02/09/06 不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会第10回議事録      不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第10回)議事録      1 日時   平成14年9月6日(金) 10:00〜12:00 2 場所   厚生労働省専用第13会議室 3 出席者  (1) 委員(五十音順)   (1)伊藤 眞(東京大学大学院法学政治学研究科教授)   (2)岩村正彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授)   (3)小幡純子(上智大学法学部教授)   (4)菊池信男(帝京大学法学部教授)   (5)諏訪康雄(法政大学社会学部教授)   (6)村中孝史(京都大学大学院法学研究科教授)   (7)山川隆一(筑波大学社会科学系教授)  (2) 行政   青木統括官、青木審議官、熊谷参事官、中原調査官、山嵜中労委第一課長  他 4 議事 ○  ただいまから第10回不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会を開催します。  議事に入る前に、事務局に人事異動がありましたので紹介します。坂本統括官に代わ り、青木功政策統括官がご就任です。鈴木審議官に代わり、青木豊審議官がご就任です が、所用で少し遅れてご出席の予定です。それから岡崎参事官に代わり、熊谷毅参事官 がご就任です。また、清川調査官に代わり、中原正裕調査官がご就任です。どうぞよろ しくお願い致します。  では、最初の議題に入る。 ○  先日、特別用意もせずに申し上げたことを前提にして、命令書の内容上の問題点と、 取消訴訟との関係を中心に申し上げたい。  不当労働行為事件の処理の現状については、いうまでもなく、手続が遅いということ と、命令書の作成が遅いということが最も問題である。特に救済命令というのは緊急的 なものなので、それがこんなに遅いということは、制度の使命をまったく果たしていな いのではないかということになってくる。従前から遅延ということは指摘されていて、 要するに審理が長くなって命令書が長くなるというのは、結局、いろんなことをだらだ らと審理して、それを前提にして何でも書いていくから長くなるということは誰でも言 うことである。  しかし、これはあまり指摘されていないが、私が非常に強く感じているのは、それで は中身は問題ないのかということである。審理の長期化、命令書作成の遅延だけが問題 だということだけだと、事件の少ない地労委などは、自分のところは特に遅れていない から、何も問題ないじゃないかということになる。特に役所の仕事が遅れているかどう かというのは絶対的な評価が難しいので、他のところの平均の審理期間からはずれてい るかとか、大多数がおさまっているところに入っているかということが基準になってく る。そうすると、集団から遅れていないのだから、遅延などというのは中労委と、大き な地労委の問題だというのが本音である。まず例外なくそう思っているのではないかと 思う。要するに、遅延というのは自分のところのことではないということである。要す るに、遅延だけが問題だったら今のやり方で特に問題はないじゃないかということにな ってくる。  しかし中身の問題はないのかというと、それが実は大きな問題である。従前私が拝見 したところ、このことは昭和57年報告書でも、平成10年報告書でも指摘されていないし 、内部の議論でもあまり指摘されていないことだが、命令書については大別して二つの 内容上の問題点があると思う。  命令書が長すぎるといっても、内容的にみて、大事なことがみんな書いてあるのであ ればまだ問題は少ないのだが、大事なことも何も区別せずだらだら書いていると、結構 大事なものが漏れてしまう。不必要に詳細だったり、無駄な記載が多く、論理的に整理 されておらず極めてわかりにくい。その上、記載することが適切でないような内容も少 なくない。長いわりに、肝心の争点の判断や大事な点の証拠の採否といった点について 的確な判断がなされているかというと、この点は何で判断がないのかといったような、 判断の漏れがけっこうあったり、あるいは過不足がなく、必要なことは十分言ってあっ て、しかも無駄がないという内容になっているかという点からすると、不十分なものが 少なくない。事実認定のところと、判断のところについて不十分なものが非常に目立つ 。このことは、中労委、地労委の法曹有資格者の委員の人々からもよく聞かれる声であ る。  それで、特に取消訴訟との関係で申し上げたい。中労委の仕事をするようになって、 非常に驚いたのは、処分に対取消訴訟の提起率と、訴訟で処分取消の判決がされる比率 が非常に高いということである。ほかの行政処分の場合このようなことはない。  私は、当初この処分取消率の高さは、事実認定の問題ではなくて、判例理論と労働委 員会のプラクティスが採ってきた理論との乖離に由来して、つまり理屈のところで取り 消されているのだろうと思っていた。  