---表紙--------------------------------------------------- 令和7年度 厚生労働省 障害者等のICT機器利用支援事業 障害者 ICTサポートセンター 運営の手引き・支援事例集 〜障害のある方への情報アクセシビリティ その支援の意義とポイント〜 令和7年度 改訂版 令和6年度 厚生労働省 障害者等のICT機器利用支援事業 検討委員会・ワーキンググループ (株式会社 NTTデータ経営研究所) ---目次-------------------------------------------------- 障害者 ICTサポートセンター 運営の手引き・支援事例集 目次 はじめに 本手引きについて …………………………………………………………… 3 1.本手引きの目的 2.本手引きの対象者 3.本手引きで使用する用語 4.本手引きの構成と活用例 第1章 ICTサポートセンターに求められる役割 ………………………………… 5 1.ICTサポートセンターとは 2.ICTが障害者にもたらす可能性 3.ICTサポートセンターの役割 4.ICTサポートセンターに関するよくある誤解 5.ICTサポートセンターの職員に求められること 6.ICTサポートセンターの連携 第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等 ………15 1.本章の概要と相談対応の手順 2.各相談対応手順のポイント・留意事項等 @相談受付・アセスメント A支援 Bモニタリング 3.連携のポイント 第3章 相談対応事例 …………………………………………………………………25 1.メーカーとの連携でスムーズな支援を実現!意思伝達機器の活用事例 …………………………… 27 2.視聴のためのスマートフォン操作の実現 進行性難病患者への支援 ……………………………… 29 3.コミュニケーションのための機器導入 メーカー、高齢者施設の職員等と協働して進めた支援 …… 31 4.地域の力を活かしたコミュニケーション支援 支援者ネットワークと独自アセスメントで実現を目指す“その人らしい暮らし” ………………… 33 5.相談者の知的意欲を活かしたPC技術習得支援〜自習可能な学習計画を〜 ………………………… 37 6.相談者の目標を尊重したPCスキル向上支援の実践 …………………………………………………… 38 7.タブレットで学習の負担が減少〜学校との連携事例〜 ……………………………………………… 39 8.ジョブコーチとセンターの連携で実現!視覚障害者の職場復帰 …………………………………… 41 9.スマートフォンの支援〜医療機関との連携から始まるICTサポート〜 …………………………… 43 10.ビデオ通話でつながる聴覚障害者への支援事例 ……………………………………………………… 45 11.困りごとに“合わせてつなぐ”支援:視覚・聴覚の重複障害者を支えたセンター間連携の実践 …… 47 12.盲ろう者のパソコン活用支援 コミュニケーション方法に関する工夫 …………………………… 49 13.新しいテクノロジーの学びを専門家とともに ………………………………………………………… 51 第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例 …………………53 1.職員・支援者の人材育成 2.障害者向けの普及啓発活動 3.関係機関との連携と情報共有 参考情報 …………………………………………………………………………72 1.知識 2.ツール ---はじめに(P.1)--------------------------------------------------- はじめに 昨今、ICTの進化等により、経済や社会の在り方、産業構造が急速に変化する中、政府においては、地域の個性を生かしながらデジタルの力によって地域の活性化を図る取組や、地域社会が直面する課題の解決に向けた取組を加速化・深化させ、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指して、デジタル田園都市国家構想総合戦略2023改訂版(2023年度〜2027年度)を策定し、官民一体となって戦略的に取組を推進していくこととしている。 また、我が国の障害者施策は、障害者総合支援法に基づき、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会を目指して様々な支援が行われている。その支援の一つであるICTサポートセンターは、障害者等のICTの利用機会の拡大や活用能力の向上を図ることで、障害者等の自立と社会参加を促進することを目的として、全国の自治体において設置・運営されているところである。 これまで障害者等の自らの力だけでは「できなかったこと」も、ICTの発展により、「できること」への範囲が拡がるなど、障害者等の日常生活・社会生活において、ICTはすでに不可欠なものとなっており、むしろ、今後は、ICTの利便性を十分に享受できない環境にあることに対する不平等感は強くなっていくことが懸念される。こうした社会情勢や動向を踏まえると、今後も進化を続けるICT化の流れに障害者等が取り残されることのないよう、既存のICT機器・支援機器等と新しい技術を組み合わせ、障害者等本人にその時々の情勢に応じた最適な支援を行うことが必要である。 また、障害者等の支援機器については、障害者自立支援機器開発・普及啓発促進事業により、支援機器と利用者のマッチングを目的として、ニーズ・シーズマッチング交流会を実施するとともに、今後、支援機器開発・普及連携センターの設置と支援機器の普及促進に取り組むための機関の開拓を検討しているところである。 こういった取組も踏まえつつ、障害者等がICTをより一層利活用できるようにするため、ICTサポートセンターは、他機関や専門家の協力を得ながら、ICTの利活用により、障害者等の可能性を最大限に広げ、これまで「できなかったこと」を「できること」にする支援のコーディネーターとしての役割が期待されているところである。 ICTサポートセンターは、福祉施策の一環として、設置・運営されているものであるが、近年、社会情勢の変化による障害者等のニーズの多様化・複雑化に伴い、周囲からセンターに求められる役割は多岐にわたっており、その期待は非常に高まっている。 ---はじめに(P.2)--------------------------------------------------- 一方で、予算や人材確保の面では制約があるため、当然ながら、センターだけでは、障害者等の全てのニーズに応えることは困難である。センターとして最大限の役割効果を発揮するには、地域の限られた資源をフルに活用することが必須である。そのため、ICTサポートセンターには、地域の関係機関等と連携を図り、様々なICTを利活用しつつ、障害者等本人に最適な支援をコーディネートする総合的な調整機能が必要であると考えている。 最後に、一つの地域のICTサポートセンターの力では解決困難な課題も、全国を見れば、同じ課題に取り組んでいる、もしくは既に解決したセンターがあると想定される。本手引きは、こうした各ICTサポートセンターにおける様々な課題への取組における成功事例や失敗事例等を集約し、その貴重な知見や手法等の横展開を図り、皆で支え合うことによって、各センターにおいて課題解決に向かうための一助となるよう策定したものであり、結果として、全国のセンターにおける支援内容の質の向上に繋がることが期待される。本手引きの活用によって、ICTサポートセンターが、それぞれの地域におけるICTの利活用支援のコーディネーターとしての役割を十分に担うことによって、障害者等のICTの利活用の促進が図られることが、ひいては、全国の障害者等の更なる自立と社会参加の促進に繋がることを願っている。 ---本手引きについて(P.3)--------------------------------------------------- 本手引きについて 1 本手引きの目的 本手引きは、全国のICTサポートセンターの対応力向上と平準化を図ることを目的とし、センターの役割や相談対応の標準的な手順、重要なポイントを示しています。 現在、多くのセンターは、それぞれの母体となる法人の業務内容に基づいて対応を行っています。そのため、一部のセンターでは、対応経験のない障害に関する相談に対し、適切な対応方法や支援先が分からず、対応に困るケースが生じています。こうした状況を改善するため、本手引きでは、センターに寄せられる相談への対応方法を整理し、障害別の事例や支援機関との連携方法を示しています。これにより、どのセンターでも一定の水準で適切な支援を提供できることを目指します。 また、センターが未設置の地域では、センターの具体的な役割や運営方法の情報が不足しており、設置のイメージが持ちにくい、あるいは財政部局との予算交渉が難航するという課題があります。そのため、本手引きは、自治体や関係機関に対してICTサポートセンターの必要性とその役割を明確に伝え、設置の促進を支援します。さらに、センターの設置を通じて、障害者がICT機器を活用しやすい環境を整備することも目指しています。 2 本手引きの対象者 本手引きは、主に以下を対象としています。 ◆ICTサポートセンター職員 ◆自治体職員 ◆ICTサポートに関わる機関や支援者 3 本手引きで使用する用語 本手引きでは、章によって使用する用語、表記が異なります。「はじめに」、第1章、第2章では、行政が使用する表現で記載しています。一方、第3章以降はセンターの取組事例のため、センターが実際に使用している表現で記載しています。 また、以下の用語には複数の意味が含まれます。 ◆センター:ICTサポートセンター ◆本人:障害者、障害当事者 ◆相談者:本人、家族、支援機関の担当等 相談に来た方 ◆支援者:本人の介護や支援を行う方(家族、ヘルパー、担当セラピスト(PT、OT、ST等)) ---本手引きについて(P.4)--------------------------------------------------- 4 本手引きの構成と活用例 @構成 本手引きは、以下で構成されています。 第1章:ICTサポートセンターに求められる役割 第2章:ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等 第3章:相談対応事例 第4章:ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例 参考情報 A活用例 本手引きは、「ICTサポートセンターの職員に求められること(第1章参照)」の、「対応スキル」について掲載しています。障害やICTにかかる知識は、様々なところで学ぶことができますが、ICTサポートセンターの「対応スキル」は現場実践により養われていきます。しかしながら、センターによって、保有する機器や職員の経験、地域資源の状況はばらつきがあります。本手引きでは、そのばらつきを少しでも解消できるよう、センターにおける一般的な対応手順や実際の対応例を紹介することで、現場での支援に活用いただきたいと考えています。 図表:ICTサポートセンターの職員に求められること(第1章) 本手引きで学べること 対応スキル(実践的な技術) 知識(基盤となる情報) 姿勢(基本的な価値観や考え方) <姿勢> ●尊重 ●中立性 ●公平性 ●柔軟性 ●倫理観 等 <対応スキル> ●傾聴・共感力 ●情報収集力 ●問題解決力 ●課題整理力 ●コーディネート力 等 <知識> ●ICT、機器等の基礎知識 ●障害に関する理解 ●支援制度・法律 ●福祉・支援機関の情報 等 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.5)--------------------------------------------------- 第1章 ICTサポートセンターに求められる役割 第1章では、ICTサポートセンターの位置づけやICTサポートセンターに求められる役割について紹介します。 1 ICTサポートセンターとは @ICTサポートセンターとは ICTサポートセンターとは、障害者等のICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を目的として、各自治体が設置する、「ICT機器の紹介や貸出、利用に係る相談等を行う拠点」のことを指します。 図表:ICTサポートセンターの役割 出典:厚生労働省「障害者等のICT機器利用支援事業」事業イメージから一部抜粋、加工 ※A県ICTサポートセンターの役割は一事例であり、必ずしも記載の事項を行わなければならないということではありません AICTサポートセンターの成り立ち 障害者ICTサポートセンターは、2003年「ITサポートセンター」としてスタートしました。日本では1990年代後半からパソコンが普及しはじめ、2000年頃には国民の半数が所有している時代になりました。ITの活用は、障害者の個々の能力を引き出し、自立と社会参加を促進しますが、障害者の中には利用機会がないどころか、情報が行き届いておらず、デジタル・ディバイドが生じていました。このような流れの中で、厚生労働省では、2001年から「パソコン周辺機器やソフトの購入費用の助成」、2002年から「パソコンリサイクル」「パソコンボランティアの派遣」「パソコン教室」等の事業補助をはじめ、2003年にはこれらの支援施策を有機的に結びつける役割として「ITサポートセンター」の設置を開始しました。当初は13か所からスタートしました。 その後、ITの領域に加え、「情報の伝達(コミュニケーション)」に関する技術が発展し、時代の流れにあわせた形で、2020年より「ICTサポートセンター」に名称変更しました。 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.6)--------------------------------------------------- BICTサポートセンターの位置づけ ICTサポートセンターの設置・運営は、「障害者総合支援法」に位置づいています。「障害者総合支援法」は、障害者の日常生活や社会生活を総合的に支援するための給付や事業を定めた法律です。第77条・78条に、市町村と都道府県の「地域生活支援事業」について記載があります。ICTサポートセンターは、それに関連した「地域生活支援促進事業」の中の、「障害者ICTサポート総合推進事業」の一つとして設置・運営されています。 「地域生活支援促進事業」とは、「地域生活支援事業」で定める事業に加え、政策的な課題に対応する事業を計画的に実施し、障害者等の福祉の増進を図るとともに、障害の有無に関わらず国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とした事業です。 障害者ICTサポート総合推進事業(地域生活支援促進事業) ■目的:障害者等の情報通信技術(ICT)の利用機会の拡大や活用能力の向上を図り、情報へのアクセスを円滑に行えるよう支援することにより、障害者等の自立と社会参加の促進を目的とする。 ■実施主体:都道府県、指定都市及び中核市 ■事業内容: 1.障害者に対するICT機器の紹介や貸出、利用に係る相談等を行う総合的なサービス拠点(「ICTサポートセンター」等)を設置し運営する事業 2.障害者に対し、サピエ(※)等のインターネットを通じたサービスの利活用や、ICT機器の操作についての支援を行うパソコンボランティアの養成・派遣を行う事業 3.視覚障害者等の地域生活を支援するため、地域の広報誌やイベント案内などの地域情報を音声や点字などの利用しやすい媒体に加工しサピエ等の障害者がアクセスしやすいネットワークにアップロードする事業 ※視覚障害者情報総合ネットワーク ■留意事項: 1.事業実施に当たっては、専門的知見を有する外部機関への委託を行うことが可能であること。 2.ICT機器の紹介や貸出には、ヒアリングループなど障害者等の情報保障を行うための専門的な機器も広く含むこととする。 3.ICTサポートセンター等の運営に当たっては、視聴覚障害者情報提供施設等と連携して、支援内容や支援技術の共有、センター・施設の相互紹介を行うなど、効率的・効果的な事業実施に努めること。 4.ICTサポートセンター等の運営及びパソコンボランティアの派遣に当たっては、障害者に対するマイナンバーカードの申請支援やマイナポータル利用説明の実施等、マイナンバーカード普及が促進される取組を積極的に実施すること。 5.地域情報を障害者等の利用しやすい媒体に加工し、ネットワークにアップロードする際は、点字図書館等と役割を分担し、アップロードする情報に重複が生じないように留意すること。 出所:厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部長 「地域生活支援事業等の実施について」平成18年8月1日障発第0801002号 https://www.mhlw.go.jp/content/001084414.pdf ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.7)--------------------------------------------------- 「障害者基本法」に基づく「障害者基本計画」では、第3次障害者基本計画(2013ー2017)から、ICTサポートセンターに関する記載が登場しました。第2次計画までは「デジタル・ディバイド」の解消を目的とし、ITの積極的な活用や地域ネットワークの構築が示されていましたが、第3次計画からは「情報アクセシビリティ」が新たに項目として追加されました。その中で、「障害者に対するIT(情報通信技術)相談等を実施する障害者ICTサポートセンターの促進等により、障害者の情報通信技術の利用および活用の機会の拡大を図る」と明記されています(2013年時点で26か所設置)。現在は、全都道府県での設置を目指して取り組みが進められています。 このことから、ICTサポートセンターの設置・運営は自治体の重要な責務といえます。実際にセンターを設置している自治体の中には、障害者計画や障害福祉計画に明文化し、センターの設置・運営を行っているところもあります。センターの意義や役割をより確かなものとするためには、今後、自治体内の各種計画にも位置付けていくことが必要です。現在、自治体では合理的配慮の義務化が進められ、「誰一人取り残されない社会」の実現に向けて日々取り組んでいます。自治体の他の計画と整合性をとりながら、ICTサポートセンターの意義を明確にすることで、さらなる取り組みの推進が可能となります。 CICTサポートセンターに期待されていること デジタル庁の取組である「デジタル推進委員」では、ICTサポートセンターの職員にその役割が期待されています。 その他の法律でも、情報アクセシビリティは重要な観点として触れられています。2022年には「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(通称:アクセシビリティ法)」が施行され、ICTサポートセンターの存在意義とも言えます。 デジタル推進委員 ■デジタル推進委員とは:デジタル機器・サービスに不慣れな方等に対し、以下に関する事項について教える、又は利用のサポートを行う方です。 ■デジタル推進委員が教える・サポートする事項 1.マイナンバーカード・マイナポータルの利用方法 2.各地で実装されているデジタルサービスの利用方法 3.