02/02/08 第6回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会      議事録            第6回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後              のあり方と実施に関する検討会                   議 事 録            厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課  第6回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第         日 時:平成14年2月8日(金) 13:30〜16:06         場 所:経済産業省別館10階1028会議室                1 開  会                2 議  事                  (1)団体からの意見発表                  (2)団体への質疑応答                  (3)その他                3 閉  会 ○宮本補佐  傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております 注意事項をお守りいただきまして傍聴いただきますようにお願いいたしますそれでは、 座長お願いいたします。 ○鴨下座長  それでは、定刻を回っておりますので、ただいまから第6回になりますが、小児慢性 特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会を開かせていただきます。  最初に、委員の出席状況の報告をお願いいたします。 ○宮本補佐  本日は、神谷委員、山本委員、柳澤委員が欠席でございます。それから、山城委員に つきましては遅れていらっしゃるということでございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  では、本題に入ります前に、資料の確認をしたいと思いますので、これもお願いいた します。 ○宮本補佐  本日お配りしております資料は1冊にまとめてございますが、本日の議事次第、委員 会名簿、それから、本日お呼びしております各関係団体の皆様の氏名及び所属、それか ら、各団体からいただきまして御意見であります。  それから、別紙の形でありますが、患者団体のつくしの会の皆様の概要を皆様にお配 りしております。それから、委員の皆様の席には全国IDDMネットワークの紹介の資料を 置かせていただいております。 ○鴨下座長  それでは、前回に引き続きまして、6つの患者団体、グループの方のヒアリングを行 いたいと思います。  まず、最初に、各団体から15分ずつお話をいただきまして、その後、委員から質疑を させていただきたいと思います。なお、本日は検討会として議論することではなくて、 患者様の団体の方々から御意見をいただくことが主な目的になっておりますので、この 点につきましては委員の皆様にも十分御理解いただきたいと思います。  進行につきましては、事務局の方でお願いいたします。 ○宮本補佐  それでは、順番に各団体、それから、グループの方に前のテーブルで15分ずつ御発表 いただきます。それが終わりましたら、後ろの方に戻っていただくということで、前回 の検討会におきます手順と同様に進めてまいりたいと思います。各団体の皆様には、御 発表が15分近くになりましたらお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。  6つの団体、グループの発表が終わりましたら、その後、質疑ということで行ってま いります。各団体から1名ずつ、各グループから1名ずつ前の席に並んでいただきまし て質疑を行っていくということになります。それから、後ろに残られました方から御発 言いただいても結構です。ただし、傍聴席からの御発言というのは御遠慮願います。  それでは、早速ですが、ポプラの会の皆様から始めさせていただきます。よろしくお 願いいたします。資料は11ページからとなっております。 ○ポプラの会(星川会長)  ポプラの会の会長の星川と申します。  今、立ちましたのは意味がありまして、ポプラの会の会長の私は患者自身で、成長ホ ルモンをほとんど投与しませんで、もし、大人になって投与しない場合このぐらいの背 というサンプルのようなものですけれども、そういうことを皆さんに知っていただきた くて。 隣におりますのは、前会長の香坂京子です。 ○ポプラの会(香坂前会長)  よろしくお願いします。 ○ポプラの会(星川会長)  ポプラの会の紹介をちょっとします。15ページにポプラの会の紹介がありますので、 お読みいただければわかると思いますけれども、ポプラの会は東京から来たグループで ありまして、成長ホルモン分泌不全性低身長症の90%以上の会員さんがこの病気です。 関西と名古屋方面に1つずつ同じ病気のグループがあります。  一番初めの対象者の在り方についてですけれども、平成10年度より成長ホルモン分泌 不全性低身長症の治療対象がかなり厳しく制限されまして、今では軽症者がかなりふる いに掛けられまして、必要な患者まで受けられないことがあります。なぜ小慢のかなり 部分を私たちの病気で占めているかというと、患者数が多いということですね。かなり 発生率が高いということではないかと思います。もう少したくさんの方に治療を施して ほしいというのが希望です。  それから、この病気にはただ成長を促すということだけではなくて、私自身も体験し ていることですけれども、かなり体力がないんですね。それから、合併症を持っている 方もいらっしゃいますし、昔は脳下垂体の小人症という名前で呼ばれていましたけれど も、脳下垂体の故障によりましてかなりいろいろな病気が発生する可能性があるという ことですね。20歳でそういう病気が治るというわけではありませんので、私自身も今も っと薬をいただけたらと思いますが、かなり薬価が高いので今は全然投与しておりませ んけれども、あればもっと体力が出ていいなと思います。今のは2番目のことですね。  今回の自己負担のことについてなんですが、自己負担は、やはりこの財政状況におい てやむを得ないことと私たちも思っておりますけれども、ここに書いてありますように 、患者さんの治療は5歳未満ぐらいから始める方が多いんですね。そのために、保護者 家庭がかなり若いものですから、まだ家庭経済の方がそんなに収入が多くないものです から、やはり家庭経済を圧迫しますね。例えばの例なんですけれども、1年間の全額の 量をもし定価とすれば、それこそ1,000万円になる人もいますし、500〜600万円と。そ の体重によって決めますので、それは差があります。自己負担のことは、所得に応じた 負担が私たちは望ましいと考えております。  それから、その下にありますけれども、同じことを言いますが、製薬会社が薬価引下 げをどのように努力しているのか。今回の問題ではありませんけれども、薬価が下がっ たらばもっと治療費が安くなるのではないかというのは、この会が発足してから二十何 年か経っておりますけれども、いつもいつも問題にしていることです。どうして日本だ けが薬価がこんなに高いのかというのは、もう一つのテーマです。  それから、3の福祉的サービスの在り方について。私も、小さいときからかなり小さ かったんですね。小学校1年生に入学するときには88cm、いじめの対象には昔でしたか らなりませんでしたけれども、今はいじめの対象に本当にやりやすいし、そのために引 きこもりというのが、私たち会にある青年部の人たちにも何人か起こっています。今は 、何もなくてもいじめの対象になりすやいので、背が小さいということがいじめの対象 にすぐされやすいんですね。お母様方からそういうふうなお話を何件か聞きますので、 今、小・中学校にカウンセラーが1校に1人ずつはいらっしゃる、ちょっとそこははっ きりしませんけれども、いらっしゃるようでしたら、保護者家庭と学校と連絡を取り合 いまして、そういう体制をつくっていただきたいと思います。  それから、登録データ。ここに書いてあります登録データは、役に立つのがあれば私 たちも賛成ですということなんですけれども、勿論、保護者とか患者本人の同意なしで はやるべきではないと思います。それから、これが別な意味で使われるということには 反対です。例えば、医療費の補助の削減にそれがつながるようなデータでしたらば反対 したいと思います。 ○宮本補佐  ありがとうございました。  続きまして、2つ目の団体にお願いしたいと思います。日本アレルギー友の会にお願 いいたします。資料は17ページになります。 ○ポプラの会(星川会長)  済みません、ちょっと今言い忘れたんですけれども、大阪の会の名前は伸びのび会、 名古屋の若竹会と申します。 ○日本アレルギー友の会(上野会長)  私は、日本アレルギー友の会の会長で上野光子と申します。 ○日本アレルギー友の会(栗山機関誌編集員)  私は、月に1回発行しております会誌の編集部員として働いている栗山と申します。 ○日本アレルギー友の会(上野会長)  先ず当会の概略的なことを説明させていただきます。  私ども日本アレルギー友の会は、アレルギー性疾患でも特に喘息やアトピー性皮膚炎 に関する情報を収集して、正しい知識を広め、その推進を図り患者の皆様の社会復帰並 びに福祉の向上に寄与することを目的として、多くの方の御支援と患者のボランティア によって33年間にわたって活動を続けてまいりました。その活動に対して、今回の発言 の機会をいただいたのだと感謝すると同時に、責任の重さを感じております。  私たちは、現在3本の柱を主体として活動しております。1つは、月刊誌『あおぞら 』の発行です。これは、正しい知識の普及のためであり、年2回の講演会は今の治療の 趨勢を伝え、正しい治療の選択の助けにしていただきたいという思いからです。  次に、患者による電話相談を行っております。電話による相談は、年間を通して毎週 火曜日と金曜日と第3日曜日に行い、年間1,200件から1,300件日本の各地から相談が寄 せられています。これらの相談に対して、私どもは患者の立場で精いっぱい助言をしな がら、治療が適切でないと思われる場合は専門医を紹介する、大体相談の約80%は専門 医を紹介するなどで対応しております。したがいまして、治療費に関する相談は活動の 性質柄私どもの会にはそういう問い合わせは少ないです。  従いまして、自分たちの活動を通して勉強していることはお話しできますが、治療費 という本日の題に対してお答えできるかどうかは分かりませんが、できるだけ努力させ ていただきます。  この後の説明は、栗山の方にバトンタッチいたします。 ○日本アレルギー友の会(栗山機関誌編集員)  まず、私たちの会のここ3か月の相談内容は、成人喘息が77件、小児喘息についてが7 2件、成人のアトピー性皮膚炎について30件、小児アトピーについて68件、その他花粉 症や食物アレルギーなどが55件です。  まず、そのような相談内容ということから、対象疾患の在り方について御質問に答え ていきたいと思います。対象疾患として症状の重いとか軽いで、その中でも現在の医学 ではまだ治療法が完全に見つかっていなくて、完治という状況に至ることが難しい、あ るいは通院に1人で通うことができないので支援が必要であるとか、長期の入院が必要 。あるいは入院の必要はないけれども、頻繁に通院をして治療に当たらなければいけな いというような状況の方。それから、治療状況としても、再発の可能性のために早期発 見するのに長期の通院で経過を見る必要があるとか、再発の心配があるとか、ほかの病 気を合併する可能性があるために、同じように長期の観察や通院が必要であるとか、治 療法が確立していない、あるいは治療法が確立していても、まだ広く順守されていない などの状況の方を対象にしていただけたらと思っております。  あとは、経済的状況というのは2番に譲ることにして、今申し上げましたように、例 えば入院が長期にわたるとか、手術などの費用が掛かるなどの場合や、費用の負担が大 きくて治療法が確立していないなどの場合は、費用の負担のほかに治療法の研究という 重大な課題があり、そちらの方を優先的に研究していただきたいと思います。  また、入院はしなくても長期の経過観察や長期の薬を連用するなどの必ずしも入院だ けではない治療をしなければならない方々も、その負担は大きいと思いますので、是非 対象としていただけたらと思います。  自己負担についてですが、ある程度の自己負担は今のような状況を考えれば仕方がな いと言わざるを得ないのかもしれないですけれども、やはり手術、差額ベッドなど多額 な費用が掛かる場合は、負担の限度額を考えていただきたいと思います。  それから、ほかのところでもそうだと思いますけれども、対象者が子どもであるため に親の収入が低いので、必ずしもそうとばかりは限らないでしょうから、家族の中の総 合的な収入に応じてということと、それから、例えば、ほかの兄弟も病気であるあるい は御両親様がかなり大変な状況であるというような場合なども、ただ家庭に入る収入だ けではない面で考慮に入れていただけたらと思います。  その次に、その他の福祉的サービスの在り方についてですが、お金の使い方の限られ ている中でそのサービスというのは大変なことだとは思いますけれども、支援するサー ビスは是非必要であると思います。中でも病気のお子さんを病院に連れていったときに 、大抵病棟の前で連れてきたほかのお子さんが遊んでいる中に入れないというような状 況がありますので、病院の中で預かってくれるようなサービス、あるいは病気のお子さ んに通院するとか入院のお見舞いに行くときに、ほかの兄弟を学校とか保育園で預かっ てくれるようなサービスというのが望ましいと思います。