ところがだんだん実情が分かってみると、理屈の部分ばかりでなく、事実認定の部分 が裁判所で支持されないという場合が多いということが分かってきた。事実認定の合理 性ということでいうと、一般的に中労委・地労委いずれの場合にも非常に問題が多いと いう感じがしている。  訴訟に限らずどの行政処分でも事実認定をしているわけであるが、今のシステムだと おおまかにいえば、すべての行政処分の前提になる事実認定というものは、司法審査の 可能性を残しているわけで、行政庁としては、行政処分の前提としてした事実認定が訴 訟になって、両当事者からの攻撃と、その中でなされる裁判所の判断で、最終的に支持 されないと困ってしまう。だから、どの行政庁も、訴訟における事実認定についての基 本的な約束事というのはみんな一生懸命押さえてやっているわけだが、証拠の信用性と か証明力の評価、これが前提になるが、そこのところが、何でその証拠を採ったのか、 何で他の証拠を採らなかったのかとか、その証拠からどうしてそういう事実が認定でき るのかなどという点について、率直にいうと、恣意的な判断や、粗雑な認定が多いと思 う。どうもこれでは合理性・妥当性のある事実認定としてどこでも支持されるというわ けにはいかないのではないか。  特に、間接事実からの総合認定については問題が多い。事実認定の問題はここに帰す るといってもいいくらいである。しかし、それは別に高遠な理論があるわけではなく、 社会生活の中で普通に行われている経験則と論理法則に従って、合理性、妥当性のある 事実認定でなければならないということだから、判決でなくても、行政庁の文章でも日 本語の文章で論理性・合理性のある文章を書こうとすれば、誰でもやっていることであ るが、たくさん書くために余計なものを書いて、積極的に有害なことが記載されている ものが少なくない。そうすると事実認定が維持されなくなる。  同じようなことが判断のプロセスでも、理由の説示でもみられる。事実の評価、それ に対する判断やその理由の説示の論理性、合理性にも問題のあるものが目立つ。この点 も例えば裁判官として担当した経験のある人、あるいは中労委や地労委の法曹有資格者 の多くが、みんな感じていることのようである。何でこうなのでしょうねという話をよ く聞く。  それから、取消訴訟の提起率と処分取消率の高さの背景としては、判例理論との対応 というのがどういうふうに考えられているのかという問題があると思う。  すべての行政処分は原則として、最終的に司法審査に服するが、司法審査での最終判 断が最高裁の判決という形で示されて、それが行政庁敗訴だった場合、行政庁としては 、真剣になって判例の示した内容に対する対応を考えるのが通常である。  そして、理屈の上で、判例の示した理論と従来の行政実務がとってきた理論が食い違 うというのには、三つの場合がある。第一は、判例の判断がもっともだという場合で、 その通りに今までのやり方を変えることになる。第二は、その問題については、判例理 論のような考え方も、自分たちのような考え方も、あるいは他の考え方もあって、それ ぞれそれなりに理由のある説の対立で、どちらでも決まりさえすれば格別不都合はない ので、最高裁で決まった以上、行政庁としてはそれに従えばいいという場合である。こ れら第一と第二の場合は判例理論に従ってその後の行政実務を行うから、特別の問題は ない。第三は、数からいうとこれはごく少ないと思うが、判例理論はどうしても間違っ ていると思わざるを得ない場合である。しかし、この場合も、判例を無視して行政実務 をやっていくということは普通ない。そういう判例に反した実務をやっていくと、どん どん行政訴訟が起きるし、どんどん取り消される可能性が高いわけだから、自分たちの 従前の考え方は考え方として、今度は司法審査で支持されるようにするにはどういう点 を改めたり、注意していけばいいかという点を検討して、判例に沿った行政実務をして いくという対応をする。  事実認定のところで負けて、それが最終的に最高裁判決で維持されてしまうと、すべ ての行政処分の前提として事実が入っているわけであるから、事実認定で負けるという のはある意味では理屈で負けるより恥ずかしいことだというのが一般的な考え方で、そ このところはなぜそうなったのかということを、一生懸命、判決を材料にして、今後の その行政庁での対応や、やり方を考えていくのが通常である。  行政庁敗訴の最高裁判決については、どの行政庁もそういう対応をしているのが普通 だと思うが、労働委員会では、最終的な最高裁の判例の判断と、判断の枠組みが違った りしても、わりにその点は無関心というか大らかというか、それとは関係なしに判断し ているという傾向があると思う。これでは、処分で負けた方の当事者が取消訴訟を起こ すし、取消率が高くなることは避けられないであろう。  また、ご存じのように行政庁を当事者又は参加人とする訴訟については、行政庁は法 務大臣の指揮を受けるものとされている(国の利害に関係のある訴訟についての法務大 臣の権限等に関する法律第6条第1項、第5条第1項)。そして、法務大臣は、法務省の訴 訟部局の職員を行政庁の指定代理人とし、弁護士を訴訟代理人として選任することがで きるものとされている(同法第6条第2項)。