02/06/14 第6回建築物衛生管理検討会議事録               第6回建築物衛生管理検討会                    議事録          日時:平成14年6月14日(金)13:30〜15:30          場所:中央合同庁舎18階 専用第22会議室          議事 1)建築物衛生管理検討会報告(案)について             2)その他 ○事務局  それでは、時間になりましたので、ただいまから第6回建築物衛生管理検討会を開催 させていただきます。  本日は御多用のところ建築物衛生管理検討会に御出席いただきありがとうございます 。なお、本日は宿谷委員、田中節夫委員、真柄委員が欠席との連絡をいただいておりま す。それから、小田委員、田中正敏委員につきましては、地震の影響で飛行機、電車が 遅れているとの連絡をいただいております。  それでは、開会に当たりまして、下田健康局長よりごあいさつ申し上げます。 ○健康局長  昨年の10月12日に第1回を開きまして、先生方には大変お忙しい中を御検討をお願い するということで始まったわけでございますが、今日で第6回ということで大変お忙し い中を非常に御尽力を賜りましたこと、まずお礼を申し上げます。  一応本日で、今までの検討結果を取りまとめていただけると伺っております。重ねて 心よりお礼を申し上げたいと思います。  建築物衛生法、通称ビル管法でございますけれども、いろんな意味で最近話題となっ ておりまして、一番取り上げられておりますのはシックハウスの問題でございます。私 も昔、環境衛生局と言っていたころ、ビル管法を担当しておったわけでありますが、当 時はシックビル症候群といったような言葉で、たしかアメリカで話題になったような記 憶がございます。しかし、日本ではシックビルといった形ではなくて、シックハウスと いう形で、むしろ家庭での問題が主として取り上げられるようになり、国会でもいろい ろ議論を呼んでございます。また、国会議員の議連もできまして、いろいろな形で御議 論をいただいております。関係省庁でも連絡会議を設置し連携して取り組んでおります が、生活衛生課長が取りまとめ役を引き受けているわけであります。  現在、建築基準法の一部改正が国会で審議されておりまして、ホルムアルデヒドの放 散量の少ない建材で家を建てる、といった対策が検討されています。この検討会の議論 の中でも、ホルムアルデヒドなどを基準の中にどう取り組んでいくのか、こういった問 題も御議論いただいたというふうに聞いておるところでございます。また、そのほかで は、レジオネラ感染症が現在も散発をいたしておりまして、時には死者を出すといった ことでございます。これも随分古い時代から承知をしていた問題でありまして、当時は 在郷軍人病と呼ばれておりましたが、アメリカで最初に報告されたのを読んだ記憶がご ざいます。現在でも時々発生をいたしまして、対策の在り方についての御議論が国会で もなされております。これに対しましても、給湯設備、あるいはそのほかのものをどう やっていくかといったことも御議論いただいていると伺っているわけであります。  そのほか多くの衛生管理の問題等々についても幅広く御議論をいただいたと聞いてお りまして、今日お取りまとめいただきますものをもとにいたしまして、私どもとしても 所要の対応をやってまいりたいと考えております。昨年も実はこの法律は、議員立法で はございましたけれども、改正をいたしまして、登録業種の拡大を図ったところでござ いますけれども、時代に合った形での新しい建築物環境衛生管理基準について、私ども としても前向きにとらえてまいりたいと考えております。  この間、吉澤座長はじめ、各委員に大変御努力をいただいたことを感謝を申し上げま して、最初にお礼の言葉とさせていただきたいと思っております。ありがとうございま した。 ○事務局  それでは、座長の吉澤先生、よろしくお願いします。 ○吉澤座長  本日はお忙しいところをお集まりいただきましてどうもありがとうございました。そ れから、これまでのいろいろなディスカッションを通しまして、御協力をいただきまし て厚く御礼申し上げます。  それから、傍聴の方々を含めまして、意見をいただきました方々に対しても厚く御礼 申し上げます。できる限りのことで対応できるようにしたつもりでございますが、どう ぞお聞きになっていただきたいと思います。  それでは、資料の確認からいきますか。事務局の方でお願いいたしましょう。 ○事務局  それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料の一覧がございますが、資料1といたしまして、前回の議事録の案でご ざいます。それから資料2といたしまして、「建築物衛生管理検討会報告(案)」を準 備をさせていただいております。それから、参考資料といたしまして、関係法令、それ から関係通知の資料を用意させていただいております。不足等がございましたらお申し つけください。 ○吉澤座長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。  それでは議事録の確認からいきますか。 ○事務局  それでは、資料1をごらんください。これは前回の議事録の案でございますが,速記 録をもとに事前に委員の先生方には御確認をいただいたものでございます。特段の問題 がなければ、この内容で確定した上、公開の手続に入らせていただきたいと思いますが 、いかがでございますでしょうか。 ○吉澤座長  何か御意見とか、修正のお考えはございますでしょうか。もし、ございませんようで したら、これをもちまして議事録として確定させていただきたいと思います。よろしゅ うございますね。 ○事務局  ありがとうございました。それでは、議事録につきましては、厚生労働省のホーム ページに掲載する形で公開の手続に入らせていただきます。 ○吉澤座長  今日の仕事は検討会の報告の案について御検討願うことでございます。少し大部のも のになっておりまして、25ページぐらいです。章ごとぐらいに読んでいただいて、御議 論、御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか 。  また、後から返ってきても結構ですから、よろしくお願いします。  それでは、まず御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、資料2でございます。