ただ、それは、この病気のた めにということではなくて、社会が子どもをどう育てていくかという働くお母様たち、 私たちの身近でもあったことですけれども、女医さんがお子様を出産なさって保育園に 預ける。でも、実際にそのお子さんが病気になってしまったときには、自分が病院を休 んでお子さんを見るか、だれかに頼んで出勤するという状況になってしまう場合もあり ます。ですから、ただ慢性疾患のためだけにそういうサービスをするのではなくて、そ うすると新たなお金や新たな制度や施設とかが要ることになりますけれども、そうでは なくて、子どもを産んで育てやすい環境をつくっていく中でこういうものも一緒に考え ていってほしい。例えば、今、同じように「健やか親子21」ということもしていらっし ゃいますが、働くお母さんとか病気のお子さん、障害のあるお子さんを一緒にみんなで 育てようという中で、このような福祉的サービスを考えていっていただけたらと思いま す。  あとは、登録データの解析についてですが、この研究の趣旨を十分に理解していただ いた上で御協力いただけるか、これを理解していただけるかということも、早い話が京 都大学のそういう新しい部門ができたというぐらい、新しい部門でありけれども大切な 分野であると思いますので、どうしたら理解していただけるかを十分に練っていただい て、御理解いただくように、その助けでしたら私たちもできると思いますので、どうぞ 御利用いただいて、この事業を完成させるために是非そちらの方の研究、理解してしい ただくための研究というのもしていただけたらと思います。  あと、この病気であることを知られることが嫌だという方たちもいらっしゃることを 理解し、研究の登録をするところが近くの保健所だけではなく、幾つか選べるようにも 考えていただけたら、協力をいただける可能性というのが増えていくのではないかと思 います。少なくとも、この研究に協力するという同意書に同意しなかったから補助の対 象から外すということだけは、是非是非やめていただきたいと思います。  そのほかに、情報の公平な伝達についてということなんですが、この事業があること がどこの時点で患者さんに知らされているのかということです。私たちが不勉強なのか もしれませんが、確実に伝わってこないと思います。ある方のお話によると、それがこ の事業とほかの自治体との兼ね合いの問題で、はっきりどの事業の対象だというのが、 私たちの方でも把握できていないのですが、例えば主治医があなたのところはは自動車 は何に乗っていると聞いて、軽だと言ったら、では、助成があるというお話をされたと いう例があります。要するに、収入に応じてということであれば、例えば自動車は何を 乗っているということではなくて、もうちょっときちんと公にある程度収入に応じて条 件がオープンにされていって、患者の方からも私はこれに該当するのではないでしょう か、もしかしたら、研究にも協力しますが、費用の方もいかがでしょうかというような ことが言えるような状況をつくっていただけたらと思います。  私たちの喘息の場合は、最近、小児に対しても治療のガイドラインが作成されたこと もあって、なるべく早期に正しい治療を受けることによって病気を悪化させずにコント ロールすることができて、長引かせなく寛解に持っていくことができるようになりまし た。  ただ、残念なことに、相談してくださる中には、それほど重症でもないのにいまだに 経口ステロイドを飲んでいらっしゃる方とか、それから、かなり重いのにステロイド吸 入の治療を受けていない患者さんがいます。是非せっかくできたガイドラインですので 、ガイドラインに沿った治療が全国どんな病院でもされるように、そういう研究事業と いうか普及事業をお願いしたいと思います。補助をしていただくのも確かに大切なこと だし必要なことですが、ほかの病気についてはいろいろな状況もあるかと思いますが、 喘息に関してはガイドラインを重視していただくことによって、かなり重くならないで 治療できるという例があると思います。ただ、そうはいっても喘息というのは物すごく 病気の状態に差がある病気で、やはり2年間も本当に生きる死ぬの発作を繰り返すよう なお子様も現実にいらっしゃるので、是非重い軽いということを慎重に公平に判断でき るようなシステムをお願いしたいと思います。  最後に、新しくできる生育医療センターの研究報告会に参加してまいりましたけれど も、その席で、社会全体で子どもを支えていくような仕組みをつくりましょうというお 話を伺いました。是非、病気の子どもたちだけではなくて、そういう子どもたちが育つ 環境というのはだれにとってもやさしい環境だと思いますので、是非そういう方面から トータルでの支援をお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○宮本補佐  ありがとうございました。  続きまして、全国IDDMネットワーク、近畿つぼみの会、つぼみの会の皆さんにお願い します。資料は23ページです。 ○全国IDDMネットワーク(井上理事長)  私たちは、小児糖尿病の3団体ということで、23ページにありますように、私は全国I DDMネットワークの理事長をしております井上と申します。  それから、こちらが主に近畿地区で活躍されている近畿つぼみの会の田沢さん。  それから、東京に本拠地を持つつぼみの会の常松さんでございます。  恐らく皆さん御存じだと思いますけれども、一応、病気の概要についても少し説明が ありますので、このパンフレット、今日カラー刷りのリーフレットをお配りしてありま す。これは一応IDDMネットワークの活動の説明と、中に少し図入りで病気の簡単な概要 を説明してありますが、糖尿病という名前ではありますけれども、主に小児期発症の糖 尿病は1型糖尿病と言われていまして、原因ははっきりしませんが、自己免疫的な作用 が働きまして膵臓のインスリン分泌能力がかなりの短期間になくなる。それに伴って、 インスリンが唯一の血糖値を下げるホルモンですので、それが今の場合では注射での投 与しかあり得ないということで、1日3回ないし4回のインスリン自己注射をすると同 時に自己血糖測定をしながら、今の段階では一生1日4回のインスリン注射をし続ける 。それが比較的小さな子どもの年齢から発症するという病気でございます。  この病気は、日本人の場合10万人に1人から2人という非常に発症率が低い。欧米で はその数十倍というところもありますけれども、日本は非常に少ないわけで、患者の数 も1つの病院ではなかなか患者会をつくれませんので、ある地域で患者会を構成してお ります。その連携を取る組織としてIDDMネットワークがありまして、そこに全部入って はいないんですけれども、連携を取りながら情報交換をしているという状況です。  それでは、順次質問項目に沿ってお答えしてまいります。  23ページから書いてありますけれども、少し長々と書き連ねましたが、簡単にポイン トだけをお話ししてまいります。  まず、対象者の在り方あるいは疾患の前提の問題だと思いますけれども、我々はある 固有の疾患の患者団体という立場から、余り他の疾患に対してこれがいい悪いと余り無 責任なことは言えないということを感じております。  それから、また、異なる疾患のQOLの比較というのも一概にはなかなか難しくて、 そういう意味の比較というのは慎重な議論が要るものではなかろうかと思っていますが 、強いてそういう意味の序列をつけるのであれば、ある指標としては、例えば一生涯に かかわる累積的な総医療費の額とかあるいは治療時間、どのくらいの時間を治療に費や すのか、あるいは治療の有効性というものから判断すべきかもしれないというふうには 思っております。しかし、いずれにしても、もう少し具体的に言いますと、今行ってい る治療をやめた場合にはこれがすぐ死につながるかどうか、つまり重症度という意味で は治療を止めることで死に直結するかどうか、そういう視点で判断されるべき状況なの かもしれないと思っております。そういう意味では、インスリン注射を今しながら生活 している子どもたちは、注射をやめると恐らく数日で意識がなくなって死に至るという ことは確実なことですので、そういう意味では非常に重症度の高い病気ではなかろうか と思っております。  それから、もう一つ考慮しなければいけないのは、対象年齢という問題があると思い ます。これまでもいろいろな団体から、小慢制度としては18歳ないし20歳で終わるのは 必ずしも合理性がなかろうというふうに思っておりますし、そういう意見も出ていると 思いますが、病気が必ずしもそこで寛解ないしは治るということがない病気もあります 。そういうものに関しては、年齢制限をつけるということ自体が余り合理性がないと思 いますし、できるだけ年齢を延長した、つまり、特定疾患のような別の制度での取扱い をきちんとやっていただけることを希望します。  次に、自己負担に関してお答えします。今、患者負担はゼロというわけですから、こ の延長上から考えてみましても、勿論、患者側としては自己負担はないにこしたことは ないわけです。それから、強く自己負担反対ということをとなえる患者団体や患者会は 勿論あります。それは非常に素直な反論だと思いますけれども、この小慢制度の見直し という中で自己負担がどうしてもやむを得ないという場合には、この制度をきちんとあ る法律に基づいた制度として、非常に安定した制度として整備されるということが、ま ず自己負担導入の最低条件だと思います。  それから、もう一つは、仮に自己負担が入ったにしましても、特に生命をつないでい くための最低限必要な薬品類というものに関しては、やはり無料で支給されるべきもの かと思っております。欧米の幾つかの国では、このインスリンに関しては無料で支給す ると。それ以外の一般的な診療報酬に関しては、勿論算定されて自己負担の部分はあっ たにしても、できるだけ本当に命を永らえるに必須な薬品というのは、基本的に無料支 給されるべきものではなかろうかと考えております。  それで、もし、自己負担が導入されるとして具体的な在り方としては、私たちとして は、まず基本的には定額制がよかろうかと思っております。それを月1回の支払いで、 診療の回数にはよらず月1回ある定額制で払われるのがベストではなかろうかと。その 金額も500円なり1,000円程度ということで、この辺も特定疾患とのバランスから見ても 、そのような金額が妥当なのではなかろうかと思っております。  それ以外の方法としては、例えば、定率性つまり患者が窓口で払う費用の何割かを負 担せよと。例えば10%とかあるいは所得に応じた支払いということもあり得ましょうけ れども、基本的にやはり徴収の事務的な作業もかなり煩雑になるということも予想され ますし、それから、もう一つは、それぞれの疾病によって治療費が大きく異なります。 それをある画一的な所得とそれに応じた自己負担という、今、児童福祉法の中でやられ ているような育成医療、ああいう決め方ですと、疾病間の治療費に応じた比率が変わっ てきます。これは、いわゆる援護率とかあるいは公費負担率という言い方で呼ばれるの でしょうけれども、そういうものの不公平感をなくすような配慮が必要なのではなかろ うかと、その辺が課題ではなかろうかというふうに感じております。  こういうことも考え合わせてみますと、そういう不公平感を出さないためにも、でき るだけ定額的で、しかも比較的低い金額に押さえるべきではなかろうかと思っておりま す。  あと、ほかの制度との公平性という視点の議論もありますが、これに関しても特にい わゆる難病者、障害者というのは法的にも割と手厚く保護されていますし、それから、 地方自治体による償還の制度もありまして余り患者への負担というのは高くならないよ うに抑えられているわけですけれども、内部疾患とか、いわゆる難病に属するものは、 比較的そういうものの法律による援助が不十分だということもありまして、その辺の比 較の問題が1つあると思います。  それから、特定疾患にも数年前に自己負担が導入されたわけですけれども、これも必 ずしも社会的な要請というよりは、いわゆる補助金制度としての予算減額という中で仕 方なく導入されたというふうに思っておりますので、余りそういうものと比較すること 自体それほど意味があるとは思いません。  それから、3番目ですが、福祉的なサービス在り方についてですけれども、いわゆる 医療費の公費負担という制度と福祉的なサービスというのは、ちょっとカテゴリーが違 うと我々は認識しております。ですから、こういう手段的なものと目的的なものという 見方で、社会資源をどう配分するかという議論にもなるのでしょうけれども、基本的に は違うカテゴリーのものを1つの予算の中の振り分けでやろうということ自体が少し無 理な議論かと思いますので、社会的な有効性とか公共性という理由でサービスの方へ少 しお金を振り分けられて、自己負担の公費負担の方の予算が減るということ、これもち ょっと問題かなと思っています。その辺を是非慎重に御議論いただきたいと思います。  具体的に、私たちの糖尿病にかかわる部分で少し考えますと、サービスとしましては 、1つは、先ほど申しましたインスリンという薬剤は命をつなぐ、本当にこれがなけれ ば生きていけないお薬ですので、まずは災害時とか非常時に薬の供給体制をきちんと取 っていただきたい。具体的には、阪神・淡路大震災のときに、その日から使うインスリ ンに困った患者がたくさんいました。そのときには、行政も医療機関も何もできずに、 まさに地元の患者会がうまく連携を取りまして急場をしのいだという経験を我々は持っ ております。  