02/06/26 第3回医薬品・医療用具等対策部会議事録          第3回 医薬品・医療用具等対策部会                      日時 平成14年6月26日(水)                         10:30〜12:00                      場所 経済産業省別館1028号会議室 ○安全使用推進室長  おはようございます。開会に先立ちまして傍聴の皆様にお知らせ申し上げます。傍聴 にあたりましては、すでにお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いい たします。 ○桜井部会長  定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。本日は天候不順のところ、 またお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は12名の先 生が御出席で、原田先生と外先生が御欠席だそうです。望月先生が少し遅れられている ようです。  最初にお手元の配付資料の確認を、事務局からお願いします。 ○事務局  事務局より配布資料の確認をさせていただきます。お手元にあります資料、議事次第 が一番上に置いてあるかと思いますが、その下、2枚ほどめくっていただきますと、配 布資料一覧というものがあろうかと思います。6月26日の日付が入ったものでございま すが、それを横に置いていただき、資料の配布されているか否かということを御確認い ただきたいと思います。  まず本日の資料3−1−(1)ということで「輸液ポンプ・シリンジポンプ ワーキン ググループの名簿」という一枚紙がございます。  それと資料3−1−(2)というもので「輸液ポンプ及びシリンジポンプについて」と いう資料があろうかと思います。この資料は第1回のこの部会でも配布した資料と同じ ものでございます。  それから資料3ー1ー(3)ということで「医療安全器材開発委員会 報告」というこ とで、平成14年2月に日本医師会医療安全器材開発委員会がまとめられた資料がござい ます。  次が資料3ー1ー(4)でございますが、これは二枚紙になっておりまして、タイトル が「事務局検討案と医療安全器材開発委員会報告書との対比表」というものでございま す。  続きまして資料3ー2でございますが、これはページを振っていなくて申しわけござ いませんが、四枚紙でございます。「第1回医薬品・医療用具情報の分析について」と いうものでございます。  次にカラー刷りの一枚紙があろうかと思いますが、横長の表でございまして、一応チ ャートを示したものが一枚入っているかと思います。  次が、資料番号を振ってございませんが、先ほど申し上げた資料3−2の一部でござ いますが、横長の表でございまして「第1回集計医薬品情報検討結果」というものでご ざいます。  やはり別とじになってございますが「第1回集計医療用具情報検討結果」というもの で、二枚紙でございます。  次が、これも横長の表でございますが「第2回集計医薬品情報検討結果」というもの でございまして、全体で24ページのものでございます。  続きまして「第2回集計医療用具情報検討結果」というものがございます。これもペ ージ数が振ってございませんが、横長の表でございます。  次が資料3−3ということで、これも横長の絵でございますが「今後の『医療用具安 全対策ネットワーク整備事業』の進め方について」というものでございます。  次が資料3−4でございます。「ジャクソンリース小児用麻酔回路と小児用気管切開 チューブの組み合わせについて」という資料でございます。全体で9枚の資料でござい ます。  以上が配布資料になりますが、このほか、委員のお手元には前回、昨年の12月6日の 部会の議事録を配布させていただいております。これにつきましては事前に各委員に御 確認いただいているところでございますが、改めまして、必要に応じて御一読いただ き、お気づきの点等あれば、われわれ事務局のほうに御指摘いただければと思います。 その上で厚生労働省のホームページに掲載したいと考えておりますので、その旨御了承 お願い申し上げます。  配布資料は以上でございますが、何か脱落等ございましたら申し出ていただければと 思います。  以上でございます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。  それでは議題1の「輸液ポンプ・シリンジポンプワーキンググループ」について、事 務局から御報告いただいておきます。 1.輸液ポンプ・シリンジポンプワーキンググループ検討経過の報告 ○事務局  それでは輸液ポンプについて、事務局のほうから御説明させていただきます。輸液ポ ンプ・シリンジポンプの安全対策については、当部会の下にワーキンググループを設置 させていただいて検討することとなっておりましたが、6月4日にワーキングを開催い たしましたので、御報告させていただきます。  輸液ポンプ等の安全対策については、当部会の前身である検討会から検討させていた だいており、当部会においても御報告してきたところですが、今般、日本医師会医療安 全器材開発委員会におきましても同様の報告書が取りまとめられたところであり、本報 告書の内容を踏まえてワーキングで御検討いただきましたので、御報告いたします。  まず資料3−1−(1)ですが、本ワーキングに参加いただきます先生方を御紹介して おります。続きまして資料3−1−(2)ですが、第1回の当部会に提出させていただき ました資料でございますが、輸液ポンプ・シリンジポンプ等の安全対策について取りま とめたものでございます。次に資料4−1−(3)ですが、こちらが日本医師会医療安全 器材開発委員会で取りまとめられました報告書でございます。続きまして資料3−1− (4)になりますが、こちらが部会に提出させていただきました安全対策案と、開発委員 会の報告書を事項ごとに整理したものでございます。  本資料に沿って、検討会で検討されたことについてご説明させていただきますが、お おむね両対策案に齟齬はないものと考えております。最初にフリーフローの問題です が、流動を感知できるような自動センサーをつけることを、対策案として考えておりま した。それにつきましては、フリーフローで問題となるような薬剤というのは、フロー センサーで感知してからでは、すでに問題となることが多いということで、もっと根本 的なフリーフロー対策というものを検討する必要があるということで、次に2としてア ンチフリーフロー機能というものを付加するということを、両方の対策案でまとめられ てございます。  資料3−1−(4)で御説明いたします。資料3−1−(4)の2として、アンチフロー機 能というものを掲げさせていただいております。これにつきましては、点滴セットのほ うにアンチフロー機能というものを設けまして、ポンプにセッティングしたときには、 クレンメというか、チューブを閉じるようなものがあるのですが、これが開いた状態で ポンプにセッティングされて、ポンプからそのチューブを外す、輸液セットを外すとき には自動的にクレンメでチューブが締まる、そういったような機能になります。  このアンチフロー機能がついていないような輸液ポンプの場合には、3として、定圧 弁付き輸液セットというもので、輸液セットに定圧弁というものがついた輸液セットを 使うのが好ましいというようなことでまとめております。これですと、自然落下の方法 では点滴されないような弁がついているものと考えていただければと思います。  続きまして4の押し子外れ警報というのがございますが、押し子というのは注射器の 内筒の部分を、実際に押し出すようなところを押し子といっておりますが、これが正し くシリンジポンプに装着されていない場合には、誤った量が投与されることがあります ので、このような押し子外れに対する警報を標準装備しましょう、というようなことで まとめさせていただきました。  続きまして5番から8番ですが、流量と総投与量の入力ということで、輸液ポンプを 使う場合に「時間あたり何cc」というような流量と、全体的に何百ccというような予定 投与量を入力して使用されるわけですが、流量と総投与量の入力を誤って、逆に入力し てしまうようなものが報告されておりますので、流量と総投与量の入力を別画面で行い ましょう、上下の別画面で行う、そういう形で入力の画面を別にしましょうということ で、5番に書かせていただいております。  また、流量と総投与量が逆に入力されることもございますので、7番ですが、総投与 量よりも流量が多い場合には、コーションというか、一度ポンプの動作を止めて、再度 確認していただいてから薬剤が投与されるような、そういう機能をつけようというふう にしております。  9、10、11ですが、入力量の画面表示ということで、当然、流量や予定投与量を入力 された場合に画面で表示されますが、整数部分と少数部分、例えば40.0と400 というよ うなことを見間違えないように、整数の部分と少数の部分の大きさを変えて、画面上見 やすくしましょうというようなことを書かせていただいております。  またその際、10番ですが、今度は精度に応じて小数点以下の数字を入力できるものと できないものという形で、精度に応じて表示する桁数を変えるべきで、小数点以下の入 力ができるものとできないものというふうなものを区別しましょうということで、書か せていただいております。  また11ですが、小数点の表示方法として、浮動小数点と固定小数点というようなもの があると思いますが、見間違わないために固定小数点表示方法というようなことを推奨 しております。  12から14ですが、薬液固着と書かせていただいておりますが、輸液ポンプを使用する 際に、輸液セットを通して薬液がポンプに多少付着するような場合、その付着したもの をそのままにしておきますと、固着して機械の動作不良というようなことを起こします ので、なるべくそういう薬液が直接ポンプに付着しないような構造とする。