これまで御議論をいただいてきた御意見を踏まえま して、吉澤座長と相談の上、報告書の案ということでまとめさせていただいたものでご ざいます。若干早口でございますけれども、「はじめに」から読み上げさせていただき ますので、よろしくお願いいたします。  まず、1ページをめくっていただきますと、「はじめに」でございます。  (以下、資料の読み上げ) ○吉澤座長  いかがでございましょうか。 ○紀谷委員  このままでもよろしいんですけれども、この間もちらっと言ったように、略称が「建 築物衛生法」となっていますけれども、従来、もっぱら「ビル管理法」とか、「ビル衛 生管理法」と言われてきているわけで、急にこれを出されると少し戸惑うかなという気 もするんです。ですから、括弧の中で(従来のビル衛生管理法。以下「建築物衛生法」 という。)と、今後このような名称に変えるという意思表示をするという方がよろしい かと思うんです。 ○吉澤座長  その議論はほかの御意見からもございましたね。議論したことがあるんですが、私個 人としましては、対象がビルだけではないということで。 ○紀谷委員  それで変えるという、その趣旨はよろしいということです。 ○吉澤座長  最初から、やっぱり変えた方がいいんじゃないかということですね。確かに突然変え たということで戸惑いがあるかもしれませんが、いかがでしょうか。 ○事務局  実は、この点は言葉を変えるということではなく、たまたま先般、質問主意書に対す る答弁で使用した略称だったわけでございます。法律の略称として、最初、役所として は「ビル衛生管理法」というなじみの表現を使っていたんですけれども、法律の正式名 称上、どこにも「ビル」とか、マネージメントの「管理」という表現は出てこないとい うことで、法律の名称に出てくる「建築物」と「衛生」を組み合わせて、建築物衛生法 という略語を使ったということでございます。ただし、先生方から「ビル衛生管理法」 という名称の方がいいということであれば、そこは変更したいと思いますけれども、い かがでございますでしょうか。 ○紀谷委員  そちらがいいと言っているのではなくて、従来、30年間それで通ってきちゃていたか ら、一応、これを読む人が戸惑わないために、念を入れて、(以下、「建築衛生法」と いう。)と、これからは、このスタンスでいくんだという主張をした方が明快という気 がします。 ○吉澤座長  いかがでょうか。確かに変えた理由はちょっとおっしゃっていただいた方が趣旨がわ かると思いますね。 ○紀谷委員  趣旨まで言わなくても、名称が変わったということが明記されていれば。 ○吉澤座長  やはりビルだけじゃないんだということですよね。問題はね。それはどうしましょう 。いかがですか。今のような修正を、先生のおっしゃった修正というのは、在来のビル 衛生管理法で、これからはこういうというようなことをここに入れるということですね 。 ○紀谷委員  ですから、この括弧の中で「以下」の前に「ビル衛生管理法」だけを入れれば、世の 中混乱しないだろうという程度のことです。 ○事務局  その点につきましては、ただいまの御指摘を踏まえて修文させていただきます。 ○吉澤座長  ほかにございますか。先の問題の方がきっと大きなことですので、先に進ませていた だき、また何か気がついたら返ってきましょう。  では、2番目お願いしましょう。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  いかがでしょうか。何か御意見、御訂正の提案はございますか。 ○紀谷委員  2ページの下から6行目ですか、「空気調和設備」という言葉があります。それから 、3ページの下から9行目ですが、「建築物の断熱性向上」というところから、「空調 ・照明・給湯等」という言葉があります。その次の行では、「例えば空気調和設備の運 転」というのと、その次のパラグラフの2行目では、「気密化や空気調和設備の運転」 というようなことが出てくるわけなんですが、やはり、給排水衛生設備の方も重要なこ とで、ここでは「給湯」という言葉しか入っておりませんので、2ページの方を「空気 調和設備、給排水衛生設備等の」というふうに入れていただいた方がいいかと思います 。  それから3ページの方は、このままでもよろしいですけれども、場合によっては、省 エネルギー、あるいは省資源という意味で給湯の問題も例示してもらってもよろしいか なという気がいたします。  以上です。 ○吉澤座長  ほかの先生いかがでしょうか。今の問題はどうですか。 ○事務局  その点につきましても、ただいまの御指摘を踏まえて修文させていただきます。 ○吉澤座長  趣旨は大体わかっていただけると思うんです。抜けがないようにお願いします。ほか に何かございますか。  とりあえず、ここは終わりにしておきまして、次に行きましょう。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  ありがとうございました。この第3章に関しまして、御意見いかがでしょうか。 ○池田委員  細かいことなんですけれども、「シックビルディング症候群」と言っていますけれど も、従来、「シックビル症候群」と言っていたんじゃないかと思うんですが、いかがで しょうか。 ○事務局  これは英語名のシックビルディングシンドロームをそのまま引っ張ってきたわけでご ざいまして、その後の「ビル関連病」も「ビルディングリレイティドイルネス」と括弧 で英語表記をして、シックビルと訳した方がよろしければ、そのようにいたします。 ○吉澤座長  そうですね。これは略語というのか、このコンセプトがこういう用語だと確定しては いないとは思いますけどね。「シックビルディング」というとちょっと長いから、「シ ックビル」と言った方がいい場合が多いかもしれませんが、どうでしょうか。 ○池田委員  その前のところで「オフィスビル」と書いていますから、もしそうなら「オフィスビ ルディング」と言わなきゃいけなくなるかなということもあるので、従来、日本では「 ビルディング」は「ビル」と訳していたこともあるところを見ると、シックビル症候群 で定着していることも考えて、どうかなと思ったんですけれども、それほど深い意味は ここにはございません。 ○吉澤座長  誤解されなければ、どっちでもいいと思いますけれども、どうしましょうか。 ○池田委員  さらに言うなら、「ビル関連病」と言っておりますが、これも「ビルディング関連病 」となるんでしょうか。少しコンシステントでないところもあるようなので。 ○事務局  他の文献等での使用状況も確認した上で、池田先生、最終的には座長に確認して、表 現は調整させていただきます。 ○吉澤座長  ほかにございますか。(4)のMass psychogenic illnessの問題。多分これまで出て いなかったと思うんです。実はこれはシックビル症候群の問題が出ましたときに、やは り大きな問題になっていたんです。これが、シックビル症候群がビルディングリレイテ ィドイルネスと分かれた1つの理由ですが、アンケート調査とか、主観的な調査の統計 的な処理からしか出ないのをシックビルというようになったということと絡むんです。 当初はこれではないか、要するに、マスヒステリーや集団ヒステリーというような言葉 で片づけられていった形跡があるんです。実際には、そういったようなマスヒステリー のようなものもあるだろうし、それから、こういったようなものが一般的に、いわゆる 社会的な病としてあるんじゃないかということも、多分、まだ確定していない状況だと いう感じはします。そういった意味では、私は、これ自体については、余り触れなかっ たんですけれども、地道な研究はしておく必要があるだろうという感じを持ってはいま す。これはかなり詳しく書いてありますけれども、この結論自体は今後検討しなきゃい けないということに、むしろ重きがあるようにしていただきたいと思っています。何か 御意見ございますでしょうか。 ○紀谷委員  ところで、今のMPIですけれども、訳すときは全部大文字になっていますけれども 、原文は頭だけ大文字であと小文字になっていますが、これはどうなんですか。 ○事務局  細かい表現ぶりの部分については再度、見直しさせていただきます。 ○吉澤座長  多分、これは日本語訳が確定していないと思うんです。だから、マスヒステリーなん て言ってしまいますと、変な誤解を受けますでしょう。多分そういう意味では原文のま まの方がいいんじゃないかということではありますね。さっきのシックビルディングと 似たようなことがあります。あれはかなり確定してきましたけれどもね。この点いかが でしょうか。これはこのまま残しておくことに異議ありませんか。               (「結構です」の声あり) ○吉澤座長  わかりました。それでは…。 ○池田委員  ちょっとよろしいでしょうか。ここに限らないんですけれども、文献が引用されて、 こういうことになったと思うんですけれども、文献をきっちり引用しておいた方がいい んじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○吉澤座長  そうですね。それができれば一番望ましいですね。 ○事務局  全体についてでございますか。 ○池田委員  全体について。引用文献が1個も挙がっていませんけれども、例えば記述を読むと、 報告されているとかといったような格好の記述があるということは、もとの文献をお持 ちだということなので、それでしたら、著者に対する敬意とか、またさらに詳しい引用 をしたい人のためにも、引用文献をここに挙げておいてあげる方が親切ではないかと思 いますので、よろしくお願いします。 ○吉澤座長  特に従来見当たらないような、MPIもそうですね、こういうのは何かあった方がよ さそうですね。自分たちで探せないものもありますものですから、そういった意味では 、できる限りそうしていただきたいという感じもしますね。 ○池田委員  そうですね。努力してまでというのも大変でしょうけれども、手元にすぐあって、書 くだけになっているようなものは、できるだけ載せておいた方がよろしいんじゃないか と思います。 ○事務局  事務局でまずは、文献をリストアップいたしまして、先生方の方でも、各項目につい て重要文献というのがあれば、御指摘いただければ記載させていただきたいと思います 。 ○吉澤座長  それではよろしゅうございますね。その次の4章が一番大事なことというか、関心が 高いと思いますので、先に行きましょう。まず、4−1からですか。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○坂上委員  12ページの中段です。湿度のところで「このようなことから」というパラグラフがご ざいますけれども、その3行目のところで、「現状では、加湿装置の性能等に問題があ り」というところですけれども、「加湿装置の性能等の問題に起因して30%下回る」と いう表現の方が適切かと思われますが、いかがでしょうか。 ○吉澤座長  そうですね。加湿装置が要因の場合も多いと思いますけれども、それだけじゃないで すね。なぜ、加湿装置が要るかなんてという問題がありますからね。これは加湿装置だ けじゃないんですね。だから、今おっしゃったような形に変えていただいた方が真意は 出てくると思います。 ○事務局  わかりました。 ○坂上委員  その次の「なお」のところで、「効率がよく」という、ここに効率という用語が出て くるんですが、実はちょっと気になっていたのが、4ページに戻りますけれども、(1 )シックビルディング症候群の5行目に、「エネルギー消費効率化など」と書かれてい ます。エネルギー消費というと、縮減とか、低減とか、削減というのが似合いますし、 効率化というならば、消費をとった方がいいのではないでしょうか。「エネルギー効率 化」とした方がすっきりします。今のところとの関連から、4ページのところは、「消 費」を抜いていただいたらいいんじゃないかと思われます。 ○事務局  わかりました。 ○吉澤座長  「効率」という言葉はいろいろ意味がありまして、技術的にはちょっと難しい面はあ るんですよね。この場合には、「効率」よりか、「性能がよく」ぐらいの方がいいんじ ゃないですかね。「効率」といいますと、厳密に、供給して、どのぐらい出るかなんて いうことを言われちゃうんです。この場合にはもうちょっと軽く、よく加湿ができる装 置ということでしょう。 ○坂上委員  12ページの「効率」はこれでいいんですけれども、4ページのところだけです。「消 費の効率」ではなくて、「エネルギーの効率」だろうと、そういう意味です。ここは「 効率」でもいいと思います。 ○吉澤座長  相対湿度の上限値65%、下限値35%という基準値は、まだ田中正敏先生がおいでにな っていないけれども、多分、何か意見を言われそうですね。