それから、もう一つは、この製剤はすべて海外で生産されていまして、そういう意味 では、国際紛争などのそういう危機の状態のときに、いかに国内にある量をきちんと確 保しておくか、その辺の配慮も是非お願いしたいと思います。  もう一つは教育の面ですけれども、いわゆる難病の子どもたちができるだけ普通学級 でほかの子と一緒に授業・教育を受けられるということが、勿論本人にとってもそうで すけれども、健常な子どもたちにとっても、そういうハンディキャップを持った児童生 徒と一緒に授業・教育を受けるというのは非常に大事なことですので、是非こういう配 慮を。  それから、もう一つは、教育側の先生、要するに教師やその管理者たちにきちんと難 病の教育をしていただきたい。これは地域保健という意味では保健所の仕事かもしれま せんけれども、基本的に学校側の教員に対する難病教育ということの重要性も我々は感 じております。  それから、難病そのものが社会的な認知を得るためには、マスコミほかそういうPR 活動へも是非行政として支援していただきたいし、特に、やはり就職にかかわる差別的 な扱いがなかなか、特に民間企業では病気を持っていることを承知でなかなか入社を許 可しません。その辺の配慮も、これから何か法的なバックアップをお願いしたいと思っ ております。  あと、小児の難病者を抱える家族への経済的な支援、それから、そういう患者家族会 への行政からの支援というものも非常に大事かと思っております。やはり医療機関には 医療者、医師から与えられる患者側の情報と、患者同士の情報交換ということの重要性 、これは全然性質の違う情報にもなりますし、それから、精神的なバックアップという 意味では、やはり同じ病気を持つ患者あるいはその家族同士のコミュニケーションとい うのはとても大事です。そういう意味でも、是非行政にもそういうところへお力をお貸 しいただきたいと思っております。  登録データの解析につきましては、ほかの皆さんがおっしゃるとおり是非うまく活用 していただきたいし、この趣旨をできるだけきちんと周知していただけるように説得を していただいて、できるだけたくさんの参加率を得るということ。ただし、そこでやは りプライバシーの問題も是非気をつけていただきたいし、それから、もう一つは、実際 のデータを取る内容あるいは解析の方法についても、もう一度御専門の方々の意見で見 直しをしていただける部分もあるのかなと思っております。  最後に、その他ということで少し長々と書いておりますが、1つは、この小慢の制度 の運営上の問題として3つほど掲げております。  1つは、この小慢制度の周知徹底が不十分な事実があります。つまり医療機関や医師 によってはこの制度を知らない、契約医療機関という形で地方自治体との契約関係にあ るんですが、実際にはそれをなかなか知らない。ある時間が経って気がついて、あなた のお子さんの病気はこの小慢の対象ですよと。ところが、この制度というのは申請制度 ですから、本人が申請するまで使えないんですね。しまったと思って振り返っても、半 年前から実はそうだったんだけれどもと言ってもこれは基本的に受け付けてくれません 。自治体によっては3か月まで猶予を見ましょうとかありますが、患者あるいは患者家 族の意思にはよらず、それを知らされずに使えないでいたということがあります。これ はやはり困る話ですので、こういう制度があるということの周知徹底を是非お願いした いということ。  それから、地域保健法の改正に伴って、それまで医療機関申請だった制度が保護者申 請、つまり保護者が保健所に足を運んで申請をするというふうに変わってきています。 ですが、これは保護者に申請をすること、それから、医療券を取りに行って2回保健所 に足を運ばせて、しかも、そのときに今度は診断書を医療機関からもらうということで 、そこで文書料としての費用を徴収される例が多いんです。そういう意味では、時間も 費用も、それから、また労力も掛けてようやく申請してという形になりますので、これ は保健所としてはそういう地域の難病者をちゃんと数量も把握するという意味ではいい のでしょうけれども、それを本来はサービスに反映させるというのが保護者申請に変え た理由なのでしょうが、その辺がなかなかうまく活用されていないですね。その辺のこ とを考えますと、やはり医療機関申請の方が、そういう意味では漏れや患者の家族に対 する負担も減るということで、できれば医療機関申請にもう一度戻していただけないか なということを考えます。  それから、あと、更新は一応、毎年更新にはなっているんですが、疾病によって毎年 毎年その状況が変わるわけでもありません。特に、1型の糖尿病というのは一生ほとん ど自分でのインスリン分泌においては完全ない病気ですから、これに関しては、例えば 2年とか3年とか複数年の更新ということもあってもよろしいのではないかと思ってお ります。  それから、先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり難病者、障害者の認定を取 れるかどうかということですね。特別児童扶養手当とか障害基礎年金というのは、一応 、障害者の認定基準に沿ってはいるんですが、実際に1型糖尿病はある地方によっては それをもらえているところがありますけれども、地方によってその考え方が少し違うみ たいです。そういう意味では、できるだけその辺の判断基準を全国的にきちんと統一さ れることと、それから、やはりインスリンの本来の機能であるインスリン分泌というの が全くないわけですから、ある意味で臓器の一部が欠如しているに等しいわけで、それ は障害者の2級にほぼ匹敵するのではなかろうかと我々自身は思っております。  3番目ですが、やはり疾患によって、特に1型の糖尿病というのは18歳とか20歳で終 わる病気ではありませんので、できるだけ特定疾患へ認定ということも、勿論、母子保 健課の管轄の対象ではありません。疾病対策課の方の領分でしょうけれども、そういう 行政的な縦割りの仕切りの中で、年齢があるところで決まってしまうということ自体が 余り合理性がないはずですので、できるだけ横断的な連携を行政の方で取っていただい て、その辺の問題をお願いしたいと思っています。特に、1型糖尿病、小慢の糖尿病は たかだか6,000人ですので、これが全年齢まで伸ばしてもせいぜい3万人以下ですから 、十分に5万人以下であろうという特定疾患の要件を満たしておりますから、その辺へ の考慮も行政の横のつながりの中で是非御配慮いただきたいと思っております。  最後に、小児医療についてですけれども、診療報酬の問題もあるのでしょうが、小児 科の赤字とか小児病院の経営が苦しいというようないろいろな話は聞きます。それに連 動してでしょうけれども、小児科のお医者さんになる医学生がだんだん減ってきている と聞きますので、やはり小児の病気というのはほかの大人の病気と比べまして、親に対 するケアも含めてかなりメンタルなケアというのが小児科医に求められますし、そうい うものが逆に精神的なよりどころになっているわけですから、是非、小児医療に大変す る行政的な配慮をお願いしたいと思っております。  以上です。 ○宮本補佐 ありがとうございました。  続きまして、つくしの会さんにお願いいたします。資料は29ページからになります。 ○つくしの会(水谷会長)  初めまして。つくしの会の会長の水谷と申します。隣にいるのが、副会長の堀越と申 します。  初めは、つくしの会の概略を副会長の堀越より説明させていただきます。 ○つくしの会(堀越副会長)  堀越です。  先ほどちょっと資料を配っていただきましたけれども、裏に入会案内とありますが、 それの表に「つくしの会の紹介」という紙がありますが、ここに概略が書いてあります けれども、ここでつくしの会と、それから、軟骨無形成症という病気についての概略の 説明をまずさせていただきたいと思います。  つくしの会というのは、軟骨無形成症の患者と家族の会ということですが、軟骨無形 成症というのは、以前には軟骨異栄養症という言われ方もしておりまして、世界的に統 一的な疾病名ということで「軟骨無形成症」というふうに近年修正されたものです。  私たちの会としましては、この疾病に対して、まず原因の究明と治療法の確立という ことを推進することと、それから、疾病による社会的な不利益の解消を目指す、それか ら、会員の相互の交流と親睦を図るということを目的にして活動しております。  それでは、軟骨無形成症とはどんなものかということなんですけれども、基本的には 四肢短縮型の小人症で、小人症の中でも、先ほど下垂体性の小人症のポプラの会さんの 方から紹介がありましたが、それとは異なりまして主に長管骨が伸びないことによって 四肢、両手両足が短いということで背が伸びないという病気です。発症は1万人から2 万5,000人とちょっと幅がありますが、その中の1人ということになります。  低身長の程度としましては、成人男性で130cm、女性で124cm程度ということです。  それから、低身長というだけではなくて、それ以外にもさまざまな合併症がありまし て、軟骨の形成が不全であるということで腰痛とか関節に障害があったり、それから、 頭蓋骨の中のある部分の発達が不十分なために無呼吸症候群ですとか、あるいは水頭症 等の脳神経の障害が発生することもあります。  この病気の原因としましては、近年、遺伝子の異常だということが言われておりまし て、常染色体の優性遺伝ということですので、基本的には発症率は50%ということです が、患者の多くは今のところ突然変異が原因として発生しているということがほとんど でございます。  治療法としましては、染色体の異常ということですので、これといった根治的な治療 法というのは今はありません。現在行われているものは脚延長術と言いまして、骨を切 ってそれを徐々に伸ばしていくという外科的な治療、それから、成長ホルモンを投与す るようなことによる治療で身長を伸ばすような治療が行われております。  それ以外にも、年齢を重ねますと先ほど言いましたように、腰痛といったところの問 題とか、それから、脊柱管狭窄に起因する下肢痛とか、それから、間欠性跛行等の問題 もございます。  現在、会は全国で460名程度の会員で、北海道から沖縄まで全部で17の支部で構成さ れております。それと別に、患者本人の会も同時に活動をしているということです。  これで病気の紹介と会の紹介を終わらせていただきます。 ○つくしの会(水谷会長)  続きまして、29ページのつくしの会の関係団体ヒアリングの意見は、まず、このヒア リングに対しては特定の疾患ではなく制度全体の在り方についての御意見をいただきた いとありましたので、このような書き方になりました。  まず、この小慢の制度としての設置目的で、この資料の1ページにありますように、 設置目的というのは「小児慢性特定疾患の治療研究事業を行い、もってその研究を推進 し、その医療の確立と普及を図り、併せて患者家族の医療費の負担軽減にも資すること を目的として、医療費の自己負担部分を補助する制度である小児慢性特定疾患治療研究 事業(小慢事業)が昭和49年度以来実施されてきたところである」とあります。この小 児難病としては、この制度というのは世界に例を見ないすばらしい制度であると思って おります。その制度が予算の減少で続けられなくなるのであれば、法制化なり例えば一 部自己負担になっても、これは是非存続していただきたいというのが我々の会の意見で あります。  ちょうど平成4年に第1回目の法制化の話があったとき、うちの会はそのときも賛成 したんですけれども、平成4年のうちの会報の記事がありまして、その会報の記事を読 んでみたいと思います。これは、私の会長あいさつの中で書いた記事なんですけれども 「その一方で、今回これまで予算という制約の中で行われていたさきの小児慢性特定疾 患を法制化することで内容を充実させたい。それに伴い、患者に一部自己負担をさせる という見解を発表しました。今までの既得権をしながらその恩恵を受けている者にとっ ては誠に耐えがたいことでありますが、財政事情の悪化でいつ廃止に追い込まれるか、 また、既得権が永久不変のものになってしまうと、これが各種制度の硬直化を来す一因 となることも事実であります。現状では医療費の公費負担をよいことにして、成長過程 という重要な時期に当たる子どもたちの教育の対応が遅れており、一部児童を対象とし た養護学校や数少ない院内学級の設置のほかは具体的支援体制がなされていません。し かし、慢性疾患を持つ親や家族は、教育や在宅の日常生活のさまざまな場面での支援を 望んでいます。例えば、病院内における院内学級の設置や訪問教育の推進、在宅ケア、 地域における医療の確保、訪問看護やホームヘルパーの派遣、長期入院や遠方から来院 する患者家族のための宿泊施設の提供等、福祉のニーズの多様化といった現状の中では 、一部自己負担になっても法制化により医療、教育がより充実され、福祉的配慮に欠け た医療行政が大きく前進するならよいと考えています」という見解を発表しました。そ の時点ではなかったことで、対象者の見直しというのが今回盛り込まれていることにつ いて、一言意見を述べたいと思います。  29ページにある対象者の在り方についてですけれども、現在、小児慢性特定疾患治療 研究事業「小慢事業」の対象とされている疾患は、一般に難病と言われている疾患であ り、この疾患を持つ患者や親は治療における経済的負担だけではなく、治療にかかわっ て費やされる膨大な時間、精神的不安感、社会的差別などのさまざまな問題を抱えるこ とになっています。したがって、それぞれに苦労している問題が異なると思うので、一 方向からの見方だけで対象から外すのは問題が大き過ぎると思います。問題はここなん です。難病患者というのは必ず合併症を持っているんです。少なくとも5つや7つぐら いの合併症は各疾患の患者は必ずあると思うんです。