02/06/21 第10回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討      会議事録  第10回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課 第10回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第         日時:平成14年6月21日(金) 15:37〜16:45         場所:厚生労働省17階専用第21会議室                1 開会                2 議事       (1)第10回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関す        る検討会報告書取りまとめ       (2)その他                3 閉会 ○森本補佐  事務局より傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りし ている注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。  本日は、委員の欠席といたしましては、高松委員と南委員が御欠席でございます。  それでは、座長、よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  それでは、定刻を過ぎておりますので、ただいまから本日第10回になりますが、小児 慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会を開かせていただきま す。  本日は、報告書の取りまとめをまず行いまして、それが済みましてから、その実現等 についての御意見あるいは御要望をちょうだいできればと思います。その後また御発言 をいただきたいと思いますが、早速検討に入ります。  資料の確認を最初にお願いいたします。 ○森本補佐  事務局より資料の確認を申し上げます。本日の配付資料は「第10回小児慢性特定疾患 治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第」というものでございまし て、ワンセットでございます。簡単に中身を説明いたしますと、設置の概要について、 名簿。次に、今回の検討会の報告書ということでございますが、前回と変わった部分を 見え消しにしております。それが5ページからでございまして、それから、15ページ以 下に見え消しでない普通の文章で書いた版というものを準備させていただきました。な お、最後に、これまでの開催状況についての資料をまとめさせていただきました。  以上でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  それでは、報告書の案につきまして、特に主要な修正箇所を中心に事務局から御説明 いただけますでしょうか。 ○宮本補佐  前回の検討会で検討いただきました内容、それから、その後にいただきました御意見 等に基づきまして修文をいたしましたので、その主な内容を御紹介させていただきます 。5ページ以降の見え消しのもので紹介してまいりたいと思います。  まず、最初に、用語の統一ということで、「患児」ですとか「幼児」ですとか「児童 」といった用語を統一するべきであるという御意見がございまして、文脈によりますけ れども「慢性疾患のある子ども」という表現で統一をしております。  それから、「大きな」とか「十分である」といった用語につきましても、なるべく使 用を控える方がいいのではないか、そういった御意見もございましたので、そのように 反映をしております。  それから、5ページ目ですけれども、20行から24行目のところに新しく追加している 部分がございますが、これは報告書全体の構造がわかりにくいという意見が幾つかござ いましたので、そういうものに従いまして、報告書の構造を示す部分を追加いたしまし た。  それから、5ページ目の「今後の小児慢性疾患対策の基本的考え方」ですけれども、 その中で「良い医療」という表現について「より良い医療」にすべきではないかという 御意見がございましたので、それに従いまして修正をいたしました。  6ページ目ですが、33行目に「社会からの脱落」という表現がございましたが、そう いった言葉を使うことについては修正すべきではないかという御意見がございましたの で、その表現を削除し、別な表現で同様な意味を表すようなものに修正いたしました。  7ページ目ですが、医療機関の役割の中で「メディカルソーシャルワーカー等」とい うものがございましたけれども、メディカルソーシャルワーカーだけを特出するのはい かがなものかという意見がございましたので、「多くのスタッフ」ということで言い換 えております。  続きまして、2つ目の「小児慢性特定疾患治療研究事業の課題と方向性」という中で すが、8ページをめくっていただきまして、2つ目のパラグラフの中で若干の補足をし ております。  