デジタル機器・サービスの利用方法 出所:デジタル庁「デジタル推進委員の取組」 https://www.digital.go.jp/policies/digital_promotion_staff ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.8)--------------------------------------------------- 2 ICTが障害者にもたらす可能性 ICTの活用は、誰にとっても不可欠ですが、中でも、障害者の生活や活動、社会参加を容易にする潜在力を持っています。例えば、意思伝達装置やタブレットを使うことで、意思疎通が難しい方々も、自分の考えや感情を伝えやすくなります。インターネットを活用することで、障害者も自宅にいながら学習や必要な情報を得やすくなります。さらに、オンラインでの就労等を通じて、自立した生活や社会参加が可能となり、社会とのつながりを保ちやすくなります。 また、災害時には、障害者は特に必要な情報を得にくい状況になりやすくなります。一次情報へのアクセスが、音声認識や文字変換ツール等によりリアルタイムで得られることで、自分の身を守ることにもつながります。 支援においては、児童期や高齢期等、ライフステージに応じた対応が求められますが、これらはそれぞれの専門機関が個別に対応する縦割りの仕組みになっていることが多いのが現状です。しかし、ICTはこうした縦割りの枠を超え、児童から高齢者まで、すべてのライフステージにおいて横断的な支援を提供することが可能です。そのため、ライフステージごとの変化に応じた継続的な支援が重要になります。 ICTは、障害者一人ひとりの障害特性、ニーズ、ライフスタイル等の個々の実態に応じた活用を行うことで、障害者の多様な状況や個別の必要性に対応し、生活の質を大きく向上させることができます。ICTサポートセンターは、こうしたライフステージごとの変化に対応し、公平・中立的な立場で関わりながら、ICTを活用した継続的な支援を提供していくことになります。 〈ICTが障害者にもたらす可能性〉 ■コミュニケーションの確保・向上 ◇音声認識や文字変換ツールにより、コミュニケーションの手段が増加 ◇ビデオ通話やチャット機能で、遠隔地でもつながることが可能 ■情報アクセスの保障 ◇情報入手機会の拡大 ◇情報入手の即時性・効率化 ■教育と学習の支援 ◇eラーニングやオンライン教材により、障害に合わせた学習環境を提供 ■就労機会の拡大 ◇リモートワークを通じて、働ける環境を拡大 ◇AIや自動化技術による業務効率化で負担を軽減 ■生活の自立支援 ◇スマートホーム技術で、日常生活をサポート ◇ナビゲーションアプリによる移動支援 ■社会参加・自己表現の機会の拡大 ◇ソーシャルメディアやオンラインコミュニティによる交流の促進 ◇就労、eスポーツ等の社会参加・自己実現 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.9)--------------------------------------------------- 3 ICTサポートセンターの役割 2006年度総務省委託事業「高齢者・障害者のICT利活用の評価及び普及に関する調査研究報告書」(2007年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)では、障害者のICT利活用による社会参加のための支援として、障害者が機器を利用する意欲を持ってもらうための「普及・啓発」、その人にあわせた機器を選定する「情報環境整備」、特性に応じた操作方法等を教えることができる講師の育成等の「ICT技能習得」、就業を中心とした「社会参加支援」を挙げています。 これらの支援の中で、ICTサポートセンターは、特に、「普及・啓発」と「情報環境整備」の役割を担っています。「情報環境整備」には、相談や訪問指導が含まれることから、本手引きでは、「相談対応によるICT活用の促進(相談対応・環境整備)」として、整理し直しました。 ひとつのセンターで必ずしもすべての内容を実施する必要はありませんが、センターが地域でのICT支援の拠点となり、障害者のICT活用を促進するためには、これらの活動を適切に組み合わせて実施することが重要です。 図表:ICTサポートセンターの基本的な役割 @普及・啓発 ■ICT機器等に関する情報の発信者としての役割 ◇ICTを広く活用してもらうためには、ICT機器の活用で広がる可能性、有効性等、ICTの活用の動機付けとなる情報発信をすることが重要です。 ◇障害者やご家族等、障害者のICTに関する情報を求めている方が必要な情報にアクセスしやすくなるよう、最新のICTに関する情報や実際に効果があった事例等の発信が期待されます。 ◇情報化が進んだ現代社会では、ICTを使ったコミュニケーションの保障は人権にかかわるという認識を持つことが重要です。障害によってICTが使えないことは、大きな不利益につながる可能性があることも、認識しておく必要があります。 ◇障害当事者だけでなく、支援者に対してもセンターの持つ情報を積極的に提供する等、障害者に関わる方全体のICTを活用・応用するスキルを高め、ICTの啓発を行うこともセンターの大切な取組であると言えます。 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.10)--------------------------------------------------- A相談対応によるICT活用の促進(相談対応・環境整備) ■身近な相談窓口としての役割 ◇センターで利用者からの相談を受ける際、まずは機器利用以外の解決策も含めてアセスメントを行う必要があります。アセスメントの結果、ICT機器以外の人的支援や社会・福祉制度の活用で解決することが望ましい場合や、相談者のニーズがセンターとして提供できるサービスの範疇を超えている場合は、その旨を伝え、希望に応じてそれらの制度や支援に繋げることが求められます。利用者の背景や環境を踏まえ、それぞれの状況や相談内容に沿った支援をすることが大切です。 ■ICT機器等の操作支援の役割 ◇相談対応の中で、ICT機器等の選定や操作支援を行います。 ◇障害者が初めてICT機器を利用する場合、機器の選定、体験、購入、セッティングといった環境整備から、実際の日常生活での活用まで、様々な場面での支援が必要となります。 ■支援をつなぐコーディネーターとしての役割 ◇センターは、障害者の状況を把握したうえで、必要な支援をセンターで提供できない場合には、提供可能な他機関・団体等へ紹介する、力を借りながら一緒に支援をする等、支援をつなぐコーディネート機能を担うことが重要です。 ◇障害者のICT活用を効果的に支援するためには、障害者本人だけでなく、その周囲にいる支援者も積極的に関わることが重要です。例えば、機器のセットアップや使い方の手伝いが必要な場合があります。その際、家族やヘルパー、学齢期の子どもであれば教師等が、機器の「中間ユーザー」として重要な役割を果たします。「中間ユーザー」への支援も、障害者のICT活用を支えるうえで非常に大切です。 ◇障害者の家族や施設の職員といった身近な支援者がICTの活用に関わることで、障害者にとって有力なサポーターとなり、ICTの導入や活用がスムーズに進みやすくなります。 ■支援のネットワークを作る役割 ◇センターが障害者の周囲にいる支援者同士をつなぎ、ICTに関する支援のネットワークを作る役割を担うことで、障害者がICTをより効果的に活用できる環境が整えられることが期待されます。 4 ICTサポートセンターに関するよくある誤解 ICTサポートセンターは、ICT機器等の利活用により、障害者の社会参加や自立を支援することから、その役割について誤解されることがあり、相談員に過度な期待が寄せられることがあります。以下に、よくある誤解と実際の対応例を紹介します。 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.11)--------------------------------------------------- ■スマートフォンやパソコンの操作を教えてくれるところ ◇センターでは、障害者のICT利活用を支援することが主目的であり、基本操作の習得を目的とした一般的なパソコン教室とは異なります。相談者がICTを生活の中でどのように活用するか、どのように社会参加を促進するかという点が重要です。 ◇支援は技術的な側面に加えて、透明文字盤やアームレスト等のICT以外のツールの活用や、生活全般の支援を含む広い視野が求められます。 ■どんなICT機器やソフトウェアにも詳しい専門家がいる/あらゆる障害特性に対応できる ◇センターは、障害者のICT利用に関する相談や疑問を解決する専門的な支援を提供する機関ですが、全てのICTに関する問題に対して「何でも解決してくれる便利屋」ではありません。センターは、障害者の方々がICTを活用してより良い生活を実現できるよう、技術的な支援や専門的なアドバイスを行っていますが、それぞれのセンターの強みは異なります。 ◇専門外の内容については、他の適切な窓口に繋ぎ、連携することで対応しています。 ■個別対応を無制限にしてもらえる/いつでもすぐに対応してもらえる ◇センターは障害者の身近な相談窓口の役割を担っているものの、「いつでもすぐに対応してくれる便利屋」ではありません。多くの相談者を抱えることから、公平に支援を実施できるよう、面談は予約制にする、時間を区切る等の対応をとるセンターもあります。特に、相談者宅に訪問して面談や支援を実施する場合は、人員体制によって、制限がかかる場合があります。 ◇センターでは効果的な支援を実施できるよう、相談者を支える支援者の状況を把握し、専門職と連携して支援にあたっています。 5 ICTサポートセンターの職員に求められること ICTサポートセンターの職員は障害者のICT利活用を支援し、社会参加や自立を促進する役割を担っています。そのため、相談対応者には「姿勢」「対応スキル」「知識」の3つの要素が求められます。 まず、「姿勢」として、相談者に寄り添うことが大切です。相談者は、ICTの操作や活用に関する困難だけでなく、障害による日常生活の苦悩や、社会のバリアによる機会の損失等、多様な悩みを抱えていることが少なくありません。例えば、情報が得にくいために必要な支援制度を利用できなかったり、周囲の理解不足によって適切なサポートを受けられなかったりすることもあります。こうした不安や戸惑いを理解し、公平・中立な姿勢で対応することで、すべての相談者が適切な支援を受けられるよう努めることが重要です。 次に、「対応スキル」が求められます。相談者の状況を的確に把握し、課題を整理した上で、適切な支援策を考える必要があります。相談内容によっては、センター内で解決できないこともありますが、その場合は関係機関と連携し、適切な支援先につなげることも重要な役割です。相談者一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応が求められます。 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.12)--------------------------------------------------- そして、「知識」は適切な支援を行うために必要です。ICTの活用方法、支援技術、障害特性、支援制度についての理解がなければ、相談者にとって実用的な助言ができません。常に最新の情報を学び、相談者のニーズに合った情報を提供できるよう努めることが必要です。 ICTの活用は、障害者の社会参加や自立を大きく支える手段となります。私たちの対応一つひとつが、相談者の生活の質を向上させるきっかけとなる可能性があります。その責任を自覚し、常に最善の支援を提供できるよう心がけていきましょう。 図表:求められること 本手引きで学べること 対応スキル(実践的な技術) 知識(基盤となる情報) 姿勢(基本的な価値観や考え方) <姿勢> ●尊重 ●中立性 ●公平性 ●柔軟性 ●倫理観 等 <対応スキル> ●傾聴・共感力 ●情報収集力 ●問題解決力 ●課題整理力 ●コーディネート力 等 <知識> ●ICT、機器等の基礎知識 ●障害に関する基礎知識 ●支援制度・法律 ●福祉・支援機関の情報 等 6 ICTサポートセンターの連携 @連携とは ICTサポートセンターでは、利用者からの相談に対して最も適切な対応をするために、利用者の家族や医療・福祉・教育の専門職、さらには関連する機器のメーカー等の関係者と協力しながら支援を行うことがあります。 この協力体制を本手引きでは、「連携」と呼びます。連携には、次のような様々な形があります。 ◇ICTサポートセンターが他機関や専門職に支援を依頼し、一緒に対応を行う ◇ICTサポートセンターが他機関に対してICT機器の共有や情報提供を行う ◇利用者向けのICTの講習会を他機関と共同で実施する ◇他職種のスタッフに対してICTに関する研修を行う また、障害者からのICTに関するニーズが必ずしも直接センターに寄せられるとは限りません。地域の他の窓口や関係機関に相談が寄せられるケースも多いため、地域資源との連携が重要です。地域で情報を共有し、協力体制を築くことで、障害者のICTに関するニーズをしっかりと拾い上げ、より効果的に支援を行うことが可能になります。 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.13)--------------------------------------------------- 本手引きでも、相談に応じる過程で、メーカーや学校等と連携して対応をした事例を紹介しています。普段から、地域にどのような資源があるかを把握し、関係を築いていくことが重要です。また、連携はあくまで対等な関係であるため、相手任せにすることや、一方だけに過度な負担がかかるような関係は長続きしません。連携を持続可能なものにするためには、互いに協力し、配慮し合うことが欠かせません。 A連携先の例 連携先は多くあります。地域の状況にもよるため、まずは地域内にどのような資源があるのか、どのような機関なのか確認することが大切です。そのうえで、何かあったときに気軽に連絡ができるよう、日ごろから顔の見える関係づくりが求められます。 下記の連携先例は、あくまでも一例です。地域によっては、個人で活動している人、任意団体やNPO法人としてICT支援を担っている法人もあります。当事者によるピアサポーターが連携先になる可能性もあります。 図表:連携の一例 ■一緒に支援を行う センター センターでの機器の展示 ICT機器の活用方法のレクチャー、貸出 メーカー ■講習会(利用者向け)の共同開催 センター 聴覚障害者向けのスマートフォン教室を実施 必要なケースで聴覚障害者の個別支援に同行 当事者団体 図表:連携先例 ■職能団体(各都道府県) PT協会 OT協会 ST協会 ■専門機関 聴覚障害者情報提供施設 点字図書館 難病相談支援センター リハビリテーションセンター ■業界団体 当事者団体 社会福祉協議会 肢体不自由児協会 視覚障害者協会 聴覚障害者協会 テクノエイド協会 ■教育機関 大学 高等専門学校 ■医療機関 大学病院 公的病院 民間病院 保健所 ■その他 自治体(委託元以外) 自立支援協議会 職業能力開発校・職業センター 介護実習・普及センター 機器メーカー 販売業者 電気通信事業者 手話・文字通訳団体 他自治体の障害者ICTサポートセンター 訪問看護ステーション 各施設・事業所 個人で活動している人 等 ---第1章 ICTサポートセンターに求められる役割(P.14)--------------------------------------------------- BICTサポートセンターの設置例 ICTサポートセンターの運営は、自治体が地域の実情に応じて設置・運営を進めることになります。地域資源の状況によって、センターの設置地域、設置方法、人員体制等は異なります。このため、まずは地域の資源を把握することが大切です。 地域の大きさによっては、1つのICTサポートセンターで地域すべてをカバーするのは難しい場合があります。その場合、他法人等と連携してセンター機能を有することや、本拠地の他にサテライトで場所を設けることで地域を広くカバーすることができます。サテライト型は常時開設できれば理想ですが、まずは定期的な開催から様子を見ることも考えられます。 また、単独拠点型においても、管下の自治体職員向け研修を実施する、教育機関や障害者施設等の支援者育成のための研修を実施する等、地域内の複数の機関と協力している場合があります。 (1)単独拠点例 ■特徴:自治体に対してセンター 1拠点を設置。利用者が来訪して相談できる窓口や機器体験場所等を有する場合と利用者宅等に出向く場合もある。 ■センター例:東京都障害者IT地域支援センター 東京都におけるICTに関する相談対応や研修会開催、体験展示場の設置等の業務に対応する。 市区町村の育成を目的に、年中「支援者養成研修」を実施している。 (2)複数拠点例:共同体型 ■特徴:自治体に対してセンター 1拠点を設置。複数のセンターが協定を締結する、一部業務を再委託する等、表向き1法人であるが、実際は複数の拠点で運営している。 ■センター例:千葉県障害者ITサポートセンター 県内の3法人が共同体を結成してセンターを運営する体制を持つ。 (3)複数拠点例:サテライト型 ■特徴:自治体において同一の法人に委託を行い、複数のセンターを設置。本拠地のセンターから離れた場所に小規模のスペースを準備し、遠方の利用者にも対応する。 ■センター例:福祉メディアステーション(岐阜) 県内で多くの方を支援できるよう、ブランチ拠点を開設し、事業委託を行い運営する。岐阜県内には「視覚障害者生活情報センターぎふ」もあり、複数拠点型でもある。 (4)複数拠点例:複数拠点型 ■特徴:自治体において複数の法人に委託を行い、複数のセンターを設置。広域の支援に対応することや、専門とする障害種別や知見等に応じた支援体制を構築し運営している。 ■センター例:愛知県 愛知県が実施するセンターが5拠点設置されており、広域の相談対応を可能としている。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.15)--------------------------------------------------- 第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等 1 本章の概要と相談対応の手順 本章では、一般的な相談対応手順とその際のポイントや留意事項等を示しています。相談対応手順は、以下の3つで整理しています。 @相談受付・アセスメント A支援 Bモニタリング 本章をお読みいただく前に ICTサポートセンターの相談は、例えば、ICT機器の情報収集、スマートフォンやパソコンの操作、展示機器の体験のように、その場で解決できる相談もあれば、中長期的な支援が必要な相談等、様々なグラデーションがあります。また、ICTサポートセンターの体制等によって、センターの支援範囲・支援内容も異なります。 ここで示す相談手順は、比較的中長期の手厚い支援が必要な場合を想定した基本的な流れです。そのため、相談内容やICTサポートセンターの状況によって必ずしも支援の実態と手順が合わないことも想定されます。これを踏まえ、障害者の支援における基本的なプロセスの理解に役立ててください。 ※表記について ・本人:障害者、障害当事者 ・相談者:本人、家族、支援機関の担当等 相談に来た方 ・支援者:本人の介護や支援を行う方(家族、ヘルパー、担当セラピスト等) ・センター:ICTサポートセンタ ・セラピスト:リハビリ専門職(PT・OT・ST) ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.16)--------------------------------------------------- 図表:相談対応の手順 @相談受付・アセスメント 相談受付 ・来所、遠隔、訪問相談等 支援内容の検討(確認・振分) 支援対象外の相談 関係機関への紹介(つなぎ)等 終了※ その場で解決できる相談 支援 終了※ (支援の例) ・情報提供 ・展示機器の体験利用 ・ICT機器の紹介・貸出 ・利用支援団体の紹介 等 ※関係機関と協働する場合あり 課題・ニーズの明確化・分析 A支援 センター単独での対応可否 不可 関係機関への紹介(つなぎ) 終了※ 関係者・関係機関との連携 終了※ 可 支援 終了※ (連携の例) ・メーカーとの機器の貸出の調整 ・適合評価に対する担当セラピストの助言 ・支援者への機器の設定支援 ・スクールカウンセラーとの情報共有 等 支援内容の再検討を含め試行錯誤を実施 Bモニタリング モニタリング 中長期的なモニタリングを含む フォローアップの必要性 有り 関係者・関係機関との連携 関係機関への紹介(つなぎ) 無し 終了※ ※支援終了後、改めて支援が必要な場合には再度相談受付を行います。 ICTサポートセンターの体制・支援の範囲等によっては「Bモニタリング」を実施しないケースもあります。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.17)--------------------------------------------------- 2 各相談対応手順のポイント・留意事項等 @相談受付・アセスメント 相談内容の確認後、支援を振り分け、必要な場合には、さらに本人の課題・ニーズの明確化と分析を行い、適切な支援内容を検討するまでのプロセス ポイント ◆情報収集 ○支援においては、本人の障害や生活状況等、詳細な情報を把握することが必要な場合があります。一方で、細かい情報は支援を進める中でも得ることができます。また、自身の障害について、あまり話したくない方も少なくありません。そのため、初回の相談では特に、情報収集に注力しすぎないよう留意し、相手のペースに合わせて話を引き出しましょう。そのため、アセスメントシート(P.86)等のツールを用いる場合は、特に注意が必要です。 ◆課題・ニーズの明確化 ○アセスメントでは、「何ができないのか?(課題)」と「何がしたいのか?(ニーズ)」をある程度把握することで支援の方針を見出すことができます。課題・ニーズが不明確な場合は、様々な機器等を実際に見ながら一緒に言語化していく、本人の困りごとや関心から引き出すこともあります。 ◆支援内容の決定 ○本人の意向を確認しながら、最終的に課題・ニーズの解決につながる支援を決定しましょう。また、支援内容は状況に応じて変化することを踏まえましょう。 留意事項等 ◆本人の自己決定の権利を尊重する ○障害者のICT機器利用支援では、本人が自らの生活を決める主体であることを前提とした支援が求められます。特に、本人以外の方から相談が来た場合には、本人の自己決定の権利を尊重しましょう。 ◆必要な配慮の確認 ○相談の際は必要な配慮を確認し、できる限り本人が相談しやすい環境を整えましょう。 (事例10 P.45、事例12 P.49) ◆プライバシーと機密保持の徹底 ○個人情報を収集する際は、必要最低限にとどめ、利用目的や情報の取扱い等を説明し、本人の同意を取得しましょう。(P.87) ●参考情報 アセスメントシート(P.86) ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.18)--------------------------------------------------- WGメンバーからのアドバイス 潜在的なニーズを引き出す 障害当事者の中には、相談時にICT機器利用のニーズがない方、機器を使ったことがない方も少なくありません。アセスメントの際に、そのような方の潜在ニーズを引き出すことも重要です。本人が楽しめること、関心があることが何かを引き出しながら、ゴール設定を行うことが大切です。(事例1 P.27) 根本的な課題を見出し、より適切な提案につなげる 例えば、これまで腕を動かしてスイッチを操作していたALSの方が、腕を動かすことが難しくなってきたため、視線入力装置の活用を希望する相談に対応した結果、最終的には、アームサポーターを利用することで、従来の使い慣れた機能でスイッチの操作ができるようになったというケースがあります。このように、アセスメントでは本人の根本的な課題を見出し、より適切な提案につなげることも重要です。 Column スマートフォンの「イロハ」ではなく、本人のニーズ・関心から支援を進める(宮崎県立視覚障害者センター) スマートフォンに関する問い合わせの中には、スマートフォンをまったく使ったことがない方も少なくありません。「スマートフォンって本当に使えるの?」と不安に思っている方々に対して、ただ単に「スマートフォンの基本的な使い方」や「ボイスオーバー機能」等を説明するだけでは、逆に使う気がなくなってしまうこともあります。 そのため、まずは「使えるかどうか心配」という気持ちに寄り添い、「こんな便利なことができるんですよ」と、スマートフォンの可能性をポジティブに伝えていくことが重要です。 例えば、「封書を確認するのが大変ではありませんか?スマートフォンを使うと、ヘルパーに頼らずに自分で封書の中身を確認できるようになるんですよ」と提案し、実際に操作をお見せすると、有効性を感じていただくことが多いです。 また、相手の趣味や関心を踏まえた提案も効果的です。音楽が好きな方には、音楽を楽しむためのアプリを紹介したり、読書が好きな方には、音声で読んでくれる電子書籍のアプリを紹介する等、その人にとって魅力的な機能を提示することで、スマートフォンが生活を豊かにするツールだという実感を持ってもらえます。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.19)--------------------------------------------------- A支援 支援内容の決定後、他の支援機関等へのつなぎや連携の必要性を判断し、必要な支援を行うまでのプロセス ポイント ※以下は特に、センターの支援範囲・支援内容や地域資源の状況等によって対応が異なります。 ◆ICT機器・入力デバイスの選定 ○適切なICT機器やソフトウェア等の選定にあたっては、本人の課題・ニーズの解決につながるか、期待する効果が見込まれるかを確認することが特に大切です。 ○入力デバイスが必要な場合は、個々の障害特性や残存機能に合わせて最適なものを選定しましょう。(例:ボタン操作で押し込みが難しい場合に、大型ボタンやタッチセンサーを検討) (選定の観点の例) ・操作のしやすさ(ボタンの押しやすさ、画面の見やすさ 等) ・使用目的との適合性(仕事・学習・コミュニケーション 等) ・負担の少なさ(長時間の使用が可能か、疲れにくいか 等) ・カスタマイズ性(状況に合わせた設定変更ができるか 等) ・コスト・導入のしやすさ(価格、支援制度の活用 等) ◆環境調整(使いやすい環境を整える) ○物理的な環境(Wi-Fi環境、操作しやすい高さ・角度の設置、アームサポートの使用等)やアクセシビリティ機能の設定・調整(文字の拡大、色の調整、音声入力等)といった、ICT機器やソフトウェア等を使いやすくするために必要な環境や機能の設定・調整を、個々のケースに合わせて整えましょう。 ◆適合(フィッティング)と試行(トライアル)の評価 ○評価では、反応を観察するだけではなく、本人の感覚を大切にして、意見を引き出しましょう。課題がある場合は再調整を行います。 ○可能であれば、専門的な助言が可能な担当のセラピスト(PT・OT・ST)等に関与してもらうことが望ましいでしょう。(例:肢体不自由の方の担当OTによるポジショニングへの助言 等) ○フィッティングは一度で完了するものではなく、本人のスキルの向上や身体状況、生活状況等の変化に合わせて、継続的な調整が必要であることを理解しましょう。 ◆機器の体験・貸出・購入 ○体験や貸出をしたい機器がセンターにない場合は、メーカーや販売代理店等を通じて、相談しましょう。メーカー等の担当者と連携することで、機器の操作方法やサポート体制の確認等、様々な協力を得られることもあります。 ○機器によっては、貸出費用が発生したり、費用が高額になる場合があります。本人の費用の捻出が難しい場合は、機器の使い方や特長を説明しているYouTube動画の紹介や、メーカーの説明をオンライン会議でつなぐ等、代替する対応を検討すると良いでしょう。 ○機器の購入は、メーカーや販売代理店からのみ購入可能なもの、インターネットや家電量販店等で直接購入可能なものがあります。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.20)--------------------------------------------------- ◆機器の活用・定着(小さな成功体験を積み重ねる) ○機器を使いこなせるようになること、最終ゴールに向けた成果が出るには時間を要することも少なくありません。機器を継続的に利用してもらうためには、期待値やモチベーションのコントロールが重要になります。まずは、小さな目標達成・成功を積み重ね、本人に達成感を持ってもらうこと、楽しんでもらうことを意識しましょう。 留意事項等 ◆機器利用をサポートする支援者の把握 ○ICT機器を継続的に活用してもらうためには、身近で機器利用のサポートができる支援者が重要になります。そのため、支援者の機器活用のスキルや本人に関わる頻度、場面等を確認し、機器利用をサポートできる方を把握しましょう。 ◆機器利用をサポートする支援者との協力 ○アセスメントや支援の段階から担当のセラピストにも同行してもらうというように、あらかじめ、機器利用を継続的にサポートできる支援者との協力体制を整えていきましょう。センターの職員だけではなく、様々な支援者が本人のサポートをしていくことが望まれます。 ◆関連制度の確認 ○特に、機器購入の提案段階においては、関連する支援制度の情報も収集しておくと良いでしょう。補装具費支給制度や日常生活用具給付等事業等の対象となる場合は、製品が高額な場合も提案しやすくなります。 ○関連制度の対象は、自治体によって異なるため、自治体の公開情報や問い合わせ窓口、制度に詳しい地域の関係者・関係機関を把握しておくと良いでしょう。 ◆安全性の確認 ○機器の故障・落下・破損、その他安全に活用する上でのリスクと対策を確認しましょう。 WGメンバーからのアドバイス 関係者・関係機関との連携を考える 専門性・人員の制約がある場合や、本人の生活(仕事・学習等)に係る相談が来た場合等、ICTサポートセンターの状況や相談内容によっては、センター単独での対応が難しい場合があります。そのため、支援の際には、外部の関係者や専門家等と連携を図ることで支援の効果を高めることができないか、連携の可能性を検討することが重要になります。(事例7 P.39、事例8 P.41 等) メーカー等との連携・関係づくり 当センターでは、貸出したい機器のメーカーや販売代理店とそれまで接点がない場合、メーカー等へ直接連絡を入れて機器の貸出を交渉しています。一度メーカー等と関係ができることで、他の方への貸出や購入の相談等もスムーズになるため、「まずは連絡」することを大事にしています。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.21)--------------------------------------------------- Bモニタリング 支援が適切に進んでいるかモニタリングし、フォローアップの必要性の判断と対応、支援を終了するまでのプロセス ポイント ◆モニタリング ○モニタリングは、適切な機器の活用を促し、本人の満足度や効果を評価するために重要です。機器を利用して良い点・気になる点等、本人の感想を聞き取りましょう。また、改善が必要な点があれば、本人と一緒に、改善策の検討や今後の支援内容を見直しましょう。 ○主に、機器の導入初期や適応段階では、本人が機器を実際に使っている様子を観察したり、本人や支援者の意見を収集しながら、機器の設定や使用方法を調整する等、支援とモニタリングを繰り返して試行錯誤を行います。 ○一定期間の機器利用の支援後にモニタリングを行う場合は、本人の機器利用等の状況、機器利用の満足度や効果、課題等を収集し、今後の支援の方向性を決定しましょう。 ◆フォローアップの検討・対応 ○モニタリングの結果や中長期的な支援の必要性、本人の希望等を踏まえ、支援終了後にフォローアップを行う必要がないか判断し、対応を検討しましょう。特にフォローアップでは、身近で機器利用のサポートができる支援者や関係機関等との連携も重要になります。 (フォローアップの例) ・再支援が必要になった場合の案内 ・機器の定期的なメンテナンスが必要な場合の対応の確認 ・家族や職場・学校等のサポート・モニタリング体制の確認 ・支援者への引継ぎ ・支援終了後、一定期間後に利用状況を確認する 留意事項等 ◆支援の段階的な縮小・見直し ○支援終了にあたっては、不安を持つ方もいます。そのため、いきなり支援を終了するのではなく、計画的に支援の頻度を減らしながら様子を見る、支援内容を見直す等、本人や家族が安心できるように移行していくことが大切です。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.22)--------------------------------------------------- WGメンバーからのアドバイス 長期的な視点を持って支援する 障害のある方の機器利用支援は、長期的な視点で行うことが大切です。特に、進行性の障害を持つ方、成長過程の子供等、変化が見込まれる場合には、定期的な状況確認を行うことが望ましいと言えます。また、支援をいったん終了する場合も、トラブル時等にいつでも相談できる環境を整えましょう。例えば訪問リハビリの担当OT等、身近な支援者にモニタリングの役割をつなぐことも大切です。 事例 特別支援学校との相談に係る連携(宮崎県立視覚障害者センター) 相談者(視覚障害者)には、常にスマートフォンやアプリに関する細かい疑問や相談が多くあります。 そこで、当センターでは、県内の特別支援学校の先生方と協力し、当事者本人を対象に、 @「定期的なICTに関する相談会」とA「オープンチャットを活用した情報共有のプラットフォームづくり」を実施することで、継続的な支援ができる環境を整えています。 @相談会 特別支援学校の先生方が直接、相談者の疑問に答え、最新のアプリ等の情報提供もしてくださることで、さらに深い理解を得ることができます。相談会は単なる疑問解決の場ではなく、参加者同士の情報交換の場や、センターの職員にとっても新しい知識を得る機会となっています。 Aオープンチャットを活用した情報共有の取組 このオープンチャットはセンターの職員や特別支援学校の教員も管理者として参加しており、実名で登録することにしています。参加者同士で気軽に質問したり、学んだことを共有したりできる場となっています。 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.23)--------------------------------------------------- 3 連携のポイント 第1章では、ICTサポートセンターが利用者の相談に適切に対応するために、なぜ連携が必要なのか、どのような場面で連携が行われているのか、さらに、主な連携先の例を示しました。 本ページでは、センターが他機関と連携を進めるために必要となる準備や工夫のポイントについて、「接点を作る」、「関係構築」、「継続的な支援体制」の3つのフェーズで整理しています。 ICTサポートセンターの支援は、センター単独では完結しないケースが多く、他機関と連携することで、支援の幅や質を高めることができます。ぜひ、ここで示したポイントを参考に、効果的な連携づくりに役立ててみてください。 接点を作る 関係構築 継続的な支援体制 「接点を作る」ポイント ・地域の医療・福祉・教育機関などに、センターから積極的に働きかけ、最初の接点を作ります。 ◆関連団体のリサーチ・接点づくり ○ICTサポートセンターが地域の他機関と連携して支援を行うためには、まず自治体内の障害者支援団体、医療機関、福祉機関など、地域の関係者と継続的に接点を持つことが重要です。また、メーカーとの連携を図る際には、展示会が貴重な接点づくりの場となります。 ○→参考事例:沖縄県障がい者ITサポートセンターの事例 「一人職員でもできる「地域連携型ICT支援」―多様な協働で広域支援を実現するために―」 「関係構築」ポイント ・効果的な連携のためには、まず相手に「センターの役割と支援内容」を正しく理解してもらい、センター側も相手の課題やニーズを把握し、どの部分で力になれるかを明確にする必要があります。こうした相互理解が、関係構築の土台となります。 ◆支援者が集まる場への積極的な参加 ○研修会や担当者会議など、支援者が集まる場にセンター自ら参加することも、連携を広げる上で有効です。障害・医療・介護分野の研修に講師として参加し、ICT支援の具体的な内容やセンターでの支援の流れを説明することで、支援者の理解が深まり、相談につながるきっかけが増えます。 ○→参考事例:かがわ障害者ICTサポートセンターの事例 【工夫】「身近な地域の支援者との顔の見える関係づくり」 ---第2章 ICTサポートセンターにおける相談対応手順とポイント・留意事項等(P.24)--------------------------------------------------- ◆パンフレットの活用 ○センターと他機関の連携を進めるためには、まず支援者にセンターの存在と役割を知ってもらうことが重要です。そのため、医療機関や自治体窓口など、支援者や当事者が利用する場所にパンフレットを配置してもらうことは非常に効果的です。 ○→参考事例:高知県視覚障害者ICTサポートセンターの事例 【連携の工夫・ポイント】「支援を広げるための「啓発」という役割」 ○活用できるツール→リーフレット 「継続的な支援体制」ポイント ・連携は「一度つながれば終わり」ではありません。つながった後も、支援の実施中や支援後において、関係者間でこまめな連絡やフォローを行うことが重要です。そうしたやり取りを重ねることで、相手の安心感が高まり、継続的な関係性の構築や、次の連携へとつながりやすくなります。 ◆こまめな情報共有による連携の継続 ○他機関と連携して支援を進める際には、行政手続きやメーカーとの調整などにより、対応に時間を要することがあります。そのような場面で進捗や状況の共有が不足すると、関係者間で認識のずれが生じやすくなります。節目ごとに情報を共有することで、関係者が同じ理解のもとで支援を進めやすくなります。 ○また、進行性の難病等を持つ利用者の場合、身体状況や機器の使い方が変化することがあります。その変化を早めに共有することで、支援内容を速やかに調整でき、利用者に合った支援を継続しやすくなります。 ○→参考事例:福祉メディアステーションの事例 【連携の工夫・ポイント】「行政・メーカー・施設・家族を含む多機関連携で、使い続けられる環境づくり」 ◆支援内容のフィードバック ○他機関から紹介を受けて支援した場合は、その内容を共有することが、継続的な関係構築に有効です。どのような支援を行ったかが分かることで、紹介元の機関に安心感が生まれ、「次も相談してみよう」と思うようになり、連携が継続しやすくなります。 ○→参考事例:高知県視覚障害者ICTサポートセンターの事例 【連携の工夫・ポイント】「支援を広げるための「啓発」という役割」 ---第3章 相談対応事例(P.25)--------------------------------------------------- 第3章 相談対応事例 ICTサポートセンターでは、日々さまざまな相談に対応していますが、他のセンターがどのような支援を行っているかを知る機会は限られています。そこで、第3章では、各センターで実施された具体的な相談対応の事例(以下、事例)を紹介します。なお、本章の作成にあたり、9つのセンターから事例をご提供いただきました。 事例は3つのカテゴリーに分けて紹介しています。 1つ目は「コミュニケーションに関する事例」です。意思疎通や意思伝達に関する支援の具体例を取り上げています。 2つ目は「社会参加に関する事例」です。就労支援や学習支援に関する事例を紹介しています。 3つ目は、障害者に対する事例ではなく、センター職員が専門職と連携して、対応した事例を掲載しています。 ICTサポートセンターでは、常に利用者のニーズに応じた最適な支援の提供に努めています。本章が、各ICTサポートセンターにおける支援の方法やアイデアを広げ、センター職員の皆さまの相談対応の一助となれば幸いです。 事例を活用いただく際の留意点 ・各事例の背景や状況を踏まえたうえで、参考にしてください。記載された方法やアプローチが、すべてのケースで最適とは限りません。個別の状況に応じて、柔軟に活用してください。 ・一部の事例では、イメージをしやすくするために特定の機器名を記載していますが、これはあくまで参考情報です。特定の機器を推奨・斡旋するものではないことをご承知おきください。 ・事例中の用語は、提供元のICTサポートセンターで使用されているものを掲載しています。 ---第3章 相談対応事例(P.26)--------------------------------------------------- 事例の一覧 ◆コミュニケーション(意思疎通・意思伝達)に関する事例 ○肢体不自由 1.メーカーとの連携でスムーズな支援を実現!意思伝達機器の活用事例(滋賀県障害者ICT支援センター) 2.視聴のためのスマートフォン操作の実現 進行性難病患者への支援(なごや福祉用具プラザ) 3.コミュニケーションのための機器導入 メーカー、高齢者施設の職員等と協働して進めた支援(福祉メディアステーション) 4.地域の力を活かしたコミュニケーション支援 支援者ネットワークと独自アセスメントで実現を目指す“その人らしい暮らし”(かがわ障害者ICTサポートセンター) ◆社会参加(就労支援、学習支援)に関する事例 ○肢体不自由 5.相談者の知的意欲を活かしたPC技術習得支援〜自習可能な学習計画を〜(札幌市障がい者ICTサポートセンター) ○発達障害 6.相談者の目標を尊重したPCスキル向上支援の実践(札幌市障がい者ICTサポートセンター) 7.タブレットで学習の負担が減少〜学校との連携事例〜(愛媛県障がい者ICTサポートセンター) ○視覚障害 8.ジョブコーチとセンターの連携で実現!視覚障害者の職場復帰(神戸アイライト協会) 9.スマートフォンの支援〜医療機関との連携から始まるICTサポート〜(高知県視覚障害者ICTサポートセンター) ○聴覚障害 10.ビデオ通話でつながる聴覚障害者への支援事例(障害者ITサポートセンターおかやま) 11.困りごとに“合わせてつなぐ”支援:視覚・聴覚の重複障害者を支えたセンター間連携の実践(川崎市聴覚障害者情報文化センター) ○重複障害 12.盲ろう者のパソコン活用支援 コミュニケーション方法に関する工夫(鳥取県障がい者ICTサポートセンター) ◆その他の事例(センター職員から外部専門家への相談事例) 13.新しいテクノロジーの学びを専門家とともに(東京都障害者IT地域支援センター) ---第3章 相談対応事例(P.27)--------------------------------------------------- 事例@ メーカーとの連携でスムーズな支援を実現!意思伝達機器の活用事例 肢体不自由 訪問相談 意思伝達機器 メーカーと連携 相談概要 ●障害種別:肢体不自由(難病:ALS) ●相談者:家族(保健所を通じて相談) ●相談内容:意思伝達装置について教えてほしい ●使用した機器:TCスキャン、タブレット、PPSスイッチ、絵カードのコミュニケーションアプリ等 ●支援期間:半年 相談者(Aさん)について ●年齢:70歳代 ●生活状況:施設に入居 ●障害の状況: ・身体障害者手帳1級、要介護 ・左手拇指〜環指が1cm動く ・右足の底屈が若干可能。発話は難しい ・見え方、聞こえ方に関する障害はない Aさんの思い 読書や音楽鑑賞、和歌を作りたい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント ・保健所を通じて、Aさんの家族から相談を受けた。ご家族はTVや電話ができないか、タブレットをどうやって操作するのか、視線入力を体験してみたい等様々な希望があった。 本人の希望の確認/本人や支援者のリテラシーの確認/設備の確認 ・施設へ訪問し、本人・家族・施設の担当者と本人の状況や本人・家族の意向、本人の趣味等を確認した。 ・機器の設定の際に重要な情報となるため、Aさんと施設職員のICTリテラシーを確認したが、どちらもあまりICTに詳しくなく、施設にネット環境はない状況であった。 支援 機器の説明/身体機能の確認・把握 ・Aさんに、パソコンの使い方や、動かし方を簡単に説明した。 ・機器の検討のため、残存機能の確認を行った。身体機能は事前の情報と異なる場合もあるため、丁寧に確認した結果、左手母子〜環指の動きがよく、両足の底屈も可能であることが分かった。 スイッチの体験 ・1回目の訪問では、タブレットと絵カードコミュニケーションのアプリ、スイッチインターフェースと各種スイッチを試し、一番押しやすいポジションを確認した。 セッティング ・施設には機器に詳しい職員がいなかったため、タブレットの設定は無線のインターフェースは使わず、なるべくシンプルなセッティングを行うことで、ICTに不慣れな職員でも対応できるようにした。 TCスキャンの体験 ・2回目の訪問では、意思伝達装置であるTCスキャンを借り、体験した。動画配信サービスでAさんの好きな音楽を聴いてもらい、ICTが余暇にも便利なものであることを体験してもらった。 ・4回目の訪問では、Aさんの希望により、企業からTCスキャンを借り、固定具の組み立ておよび機器のセッティングを行った。 ・その後、メーカーとオンラインでつなぎ、詳しい使い方を教わった。この時、視線入力を使って50音のパネルで好きな和歌を入力され、Aさん本人が大変喜んだ。 支援の成果等 ・Aさんは、自分で動画配信サービスを視聴することや読書も可能になりました。 ---第3章 相談対応事例(P.28)--------------------------------------------------- 困ったこと 貸出可能な機器がない ●県内では個人に対してTCスキャンの貸し出し可能な団体が無いため、企業へ機器の貸し出しを依頼することになりました。 対応のヒント ●展示会等で関係者と関係性を築いていると、いざというときに力を貸してくれます。 ●機器に対しては、メーカーや専門の販売代理店等が詳しいため、リモートなどで説明をしていただくことも有効です。 ●他団体やメーカーとの連携、ネットワークづくりが大切です。 工夫 楽しく操作できる工夫を支援過程に組み込む ●ICTのニーズがない方の潜在ニーズを引き出すことが重要です。また、障害者ご本人の話を聞きながら、本人が「知りたいこと」、本人の「できること」を中心に、楽しみ、関心を持ちながら操作できるよう、支援することが大切です。 ●今回の事例では、もともとAさん本人よりもご家族の方が機器に関する関心が高かったので、Aさんにも意思伝達装置を使うことの便利さ・楽しさを知ってもらえるよう、動画配信サービスで音楽を流したり、和歌が作れることを体験してもらいました。 ●あえて目につくところにゲームを置いておくことも効果的です。 障害特性への配慮等 機器説明の配慮 利用者と支援者へのアプローチ ●進行性の難病等、病態が変わることを見越した機器説明は、本人の前で極力話さない配慮が求められます。 ●一方で、現状で使用可能な機器の設定を将来的に変更する可能性があるため、支援者には説明する必要があります。 滋賀県障害者ICT支援センター(運営:NPO法人滋賀県社会就労事業振興センター) ●当センターは、障害のある方の「働く」を応援する団体で、行政・企業・作業所など様々な団体とコネクションがあります。 ●ICT支援センターとしては @相談・在宅訪問支援 A県内ICTサロンおよびICTボランティアの活動支援 B関係機関および多職種との連携 C展示会の視察等をおこなっています。 ●地域資源として福祉用具センターや視覚障害者センター、聴覚障害者センターがあり、相談対応では連携して対応を行っています。 ●デジ滋賀 特色! ・コミュニケーション支援に関わる関係者の有志団体『デジ滋賀』に、約月1回のペースで参加し、各種団体や専門職と情報交換や勉強会、体験会を行っています。 ・「デジ滋賀」に参加することで、支援者のネットワークが広がること、誰かの疑問を誰かが解決してくれること等、種々のメリットがあります!デジ滋賀の詳細はP.71 HP:https://hataraku-shiga.net/abput/hatarakikurashiouen/ ---第3章 相談対応事例(P.29)--------------------------------------------------- 事例A 視聴のためのスマートフォン操作の実現 進行性難病患者への支援 肢体不自由 訪問相談 スマートフォンの設定・設置 相談概要 ●障害種別:肢体不自由 ●相談者:Bさん(本人) ●相談内容:これまで通りテレビが観たい ●使用した機器: 大型液晶テレビ、セットトップボックス(STB:動画配信サービスを視聴するための小型機器)、スマートフォン、スイッチ接続アダプタ、押しボタンスイッチ 等 ●支援期間:2か月(継続中) 相談者(Bさん)について ●年齢:60歳代 ●障害の状況: ・ALS(筋萎縮性側索硬化症)、四肢麻痺 ・身体障害者手帳取得手続き中 ・介護保険・要介護5 ・声量はかすかだが会話可能 Bさんの思い テレビが楽しみなので動画配信サービスを利用して好きな番組を観たい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント Bさんについての状況の確認 ・家族構成、身体障害者手帳の有無 介護力の確認と、身体障害者手帳の取得手続き中であることを確認した。 ・介護保険サービス利用の確認 ケアマネジャーと連携し、機器設置などでヘルパーの協力を依頼した。 環境に関する状況の確認 ・スマートフォンを含む機器、使える資源の確認 なごや福祉用具プラザ(以下、プラザ)の職員が訪問相談により確認を行った。 ・大型液晶テレビの位置や、ベッドまわりの環境確認 訪問看護ステーションの理学療法士と連携して、確認を行った。 支援 環境の整備 ・BさんがスマートフォンからSTBを使えるように環境を整えるため、以下を実施した。 ・ICTボランティアからの情報の活用 ・スマートフォン用スイッチ接続アダプタ、固定用アームの貸出と試用 ・STBの設定(アクセシビリティ機能の有無)およびアプリの確認 ・左手指の可動域とスイッチ押下力、配置場所の確認 ・スイッチの選定・適合 ・スイッチによるスマートフォン操作方法の説明 ・日常生活用具給付制度(情報通信・支援用具)についても説明し、固定用アームとスイッチの申請を案内し、対応業者を紹介した。 Bさんの同意を得て掲載 モニタリング ・訪問して操作環境および、スマートフォンの使用状況の確認を行った。 連携先 ・居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション 支援の成果等 ・再び好きな番組を自分で選択して観られるようになりました。 ---第3章 相談対応事例(P.30)--------------------------------------------------- 困ったこと 身近な支援者による対応が難しい ●Bさんの配偶者はパーキンソン病で寝たきりであり、自宅2階に住んでいます。子どもはおらず、2人暮らし(Bさんは1階)で、互いにヘルパーを利用しています。唯一の身近な支援者は本人の妹でスマートフォンの知識もあり、近隣に住んでいますがフルタイムで働いているため、支援に関わることは難しいと思われました。またスマートフォンの設定などの確認や急なトラブルに対応することも困難です。 対応のヒント ●サービスで入っている訪問看護ステーションの理学療法士が支援に熱心だったので、マニュアル作成を申し出てくれました。そのためスマートフォンの設定・設置や、トラブルについては、マニュアルによってヘルパーが対応できるようにケアマネジャーへ協力依頼しました。 工夫 @ICTボランティアからの情報提供 ●BさんがSTBを使って視聴するにはこれまで付属リモコンで操作しましたが、病気の進行で操作ボタンが押しづらくなりました。Bさんからの「スマートフォンでSTBを操作できるはず」との情報を確かめるために、プラザのICTボランティアのメーリングリスト(ML)へ情報を流して調査協力をお願いしました。 ●ICTボランティアからML上で様々な方法を提案していただきました。またSTBの実機(10年以上前で第2世代、Bさんのものと同機種)を貸してくださる方もいて、スマートフォンとの連携を確認できました。残念ながら日程の都合でICTボランティアは訪問支援に同行できませんでしたが、今回の支援を参考にSTBおよびスマートフォンのアクセシビリティ機能や大型液晶テレビを使うことでBさんの希望がかなうことを共有しました。 ASTBアプリの活用 ●Bさんはベッド操作アプリの使用も検討していたため、全て手元でできることを希望されました。そこでSTBとスマートフォンをBluetooth接続して、スマートフォン側のアクセシビリティ機能とSTBアプリを活用しました。 ●STBアプリの操作は通常フリックおよびタップ入力ですが、スマートフォン側のアクセシビリティ機能をONにするとアプリ表示が肢体不自由者向けの仕様となることがわかりました。そこで行と列のスキャン選択および自動タップ入力によって、上下左右方向キーでの番組選択や決定、再生・停止ができるようになりました。 障害特性への配慮等 スイッチ押下力(操作に必要な力)や大きさ、配置など ●Bさんは左示指がわずかに屈曲・伸展方向に動くため、その動きでスイッチを押し、STBアプリ操作を行うことを検討しました。ベッドのマットレス上で左手は手のひらを下にして置いているので、手の中へ包み込むように配置できるスイッチを選択する必要がありました。 ●手に握るナースコールと同型の棒状スイッチ(押下力は約40g、直径30mm、長さ100mm)を選択し、平置きにしてその上へ左手を置いて試すと操作することができました。 ●スマートフォン側のアクセシビリティ機能をONにしたときの行と列のスキャン速度は、Bさんの目での画面確認と、左示指でのスイッチを押す動作が追従できるように調整しました。 ●スマートフォン固定用アームはベッドでの姿勢を考慮し、最終的に頭側の底板(ボトム)へ設置しました。 なごや福祉用具プラザ(運営:社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団) ●パソコン、スマートフォン、タブレット端末や、意思伝達装置(視線入力装置を含む)の導入支援および選定・適合を来所あるいは訪問によって行っています。 ●難病の方への意思伝達装置の導入では、名古屋市身体障害者更生相談所による補装具費支給申請に関する訪問診査に同行し、スイッチの選定・適合を行っています。 ●既存の市販スイッチでは合わない場合や、操作に自助具等が必要な場合には、製作・改造して材料費のみで提供しています。 HP:https://www.nagoya-rehab.or.jp/plaza/ ---第3章 相談対応事例(P.31)--------------------------------------------------- 事例B コミュニケーションのための機器導入メーカー、高齢者施設の職員等と協働して進めた支援 肢体不自由 難病 言語障害 リハビリ専門職と連携 相談概要 ●障害種別: 上下肢障害(ALS)+言語障害 ●相談者:本人 ●相談内容: コミュニケーションを取れる手段が欲しい。家族とLINEもできると嬉しい。 ●使用した機器: 意思伝達機器、スイッチ、学習リモコン ●支援期間:2年5か月 相談者(Iさん)について ●年齢:70歳代 ●生活の状況:高齢者施設に入所 ●障害の状況:身体障害者手帳1級・要介護状態 ・発語は困難であり、上下肢の障害により、長時間の座位の保持が難しい Iさん及びご家族の思い ・Iさんの思い:家族とLINEでやりとりをしたい。しかし、病気が進行してきて、手に力が入らなくなってきた。そのため、身体の負担が少なく、スムーズにやりとりができる機器を使用したい ・家族の思い:本人が周囲の人に自分の意思を伝えられること、また離れて暮らす子どもたちとも継続してコミュニケーションが取れることを大切にしており、可能な限り本人の希望をかなえたい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント 外部機関からセンターへ連携 ・岐阜県難病連絡協議会より、ICT機器について専門的な情報提供を必要とする相談者がいるとの連絡を受け、障害者ICT分野に強みを持つICTサポートセンターが支援を担当することとなった。 ・アセスメントの結果、ご本人は家族とのコミュニケーションの継続を希望し、パソコン(以下、PC)を用いたICT機器の活用に前向きであった。一方で、腕の筋力低下が見られたため、視線制御で操作可能なPC型意思伝達装置の導入を検討することとした。 支援 機器導入と操作習得の支援 ・まず、シンプルなPC型の意思伝達装置と視線制御装置の使用が有効であると考え、業者から1ヶ月機器を貸与してもらい、センター職員による週1回の訪問支援と施設職員による日常練習を組み合わせて操作習得を進めた。 ・モニタリングの結果、文字入力は可能になったが、LINE等の外部アプリを用いた際に、視線入力が不安定となり、本人のストレスにつながっていることが分かり、代替機器の検討を行うこととした。 代替機器の選定と操作環境の改善(補装具申請) ・外部アプリとの連携に強みをもつ別の重度障害者意思伝達装置「オリヒメアイ」を再検討し、メーカーより、1か月の貸出が実現した。 ・「オリヒメアイ」の試用の結果、視線制御のみでは操作が不安定であったため、シンプルスイッチを併用し、身体への負担を抑えた操作環境を整備した。あわせて、行政と相談し、スイッチを含めた補装具申請を行った。 操作能力の変化に応じたスイッチ再選定 ・納品までの間に障害が進行し、手指の動作が変わった。従来のスイッチでは操作が困難になったため、再度アセスメントを行い、施設のリハビリ担当職員と連携し、身体に負荷が少ない、小型のスペックスイッチを選定した(画像A)。 連携 ・連携先:施設内リハビリ担当職員 ・連携内容:利用者の動作可能部位の確認、スイッチ選定の助言 ・連携のポイント:日常生活の中で使えるよう、施設スタッフと一緒に運用方法を整えることが大切。実際の動作を確認しながら、スイッチの選定を行った。 ---第3章 相談対応事例(P.32)--------------------------------------------------- モニタリング 生活動作の自立に向けた機器拡張と運用体制 ・「オリヒメアイ」を用いて家族とLINEでのやり取りが可能となり、ご本人の意欲が向上した。