我々の疾患で言えば、先ほどちょ っと紹介がありましたけれども、脳神経で言えば頚椎や大後頭孔が狭いために起こる水 頭症、また、呼吸器系統で言えば無呼吸、内中耳炎、また、骨の疾患で言えば腰痛、関 節等の障害など、合併症を含んでいる疾患であるということをまず第1条件にしていた だいて、この一部見直しという、ただ疾患で切るのではなくて、そのような合併症があ るんだということをまず最前提に置いて、もし、見直しをされるのであるならば、そこ を十分考慮していただきたいと思います。  また、自己負担については所得をきちんとした自己負担を考える場合、いわゆる一番 多いサラリーマン層の年収の低いところを目安にして負担を考えていただきたいという ことです。  まだ、若干時間がありますので、福祉的サービスの在り方については、先ほどからあ りますように全体のことを考えて言えば、先ほど言ったように、難病の治療機関のほと んどが大都市に集中していますので、いわゆる地方から来た方々が治療を受ける場合、 親が二重生活を強いられることになりますので、やはり子どもの近くに一緒に滞在でき るような施設を是非つくっていただきたいということです。  また、専門医がとても少ないので、いわゆるカウンセリングとかそういったものを是 非つくっていただきたいと思います。  それから、登録データの解析については、当然データとしては各病院間の連絡がない ために全国的な統計が取れないので、是非この統計を取っていただきたいんですけれど も、その解析結果を厚生労働省で囲い込むのではなくて、広く活用できる、例えば、一 地方の患者の方が何かの形ですぐこの病気のことに対する情報が得られるという情報を つくっていただけるのであれば、このデータは必要だと思います。  最後に、大切なことは、難病の子どもや親が病気であっても希望をなくさないように 前向きに生きていけることであり、これを支援していけるような施策の確立を望みます 。希望をなくさないというところに、先ほど言った小慢の医療費控除というものが非常 に大きな支えとなりますので、ほかの制度にない現状ですので、是非これが法制化にな って一部自己負担になっても存続をしていただきたいと思っております。  以上をもって終了いたします。 ○宮本補佐  ありがとうございました。  続きまして、無痛無汗症の会「トゥモロウ」さんにお願いいたします。資料は33ペー ジからになっております。 ○無痛無汗症の会「トゥモロウ」(近藤事務局長)  無痛無汗症の会です。今日は患者の声を聞いていただけるということで、貴重なお時 間を設けていただきましてありがとうございます。  現在の事務局長をさせていただいている近藤です。  前事務局長の馬場です。2人で発表させていただきます。  無痛無汗症という病気の説明をちょっとさせていただきたいんですが、神経の病気で 痛みの神経がないということと、汗腺があっても汗がかけないという病気なんです。こ れを私も子どもが生まれて初めに聞いたときに、痛みを感じない、汗をかかないのかと ただそれだけでした。お医者様もそれだけしか説明してくださらなかったんですが、実 際育ててみて痛みがないということはどういう状態になるのか、汗をかかないというの はどういう状態になるのかということをちょっとお話ししたいと思います。  生まれてすぐ体温調節ができなくて高熱で入院しました。それから、歯が生え始めま すと、歯が生える違和感から歯をいじって抜いてしまったり、自分で指をかみ切ったり 、舌をかみ切ったり、口の中はいつも血だらけです。それから、気に入らないことがあ りますと自傷行為が始まります。頭を壁にどんどんぶつけたり、高いところから平気で 飛び降りて、骨折しても笑って歩き回ったり、そのような状況になります。  それで、骨折して入院したときにどのような状況になるかといいますと、まず、普通 の治療のように牽引といって両足に重りをつけて引っ張るんですけれども、本人は痛く ないので体を動かします。骨はつきません。うちも大腿骨骨折で半年入院ましたが、骨 は結局つきませんでした。それで、何が始まるかといいますと、何も痛くもかゆくもな いのに自分はベッドに1日じゅう抑制帯もつけられて縛りつけられて、足は引っ張られ て、そういう状況になるので、自由に動かせる両手の指を全部かみ切ります。それから 、ストレス性の喘息のすごい発作が始まりました。  こういう状況になりますので、長期入院はさせられないというのが私たちの親の会の 暗黙の了解になっているんです。ところが、1番の対象者の在り方のところなんですが 、神経筋疾患部門に入っていますので、1か月以上の入院費しか出ないという状況です 。1か月なんてとんでもなくて入院させられないというのが現状なんですが、このよう な病気の性質上、通院費の補助というところまで拡大していただけたらという希望があ ります。  それから、やはり利用しているのは、小慢に入って3年なんですが、最初の年度で6 〜7人と母子保健局の方からお聞きしました。利用している患者が少ないからといって 対象者から外す、対象疾患から外すということは避けていただきたいというのが2点目 です。通院拡大が1点目、利用者が少ないからといって対象疾患から外さないでいただ きたいというのが2点目。  それから、何でもない状況のようであっても、次第に関節は破壊されていきます。体 の動かし方を学習してこられなかったので、小さいときに洋服を脱ぐときも平気で肩の 関節を外したり、平気でどこの関節も外して脱いでしまったりとか、そういう状況にあ りますので、積み重なってどんどん関節が悪くなってシャルコー関節という状態になり ます。今はよくても明日どうなるかわからないという状態ですので、重症度で助成の有 無を決めるのは望ましくないと思います。  それから、3番の方になるんですが、その他の福祉サービスの在り方のところで、障 害者認定をしていただきたいということで、私たちは5年前に厚生省に陳情したことが あります。機能がない、痛みを感じる神経がない、汗をかかせる神経がない、これは実 質障害者ではないかということで陳情を行ったこともありますが、そういう体の状態で 生命維持のために必要なものが、汗をかかないということに関しては、夏、蒸し暑くな ってきたときに身に付ける小さなアイスノンがいっぱい入るクールベスト、それから、 クーラーは必需品です。夏場はクーラーががんがんきいた車でしか外出できません。そ れから、クーラーの電気代は大体3万円ぐらいになります。体温調節できないというの は夏場だけではなくて、冬場も低体温になります。暖房を掛けっ放しでないと寝られな いという状況もあります。  それから、無痛については、痛みを感じないので病気の説明をさせていただいたんで すが、車いすとか装具とか、あと歯にマウスプロテクターというのをはめて、指をかみ 切ること、舌をかみ切ることを防ぐものがマウスプロテクターなんですが、それも必要 になります。  このような状況ですが、細かいことから言えば、汗が出ないということで手がかさか さになって角質化して、そこからばい菌が入って骨髄炎というのはみんな経験するんで すが、そのために保湿クリームは必需品ですし、傷がたえないのでガーゼも普通のガー ゼではなくて、滅菌ガーゼとばんそうこうなどもかなりの額になります。  このような病気に関しては福祉サービスをいただけたらなというのと、病気の子ども をいつも介護している、主に母親なんですけれども、レスパイトのようなホームヘルパ ーのようなものもあったらいいなと思います。  それから、5番にいきますが、遺伝疾患のために家族の中に兄弟2人がこの病気とい う者も多いです。うちの会では60家族のうち9家族が兄弟で無痛無汗症です。あとから 生まれてくるお子さん、次から次からやはり4分の1の確率で生まれてきますけれども 、去年も下のお子さんで2人無痛無汗症のお子さんが生まれています。そのような状況 がありますので、自己負担ですとか対象者の在り方ですとか、兄弟例もいるということ も考慮していただいて検討していただけたらと思います。  では、2番と4番とその他に関して、馬場の方から説明します。 ○無痛無汗症の会「トゥモロウ」(馬場役員)  馬場と申します。発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  まず、2番の自己負担の関係。基本的には、先ほどの糖尿病の会の方の意見とほぼ同 意見でございます。ある程度の自己負担はしようがないですけれども、負担のレベル、 先ほどサラリーマンの所得ということがちょっと出ましたけれども、ただ、私どもの子 どもたちは将来、親が亡くなった後、いわゆる障害基礎年金というもので暮らしていか ざるを得ないという状況が来るのだろうと思います。そうしますと、そういう収入のレ ベルもやはり考えていただく必要があるだろうと思います。そんなに大きい金額では勿 論ありません。そういう中でも負担できる金額を是非御検討いただきたいなというふう に望みます。そういう意味では、余り高い金額になるのは非常に困るなというところで ございます。  それから、家計の所得に応じた負担ということが出ておりますけれども、これにつき ましては、少しおかしいのではないかなと。ということは、私どもは、いわゆる所得税 なり地方税の負担を所得に応じてして、こういう制度も税金で運営をされている。しか も、この補助をいただくに当たって、またその所得に応じてということになりますと、 これは二重の負担ということになるのではないかというふうに思います。そういう意味 で、所得に応じた負担ということも基本的に少しおかしい面があるのではないか。ただ 、かなり幅がありますので、毎年億単位の収入があるという方についてまでどうかとい うと、ちょっと話が変わると思いますので、そのレベルについては、ものすごく負担を しても何とも思わないようなレベルということを考えていただけるならば、これはある 程度仕方がないと思いますが、そういう意味で一般的なサラリーマンぐらいの年収とい う意味のところでは、公平に扱っていただきたいなというふうに思っております。  それから、所得に応じてという場合に、必ず所得を見られるわけですね。そういう意 味でプライバシーの問題。これはあるないにかかわらず、課税職員に見られるのはしよ うがないんですが、その他の職員に簡単にデスクで見られると。そういう意味では、障 害者ないしはその障害者を持つ親は、こういった面でプライバシーというのはないのだ ろうかと、そういった面も気持ちのいいものではないなというところで、プライバシー の保護ということに所得制限ということになった場合には、十分に配慮できるような実 際の運用ということが重要ではないかというふうに思っています。  それから、そのことが4番の登録データの解析。そういう意味で、非常に病気の解明 なり治療法を進めるという意味でデータを提供するというのは、非常に重要なことだろ うと思いますし、ただ、そのために先ほども御意見が出ていましたが、やはりそういう ことがスムーズに受けられるような、主に私の観点から言えば、プライバシーの保護と いうふうなことが十分に行われて、私たちも安心してそういうデータを提供できるとい うことの運用制度というものがされるということが重要なことではないかと思います。  それから、さっき近藤からも申し上げましたけれども、障害手帳の件です。私どもの 無痛無汗というのは体の重要な機能が生まれつき失われているということで、これによ って健康の維持ないしは生命の維持ということにも危害が及ぶ危険が多分にあるわけで す。こういうものに対しては障害として認定を受けて、早いうちから、例えば車いすを 利用する。そのことによって、長い距離を歩けないにしても、短い距離の歩行という最 低の機能を維持することができるわけです。最近の小さい子はそういうこともできるよ うになっています。そういう意味で、障害者としての障害手帳を交付いただけるという ことは非常に意味のあることですし、実際に将来的に掛かる費用というものの軽減とい うことにもつながってくるのだろうというふうに確信をしております。そういう意味で 、小慢ということとはちょっとずれるかもしれませんが、こういう体の機能が損なわれ ているという意味で言えば、手足の機能を損なわれているないしはそれ以上のことと同 じ、ないしはそれ以上のことではないかというふうに思いますので、こういった点での 配慮ということも法的な改定ということも是非必要ではないかというふうに思っており ます。  以上でございます。どうもありがとうございました。 ○宮本補佐  ありがとうございました。  続きまして、XPひまわりの会さん、お願いいたします。資料は39ページからです。 ○XPひまわりの会(長谷川事務局長)  XPひまわりの会の長谷川と申します。よろしくお願いします。 ○XPひまわりの会(川俣事務局長補佐)  川俣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○XPひまわりの会(長谷川事務局長)  本日は、このような場を与えていただきましてありがとうございます。  XPひまわりの会は、色素性乾皮症の患者、子どもを持つ親が集まった会なんですが 、会の活動内容に関しては、後ろについております「XPひまわりの会」という資料を 読んでいただくようお願いいたします。XPひまわりの会というのは、東京医科歯科大 学に集まる患者が中心となって今活動しているんですが、あと大阪の阪大と神戸の神戸 大学にもそれぞれXPふれっくるの会、色素性乾皮症友の会というふうに親が集まって 活動しているグループがあります。一応、連絡を取り合っておりますので、代表として XPひまわりの会ということでここに来させていただきました。  