厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業 身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究事業 社会システム㈱ 1 .調査研究の目的 身体障害者補助犬 (以下、 補助犬とする) は、 平成14年に 「身体障害者補助犬法」 の施行によ り、 各施設等での受入が義務付けられたものの、 未だ補助犬同伴による施設利用等に対する理解が浸透していない実態から、 受入拒否などの実態が見られる。 そこで、 自治体が実施している補助犬の使用に対する普及・啓発の実態、 障害当事者の意識、 受入事業者の認識などをアンケート調査等を実施して把握し、 ここから整理される課題を踏まえた上で、 補助犬の普及・啓発のあり方を整理し、 普及活動については試行を行った上で、 自治体の皆さまに向けた 「身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック」を作成することを目的に実施を行った。 2 .調査研究の結果概要 ①補助犬の使用の啓発活動の実態把握 補助犬の使用の啓発活動に係る関係各者にアンケート及びヒアリング調査を実施し、 その実態及び課題を把握した。 ■自治体アンケート(H.30の取組みの実態) ・補助犬の使用については 「啓発活動」 の取組みを実施している 自治体が多く、ウェブサイトへの掲載、 リーフレット配布、テ レビ・ラジオでの広報、広報誌掲載、イベント等でのデモンス トレーションの実施、生活衛生同業組合に対する周知、学校への出前講座などが挙げられた。 ・補助金活用においては都道府県と市町村の連携が図られていな いことが課題として挙げられた。 ■障害当事者の意識 ・補助犬使用者は、 啓発へのニーズとして、 受入に対する理解や 補助犬法の理解などを多く挙げ、テレビ・ラジオ等効率的に広 く啓発が浸透する手法を挙げた。 ・補助犬非使用者は、 補助犬の使用を考えていない人が7割を占 め、理由として面倒を見るのが大変そうなどを挙げた。補助犬 使用については費用、申請方法、サポート内容等の情報に対す るニーズがあった。 ■受入側の認識(ショッピングセンター、ホテル、飲食店従業員等) ・補助犬使用者の来店実績は多くない、 不定期での来店などが多 い。 補助犬使用者の受入については教育等は殆ど実施されてお らず、 課題として行政機関の指導の必要性や一般利用者の理解 などが挙げられた。 ②理解促進、 補助犬の使用拡大のための効果的な普及 ・ 啓発活動のあり方の検討 ■普及・啓発活動のあり方 ■身体障害者補助犬使用者の 【受入れ側に向けた理解促進のための啓発活動】 効果的な普及 ・ 啓発活動のあり方ガイドブック 受入れ側の理解を得られやすいタイミング、 手段 自治体が効果的に補助犬の使 で 用の普及・啓発活動に取組む 広く理解を得ていくための手法の導入 ためのガイドブックを作成。 受入事業者、自治体の連携による啓発機会の拡大 受入拒否をなくし、法令遵守 補助犬使用者受入れのポイン トを効果的に示す を推進するための啓発活動の 【使用希望者に向けた利用拡大のための普及活動】 取組み方、 障害当事者の自立 さまざまなタイミングで や社会参加を図っていくため ユーザー自身による普及 に必要な補助犬の使用を拡大 情報提供窓口や専門家の補助犬の使用に対する知 する普及活動の取組み方な 識の深度化 どについて、事例を含めて解 普及活動の担い手と自治体の連携の必要性 説した。 ■普及活動の試行 国立障害者リハビリテーションセンターなどで障害当事者に対して補助犬の使用についての普及イベント等を実施。 序.このガイ ドブックを活用いただくにあたって Ⅰ.補助犬の使用について普及・啓発を進めるにあたって 理解すべき理念 Ⅱ.自治体の責任で受入拒否をなくし、法令遵守(コンプライアン ス)を推進する Ⅲ.障害当事者の自立と社会参加を図る 「補助犬の使用を 拡大する普及活動」 の実施は自治体の役割 Ⅳ.自治体が中心となって 「連携体制」 を構築し、 普及・ 啓発を推進する Ⅴ.普及・啓発活動に活用できるツール