9ページに移りまして3つ目のパラグラフですが、この報告書の中の検討が全体的な 方向性を示す中で個別の検討を示すのはいかがなものかということで削除をしておりま す。  それから、4つ目のパラグラフの最後でありますけれども、「少子化対策の観点から 、慢性疾患のある子どもとその家族に負担を求めるべきではないという意見があった」 ということで、こういった御意見がございました部分を反映しております。  それから、3つ目の「小児慢性疾患に関する研究の推進」の中で、2つ目の○、39行 目以降ですが、これまでに行われた実績が既にあるということで、そういった実績を踏 まえるべきであるという御意見をいただきましたので、反映しております。  10ページですが、2つ目のパラグラフについては、その前のパラグラフと内容が重な る部分があるということで、整理をいたしました。  4つ目の「医療・療養に関する環境の向上」の中ですが、11ページ目の3つ目のパラ グラフ、これは12ページ目をめくっていただきまして、2つ目、3つ目のパラグラフの 内容が、かなり2つ目のパラグラフに関連があるということで、この内容を整理いたし まして11ページ目の方にまとめてございます。  5つ目の「一人一人の状況にあった教育」という部分でございますが、「病弱」とい う言葉を基本的には削除しております。ただし、養護学校の部分につきましては、病弱 養護学校というのが1つのまとまりである、学校の種類であるということから、そのま まの形で明示をしております。また、この章の中で構造をほかの部分とそろえるべきで あるいう御意見がございましたので、それに従いまして修正をしております。  14ページ目ですが「おわりに」の中で、この検討の見直しを今後も継続して行ってい くべきではないかという御意見がございましたので、そういった部分を加えてございま す。  主な修正点としては以上でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  この報告書の案につきましては、既に各委員からの御意見を踏まえて作成されている ことと思われますけれども、何か特にこの場で御意見あるいは御質問でも結構ですが、 ございますでしょうか。 ○柳澤委員  9ページの一番最後の○のところ、ここに今までにも小児慢性特定疾患に関して研究 的な活動が行われてきたということの具体例を加えていただいたのですけれども、もう 一つ、以前私が主任研究者をやった研究班で、神谷委員が分担をしてくださった研究の 成果に基づいて、成果物ができておりますので、それを付け加えていただければと思い ます。今それを付け加えた形で読み上げさせていただきますと、『これまでの研究事業 において、多くの研究者が協力して「小児慢性特定疾患治療マニュアル」及び「小児慢 性特定疾患療育マニュアル」が作成され、治療・療育の向上に貢献している』、以下同 じですけれども、そのようにしていただいた方が、より正確だと思います。 ○鴨下座長  いかがでしょう。今のはよろしゅうございますか。 ○神谷委員  柳澤先生から御指摘をいただいたとおり、このときに2つつくって療育マニュアルと いう方はどちらかというと、いわゆる保健所の保健婦さんとか一般の親と病院の看護婦 さんなどが話し合ったりするときに使いやすいマニュアルということで、柳澤先生の方 のものが非常に学問的に正確につくってあるので、それと整合をするような形でつくり ましたので、是非ここへ加えていただきたいと思います。 ○鴨下座長  よろしいですね。  ほかにはいかがでしょうか。 ○神谷委員  ちょっとよくわからなかったので教えていただきたいんですが、先ほども事務局の方 からおっしゃいましたけれども、9ページの上から4つ目の「少子化対策の観点から、 慢性疾患のある子どもとその家族に負担を求めるべきではないという意見があった」と なっておりますが、少子化対策からと慢性疾患との関連をどういうふうにここは解釈し たらいいんですか。 ○谷口母子保健課長  私どもが承っておる限りの認識でございますと、慢性疾患となりますと療養が長期に わたりまして、心身の負担、それから、経済面の負担といったものが重く家庭にのしか かってまいりまして、そういう状況がずっと続くことによりまして、はっきり言えば、 子どもを多く持つことが場合によったらマイナスのイメージにつながるかもしれないと 、そういう御意見が寄せられたものというふうに理解しております。 ○鴨下座長  これは、どなたか委員の御意見で追加されたのだろうと思いますね。 ○神谷委員  そうですか。そういう理解であれば結構でございます。 ○柳田委員  今の箇所は、私の方から付け加えさせていただきました。小児の医療費等もできるだ け軽減していく方向にある中で、なおさら、この慢性疾患のある子どもたちにはそのよ うな方向をつけていってもらいたいということで、このように意見を入れさせていただ きました。 ○神谷委員  それは、確かに柳田委員のおっしゃるとおりです。医者の私たちが見ていても、病気 の子どものためにあと下の子がつくれないとか、あるいはほかの子が非常に育てにくい というようなことがありまして、そういう意味であればおっしゃるとおりだと私も思い ますので、結構だと思います。 ○鴨下座長  ほかにはよろしいでしょうか。  