まず、色素性乾皮症というのは、疾患、患者の状況というのがなかなか把握できてい ないようでして治療法がまずない。治療法がないということは、はっきり言って治療費 というものは掛からないかもしれません。ただ、毎日の生活をしていく上で必要なケア 用品というのでしょうか、そういうふうな費用というのは掛かります。そういう治療方 法がない、どんどん症状が進行していくというふうな疾患であるということを頭に置い て聞いていただきたいと思います。  まず、対象者の在り方について。ここに書きましたけれども、とにかく小慢というの は子どもの健全な育成を守るための制度というふうに理解しておりますので、子どもが 成長する上で必要な援助というのはすべてお願いしたいと思っております。ですので、 患者数が多い少ない、症状が軽い重い、治療費が多い少ないというふうなことではなく 、不公平感のないように間口の広いものであってほしいと願っております。現状では、 地域によってあるいは疾患によって18歳の年齢制限が20歳に延長されているというよう なことはあるようなんですけれども、同じ色素性乾皮症の中にも18歳で切られてしまう という地域もございます。ただ、乾皮症の場合は神経症状がどんどん進んでいきますの で、ある年齢になりましたら身体障害者の手帳がいただけます。それで、かなりいろい ろ支援をいただけるんですが、例えば東京都の場合、昨年より身障者の医療費助成の収 入制限というのが厳しく設けられまして、乾皮症に限らず身障者の医療費というのは自 己負担がかなり入ってきております。しかも、子どもというのは兄弟もいます、兄弟の 教育費も掛かります、親もある程度年齢的に若かったりというふうなことで、本当にい ろいろな面で掛かるようになってきています。実際、私の場合も収入制限で身障者医療 費助成は受けられなくなりました。でも、東京都は20歳まで延長していただいています ので、また小慢に切り替えて、とりあえず医療費というのは今のところ助けていただい ております。でも、やはり地方によっては18歳で切られてしまうというところもありま すので、そのような不公平の出るようなことでないものに考えていただきたいと思いま す。あと、患者を選ぶような方法は是非避けていただきたいと思います。  ただ、身障者の医療費助成や何かを受けられると言いましても、その他福祉サービス なり、色素性乾皮症というのはとても特殊なもので太陽の光がだめなんですね。紫外線 を避けるためにいろいろ特殊な用品が要るわけなんです。たしか、検討会の第2回の資 料10というところに、いろいろ福祉サービスや何かを挙げていただいている項目がある んですけれども、そこを見ていただいてもわかりますように、いろいろ特殊なものが必 要です。紫外線をカットするフィルムですとか、衣類ですとか、顔に塗るクリームです とか、そういうものが全部医療費ですとか福祉サービスの範囲外なものですから、すべ て自己負担になっています。更に、症状がどんどん進んでいきますと、いわゆる本当に 重度の障害者というふうな生活になりますので、紙おむつですとか消毒やら酸素やらカ テーテルやら、本当にありとあらゆる医療用品が必要となってきます。そういう障害者 の等級に当てはまる項目がないために、患児にとって必要な薬ですとかケア用品の援助 が受けられないというふうな、乾皮症に限らずそういう疾患をしっかりカバーしていた だきたいなと思っています。  この対象者の在り方についてというところは、やはり子どもの命に優先順位というの はつけられませんので、予算減少を避けるために患者を制限するという方向ではなくて 、今の不安定な制度というものを法で守られたものにするというふうな方向で是非御検 討いただきたいと思います。やはり、法で守られた、安定されたものというのは、子ど もを育てていく上でも子どもを産むという意味でも安心して育てられるものであってほ しいと思っておりますので、よろしくお願いします。  それから、自己負担についてなんですが、今の世の中の情勢を考えますとやむを得な いと考えております。しかし、本当に患者側の苦渋の選択であり、小児難病というのは 専門の医院ですとか医療機関というのが本当に限られていますので、遠方からの患者が 通院をするときあるいは重度の方が通院に利用する交通費、例えば、ストレッチャーが 入るような大きなワゴン車に運転手さんと看護婦さんをお願いして、両親もついて手動 で呼吸器を使いながら通院という場合もあります。1回に5万円掛かるというふうに聞 きました。そんなにしょっちゅう行くものではないでしょうけれども、やはり気管切開 をしていたり胃瘻していたりというような状況では、やはり家庭内だけではケアできな い部分がありますので、やはり年に何回かは必ず通院、入院の必要が生じるわけです。  自己負担というのは医療費だけではなくて、先ほども言いましたように、いろいろな 制度からはみ出してしまったもの、でも、子どもには絶対必要なものへの出費。それか ら、やはり通院、入院している間にかさばります残された兄弟ですとか家計への負担と いうのは大きいと思います。そういう表立たない出費というものがあることを忘れない でいただきたいと思います。  また、患児を抱えた母親というのは掛かりっきりになります。状況がよくてもいつ呼 び出されるかわからない、そういうふうな状況では仕事を持つというのは本当に不可能 に近いと思います。ですので、経済状況というのは幾らお父さん収入がかなりある場合 であったとしても本当に不安定ですし、不安の毎日だと思います。  所得に応じた負担というのは当然かと思うんですけれども、本当に先ほど言いました ように、各制度とのすき間ですとか、または制度が重なることによって更に負担が大き くなるという状況があります。例えば、お父さんの所得がある程度あって制限をオーバ ーしてしまったというときに手当がなくなります。だけれども、今まで援助していただ いた分は自己負担をしなければなりません。ということは、二重になるわけですね。更 に、福祉サービスが受けられない場合があります。例えば、おむつは地域によって所得 制限があるので、自分で毎日買ってこなければいけないというような状況が生じる場合 もあります。やはり地域によって、親の所得だけではなくて、全世帯の所得が基準とな る場合もあるようなんです。そうすると、就労したばかりの若い兄弟の所得までが合算 されて、それでいろいろな福祉サービスが受けられない。だけれども、家族だけで何と かしなければいけない、そういう追い込まれた状況というのもありますので、どうぞ御 理解いただきたいと思います。  その他の福祉サービスの在り方について、子どもの健全な育成というものに家族が伴 うのは当然です。患児とともにその家族を支援していただけるようなサービスをお願い したいと思います。特に、乾皮症というのは治療法がないということは、とにかくよい 状況を保つための努力をするしか仕方がない、少しでも進行を遅らせることが親の努め となるわけなんです。ですので、学校教育への理解をお願いしにいくとか、いろいろ活 動する場面で説明をしたりとか、理解を得るということは本当に親の努力に掛かってい るわけなんですね。その辺、公的にこういう病気があります、こういう場合はこういう ふうにしましょうというふうなお触れでもいただければありがたいなと思います。やは り、症状が進行しましたら、医療ケアが必要となってきます。現状では、医療ケアを含 めたホームヘルプサービスというのはちょっと難しいようですので、制度としてホーム ヘルプサービス、レスパイトサービスというものがあったとしても、結局は使えないん ですね。やはり命と直結していますので、預けるということは親もそれだけの覚悟はあ るんですけれども、預けざるを得ない状況というのはやはりあるわけですので、その辺 りも御理解いただきたいと思います。本当に家族共倒れの不安を抱えながらの毎日とい うふうな状況になりますので、18歳以降どんどん状況が変化していきます。そういう変 化に伴う親の精神的な負担もかなりありますので、公的にいろいろ支えていただけると ありがたいと思います。  4番、登録データの解析について。どのように使われるかちょっと明確にしていただ きたいということがあると思うんですけれども、まず、今、医療費助成が主となってい る小慢事業だと思うんですが、治療研究という部分にもっと力を注いでいただけるなら 、データの内容、取り方の再検討も含めてお願いしたいと思います。勿論、ここにはち ょっと書きはしませんでしたが、プライバシーは守るということは最低限のことだと思 いますので、是非お願いしたいと思います。  治療方法のない疾患について治療方法発見に努めていただきたいと思うんですが、治 療研究という方に予算が取られて医療費助成の方が減少してしまうというふうなことが 起きないように御検討いただきたいと思います。その小慢の予算内で何とかするという のではなくて、必要な関係機関と連携を取っていただくとか、それだけの費用が必要だ ということで、国としていろいろ御努力いただきたいと思います。  その他なんですが、もう言ってきましたが、制度安定のために是非法制化をお願いし たいと思います。やはり、法で定められて安定したものでないと、子どもの命を預かる 親としても大変不安で仕方ありませんので、是非お願いしたいと思います。今は基本的 に18歳までということですが、20歳以降も子どもはずっと生きておりますので、うちの 子どもたちのようにどんどん症状が重くなることを考えましたら、20歳以降も是非何か 手だてを考えていただきたいと思います。ほかの制度へのスムーズな移行ができるよう にとか、何か小慢で小さいうちから引き続き援助していただけるような方法を考えてい ただきたいと思います。  あと、教育機関への理解推進。先ほど少し触れましたけれども、やはり同年齢の子ど もから受ける刺激というのは、患児にとってすごく大きいものだと思います。学校へ上 がるために親が苦労するわけなんですけれども、是非、公的にも援助をお願いしたいと 思います。  ちょっと川俣の方から、本当に重度になって家族共倒れというふうな状況を経験した 者の声を是非聞いていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○XPひまわりの会(川俣事務局長補佐)  大阪のXPの会の親をしておりまして、転勤で今はこちらに住んでおります川俣永子 と申します。  昭和50年生まれの息子のヒロトを19歳で最期を看取りました。家庭の中で息を引き取 りました。そのときに、最終的には家庭酸素療法、それから、気管切開はあえて私ども は選びませんでしたが、自己導尿、それから、吸引機が枕もとにありまして、あと大き な褥創を抱えておりましたので褥創の手当、最終的にそういういろいろな医療ケアをし ておりました。  乾皮症の子どもというのは、長谷川さんのお子さんが今やっと掛かり目といいますか 、神経症状が急激に出だす歳が14歳ぐらいからなんですね。14歳ぐらいから座位がとれ なくなったり誤飲を始めたり、自分のつばが飲み込めなかったりということが始まりま す。そういうときに、親はいよいよ来たかと思うんですね。先輩からは聞いていたけれ ども目先のこと、今詰まらせているから背中をたたこう、今顔色が悪いからどこか何か がおかしいのか、熱があるから誤飲による肺炎なのか、次々と起こりますことで対処し ていっているうちに脳の萎縮が激しくなって、最後、脳幹がだめになって半分以上、大 抵親の腕の中で息をほとんどしなくなって亡くなります。それはよかったねとお互いに 言うんですけれども、だから、医者に行こうと行くまいと、家にいようといるまいと最 後は突然息を引き取ります。  私どもの経験で言いますと、19歳で亡くなります5年程前から神経症状が激しくなり ましたときは、まず、1日の時間の回し方を申しますと、食事が基本的に3回。それに ジュースやらスープやらをチューブで落とします、エンシュアリキッドで落とします。 その道具の消毒、いろいろなものに掛かります前後の時間、それから、食事が終わって からげっぷが出ておさまりますまで、次に寝かすまでの時間やそういうものを見ますと 、やはり食事に前後4時間ぐらいは親の手を取ります。それから、吸引が10分から15分 ごと、せきをすることができませんので、たまったのはかならず吸ってやらないとすぐ 誤飲誤嚥いたします。それから、導尿は3時間ごとに正式な形の消毒をして導尿します 。そして、導尿したら尿を試験紙でアルカリ性が高いか、それによってナトリウム量を 調べたりいたします。それから、おしめは褥創が大体できますので、褥創の中に便が入 ったり尿が入り込んだりしないように、おしめ交換のたびにまた消毒があるんです。そ れがやはり1日に朝から夜で7回、夜中に2回くらい変えます。あとは、やはり便も出 にくいので摘便で出してやります折に、いろいろな手袋を使います。その手袋なども結 局、最終的にはお医者様がお使いになる手術用の薄い手袋が一番いいというのが何年か してわかりました。そんなことで、夜中も朝も昼もずっと看護がありまして24時間看護 になります。うちの主人もサラリーマンで働いておりましたが、夜中、私と主人とが1 時間半ごとに交替するんです。その間に両親片一方ずつ寝ます。主人はそのままふらふ らとサラリーマンで行っていましたけれども、よくやってましたと思いますけれども、 だから、そのころはもう死ねばもろとも、息子よりも1日でも長くして3人とも死んだ らいいわと思っていました。  思い切って人に預けることもできない。なぜかというと、それだけの看護をできるレ スパイトもショートもなかったんですね。ショートの通院サービス、通園サービスとい うのを受けましても、結局のこのことは看護婦さんがお出でになっても最後の判断は親 がしなくてはいけないから、すぐ走らなければいけない。