これを受け、テレビやエアコンを自分で操作したいという希望がでてきたため、学習リモコンを追加導入し、ナースコール使用回数の軽減を目指した。 ・あわせて、介護スタッフ向けに機器の操作・設置・トラブル対応の共有を行い、継続的な運用体制を整備した。 ・トラブル発生時には、メーカーと連携し改善を行った。現在も必要に応じて機器調整や支援訪問を継続している。 画像@ 意思伝達機器 画像A スイッチ 画像B 学習リモコン 工夫 相談者の意欲とニーズに合わせた機器の選定 ●LINEを使って家族とやり取りしたいという希望があったが、ご本人が仕事などで、パソコンを使用されてきたことを踏まえ、今回はPCをベースとした意思伝達機器の中でも、外部アプリとの連携に強みを持つ機器を選定した。 ●このように、丁寧にアセスメントを行い、本人の経験と目的に合わせて機器を比較・使い分けたことが、適切な機器選定につながった。 連携の工夫・ポイント 行政・メーカー・施設・家族を含む多機関連携で、使い続けられる環境づくり ●行政、機器メーカー、施設職員、家族など、複数の関係者が協力しながら支援を進めたことが大きなポイントです。 ●ICT機器や補装具の導入には、本人の生活実態、技術、制度、現場の運用環境といった複数の視点が必要であり、関係者がそれぞれの視点から情報を共有することで、利用者のニーズをより把握したうえで、導入から継続的な活用までを円滑に進めることができます。 ●特にスイッチ調整では、日常的に利用者を把握しているリハビリ専門職の助言を得ることで、利用者に負担の少ない適切な設定が可能となりました。 ●さらに、機器導入後は、施設職員が日常的に対応できるよう、操作方法やトラブル時の連絡先などを共有し、「現場で使い続けられる体制」を整えました。 福祉メディアステーション(運営:一般財団法人 岐阜県身体障害者福祉協会) ●ITを活用し、障がい者の自立・社会参加、生活の質の向上を目指します。 ●ICT機器の導入や導入後のサポート・障害のある方のITとの向き合い方・使い方などの相談を受け付けております。 HP:https://f-media.jp/ ---第3章 相談対応事例(P.33)--------------------------------------------------- 事例C 地域の力を活かしたコミュニケーション支援 支援者ネットワークと独自アセスメントで実現を目指す“その人らしい暮らし” 肢体不自由 支援者と連携 アセスメント 相談概要 ●障害種別:肢体不自由 ●相談者:保健師 ●相談内容: 家族と同居しているが、障害の進行により発語が困難になったため、家族より、会話を円滑に行うための機器を紹介して欲しい。 ●使用した機器: 空気圧式入力装置、意思伝達装置、本体固定具、呼び出しコール ●支援機関:12か月 相談者(Jさん)について ●年齢:60代 ●生活状況:家族と同居 ●障害の状況: ・肢体不自由(難病:ALS) ・身体障害者手帳申請中、介護保険・要介護3 Jさんの思い 病気の進行により、上手く自分の言葉を発することができないもどかしさから、本人の気持ちが落ち込み、コミュニケーション意欲も低下していた 対応内容の概要 相談受付・アセスメント Jさんの全体像を知る ・保健師からの相談を受けて、Jさんの生活全般をマネジメントするケアマネと連携 ・ケアマネに対して、コミュニケーション等相談依頼票※1を用い、ICF※2の視点でJさんの全体像を整理した。 身近な支援チームとの連携 ・ICTサポートセンターが、保健所の保健師、訪問看護事業所の作業療法士、居宅介護支援事業所のヘルパー等から構成される「支援チーム」をコーディネートした。 ・ケアマネジャー等の訪問に同行し、支援チームと共に本人・家族の思いをくみ取る。さらに、家族から、本人が大事にしている価値観や、本人の趣味等を聞き取り、支援に活かした。 Jさんの「したい」を引き出す ・アセスメントの結果、困った時にご家族を呼ぶ鈴の音が小さいこと、また、家族も心配で常時本人のそばにいる状態が続いていたため、本人・家族双方の負担となっていた。 ・お互いの負担軽減に向けて、「困った時にだけ分かりやすく家族を呼び出す仕組みを試したい」というニーズに対して、「ICTを活用し、別室にいる家族に、呼び出しコールで呼ぶ」ことに取り組んでみることを提案し、合意した。 ※1 横浜市総合リハビリテーションセンターが公表している、「在宅リハビリテーション依頼書(ALS者用)」を独自にカスタマイズし、「コミュニケーション等相談依頼票」を作成。「コミュニケーション等相談依頼票」では、当事者が「いつ・どこで・誰とコミュニケーションを取っているか」、「どのように暮らしたいか」といった状況や当事者の意向を、多職種で共有するために活用。令和7年11月末現在は試行段階。 ※2 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)とは、世界保健機関(WHO)が2001年に採択した、人の生活機能及び障害を整理するための国際的な分類体系である。ICFでは、心身機能・身体構造、活動、参加の三要素を「生活機能」と位置づけ、これらに影響を及ぼす背景因子と併せて構成される。医学モデルと社会モデルを統合した枠組みであり、医療、福祉、介護、教育等の分野横断的な共通理解を可能とする。 ---第3章 相談対応事例(P.34)--------------------------------------------------- 支援 適合支援 1)環境の整備@ ・まず、本人がしたかった「別室にいる家族を(スイッチ操作をして)呼び出しコールで呼ぶ」ことから支援を開始した。 ・呼び出しコールにより必要な時に呼び出すことができるようになったことで、自由にコミュニケーションをとってみたいというニーズに繋がり、導入してみることにした。 2)環境の整備A ・意思伝達装置の適合支援にあたっては、センターの理学療法士がポジショニング、作業療法士等が入力装置のフィッティング、機器選定等をサポートした。 3)試用体験 ・デモ機調達に向けた本人・家族・企業・支援チームとの連絡調整や、試用期間の身体評価については、センターの理学療法士等がサポートした。 4)セッティング ・作業療法士等が、ヘルパー、家族に、セッティングの仕方を説明した。セッティングには、ケアなどの妨げにならず、手間がかからない工夫等を本人・家族を含めたチームで考えた。 5)適合判定等 ・補装具費申請や支給決定にあたっては、ケアマネジャー、行政窓口担当者に、適合支援等へ同行してもらい、センターの社会福祉士等が制度説明や情報共有等を図った。 ・更生相談所の訪問による適合判定に同行し、スムーズな判定業務を支援した。 モニタリング ●身体状況、生活の場、ライフステージ、ニーズ等様々な変化に対応出来るよう、ケアマネやヘルパー等によるモニタリングを行い、状況に応じて担当者会議等を実施。 ●ICT活用により、それまでできなかったことができるようになったという成功体験が、本人の他の潜在的なニーズを引き出すことに繋がった。(ex「友達と前のようにSNSでつながりたい」) 連携 ・連携先:居宅訪問介護事業所、保健所、訪問看護ステーション、行政、補装具業者等 ・内容:相談支援、情報提供、試用体験、適合支援(支援者支援)、啓発 ・方法:電話、訪問、担当者会議等 ・受け取った情報等:コミュニケーション等相談依頼票※1等を活用した ・連携のポイント: @本人の生活全般をマネジメントする支援者(ケアマネジャー、相談支援専門員等)を中心とした支援チームづくりをする。 AICT利用相談を入口に、生活全般(入浴、食事、排泄…)のニーズに対して、適切な支援機関等につなげる、または連携し支援する。 支援の成果等 ・自らが「やりたいこと」を積極的に表明してくれるツールとして意思伝達装置を活用することで、「自分らしく暮らす」ことの実現の一助になりました。 ---第3章 相談対応事例(P.35)--------------------------------------------------- 困ったこと 機器ニーズへのタイムリーな対応が難しい ●県内に意思伝達装置等を取り扱う代理店がなく、他県の業者に依頼する必要があり、デモ機調達に時間を要した。 工夫 身近な地域の支援者との顔の見える関係づくり ●ICTサポートセンターが主催する研修や外部研修への講師派遣により、介護・医療・保健等の従事者に、ICTサポートセンターの説明する機会を設け、障害者ICT支援の普及啓発、人材育成、支援ネットワークづくりに取り組んでいる。 ●地域の資源である保健所等と日頃から連携することで、迅速な対応ができるしくみづくりを行っている。 障害特性への配慮等 ●本人の気持ちを尊重しながら、身体状況の変化に応じた機器の提案を行った。 ●体に負担が少なく、スイッチ操作等において残存機能を引き出しやすいポジショニング、家族等が介助がしやすい意思伝達装置の設置位置を工夫した。 連携の工夫・ポイント 身近な地域の支援者との連携 ●当事者に関わる機関や専門職は、当事者の状況に応じて異なります。これら専門職全員と、最初から顔の見える関係性が構築できているわけではありません。 ●日頃から連携を意識し支援に取り組むことで、必要な時にタイムリーな機器の紹介〜調達まで迅速に動くことができます。 ●県内の研修に派遣講師として登壇し、介護・医療従事者に障害分野の支援について講義を実施したり、個別ケースで開催される担当者会議にてICTサポートセンターの事業説明の機会を確保したりと、地道に関係構築を行っています。 ●テレワークなどの就労支援など、地域の暮らしを支えるための現場からのニーズは多岐に渡ります。ICTサポートセンターがワンストップ型でニーズを汲み取り、支援チームをコーディネートして、当事者が実現したい生活環境づくりを、一丸となって取り組むことを目指しています。 かがわ障害者ICTサポートセンター(運営:社会福祉法人かがわ総合リハビリテーション事業団) ●実施主体である社会福祉法人かがわ総合リハビリテーション事業団は、福祉用具展示相談事業等も受託しており、福祉職(社会福祉士)とリハ職(PT・OT)が専門性を活かし支援機器等に関するご相談に応じることができます。 特色! ●まずサポートセンターのことを「身近な相談支援窓口」として知っていただき、職種・領域を超えた支援チームの皆様と、身近な地域の「障害者ICT支援の充実」を図れるよう取り組みます。 HP:https://kagawa-reha.net/fukusi/business/fukushi_ict/ ---第3章 相談対応事例(P.36)--------------------------------------------------- ※1コミュニケーション等相談依頼票 コミュニケーション等相談依頼票の画像 ※灰色の欄は入力しないでください。 ※個人情報は、お電話にて伝達をお願いいたします。 ※□のチェックボックスは、クリックして選択してください。 コミュニケーション等相談依頼票(案) No. 受付日 担当 篠原 フリガナ □男 □女   年   月   日   歳 電話 世帯状況 続柄 年齢 同居・別居 備考  □同居 □別居 □同居 □別居 □同居 □別居 □同居 □別居 □同居 □別居 □同居 □別居 現在の生活拠点 □自宅 □その他(   ) 主な介助者:   駐車場 訪問時、公用車でうかがうことがありますが、近隣に駐車場はありますか? □あり □なし 社会制度情報 ・身体障害者手帳 □無 □所有 (   )級 □申請中 障害名: ・介護保険 □要支援 □要介護(   )級 □申請中 □未申請 □非該当 ・精神保健福祉手帳 □無 □所有(   )級 ・療育手帳 □無 □所有(   )程度 ・介護保険住宅改修費支給 □未 □済み 残額(   円) 医療 受診している医療機関名:   頻度:   □通院 □往診   回/月 主治医: 疾患(発症年月日) 障害(発症年月日) 合併症(発症年月日) 経過 障害状況 [備考]※医学的留意点や訪問時に配慮すべき点があれば、ご記入ください。 [各種サービス利用状況] 曜日・時間帯など [各種サービス利用状況] 曜日・時間帯など ホームヘルパー(   回/週) デイサービス(   回/週) 訪問看護(   回/週) 入浴サービス(   回/週) 訪問リハ(   回/週) その他(   回/週) ・居宅介護支援事業所など 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・障害者生活支援センターなど 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・ヘルパー事業所など 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・訪問看護・訪問リハなど 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・デイサービスなど 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・医療機関 事業所名:   担当者名:   連絡先: ・行政機関 担当者名:   連絡先: コミュニケーションに関するニーズについて [誰が何に困って、相談したいのか?] [誰と、どんな場面で、どんな手段を用いてコミュニケーションをとり、どうくらしたいか] [コミュニケーション機能面] 理解面 □単語 □2,3語 □文章 □会話 □その他 補足: 表出手段 □不可 □発声 □書字 □ジェスチャー □表情 □コミュニケーションツール □Yes.Noサイン Yes(   ) No(   ) □その他 補足: [心身機能、機器の操作性] できる動作 □瞬き □眼球 □頭・頸 □顔面 □肩 □肘 □前腕 □手首 手指 大腿 下腿 足首 その他 補足: できる操作 リモコン□呼び出しコール□マウス□キーボード □スマホ □その他 補足: [日中の過ごし方] □椅子 □車いす □ベッド □その他 補足: [趣味など] その他相談等 □住環境整備 □その他 支援方針等 ---第3章 相談対応事例(P.37)--------------------------------------------------- 事例D 相談者の知的意欲を活かしたPC技術習得支援 〜自習可能な学習計画を〜 肢体不自由 ボランティア 相談概要 ●障害種別:肢体不自由(手の震え) ●相談者:本人 ●内容: 手書きで文字を書くことが困難となったためワープロを覚えたい ●使用した機器: パソコン、キーボードガード、トラックボール、はがき作成ソフト ●支援期間:7か月(月2回程度) 相談者(Cさん)について ●年齢:60歳代 ●生活状況:配偶者と二人暮らし ●障害の状況: ・視覚・聴覚・その他の障害はなし Cさんの思い 長年、短歌を作っていたが、手の震えが顕著になり、通常の筆記が難しくなった。パソコンの操作を覚え、短歌創作を継続したい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント ・電話で相談を受け付けた。Cさんの障害の状況や年齢等の基本情報、希望を簡単に確認した。 本人の希望の確認/本人や支援者のリテラシーの確認/設備の確認 ・自宅を訪問し、改めて本人の意向と身体状況を確認した。また、自宅のパソコン環境、家族の関心の有無も確認した。家族はCさんのパソコン習得に懐疑的であった。 ・パソコンに必要なローマ字入力の知識も確認し、問題なく理解できている方であったため、@キーボードガード、Aトラックボール、Bユーザー補助(固定キー)の設定により、操作習得は十分可能と判断した。 支援 復習できる計画・目標の設定/基本操作の習得 ・マウスの基本操作や、文章入力、Wordの設定について、目標を立てて実施した。目標設定では、本人が復習できるようなペース、内容となるよう配慮した。 ・パソコンの電源の入れ方から文字入力の練習、ゲームを使って、マウス操作の練習をした。「はがき作成ソフト」の住所録の入力の練習、宛名の印刷の練習やページ設定、はがきの入力、印刷、宛名の入力、印刷等、Cさんが直接活用したいことを中心に学習した。 支援の成果等 ・短歌創作に必要なワープロ基本操作技術を習得しました。 ・予定の訪問回数終了後、事務局あてにWordで御礼のはがきをいただき、担当ボランティアさんは大変喜びました。 工夫 自分で復習できるような計画設定 ●PC技術の習得には、自身での復習が大切です。Cさんは、短歌以外にも関心がある知的意欲が旺盛な方でしたが、一方で、ご家族はCさんのPC習得に特に関心を寄せられていませんでした。 ●Cさんが、やる気を落とさず、ひとりでも学習を続けられるよう、ペース配分やレベルを大切にしながら、PCの便利さ、面白さと習得可能性を実感させるような計画づくりを試みました。 ---第3章 相談対応事例(P.38)--------------------------------------------------- 事例E 相談者の目標を尊重したPCスキル向上支援の実践 発達障害 ボランティア 児童 相談概要 ●障害種別:発達障害(高機能自閉症) ●相談者:家族(母親) ●内容:計画的にものごとを進めることができないため、パソコンについて伴走者的に支援してもらいたい ●使用した機器:パソコン ●支援期間:3か月(12回訪問) 相談者(Dさん)について ●年齢:10歳代 ●生活状況:相談時は、不登校 ●障害の状況: ・(表面上はわかりにくいが)身体障害も有し、将来的に希望が持てない等、精神的に折々不安定になることがある Dさんの思い パソコンに関心があり、目標を立てていろいろ学び、資格取得を目指したいが、自分一人だと興味が発散してしまい進まない 対応内容の概要 相談受付・アセスメント 本人の希望の確認/本人特性の確認/リテラシーの確認 ・Dさんの母親から相談を受けた。その後、Dさんが作成したパソコンに関するレポートと、自己紹介文を受け取った。 ・好きなことには没頭し、かなりのレベルに至ることも可能であるが、他から課せられた目標や義務を遂行することは困難な様子であったため、Dさんが持つ目標を大切にした。 支援 適切な担当スタッフの配置 ・ボランティアにアメリカのIT企業でエンジニアとして30年勤めたインド人の方がおり、高度なPC技術も支援可能なため、途中からDさんの担当ボランティアとした。 特性に応じた計画の設定・声掛け ・Dさんとボランティアを交えて、訪問し、今後の学習についての打ち合わせの機会を設けた。 ・Dさんは、義務や計画の遂行には困難を感じるが、知的好奇心は旺盛なので、その自負を維持できるよう、意識して高度な問題に取り組めるような工夫を行った。 支援の成果等 ・Dさん自身が立てた目標である、パソコンスキルの資格に合格しました。 ・Dさんはその後、通信高校に進学し、放課後等デイサービスの利用によりPCの学習を継続しています。 札幌市障がい者ICTサポートセンター(運営:NPO法人 札幌チャレンジド) ●当センターでは、札幌市登録のPCボランティアを依頼のある障がい者宅に訪問してサポートすることを主要な活動としています。そのため、ICTを通じた市民同士の交流という特徴があります。 ●ボランティアの訪問前に、事務局が依頼者宅を訪問し、依頼内容を確認して、その内容に相応しい方を派遣します。ボランティアと依頼者の付き合いが継続的なものになることもあり、10年来の付き合いという事例も少なくありません。 