したがって、一般の行政訴訟では訟務の担 当者が法廷に出ていって、行政庁の職員と一緒に指定代理人として対応する場合もある し、法廷外で主張・立証についていろいろと相談にのって意見を述べ、行政庁側の指定 代理人だけが訴訟上の対応を行うこともあるし、並行的に弁護士を選任することもある 。というのは、訴訟上の対応には一種独特のコツのようなものがあって、場数を踏んで いる人にいてもらわないと困るような場面がある。それから指定代理人は人事異動があ る。大きな訴訟で長くかかるということになれば、原告側の代理人は何年かかっても同 一の人がやっていて、訴訟上の出来事や経過について始めからのことを知っているのに 、行政庁の指定代理人はどんどん交替して、誰も以前のことを知らなくなってしまう。 そうすると、弁護士を選任することがある。また、法務省の訟務部局では、具体的な訴 訟を離れて、ある行政庁敗訴の判例が出たことによって、行政庁が今までと同じような プラクティスをやっていると後々どんな問題が起きるかといった、いうなれば判例の射 程距離みたいなものだとか、あるいはこういう証拠しかないのにこういう事実認定をし て処分をしても、法廷ではとても通らないのではないかといった、いろいろな相談を受 けて助言や意見を述べている。現在は、訴訟等に関して、そういう法務省や弁護士から のサポートを一切受けていないという問題がある。  審級省略とか実質的証拠法則ということを議論するなら、今説明したような事実認定 と判断や理由の説示についての問題点と判例理論との対応の問題、これをきちっと問題 点として認識してそれについての物の考え方を整理して置かないと、報告で取り上げた 場合、いろいろな問題が出てくるのではないかという感じがする。 ○  ありがとうございました。今のご意見に対して、関連した意見などあればお出しいた だきたい。 ○  命令の書き方と合議あるいは命令を書く前提の事実認定作業との関係だが、おっしゃ られた証拠の信用性・証明力という点に関してお伺いしたいのは、例えば現実には反対 証拠をどう評価するか、排斥できるかどうかとか、あるいはそこから導かれる推論が反 対証拠の方が合理的かどうかとか、そういったことはもちろん命令を書くときは何らか の形でわかるようにすることは必然かと思うが、合議のあたりでその辺を吟味するとい うような運営はなされているのだろうか。 ○  私は中労委の実務しか知らないが、公益委員会議で本当にそれをやろうとすると、議 論に参加する人が証拠を読んでいないと事実認定というのは議論できない。労働委員会 のような組織では、それは難しいのではないか。地労委によってもやり方は違うようで 、証拠を全部合議のときに見ているところもあるようだ。しかし、事件数の多い地労委 では無理であろう。そこのところは、やはり事務局職員の方にいろいろやって頂くしか ないのではないか。  事実認定の約束事とか採証法則というのは、全く論理の問題であるので、いくつか基 本的な約束事さえ覚えれば、後は実務をやりながらやっていける。事務局の職員にかな り簡単に慣れてもらってサポートしてもらい、相談相手になってもらうことができると 思う。事実認定というのは、今のシステムでは事務局の人としか合議しようがないし、 それが頼りだという気がする。 ○  地労委の実態としては、担当審査委員が証拠を見るというのはあるが、合議の過程で 他の審査委員が証拠を見ることは実際にはない。命令原案では証拠の摘示は全部やって いるが、原案が送られてきた段階で、とりわけ不当労働行為のポイントになるような事 実について、一方の証拠あるいは証人の証拠のどっちから採っているか、というチェッ クはできる。そうすると、一方の主張だけになっているところをこれは大丈夫か、とい うようなことは分かる。しかし、それ以上のことは分からないというのが正直なところ である。 ○  そうすると、逆に言うと、命令書の原案において認定過程の説示が詳しく書いてあれ ば、それについていろいろ議論できる論理性があるという点についてはどうか。 ○  対立する証拠が出された中で、こちらは採用し、こちらは採用しないといった認定過 程は、詳しく書こうと思っても書けないものがほとんどである。普通、当事者は準備書 面や最終陳述書などで、証拠との関係での主張を詳しく出してくるが、そこでは自分の 側から見て少しでも有利そうだと思えるありとあらゆる理由と根拠を挙げて、議論を展 開してくる。そうして、そこに出ないようなことが決め手になることは、私の訴訟も含 めた経験からして絶無といっていいと思う。事実の認定というのは何もそんなに専門性 の高いことをやっているわけではなくて、そこで認定するのは普通の生の社会的事実で ある。そこには、誰も思いつかないような新しい理屈などあるわけがない。対立当事者 構造のメリットは、事実認定について自分に有利と思う主張と証拠はお互いに出せるだ け出してくるということである。  個々の証拠についても、その信用性と内容的な評価について、双方から対立する言い 分が出てきて、それを手がかりに事実を探っていくことになる。