もし、御意見がなければ、一応最初から一通りさっともう一回サーベイをしていきた いと思いますが、よろしいでしょうか。全体的に見ることも大事だと思いますので。  まず「はじめに」というのが取れておりますけれども、前文のところはよろしいでし ょうか。「慢性疾患のある子ども」という表現で統一されております。  それから、新たに20行から付け加わっているところは、基本的な考え方と事業の課題 と方向性、それから、研究の方向性、そして、医療・療育環境、教育、就労というふう に、言わば目次のような形で書いてあります。  次に、Iは基本的考え方ということで、ここは余りございませんかね。  次は、IIで課題と方向性ということですが、1番の「課題」というのが「問題点」に変 わっていますけれども、これはよろしいでしょうか。  8ページの真ん中から始まるところでは、要するに、それ以降○で始まる文章がすべ て「ではないか」というふうに文末が疑問の形で終わっております。さっき指摘された なお書きの後は、こういう形で意見が付け加わったということで、「ではないか」とい うふうにはなっていないということです。  「少子化対策」という言葉は私は個人的には余り好きではございませんで、もう少し いい表現があれば変えたい。「対策」というのは悪いことに対する対策で、少子化とい うのは自然現象ですから、どうなのかということなんですけれども。個人的な意見でご ざいますが。  では、次にまいりまして、IIIの研究の推進に関しては、先ほど柳澤委員から追加の 御指摘をいただいておりますが、これはよろしゅうございますね。事務局としても問題 ないでしょうか。  それでは、IVの「医療・療育に関する環境の向上」、ここは非常に大事ではないかと 思いますが、先ほどの御説明では、12ページの上半分の2つのパラグラフをまとめて11 ページの15行から22行まで挿入されているということです。あとは言葉の問題だと思い ますが、よろしいですか。  11ページの38行目の「レスパイトケア」は日本語には直らないんですか。今の総理で すかね、片仮名が嫌いな大臣もいらしたと伺っていますけれども、せっかく「サポート 」が「支援」になっているようですが、いいですかね。  よろしければ、次のVが教育の問題でありますが、これはよろしいでしょうか。山本委 員、特に何かございませんか。 ○山本委員  必要な課題が盛り込まれてありますので、これでよろしいのではないかと思います。 ○山城委員  先ほど「病弱」の言葉を使わないという話がありましたが、実は私も以前から、公的 文書で文部科学省では使われていることを知り、変だと感じていました。文部科学省で 使われているのではやむを得ないかもしれないんですが、医者から見ても一般から見て も、病弱と決めつけるのはちょっと納得いかないんですよね。それは回復をしないとい うことを前提にしているような呼び方で、非常に違和感を感ずるんです。ここは厚生労 働省ですから、配慮が欲しいですね。 ○森本補佐  事務局からこれについて御説明申し上げます。「病弱」という言葉は、原則としてす べて落とすということにさせていただいておったわけでございまして、確かに私どもと しては余り不必要に使うべきではなかったんですが、養護学校にはこれ以外に肢体不自 由の方の養護学校と知的障害の方の養護学校というものがありまして、これと区別する ために「病弱養護学校」という言葉をつけないときちんとした意味にならないという、 特にこれは教育関係の方にとっては、こういう言葉遣いをしていただかないと、厚生労 働省の世界ではこれでいいんですが、教育関係の方がお読みになったときに意味がはっ きりわからなくなってしまう、違ってしまうという御指摘をいただいたものでございま すので、事務局としてはあえてこういう言葉を使わせていただいたということでござい ます。山本先生、何か御意見等ございましたらいただきたいところでございますが。 ○山本委員  今、お話のあったとおり、養護学校が法令上3種に分かれ、「知的障害」「肢体不自 由」「病弱」と分かれておりますので、ここではそういう意味で「病弱養護学校」とい う固有の名詞を使わないと理解が不十分になるということでつけています。それから、 病弱教育の場合は「病弱教育」という言葉にある概念がありまして、いきなり「病弱教 育」という言葉が出たときに、それについて知らない方はどういう意味かなということ で疑問を感じるのが1つと、それから、ここではあえて「病弱教育」とつけなくても、 内容的には慢性疾患のある子どもの教育だということがわかるということで、教育の「 病弱」は取ってあるということだったと思います。 ○鴨下座長  それでも仕方がないですね。文部科学省にいずれ変えてもらうように、この際申入れ でもしていただきましょうか。 ○小林委員  今の話を伺っていて思いついたんですけれども、病弱養護学校というのは今九十幾つ 日本でありまして、かなり少ない状況で、慢性疾患のお子さんは実は病弱養護学校だけ に入っていなくて、肢体不自由や知的障害の学校にかなりの数が入っているんですが、 そうすると、病弱養護学校というふうに固定してしまうと、何か問題は起きないのでし ょうか。 ○鴨下座長  「等」という字は入っていますけれどもね。 ○山本委員  多分、今、小林委員がおっしゃったのは13ページのところですよね。これは、法令制 度上のことがありまして、こういう表現をしないと不適切になりますので、この転学の 問題も実際は病弱養護学校と小・中学校の間で円滑に行われる必要があるというのが一 番の基本のことと、それから、この就学すべき疾病等の程度を定めた就学基準等の見直 しで、これは「病弱養護学校等」となっていますが、この「等」は病弱教育の制度とし て特殊学級などもありますので、それも意味しているのではないか思うんですが、この 線が引いてある追加の部分では、こういう表現をしないと正しい表現にならないという ことで、この表現でよろしいのではないかと思います。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。  そうしましたら、VIの就労のところですね。ここは余り問題はないかと思います。  そして、「おわりに」。よろしゅうございますか。もし、また万一修正の御意見が出 た場合には、座長の責任で事務局と御相談させていただいて修正を図りたいと思います ので、これについては終えさせていただきますがよろしゅうございますか。  それでは、今後の行政にいろいろと実際的な担当をお願いすることになりますけれど も、この報告書の実現に向けてあるいはその他一般的なことでも結構でございますが、 特に要望といいますか御意見があればお願いしたいと思います。 ○小林委員  報告書を大変いい内容でまとめていただいて、ありがとうございます。休日も事務局 の方は返上してまとめてくださったということで、御苦労がわかるんですけれども、若 い方が休日を返上するというと、厚生労働省は「子育てをしない父親は父親とは呼ばな い」というポスターをつくっていますので、ちょっと心配に思ったりしたんですが、中 身としては大変すばらしい中身だなというふうに思って、ずっと拝見してきているんで すけれども、やはり私たちとしては当初から大きな課題になっています、これを制度と して安定化させる、この中にも非常にやわらかい言葉で書かれているわけなんですが、 前回の検討会でも総務課長から政府の責任でというお話もございまして、これは是非、 形は法制化になるのかあるいは制度的補助金になるのか、それは実際にそういった作業 をされる現場の政府の皆さんの御判断ということになると思うんですけれども、是非、 何としてでも実現をしていただきたいというふうに思っているわけです。  同時に、これから先この中にも幾つか出てまいりますが、患者側の自己負担の問題、 一体どのくらいの負担になるのだろうかということは、患者たちにとっては非常に大き な心配事というか関心事であるわけですけれども、あるいは病気の見直しというような ことも大変関心を持って患者たちは見守っているわけですが、できるだけ早いうちに検 討を進めていただいて、患者側の意見も是非いろいろな場面で発言させていただければ なというふうに思っているわけなんです。今回の検討会も12団体ものヒアリングをして いただいて、これまでこういう検討会で患者側の意見というのはほとんど聞いていただ けたことはなかったと思うんですけれども、そういう点は今回本当に感謝しているわけ ですが、併せて今後もそういう負担の問題、病気の見直しの問題、その他、具体的な検 討をするに当たっては、患者側の発言の機会を是非持っていただければなというふうに 切にお願いをしたいと思っております。  どうもありがとうございます。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。委員の方からお一人ずつ御意見あるいは感想でも結構です が、言っていただければと思います。 ○山城委員  たくさん大変いいことがこの中に含まれていると思うんです。今、小林委員が御指摘 なさったことにもつながるんですけれども、この検討会の途中で私自身も強調したのは 、この「おわりに」に書いてある最後の2行目か3行目ですね。要するに、ざっくばら んに言いますと、新しい疾患が難病として医学的に認定されたときに、この制度の中に 取り入れていただくと。今までは患者団体が大変な御苦労をさなって陳情して、あるい は国会議員の方へとかいろいろなことをおやりになって、何年も掛かって指定されたと いうことが過去にあったわけですけれども、今回の検討会が始まったときに、私自身も 患者さんがそういう御苦労をなさるのではなくて、こういう場で検討して医学的に判断 して、それは慢性疾患としてのいわゆる難病としての認定をするような制度にしてほし いということを申し上げたことがあるんですが、ここにそういう形で文章として出たと いうのは、非常に評価すべきではないかと。自画自賛になってしまうような感じもする んですけれども、全体としては非常に評価すべき1つだというふうに考えます。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。順番に回りましょうか。 ○山本委員  私は、教育の立場からこの検討会に参加させていただきましたが、最初は教育の課題 等について、どのくらい中に入れるのかなというふうに思っておりましたが、この報告 書を拝見すると、かなりのスペースを教育に割いていただきまして大変ありがたく思い ます。