HP:https://sapporo-ict.com/ ---第3章 相談対応事例(P.39)--------------------------------------------------- 事例F タブレットで学習の負担が減少 〜学校との連携事例〜 発達障害 訪問相談 学校と連携 相談概要 ●障害種別:発達障害(ASD / ADHD) ●相談者:家族(学校を通じて相談) ●相談内容:こどもが宿題に時間がかかっている ●使用した機器:タブレット、文字起こしアプリ ●支援期間:2年 相談者(Eさん)について ●年齢:10歳代 ●障害の状況: ・聴覚ワーキングメモリの弱さ(出題の意図や文脈の推測の難しさ) ・視覚の感覚過敏(カラー眼鏡を使用) Eさんの思い ・読み書きに時間がかかり、宿題にも時間がかかる ・いつも話し合い学習の時に、友達と意見や目のつけているところが違う気がする。友達から変な子と思われないか不安 対応内容の概要 相談受付・アセスメント 認知機能検査の活用 ・読み書きに時間がかかっている、というEさんの悩みを客観的に把握するため、検査(K-ABC-U、URAWSS等)を実施し、総合的なアセスメントをした。 ・その結果、Eさんの読み書きに特異的な遅さはないことが分かった。 ※本相談は、センターの職員が有識者として関与している、発達障害の方への相談事業を通じて受けたものであり、検査はセンターの業務ではなく相談事業の一環として実施している。 本人の言葉で困りごとを確認 ・検査では明らかな問題を認めなかった一方、宿題に時間を要する要因をさらに探るため、本人の困りごとを詳しく聞き取っていった。 ・Eさんの学校での困り事を想像したり、他の子どもの例などを挙げながら、問いかけて、Eさんの言葉を引き出していった。 支援 アセスメントの共有/試行錯誤 ・アセスメントの結果を本人に返して、自己理解を深めてもらった。 ・学習の困難を減らせるよう、試行錯誤しながら、本人が学校で有効に使えそうなツールや機器を試していった。眩しさの訴えなど、視覚的な過敏さが疑われるエピソードが出てきたため、カラーシートの使用や、タブレット使用時の背景色等の調整を行い、刺激を減らす工夫を実施した。ご家庭で相談し、カラー眼鏡を作成した結果、疲れやすさや頭痛などの症状が軽減した。 タブレットの活用 ・調べもの学習等をする際に、出題者の意図や問題の文脈を捉えることの苦手さから、的外れな回答になってしまうことを多く経験してきたため、自己の回答に自信が持てず、何度も書き直すことにより睡眠時間の確保が難しくなっていたため、当面は先生から要点を説明してもらう支援を実施。聴覚ワーキングメモリの弱さから、口頭で説明を受けると忘れてしまうため、学校配布端末で文字起こしを行った。 将来を見据えた相談 ・受験等に向けた対応の必要の有無についても、学校と相談した。(場合によっては障害の所見についてまとめることもある) 連携先 ・学校 支援の成果等 ・タブレット等の使用により、宿題に係る時間が減りました。 ・安心して話し合い学習に取り組めるようになりました。 ---第3章 相談対応事例(P.40)--------------------------------------------------- 困ったこと タブレットの使用が制限されてしまった ●学校で、タブレットの使用ルールが守られないトラブルがあり、タブレットの利用が制限されてしまいました。 対応のヒント:合理的配慮 ●タブレットの使用は、障害のあるこどもにとって非常に重要な支援手段ですが、学校の教職員等が「合理的配慮は何か」や、その重要性を十分に理解していない場合も多いため、その認識を深めるための働きかけが必要です。 ●例えば、タブレットを家に持ち帰れない、必要なアプリケーションがインストールできない、プリンターと接続できないといった制約がある場合、それは実質的に学習環境を不完全なものにしてしまいます。こうした制約を取り除き、合理的配慮としてタブレットが十分に活用できる状況を整えることは、こどもの学びの権利を守るために極めて重要です。 工夫 かっこいいデバイスを使ってみる ●こどもにとって、自分の状況をうまく説明することは難しいことが多いです。そのため、聞く側の大人が想像力を働かせながら、こどもの言葉を丁寧に確認することが重要です。 ●また、支援を受けることに対して、他のこどもたちと違うことをしたくないという気持ちを抱くことも少なくありません。例えば、デジタル教科書や音声化された教材が利用可能な場合でも、それを利用することが恥ずかしいと感じ、実際には家でしか使わないという状況になることがあります。 ●こうした気持ちをなくすためには、支援を受けることが特別なことではなく、普通のことだと伝えることが大切です。また、Bluetoothイヤホンのように「かっこいい」と思える機器を使うことで、こどもが支援ツールに対して前向きな印象を持てるように工夫するのも効果的です。こどもがICT機器を「便利だ」と感じ、自信を持って使えるようになることがとても重要です。 障害特性への配慮等 科学的な根拠の取得/関係者との連携 ●発達障害のあるこどもに対する支援を行う際、関係者との情報共有が非常に重要です。その中でも特に重要なのが、障害に関する検査結果やデータといったエビデンス(証拠)です。発達障害の場合、受験において特別な配慮が求められることがよくあります。そのため、障害に関する証拠を示すことが必要になります。 ●もしセンターが直接学内の専門職(スクールカウンセラーなど)と連絡を取ることが難しい場合、保護者や本人がスクールカウンセラーに相談し、必要な支援を受けることも一つの方法です。また、センターの職員が定期的に行われるケース会議に参加することも、情報共有を進める上で非常に効果的な手段です。 ●関係者間で密に連携を取り、情報を共有することが、こどもへの支援をより効果的にするために重要です。 愛媛県障がい者ICTサポートセンター(運営:社会福祉法人 愛媛県社会福祉事業団) ●愛媛県内に在住されている方を対象に、ICTに関する相談、機器利用体験会等を実施します。 特色! ●ICTサポートセンターでは、愛媛大学と連携し、専門の相談員を配置しています。 HP:http://treasure.ed.ehime-u.ac.jp/ehime-ict/ ---第3章 相談対応事例(P.41)--------------------------------------------------- 事例G ジョブコーチとセンターの連携で実現! 視覚障害者の職場復帰 視覚障害 就労支援 ジョブコーチと連携 相談概要 ●障害種別:視覚障害 ●相談者:本人 ●内容:就労のための環境整備等 ●使用した機器:パソコン、タブレット ●支援期間:5か月 相談者(Fさん)について ●年齢:50歳代 ●生活状況:ー ●障害の状況: ・中途障害で弱視 ・その他の障害はない Fさんの思い 無職で働きたいという思いがあった。就労移行支援事業所に就職について相談していた 対応内容の概要 相談受付・アセスメント ・自身のパソコンを購入したばかりであった。就職に備えてアクセシビリティの習得や、就職先での環境整備を相談することを目的に相談に来た。 本人の希望の確認/障害状況の確認 ・本人の希望を丁寧に聞き取り、センターや母体の法人で実施できることを整理・提案した。本人のベースが分からないとアセスメントができないため、普段どういう機器を使っているか、文字が書けているのか等、障害の状況についても丁寧に聞き取りを行った。 支援 アクセシビリティ機能のデモンストレーション/アクセシビリティの設定 ・パソコンでのアクセシビリティ機能は使用したことがなかったため、音声機能・拡大機能のデモンストレーションを実施した。就職先での機器設定は、実際にセンター職員が訪問し、機器の設定を行うことで、職場の機器(パソコン)も使えるようになった。 伝達事項のまとめ/就職先の関係者も含めた打合わせの設定 ・障害特性に関して、就職先に配慮してほしい事項として、「通勤」「仕事」「コミュニケーション」それぞれの配慮事項を整理した。直接的に就職先に配慮事項を伝えると、溝が生まれてしまうこともあるため、本人から困った時にその都度どうして欲しいかを自然なコミュニケーションの形で伝えるようにした。 ・また、職場の上司や同僚にも、配慮事項やICT環境について理解してもらうため、関係者全員での打ち合わせを設定し、支援体制について話し合った。また、Fさんがアクセシビリティの機能を使う様子も職場の関係者に見てもらい、理解を深めてもらうようにした。 法人内のサービスに連携 ・法人で実施する歩行訓練に繋ぎ、安全な通勤の為の歩行ルートの確認と歩行訓練を実施した。 公的サービスへの連携/タブレットの練習 ・公的支援についても提案し、訪問型の職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業を利用することになった。 ・Fさんの職場で活用する機器(主にタブレット)の音声機能の活用は、個別性が高いため、センターで実施する講習会へ案内するのではなく、個別での講習で対応をした。ジョブコーチも含めて講習を行うことで、ジョブコーチがサポートしやすいようにした。 連携先 ・訪問型の職場適応援助者(ジョブコーチ) 支援の成果等 ・能力をもっと発揮してほしいという就職先からの希望があり、1年後契約社員から正社員になることができました。 ---第3章 相談対応事例(P.42)--------------------------------------------------- 困ったこと 社内システムが音声機能・拡大機能に対応していなかった ●職場の社内システムが音声機能・拡大機能に対応しておらず、Windows標準の音声機能・拡大機能を使おうとしてもシステムが自動終了してしまい、使えない状況でした。 対応のヒント ●職場の方に、社内システムのメーカーにつなげてもらい、メーカーも巻き込み、どうすれば音声機能・拡大機能を使えるかを模索しました。 ●その結果、パソコンではなく、タブレットであれば、社内システムにおいても、音声機能と拡大機能が使用可能であることが確認できました。音声機能・拡大機能を使用可能にするため、タブレットを会社からFさんに貸与してもらいました。 工夫 職場の関係者/ジョブコーチとの連携 ●この事例に限らず、職場での支援がうまくいったケースでは、職場の理解や、職場とセンターとの連携が大きなカギとなりました。今回の事例では、職場がFさんにタブレットを貸与してくれたおかげで、社内システムを使って業務をすることが出来ました。 ●さらに、Fさんがタブレットをセンターに持参することで、個別対応の講習も実施できました。また、ジョブコーチとも連携を取り、Fさんの普段の仕事の様子や業務中の疲れについてジョブコーチから情報を得ることができました。これにより、Fさんの実際の就労状況・環境に即した支援を行うことができました。 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業の説明はP.83! 障害特性への配慮等 見え方への理解を広める ●拡大して画面を見る場合、一部分しか映らないため、画面の構成を理解するには時間がかかりますが、その点について理解されないことがよくあります。 ●視覚障害の見え方はバラバラであり、日によっても見え方は違います。また、視野障害もさまざまであり、例えば真ん中の視野が抜けている場合、パソコンの操作や文字を書くことは困難ですが、移動は問題ないこともあります。そのため、見えているのではないか?と勘違いされる方も多いです。 ●Fさんの職場の方にも支援会議に参加してもらい、障害特性への理解を促すと共に、ちょっとした配慮で変わる環境についても説明し、理解してもらいました。 ●視覚障害についての理解を広めていく必要があります。 認定NPO法人 神戸アイライト協会 ●視覚障害に特化した専門性のある支援を実施しています。様々な講習会の開催、社会啓発の為のイベントの開催 など。 HP:https://eyelight.eek.jp/ ---第3章 相談対応事例(P.43)--------------------------------------------------- 事例H スマートフォンの支援 〜医療機関との連携から始まるICTサポート〜 視覚障害 中間型アウトリーチ 相談概要 ●障害種別:視覚障害 ●相談者:本人 ●相談内容:スマートフォンの使い方を教えてほしい ●使用した機器:スマートフォン ●支援期間:2か月 (必要があれば継続の可能性あり) 相談者(Aさん)について ●年齢:50歳代 ●障害の状況: ・視覚障害者手帳 1級 加齢黄斑変性 ・その他の障害はなし Aさんの思い ・見えにくくなっても、スマホやタブレットを使って写真を撮りたい ・知人とラインを使えるようになりたい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント 医療機関への訪問 ・利用者はタブレットやスマートフォンをお持ちであったが、視力の低下により操作が難しくなってきた。眼科医より、便利なアプリやアクセシビリティ機能の使い方を教えて欲しいという相談がICTサポートセンターにあった。 ・その際、ご本人の同意を得たうえで、視力・視野・眼疾などの視覚状況に関する情報を医療機関と共有し、支援の方向性を一緒に検討した。 連携 ・連携先:医療機関(眼科) ・連携ポイント:医療機関等に対して、センターが何をできるのかを知ってもらう働きかけが重要。視覚に障害のある方がICTの相談先としてセンターを知っていることは考えにくく、視覚障害のある方が定期受診するであろう医療機関等にセンターの存在と役割を理解してもらう“啓発的アウトリーチ”が必要である。 支援 スマートフォンを使いやすくするための支援(アクセシビリティ設定と操作練習) ・利用者にセンターへ来ていただき、 ・スマートフォンのアクセシビリティ機能の説明 ・設定の変更支援 ・ボイスオーバーの活用 ・実際の操作練習 を行った。 ・特に、文字や画面の拡大・読み上げ機能など、視覚を補うアプリや機能を中心に紹介した。 モニタリング 継続的な相談先として支援をつなげる体制づくり ・困ったことがあればいつでもICTサポートセンターに相談ができる“継続的な相談先”として関係を継続した。利用者は、自宅からセンターまでの移動に不安があったため、利用者の居住地域を担当している歩行訓練(白杖指導)を行う支援機関に情報を共有し、支援につなげた。 連携 ・連携先:利用者の居住地域を担当している歩行訓練士 ・連携内容:利用者が歩行訓練を希望した場合、担当の歩行訓練士へ情報共有し、本人へ紹介・つなぎを行った。 ---第3章 相談対応事例(P.44)--------------------------------------------------- 困ったこと 新しい便利な情報を“届け続ける”仕組みが必要 ●たとえば「新しいアプリが出た」「便利な設定方法が増えた」といった、日常的で小さなアップデート情報は、もっと気軽に・タイムリーに届けられる仕組みが必要だと感じました。 対応のヒント ●ICTサポートセンターの公式LINEを登録してもらい、必要な情報を直接・負担なく受け取れる形で発信していく予定。 工夫 LINEを活用した情報提供 ●新しいアプリや便利な機能の情報を、負担なく受け取れるようにするため、月1回を目安に、公式LINEで情報を発信を予定しています。 ●なお、LINEでは質問は受け付けず、相談は電話で行うようにしています。そのことで、情報提供はスムーズに、相談支援はしっかりと時間を取って対応できるようにしています。 障害特性への配慮等 情報保障とネットリテラシーへの配慮 ●視覚に障害のある方は、環境の情報が得にくいため、事前に会場の広さ・机の配置・展示物の位置・掲示物の内容などを丁寧に伝えることが大切です。こうした情報保障は不安を減らし、支援者との信頼関係につながります。 ●また、支援にあたっては、個人情報の取り扱いとネットリテラシーにも配慮する必要があります。パスワード管理、アカウントの扱い、情報を誰がサポートできるか(家族等の関与)等について、本人と一緒に確認し、理解できる範囲で進めることが大切です。 連携の工夫・ポイント 支援を広げるための「啓発」という役割 ●センターでは、利用者への支援と同時に、医療機関や福祉職の方にセンターの存在を知ってもらうことを大切にしています。視覚に困りごとがある方が適切な支援につながるためには、本人だけでなく、支援に関わる人が「相談先を知っていること」がとても重要だからです。 ●そのため、眼科などから紹介を受けて支援を行った際は、支援内容を手紙で医療機関へお返ししています。「どのような支援が行われたのか」が共有されることで、医療側も今後同じような相談があれば、安心してセンターにつなぐことができるようになります。 ●また、センターのリーフレットを医療機関に置いてもらったり、地域の医療・福祉職が参加する勉強会で活動内容を紹介するなど、支援につながるルートを広げるための取り組みも進めています。 高知県視覚障害者ICTサポートセンター(運営:公益財団法人 高知県身体障害者連合会) ●センターには、歩行訓練士(視覚障害生活訓練指導員)が3名在籍しています。そのため、白杖の使い方など移動に関する相談や生活に直結した支援にも対応することができます。そのため、「ICTの相談でなくても、ICTによる解決を提案できること」が強みであり、特徴です。 ●スマートフォン、タブレット、パソコンなどについて、見えにくさに合わせた使い方や便利な設定方法をサポートしています。 HP:https://kochi-kenshinren.or.jp/ ---第3章 相談対応事例(P.45)--------------------------------------------------- 事例I ビデオ通話でつながる聴覚障害者への支援事例 聴覚障害 訪問相談 相談概要 ●障害種別:聴覚障害 ●相談者:本人 ●内容:Skypeを使いたい ●使用した機器:パソコン ●支援期間:1か月 相談者(Gさん)について ●年齢:80歳代 ●生活状況:配偶者(80歳代、健聴)と二人暮らし ●障害の状況: ・ろう(先天性)の方でコミュニケーション手段は手話。加齢による老眼はあるが、その他の障害はない Gさんの思い ・遠く離れた友人となかなか会える機会がないので、画面を通して手話でおしゃべりを楽しみたい ・Skypeというものを使うと出来ると聞いたため、ぜひ使えるようになりたい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント コミュニケーション方法の確認 ・アセスメントで、支援にあたって必要な配慮(手話通訳)を確認した。 支援方法の選択/調整 ・実際に使用する環境での設定及び試験をする必要があるため、訪問支援を選択した。訪問日時の調整は、相談者側での手話通訳者の手配なども考慮して、再度、相談者から連絡をもらうようにした。個人情報の取扱いについて承諾を取ったうえでGさんの氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報の提供を得た。 ・後日、メールで連絡を取り、手話通訳手配等で可能な日時を調整し訪問日を決定した。 支援 Skypeの機能の説明/接続の練習 ・センター職員1名がGさんの自宅に訪問し、手話通訳者を通じてコミュニケーションをとりながらSkypeの使用方法を説明した。 ・その後、友人であるXさんのアカウントを登録しようとしたところ、XさんがSkypeを使用していないことが分かった。メールでXさんに連絡をとり、Skypeの招待用URLを送り、Xさんの登録対応を待った。 ・センター職員のスマートフォンとGさんのパソコンでSkypeを繋ぎ、Skype機能が使えるかを試した。うまくつながったため、何度か一連の操作を練習した。 ・その日にXさんとSkypeを繋ぐことはできなかったため、Gさんには、後日、Xさんから連絡がきて実際に接続した際に問題が生じたら、再度、支援を依頼してもらうよう伝えた。 