あるいは清 掃等が行いやすいような構造とする、というようなことが望まれております。  また、当然、清掃等の、使用前後の清掃、それから点検などについて必要な情報は情 報提供していただきたい。ということで書かせていただいております。  次に15から18について、バッテリーのことを書いてございますが、まず15として、残 量を表示すると。それは概ね目安となるような残量ですが、バッテリーがどのぐらいの 充電を行っている状態なのかというのを、確実な時間では示せませんが、目安として、 3段階とかそんな段階を示すような表示をつけましょう。  16番に関しましては、消耗によりバッテリーが充電不足の場合には警報音、及び警告 表示を示すようにします。また、当然バッテリーは消耗品でございますので、交換時期 を明記したラベルを機械本体に添付して交換時期を明確にするということが書いてござ います。2枚目に行きますが、バッテリーについては、リチウムイオン電池というよう なものを積極的な方向ですすめるべきであろうということで、書かせていただいていま す。バッテリーのメモリー機能というようなものが、リチウムイオン電池のほうが好ま しいということなのですが、経済的な問題もありますのですぐにということではないの ですが、これを採用する方向で検討していきましょうということで、ワーキンググルー プで話しております。  19については「小児使用時」と書かせていただいておりますが、小児使用時だけでな く、微量注入時においては、閉塞が生じた場合に警告がなるまでに時間がかかるという ような御指摘がございますので、微量注入時において適切に警報が鳴るように、そうい うような設定ができるようにしましょうということで、書かせていただいております。  20から22については、医療安全器材開発委員会の報告書で取りまとめられているもの でございますが、放熱ということで、これについても何らかの規制が必要であるという ようなことが、報告書に記載されてございます。これは当然、輸液、特に高カロリー輸 液等のものについては、冷所保存されたものを室温に戻して使っていただくわけです が、多少冷えた状態で機械にセッティングしますと、機械のほうの熱によって、溶存す る酸素等、気泡が当然出てきますので、それが体内に入るようなことがないように、あ る程度の規制が必要であろうというようなことで書いてございます。  当然、20番の放熱については、次の21の気泡センサーの感度ということに関連してお りますが、気泡センサーの感度に関して、どの程度の気泡によって警報を発することが 適当であるのかというようなことを、今後さらにワーキングのほうで検討することとさ れております。また、注入可能量の表示ということでございますが、注入可能量の表示 について、ある程度基準を設けられないかと。そこで今後検討していくということにさ せていただいています。  先ほどのバッテリーのことで1点、つけ加えさせていただきます。リチウムイオンに ついてはメモリー効果がないというのがリチウムイオン電池の特徴となりますので、そ の辺を踏まえてバッテリーについて今後、リチウムイオン電池を採用するような方向で 検討させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。ただいま御説明がございましたが、本部会からは堀江先生、 甲屋先生、山本先生のお三人が御参加でございます。また日本医師会のこの検討会のほ うには、山本先生がお入りになっていらっしゃいます。  何か御質問、あるいは御意見はございますでしょうか。  私、ちょっと申し上げたいのですが、事務局にお願いしたいのですが、これ、物の話 でしょう? そうすると、何か物のわかる資料を皆さんに配ってください。これ、薬事 ・食品衛生審議会でも私、よく申し上げるんだけれど、文章でだらだら言われてもなか なか理解できない。毎日使っている人はいいんですがね。そういう人ばかりじゃないか ら。次回からぜひ、物の定義なりあるいは写真でも図表でも何でも結構ですから。お願 いいたします。 ○安全使用推進室長  失礼いたしました。パンフレットとか何か、そういうものを用意するようにいたしま す。 ○桜井部会長  ぜひ、お願いいたします。 ○星委員  1点、2点、聞きたいのですが、バッテリーのことに関しては日本医師会の中の委員 会の中でも随分と話をしました。確かに価格の問題があるだろうと。しかしその中での 議論は、各社共通の規格をつくるとか、あるいはそういうものの利用、開発を促すよう な支援方策、厚生労働省なのか通産省かわかりませんが、そういうものを使って早急に すすめるべきだろうという議論もしていたように思いますし、業界団体もそういう支援 があるならば、その方向で進むのもやぶさかでないということになったのですが、この 事務局検討案の中では、その議論の経過の中で、将来的にということで、少しトーンが 弱まったような気がするのですが、そのあたりはどういう議論が行われたのか、教えて いただけないでしょうか。 ○桜井部会長  どなたか? 堀江先生。 ○堀江委員  ワーキンググループでは、いろいろと過去に集積されております事例等に基づいて、 どんな問題があるかこれは資料の3ー1ー(2)で具体的な問題点が指摘されていますが、 それらについて具体的な対策の内容を話し合おうという意図で、検討したと思います。  今、御指摘のあったバッテリーのことですが、残量表示をするということが1つ大き な課題と思いますが、ワーキンググループの審議におきましても、残量表示がはたして どれだけ正確にできるのかが問題になりました。バッテリーの性質として直線的に残量 が減少していくものではないことから正確な残量表示が可能なのか指摘し、企業側から もその辺の難しさが問題とされました。  一方ではリチウムイオン電池のほうが性能的にはいいだろう。ただ、ワーキンググル ープでは価格の問題があるということで、今後の課題として話し合うということで、今 回のまとめになったと思います。 ○山本委員  業界ではリチウムイオンについては全体的な方向としては採用を考えるということで は一致しているところですが、先日のワーキンググループでは具体的な議論は全くして おりません。期間のこととか、経済的なことなど2回目以降に議論していくことになる と理解しております。 ○桜井部会長  甲屋さん、何か追加でありますか。 ○甲屋委員  今の先生方の御意見でよろしいかと思いますが、現場サイドといたしましては、標準 というところで、どちらもバッテリーの残量、今はアラームで一応警報が鳴るようには なっているのですが、それがあとどのぐらいでというのが明確ではなくて、移動中にバ ッテリーが切れてしまうといったような形で、さまざまなインシデントが報告されてお りますので、現場サイドといたしましては、この表示ということでお願いをしておりま す。ただ、今回のワーキンググループの中では、具体的にその一部分、電気のことに関 して、先ほど山本委員のほうからもお話がありましたとおりでございまして、特に次回 以降ということで、こういった意見があるということだけ認識をしております。 ○桜井部会長  ありがとうございました。 ○星委員  前回の委員会、この検討会のときにも申し上げたのですが、高いからという議論、こ れからされるということですから局長にもお願いをしておきました。税制その他、ある いは企業の支援という観点からいうと、医薬局の仕事ではもうすでにないのかもしれま せんが。今は医政局の仕事なんですね。ですから、そういうところとうまく力を合わせ て、いいものが開発されて普及されるということを念頭に、そうでないと企業側もつく ろうという気にならないでしょうから、前回申し上げたことをさらに申し上げる気はあ りませんが、読んでいただければ書いてありますので、局長も約束をしていただいたと 理解しています。  税制要求、今回、早まっていますので、物の開発の時期と、どうなるかわかりません が、来年の税制改正はもうすでに日本医師会からも要望書を出して、この安全器材につ いての税制度上の優遇措置を設けてくれというようなこともお願いしているところでご ざいますから、そういうものを多角的にお考えいただいて、医薬局の中だけで解決がも しできないのであれば、関係局等とすり合わせをしていただいて、ぜひいいものをつく っていただいて、市場で普及するようにということをお願いしたいと思います。 ○桜井部会長  何かあれば。 ○安全使用推進室長  どうもありがとうございます。まず前回の輸液ポンプのワーキンググループのほうで いろいろな御意見をいただきまして。これはまだ結論が出たわけではなくて、あと1回 か2回か御議論をいただいた上でまとめたいと思っております。さしあたって大きな事 故につながるようなところを防止するところで基準化、標準化できているというところ に兆しが出てきたと考えております。  星先生御指摘の経済的な問題でございますが、少し調べさせていただいたところでは、 もちろんわれわれ医薬局のテリトリーではないのですが、こういった事故防止の措置を 施した医薬品、医療用具を製造するにあたっての、税制ではございませんが、低利の融 資制度もあるようでございます。それらが使えるかどうかも含めて、この輸液ポンプ、 シリンジポンプにつきましては、ワーキンググループで御検討していただきたいと考え ております。 ○桜井部会長  ほかに何か? よろしいでしょうか。 ○目黒委員  1つだけ。定圧弁付輸液セットの使用を勧告するとあるのですが、簡単なことなので すが、一応輸液の場合には患者さんに血管の中に針を入れて輸液を落とすわけですが、 これ、定量の、例えばバックなり、輸液の入っている瓶が落下したときに落ちないとな ると、血管内にきちんと入ったかどうかの確認をどうするのかという議論がされたのか どうかということを、今、聞きたかったのですが。細かい議論なので、今後検討してい かなければいけない部分もあるかとは思うのですが。 ○甲屋委員  今の御質問に対しては、特に具体的には検討されなかったのですが、通常、末梢血管 等をとる場合は、それぞれの現場で若干異なるのかと思いますが、いわゆる輸液ポんプ 等を使うようなラインに接続する場合には、恐らくまずラインをカットして、シール等 で濁流を確認して、そのあと接続するといったような手技がほとんどとられているので ではないかと思われますので。特にこのワーキンググループの中では、そういったこと に関しては検討はされませんでした。 ○目黒委員  危機管理ではいろいろ僕も見て歩いたのですが、使われ方としてはものすごくいろい ろな使われ方をされるので、その点をちょっと危惧したものですから、ということです。 ○桜井部会長  星先生が先ほど御発言になったことは大変重要なことだと私、思いまして。確かこの 部会でも申し上げたかと思います。それから親委員会の医療安全対策検討会議でも申し 上げたと思いますが、要するに安全というと何か余計な負担がかかって困るというよう なマイナスイメージがつきまとうのでありますが、むしろ逆手にとって、安全産業とい うかそういうものを、日本として積極的に起こしていくと。  それには税制の、今の問題もありましょうし、何らかの支援、補助の問題もありまし ょうし、何かそういうことを厚生労働省として、情報として発信していただいて、国と いうのでしょうか、動かしていただくような、そういう行き方もあるのではないかと。 要するに安全というのをプラスの方向に持っていって、日本でつくった医療機器は世界 的にみても非常に安全度が高いという評価が得られれば、これはまた産業としてのメリ ットにもつながると思います。何かそういう積極的な、ポジティブなお考えをぜひして いただきたいと思いますし、またそれがないと、星先生が言われたようになかなか現場 での実効性が伴わない恐れがあるという気もいたしますので、ぜひその辺、ひとつ局長 さんもお考えいただけると思いますが。 ○医薬局長  今の点は前々から御指摘いただいている点でございますし、実際にいろいろ御指摘い ただいている、こういう安全対策を実効ある形で進めるためには必要な面だと思うので。 税制なり、さっき言った融資の関係なり、あるいはいろいろな御説明、こういう組み合 わせを今少し整理いたしまして、出来れば、この場がいいのかあるいはもう1つ上の親 委員会がいいのか、そういう場で積極的に支援をしていくべきだという、ある意味で1 つの御意見をいただくような形を受けて、また私どもはそれを受けて実行していくとい う形でですね。どういう形で対外的にそれを進めていったほうがいいかというのは、ま た御相談しながら、1つのやはり重要なポイントでありますので、これから税制なりい ろいろな問題も出てきますから、その中でぜひ芽を出すような努力をしていきたいと思 います。 ○桜井部会長  意見としては私も申し上げましたし、また星委員もおっしゃっているので、過去にそ ういうプッシュはあるのでして、ゼロではないわけですね。何かそれをもう少し拡大し て、きちんとした力にしていただければという感じがいたします。ほかはございません か。もしなければ次の……。  よろしいですか。どうもありがとうございました。 2.第1回、第2回インシデント事例収集結果の分析について ○桜井部会長  では次の議題の「ヒヤリ・ハット事例の分析」ということで、事務局から御説明をお 願いします。 ○事務局  インシデント事例の収集について御説明いたします。インシデント事例につきまして は、昨年10月より厚生労働省におきまして収集しております。国立病院、療養所、特定 機能病院、約300 弱の施設でございますが、これらの施設に参加をお願いいたしまし て、一連の事例を収集しているところでございます。事務局といたしましてもすでに第 1回、第2回の集計を行いまして、事例については公表させていただいているところで すが、今回、第1回、第2回の事例について、何人かの先生に御相談させていただきま したので、御報告いたします。  資料3−2を御覧いただきたいと思います。3−2が4枚ございますが、4枚目に今 回御相談させていただいた先生方を御紹介しておりますが、そのあとにフロー図という ようなカラーの図があるかと思いますが、医療機関への報告された事例について、特に 医薬品については、この中で土屋先生、中村先生を中心に御指摘いただきました。また 医療用具については臨床工学技師であられます那須野先生に御検討いただいたところで ございます。  特に医薬品につきましてはフロー図に従いまして、要因について再度御検討いただい たところでございます。フロー図の中で、例えば医薬品、物が要因なのか、あるいは人 によるエラーなのかというようなことをフロー図に従って要因を特定しております。  例えば第1回の報告の中で、ナウゼリンの錠剤と坐薬の間違いというようなものが報 告されてございますが、こういったものについては、同一の商標でありながら剤型が違 うというようなところで、黄色い「剤型違い」というのが右のほうにございますが、こ ういったものが要因として特定されるというようなフロー図でございます。  あるいは同じ錠剤でもmg数の違うようなものについては、規格違いというようなも のを要因とさせていただいております。  資料3−2の1枚目でございますが、これが第1回医薬品・医療用具等の情報、医薬 品88、医療用具13というような収集がございましたが、左側に報告された分類というこ とで、インシデントの要因と件数をまとめさせていただいて、右側に今回検討していた だいたインシデントの要因を比較して表示させていただいております。  この中で例えば薬剤名が似ていた、あるいは複数の規格が存在したというようなもの が32件ほど、医療機関のほうから報告されてございますが、この中でも先ほどのフロー 図によりますと、規格違いや剤型違い、記号違いと評価させていただいたものは、例え ば注射液でソリタT3とT3Gというようなものがございますが、それらのものの間違 いについては記号違いというような形で評価させていただいております。  2枚目には第2回の医薬品・医療用具等収集結果に基づきますものを、同じようにフ ロー図に従いまして、検討した結果を比較して表示させていただいております。  3−2の資料のあとに、横書きの表がございますが、これは実際に報告された事例の 要因、内容、それと一番右のほうに今回検討いただいた要因を書き加えて表としており ます。第1回医薬品集計、それから第1回の医療用具の集計、第2回の医薬品の集計、 第2回の医療用具の集計というような形で分けて表示させていただいております。  以上でございます。 ○桜井部会長  どうもありがとうございました。この会からは土屋先生と外先生が御参加でございま すが、土屋先生、何かございますか。 ○土屋委員  はい。今、お手元の横長の資料で現物がございますが、その中で、結局その要因とい うところが報告に使われている分類なんです。ところがその同じような事象を書く医療 機関によって別のところに入れてきたり、そういう分類がしっかりしないものですから、 それでこのフローチャートを参考までに作ったということでございます。ただこれも、 なるべくこの検討会というか、こういう場で検討するために無理やり、例えば外観類似 というものも、酸化マグネシウムとセルベックスというように散剤同士で外観が似てい ると言われればそれは当たり前なのでありますが、それでももし問題があるといけない ので、必ず類似の方にもってくるように無理やり分類している。だから例えば外観類似 となったからそれがすべて悪いとかいいとかという判断ではなく、検討会できちんと検 討すべき土俵に乗せるべきではないだろうかということでございます。  同じように名称の類似につきましても、アデラートLの10と20が名称類似と言われて も、それは類似ではなく同一でございまして、そういったことをきちんと分けて考える 必要があるだろうということで、それぞれ細かく分類をいたしました。ただ、現在のこ のインシデントレポートの中では、右のほうの吹き出しの部分に少し書いてあります が、処方とか調剤とか与薬というそれぞれの役割を、人の分類というか、そういうとこ ろもきちんと書いておかないと、それから配置状況、例えばそれが薬効別になっている のか50音順になっているとかということがよくわからないために、現実としては類推し ながらやっている部分が結構ございます。それから薬品名とか、そういう報告に書かれ ているもの自体が非常に不正確な報告になっているので、そういったことがわからな い。あるいは会社名が不明のためにその類似性の判定ができないというようなこともご ざいました。  あと、手書きであったのか印字されたものであったのか、あるいはその内容が英字で あったのか日本語であったのかというようなことも、データが上がってこないと、正確 な意味での分類はできないのかということで、現状のインシデントレポートの報告の中 で、項目的にこういった項目を、それは要素としていれておかないといけないのかとい うのがございます。  分類していて思いましたのは、重要度からいいますと、むしろヒューマンエラーとい うところにございますが、危険な事例というのはむしろそこに分類されるものが多かっ たというのは、これは内容を見ますと同じ施設と思うのでありますが、インシュリンを 入れるのを忘れたというのが5件か6件、同じような報告が出ていると。これが短期間 にもし同じ医療機関でそれだけ出ているとしたら、それは早急に、むしろ医療機関のほ うで対応しなくてはいけない話なのかというのがございまして。先ほどのフローチャー トでヒューマエラーとか、あるいは勘違いといった部分とはいうものの、むしろ対策は この検討会ではないと思いますが、医療機関側が早く気がついてそういうことを自分の ところで直す手立てをしなくてはいけないのかということを感じました。  もう1つ、これは第2回の資料の17ページの168 番のデータでございますが、この硫 酸亜鉛7水塩を硝酸亜鉛6水和物が納品されていたということでございますが、これは 一見勘違い、別物としてございますが、実はここには深い問題がございまして。