これはレポートがあります ので、ここでは、これをいじるのはなかなか難しいんですね。だから、行政的に何か決 めるときには、いろんな技術的な問題とか、お金の問題とか、それと変えていただくの は構わないと思うんです。ここで70を60か65にするのはいいと思うんですけれども、40 を35にするというのは、やりにくいという感じはすると思っていたんですけれども、も っとも田中正敏先生がおいでにならないもので、どうおっしゃるかわかりませんが、そ んな感じを受けましたね。これはむしろ実際の基準値を変える段階で、そういう操作を していただいた方がいいんじゃないかという感じはします。 ○射場本委員  まだ実験そのものは終わっているわけではないんです。従前より、相対湿度40%を下 回るとインフルエンザウイルスが多く繁殖すると言った報告があって、その値がビル管 法の数値の元になっているらしいと言うことを聞いていますが、これはかなり古い文献 です。現在そのことを再検討する目的で、改めてインフルエンザウイルスの培養を始め ております。まだ途中段階ですが、既に終わったのがインフルエンザ香港A型です。そ れで見ますと、確かに湿度に比例して低湿になると、インフルエンザ香港A型の場合、 生存率が高いという結果が得られているわけです。今はっきり覚えておりませんが、相 対湿度が確か30%になりますと、その時点で当初の1000分の1のオーダーにインフルエン ザ香港A型の場合は落ちております。1000分の1をどう判断するかというのは、私は専門 家ではないのでよくわかりませんが、細菌を専門にやっておられる先生に方によります と、そのオーダーだとほとんど罹らないんだというような見解を聞いております。ちゃ んとしたレポートとして外に公表されておるわけではありませんが、現在そういうよう な実験をやっています。追々報告できるんじゃないかと思っております。 ○吉澤座長  今の1000分の1というのは、何に比べて1000分の1ですか。 ○池田委員  一緒にやっている者なので、ちょっと補足させていただきますと、最初にコントロー ルとしてインフルエンザウイルスを置いておきます。そのときの数が大体10の7乗のオ ーダーだったものが、3時間後には湿度が30%の環境と40%の環境に置いたものは、そ れが10の4乗のオーダーになっているということで、三桁減ったというふうに考えてお ります。ついでに言いますと、50%のところにあるのは、さらにもう二桁以上少なくは なっております。だから、10の2乗のオーダーになっている。そのようなデータが最近 、ハーパーさんとか、ヘムズさんとかといった1960年代にやられた実験の追実験として なされたということでございます。 ○吉澤座長  今のこれは、絶対湿度というパラメーターはどうなっているんですか。 ○池田委員  温度は26度一定です。ですから、そのときの絶対湿度がいくらだったかというのは… …。 ○吉澤座長  26度だと、さっきの20度で何%ということで、水蒸気量は非常に多いですね。今、絶 対湿度という表現が出ていて7g/m3ですか。それに対して、今度は温度の表現が出てい ましたね。そういった意味でのサイクロメトリック(湿り空気学的)な検討というのが あった方が安全だという感じはしますね。ですから、今の26度あって、30にしろ、40に しろ、これはかなり水蒸気の量が多いわけですね。 ○池田委員  どのぐらいになるんですかね。 ○吉澤座長  20℃で40%、7gになるんですか。その横に書いてあるでしょう。そっちの方は水蒸 気量はかなり多いはずですよ。昔の、特に医学系の方だと、そういう量的な判定が甘か ったかもしれませんね。だから、絶対数で引くのか、相対数で引くのかということにつ いての判断がないと本当はいけないわけでしょう。温度を上げたらいいことになってし まいますし。温度を下げれば相対湿度が上がりますから、OKになってしまうわけです 。そういった検討がないとちょっと……。もうちょっとやればできそうな感じがします 。 ○射場本委員  ビル管法に従うと夏の冷房時にも加湿しなさいということになってしまうような空調 方式が出現してきており、それが今問題になっています。実際には気温が低い冬にイン フルエンザ香港A型は多くいて、夏にはいないはずですが、一応気温.28℃で、湿度をパ ラメータとして0〜100%で振って実験しているということです。 ○吉澤座長  この辺、算定方法にちょっと無理があるような感じがしますね。両方とも。 ○池田委員  そうですね。なぜ5%ずれちゃったのかなというのが……。 ○吉澤座長  5%ずれるというのは、1つのコンセプトとしまして、できる限り望ましい状況に近 づけようということがあるので、こういう仕事は、すべてが狭義の医学的な判定に従っ てやるわけじゃないですよね。だから、そういう意味ではいいとは思いますね。いいと 思うんだけれども、もととなるのが、絶対湿度が7gで気温が20℃ということになれば 、相対湿度は決まってくるわけですから、絶対湿度をもとにして話をもっていけば、そ の温度を少し下げてやれば、相対湿度は上がってくるわけです。だから、医学的な文献 の話ですから、私がどうこうと言えないんだけれども、そういうチェックというのはし てなければいけないと思うんです。  私の感じでは、35%なり30%まで下げていいかどうかということに対する答えにはな っていないんだという感じがするんです。ただ、やはり実用に近づけてやってみるのも 、行政的な意味での1つの手だろうと思うんです。むしろ、30なり35というのが非常に クリティカルにいっているかどうかという問題で疑問という感じがしますね。ちょっと この問題、田中正敏先生がみえるまで待ちませんか。後でまた考えると。 ○池田委員  13ページの一番最後のところなんですが、「室内空気汚染物質の原因となる多数の化 学物質すべてを定期的に測定するのは合理的でない」ということが書いてあって、合理 的という表現は、本来、定期的に測定するのは合理的なんじゃないかとは思いますけれ ども、むしろ、そういうことではなくて、実用的にとか、経済的とか、もうちょっと妥 協したような表現だと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○事務局  経済合理性や実用性とか、そういったところも確かにあると思いますので。 ○吉澤座長  すべてというと、300 も400 になってしまう。 ○池田委員  そういうことで合理的でないと。 ○吉澤座長  そういう意味ではまず不可能。それが300 が3個になるのかどうかという問題があり ますね。 ○池田委員  わかりました。じゃ結構です。測定するのが合理的でないというのがちょっと気にな ったものですから。 ○吉澤座長  14ページの(4)の上の4行目にありますね。これは今の話なんですけれども、「特 定建築物の使用開始時」と書いてあって、この仕事の対象が特定建築物に書いてあるん ですね。要するに、VOCやそんなことについては、特定建築物ではなくたって、そう なんですよね。特にこれについては、特定建築物でこだわっているのは、こればどうい うことなんでしょうか。 ○事務局  特段深いこだわりはございませんで、この点も、表現ぶりを検討させていただきます 。基本的に、法律の適用を受けて規制がかかってくるのは特定建築物になるわけなんで すけれども、それ以外の施設についても努力義務ということで、これを踏まえて維持管 理をやるのが望ましいということでございますので、そういった観点から表現は注意さ せていただきます。 ○吉澤座長  そうなんですね。法律的な義務じゃないかもしれないけれども、全ての建築物に努力 義務は課しているわけでしょう。この法律はね。そういう意味では、余りこういった形 を限定すると、VOCに関しては特定建築物だけでいいということになってしまうと困 りますね。  さてどうしましょうか。今、湿度のことが残っちゃいましたけれど、先に行きましょ うか。  それでは4−3の給水、排水の管理についてお願いします。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  ありがとうございました。この点はいかがでしょうか。何か御意見、追加はございま すでしょうか。 ○紀谷委員  17ページの(4)ですけれども、その2行目で「雨水処理水」という表現になってい ますが、これは雨水だけでよろしいと思います。  それから、その次のパラグラフで、「昭和50年頃から、便所洗浄水を」という表現に なっていますが、むしろ当初はかなり拡大して使うような発想があって、それで、むし ろ56年の局長通知で便所洗浄水ということに絞られたというような経緯と私は理解して いるんですが、それがまたさらに若干、最近、用途が拡大している。これはいわゆる雨 水利用等を含めて用途が拡大しているということ。一番最初は相当使ってもいいような 動きがあったので、それだと危険だというので絞り込んだという方が妥当ではないかと 思います。 ○吉澤座長  これは経緯の関係だから、ちょっとチェックしていただかないといけませんね。 ○事務局  過去の経緯につきまして、再度確認をさせていただきます。  それから、1点お伺いいたしますが、加湿装置の補給水については水道水質基準に準 ずる水を使用することと告示で定められていますが、それ以外の空調設備に使う、例え ば、冷却塔の補給水などで雑用水を使用するのは特段問題はないと考えてよろしいんで しょうか。 ○紀谷委員  むしろ、冷却塔補給水なんかは避けた方がいいんじゃないですか。 ○吉澤座長  冷却塔補給水はまずいんじゃないですかね。飛散しているので。要するに、飛散する ようなものはいけないと書いてあったんじゃなかったですか。 ○紀谷委員  特に水系施設に関して、そういうことが明記されていますけれども、同様の意味で冷 却塔補給水はもっと危険です。 ○吉澤座長  非常に飛散性は高いと思います。大きさや粒径なんかの問題もあると思います。雑用 水は冷却塔はまずいのではないかという感じがしますね。 ○坂上委員  旧建設省の再利用水、雨水等も含めまして、それの設計基準、指針というのがござい ますね。あの中の再利用水の用途対象に冷却塔は入っていなかったと思います。それか ら、白煙といいますか、あれが出ないような方式もございますけれども、やはり飛散す るということで、禁止の方向というのを明確に出した方がいいと思いますね。 実際に、この再利用水を冷却塔の冷却水に活用している例は極めて少ないでしょう。現 状ではね。 ○射場本委員  ほとんど聞いたことはないですね。 ○坂上委員  自主規制といいますか、法令等の基準にはなく、明確にうたわれていないけれども、 自主的にはそれを使う例は極めて少ないということを踏まえると、やはり強くうたって もいいのではなかろうかという気がいたします。 ○射場本委員  現状は水道水を冷却塔に使って、そのオーバーフロー分が雑用水槽に入り、雑用水と して使用されているという、逆順の方が実態かと思います。 ○坂上委員  工水は工場等では随分使われていますね。だから、どちらにしても工水レベルまでで すね。 ○吉澤座長  今の話はどこに入ってくるんですか。 ○坂上委員  「用途は拡大し」ということで、この辺ですかね。 ○吉澤座長  修景用水とはわけが違うからね。あれはエアロゾル化というのはありますけれども、 全然それは桁違いだと思います。 ○紀谷委員  いずれにしても、ここは経緯で修文していただくことですから、そこで。 ○吉澤座長  その辺、考慮の上でしていただけませんか。 ○事務局  逆に今、噴水や滝などでエアロゾルを発生する用途では使用しないことと書いてござ いますが、これも例えば、循環ろ過を使って適切に管理すればいいのではないかという 意見もあると思いますけれども、いわゆる安全のためには、エアロゾルを発生する施設 では、原則禁止という方法が望ましいということでございますでしょうか。 ○紀谷委員  そのとおりです。 ○吉澤座長  ほかに何かございますか。  もしございませんようでしたら、先に進めさせていただきましょう。では、4−3の 清掃をお願いいたします。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  ありがとうございました。今の清掃とねずみ、昆虫防除に関していかがでございまし ょうか。ご意見ございますでしょうか。どうぞ。 ○田中(生)委員  21ページの(3)の上の行のところで、「指標としての防除基準」とあります。防除 基準というと、防除をするためのスタンダードな指標ともとられますので、これは「維 持管理基準」としておいた方がいいと思います。 ○事務局  わかりました。 ○吉澤座長  よろしゅうございますね。ほかに何かございますでしょうか。