膨大な証拠が出ていて も、その事件の結論や、重要な要件事実の認定に直接結びつくような証拠はごく僅かな のがほとんどである。一つの要件事実の存否の認定について決め手になる証拠というの は、せいぜい二つか三つぐらいしかないのが普通である。それらの証拠をよく検討し、 吟味することが肝要である。  だから要件事実中心の審理をやり、判断をすることがどうしても必要である。単なる 背景事実と要件事実を区別して、メリハリのついた審理をやるべきである。それは特に 初審ではなかなかやりにくいという声を聞く。しかし、仮に背景事実の立証、特に証人 尋問が審理の段階でどうしてもかなり時間をとる必要があるとしても、命令書にそれを 全部詳しく書く必要はない。私は、背景事情の審理をするなら陳述書の活用を大いに考 えるべきだと思う。  命令書の作成にかかっている時間というのは全部労働委員会側の責任である。そこを 最大限短縮していく必要がある。今の労働委員会の命令書は本案判決になぞらえている が、緊急的性格を持ち、疎明でいいという点からも、むしろ仮処分命令の決定書が参考 になるのではないか。命令書は、行政処分のための必要な理由が書いてあればよく、当 事者の主張に対していちいちあいさつする必要はないと思う。仮処分の決定書では、一 般的には対立する主張をいちいち書くことをしていない。ポイントだけ書くのが普通で ある。なぜ本案判決になぞらえたやり方をするようになったのか。 ○  短くしようとするとそれなりの訓練がないといけない。とりわけ今のような複雑な事 件ではなかなか難しいという話だった。それでも少し努力してみようというような話に なっていたような気がした。最終的にどうしようという決定的な方針が出たわけではな かったが、とにかくそういう話だった。やはりその辺はどうしても公益委員の側ではす べてについて対応できない部分があって、事務局の体制がどうなっているかとか、命令 原案作成のマニュアルがどうであるかとか、職員の研修の問題だとか、そういうところ を考慮しないと、なかなか難しい。  あと事実認定との関係でいうと、やはりこれも結局は研修の問題とか教育の問題なの かもしれないが、どうしても労働委員会の場合、間接事実からの総合評価という面があ るからだとも思うが、実際に職員の人とやっていて思うのは、事実の認定と評価の問題 がごっちゃになってしまう。最初に原案が来たときに読んで、これは事実の認定だが、 ここを書いてしまうとこれは評価の問題で別であるから、まず事実は何かを確定して欲 しいという指示をしないといけなくて、それがトレーニング等をしていないと事実認定 と評価の問題がごちゃごちゃになって、最後に総合評価で不当労働行為であるという命 令になってしまう。そこはわれわれも気をつけないといけないと思っている。 ○  おっしゃるとおりで、実現可能な実務運営の改善策ということでは、要件事実とそれ 以外のものとはっきり区別して、要件事実の根拠になる実体法規は労組法7条しかないの であるから、同条各号ごとに主な事件の類型別にそれを定型化しておいて、要件事実と してこういう類型についてはこういう書き方で一応いいのではないかということと、ま た、証拠判断と理由の論理過程を含めた起案の手引きのようなものを早急に作成する必 要がある。そして、それを研修の中心的な教材にするのがいいと思う。そして、研修で は、事実認定の基本的なルールと紛争を裁断する文書の作成についての基本的な留意事 項に重点を置くべきであると思う。  この最後の点であるが、対立する当事者の紛争について判断する場合の文書の書き方 というのは、なかなか難しい。一言余計なことが書いてあるために、不服申立てを招く というのがいくらでもある。判決でも書きすぎるというのはいいことはない。訴訟の当 事者の主張でも、強い論拠だけでなくと水掛け論になるような弱い論拠まで全部書いて あると、決め手になる強い論拠のところまで弱く見えてしまう。ここの論拠に本当は自 信がないから、こんな水掛け論になる弱い論拠まで並べていると見えてしまう。弱い味 方は敵よりこわいというが、本来の論拠まで自信がない主張に見えてしまう。判決や、 命令書の判断の部分も同じことで、あまり余計なことを言わないで必要なことだけ言う 方がいい。  事務局の職員にそれができるかというと、私はできないわけがないという気がする。 あらゆる行政庁の職員がそうであるが、行政処分の文書は係員が起案して稟議で上げて いくのが普通である。しかも職員は自分たちの行政の部分についてはプロである。それ に係る事実認定というのは、行政が常にやっていることで、あらゆる行政処分の理由を 書いているわけで、過不足のないものを書けないわけがない。それを判決まがいのもの を書かないといけないと思っているから書きにくいだけで、本来の行政庁の在り方に立 ち戻ればよい。要件事実は難しいといっても、実体法の規定は一か条、すなわち労組法 第7条しかないのであるから、類型ごとに整理したところで知れた数であるので、6ヶ月 経てば十分ちゃんとした起案ができるはずだと思う。それを目指す研修をしなければい けないと思う。