硫酸亜 鉛というのは薬価基準が収載されていて、なおかつ1社もつくっていない。1社もつく っていないために、医療機関はやむをえず試薬を使っているというものでございます。 そのためにこういうエラーが起きているということから言いますと、こういうエラーを 防止しようとしましても、そもそも医薬品がもし発売されていたならばこういうエラー は起きないであろうということもございます。やはり勘違いというか、そういうものの 中にそういった大事な要因が含まれているということもございますので、とりあえずこ こでいろいろ話が分けてありますが、それはそれぞれのところで内容についてはかなり 重視しなくてはいけないのかと。  第1回でも、61番のものは倍量処方のものを思い込みでそのまま投与してしまったと いうか、これがもし入院で倍量処方が行われているとしたら、それはかなり問題なこと でございますので、そういったことを含めて、むしろ解決すべきヒントはそういうとこ ろにあるかなと。そういう意味でインシデントレポートそのものは非常に重要性を含ん でいると思います。 ○桜井部会長  ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。 ○星委員  この分け方は便宜的なものなのでしょうが、さあこれを、例えば公表しますと言って、 公表しましたという意味では、これは終わりではないですね。ですから分類するという 作業もすごく大切なのかもしれませんが、その分類作業の中から得られた結果を対応別 というか対策別に並べかえる、つまりこれは製薬企業に情報提供して何らかの変化をお 願いして、それを行政が監視するというようなものに回すべきものか。あるいは今おっ しゃったように試薬としてしか販売されていないのはやはり危険だから、医薬品として 承認をとってもらえるような何か行政指導をしてもらおうというようなもの。  それと一方で「病院側の対応としてこういうことに気をつけるべきですね」と、ある いは「こういう薬は病棟に置いて置くべき薬ではないんじゃないですか」というような ことに情報を還元するようなもの。あとは患者さんに対する情報提供に資するものなど もあるのかもしれません。ですからそういう分類をしていただいて、それぞれの立場の 人にとってわかりやすく、理解しやすく、活用しやすいものに加工をしていただかない と、このままでは「こんなものを見せられても」と言っては失礼ですが、確かに読めば いいことがかいてあって、ヒントはあるのでしょうが、これをすべて医療機関に配った から「はい、おしまい」ということにしてもらいたくないですね。  今後、この事例を具体的にどういうふうに……、これからも集めていくのでしょうか ら、分解し咀嚼し、そして成果物を出していくのかと、何かそういうアイディアを土屋 先生、お持ちなんですか。 ○土屋委員  今回はむしろ今報告されているものが、その前の段階ですでに、報告自体にヒューマ ンエラーが存在するようになってしまっているというのが現実ですので、まずそのヒュ ーマンエラーを防止して、同じことが起きたときに同じ結果が得られるように分類をき ちっとしようと。  これが恐らく、今、3回目も入ってきていますが、そういったものを、今年いっぱい といいますか、そういうことを一方で、実際に事例を見ながらこのフローをある意味で しっかりさせていく。レポートの段階での齟齬をなくすということと同時に、一方で、 ここで例えば名称類似であるとか外観類似というものについてはこれをどうするのか。 特に先ほどの名称に関するところでいえば、記号であるとか規格違いであるとかそうい ったものは、これはまさに医療機関の対応で、「複数規格があったときにはこうしまし ょう」とか「調剤をこうしましょう」というような注意情報になると思いますし、それ 以外にここの名称類似に来たものについてはここで、やはりその類似性についての検討 をするとか、そういうまず仕分けをきちんとしないといけないということで。  まず、本当は結果を出したかったのですが、それ以前の話が多かったので、これは今 年を使ってうまくきちんと分類をして、これからもし対象が増えてきたりしたときに、 今のままでデータが上がってくると恐らくそれが処理できない形で、せっかくのレポー ティングシステムが意味をなさなくなってしまうと。  で、星先生がおっしゃいましたように、最終的にはこの対策を早く出す、それから先 ほど言ったように、その時点であっても緊急的に、どう見てもその医療機関がおかしい と思ったら即刻連絡できるようにする、というようなことの対策をきちんととらないと いけないと思いますので、うちとしてはまず土俵を一緒にするためにその分類ができ、 ただこうしたときに次にどうなるかというのを少し見ながら、ここはまさに分類は非常 に難しいところでありますが、その分類することが目的でも何でもないので、むしろそ こを早急にやらないといけないだろうと。ただ、たった300 例近くの例でも、かなりこ ういうふうに数字が違っていますので、そこをまず整えたと、基盤整備をしたというと ころでございます。 ○星委員  いつぞやこれを始めるときに、こういうレポーティングシステムを国家規模でやるの は日本だけだと威張っていたような記憶があります。安全推進室長がおっしゃったのか もしれませんが、その記憶があるのですが、レポーティングシステムは確かにそういう 形でやっているところはないのかもしれませんが、結局、やってみたと。例えば様式そ のものに欠陥があった、あるいはただ分析の方法そのものに至る前に直さなくてはいけ ないことがあったのだということは、すごく象徴的な出来事だと思っています。  象徴的といいますのは、つまり「こうやって報告を出しなさい。そうすればよくなり ますよ」と言ってとりかかったけれども、出させてみたらその報告自体にエラーがある ような仕組みで集めてしまっていたと。そういうことは実際はプロトタイプで十分に検 証してやるべきだったのかと思いましたし、世の中の人たちが全部集めろという意見が あったわけですが、それは必ずしも最初から全部どうのこうのという話では価値がない ということも証明したのだろうと思います。  そんな過去のことをどうこう言うつもりはありませんが、これからの話にすれば、ど うやって早くこの結果を活用できるようなものを、そういうレポートシステム、あるい は評価システム、あるいは結果のトータルの扱い方、その他についてどうするのかとい う議論を早急に進めていただきたいし、ヒューマンエラーとの混合で起こるようなもの があるのだとすれば、それについてどういうふうに対応するのかということについても、 このあとで多分お話があるのだと思いますが、明確に、それも早く整理をしてほしいと 思います。 ○堀江委員  重複するところがあると思いますが、各施設でいろいろなインシデントを集めて、担 当の委員会で具体的な対応が進んでいると思います。ただ、例えば容器の類とか、薬剤 の色だとか形態だとかいった問題は、各施設だけでは対応できないわけです。ですから その辺の色分けをして、国レベルで、各施設でできないものについての対応はどんどん 進めてもらう必要があると思います。  それから1点確認したいのですが、特定機能病院からの情報収集がされたと思います。 それについて、集められた情報の開示ということは納得していたと思いますが、ただ医 療機関名が開示されることについてはどこの施設もそういう理解はしていなかったと思 いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○安全使用推進室長  このインシデント事例の収集のシステムにおきましては、この病院からこういう報告 が出てきたという形で医療機関名を表に出すことはございません。で、この病院の中で のケースとしては、「このシステムにはこれだけの病院が参画していただいています」 という形で、全体数200 いくつですか、その病院名をリストとして全部あげています が、個々の事例に関してこれだけこの病院であるとかという形で御報告はございませ ん。 ○堀江委員  具体的には「特定機能病院、何々大学病院、インシデントが何例」ということが報道 されたわけです。それについてなんです。 ○安全使用推進室長  先生御指摘のお話は、多分このインシデント事例のお話とはまた別で、国会からの質 問主意書に対する回答のお話かなと。 ○堀江委員  我々の施設で内部で集めた事例は外に出さないで内部で対応する、そういう扱いをし ますということで、すべての事例を報告することが開始されました。一方で国側として 特定機能病院の事例を集めて対応するということでしたのでそれに協力するため院内の 理解を得た時点からインシデント事例を報告するようにしました。ところがその結果と して、いろいろな施設の名前やインシデント件数などが報道されました。これはどうい うことなのかという指摘が出たものですから、質問させていただいたわけです。 ○安全使用推進室長  では本件は今、確認をさせていただきます。 ○桜井部会長  何か御質問は? ○山本委員  ついでにちょっと確認させていただきたいのですが、医薬品の集計、検討結果と、そ れから医療用具の検討結果を比べてみますと、医療用具のほうは表の中に業者名が入っ ています。これはどういう理由か。もし検討するのにどうしても会社名がわからないと 特定できない、わからないということで集めているのは結構ですが、公表については医 薬品は出ていなくて、医療用具だけ業者名が出るというのは、ちょっと納得感がないと 思いますので、それはどういう理由か、ちょっと教えていただきたいのですが。 ○安全使用推進室長  例えば医薬品の場合ですと、ブランド名が出ますとおのずからどこの会社の製品かと いうことまでわかりますし、物が特定できるということがございます。他方、医療用具 に関しましては、例えば輸液セットや輸液ポンプと書いてあったとしても、それらは多 分会社会社によってスペックとかすべて違いますでしょうから、一般的名称を例示した としても、それだけで物が特定できないと思います。