いかがですか。  もし、ございませんようでしたら、次に進ませていただきまして、5章「その他今後 検討すべき課題について」。 ○事務局  (資料読み上げ) ○吉澤座長  今後の問題としていかがでしょうか。 ○石塚委員  表現だけなんですけれども、22ページの(1)のところ「給排水衛生設備」というの が正しかろうと思います。 ○事務局  ここは、「給排水設備」と書いてあるところは、後ほどすべて「給排水衛生設備」と 、また「空調設備」とか書いてあるところも、「空気調和設備」と修文いたします。 ○吉澤座長  今のはタイトルですね。文章内は入っていますね。何かありますか。 ○紀谷委員  23ページの最後の段落の真ん中ですが、「雑用水が使用される場合が多く」となって いますが、こういう水景施設は多くはないので、「される場合があり」というくらいで よろしいかと思います。 ○事務局  わかりました。 ○紀谷委員  緑化が問題点があるというのを入れていただいたのは、大変結構だと思います。 ○吉澤座長  水景施設というのは、子どもが中に入って遊ぶんですね。水質がちょっと気にはなる んですがね。ほかに何かございますでしょか。 ○事務局  ここに書いていること以外にも、今後の課題として何か記載すべき事項がございまし たら御指摘いただければと思います。 ○紀谷委員  そういう点では2番のところで、給水設備だけが取り上げられていますけれども、給 湯の方も、材質の溶出の問題とか、レジオネラ症の問題とか、前の方に書かれたことも ありますが、まだ、それに対する構造的な対策といいますか、そういう点がまだ不十分 なところもありますので、ちょっと文言を入れておいていただいてもいいかと思います 。 ○事務局  ここの部分は、前に触れていない課題として書いておりますので、今後の取り組みに 必要な部分は、給水及び排水の管理の部分で、さらにつけ加えさせていただきたいと思 います。 ○吉澤座長  危機管理の問題というのは、サリンの事件のときに、私、ASHRAEのある大きな委員会 で発言したことがあったんですけれども、そのときは、我々はそんなことはまだやる気 はないんだと。これは汚染性のものを散布する上では非常に効率がいい方法なんですね 。だから、そういった意味では、ちょっと怖いなという気はあるんです。その辺につい て、きちんと検討しておく必要があるかもしれないという気がいたしますね。  それでは、最後の方に行ってしまいましょう。第6番目の「特定建築物の要件につい て」。 ○事務局  (資料読み上げ) ○石塚委員  今回の報告としては、この程度でやむを得ないのかなという気がします。前回はちょ っとそれが落ちていたものですから、今回いろいろと検討していただいて入れていただ いたということで、この表現でよろしいかと思います。 ○紀谷委員  延べ面積のところに入るのかなという気がしますが、同一敷地内に複数棟ある場合、 その一棟ごとにしか判定しないというのが従来の方法ですけれども、やはり、若干検討 が必要かなという気がいたします。 ○吉澤座長  ほかに何かございますでしょうか。ついでに4行だけ「おわりに」というのがあるん ですね。これはいいですか。  そうしますと、全体を通していかがでしょうか。  12ページの湿度の件に関してどうしましょうか。射場本先生、池田先生が実験されて いるということは、反映できそうだという考えですか。 ○射場本委員  結局は論文発表ということしか、現実的方法はないと思うんです。 ○吉澤座長  それはそれとしまして、採用するは別として、どのように反映できるんでしょうか。 例えば、30まで下げていいのではないかとか、そうすると、ここにもっていけるのかど うか。つながるのかどうかということです。論文を見なければいけませんが。 ○射場本委員  大変手間のかかる話です。夏にはいない香港A型をまず対象としました。どちらかと いうと私どもにとっては不利な方を先にやったわけです。夏のウイルスであるライノウ イルスというんでしょうか、そちらでやればもっと問題は少ないということを聞いてお ります。今ここで問題になっているのは、むしろ気温が低いときの話ですね。もちろん そこまでエクステントしてやることも可能ですが、立場が違いますから、私どもはそこ まで考えておりませんで、夏の低湿時の話のみを考えていたということです。勿論、や れと言われればやりますが、ただすぐ反映できるものではなく、時間と手間がかかる話 だと思います。 ○吉澤座長  どうしましょうか。今までの知見で言うと、下げるようなことではなさそうだという ことだったんです。望ましい方向というか、いろんな意味での経済的な方法を含めて、 少しばかり下げようという提案が出てはいるんですが。 ○事務局  この湿度の問題につきましては、毎回、特にインフルエンザの感染の問題を中心にい ろいろ御意見をいただいているところです。一方、報告書案の中でも触れておりますが 、最近、アレルギー疾患が第2の国民病と言われるぐらい増えてきているという状況が ございます。その場合に、特に冬場の低湿度状態というのが、アトピー性皮膚炎ですと か、気管支喘息、そういった患者さんに対しては、増悪因子になっているという指摘も ございます。アレルギー領域の中でも、乾燥は体によくないとの指摘はされているとこ ろなんですけれども、臨床の現場でアレレギー科のドクターがどの程度加湿すればいい のか、明確な数字がないという状況がある中で、法律の中の基準というのが1つの根拠 になり得るという感じがします。その場合に40%というのがなかなか守れない。一般の 家屋でも30%を切っている状況の中で、加湿の意義について普及啓発を図るという観点 から、最低限遵守すべき基準として35%という数値を設定するのはどうかと考えられま す。一方で、70%程度ではアレルギー疾患の原因となるカビやダニが発生することがあ ると言われています。そういった指摘もあって、行政的な観点から教育的効果も期待し て、基準値の見直しを提案させていただいているわけなんですけれども、そういったと ころも含めて検討いただければと考えている次第です。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。 ○坂上委員  ロジックとしては、温度は季節区分ということも、検討、意見があるという書き方が されていますね。