事実認定のところは、普通の行政だって全部やっているはずのことで、 日本語の論理性を持った、きちっとした過不足ない文章を書くというだけの話である。 だから事実認定の合理性といっても、特別な理屈は何もない。事務局のローテーション 人事を前提にした上でも、研修の充実と先ほど岩村委員の言われたような実務資料の整 備ができていれば十分できると思う。  ただ、今事務局の職員の方々がどういう立場で関わっているかというのが非常にあい まいである。実際は何も権限がないのに書いているという感じになっている。だから、 規則に書くとかそういうことでなくても、原案の作成、起案については職員の仕事なの だというのをはっきり決めれば、日本の公務員というのは国家公務員にせよ地方公務員 にせよ使命意識が高い人がほとんどだと思うので、一生懸命やるから書けるようになる のではないかと思う。 ○  どの行政職員もやっているとおっしゃっているが、やはり彼らにとって難しく感じら れるのは、いろいろな上に上げる内部文書はたくさん作っており、かなり日本語として しっかりしたものを作るトレーニングは十分積んでいるわけだが、対外的に国民に対し て処分をするというときには、やっと理由付記が義務化されたというくらいであるから 、感覚としては普通の行政処分であればあまり理由を書きすぎるとつつかれる部分が増 えるのでは、ということではないか。それで行政手続法のときに、あれだけ理由付記を 嫌っていたわけである。もちろん行政不服審査法上の裁決には理由を書くということは そうであるが、普通の行政の事柄を扱っている彼らからすると、あまり余計なことは書 きたくない。処分を受けた相手方からいろいろ言われる題材をなるべく少なくしたいと いう感覚でやってきた人が多い。そこで、こういった命令であるとか、情報公開審査会 の答申であるとかは、これからの訓練ではないかという気がしている。一般の行政に関 わっているのとかなり違うものという意識をしてトレーニングしないといけない。そこ は法務部採用の人が、そういう形で特にそういうものに詳しいということでトレーニン グしていった方が、効率がいいのではないか。今のようにローテーションでいろんなと ころをやって、たまたまここに来たら急に裁判所判決のようなものを書くということで 面食らっている人が多い。増えていっているのは確かであるが、トレーニングがいるだ ろうという感じがする。 ○  私も基本的にはこういうものでいいのではないかという手引きがきちんとできていて 、それを早い段階で使えるようになっていて、それに沿ったトレーニングをすれば十分 書けると思う。  それができないのであれば、現状改善の現実的な可能性はないのではないかというこ とになってしまうのではないか。公益委員についての常勤化だとか大幅増員だとかいう のは常に出るけれども、では実現可能性がどれだけあるか、あるいは短期的・中期的に 実現できるかといったら、誰もできないだろうと思っているのではないか。  現状を変えるための現実的可能性のある道は、職員に自分たちがやる仕事だという根 拠を与えてもらって、そういう意識を持って取り組んでもらうことだと思う。 ○  事実認定について、特に難しいことがあるわけではなくて、今の社会の常識を持って 、それを論理的な思考力で確定していくということだから、職員の人についてもある程 度の訓練があれば的確にできるのではないかということをおっしゃっていたと思う。命 令書の書き方といったこととも関係する話であるが、裁判所に持っていったときに、裁 判所の方から見て、一応及第点がもらえる事実認定をするためにはどのくらいの経験を 積まないとできないのか。私の感覚ではもう少し時間が必要なのではないかという感じ がする。研修所へ行っても、白表紙を渡されて、抽出する訓練を受けるわけだが、そう するとそれなりに事件をいくつか見て、実際に事件を担当して命令を書いてみて、人と の討議の中で及第点をもらえるようになるまでには、それ相当の時間がかかるのではな いか。それを今の行政の、2年や3年のローテーションでやるのはどうだろうか。難しい のではないかという気がするが。 ○  司法修習生は、今は修習期間が1年半になってしまったが、我々のころは修習期間は2 年で、司法研修所での集中研修が最初に前期研修として4か月、仕上げのための最終的な 後期研修が4か月ある。それが確か今は各3か月になっていると思う。我々のころでも、 民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の五科目だったが、裁判科目でも判決 をきちんと全部書くのは確か前期で1、2回ぐらいだったと思う。後は、起案は部分的な 事実認定や、判決理由の中心的なところをごく少ない回数やったように思う。どちらに しても、その間何回もいろんな類型の事件を書くわけではない。だから前期でやるのは 判決起案の基本的な約束とかスタイルを説明してのみ込んでもらうということだけであ る。  あとは実際の事件をこなして起案の習練をするのは、裁判の実務修習の中である。そ の中で、件数のバリエーションのあるところとないところがある。  研修で、職員に事実認定の基本を身につけさせるには、何も事件の類型ごとに全部や る必要はない。