ここに公表しているというのはこ ういったインシデント事例があったということを、できれば全国の医療関係者で共有し ていただきたいという趣旨がございます。  そういう観点からしますと、一般的名称だけで何かこういう事例があった、こういう ことを情報を共有するにはやや不十分ではないかと考えておりまして、会社のお名前ま で出させていただいているというふうに考えております。 ○山本委員  薬はこれで特定できますか。 ○北澤委員  今の質問で、薬についてもここの薬剤名がどの会社というのは、私などは医療従事者 でないのでわからないので、せっかくなので両方を書いておいたらいいのではないかと 思って。 ○安全使用推進室長  例えば名称の類似が問題だというときは、多分医薬品の場合ですと販売名そのものが 問題になるというふうにも少し考えますが、御指摘の点については少し検討させていた だきます。ありがとうございました。 ○桜井部会長  山本さん、いいですか。 ○山本委員  それは用具のほうの、業者名を公表するのを含めて検討していただくということです か。 ○安全使用推進室長  いや、今私が申し上げたのは、医薬品のほうに会社名をさらに追加するかどうかとい うことに関しては検討させていただくというお話で申し上げたのですが。医療用具に関 しては、先ほど申し上げたようなことで、どうも会社名がないと、かなり情報の質が落 ちるのではないかと考えているところです。 ○山本委員  業者名ではなく、どういう状況でどういう問題が起こったかということを今回は調査 するのではないんですか。それであれば業者名がなくてもわかるのではないかと思いま すが。 ○事務局  事務局より補足させていただきますが、医療用具の場合ですと当然、報告者である医 療機関のほうからどういう報告を書いていただくかというところが、まずベースに考え るところでございまして、医薬品につきましても当然、販売名を書いていただくような 様式で報告を求めているところでございますが、その場合でも、正式に薬価基準に収載 された銘柄名を一字一句正しく書いているケースというのはあまりないかと思います。 ただ、基本的にブランド名が書いてあれば、それがどういう製品でどこの会社の物かと いうのは特定できるという形での分析が可能になりますが、医療用具の場合ですと、例 えば三方活栓とか、あるいは胃液チューブという書かれ方をするとすれば、それがどこ の会社のものかは全く特定できない情報しか、我々、得られなくなります。  なおかつ、その集計した結果を広く医療機関あるいは広く国民に対して公表するとい った場合でも、どこの製品の三方活栓あるいは胃液チューブについて注意したらいいの かということがわからない形での情報提供になってしまうという問題点があろうかと思 いまして、医療用具の場合は現状、どこの何という製品かというのがわかるところまで の特定のしかたをしているという形での取り扱いになってございます。  ですから一字一句、広く販売名、ブランド名を医療機関のほうに求めるというのも、 これ、なかなか難しい問題だとすれば、当然、企業名とセットで公表することになって 製品が特定できるという扱いと考えているわけです。 ○星委員  先ほどの堀江委員の発言も、それから山本委員の発言も、なるほどそうだろうと思い ます。つまり、そういう報告がありましたということを出すのが多分皆さんの考える情 報開示なんです。つまり「こういう御報告がありました。何社の何がどうでした」とい うのを出すのが即情報開示だと、これがすなわちいいことなのだというふうな考えなの かもしれないけれども、そういう報告があがってこないところに問題がないという誤解 を与えるという可能性、あるいはあげないことへの恣意的な誘導になりはしないかとい うようなことに大変な危惧を持ちます。  これは基本的には自発的な報告に基づいたものでありながら、先ほど堀江委員が心配 していたのは、その報告のことではないような気がするのですが、ああやって集めてし まったものが、情報としてお上が持っていれば、この世の中、出せということになり、 そしてそれを出すと、例えばある大学はいっぱい出しているのにある大学からは出てこ ない。その大学は対策が甘いのではないか、あるいはその大学は報告をまじめにしてい ないのではないかという憶測を呼ぶ。そういうことになると、せっかくいい制度をつく って再発防止のためにやりましょうと、あるいはいい方法を考えましょう、そのための データをみんなで出し合いましょうと言っていたのに、そんなことならやめてしまおう と、あるいはうまいことごまかそうという気持ちが……、僕は医療機関には出てこない と信じていますが、そういうものを誘発してしまうのではないかということを、大変に 重要な問題として認知をせざるを得ないのですが。  最初に申し上げましたが、お上がこの制度をやると言ったときにも、お上が情報を集 めれば、いつか必ず「出せよ」と言われます。出せよと言われれば出さないわけにいき ませんと。そのときにきちっとした評価ができるものならいいけれども、そうでない、 例えばそれぞれの医療機関において何をヒヤリ・ハット、何をインシデントとするかと いうことを決めずにスタートすれば、あるところからいっぱい出てくる、あるところか らは少ない、そのときに、いろいろな見方ができます。  いっぱい出てくるところは安全ではないという見方もできるし、少ししか出てこない ところはレポートシステムを本当に作業しているのか、動いているのかどうかというよ うなことの予測も。しかし、それを誰も評価できないんです。でも、誰も評価できない けれども数字は出てきて、いろいろなところに出ていく。その結果、せっかく作ってて、 もうこれからよくわかるようなレポートのシステムにしていきましょうという矢先に、 そういうことなら協力しませんというようなことがですね。まあその協力しませんとい えば、協力しない病院はどの病院だと、とんでもない病院だと、こういうことになるの でしょうが、どうもその意味での思慮に欠けているのではないかというのは感じるんで す。  このあたり、厚生労働省はどういうふうにお考えなのか、これは安全推進室長にもぜ ひお伺いしたいんですが。これは根本的な問題だと思うんです。これから本当にこのこ とを日本に定着させていくための1つ目の峠だと思いますが、いかがでしょうか。 ○堀江委員  インシデント等の事例を収集するということ自体、私は方向性としてはやっていただ いて、そして各医療施設でどういうことが具体的に起こっているか。従ってどういう体 制が必要か。そういうものに結びつけるという姿勢は、これは必要だと思っています し、我々としても協力はしようという方針でやっているわけです。ただ、大学名やイン シデントが何例あったということで評価につながるような印象を与える報道がされたと いうことから、これは一体何なのかという指摘があるのです。 ○安全使用推進室長  先ほど堀江先生から御質問のございました、特定機能病院の大学名が出たという件で ございますが、これは国会から質問主意書というものをいただきまして、それに対する 答弁を作成するにあたりまして、厚生労働省の地方厚生局経由で各特定機能病院に対し て調査をお願いいたしました。その際、国会に提出する旨、医療機関に対しては文書で その旨お伝えはしてあったということでございます。  担当課のほうから、今、そういう形でのメモが届きましたので、御紹介させていただ きました。 ○桜井部会長  新木さん、何かございますでしょうか。 ○医療安全推進室長  このインシデントの、ヒヤリ・ハットのほうのことを総論的に御説明させていただき ますと、これに関しましては、今御指摘のありましたようなプライバシーといいますか、 それに関することを守るということが非常に、このシステムに御協力いただく大前提だ と考えておりまして、患者さん、医師等の個人名はもちろんですが、医療機関の名前も 集めないシステムでやっておりますので。  今、堀江先生がおっしゃいましたのは、伏見室長から御説明した別の件でございまし て、このシステムに関しては医療機関名等が出ることはありませんし、今後ともその方 針は堅持すべきものというふうに考えております。またこれにつきまして、先ほど来、 いくつかの問題点、例えばフォーマットの問題点等々がございましたが、後ほど議論に なるかと思いますが、それらを含めて見直していきたい。  と申しますのは、これをこの部会の親の委員会で、これを全国的に拡充すべきだとい う御意見がありまして、拡充前にいろいろなフォーマット等は整理をしていきたいと思 っているところであります。 ○堀江委員  インシデントについての報告をすることは十分理解していますが、その内容と合致す ることが報道されたというのは事実なわけです。文書で通達したといっても公表される ことになるという認識はしていないと思います。ですから、どうしても報告したもの が、公表されたという捉え方で受け取らざるを得なかったわけです。これは、ほかの大 学の方々も同じような捉え方をしたと思います。 ○医薬局長  今、御指摘いただいた点は、こういう調査をしてどこまで情報公開するかというのは、 おっしゃるようにあまり広範囲にすると、なかなか今度はあげにくくなるのではないか。 かといって、上がってきたものを公開の情報としませんと、せっかく集めてきたものを 世の中にその情報を役立てるという意味ですと効果が縮小してしまうということで、な かなかその兼ね合いが難しいところだと思いますが。  ただ基本はやはり出す側と、それを我々が受け取って情報公開する側が、要するにど こまで情報化するか、お互いに一義に一致していないと。ここはおっしゃったように、 出すほうはそこまで公開されるという前提を考えていなかったと。こちらのほうは当然 そこまでの公開の点というのは。ちょっとその食い違いが今、若干あって。私ども、あ とで詳しく調べてみたいと思いますが。そういう形では当然そういう調査というのはス ムーズに今後行くということはかなり難しいと思いますので。  