モニタリング ・1週間後、メールで連絡をとり、Skypeの利用状況を確認したが、Xさんからの連絡待ちの状態であると回答。問題があれば連絡してもらうように伝えた。 支援の成果等 ・Gさんが、のちにセンターを訪れた際に、無事に、XさんとSkypeを通しておしゃべりを楽しむことができているとの近況報告を受けました。 ---第3章 相談対応事例(P.46)--------------------------------------------------- 困ったこと 訪問時間の変更を知らせる方法がなかった ●センターの職員がGさんのご自宅に支援に訪問した日は、急な天候不良により到着が遅れてしまいました。Gさんのご自宅に電話をかけましたが、その際、Gさんの配偶者(健聴)が不在で電話に出る方がいなかったため、遅刻の連絡をGさんに事前に伝えることができませんでした。このような状況も起こるため、緊急連絡の手段を1つに限らず、複数の手段を確保しておくことが重要です(Fax、電話、メール)。 ●今回のケースでは、手話通訳者を依頼していたため、通訳者が決定した段階で、通訳内容の確認も含めて事前に通訳者と連絡を取り、ろう者であるGさんに代わって緊急連絡ができるよう、互いの連絡先を交換しておくことで、スムーズに対応できたと考えています。 工夫 実際にやってもらうことを繰り返す ●ろう者に対するICTのサポートにおいては、操作方法などを言語で伝えることよりも、実際に操作するところを見てもらい、同じようにやってもらうことを何度か繰り返し行って覚えてもらうことが効果的です。 ●実際に、Gさんとは複数回Skypeの一連の操作を練習しました。 障害特性への配慮等 相談者のコミュニケーション方法を確認しましょう ●聴覚障害者には、難聴の方、または補聴器や人工内耳などを使用している方もおり、聞こえ方の程度やコミュニケーションの方法が様々であるため、聴覚障害者=手話でコミュニケーションではないことに注意が必要です。 ●また、中途失聴の方や様々な理由で手話を使わない方も多く、相手が手話で話しかけてくる前にこちらから手話で話しかけると、失礼にあたることがあります。相手がどの程度聞こえるのか、どのような方法でコミュニケーションをとるのかは、事前に確認することが大切です。 ●もし相談者が手話でコミュニケーションをとってきた場合、こちらも挨拶程度でも手話を使うとよいでしょう。手話は一つの言語ですので、ろう者の言語を学んで使おうとする姿勢が、相手に好意的に受け取ってもらえることがあります。良い関係性を築くことで、その後の支援にも良い影響を与えることが期待できます。 障害者ITサポートセンターおかやま(運営:公益財団法人岡山県身体障害者福祉連合会) ●当センターは、障害当事者の団体である岡山県身体障害者福祉連合会が運営しているため、実際の障害当事者の方からの情報提供や協力が得やすく、また障害種別団体とも連携があります。 ●さらに、県の福祉・ボランティア会館の中にあるため、同じ建物の中には更生相談所や社会福祉協議会、聴覚障害者センターなどがあり、他の用事があって来所する方にも多く利用していただいています。 ●センターの具体的な事業としては、主に下記を実施しています。 ・ICT機器の相談対応、利用普及促進・機器利用におけるサポート ・ICT機器(PC・スマホ・タブレット)教室の開催 ・障害者IT機器展示体験コーナーの運営や団体見学対応 ●運営団体の月刊機関紙にも、サポートセンター通信として関連記事や役立つアプリの紹介などを掲載しています。 HP:https://okasinren.or.jp/information/itsupport/ ---第3章 相談対応事例(P.47)--------------------------------------------------- 事例J 困りごとに“合わせてつなぐ”支援:視覚・聴覚の重複障害者を支えたセンター間連携の実践 重複障害 他機関との連携 相談概要 ●障害種別:聴覚障害+視覚障害 ●相談者:本人 ●相談内容:視覚障害により、紙や画面上の小さな文字が見えづらく、スマートフォンの拡大機能を使用しても、十分に読むことができない状況であった。それ以外にも、生活の様々な困りごとについて相談があった。 ●使用した機器:拡大読書器 ●支援期間:4〜5か月 相談者(Kさん)について 個人情報保護のため一部事実を改変しています ●年齢:20代 ●生活状況:家族と同居 ●障害の状況:先天性聴覚障害で手話を使用。後天性視覚障害 Kさんの思い 小さな文字による見落としの不安をなくし、確実に情報を読み取りたい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント 専門機関への連携・同行支援 ・川崎市のICTサポートセンターである川崎市聴覚障害者情報文化センター(以下、情文センター)では、本人のアセスメントをおこなっていくにつれて、視覚障害に関する専門的な支援が必要と判断し、視覚障害者情報文化センター(以下、アイeyeセンター)を紹介した。 支援 機器選定のサポート(比較・試用支援) ・アイeyeセンターでは様々な拡大読書器が展示されており、職員から各機器の機能や特徴について説明を受けた。情文センターの職員が相談者へ通訳をしながら機器の比較検討を支援し、気になった機器については、メーカーから一週間レンタルする手配を行った。 生活支援制度(白杖)に関する意思決定と申請支援 ・相談者は視覚障害の認定を受けているが、後天的な障害であり、白杖使用への心理的な葛藤があったため、これまで白杖の補装具給付申請は行っていなかった。 ・しかし、アイeyeセンターで白杖の使用方法や安全面のメリットについて説明を受けた結果、本人が必要性を認識し、給付申請の手続きを支援した。 モニタリング 継続的な生活支援と自立的なサービス活用の促進 ・拡大読書器のレンタルご自身のニーズや状況等を踏まえ、今回は申請を見送ることとなった。 ・相談者は、眼科より今後の視力低下の可能性を指摘されており、点字習得の意欲があったため、情文センターの支援者より紹介を受けていた盲ろう者通訳・介助員派遣制度を活用して、アイeyeセンターを再訪問し、点字訓練の受講相談を行った。 ・その結果、アイeyeセンターの点字訓練を受講することとなり、現在も継続して通所している。障害の受容が進み、必要なサービスを自ら積極的に活用するようになった。 連携 ・連携先:アイeyeセンター ・連携内容:情文センターからアイeyeセンターへ相談者の困りごとについて伝え、相談者とアイeyeセンターのコミュニケーションについては、情文センターの職員が手話通訳を行った。 ・連携ポイント:両センターは普段から勉強会やイベント等で交流があったことから、スムーズに連携することができた。 支援の成果等 ・障害の受容が進み白杖の利用や点字訓練へとつながった。 ---第3章 相談対応事例(P.48)--------------------------------------------------- 困ったこと 対応が困難な領域での支援 ●視覚障害に関するニーズについては、対応のノウハウやICT機器等の情報も十分ではなかったため、情文センターのみで対応することは困難であった。 対応のヒント ●対応が困難な領域については地域の適切な専門機関と連携を図ります。 ●それぞれの専門性を活かすことで重複障害の方へのニーズにも対応が可能になります。 工夫 それぞれの得意分野を活かした連携 ●聴覚と視覚の重複障害がある相談者に対し、自機関では対応困難な視覚障害に関する専門的支援について、アイeyeセンターへつなぎました。 ●相談者のコミュニケーション手段は手話でしたが、アイeyeセンターでは手話対応が困難でした。そのため、情文センターの職員が同行し、手話通訳を担当することで、安心して専門的支援を受けられる環境を整えました。 ●連携を図ることにより相談者の視覚障害に対する受容が進み、白杖の利用や将来的な視力変化に備えた点字訓練へとつなげることができました。 連携の工夫・ポイント 円滑な連携は日常の積み重ねから ●日頃から相互理解を深め、コミュニケーションを取りやすい関係性を構築しておくことが、効果的な連携の土台となります。 川崎市聴覚障害者情報文化センター(運営:社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会) ●ろう者や難聴者が社会的・文化的により豊かな生活を送れるよう、情報提供や交流の機会を幅広く提供しています。 ●ICT機器の貸出や遠隔サービス(遠隔手話通訳・遠隔要約筆記、オンライン相談)も導入し、聴覚障害者の社会参加や情報アクセスの選択肢を広く提供しています。これらを習得するためのスマートフォン講座も開催しています。 特色! ●手話通訳者・要約筆記者の養成と派遣を通じ、地域内のコミュニケーション支援体制が充実しており、多様な相談事業や学習支援などを安定的に運営できる専門の職員を配置しています。 HP:https://www.joubun.net/ ---第3章 相談対応事例(P.49)--------------------------------------------------- 事例K 盲ろう者のパソコン活用支援 コミュニケーション方法に関する工夫 盲ろう 重複障害 相談概要 ●障害種別:盲ろう(弱視) ●相談者:支援者 ●内容:PowerPointの使い方を教えて欲しい ●使用した機器:パソコン ●支援期間:5か月(1ヶ月に1度1〜2時間以内) 相談者(Hさん)について ●年齢:50歳代 ●障害の状況: ・視覚障害:弱視(近くの大きな文字は見える) ・聴覚障害:まったく聞こえない ・コミュニケーション手段:文字通訳(筆談用のパソコンに画面に白黒反転で文字を流す) Hさんの思い 仕事で使うため、PowerPointの使い方を教えて欲しい 対応内容の概要 相談受付・アセスメント ・初回は、盲ろう者支援センターの職員の方からの電話で相談の申し込みがあった。その後は、Hさんと直接メールでやり取りをしながら毎回日程調整を行った。 障害の状況の確認 ・どのくらい見えているのか、どのようなことがしたいのかヒアリングを進めた。また、障害の状況については盲ろう者支援センターからも共有してもらった。 支援 進行の工夫 ・講習の際には、毎回手話、または文字通訳の方に同席していただき、講師の話した内容を大きな文字で画面に流し、Hさんに伝えてもらうようにした。通訳者は、Hさんと盲ろう者支援センターで手配をした。 ・講習は、センターの講師が口答で(文字で)PowerPointの使い方をひとつずつ伝えていく形で進めた。何通りか方法がある中で、相談者の分かりやすい方法がどれなのか考えながら講習をした。 伝え方の工夫 ・文字にして伝えるため、言葉選びに気を付け、分かりやすく簡潔に伝えた。話し言葉ではうまく伝わらないため、話し言葉から文字にしたときに、伝えたい意図や内容が正しく伝わるように、簡潔にまとめて言葉にするようにした。 盲ろう者支援センターとの連携 ・相談者の心配なことを適宜共有いただくため、盲ろう者支援センターへ派遣依頼等を行い連携した。 連携先 ・鳥取県盲ろう者支援センター 支援の成果等 ・Hさんは、PowerPointを使えるようになりました。 ---第3章 相談対応事例(P.50)--------------------------------------------------- 困ったこと 細かいニュアンスを文字で伝えることが難しく、誤解が生じてしまった ●講習時間が限られているため、「聞きたいことがあったらまとめて(いっぺんに)聞いてくださいね。」と伝えた際に、Hさんに「まとめて」を「整理して聞いてください」と伝わってしまったことがありました。 ●その後、Hさんが「うまくまとめて相談しなければいけない」と悩んでおられると盲ろう者支援センターを通じて連絡がありました。 対応のヒント ●盲ろう者支援センター、ご本人様へ、センターとして伝えたかったことを分かりやすくまとめて、メールで伝えました。 工夫 相談者の障害や性格に合わせた伝え方で進める ●話した言葉をそのまま文字にすると、誤解を招くことがあります。そのため、伝えたいことを簡潔にまとめ、相手に分かりやすく誤解が生じないように話すように心掛けました。 ●Hさんの場合、心配性な性格もあり、センターの職員が伝えたいことが正しく伝わるように、言葉を選びながら話しました。Hさんのコミュニケーション手段は文字通訳だったため、文字通訳者と連携を取り、意図が正確に伝わる文章になっているか、確認しながら文字に起こしてもらうようにしました。 ●本人に、希望するコミュニケーション方法を確認するのは勿論ですが、手話通訳者の方に、相談者への効果的な情報提供についてレクチャーをしてもらうことも考えられます。 鳥取県障がい者ICTサポートセンター(運営:有限会社ほうき) ●鳥取県内にお住まいの障がいのある方のICT機器(パソコン、スマートフォン、タブレット等)の利用について、相談や訪問してのご支援という形でサポートすることで、ICT機器を活用し必要な情報を取得して積極的な社会参加が出来るようお手伝いいたします。 ・パソコンボランティア ・ICT相談(電話、来所) ・ICT端末の貸出 HP:https://tottori-ict.net/ ---第3章 相談対応事例(P.51)--------------------------------------------------- 事例L 新しいテクノロジーの学びを専門家とともに 相談概要 ●知識を持ったスタッフがいないセンターでは、専門的知識を伴う製品のレンタルや購入を躊躇してしまうこともあるのではないでしょうか。 ●それは、結果的には、利用者を他の事業所に紹介せざるを得なくなり、利用者の方にとっての利便性を高めることができないだけでなく、そのセンターの能力向上にもつなげることができません。 ●そこで今回、当センターでは、メーカーとの打ち合わせに、DAA(デジタルアクセシビリティアドバイザー)資格を取得しているICT機器活用支援の経験豊富な作業療法士に同席を依頼しました。 相談相手について 当作業療法士は、古くからICT分野での支援を行っているため、就労や教育など、生活シーンにおける支援技術の活用や工夫について豊富なノウハウを持っています。センタースタッフとの出会いも就労支援の現場であり、具体的な案件ベースで意見をいただくなど、これまでも協力をあおいできました。 対応内容の概要 背景 ・今回は、新しいテクノロジーであるウェアラブルスイッチ「ニューロノード」(コントロールバイオニクス社)をお借りして、センターの利用者の方々にお試しいただきたいと考えたことに端を発した。工学的な知識や身体適合についての経験が少ないため、これまで、いきなり試すことは心もとないと感じていた。 ※ニューロノード:筋肉を動かそうとする際に発生する筋電でシグナルを出すデバイス。 支援 ・上記の作業療法士にデモの同席を依頼した。製品(筋電スイッチ)の使い方・技術的な理論・効果、利用例などの話を、支援技術の専門家の意見や感想を挟みながら、三者で円滑に進め、展開した。 結果 ・単独での体験に比べ、数倍深い理解と学びが可能となり、製品提供サイドとも臆せずコミュニケーションができた。また、その後の購入や適合にも協力してもらいやすい環境が作れた。 連携先 ・東京都作業療法士会 ・(コントロールバイオニクス社) 支援の成果等 ・機器の使い方や機能について、よく理解することができました。 ・三者でざっくばらんに話し合う中で出た意見や構想が、そののち、この製品の機能に組み込まれました。 画像:ニューロノード 出典:https://controlbionics.co.jp/ ---第3章 相談対応事例(P.52)--------------------------------------------------- 困ったこと 専門的知識が必要なデバイスは入手に躊躇しがち ●今回のように、少し特殊で価格も高いデバイスになると、入手して試してみたいと思いながらも、技術に対する理解度や対象者への適合に不安が大きいため、なかなかアプローチできずにいました。 対応のヒント ●ICTサポートセンターのスタッフが皆最初から支援技術の専門家ではないので、障害特性やリハビリ工学的な知識が浅い場合も当然あります。そこを超えていく学びは、専門職との「会話」や「交流」にヒントがあります。 工夫 知らないこと、わからないことを怖がらない ●製品提供サイド(メーカー、販売店)のデモや仕様説明の際、正直、センタースタッフには全てが十分に理解できないケースもあります。臆せず質問したいと思いますが、その際、経験のある作業療法士や支援技術の専門家を交えることで、一方的に聞く立場にならず、話を広げていくことができました。 ●工学分野、電気分野、リハビリ分野など、様々な立場の専門家が関わるICTの支援現場では、こうした経験を通じて、センタースタッフもサポートの中心的な役割を担うことに意欲や誇りを持つことができるようになります。 運営のためのポイント等 メーカーとの意見交換の中で新機能の誕生 ●今回は、コントロールバイオニクス社のデモを、DAA資格を有する作業療法士の同席のもとで受けることができました。 ●意見交換の中で、このデバイスに意思伝達の機能を加えることで、補装具給付を利用できないか、という見解が出ました。 ●その後、同社で検討いただいた結果、数か月後にはニューロノード自体のアプリケーション上でシンプルな意思伝達機能が実装されました(実際の意思伝達装置としての給付可否は自治体の判断となる。日常生活用具の携帯用会話補助装置として支給可能な自治体もある。) 東京都障害者IT地域支援センター(運営:社会福祉法人東京コロニー) ●水曜をのぞく平日の午前10時から午後5時30分まで開館。電話、来館、オンライン会議等でも相談OK(土曜日は不定期)。200以上の展示機器を自由に試せます。こちらに無い機器や情報については、都内の支援機関や当事者団体様等との連携でご対応を。見学ツアーもあり。 ●ボランティアの方と学ぶ「サポーターズカフェ」や、都内のICTセミナーをお知らせするメルマガが人気。 ●地域の支援者を応援する「支援者養成研修」は出張コースも準備。アナログから最新機器までスーツケースに詰めて皆様の事業所にまいります。現場で役立つ資料も満載! HP:https://www.tokyo-itcenter.com/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.53)--------------------------------------------------- 第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例 ICTサポートセンターでは、単に障害のある方への相談対応を行うだけでなく、支援者としてのボランティアや地域の人材を育成し、ICT機器の普及や理解促進のための活動にも力を入れています。これにより、地域全体で障害者がICTを活用できる環境を整えることを目指しています。本章では、主に人材育成、障害者向けの普及啓発活動、関係機関との連携と情報共有についてのセンター等の取組事例を紹介します。 1 職員・支援者の人材育成 パソコンやICT機器を使いこなせる支援者を育てることは、障害者のICT活用能力を高め、情報バリアフリーの実現に貢献します。ボランティアや地域人材が中心となって障害者にICTの使い方を指導することにより、地域の支援ネットワークを強化し、持続可能な支援体制を築くことが可能になります。 @ボランティアの養成 札幌市障がい者ICTサポートセンターの事例 札幌市内に居住する障がいのある人を対象に派遣をするパソコンボランティアの養成に取り組んでいます。 