ここに、さまざまな課題が出ておりまして、この報告書作成の段階でも既に文部 科学省と緊密な連携を取って作成されたというふうに伺っておりますが、この実現に当 たっても、是非、文部科学省と連携を取りながら、慢性疾患のある子どものQOLを高 めるのに重要な教育の課題について、改善を図っていただければありがたいというふう に思います。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  では、柳田委員、お願いできますか。 ○柳田委員  厚生労働省が、あらゆる観点からいろいろと御配慮をいただきまして、見直しの新た なすばらしい報告書ができたのではないかというふうに思っております。私は8回目か ら出させていただいたと思いますが、医師会の立場から、私どもの意見も入れていただ きまして、ありがとうございました。この委員会に出てきた意味があったというふうに 思っております。  以上でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  では、柳澤委員、お願いします。 ○柳澤委員  私は、小児科医として長年、ここで取り上げられている小児慢性疾患の診療に携わっ てきたわけです。その子どもたちが非常に恩恵をこうむってきた小児慢性特定疾患治療 研究事業は奨励的な補助金事業であるわけですが、昨今の状況からそれを制度化し、安 定した制度として永続的なものになってほしいということで、この検討会が始められた というように受け取っております。そういう目的に沿っていろいろな議論が出されて、 それがこの報告書にはよくまとめられていると思います。私としても大変ありがたく思 っているわけですが、先ほど申し上げた、安定した制度としてこれから永続していくと いうためには、これが1つの出発点というように位置付けるべきものではないかと思っ ております。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ちょっと回り方が逆ですけれども、永井委員、お願いします。 ○永井委員  今回私は、和歌山という小さな地方から参加させていただきまして、子ども保健福祉 相談センターという長期療養児を対象にしたセンターにいるんですけれども、非常に有 益に参加させていただいたと思います。ありがとうございました。  それから、このまとめの中で、教育と就労というのが横並びに大きく取り出されたと いうのが非常にうれしいことだと思います。難病の子どもたちが地域で安心して療養で きる体制というのが非常に大切なんですけれども、医療費は勿論のことですが、今後は そういう福祉制度とか日常生活用具等のいろいろな療養に関する必要なものが、どこに あっても平等に受けられる体制というものを望んでおります。  ありがとうございました。 ○鴨下座長  それでは、住友委員、お願いします。 ○住友委員  どうもありがとうございました。これから制度化されるに当たりまして、行政の立場 で何点かお願いといいますか、是非この点を御配慮をということでお願いしたいことが ございます。  まず、1点目は、制度としてつくっていく際にわかりやすいもの、説明しやすいもの にしていただきたいと思います。というのは、例えば、どの病気が対象になって、どの 病気が対象になっていない、その説明の切分けをわかりやすく、こういうことだからこ の病気は対象ではないんですというようなことが、はっきりと言えるような制度にして いただきたいということが1つ。  それに伴いまして、いろいろな事務手続もこれから変わってくるのだと思います。た だ、お子さんが御病気の方々の御家族がいろいろ手続をされる際にも、余り複雑な手続 になりませんように、なるべく簡素な手続で済むようなもの。これは、病院の先生方に とってもそうだと思うんですけれども、診断書あるいはいろいろな手続をするのに、余 り煩雑でないスタイルでお願いしたいということが1点。  それと、最大のポイントでございますが、制度が変わってから実施になるまでの間に 、十分な周知期間が取れるだけの期間を是非お取りいただきたいと思っております。往 々にして、今日制度が変わりました、明日からお願いしますというようなことで来るこ ともあるんですけれども、多分、自治体を通じて保護者の方々あるいは先生方にお知ら せをしていくということなりますので、その十分な期間を取っていただけるように御配 慮をお願いしたいと思っております。  以上でございます。 ○鴨下座長  小林委員、まだ何か言い足りないのではないですか。 ○小林委員  言い足りないということだったら、間違いなくやってくださいというのを10回でも20 回でもということになりますので。 ○鴨下座長  では、神谷委員、お願いします。 ○神谷委員  私も残念ながら全部は出られなかったので、非常に申し訳なかったと思っております けれども、実際、地方でこの小児慢性特定疾患の医療をやっている者の立場として、こ の報告書にまとめられた内容は非常に大切なところがいろいろ網羅されていると思いま す。  