つまり深い理解、やっていただいていろいろ問題点も出たようでありますので、やは りきちっと出す側と受け取った資料を世の中に発信していく側とで、理解を一致させて いかないと、今のような問題が今後繰り返し出る可能性がありますので、そこは今後、 こういう情報をいただいて、かつそれをどういうふうに加工して、世の中にはどこまで 出すということを、まず1つのルールといいますか、一義のものをつくった上で、実際 の本格的に稼働していく場合にはいけないかと。ちょっとそのあたりがまだうまく動き だしていないような形がありますので、私ども、改めてそこはきちっと整理した上で対 応したいと思います。  それから先ほどの御指摘の、国会から質問主意書に対する回答の分ですが、一応調査 をお願いした際には、「この結果は国会のほうには提出します」というお断りをして回 答をいただいているようなのですが、ただそこが我々行政側では国会に出すということ は基本的にはもう世の中にオープンになるという前提だと理解して出していた。ただ、 出されるほうは国会に出すということは理解していても、それが即世の中にオープンに なる、イコール、オープンになることはどういうことか、ということまでの理解がきち っと一致していたかどうかという点が若干齟齬があったのかもしれませんが。  そこのあたりはもう少し詳細に調べてみたいと思いますが、やはり両者の理解といい ますか、意識が一致しないと、なかなかこういうのはうまくいかないと思いますので、 そこは十分注意しながら対応していくことが必要だと思っています。 ○桜井部会長  ただいまの問題は、リスク管理において協力の手法の問題だと思うんです。それでこ れは安全対策会議でも再々、黒田先生がおっしゃっていましたが、申告をした人を罰し ない、あるいはさらに言えばその申告した人の面子をつぶさないということが、基本的 に非常に大事なことであって、それをもし破って罰してしまったり、面子をつぶしてし まうと、なかなか協力は得られませんよというお話は再々あったと思います。だからそ の辺の、インシデント収集の際の協力を得るスタンスの問題だと思いますので、やはり 相当基本的な問題だと、私は思います。  これは多分、分析とか対処とか、いろいろなステージによって公表のしかたというの が当然違ってくると思うんです。最初から名前を出してしまうと、「これは出したらま ずいな」というふうに傾く可能性が強いと思いますので、その辺のスタンスとして、基 本的な事項として御議論なさったほうが、私はいいように思います。 ○安全推進室長  このシステムに関しましては、今、桜井先生がおっしゃいましたように、非常に重要 だという議論をいただきまして、出していただく側に不利益を被らないようなIDの処 理、そこのところをわれわれ行政のほうは持たないということでやっていますので、そ この点は、今まで関係部会等で検討いたしまして、堅持していきたいと思っております。 ○星委員  山本委員が御心配なことも残っているわけで、あれは出てきたらメーカー名は出てき てしまうわけです。メーカー名が出てくるのは「書いた人がそう書いたからしかたがな いだろう」と言うかもしれないけれども、考えれば「担当者とけんかした」と。「おも しろくないからその名前を書いておこう。新聞に出ればおもしろい、おもしろい」と。 まあ、医療の現場は決してそんなことはございませんが。  そういうことはしないとは思いますが、御心配になるのはある意味で当然でありまし て。ですから、どんなふうに活用するのか。そのためにどこまで集めるのか。極論すれ ば、集めたものは全部出すんです、行政が集めれば。ですからそれが、法令に書いてあ ろうがなかろうが、集めてしまえば出さなければいけないわけで。ですから、そのあた りのところが、協力いただくメーカーにも納得いただけるようなものでないと厳しいの かなというものを感じておりますから。何も隠せという意味ではありませんが、どうい うふうにしたらうまくいくのか、知恵を絞っていただきたいと思います。 ○宮城島委員  多分このあとにお話があるかと思いますが、先ほどいろいろな収集事例があったので すが、製薬企業としてもこの名前の問題や外観の問題については重要事項として考えて います。堀江先生からお話がありましたように、製薬企業全体として、受け身ではなく 積極的に対応したいと考えているのですが、さて現実になるとなかなか難しいことが いっぱいあります。ですから総合的に対策を練っていただきたいということと、もっと もっと環境整備を図っていただきたい。  特に、例えば長年使用された販売名を変更した場合、変更したことによる新たな医療 事故の誘因になる可能性も当然あると思います。販売名というのはいろいろ留意事項が ありまして、特に特許庁に商標登録後、販売名を決定しております。では変えなければ いけないといったときにはどういうルールで変えなければいけないか。そのルールが決 まっていない限り、また変えたとしても同じようなことが起こる可能性があると思いま す。販売名を客観的に判定するシステム導入等の環境整備を図っていただきたいと考え ておりまして、ぜひ御理解いただきたいと思います。 ○井堂委員  今までのいろいろお話を聞いておりますと、質の向上のためにはやはりお金がかかる ということで、こういったいろいろな例を集めて公表しても、これが生かされるかどう かということが一番大事だと思います。医療用具、あるいは医薬品等は、認可は厚労省 が持っておられるわけで、それが例えば我々の歯科のほうから言いますと、非常に認可 が遅いといういろいろな指摘もあります。  それと、認可したものについては、例えば先ほどからいろいろ議論にありましたよう に、それを変えるにしても経済性の問題がある。あるいは消毒の問題にしても、特に歯 科の医療用具等は非常に高価なものが多いわけですから、それを一概に悪いから変えろ と言っても、メーカーのほうも売れるかどうかもわからないのにそこまでお金をかけら れない。あるいは我々、使う医療側についても、即座にそれを変えられないということ で、先ほど星委員が言われたように、何らかの融資制度や助成、そういったものを他の 省庁とも一緒に組んでいただいて提示をしていただかないと、なかなかこういう論議だ けで、こういったものを集めて、添付文書にどんどん書いて使用する医師だけに責任を 押しつけるということは、これは困る。  ということで、もう少し根本にあるものを整理をしていただかなないと、何かこう責 任転嫁のための議論のような気がしますので、その辺ひとつ、この分析結果を十分に生 かすような方法で考えていただきたいと思います。 ○桜井部会長  ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。  ちょっと話が戻りますが、先ほど星先生が言われた事例分析の整理の問題、これは実 効性のある整理、わけのわかった整理と言うと失礼ですが、そういう整理をしていただ かないと困るよというお話で。これは私の理解では、インシデント分析というのは1つ のリスク分析、あるいはハザード分析といいますか、そういう洗い出しの段階だと思う んです。出来るだけいろいろな事例がたくさん集まったほうがいいと。  ただ、その集まったものをいかに料理するか、分類するかということですが、私は1 つの例というか、御参考になればと思って申し上げるのですが、ハードとしての問題が あります。それから情報としての問題。それからマネージメント、あるいはシステムと しての問題がある。4番目には教育訓練も含めてヒューマンウェアの問題がある。そん な整理が1つあるかと思います。もう1つは対策別というか、文句のあて先別に言うと、 企業へ文句を言うか、行政に文句を言うか、医療機関に文句を言うか、患者に文句を言 うかとか、そういう受け皿の問題があると思います。だからそんなことで整理していた だくと、だれに向かって情報が悪いよか、だれに向かってハードが悪いだとか、いろい ろなことができるんです。  その中で私は非常に大事なのは、行政に対するあれで、こういう問題がいろいろ出て きますと……。従来のいわゆる承認とか規制の問題というのは非常に個別的なわけです。 薬品なり用具なりが合格していればそれで認めるということですが、やはり何か付加的 というか、マクロ的というか、全体を見渡して問題があるかどうかというような観点か らの方向付けというか、規制というとちょっとあれになりますが、そういうこともこれ から必要になってくるのではないかと思います。一種の市販後の調査にあたると思いま すが。  そうしますと、例えば薬剤の名前の問題とか、あるいは剤型の問題とかいろいろな問 題が出てくるということで。もうすでにそういう時代に入ったのかという気が、私、ち ょっとしますので、その辺も御検討いだけるといいかと思います。  ほかは何かございますか。よろしいでしょうか。 3.ヒヤリ・ハット事例検討作業部会について ○桜井部会長  それでは次のヒヤリ・ハット作業部会の設置ということで。 ○安全使用推進室長  それでは、ヒヤリ・ハット事例ということで、作業部会の設置について御説明をさせ ていただきます。資料は3−3を御覧いただきたいと思います。  3−3の資料、「医療安全対策ネットワーク整備事業の進め方について」という資料 でございます。先ほどからインシデント事例の収集といっておりますが、正式にはこの 医療安全対策ネットワーク整備事業と、私どもは申しております。これにつきましては すでに前回のこの部会でも御説明をさせていただいたとおり、昨年の10月から全国の国 立病院、療養所、特定機能病院等からインシデント事例、あるいはヒヤリ・ハット事例 とも申しますが、を収集しております。  そこにございますように各医療機関から直接には下から2つ目の四角でございます が、医薬品副作用被害救済研究振興調査機構、いわゆる医薬品機構でございますが、あ るいは医療情報システム開発センターがございますが、そういうところで必要なデータ のマスキングチェック等をいたします。