湿度について季節区分をするのかどうかということが1つあるんです が、それを前提にして、40%ですが、過去の既往の文献で40%、7g というのが前段に 書いてありますね。これもこう書いてしまいますと、定説になります。そうではなく、 これは1つの文献での知見であるということ、これは報告であるというふうな書き方を していただく。そして季節に関して、文章を読めば少し区分があるんですが、季節対応 をどうするかということがあります。その1つにまず夏側では、実態と随分乖離してい ますという現状を踏まえた上で、実は高湿は逆にダニ・カビ等の問題もあることに触れ ます。現状の実験によればという文献がなく、おそらく発表されていませんから、そう いう検討の中では35%が考えられるということです。とりあえず過去の文献に立脚すれ ば40%。しかしながら、実態とは随分乖離している、そういう対象物が多いということ 。そして、今おっしゃったように、法的な見解としては、最低限はきっちり決めて実態 と乖離しない形で、それを実現させる1つの基準値が35%であるということです。これ については、今、射場本先生がやられているような研究を、さらに継続する必要がある というような書き方でいくのはいかがでしょうか。少しばらばらに意見を言いましたけ れども。 ○吉澤座長  確かにおっしゃったように、7g 何とかというのは、1つの文献にしか過ぎないわけ です。ですから、あれば確かにすごい歯止めになるんですけれども、1つの文献だとい うことを指摘しなければいけないかもしれないですね。それから、夏と冬というのは湿 気の性格が違うので、例えば夏の70%というのは、もしも空気中の湿度が相対湿度を70 %としますと、壁面付近とか、床面付近はもっと高いんです。だから、実態的にカビが 生えるか生えないかというのは、その場所の60%ですからね。そういう意味では、部屋 の中では60だっていいのではないかという感じは持ちますね。冬の場合だと、外の湿度 が非常に低いわけですから、それに対して、それを保つというのは難しい面がある。多 分、射場本先生がおっしゃっているのは夏と冬の別の問題ですね。 ○射場本委員  そうです。別のことを言い表せば良いと思っているのですけれども。 ○吉澤座長  どう言ったらいいのかな。湿度だけ夏冬分けたって性格が違うからいいのではないか という感じはしますがね。要するに、本当のことはわかっていないわけでしょう。どこ までいったら、これは変なことになるかということについてはね。だから、そういった ことを含めて、できるのは、試みとしてやってみることぐらいでしょうかね。 ○坂上委員  これは結論ではないですよね。 ○吉澤座長  はい。 ○坂上委員  これは検討の1つの報告の類ということになりますから。 ○吉澤座長  そういったようなことで。 ○坂上委員  こういう考え方が議論されたといいますか、こういう考え方が今提示できるという、 そういう前提に立てば、35%や65%という考え方があるということにすれば、これが即 基準になるわけではないわけですから。 ○吉澤座長  行政的にこれを何かしようとすると、実際にそれを守れるかどうかという、いろんな 問題が出てきますから、それを考えていただければいいと思います。ここでは、無理に 35%もいいということは、今の段階では言えないわけですね。 ○事務局  この部分につきましては、本日の議論も踏まえ、また欠席の先生方の意見も踏まえて 、先生方にまた見ていただくということで、修文をさせていただくということでよろし いでしょうか。 ○吉澤座長  よろしいでしょうか。               (「結構です」と声あり) ○池田委員  このままですと、射場本先生が夏に40%以下になるから、夏に加湿するというのはい くらなんでもおかしいのではないかということですから。冬は40%以上の湿度がなけれ ばいけない。夏は70%以上あってはいけないというぐらいの季節に分けた基準にして、 夏の下限値とか、冬の上限値については言及しないという手もあるのではないかという 気がするんですけれども。 ○吉澤座長  今の議論に対して射場本先生いかがですか。 ○射場本委員  それで結構と思います。 ○吉澤座長  もう一遍結論をおっしゃってください。 ○射場本委員  夏は70%以下、冬は40%以上という限度を設ければいいということです。相対湿度でで す。 ○吉澤座長  夏は60%以下では。 ○射場本委員  60%でもいいですけれども、それ以下にしなさいと。 ○吉澤座長  むしろ、70まで加湿しなければいけないのは、おかしいという議論ですかね。 ○射場本委員  今、問題になっているのは夏の場合で、40%を割ってしまうことが起きているのに、そ れを加湿しなさいとするのはやはりおかしいのではないかと思うのですが。 ○吉澤座長  夏は60か50じゃなくて、下の方が問題になるということですね。 ○池田委員  その辺は田中先生に言わせると、夏でも40%を切ると老人施設なんかでは、インフル エンザ疾患が増えるというような話を前回なさったと思うのですが、確かに真夏に加湿 するというのも変な話だなというのもよくわかるところですから、その辺がちょっと難 しいところではあるんですけど。 ○吉澤座長  技術的なことで検討する必要がありそうですね。 ○池田委員  はい。 ○吉澤座長  単純なる言葉だけの問題ではなさそうな感じがします。 ○坂上委員  しかし、そうしますと下限値がないわけですから、それはやはり健康という大前提に 引っかけて言うと、怪しくなりますから、今の池田先生みたいな、季節区分によって上 限値と下限値だけを決めるという意見もあるし、このように65、35という考え方もある しということで、これは結論としては、先生が今おっしゃったように、さらにもっと継 続して検討すべきであるということを締めくくりにして、2つぐらいの案を出していて もいいと思います。 ○吉澤座長  ここでは、そういう意味では結論を出そうとしても出せないんだろうと思うんです。 我々の立場から言うとね。そういう意味では、並列ではないけれども、3つ、4つ書い てもしようがないという感じがします。ただ、そういったところまで交通整理はできて きたなという感じはしますね。それでどうでしょうかね。 ○射場本委員  事務局の、冬の場合で見ますと、現在の40%を35%にすると、現場での指導がし易くな るという話ですね。ただ40%だとなぜ指導がしにくいのかというのは、ちょっと不思議な 気もするんですが。 ○事務局  前回、皆様からいただいた意見の中で、例えば、保健所の指導で30ちょっとあればい いよみたいな、そういった実態も一部にはあるというコメントがあって、必ずしも好ま しい指導形態とは言えませんので、法律上の基準は守るという方向の指導をやっていた だくという観点から、35は絶対守っていただくとするのはどうなのかなという提案であ ったんですけれども。 ○吉澤座長  今の問題は、やはりこのレポートと行政的な指針の違いですよね。行政的な指針の場 合には、当然、実際にやられるときの可能性とかなんかで考えなきゃいけませんから、 アカデミックな値と必ずしも同一にはならないわけです。その辺はしょうがないんじゃ ないでしょうか。0.5 メーターという風速も、そんな形で決まっていますからね。あれ は30年前ですか。 ○田中(正) 宇都宮付近の地震で東北新幹線が影響を受け、目視認による安全点検が 終了するまで足止めされていました。池田委員の言っていた私どもが調査しました老人 施設の例ですが、夏季には月平均で相対湿度が60%以上で、冬季には20%以下にな っており、室温はコントロールされ年間を通じてほぼ25℃を保っていました。入居し ている高齢者は夏季には夏風邪をひいたりしますが、問題はやはり冬季のインフルエン ザ疾患です。  射場本委員、池田委員が関係しておられる1960年代の実験の追試実験の結果をお 聞きしますと、低湿になるとインフルエンザA型の生存率が高くなり、気温26℃、相 対湿度30%、40%では10の4乗のオーダ、すなわち、1万個のインフルエンザウ ィルスが生存し、相対湿度50%では10の2乗のオーダ、すなわち100個のインフ ルエンザウィルスということでした。1960年代の実験の結果と類似の結果と思いま す。しかし、相対湿度40%でも10の4乗オーダで、相対湿度50%で10の2乗の オーダとのことですので、ウィルスを減らすには相対湿度50%でなければならないこ とになります。実際に老人病院や老人ホームで冬季にインフルエンザが流行しますと、 環境面では加湿をし、口腔内に蒸気吸入も治療として行います。相対湿度30%、40 %では1万個のウィルスの環境で、相対湿度50%で100個のウィルスの条件ですと 、環境衛生面からは冬季のインフルエンザ流行期には高湿条件が必要となります。微生 物専門の先生もおられての追試実験と思います。こうした実験や調査の結果は重視して ください。  絶対湿度と相対湿度について問題にされるのでしたら、今後の表記方法が問題となる のでしょうが、私は一般的に使われている相対湿度を用い、実験などの場合には絶対湿 度を併記した方がよいと思います。  季節差、夏季と冬季の問題は、温度と湿度については季節差を設けてほしいと思いま す。夏季に18℃の室温にしていると冷房病になりがちですし、実際にそうした職場も みられ相対湿度も低くなっています。一方、冬季に室温を28℃にし薄着になっている 職場もみられ、省エネルギーにもなりません。季節差なしで、年間を通じて1つの値に するのでしたら、備考欄または参考として夏冬別の推奨値を併記した方がよいと思いま す。 ○事務局  この部分は、本日の議論を踏まえて修文させていただきます。 ○吉澤座長  そうしますと、それ以外に何かございますでしょうか。 ○池田委員  細かいことなんですけれども、「炭酸ガス」という言葉が未だに生きているようなん ですが、例えば、10ページの一番最初、後の方を見ると「二酸化炭素(炭酸ガス) 」と 書いてある。これはいずれ「炭酸ガス」を「二酸化炭素」に言いかえていこうという趣 旨なのかなと読んだんですが、もしそうだとすれば、一番最初に炭酸ガスと出てきたと ころに、そのことを書いて、(以後、「二酸化炭素」と呼ぶ)というふうにした方がよ ろしいんじゃないかなと。 ○吉澤座長  わかりました。これは多分法律がそうなっているからじゃないですか。 ○池田委員  そうなんですけれども。 ○吉澤座長  それをどうするかというのは、むしろ事務局の方でいろいろ苦労していただけるので はないですか。 ○池田委員  今後、法律を変えていくべきであるぐらいのことを言ってもいいのかなとも思ったの ですが。 ○吉澤座長  そうですね。ちょっと奇異ですからね。 ○事務局  法令用語として現行で炭酸ガスになっているということで、書き出しの部分は「炭酸 ガス」としてあったんですが、例えば、10ページは炭酸ガス、11ページ以降は二酸化炭 素と使っております。他法令における用語の使用状況等も見て、二酸化炭素と法令用語 を変更していきたいと考えております。 ○吉澤座長  この委員会は行政官の委員会じゃないので、二酸化炭素と使ったっておかしくないん ですよ、本当はね。あとは必要に応じて、お役所の方で戻していただければいいわけで しょう。それはどうでもいいですけれども、ちょっと我々は奇異に感じますね。30年間 使用してきましたが、講義のときも両方書いたりして、どちらがいいかと思って。  ほかにございませんでしょうか。そうしますと、これをどうするかという問題は、な るべくならば、今日でこの検討会をおしまいにしたいのですが、いろんなことがまだ少 し残っていますね。それはどうしましょうか。事務局と各担当の先生方と、それから座 長と相談をいたしまして、もし内容が大きく変わるようでしたら、もう一遍集まってい ただきますが、そうなければ、私がそう判断すれば、これでおしまいにしたいと思いま すが、いかがでございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○吉澤座長  いろいろと御意見ございましたけれども、思ったより、非常にネガティブな意見とい うのがなくて助かりましたね。ただ、まだ積み残しというのか、いろいろございますが 、またそれは次の機会に反映していただきたいと思っております。  それでは、これでよろしいのでしょうか。どうも先生方ありがとうございました。傍 聴の皆さん方もいろいろありがとうございました。 ○事務局  本日の議事録につきましては、また各委員の先生方に調整していただきまして、了解 が得られ次第、公表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○生活衛生課長  本当に先生方ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省健康局生活衛生課 伊藤(2434)、小林(2432)