だから、結局拘束されている けれども、自分以外の誰かが診てくださっているという解放感はあったんです。でも、 その都度いろいろなお金が掛かります。チアノーゼをすぐ起こしますので、最初はわか らないから酸素の缶をしゅーっと当てたら元気になるからと思って、それが月にすぐ1 万円、2万円になるんですね。だから、お医者様に言って、先生悪いけれども大きな酸 素のボンベをくださいと言ったら、あれは危険だからだめだから、それだったらという ことで、何ヶ月か1年か2年かO2の缶をこれだけ使っていて、実績で先生の独断で家 庭酸素療法というのを書いてくださいまして、それがやはり100万円ぐらい掛かる療法 らしいんですが、それは無料で支給されたり、それから、あと、先ほど長谷川さんが言 いましたけれども、5万円掛けて通院できるうちはまだいいんです。それは、体が丈夫 なときで計画どおりに動いているとき。来月の何日に通院しますから、先生、車の手配 よろしくと言えるときなんですが、大抵通院などというのは夢のような話で、すぐに誤 嚥性の肺炎を起こし入院しなくてはいけない。そうしたら、阪大やら医科歯科に選んで 行っている暇はない。医科歯科、阪大に行っても半年待ちのベッドを待っているゆとり がない。だから、近くの病院へまず飛び込みます。そこの病院では、勿論チアノーゼを 起こして死にかけていますから抗生剤を落としてやってくださいますが、必ずお日様に 当たれない、ほかのお子さんへの配慮を考えて個室になります。個室料金が1万円から 1万2,000円掛かります。それは、払うんですね。払い続けて10日間から12日間ぐらい 払う実績ができてくると、先生がいろいろ工夫して考えてくださって書いてくださいま す。  だから、そういうことで、一時にどのくらい掛かるかというと、本当に掛かるときは 月に30万円、40万円掛かるんです。でも、平静なときは月に医療費5万円ぐらいで済む こともあります。医療費控除で申請しました。ある年は136万円でした、次の年も140万 円ぐらい掛かりました。それは、医療費に入るだけです。何で高額医療にしないのかと 言われました。高額医療は残念ながら毎月コンスタントに7万円行くのが高額医療だっ たとたしか思ったんです。だからうちの場合はできなかったんです。  そんなことがありまして、長くなりましてごめんなさい、体力的にも精神的にも経済 的にも本当に親は最終段階支援というか、だれか助けてと思っているんです。でも、費 用のことを考えるのは親としてはふがいない。子どものことは全面私たちのお金でやっ てやりたい。でも、どうなるのという不安を抱えながら乾皮症の看護をしてまいりまし た。  長くなりまして済みません。失礼いたします。 ○XPひまわりの会(長谷川事務局長)  というわけで、とにかく激しく変化していく症状ですので、医療費もある程度何%負 担ですとか、そういうふうな形でしたら大変不安なんです。今回幾ら要るのかどうなの かというようなことで。ですので、是非設けるとしたら上限を設けていただきたい。と にかく、極力負担は少なくしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。 ○宮本補佐  ありがとうございました。  それでは、各グループから1名ずつ前のテーブルの方にお願いいたします。  それでは、質疑応答ですが、もう1人のヒアリング団体の方は後ろの控えの席から発 言いただいても結構です。それから、既に申しましたけれども、傍聴席からの御発言と いうのは遠慮をお願いいたします。  それでは、座長お願いいたします。 ○ポプラの会(星川会長)  先ほどちょっと落としたことなんですけれども、以前、委員の方から地域的な内分泌 の医療費の差が大きいとの御指摘、御質問があったんですが、そういうチェックは厚生 労働省でなさっているのでしょうか、自治体の方でなさっているのでしょうか。 ○鴨下座長  それでは、そのことはまた後でお答えできればお答えさせていただきます。ちょっと 時間が掛かりましたので、これから各団体の代表の方々と委員の間で質疑応答をさせて いただきたいと思います。委員の先生方、どうぞ自由に、最初に申しましたような趣旨 に従って何でも御質問いただきたいと思います。順不同です。 ○大久保委員  ポプラの会の方に伺いたいんですが、私の不勉強だと思いますけれども、製薬会社が 薬価の引下げにどのような努力をしたのかということで、日本だけが薬価が高いという ふうにおっしゃったのですが、他国の状況がわかればちょっと教えていただきたいんで すが。 ○ポプラの会(星川会長)  申し訳ないですが、他国の状況というのは詳しいデータというのは、何年か前に講演 会でお医者さんに聞いたことがあるんですけれども、日本が世界じゅうで一番高いとい うことは確かで、一番安いところはたしかイスラエルだったと思うんですが、そこの10 倍はすると。ただ、10倍といってもイスラエルは人口が少ないので、患者さんの数も少 ないということで、薬価の単価がどの程度かということも確かなデータは今はわかりま せん。 ○加藤委員  薬価の点は、数年前に研究班がたしかかなりいろいろな国を調査して、一般的には4 〜5倍ぐらいの高さというふうに聞いております。日本で高いのは非常に問題だと思っ ていますが、今はまた10%は下がるというふうに聞いております。今後とも下げていた だきたいと思っております。 ○小林委員  また、たくさん質問させていただきたいと思います。  ポプラの会の星川さんが、さっきお話の中で治療の必要な患者まで受けられないとい うふうにおっしゃっておられたんですが、その治療が必要なのに受けられないというの は一体どういうことなのかということが1点。  それから、日本アレルギー友の会のお話の中で、大変私は伺いながらもっともだなと 思いながらお聞きしていたんですけれども、この小児慢性疾患の検討会も、これまで治 療研究事業という医療費の補助制度について設けられたわけなんですが、いろいろ考え ていくと、こういう病気の子どもがQOLを高めながら暮らしていくには、治療研究事 業だけではちょっと足りないのではないかと思ってそういうような発言もしたことがあ るんですけれども、ここに健やか親子21と連携させてという御意見もあったんですが、 何かそういうもので具体的な御意見があったら、ちょっとお聞かせいただきたいと思っ ています。  それから、井上さんに伺いたいんですが、医療機関に申請を戻してというお話があっ たんですけれども、ここに書いてあるように、実は10年ぐらい前に当時、医療機関から 直接県に申請するという仕組みになっていたんですね。東京都は保健所だったんですけ れども、そういう仕組みになっていて、それでは在宅医療をこれからしていこうという 時代に、患者の実態が地域の中でつかめなくてそぐわないのではないかというようなお 話をさせてもらったことがあるんですけれども、患者さんの実態がこういう形になると 、地域の中でどういう暮らしをしているのかというのは、ここにあるとおりなかなかつ かめない形になってくると思うんですけれども、その辺についてどういうふうにお考え なのかお尋ねしたいんです。  それから、つくしの会の水谷さんなんですけれども、自己負担の中で所得を基準とし た自己負担を考える場合、最多数の所得層の負担が多くならないような配慮が是非必要 と考えますというようなお話だったんですけれども、この最多というのは一番多いとい う意味だと思うんですが、これは一番低い層という意味ではなくて、数が多いという意 味でいいのかどうか。  それから、ひまわりの会の長谷川さんが、さっきお触れを出してもらえるとうれしい というお話だったんですが、それは、よくハンドブックとかガイドラインというのをよ く患者団体で今つくっているではないですか。そういうようなもののことを指している んですか、それともまた別なものなのか。  ちょっとたくさんになりましたけれども、それぞれお願いしたいと思います。 ○鴨下座長  それでは、順番にお願いできますか。 ○ポプラの会(星川会長)  一番初めにありました必要な患者までということは、平成10年にかなり厳しくなった ということで、初めにデータを出す負荷試験というのをやりますね。そのときにデータ が出る、そのデータがかなり厳しくなったということです。データの査定が厳しくなっ たということです。 ○ポプラの会(香坂前会長)  今のお話に補足させていただきます。範囲が男子が156.4cm、女子が145.4cm、これに 達すると、この研究事業費の対象から外される。年間2cm以上伸びないと、やはり切ら れるということになったんですね。結局、伸びる可能性があるのに打ち切られるという ところをお話ししたかったんです。実際に、うちの子どもは今20歳でして、ちょうど打 ち切りのことで陳情とかいろいろやりました1998年ですか、そのころは160cmに勿論達 していなくて、毎年データを病院を通して出すときに、例えば、156.4cmを上回ってい るともう打ち切られてしまう。そのころの二次成長とか起きていない子ども、それから 、起きている子に対して治療方法というのはやはりいろいろ違うんですね。成長ホルモ ンだけでなく、ほかのホルモンも欠損があっていろいろな治療を受けている患者さんも 多いですし、年間3cm毎年伸びてぱたっと止まるわけではなくて、翌年2cm、その次1c mというような状況の中で最終身長、骨端が閉じてその子の身長がもう伸びないという ことはわかるんですが、こういう身長だけで打ち切られるということは、まだ治療の必 要がある子どもも受けられなくなる状況というのをお知らせしたかったんです。  身長というのは、皆さんもあれだと思うんですが、ぱたっと3cm年間伸びなくなって 止まるわけではなくて、思春期のころというのは急激に伸びる年間があって、だんだん に伸びなくなって年間何mmという感じで終わってしまうという、一番多感なときにぶつ っと打ち切られるということで、やはり本人にとっても長年やってきた治療がここで終 わるということは、それは自己負担になりますと、やはり体重に対して注射の量という のは決められていますから、本当に年間何百万という負担を小慢から外されればそれを 高額医療費で一旦窓口で50万円、60万円支払って、それで3か月、4か月後にその差額 が戻るということですが、経済的状況でそれを断念しなければいけない家庭というのが 本当に続々と出ていますので、その点、成長ホルモンの治療の対象者というのが負荷試 験で決定されるんですが、それも成長ホルモンというのは、実際に成長ホルモンの測定 がなかなか難しくて、成長ホルモンをソマトメジンというのが肝臓にできて、それが身 長を伸ばす作用を起こす、そのソマトメジンの数値から判断するというのが今結構多い らしいんですが、そういう治療の対象になる範囲とか、そういうものももっと詳しく検 討していただきたいということです。  長くなりまして済みません。 ○鴨下座長  それでは、アレルギー友の会から。 ○日本アレルギー友の会(栗山機関誌編集部員)  先ほど申し上げましたことに加えまして、例えば、今朝の朝日新聞の文化庁の文化ボ ランティアの登録制度ができましたということとか、健やか親子21のようなホームペー ジを使って、例えば、喘息を持った子どもの中には食物アレルギーの合併症を多く抱え ている子どもさんがいます。喘息であっても、うちの子どもは幼稚園のときに「ママ、 僕は物だったらよかったと思うよ」と言われて、どういうことと聞いたら「物だったら 、ただ壊れればいいだけなんだけれども、僕は息ができなくて、息ができなくて、死ぬ んだな、死ぬんだなと思いながら死ぬんだよね」と言われました。ただ、喘息の子ども を持って目の前で呼吸困難を見ている親はだれでもそういう経験をしていますが、普通 の親御さんにとっては喘息という状況を理解できない、そういう中で理解できる人たち が、勿論、理解できない人たちにも理解していただく努力は必要だと思います。身をも ってそういうことを知っている人たちが、例えば、何かの事情で子どもを預けなければ いけないときに、経験をした親たちがそういう子どもさんに直接かかわるような、預か ってくれるような、そのお母さんの気持ちをわかってあげられるような組織というのも つくれると思うんですね。それは、本当に喜んで私たち患者団体がつくりたいと思いま すが、やはり経済的な事情で患者団体の力には限りがあります。健やか親子21のような 立派なホームページを持ったようなところに、是非、私たちもこんなことができますと いうような御協力ができることを登録するような方法というのも1つ考えていただけた らと思います。  この病気は、経済的に支援するところにとても大きな予算を使うところだと思います ので、ちょっとその場所を貸していただいて、是非、私たちの子どもを育てると同時に 、社会が子どもを育てていくために私たち経験者の力をどこかにまとめるようなことも していただけたらと思います。 ○全国IDDMネットワーク(井上理事長)  現在の小慢制度の申請の方法についての御質問だと思いますけれども、申請というの は、最初の初期の申請と更新の申請と2種類あります。いずれにしても、今の厚生労働 省の制度の基本は保護者が保健所に申請をして、そこから診断書の用紙をいただいて医 療機関に持っていって、それにきちんと書き込んでもらって、それをもう一度保健所へ 持っていく。保健所である期間を経て、県の嘱託員による審査を経て、今度は医療券の 発行のときにもう一回保健所に足を運んで医療券をいただくということになっています 。郵送で送ってもらえるようなところもあるようですが、基本的には保護者が保健所へ 足を運ぶこと、それから、診断書を書いてもらうのに費用が掛かるということもありま すので、そういう意味では、かなり保護者の負担が多い方向になっています。