ただ、1つ1つについて見ていくと、かなりやってあることもありますし、これから 本当にしっかりやらないといけないというようなこともあって、問題は、今、小林委員 も言われましたけれども、いかにこれから先、ここで指摘された内容が実際にやられて いくかというか、事務局の方でこの間総務課長も、ここから先は我々の仕事だとおっし ゃったので、それは大変期待しているのですが、このままで終ってしまうと指摘しただ けということになってしまいますので、よろしくお願いします。それから、学校教育の こともさっきから出ていましたが、学校教育のことでも、確かに養護教育というのは法 律上の、さっき山本委員がおっしゃいましたような3つの分類になっていて、病弱養護 というのは確かに存在しているんですが、最近では学校の名前のつけ方も「病弱」とい う言葉を入れていませんね。「何とか学園」「何々県立養護学校何とか学園」というよ うなつけ方になってきている。それだけでも、子どもの受ける卒業証書を見て、これが 本当に養護学校かどうかという、「病弱養護」と書かれるよりはよほどいいと思うんで す。そういう方向にも向いてきているので、そういうところを文部科学省ともよく相談 をしていただいて、子どもがそれをもらったときの立場でそういうことを考えていただ けるということになると、とてもいいのではないかと思います。  是非少し細かいことにもなりますけれども、1つ1つを役所のいわゆる協調を上手に 取ってやっていただけると、この成果が本当に出てくると思いますので、よろしくお願 いしたいと思います。 ○鴨下座長  では、加藤委員、お願いします。 ○加藤委員  大変よくまとめていただいて、どうもありがとうございました。医者の立場から見る と、やはり「はじめに」とかいろいろな課題、医療関係も今後具体的にどうなるのかと いうのはある程度イメージが取れるんですが、教育とか就労に関しては、確かに非常に いい内容だとは思いますが、具体的にどういう方向で進んでいくかというのがいま一つ 見えてこない。もし可能であれば、そこら辺はどなたでもいいですので教えていただけ ればと思います。  それから、前回、神谷先生が言われたように、やはり保健所はもうちょっと難病の登 録管理ということで、まとめ役を今後は担ってほしい。小児慢性特定疾患ということで すが、大分疾患の見直しも行ったか、行いつつあるのかちょっとあれですが、大分でき ているはずですので、そういうものも踏まえて保健所で取りまとめをしたい。山城先生 が何回も言われるように、今後どんどん新しい疾患の概念が生まれてくる。そういうも のをどうしたらいいかというのは、今後はやはり成育医療センターの方での取りまとめ になるのかなと思っています。  せっかくよくまとめていただきましたし、是非、何らかの形で制度化をお願いしたい と思います。よろしくお願いします。 ○鴨下座長  では、及川委員、お願いします。 ○及川委員  幅広くまとめていただきまして、ありがとうございました。初めは医療費の問題とだ け伺っていたんですけれども、全体的に子どもたち、御家族をどういうふうに支えてい くのかという形で、広い観点からおまとめいただきましたことに本当に感謝申し上げた いと思います。本当にこれから具体的にどういうふうにしていくのかというところが、 こけだけ広くなればなるだけに逆にすごく難しい部分もあるのではないかというふうに 思いまして、このまとめにもありますように、勿論、行政側の御努力だけではなくて我 々の努力もやはり一緒にしていかなければないけないのではないかなというふうに思っ ております。  行政側には、是非これを具体的にしていくための予算化、制度化だけではなくてやは り予算をきちんとつけていっていただきたい。特に、制度で漏れる部分をどういうふう にやっていくのかということが、また次の課題になっていくのではないかというふうに 思っております。  それから、私は看護の立場で一応今回出させていただきまして、やはり小児慢性疾患 にかかわる看護職の量と質の問題というのは、勿論、看護の中で検討すべき課題だとい うふうに思っております。今回こういう検討会を受けまして、日本看護協会の方でも小 児慢性について一応検討していきたいという意向を聞いておりますので、また看護の側 面からも一緒に考えていければというふうに思っております。  ありがとうございました。 ○山本委員  すみません、先ほど神谷委員が御発言された学校の名称はすごく大事なお話だったの で、ちょっと補足をさせていただくと、さっき申し上げたように、法令上は「知的障害 」「肢体不自由」「病弱」というふうになっていますが、学校名ではそういうものはつ いておりません。「何々病弱養護学校」というのは一切ありませんで、「何々養護学校 」。「知的障害」「肢体不自由」「病弱」というのは法令上の分け方で、学校の名称は すべてそういうものはついておりません。  以上です。 ○山城委員  すみません、ちょっとそのことで。実は、私は10年ほど前に東京都の養護学校の先生 のテキストづくりにかかわったときに、そのテキストにすべて「病弱児」と出てくるん です。それを私はこんな言葉はおかしいということで、みんな削除して、例えば「病気 のお子さん」というふうに書き換えるべきだと。