した上で、厚生労働省のほうに提出されるわけ でございます。このインシデント事例として収集されるものには、大きく分けると3つ のタイプのものがございまして、1つは先ほど御議論いただきました医薬品とか医療用 具の個別のインシデント事例がございます。  そのほかに2つございまして、1つ目は全般コード化情報といわれるものでございま して、これは各病院単位で3か月ごとにまとめておりますが、例えばこの3か月の間に インシデント事例が全体で何件あったと。それから統計をとると何曜日に多く起こって いるとか、何時ごろに起こっている。あるいは発生場所として、病室で起こっているの かナースステーションで起こっているのか。あるいはそれにかかわった患者さんの年齢 分布はどうであるとか、そういった個々の情報をコード入力して、ややマクロに情報を 見るというような情報でございます。それを全般コード化情報と申しております。  それから3つ目のものは、重要事例情報といいまして、これは医療機関でお気づきに なったインシデントに関する重要と思われた情報を記述的に、ナレーティブに書いてい ただく報告でございます。  都合3つの報告がございます。そのうち1番目の医薬品や医療用具の情報に関しては これまで、この私どものいわゆるモノ部会、医薬品医療用具等対策部会で御議論いただ いてきたわけでございます。それから残りの2つ、全般コード化情報と重要事例情報に 関しましてはもう1つここの部会がございまして、ヒューマンエラー部会でございます が、そちらのほうで主に御議論いただいているということでございます。  しかしながら、例えば先ほど土屋先生が分析いただいたように、医薬品や医療用具の 情報だとして上がってくるものの中にも人為的なものといいますか、いわゆるヒューマ ンエラーとして考えたほうがいいようなものもございますし、他方、重要事例情報とし て上がってくるナレーティブな情報の中にも、医薬品や医療用具にかかわるものが含ま れております。  そういうことで、情報の中身は若干クロスする部分があるということでございます。 インシデント事例の分析を、これまでのようにヒューマンエラー部会とこの医薬品、医 療用具等対策部会別々に検討しておりますと、どうしても適当でない部分が出てくると いうところがございます。この点につきましては、これまでもこの部会でも御指摘をい ただいたところでございます。  ということでございまして、ここの資料3−3の図にございますように、二重線で囲 みましたヒヤリ・ハット事例検討作業部会(仮称)とございますが、従来ございますヒ ューマンエラー部会、それから医薬品、医療用具等対策部会のこの2つの部会に関連す る形で、インシデント事例の検討作業を行う部会を新たに設けさせていただきたいと考 えております。  情報の流れといたしましては、各医療機関から医薬品機構等を通しまして、医薬品機 構等で情報のマスキングチェック等をいたしまして、このインシデント事例の検討作業 を行う部会に御報告をいただきます。ここのところで、新しくできる部会で検討してい ただきまして、分析としての結果の公表と還元をし、さらにその内容を従前からござい ますヒューマンエラー部会および医薬品医療用具等対策部会に御報告して、このそれぞ れの部会から必要な対策、あるいはさらに広い視点からの御検討をいただくという、あ るいはインシデント事例のこの新しくできる部会に対して、こういうふうに改善したほ うがいいということを御意見をいただくといった指導助言をしていただけないかと考え ております。  それから先ほども少し御指摘がございましたが、今集めておりますインシデント事例 の収集のフォーマットでございますが、フォーマットをどういうふうに改めるのかとい う点につきましても、この新しく提案されておりますこのヒヤリ・ハット事例検討作業 部会のほうにおいて主に検討を進めていきたいと考えております。できますれば今後は 個々にお示ししたような形でインシデント事例の検討、分析等を進めていきたいと考え ております。よろしくお願いいたします。 ○桜井部会長  どうもありがとうございました。ただいまの件は何か御質問ございませんか。 ○星委員  少し進歩したなという感じでありますが、ただこの入り口のところがその副作用調査 機構ですと2つあって、色濃くスタートしているのではないかと、分裂状況を残してい るわけでありますが、どういうレポートの報告様式にするのかと。この間申し上げたと おり、現場では物だとか人だとかかかわらずに1本の報告様式、あるいはそういうシス テムを持っているはずです。それを振り分ける時点で、もちろんものによってはここま で聞かなくてはいけないでしょうという部分があるでしょうし、あるいはそもそも必要 のない項目というのが2つを並べて全部埋めなくてはいけないのかという。あるいは埋 まらないのだと思うんです。  だから特化した部分があってもいいと思うけれども、入り口の部分が異なってしまう のにはいささか違和感がありますので、機構に出してもらって、メディスで分析すると か、分析は機構でやって出すのがメディスにするとかですね。両方とも自分たちの仕事 だとお思いでしょうから、どちらかにするのは厳しいでしょうから、これからこういう 法人にとっては大変な時期を迎えますから、こういう仕事も大切な仕事になろうと思い ますので、仕事を奪ったりしませんが、ただその様式の見直しにあたって考えなければ いけないのは、われわれが1つのフォーマットでやっているということ、それから窓口 が複数あるということは大変に混乱を招くということについては配慮をしてもらいたい と、これは明確に申し上げておきたいと思うし、各委員にも多分、同様の認識がおあり だろうと思いますので、その辺はもう少しよくなるように努力をしていただきたいと思 います。 ○安全使用推進室長  窓口の件に関しまして補足させていただきますと、この各医療機関から直接インシデ ント事例の報告を受けつけさせていただく窓口というのは、そこに組織の名前が2つご ざいますが、医療機関に対する窓口といたしましては医薬品機構に、今回、しておりま す。 ○医療安全推進室長  先ほど少し申し上げました様式のフォーマットにつきましても、今、事務局で少し原 案を検討している段階でございまして、このヒヤリ・ハット作業部会が発足いたしまし たならば、できるだけ速やかにそちらで検討を進めたいと考えております。 ○星委員  推進室でちょっと誤解されていると思いますが、ここでお集めのものはここに、1か 所に来るのは知っていますが、現時点ではまだばらばらですね。 ○医療安全推進室長  現時点ですべて、医薬品機構で集めておりまして、メディスは集計を一部行っている だけです。 ○星委員  それなら失礼しました。ただ、もう一度申し上げますが、今申し上げたように報告様 式ができれば1本であること。そして入れる入り口は1本であること。ただ、分析の得 意分野がそれぞれにおありでしょうから、振り分け作業が終わった時点で得意分野ごと に分析をしていただくのがいいと思いますので、そのあたりがみんなにわかるように、 ぜひ規格の統一、報告様式の統一については前向きにお願いをしたいと思います。 ○土屋委員  役割分担を確認しておきたいのですが、そのヒヤリ・ハット事例検討作業部会という のが上がってきた報告をまとめるという、そういう作業を行うのであり、対策を考える のは上の部会になると。ヒューマンエラー部会であったり、ヒヤリ・ハットの対策部会 だということなのでしょうか。それとも作業部会でその辺までも含めた報告をつくると いうことに、形としてなっているのでしょうか。 ○安全使用推進室長  作業部会のイメージといたしましては、まさに今回、土屋先生などにお願いいたしま した、ああいった形の事例をまとめていただいて、これは医薬品の名称の問題で、これ はヒューマンの問題であるとか、そういった割り振りをしていただくということが1点 ございます。  あと、先ほど本日の議論で星先生、あるいは桜井先生からも御指摘がありましたが、 事例分析を整理する、これは単に公表するだけでいいのだとか、あるいはこれは行政が こういうふうに対応して、あるいはこれはメーカーにお願いするのだ、これは医療機関 にお知らせするのだと、そういう事例分析をどういうふうにしていくかということを今 後まとめないといけないと思いますが、その関連の中で新たに設けられる作業部会にど こまでお願いするか、あるいはその事例分析の方法整備の原案のようなところまではこ の作業部会で御議論していただくのかなと、個人的には考えておりますが、このあたり は少し、引き続き御相談させていただきたいと思っております。 ○桜井部会長  ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。  やはりここまで来ると、リスク管理手法がありますから、それにのっとった整理、分 類をされたほうがいいと思います。ヒヤリ・ハット事例検討作業部会というのは、まず リスク分析、リスクを洗い出す、集めるということが1つと、それからそのリスクの評 価をするのかどうかですね。  リスクの評価というのはどういうことかというと、Aの薬とBの薬と間違えたら死ぬ のか、何ともないのか、何かになるのか、とかという評価ですね。そういうものがどの くらいの頻度で起こるのかという、そこまでやるのかどうかですね。それから対策を考 えて、実際の対処をするという、そういうステップになるわけで、それを明確になさる と、今、土屋先生の御質問がそこからどこまでやるのかということが明確でないと思う のですね。その辺をやっぱり。リスク管理というのは1つの科学的な手法ですから、き ちんとそのフォーマットにのっとったような形での整理をなさって、各部会なり何なり がどこからどこまでを請け負うのかということを明確になさったほうがいいのではない ですかね。  あとはよろしいでしょうか。 ○宮城島委員  ぜひその役割分担をもっと明確にしていただいて、今、対策案は現時点ではこの医薬 品医療用具等対策部会で検討すると理解してよろしいでしょうか。 ○安全使用推進室長  そうです。現在は、この場で御議論いただくということになっています。 ○北澤委員  先ほど桜井先生の問題点の整理ということで、ハードウェアとか情報とかシステムと かあげられましたが、やはり物にまつわる情報とか、要するにどちらにも関係あるとい うことが結局はたくさんあるのではないかと思いますが、それは結局、ここの図には必 要な調整と書いてありますが、どういうふうに考えたらいいのか、ちょっとわかりにく いのですが、いかがなものでしょうか。 ○桜井部会長  それは現実の物事というのは、分類というのは人為的なものですから、必ずクリアー にAかBに分けられるということはむしろ少ないと思います。だからAにも引っかかる、 Bにも引っかかるという事例が非常に多いので、それはAとBに投げ掛ければいいので、 それはあまり問題はないのではないかと、私は思うんですが。 ○北澤委員  はい。 ○桜井部会長  ほかはよろしいですか。 4.ジャクソンリース回路の検討経過の報告 ○桜井部会長  では最後は「ジャクソンリースの回路について」ということで。 ○事務局  それでは資料3−4「ジャクソンリース小児用麻酔回路と小児用気管切開チューブの 組み合わせについて」の進捗状況の御報告を差し上げたいと思います。  まず事例のもう一度御紹介という意味で、4ページを御覧いただけますでしょうか。 当該問題事例は、左が白く写っております気管切開チューブ、右が透明になっておりま すがジャクソンリース回路という組み合わせにおいてトラブルが発生したものでありま す。本件についてはちょっとおさらいしていただきたいと思いますが、左側が患者さん に装着される気管切開チューブ、矢印上下になっていますが、ここを通して患者さんが 呼吸をするという形でございます。  透明側の、一番右の細い管、矢印上向きになっておりますここから麻酔ガスを送り込 みまして、内管を通って真ん中の空隙を通して患者さんの中に入ると。患者さんはその ガスを吸い込んでまた吐き出すことによって、空隙を通って内管の外側を通って吐き出 されると。吐き出される呼気は透明の管の下矢印向きのほうに流れるということでござ います。正常の図はこの空隙がございますが、下の図、閉塞図を見ていただきますと空 隙がないと。そういたしますと、結局内管が詰まってしまうと患者さんは息ができない というような問題事例があったものでございます。  本件につきまして、この部会の第1回目の部会で対策案の報告会ということで御議論 いただいたのですが、2ページ目を御覧いただけますでしょうか。大きく分けて4種類 の方向性を御提示させていただきまして、1番目ですが、ジャクソンリース回路の内管 を切ってしまう、短くするという考え方。2つ目は、閉塞してもバイパスの、管の横の 穴から呼吸ができるように横に穴を開けてはどうかという考え方。さらには内管を細く すればいいのではないかという考え方。4例目はストッパーなどをつけて閉塞が起こら ないようにしたらどうかと。というような御提案をさせていただきまして御議論いただ いた結果、基本的には内管を切るほうが根治治療になるだろうという御指摘をいただき まして、今日まで検討をしてきたところでございます。  当初、この御指摘を受けまして、業界を中心にいろいろな検討をしてまいりました。 このことを簡単に御説明したいと思います。検証の方法論としましては、小児にビジタ ーという意味で5,000 水柱の呼気圧を設定して、右側からの酸素流量を毎分5リットル という、一般的小児治療だと言われている状況を設定しまして、呼気が吐ける状態にな るのかどうなのかを検証するという手法を主にとってまいりました。また、ガスの上に ミストを乗せまして、レーザーみたいなもので流体力学的にどういうふうにガスミスト が合成をするかというものも検討するように行ったわけですが、実際にはそのような試 験についてはうまくいかないと。  あるいは文献検索等で海外にこういった基準があるかどうかというものを広く検討し てきたわけですが、基本的にこのようなもので基準を設けているという前例が見当たら ないという現状にありまして、そういったことを踏まえて内管をどこまで、基準にする ときに短くしたらいいのか。基準にするときはゼロから1センチなのか2センチなのか ということを検討してきたわけですが、現時点では実際の臨床の場でお使いになれる脳 麻酔科学会、それから小児麻酔医学学会の学会を中心に御検討いただくという形で、現 時点ではその調整役でいらっしゃいます成育センターの宮坂部長のほうで詳細な検証を していただいているところであります。これがまもなく取りまとまるということでござ いますので、この検証結果をもとに具体的な設定数値、医学的根拠をもとに基準を策定 してまいりたいと考えております。  現状報告、以上でございます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。何か御意見はございますか。特にないようですので。これ は何か基準化されるわけですか。 ○安全使用推進室長  追加で御報告させていただきますが、本件につきましては事例報告で速やかに、問題 製品については回収を行っておりまして、この資料の3−4の後ろのほうにつけさせて いただいておりますが、広くその組み合わせのマトリックスについても、業界調整、あ るいはそのすべての組み合わせ調査を行った結果を報告させていただきまして、現時点 ではあくまで問題の内という形になっていますが、恒久対策として基準化という形で、 今後新しい製品を組み入れるときにはそのような問題が発生しないような方向性を示し ていきたいと考えてございます。 ○桜井部会長  よろしいでしょうか。では、そのようなことでお願いいたします。  それでは本日の予定された議題は以上でございますが、ほかに御発言ございますでし ょうか。望月先生、きょうは静かだったですね。 ○望月委員  では、1つだけ。先ほどのインシデントの事例の収集結果の分析のところでお話がた くさん出ておりますので、あえて発言はいたしませんでしたが、今回の分析結果は、前 回提出された分析結果に比べますと、かなり進歩をしたものになっているというふうに 私は評価をさせていただきたいと思います。  今回のこの結果の中から、要因分析をきちんと行うためには、足りない事項等が今の フォーマットの中には1つはあるという先ほど御指摘がございましたように、恐らくこ れからヒヤリ・ハットの事例の部会などでフォーマットの検討をしていただくことにな ると思いますが、2点、お願いしておきたいことがありまして。  まず1点目は、星委員のほうからも御指摘がありましたが、まずは事例をたくさん出 していただけるようなフォーマットとを第1段階でつくるという形が必要かなと。その 上で、要因分析のきちんと必要な事項も報告していただける第2段階のフォーマット、 で、その第1段階と第2段階のフォーマットをある程度のリスクの高さというか重要度 というか、そこで分けるような。最初の第1段階がシニア用をジェネレーションしてい くようなフォーマットを次のフォーマットでもう少し分析ができるフォーマットという 形があってもいいかなということを1つ思いました。  2つ目ですが、先ほど、得意分野、不得意分野があるというお話が分析の立場として あるようにお話が出ておりましたが、やはり医薬品にしても医療用具にしても、いろい ろな医療従事者の方がかかわるということで、フォーマットを検討していただく際に、 そのかかわる医療従事者の方々皆さんで意見を出し合っていただかないときちっとした 分析ができるフォーマットにならないと思いますので、そこを留意していただいて検討 いただきたいと思います。 ○桜井部会長  ありがとうございました。藤上先生、何かもしあれば。 ○藤上委員  今、医薬品や医療用具の名称や仕様の類似性を解決するためにということで、議論が 進んでいますが、類似性の問題から発生するミスをなくすためには一つの方法に固執す るのではなく、色々な方法を組み合わせていく必要があるのではないかと考えます。 例えば似た名前の医薬品を無くそうと考えた時、日本語はいろは48文字の組み合わせ であり、薬は17000種あるともいわれ、まったく類似性のない名称を考えるには限 界があります。ですから、血圧降下剤のアルマールを服用すべきところに、糖尿病の薬 である、アマリールが調剤されるという取り違えミスが仮に生じた時、アマリールが糖 尿病の薬であると患者さんが認識できる工夫がなされていれば、なぜ糖尿病でもないの に血糖を下げる薬がだされたのか疑問に思うのではないでしょうか。患者側からのチェ ックが働く可能性があります。  類似性の問題から発生するミスをなくす方策一つをとっても、種々の方策を考えてい く必要があるのではないでしょうか。 ○桜井部会長  ありがとうございました。菊地先生。 ○菊地委員  フォーマットに関してですが、かつて病院のなかで看護部が中心になってヒヤリ・ハ ット事例を報告していた時期と、1999年の患者取り違え事故、注射器取り違え事故 が起こって、医療界にリスクマネジメントの手法が導入されてからの時期では、情報を 収集する観点や範囲に違いがあるわけですが、それが報告様式にどのように反映させて いるかという問題があるように思います。  場合によっては、組織のリスクを把握するための認識を促すフォーマットの作成が必 要かと考えます。 ○桜井部会長  ありがとうございました。そのほか、ございますか。よろしいでしょうか。それでは 時間も大体過ぎましたので、何か事務局のほうから。 ○安全推進室長  ありがとうございました。次回についてですが、次回につきましてはまだ日程等決ま っておりません。今後、委員の先生方と日程を調整しまして、また部会長と相談した上 で御相談させいただきたいと存じます。 ○桜井部会長  では、どうもありがとうございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)