そういう こともかんがみて、例えば、大阪府などでは医療機関申請にしている、地方によっては そういうところもあるようです。地域保健という視点から、恐らく保健所がその地域の 住人の医療情報をきちんと把握するのが一番よかろうと。その下に、サービスをしてい かなければいけない。そういう思想でそういうふうに変わったのだと思いますけれども 、現実的にはなかなかそれがうまく活用されていないんです。むやみに保護者の時間や 労力を増やしているだけだというのがおおむね現実のようです。そういうことから考え ますと、そういう負担を減らす意味では、医療機関から申請していただけるのが時間的 なロスも少ないと思います。  ただ、保健所がそういうデータを収集するには別の手段もあるようにも思いますし、 行政の運用の仕方によってはいい方法があろうかと思いますけれども、今のところ、い たずらに保護者の時間的金銭的労力負担を増やすということの方が現状だと思っていま す。 ○近畿つぼみの会(田沢会長)  済みません、補足を言わせてください。大阪です。近畿つぼみの会の田沢です。  大阪では医療機関でしています。どういうことかというと、なったとき申請するのに 1週間ぐらい病院に個室になるのでついてくださいと私も言われました。その期間はで きないんです。行ったときには、1週間分の個室代からもろもろたくさん要ります。私 みたいな僻地に住んでいますと、今日も1時半にここへ集まるのに家を7時に出てきて 、大阪でも僻地があって百姓がいるようなところに住んでいますので、駅まで35分歩い て行かなくてはなりません。大阪狭山市に保健所が来年度からなくなります。本所へ行 こうと思ったら1時間半も掛かります。そういうことがある。1か月や2か月の発病し た子を連れてどうにも行けないというので、大阪府との交渉で私たちは、台風ときに35 人ほどのお母さんが応接間で何とかしてもらわなければいかんと言って、毎年言ってる んです、毎年それで頑張ってきていますので、別に皆さんも頑張られたらいいと思いま すけれども。それで、保健所できちんと把握されていますので、医療相談会などはきち んと案内が来まして、保健プラザというようなところを借りて、私たちは地域で皆さん 交流会とかいろいろなことをやられていますので、きちんと保健所で名簿がありまして やられております。  また、震災の折もちゃんとしていますから、後で電話がありました。震災のときは、 厚生省に電話しても3日待ってくださいと。3日待ったら死ぬ子もいる。私どもの家に 「明日の晩に打つものがないんです、いろいろお世話になりました、この世の最後の電 話です」と言われたとき、私は患者会に全部、皆さんで車を出してインスリンを集めて 、和歌山港から30分ですから和歌山港から送りました。私は、決して厚生省に助けても らったと思っていません。よろしくお願いします。 ○つくしの会(水谷会長)  お答えします。ここで言っている最多数の所得層の負担が多いということは、一般論 で言えば日本の給料形態が自営が3割、また、給与所得者が7割というパーセントを聞 いたことがあります。その中で難病を持つ比率といったら、1.9以上の割合があるので はないかと考えられるわけです。その中で、ここで言う最多数というのは数ではなくて 、子どもが小さい両親はまだ収入が少ない。これが難病を抱えた親の中で一番多いので はないかという、この部分を考慮していただきたいという意味なんです。よろしいでし ょうか。 ○XPひまわりの会(長谷川事務局長)  お触れというふうな言い方をしてしまったんですけれども、突き詰めれば、難病患者 が望む難病基本法制定を望む思いにつながると思うんです。例えば、足の悪い子がいれ ばスロープをつけましょうとか手すりをつけましょうというふうな文部科学省の通達が あるように、やはり子どもが学校へ通う上で必要な設備あるいは環境はすぐ整えるよう にというふうな徹底した考え方が教育の現場にあることが望まれます。うちの子どもた ちは、やはり特殊というのでしょうか、教室の窓ガラスにもUVカットのフィルムを張 ってほしいとか、フィルムを張るということは窓が開けられません。そうするとエアコ ンが必要になります。やはり小さいうちというのは、割と神経系もまだまだましな方な ので、結構ぱっと出ていってしまう子どももあります。お友達と一緒につられて出てい ってしまいます。そういうものをすごく学校側としては心配するもので、お母さんがつ いてくださいとか言われてしまいます。親もやはり毎日の生活もありますし、1人の子 どもにずっと掛かりきっていることも難しいですし、子ども側としても、ずっと親の目 があるというのは成長の上でどうでしょうか、できるだけ子どもの中で自立して育って ほしいというのが願いだと思うんです。要するに、健全な育成のために学校教育が自由 に受けられるように、ちょっと特殊な状況が生じたとしても対応していただきたいと思 っております。そういう意味で、教育の現場にお触れというのがいいのかどうかわかり ませんけれども、もっと理解推進をお願いしたいということです。 ○鴨下座長  それでは、ほかの委員の方どうぞ。 ○加藤委員  それぞれの団体からそれぞれの病気について非常によくまとまって御発表をいただき 、どうもありがとうございました。逆によくまとまっているので、少し専門的な内容も 含めてちょっと御意見を伺えればと思います。  まず、最初、成長ホルモン関係ですが、地域差のチェックは、いただいた登録データ の解析に基づいてかなり地域差が多いというデータが出ております。必要な患者さんま で受けられないのは問題ですし、確かに伸びる可能性があるのに打ち切られるというの はしのびないんですが、やはりこの12ページにも書かれているように、医療側が治療が 本当に必要な人にやっているのかというのも問題ですし、現実的には不適正な使用が多 いのではないか。この治療方法も毎日注射しなければなりませんし、患者さんにとって もかなり負担が掛かる治療法になります。医療費もかなり掛かりますし、先ほどの方が 言われたようなソマトメジンも1つの指標に考えるべきであろうというふうに個人的に は考えております。もし、何か御意見があれば後でお聞かせいただきたいと思います。  それから、アレルギーのことなんですが、例えば気管支喘息の対象者を決める場合に 、ステロイド依存症例などをどうしようか。確かに、ステロイド依存症例は非常に大変 というか症状が重いのはわかっているんですが、例えばこういった治療で基準を決める と、医療側がステロイドをたくさん使うようになってしまうのではないかという心配が 非常に強いんです。もし、そこら辺の御意見を伺えればと思います。勿論、吸入ステロ イドを薦める、経口ステロイドは極力使わないようにというのが原則だというふうに考 えております。  次に、糖尿病の方で、確かに申請は毎年する必要は、1型の糖尿病に関しては本当に 必要ないとは思うんですが、現実的なこととして毎年データを医療意見書としていただ いているのは非常に貴重なデータになっております。いただいた資料の中で、ほかの国 に比べて日本は非常に頻度が低いですので、かなりのデータ数を集めないときちんとし た統計が取れない。どんな場合に患者さんの状態が悪くなるかというのは、やはり毎年 データをいただいて解析した上で患者さんに返していくのが現状では役に立っていると いうことで確かに3年がいいという御意見であれば、今後はそういう可能性もあるかと は思います。  それから、軟骨無形成症の方で合併症を持っている場合、軟骨無形成症はこの診断名 だけで対象になるのではないかとは思うんですが、先ほどの喘息のステロイドと同じよ うに、結局、治療をやめてひどい合併症になるような病気がいろいろありますし、合併 症を基準にというのは、やはり低所得者層で少しでも医療費補助を受けたいからという ことできちんと治療しなくなってしまう心配があるので、ちょっと個人的にはどうかな というふうに考えております。  それから、無痛無汗症の先ほどのお話は本当によくわかりますし、当然、通院にまで 拡大するべきものというふうに考えております。  それから、色素性乾皮症の方ですが、医療ケアも考慮に入れたホームヘルプサービス 、レスパイトサービスが必要だけれども実際に使えない、これは本当に困ったなと思う んですが、例えば、具体的に看護婦とかそういった資格があればいいのでしょうか、看 護婦に更にいろいろ教育とか研修を与えなければならないのかというところをちょっと 教えていただければと思います。  ありがとうございます。 ○鴨下座長  まずは、ポプラの会から。なるべく手短にお願いしたいと思います。 ○ポプラの会(星川会長)  先ほどのことなんですけれども、地域的な格差が大きいと前に委員からの御質問があ ったんですが、チェックはどちらでしていらっしゃるのでしょうか。各自治体でしょう か、それとも厚生労働省の方で。 ○鴨下座長  自治体からの報告を上げてもらっているわけですね。 ○加藤委員  厚生労働省としては、自治体から報告をいただいたものを研究班レベルでまとめてい る。そのほかに、成長科学協会の方でもまた別途まとめて、2つの資料があると思いま す。 ○ポプラの会(星川会長)  今でもかなり差が大きいということがあるので、ちょっとどうしてかしらと思ったん ですけれども。 ○加藤委員  やはり、基本的には成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断基準、負荷試験を行いま すよね。その負荷試験のやり方が、ちょっとこういった場で言うのはあれなんですが、 いいかげんにやっているところがあるのではないか。原則としては、絶食状態で検査す べきところを、30分置きに注射しなければならないから子どもがかわいそうだという気 持ちがあるのでしょうが、チョコレートを食べさせながらとか……。 ○ポプラの会(星川会長)  済みません、病院とか個人医院が特に乱発しているみたいなものがあるのではないか なと思うんですけれども、そういうチェックを気をつけていただいて、むだに成長ホル モンを使わない、ほかの患者さんにも回せるのではないかと思います。印象も悪いもの ですから。 ○鴨下座長  今のお話は、そのことも含めてこの前見直しをしたわけですね。  それでは、アレルギー友の会、お願いします。 ○日本アレルギー友の会(栗山機関誌編集部員)  ステロイド依存症例をどうするかということの中身がちょっとよくわからなかったん ですけれども、ステロイド依存症だと……。 ○加藤委員  経口的にステロイドを使っていないと発作が抑えられないぐらいひどい気管支喘息と いう意味です。 ○日本アレルギー友の会(栗山機関誌編集部員)  勿論それはステロイド依存症というのではなくて、例えば、もし、そうやって経口ス テロイドを使わなければならないようなひどい症例というのはまた別の問題だと思いま すが、ただ安易に経口ステロイドを使ってしまうお医者様が結構たくさんいらっしゃる というのは、相談の現場にいてとても痛切に感じることです。経口ステロイドというの は効き目は強いんですけれども、本当に依存症をつくってしまうと思います。今、それ は治療の中心ではないはずなのに使われてしまっている人がとても多いので、是非それ はガイドラインに準拠して、そういう治療がなされないような指導をお願いしたいと思 います。やはり電話相談で一番大きいのはそこの問題だと思います。本当はそこまでや らなくてもいいのにと思う治療を患者さんの方から継続してしまっている例が全くない とは言えないことも事実ではあると思います。その例外的なものを中心に考えずに、是 非そういう面からの運用をお願いしたいと思います。 ○日本アレルギー友の会(上野会長)  お時間があれば発言させていただきます。 ○鴨下座長  では、短くお願いいたします。 ○日本アレルギー友の会(上野会長)  経口ステロイドのことではなくて、ここへ来させていただくために、神奈川県、埼玉 県、千葉県の小児のお母さんから少し考えを伺ってきました。神奈川県の方は、3人の お子さんが全部喘息とか食物アレルギーとかアトピー性皮膚炎という症状があり、経済 的に困っているのに助成がないというふうにおっしゃっていました。それで、やはりこ の薬を使えばそれらの症状が少し寛解するにもかからず、治療費が掛かるから治療が受 けられないというお話でした。  また、千葉県の方は、入院も全額負担、通院も全くお金が掛からないというお話でし た。  また、埼玉県の方は、主治医に補助を受けたらと言われましたが、そのお母さんはそ の病気を認めたくないからと申し上げたら、やはり費用が掛かるのでこの薬を使いたい と思っても使えないと医師がおっしゃっていたそうです。そう言われたので、そうかと 思って助成を受けるようになって、先生が使いたい薬を使ってきたといわれました。そ の方のお話ですと、これは私どもも患者会にいて感じることなんですが、逆に今度は、 助成を受けているために使わなくても良い薬を使うというお医者さんもいらっしゃると いうことも事実だということも伺ってきました。経済的な面で十分な治療が受けられな いという方は是非助成をしていただきたいと思います。 ○鴨下座長  それでは、次は、つくしの会、御意見がありますか。 ○つくしの会(堀越副会長)  軟骨無形成症ですが、合併症の件でお話がありましたけれども、軟骨無形成症という のは1つの病名でありますけれども、症状として何があるかということなんですが、先 ほど言いましたように、確かに長管骨が短いということで低身長であるということなん ですけれども、それだけではないわけです。まず子どもが病気の場合に小児科に行って 診ていただきますが、実は整形外科的なこともあります。それから、先ほどもちょっと 言いましたように、大後頭孔が狭いとかあるいは脊柱管狭窄のこともありまして、小児 科の神経外科とか脳神経外科といった問題もあります。