でも、結局上がったときには「病弱児 」になっていたんです。これはうがった言い方かもしれませんが、「病弱児」というの は、ある意味で差別の用語なんですよね。だから、これに気付いていない教育者が感覚 的におかしいのではないかと思うんです。それは確かに、ずっとそういう言葉を使って きたかもれしないけれども、いまだにそういう感覚があるというのは、私自身は異常で はないかと思うんです。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  一通り御意見をいただいて、ほぼ出尽くしてから、私は何も追加もないんですが、こ の検討会がスタートしたときには一体どうなるかなと心配でした。こういう検討会では1 00%満足できる100点満点の報告書などはできるわけがないと思っておりましたけれど も、こうして今日の段階でざっと拝見しますと、随分皆さん言っていただいたように、 よくできているのではないかと。まず、事務局の特にお2人の補佐には、本当に土日返 上、夜中も、とんでもない時間にメールが入ってきたりしまして、まだやっていらっし ゃるのかと。そういうのは確かに、少子化につながるのではないかと心配もするわけで すけれども、そのぐらいよくやっていただいたと思います。特に、従来の報告書と違う と私が感じますのは、要するに、子どものためといいますか、慢性の子どもを中心にし た視点で書かれて、かなりそうなっているのではないかと。とかく従来は、医療側とか 行政側とか、そういう報告書が多かったように思いますが、そういう点では多少自画自 賛になってしまいますけれども、いい報告書であり、是非これはいろいろなところへ、 さっき学校とか文部科学省とかあるいは小児科関係の学会とかにも広く、いろいろなと ころへばらまいていただければというふうに思います。それから、やはり非常に含蓄も 深いと思いますので、是非制度化に向けて、皆さんがおっしゃったように、行政の方で 頑張っていただければというふうに思います。  それから、柳澤委員もはっきり言われましたし、ほかの委員の言葉の中にも感じられ ましたけれども、要するに、これは報告書を出しておしまいではなくて、これが出発点 であって、それは行政の方にお渡しするということと同時に、私ども各委員はそれぞれ の立場でこれからもこういう問題、これを御縁に各それぞれの持ち場で更に一層頑張っ ていただければと、ちょっと余計なことを申し上げるようですけれども、そんなふうに 思っております。  特に、局長、それから、審議官にはほとんど皆勤で会議に出ていただいて、私として も感謝しております。恐らくしっかりと受け止めていただけると思いますので、どうぞ よろしくお願いしたいと思います。もし、何かそちらの方から御意見がございましたら 。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  10回の議論を経まして、今日、報告書を取りまとめていただきまして、本当にありが とうございます。鴨下座長を中心にそれぞれの委員の先生方、とても御多忙のお立場に あるにもかかわらず、そして、何人かの先生は、御遠方からわざわざこの会議に御出席 のために上京していただきまして、大変ありがたく思っております。  特に、加藤委員と小児科医の先生であられる委員の先生方には、この研究会のほかに ワーキングチームをつくっていただきまして、病気の範囲をどうするか、症状でどうい う形で区分できるかといったようなことを専門的に検討していただきまして、大変お手 数をお掛けいたしましたけれども、心から感謝をいたしております。  また、小林委員は、患者団体の代表というお立場で多くの団体を取りまとめていただ きまして、特に、2回にわたる12団体からのヒアリングのセッティング、そのほか、並 々ならぬ御苦労をいただいたと思います。心から感謝を申し上げております。  私ども、この事務局を務めさせていただいたんですが、10年前にもこの小児慢性疾患 の研究会があったようですけれども、10年経ちまして時代も変わりまして、この研究会 の運営で心掛けたことが2つございました。1つは、自由に御議論していただこうとい うことでございました。その結果、私どもが背負い切れないことも正直言ってたくさん お書きいただいております。ですから、国の役割ではないもの、自治体の役割、医療機 関の役割、民間の役割さまざまなものを書き込んでいただいておりますし、私どもの行 政としても雇用均等・児童家庭局だけではできない他局の所掌でありましたり、他省の 問題でありましたり、そういうようなことについても、まず自由に御議論いただいて、 何が病気のお子さんあるいはその家族から見て大事な課題であるかということを自由に 討議していただこうということには、常に心掛けてきたつもりです。  2つ目は、この会議は公開でやりたいというふうに思いました。その結果、背中を向 けて大変恐縮ですけれども、毎回毎回多数の患者団体の方、マスコミの方が傍聴してく ださいまして、実質的には議論に参加していただいたようなものだというふうに思って おりますので、そのことも心からお礼を申し上げたいと思っております。  