひとつ明らかにならない 。どういう能力を持っている人たちにはせめてここまでというような議論にはなかなか いかなかったのですが、「新たな看護」ということで看護職の能力を最大限活かしてと いう、この会の趣旨のところで、もう少しその焦点化して、この間、井部委員が医師の 包括指示のところでレベル1とレベル2と分けたレベル2の辺りを、もうちょっと具体 的に検討してほしいと思うのですがいかがでしょうか。 ○川村座長  それは、かなり細部にわたったことになりますね。 ○國井委員  そうです。 ○井部委員  この検討会は、「新たな看護のあり方に関する検討会」という、21世紀に希望に満 ちた検討会のタイトルなので、看護界は非常に期待をしています。これまで検討した内 容は、私の感触では過去の懸案事項をもう一度取り出して整理しようというような、過 去の遺産に向かっていたような気がします。新たな看護ということで、検討会の名前ど おりの内容をもう少し提示できることを期待しています。 ○川村座長  もう少し具体的にいうとどういうことになりますか。過去のいろいろな問題を整理し て、それを克服していくということが次に向かうステップという位置付けかと思うので すが。 ○井部委員  克服した、ということがはっきり示すことができると一歩前進だと思います。 ○川村座長  これからの取りまとめの中に、それをどう含めていけるかというところかと思います が、事務局としては何かご意見があるでしょうか、よろしいでしょうか。 ○川越委員  今までの中で、これを取りまとめされるわけですね。まだ言い残しているというか、 是非言いたいことがあるのですけれども、それはどのような形にしたらいいでしょうか 。 ○川村座長  今、おっしゃられることでしたらどうぞ。 ○川越委員  大きく2点あります。項目だけ申し上げておきますと、ひとつは死亡診断のことです 。先ほど平林委員から、医者が絶対行かなければいけないということで、その辺のこと を意識されているのかなと思いながら伺っていました。その死亡確認の問題と、死亡診 断書の発行のことについてが1つです。  もう1つは、麻薬の量の調整ということを、指示の出し方で看護師にある程度委ねて いいのではないか。それを認めていただくということになれば、保険局から出ているい ろいろな通達の中で変えていただかなければいけないものがいくつかあるように思いま すので、それをちょっと言いたいなと思っていました。 ○川村座長  今すぐには、おっしゃれないことですか。 ○川越委員  通達のほうは持ってこなかったので、もし差し支えなければ後日文書で出しますので よろしくお願いします。 ○川村座長  是非そうしてください。これで、中間まとめに盛り込まれた検討事項の審議が一巡い たしました。次回は、私と事務局で相談をさせていただいて、論点整理のメモを提出し て、それについてご議論いただきたいと思います。先ほどのような観点からの文言の整 理とか、付加すべきことなどがありましたらそこでおっしゃってください。今の、川越 委員のご意見のように、細かい問題があれば、それは直接事務局に連絡してください。  本日は、これで閉会させていただきます。大変お忙しいところ、長時間ありがとうご ざいました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 課長補佐   勝又(内線2599) 保健師係長  習田(内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206