そうすると、1つの病気なのに いろいろな症状が出てきて、どれが一番メインで、どれが致命的なのかというのははっ きり言ってわからなくて、これだけがあなたの病気ですよ、ほかのところは見ませんよ という形になると、非常にそれは病気全体を見ていただいているとは思えないと思うん です。ですから、そういった意味で病名でということではなくて、症状全体として病気 全体としてとらえていただきたいという意味で、ここに書かせていただきました。 ○つくしの会(水谷会長)  同じなんですけれども、合併症という言葉を使いましたが、私が思っている合併症と いう意味合いは、疾患の持っている関連した特徴の病気というふうにとらえていたんで す。ですから、先ほど言ったように、この病気で一番重大な病気1つだけを見て疾患を 限定していると。そうではなくて、その疾患にはいろいろな病気が相重なって1つの疾 患ができ上がっているということなんです。ですから、合併症という言葉ではなくて、 その疾患が持っている関連した病気イコール合併ということで先ほどお話ししたわけで す。 ○鴨下座長  あとは、トゥモロウの会とひまわりの会で何か。これは、2つとも加藤委員の御意見 だったんですね。 ○加藤委員  もし、何かコメントがあればということです。 ○無痛無汗症の会「トゥモロウ」(馬場役員)  今の加藤先生から、更に援助の幅を広げてほしいという希望はもっともだということ だったと思いますので、是非よろしくお願いします。大変心強く思います。よろしくお 願いします。 ○及川委員  ひまわりの会の方へレスパイトのことをさきほど加藤先生がおっしゃっていましたが 、どのようなことが整備されていれば使えるのかということを伺いたいのですが。 ○XPひまわりの会(長谷川事務局長)  要するに、医療ケアそのものは、なかなか普通にホームヘルパーさんですとか簡単に 他人に頼むということができないんですね。今、学校内でも養護学校の医療ケアの取り 組みもなかなか進んでいない状況でもわかるかと思うんですけれども、やはり命と直結 しているその辺の責任問題と、あと、医療ケアを施す側の子どもに対する思いというの が絡み合っているかと思うんですが、やはり現実的にはヘルパーさんではなくて看護婦 さんだと思います。レスパイトも普通にショートステイですとか、そういう施設で看護 婦さんとか医療施設が整っているところならいいのかもしれないですけれども、一般に 言われる場所ではやはりちょっと怖いですね。すごく急激に症状が変化する部分がある ものですから、親自身もいつどうなるかわからないというようなことで、なかなか預け るのも難しい、預かってもらうのも難しい、その辺もどういうふうに考えればいいかわ からない部分があるんです。ちょっと実際に経験した……。 ○XPひまわりの会(川俣事務局長補佐)  たとえ話で申しますと、私どもの息子は中3まで地域の学校に行っておりました。高 1で養護学校の席を持つところとなりまして、病気のことを説明してやっと担任が決ま って養護学校へ入って、お母さん、もう大丈夫ですから車いす、吸引機、あとはその当 時ちょっと詰まらせていました。それで、本当に大丈夫かなと思いながら子どもの元を 離れまして、入学して2か月目ぐらいに学校から電話がありまして、お母さん、すぐ宝 塚第一病院に行ってくださいと。どうしたんですかと言ったら、呼吸を詰まらせたので 人工呼吸器につなげましたと言うんです。まさか、人工呼吸につなぐほどの症状ではな いはずなんです。でも、その先生方とか養護学校の養護の先生の目から見れば、チアノ ーゼを起こしていますし、普通ではない、尋常ではない状態。そうされてしまうと、一 遍に運動能力が落ちますし、人工呼吸器を外すのも自発呼吸に戻すのにもまた2〜3日 掛かりますし、本人のエネルギーもなくなります。そういうふうな親との思い、本人と の思い、本人ができる能力との思いの差があるんですね。勿論、吸引も導尿も医療行為 です。だけれども、渋々見て見ないふりをして、学校の先生方も自分に責任が降りかか るのは嫌だけれども、ヒロトの命をつなげるために仕方なしに吸引してくださったその 経験が大きな膨らみになってしてくださいますけれども、先ほどの話でレスパイトは、 そういう状態ですので、地域の中にあるレスパイトの場所ではできないんです。私ども もいつ親が倒れるかわからないからと思って探したんですね。そうしたら、兵庫県の中 で1か所だけスナゴというところがありまして、そこは車で1時間半くらい、兵庫医大 に所属しているところでしたけれども、1時間半掛けて手動の吸引機なり電動の吸引機 なりをしながら移動すると、そういう場所へ行けます。命からがらそこへ行って、命か らがらレスパイトをするいとう感じになるので、できるだけ親は、もういいや、家で見 ようというようなことになっているのが現状なんです。でも、勇気を出さなくてはいけ ないんですけれども。  長くなりましてごめんなさい。 ○鴨下座長  では、ほかの委員の先生。 ○雪下委員  前回はこの会議にどうしても出られないで、今日初めて出させていただきました。い ろいろ深刻な実際の話を聞かせていただきまして、大変驚きもしたし、勉強にもなりま したし、今後の対策をどうやっていかなくてはいけないかというヒントを得たような感 じがいたします。  ただ、今の医療費の補助ということのみで行く場合は、現状のままなるべく予算のあ る限り拡大して、皆さんにいい医療を受けていただくということでいいのもかしれませ んが、今回いろいろお話を聞かせていただきまして、これが福祉というかそういう点で の見直しをするとすれば、やはり各疾患ごとに、これは家族の負担とか病気の重症とも 一概に言えないかもしれませんが、そういうことを考えると、かなりの温度差があると いう感じが今日私はいたしました。例えば、色素性乾皮症あるいは無痛無汗症、それか ら、軟骨無形成症というような病気、現実家族の声としては余り私も聞いたことがなか ったので、それを今日はいろいろ聞かせていただいて、大変深刻な問題だなと。ほかも 深刻ではないというわけではありませんが、あるいはアレルギー、いわゆるアトピー性 皮膚炎と喘息、それから、成長ホルモンの分泌不全によるもの。あるいはまたIDDM、I 型糖尿病の問題、これはやはり十分疾患の特異性というものを考えて施策を立てるとす れば、相当考えて持っていかなければいけないなということを実感いたしました。細か いことについては申し上げませんし、今いろいろ聞かせていただきますと、現場での医 療の問題がいろいろあるようでございますが、1つだけちょっと感じたことを申し上げ て、質問になるかと思うんですが、例えば、医療機関からの申請ということが、これはI DDMの方から話がありました。大阪でも実施されているという話がありました。これも 前は、医療機関からの申請というのが今度なくなったということになっているようでは あります。どういう理由だったかはちょっと私は不勉強でわかりませんが、ただ、私は 医療というものが勿論家族なりその背景、いろいろなことを考えて医療は実施しなけれ ばいけませんけれども、しかし、その医療費として支払われるものがどういうものであ るか、そういうものを知って医療というのもが行われるのではないということは理解し ていただきたいというふうに思うんです。したがって、その人がそれを受けるに的確か どうか、それに対する医療的情報は十分提供するのは医師の努めでありますが、だけれ ども、それがどういう形で補助されたり何かするかは、いわゆるカウンセラーとかソー シャルワーカーという方の仕事であって、必ずしも私は医療の方から、直接医者からこ れはここで支払ってもらいなさいというようなことをアドバイスすることが適当ではな いのではないかなという感じがいたします。  ただ、その条件としましては、そこの間を取り次ぐそういう機関というものが十分完 成したものをつくっていかなければいけないことは確かですが、そんなことだけ1つ思 いましたので、特に糖尿病をやっておられる、さっき報告された方に、その辺のところ をどう考えるのかちょっとお聞きしたいなと思います。 ○全国IDDMネットワーク(井上理事長)  この小慢事業に関してだけ言えば、これは基本的にある疾患名、現行の制度で疾患名 が決まっていて、それを保護者あるいは医療機関が行政に申請をして、そこで審査を受 けて、それに手を打っているということですから、非常に単純な話ですし、それは基本 的に病状や治療の中身によってある程度審査の判断が行われますけれども、それは医療 機関、つまり医療者がやっても患者がやっても勿論いいのでしょうが、そこには余りむ だな時間の遅れがないことが、基本的にはそういう現行の制度を使うという意味では必 要だと思うんです。ですから、そういう意味の患者の無用な負担や時間的なロスをなく すという意味では、是非、医療機関でやる方が効果的に運用されるのだと思っておりま す。  ただ、それ以外の、例えば障害基礎年金とか特別児童扶養手当とか、患者の意思でそ ういうものを受けようか受けまいかということを選べる制度もありますので、それはお っしゃるように、患者側で自分たちの病気を認識して申請すればいいのかと思っており ます。ただ、それでも行政がそういう制度があるんだということをきちんと周知させる 義務はあると思うんです。つまり、そういう制度を知らずに使えない、知っていて自分 の責任判断で使わない、それは自由ですが、少なくとも行政がそれを知らせることに少 し怠慢をしている部分が私たちには見受けられます。まして、小慢制度はそれを100% 利用できるということがわかっていて、そういう意味の周知もなかなかないというとこ ろが、現状の問題かなと思っています。 ○雪下委員  今言われたそれは十分ケアして、そういう制度があるというのは行政の努めというこ とはわかっております。ただ、医者から直接の申請ということになりますと、そこにや はり判断する医師の主観が入ってくるということで、例えば、先ほどちょっと問題にな っておりました地域差というようなこともそういうところに発生してくるということを 考えておかなければいけないと思うんです。それと、もう一つこれとは全く関係ありま せんが、例えば、介護保険制度でも医師は主治医の意見書というものを提出しますが、 それは後は客観性をもってそれを判断してもらうということで言う意味であって、この 人はこれで介護4ですよ、十分見てあげてください、あるいは片方の人がこれは余り見 る必要はありませんよというようなことを医療側から判断してやるということはいろい ろ問題が起こるので、いろいろ客観性という意味から、むしろ医療もチェックしてもら うといいますか、そういう意味から、私は直接医療側からの申請ということには余り賛 成はできないということです。 ○鴨下座長  では、もう時間ですので短くお願いします。 ○近畿つぼみの会(田沢会長)  済みません、大阪では医療機関でやってもらっていますが、府へ出して審査を受ける んですから同じことではないですか。どこが違うんでしょうか。ただ医療機関から出し ていただくだけの話で、保健所に行ったら2時間掛かる、3時間掛かる、小児糖尿病の 低血糖が起こる子を連れて僻地から行けないということで私のところはしていただいて いるんですけれども、そういうところへ3時間も4時間も掛かって、子どもに悪影響を 及ぼすようなことを、どこかで窓口が近くに保健所があったらいいですけれども、今度 は保健所もほとんどなくなりましたね。それも国の制度ではなかったんでしょうか。一 度聞きたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  わかりました。先ほどの井上さんのご意見は、行政というよりは、医療機関のドクタ ーも知らないといいますか、もうちょっと理解を求めないといけない、そういう趣旨も おありだったんでしょうか。 ○全国IDDMネットワーク(井上理事長)  そうです。主治医がよく知らないということですね。それから、申請は、やはり医師 個人ではなくて医療機関ですから、余り医師の主観が反映されるものではないと思いま すけれども。 ○鴨下座長  そこのところは多少デリケートなところがあると思うんですが、知らない医師がいる というのは気をつけないといけないと思います。どうもありがとうございました。  それでは、ちょうど時間になりましたので、本日の議論はこの程度で止めさせていた だきたいと思います。前回と今回と2回続けて患者様の団体からヒアリングさせていた だきまして、おおむね御意見はいただけたと思います。大変どうもありがとうございま した。ただ、まだほかにいろいろ団体もございますし、広く意見を伺うということで、 ほかの団体の方々の御意見が寄せられましたときには、それも事務局で取りまとめさせ ていただいて、今後の検討会で委員の資料として配付をしたいというふうに考えており ます。その点の対応は、是非、事務局にお願いしたいと思います。  それでは、何か事務局の方からの御報告がありますか。 ○宮本補佐  次回の日程ですけれども、3月15日、金曜日の午後2時ということで予定させていた だきたいと思っております。場所の方はまだ決まっておりませんが、決まり次第また皆 様にお知らせいたします。  それでは、時間がまいりましたので、本日はこれで閉会といたします。どうもありが とうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                       03−5253−1111(代)                         森本(内線:7898)                         桑島(内線:7933)                         宮本(内線:7940)