今回の報告書そのものが大変重いんですけれども、その背景にあります10回の各委員 の御発言、そして、12団体からのヒアリングを通じてお聞きしましたことは、大変重い ものがあるというふうに思っております。多くの委員の方が異口同音におっしゃいまし たけれども、これを何とか安定した制度として確立することが、共通の委員の皆様方の 願いであるというふうによく理解をしているつもりでございますので、私どもとしては 精いっぱいの力を振り絞って、その方向に向けて努力をしたいというふうに思っており ます。  一方、大変困難を抱えているということも御理解いただきたいと思います。今のまま ですと、事業の継続自体が危ぶまれているという現状がありますし、片方では制度をし っかりしたものにしたいと思えば思うほど、病気の範囲などを限定的に厳密に考えない といけない、あるいはほかの制度とのバランスもあって、相当程度の自己負担を求めな いといけないといったジレンマの中で、どこに結論を見出していくかということで、私 たちも今も大変苦しんでおりますけれども、これから制度化に当たって大変な困難を抱 えているということも是非御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、10回の御議論をむだにすることがないように、最善の努力をし たいと思っております。今日までの諸先生方の御協力に心からお礼を申し上げたいと思 いますし、検討会としてはこれでとりあえずの区切りとさせていただきますが、個々の 先生方あるいは小林さんを通じて患者団体の皆様方からも御意見を伺いつつ制度化の努 力をしたいと思っておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。これからもどうぞよ ろしくお願いしたいと思います。  なお、私ちょっと忘れておりましたが、今日御欠席の南砂委員は、ちょうど同じ時間 に日本病院学会という大きな学会が台場で開かれて、そのシンポジストなんですね。昨 日お会いしたんですが、あの方はメディアの代表としての委員でございますけれども、 大きく取り上げさせていただくということをおっしゃっておりましたので付言させてい ただきます。  それでは、昨年の9月以来続いてまいりましたが、本当にいろいろありがとうござい ました。特に、もし御意見がなければ、これで一応閉会にさせていただきたいと思いま す。ありがとうございました。  何かございますか。 ○森本補佐  事務局より御連絡申し上げます。今後、検討会等についてのお問い合わせ、あと必要 な資料につきましては、母子保健課のこちらまで御連絡をいただければ幸いでございま す。  最後に、実はこれまでの検討会につきまして、文部科学省様から甚大な御尽力、御協 力をいただいておりまして、特に文部科学省の方からは、必ず御担当の方に御出席いた だいておるところでございます。  ちみなみに、机の上に「ココロココ」という名刺大のペーパーを配付させていただき ました。これは、腎炎・白血病・ぜんそく・心身症を子どもさんに御理解いただけるよ うに、また、学校の先生に御理解いただけるようにつくっていただいたホームページで ございますので、何かのときに御利用、御活用いただければというふうに承っておりま す。  以上でございます。 ○鴨下座長  傍聴の方にも行っているのでしょうか。 ○森本補佐  傍聴の方にはお渡ししておりませんので、御希望がありましたら事務局の方におっし ゃっていただければよろしいかと思います。ちみなにhttp://www.nise.go.jpでござい ます。(国立特殊教育研究所→事業案内→教育用コンテンツ→ココロココ)窓口でお配 りしておりますので、御希望の方はお受け取りいただければ幸いでございます。 ○鴨下座長  よろしいですか。何か一言。 ○文部科学省  文部科学省の横田でございます。毎回参加させていただきまして、ありがとうござい ました。ずっとオブザーバーとして、そして、まとめていく中に教育の問題あるいは患 者の団体の方々からお話をいただくときに、小慢のことというのは、本当に小児慢性特 定疾患の子どものことなんだということについて、私も本当に重大なことなんだという ことで気持ちを新たに聞かせていただいたことを記憶しております。  これを実現させていただく中で、今、局長からのお話もございましたけれども、本当 に両省あるいはほかの省庁も含めて、関係する人たちがみんなで力を合わせていかなけ ればならないんだということも確かなことなんだし、そして、そうしていかなければ、 本当にこれから子どものことを考えていくというベースが整っていかないんだというこ とも改めて肝に銘じて、お礼の言葉にさせていただきます。ありがとうございました。 ○鴨下座長  よろしゅうございますか。どうも本当にありがとうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                         03−5253−1111(代)                             森本(内線:7941)                             宮本(内線:7940)