今は事実認定についても、いい文献がたくさんあるので、それを見れば 良い。私は、職員が一番最初に入ってきたときに、基本的な起案のルールや約束事の基 本を教えて、あとは現場で、実務の中で、こういう文献や起案の手引を活用しながらト レーニングすることによって、6か月ぐらいで身につけていけると思う。 ○  17年前の修習の経験であるが、書き方そのものは前期修習でだいたい検討がつくとい う感じがした。難しいのは、間接事実からの認定とか推論をどうするかということであ る。そこはやはり場数を踏んでいかねばと。そういう観点から、簡単な手引きを頭に入 れるということをやった上で、後は判例の分析などでどういう推論過程ができるのか、 刑事事実認定、民事事実認定でも、認定の勘どころというのはあると思うので、そうい うものを整理するというのはあると思う。 ○  おっしゃるとおりだと思う。適切な事実認定の教材が必要だが、これは今では本もあ るし、適当な教材を探すことができないわけはないと思う。間接事実の総合認定だが、 これはきりがない。きりがないといっても、奥が深いというものではない。間接事実と いうのはひとつひとつ事件ごとに違ってくるから、新しい間接事実との総合認定の問題 に常にぶつかるだろうというだけの話で、押さえておかなければならない基本的なルー ルみたいなものは、本当に単純な話だと思う。  今修習生が非常に増えて、弁護士事務所で一人しか弁護士がいないところに修習生が つくというのが増えてきた。あるとき弁護士から聞いてなるほどと思ったのは、「修習 生でも、誰かがいて事件の議論ができるのはこんなにありがたいものかと思った。」と いうことである。事実認定でいえば、だいたい常識のある人がこの議論を理屈があると 思ってくれるかどうか、この反論に対してこういう主張でいいかどうかというようなこ とはみんな日本語の常識の問題なので、修習生との議論でも非常に役に立つということ だった。合議というのは常にいいもので、議論の相手は常識を持った人であれば、来た ばかりの職員でもよい。事件を材料にして、いつも考え、職員同士で議論していれば、 自然に身に付いてくると思う。 ○  他に何かあるか。 ○  事実認定とか、命令書の問題とか、アドバイスを頂いているが、例えば中労委で事件 を担当なさっているときに、担当職員に対してのアドバイスをOJTとしてかなりなさって 、担当職員としては勉強になると思うが、その際におっしゃっていることとか指示して いることとか、具体的にここを気をつけてくれというようなことはあるだろうか。 ○  一概にはいえない。事件ごとに違うが、結局のところ、何でこんなにたくさん書くの かということが多い。判決では、言い過ぎとか書き過ぎは絶対禁物だということになっ ている。判決というのは、必要不可欠なことは全部過不足なく書いてあって、余計なこ とは一言もないのが一番よい。そして簡潔なほどいい。起案をしたら、これはもう削れ るところはどこもないのかということを何度も見るのがよい。批判する人の立場で見て 、この文章に対してはどういう批判があり得るのかということを見ないといけない。自 分の書いたものを批判者の立場で見ることが大事だと思う。  一般的には労働委員会の決定書は、ともかく当事者が主張している以上は全部書いて しまうというやり方だが、しかもいけないことは、判断するときに、当事者が我田引水 式の偏った論理の枠組みで主張しているのに、その枠組みに乗って判断してしまうこと がよくあることである。正しい判断の枠組みに構成し直した中で、そこにはめ込んだ構 成要素になる主張に対してつまらない主張にまで判断しているというならまだいいが、 これでは困る。  間接事実は、一つ一つの事実だけではどれも要件事実を認定するだけの証明力を有し ないが、適切な内容の複数の間接事実がそろっているときには、それらを総合すること によって証明力の総和が高まり、要件事実を認定することができることになる。しかし 、間接事実による認定が可能であるためには、経験則と論理法則に照らして適切な内容 の間接事実がそろっているということが重要である。どれほど多数の間接事実を集めて も、その間接事実の選択が適切でない場合には、それらを総合しても、証明力は全く高 まらず、全体として弱いままだったり、場合によっては、むしろ証明力が相乗的に減殺 されて低下することになる。  したがって、間接事実による認定の場合、最も重要なことは、経験則と論理法則に照 らして適切な内容の間接事実を選択することである。しかし、現状では、この点に全く 無頓着な命令書が多い。当事者が関連性のある事実であるかのように主張してさえいれ ば、それが果たして間接事実としての意味を持つものかどうか、間接事実として適切な ものかどうかということについて、検討をし、整理するということをしないで、それら をただ雑然と並べただけで、いきなり要件事実を認定するというやり方が、一般に見ら れる傾向である。その間接事実から要件事実を認定する論理過程の説明が全くなかった り、適切な説明がないようなものが目立つ。もっとも、これは、事実認定の基礎的な原 則に対する認識を徹底させるために、適切な研修を行い、執務資料等を整備すれば、十 分改善できることだと思う。 ○  実務改善のワーキンググループの方では、韓国で非常に簡単な命令を出しているとい う例を紹介したことがある。一つの考え方としては、疎明なので極めて簡単に手続を進 めて、命令書も簡単である。これは一つの考え方だと思う。ただ、前回の話だと、むし ろ厳格な手続の中できちんとした認定をするべきであるとも聞こえたのだが、そのあた りについてはどうか。 ○  それは矛盾しないと思う。前回言ったのは、きちんとした合理的な事実認定をしてい ないとか、採証法則が恣意的だとか、判断のプロセスが合理的でないということで、そ れとそれを前提にした上で命令書を、簡潔に韓国式に書くかどうかは全く別問題である 。むしろ説明全体からすると、両方組み合わせたようなものであると思う。韓国で非常 に簡潔な命令書で、迅速に処理しているというレポートを、ワーキンググループの資料 として出したのだが、私はその中の命令書のサンプルが極めて参考になると思ってメン バーの反応を注目していたのだが、反応らしい反応はゼロであった。  私は、実現可能な実務運営の改善策で、当面最も必要なのは、「要件事実の定型化」 、「起案の手引きの作成」、「研修の整備」の三点セットだと思う。 ○  それでは、また個別の論点を議論する中で、ただいまのご報告とみなさまの意見交換 等を反映させて頂くということにして、今日はもう一つ議題がある。それは前回までヒ アリングを行ってきたわけだが、今回からそれを受けて不当労働行為審査制度について の検討を行いたい。ヒアリング結果について事務局からまとめていただいている。また 、これと並行して、いわゆるパブリックコメントを求めてきたわけであるが、それも結 果としてお手元にあるようにまとめられたわけである。そこで、まず事務局からこれら 資料に基づいた説明を頂いた後、フリートーキングを行いたい。また、今後の検討の進 め方についても、みなさまからご示唆を頂きたい。どうぞよろしくお願いします。では 事務局から説明をお願いします。 (事務局からヒアリング結果、パブリックコメントの結果についての説明) ○  ありがとうございました。それではヒアリング結果、パブリックコメントの結果を踏 まえて、意見交換したい。 ○  前にうかがったことがあると思うが、今後の当研究会の作業日程というか目標という か、あと何回ぐらいでどういう形でまとめるかというのをもう一度教えて頂きたい。 ○  それは非常に重要な実務作業の目安であるので、現段階の考えをお聞かせ願いたい。 ○  実際にこれと並行して司法制度改革推進本部の方で、労働検討会の議論の中で、労働 委員会の救済命令に対する司法審査の在り方ということで議題の検討項目の一つになっ ている。労働検討会の議論では、一昨日の9月4日から論点項目というのを諸外国制度の ヒアリングとあわせて議論し始めて、その部分から議論しているという次第である。  具体的に項目については四点ほどあって、一点目は、この総論以外に労働調停の導入 というのが大きな点、それから二点目として労働参審制といったような特別な裁判制度 の問題、それから三点目として労働事件に固有な訴訟手続、四点目で今言ったような労 働委員会救済命令に対する司法制度の在り方というのが議論のテーマとして設定されて いる。前回説明された検討会のスケジュールでは、総論について二、三回、外国のヒア リングとともに行い、それぞれ今言った各論の部分については、12月から検討がなされ るという説明を受けている。  労働委員会の救済命令の在り方については、労働検討会における議論の項目の中にも 、こちらの研究会で現在検討中ということが書かれているので、こちらの検討状況もか なり見られている。当然こちらとの連携というのも重要であるので、それとの関係で検 討項目の議論が順番に上から行われると、2月以降に労働委員会の救済命令に対する司 法審査の在り方に関する議論がなされると思うので、その際にこちらの意見として何ら かの考え方、方向性等を出せればと思う。どのような形になるかは各委員ともご相談し て行きたいと思っている。  そのような形で進めるということになると、今後1月なりにこの検討会としての一定 の方向性のようなものが、どういう形かは別として、ある程度の議論の集約というか、 整理といったものになるかもしれないが、そういった形で議論していくことを考えてい る。その辺はまたご相談してということになる。  そこが終わって、その後も具体的に言うと、司法制度の中で労働検討会としては、あ る程度提案をいろいろなテーマについてまとめて、時期は具体的には聞いていないが、 夏あたりぐらいまでにある程度終わって、そうすると法案作成に向けていくなり、法案 作成についての議論がなされるのではないかと思っているので、当研究会としては前々 回に前参事官が申したように、こちらも労組法の改正ということになると、これとは別 に審議会の場で検討することも必要になってくると思う。その場合、ある程度早い時期 、年度明け又は夏前ぐらいなど、時期は検討状況を見てご相談したいが、ある程度取り まとめることを想定していきたいと思っている。 ○  検討会との関係では、救済命令に対する司法審査の在り方が中心になる。ただここの 研究会でも、議論の内容は救済命令の審理手続そのものについてのものである。それを 本体の部分も含めて、1月ぐらいが一つの段階として、ある程度意見を集約するというこ とであろうか。 ○  そうである。一定の方向性を、こちらがどういうことを考えていて、どういう全体の 審査制度の見直しを行うのかということが、ある程度 出したものを元に先方に議論し て頂かないと、たぶん救済命令の在り方等を含めて議論がかみ合わなくなる。どういう ものになるかというのはご相談だと思うが、一定の方向性は分かるようにしないといけ ないということである。 ○  今日は、新たな論点に関しての、もう一段踏み込んだ議論の始まりの日であり、時間 もわずかしか残されていないので、少し日程等も含めてどんなふうに議論を進めていっ たらいいかということについて、みなさまの意見をお聞かせ願いたい。 ○  司法制度の検討会の方で、労働調停が議論されていると思う。今の労働委員会と司法 審査との関係を詰めるということは、もちろん一つ大きな問題なのであろうが、一方で 現実によく議論になっている労働委員会の和解機能は、労働調停制度が創設された場合 にどうなるのかとかいろいろな意見などがあったが、そういうこととの関係はあるのだ ろうか。 ○  労働調停の問題は、どういう形の労働調停にしていくのかということと、労働調停の 対象は民事の中でどういう紛争を対象にしていくのかということで関係が生じる。基本 的にある程度そちらの方向を検討される段階で、そちらの議論を踏まえて労働委員会の 在り方というのも考えていかないといけないということである。 ○  検討会の方で、裁判所でやる労働調停というのも作るということであろうか。 ○  そうである。民事調停の特別な制度として労働調停を導入すべきというのが司法制度 改革推進計画にも入っているので、ある意味では計画期間内であるので、平成16年11月3 0日ということになると、法律を出すとすれば、16年の通常国会、1月から2月ということ になると思うので、そこで民事調停法の、どういったものになるかはこれからだと思う が、労働調停の見直しをすべきであるということで、今議論が行われているということ である。 ○  パブ・コメの中で、労働委員会の存在意義が薄くなるという意見があったので。 ○  一応ヒアリングにあたって粗々の論点をまとめさせてもらった。そして、またヒアリ ングやパブリックコメント等を踏まえてこの論点表を少し補充しつつ、それに沿って議 論を進めていくということでよろしいか。 ○  今日の話は、まだ具体的な形では論点表の中に入っていないということであろうか。 ○  まだ入っていない。 ○  それを補充していただいて、その上で先ほどうかがったスケジュールだと、ヒアリン グやパブリックコメントの結果を踏まえて、それぞれの修正された論点について我々と してどういう一致する結論がとれるのか、ないしは結論として分かれるのかということ であろう。次回あたりからやらないと、もう間に合わないのではないか。 ○  さっきの話をうかがっていると、1月末から2月ごろに労働検討会の方で、労働委員会 命令に対する司法審査の方をやると。それとの関係で逆算していくと、少なくとも粗々 の考え方というか、制度的な面と実務的な部分の両方があるとしても、何らかの形での 大まかな考え方ぐらいをこちらで用意しておかないと、主導権は全部向こうにとられて しまって、こっちは何もできないという状況になってしまうと思う。だから、それとの 関係でも1月末から2月ごろにどこまで出すかということで、優先順位を少し決めて、そ れをまずやっていくと。ただそれは制度の根幹に関わる問題であるので、難しいといえ ば難しい。 ○  他に何かあるか。 ○  論点の中でも、総論とか事実認識的な部分と、制度設計的な部分があり、その中で制 度設計的な部分についても大きな枠組みに関わる部分と運用の部分があるのではないか 。運用の部分はボトムラインで改善ができるし、逆にいえば早急にやる必要がある部分 とがあるので、時間的なことを考えると濃淡というか、メリハリをつけて検討する必要 はあるかなという気がする。 ○  それでは、今日は時間の関係もあるので終わりたい。貴重なご指摘を頂き、それをこ の論点に反映させる。それから、ヒアリングとパブリックコメントの結果のうちの、重 要な部分を盛り込んでいく。その上で、我々としては、どの順番でやるかは事務局と相 談させて頂きたいが、急いでやるべきもの、あるいは是非先に議論すべきもの等から順 番にこなしていきたいと思う。みなさまにはお忙しい中申し訳ないが、協力の方をよろ しくお願い申し上げる。  次回の研究会は10月9日(水)15:00〜17:00を予定している。場所等については事 務局から追って連絡さしあげたい。                                      以上   照会先 政策統括官付労政担当参事官室 法規第二係 村瀬又は朝比奈       TEL 03(5253)1111(内線7752)、03(3502)6734(直通)