パソコンボランティアになるためには養成講座を受講し、ボランティア登録をする必要があります。養成講座は2日間にわたり、主に以下のようなプログラムで実施されます。 1日目 〇札幌市パソコンボランティア派遣制度の説明 〇現役ボランティアの体験紹介1 〇パソコンのユーザー補助(補助機能が必要な人はどのような人か) 〇パソコン音声読み上げソフトに関する研修と実習 2日目 〇現役ボランティアの体験紹介2 〇視覚障害者パソコンサポート(キーボードと音声ガイドの操作・言葉による操作) 〇重度支援ソフトの操作説明と実習(ハーティラダーの操作・視線入力体験) 〇ボランティア登録について 研修のポイントは、機器の操作のために「障がい者の何が障害か?」ではなく、「操作機器の何が障害か?」という視点を持つことを重視しています。また、養成講座のフォローアップとして、小研修を開催し、ボランティア同士の交流、当事者ユーザーとの交流機会を設けています。 画像:研修の様子の写真、研修のチラシ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.54)--------------------------------------------------- Aボランティアの指導者の養成 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会では、厚生労働省から「パソコンボランティア指導者養成事業『障害者へのICT 活用研修会』」を受託し実施しています。 この研修は、障害者へのICT 活用方法を教えることができる人材を指導する人材を養成するための研修です。研修は、東京と地方で行われ、「日常的にパソコンでワープロ操作、ホームページ閲覧、メール等をしている方」「今後指導者として障害者へのICT支援の養成に携わる意欲のある方」であれば、どなたでも参加が可能です。受講料(テキスト資料代)は4,000円で、必要な機材等は協会にて用意します。 プログラムの例 通常科目 〇障害全般(聴覚障害含む) 〇マルチメディアと発達障害 〇視覚障害 〇肢体障害 特別科目 〇マルチメディアDAISY(2回) ※製作研修 〇製作ソフトウェア別2種(2回) 画像:研修の様子の写真 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.55)--------------------------------------------------- B地域支援者等の人材育成 東京都障害者IT地域支援センターの事例 地域における障害者のデジタル技術利活用のための基盤を整備することとした「集合研修」、及び、地域にとって必要性の高い課題について掘り下げる「出張研修」を実施しています。 研修の対象は障害者のデジタル技術支援関連を担当する東京都内の区市町村の職員や地域支援者(障害者福祉センター・障害者就労支援センター・福祉施設職員等)です。 集合研修は、日常の困難さを以下の6つのカテゴリーに分類して行う実践的な研修です。 研修内容 @聞こえに困難さを抱えるケースでの支援技術 Aコミュニケーション障害をカバーする会話補助的な支援技術 B意思の表出が困難な方のための意思伝達を中心とした支援技術 C物理的な操作に困難さをかかえるケースでの支援技術 D視覚的な困難さをかかえるケースの支援技術 E障害や疾病により、理解や認知、記憶等に困難さを抱えるケースの支援技術 研修のポイントは、地域の支援者が効率よく必要な情報を探せるように、頼れる資料や多くの相談先を整理したカタログ集やテキストをしっかりと作成しています。また、デジタルにこだわるのではなく、問題を解決することを目的として適切な手段を活用することや、障害特性を正確に理解した上での支援を重視した研修を行っています。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.56)--------------------------------------------------- 徳島県障がい者ICTサポートセンターの事例 視覚障がい・聴覚障がい双方のサポーターを養成し、アクセシビリティの向上を図る センターでは、視覚障がい者・聴覚障がい者それぞれに対応できるICTサポーターを育成するため、「ICTサポーター養成研修」を実施しています。研修では、外部講師と連携しながら、ICT機器の操作方法や最新機器、支援に必要な心構えについて学びます。 研修終了後は、受講者をICTサポーターとしてセンターに登録し、パソコンやスマートフォンの操作支援が必要な研修会などに派遣し、現場で支援を行っていただきます。 視覚障がい者向け ICTサポーター養成研修 カリキュラム 視覚障がい者のICT機器操作を支援する「視覚障がい者ICTサポーター」を育成するため、全24時間の研修を実施しています。 研修後は、ICTサポーターとして、サピエ図書館等のインターネットを通したサービスの利活用や、ICT機器の操作についての支援をいます。 研修内容 1日目 開会式・オリエンテーション(15分) ICTサポーターの役割とサポートセンターについて(15分) 視覚障がいの理解と誘導方法(90分) 担当:センター パソコン(Windows11)の基礎知識 視覚障がい者のICT環境 サポートする際の注意点 担当:外部講師 2日目 視覚障がい者用PCソフトウェア紹介 Windowsのアクセシビリティ設定 キーボード基本操作とタッチタイピング 担当:NPO法人SPAN Windows11の基本操作 文字入力の基本 アイマスクをつけての操作 指導体験 担当:NPO法人SPAN 3日目 電子メール(メールの環境設定と注意点、メールの基本操作) 担当:NPO法人SPAN Webページの閲覧(視覚障がい者が使いやすいブラウザ、NetReaderを使った様々なWeb検索) 担当:NPO法人SPAN 4日目 視覚障がい者の読書環境と読書用機器紹介(視覚障害者用ポータブルレコーダープレクストーク系機器)及び操作支援体験 日本ライトハウス情報文化センター 視覚障がい者向け最新支援機器紹介 日本ライトハウス情報文化センター 5日目 視覚障がい者と携帯電話(スマホ) VoiceOverの基礎知識 VoiceOverによる文字入力 担当:センター ロービジョンの方向け タブレット・スマホの設定 視覚障がい者向けiPhoneアプリ 担当:センター 6日目 視覚障がい者スマホ活用の実際 聴覚障がい者の理解 担当:センター、当事者 聴覚障がい者向け 支援機器等紹介(40分) 確認テスト(30分) 質疑応答&意見交換会(35分) 閉会式等(15分) 担当:センター 画像:研修のチラシ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.57)--------------------------------------------------- 連携先 外部講師との連携 当センターの研修は、視覚障がい者のICT利用を幅広く支援できる人材育成を目的としており、外部講師の選定にあたっては次の点を重視しています。 1.視覚障がい当事者支援の実務経験が豊富であること ●PC・スマートフォン、点字機器、読書用機器など専門的な支援に対応できる講師を選任しています。 2.最新のICT機器・サービスに精通していること ●例:Windows/PC-Talker、iPhone/VoiceOver、点字ディスプレイ、サピエ など。 3.研修内容に応じた専門性を有していること ●対面・オンラインを組み合わせながら、各分野に最適な講師を配置できるよう努めています。 また、事前にオンラインで打合せを行い、研修の意図や前年度の振り返りを共有することで、複数の講師による研修でも内容に統一感が出るよう工夫しています。 実施の工夫 少人数×体験型でわかりやすくICTサポートを学ぶ ・研修の対象者は、スマートフォンやパソコンの基本操作は理解しているものの、スクリーンリーダー等を使用した操作は初めての方です。取り上げる機器やアプリは、現場で視覚障がい者からニーズの高いものを中心に選定し、最新情報についても参考として紹介しています。 ・近年はスマートフォン支援の需要が高まるなど状況が大きく変化しているため、研修内容を毎年見直し、ニーズに合わせて調整しています。一方で、パソコンに関する相談も一定数あることから、限られた時間の中で両方をバランスよく学べるよう工夫しています。 ・研修では、少人数制で、実際に機器に触れながら学ぶことを重視しています。特に、2人1組でアイマスクを使った模擬支援体験を取り入れ、支援のポイントを実感できるようにしています。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.58)--------------------------------------------------- 聴覚障がい者向け ICTサポーター養成研修 カリキュラム 視覚障がい者のICT機器操作を支援する「視覚障がい者ICTサポーター」を育成するため、全24時間の研修を実施しています。 研修後は、ICTサポーターとして、サピエ図書館等のインターネットを通したサービスの利活用や、ICT機器の操作についての支援をいます。 研修内容 1日目 開会式・オリエンテーション(15分) ICTサポーターの役割とサポートセンターについて(15分) 聴覚障がいに対する理解(40分) 聴覚障がいのICT環境、注意点(50分) 担当:センター、外部講師(ICT環境) スマートフォンの種類と操作の違い&手話 担当:外部講師 2日目 スマートフォン基本操作と専門用語&手話 担当:外部講師 聴覚障がい者が良く使う機能、アプリとは? 担当:外部講師 3日目 パソコンの基礎知識、基礎操作&手話 担当:センター職員 ICTサポート(スマートフォン)等筆記テスト 担当:センター職員 連携先 外部講師(スマートフォン販売会社の手話カウンター講師)との連携 ・スマートフォン販売会社の手話カウンター社員に外部講師を依頼しています。 ・当該販売店のSNSを拝見した際に各地へ講師として派遣されていることも知り、販売店のHPから問い合わせた上で講師依頼をしました。 ・手話通訳などの情報保障の環境を整える、最新機能の使い方等の情報も可能な範囲でお話しいただくこともお願いしています。 ・依頼者当人も講師様もお互い聴覚障がい者で手話を使用するため、打ち合わせ等はZOOM等、お互いの顔が見える形で実施しています。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.59)--------------------------------------------------- 実施の工夫 手話・筆談で伝えるICTサポート研修 スマートフォン・PCの基礎から、聴覚障がい者の生活に役立つアプリ活用まで― ・本研修では、スマートフォンやパソコンの基礎操作に加え、聴覚障がいのある方が日常生活でよく使う機能やアプリの活用方法を中心にカリキュラムを構成しています。 ・研修は、筆談や手話で説明・サポートを行うことを想定しており、参加者がより理解しやすいように、研修で扱う用語(スマートフォン、パソコン、アプリなど)の意味や手話表現もあわせて紹介しながら進めています。 ・想定する主な参加者は、 ・スマートフォンへ移行して日が浅い50代以上の方 ・スマートフォンの基本操作に不安がある方 ・新しいスマートフォンの機能やアプリの使い方を学びたい方 です。 ・また、パソコンについても、同様に50代以上の方を対象に、Word・Excelなどの文書作成、Wi-Fiの設定、最新OSへのアップデートといった基本操作の習得支援を行うことを想定しています。 ・研修全体を通じて、聴覚障がいのある方が「自分の生活に必要なICTを、自分のペースで学べる」ことを大切にし、コミュニケーション方法の工夫も取り入れながら進めています。 画像:研修のチラシ 徳島県障がい者ICTサポートセンター 視覚・聴覚障がい者にICT支援を行うICTサポーターの養成や派遣、最新ICT機器の体験会や個々の習熟度に合せたICT活用研修等を実施し、ICT機器の急速な変化による情報格差により視覚・聴覚障がい者が取り残されることが無いよう総合的な支援を行うことを目的として、設置されました。少しでも視覚・聴覚障がい者の情報アクセシビリティーの向上に寄与できることを目指し運営しています。 ●視覚や聴覚等の障がいの種類や程度に応じた相談対応等 ●視覚、聴覚等障がいのある方々の日常生活を支援するサポート機器の紹介や体験 ●視覚、聴覚等障がい者の「ICTスキル」の習熟度に応じた講習会 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.60)--------------------------------------------------- 2 障害者向けの普及啓発活動 全国のICTサポートセンターで取り組まれている様々な講習会やイベントを紹介します。 @映画会の開催 川崎市視覚障害者情報文化センターの事例 通常、当センターではICTに関する訓練を利用者と職員が1対1で行っています。この方法には、個々の利用者に合わせた訓練ができるという良さがあります。しかし、ICTスキルや生活の質(QOL)の向上を目指すためには、利用者同士の横のつながりも非常に重要です。そのため、視覚障害を持つ方々が娯楽や趣味を楽しんだり、外出の機会を作ったり、他の当事者と交流できる場を提供したりすることが大切だと考えています。 こうした思いから、当センターでは映画会を開催しています。映画会は、DVD映画と音声ガイドを同期させて上映する方法(月に1回)と、映画の自動音声ガイドの再生アプリを使用する方法(年に1回)で開催しています。 映画会は、利用者同士が交流する場としても活用されており、外出のきっかけを提供する役割も果たしています。 映画会の開催までの手順 準備 ●準備 ・感染症防止のため、映画会の席は予約制としました。電話で予約を受け付けました。 ・映画の自動音声ガイドの再生アプリを使用する場合、当日初めて操作するとうまく動作しない人も出てしまうため、事前に操作の講習会を開催しました。 ・具体的には毎月実施する通常の映画会の後に参加希望者に残ってもらい、1回完結で30分程度の講習会を複数回実施しました。講習会では、アプリのインストール方法や、操作方法を説明・練習しました。 実施 ●実施 ・当日、何らかの不具合で、アプリが作動しない方が出てしまうこともあるため、別室でアプリを使わなくても映画と音声ガイドが聞けるようにしました。 実施後 ●実施後 ・映画会は、参加者同士が一緒に楽しむ一体感を感じられるため、参加者にも喜ばれました。毎回、その作品で感じた様々な感想をいただいています。 ・上映する映画の作品によって人数は異なるが、約30〜40名が参加しています。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.61)--------------------------------------------------- 工夫 仲間づくりのきっかけ ●QOLを上げるためには、ICTのスキルを身に着けることだけではなく、仲間を作ることも大切です。映画会の取組は、参加者同士の交流から、仲間づくりにも役立っています。 ●また、映画会の参加から、他の支援につながる事例もあります。 画像:映画会のチラシ 川崎市視覚障害者情報文化センター(指定管理者:社会福祉法人日本点字図書館) ●川崎市に住んでいる方、あるいは市内に通勤・通学されている視覚障害の方を対象に、歩行訓練、ICT(パソコン・スマートフォン)訓練、点字訓練、調理、日常生活動作などの各種訓練を行っています。 HP:http://www.kawasaki-icc.jp/index.html ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.62)--------------------------------------------------- Aパソコン講習会やICT教室 ICTサポートセンターでは、パソコンスキルやスマートフォンの活用等、ICT機器の習得を目指した様々な講習会が実施されています。講習会は、ボランティアの方が講師を務める場合や、訪問形式で行われる場合等、多様な方法で実施されています。 大阪府ITステーションの事例 大阪府ITステーションでは、障がいのある方がICT機器(パソコンやタブレット等)を操作しやすくするための支援機器やソフトの相談、支援を行うとともに、障がいのある方や支援者に対し、ICT講習等を実施しています。 ■ICT機器利用のサポート @ICT支援の総合窓口 障がいのある方や支援者からの相談対応やICT機器等の情報提供を行います。 A機器展示・体験 障がいに応じた様々な機器を展示し、機器の使用体験ができます。 B機器貸出 支援機器の利用を検討している障がいのある方や支援者に対し、機器の貸出しを行います。 C訪問支援 必要に応じて職員やITサポーターが訪問し、機器の設置や操作指導を行います。 DICT講習会等 障がいのある方や支援者を対象に、ICTに関する講習会等を行います。 ■IT講習等 障がいのある方の就労に向けたIT講習やeラーニング講座を実施しています。 画像:ICT支援者講習会の様子 大阪府ITステーション(運営:社会福祉法人大阪障害者自立支援協会) ●「大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター」の一機能として、障がい者の自立と社会参加の促進をめざし、ICTを活用した障がい者の情報格差解消に向けた様々な支援を行っています。 HP:http://www.itsapoot.jp/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.63)--------------------------------------------------- 佐賀県障害者 ICT サポートセンター ゆめくれよん+の事例 ■ICT教室 ゆめくれよん+では、佐賀県にお住いの障害者の方(原則、障害者手帳をお持ちの方)を対象に、県内各地にて出張ICT教室を開催しています。また、開催地の教室に参加可能なことが要件です。教室では、Word・Excelコースをはじめ、フォト・インターネットなど、時代に沿ったプログラムを準備しています。 ICT教室のプログラム(10:00-15:00(休憩1時間)) 研修内容 Word 基礎教室(2日間) ステップアップ教室(2日間) 文字入力・画像挿入・チラシ作成・ワードアート・案内葉書・表 Excel 基礎教室(2日間) ステップアップ教室(2日間) 四則演算・オートフィル機能・作表・図形・画像挿入・関数・グラフ フォト フォト教室(2日間) 画像の取りこみ・編集加工の仕方・フォトブックや案内葉書の作成 インターネット・タブレット インターネット・iPad教室(3日間) 検索・メール・ショッピング体験・SNS・Googleレンズ・各種アプリ体験 画像:インターネット・iPadコースの様子 佐賀県障害者ICTサポートセンターゆめくれよん+(運営:NPO法人市民生活支援センター ふくしの家) ●障害者の生活の質の向上、社会参加、コミュニケーションの促進を目的とし、下記の3つの柱で活動しています。 @佐賀県各地で開催される障害者のためのICT教室の開催 A障がいのためご自宅や施設等から外出困難な方々へのICTボランティア派遣 BICT活用のお手伝いを楽しくするICTボランティアの育成 HP:http://ykureyon.com/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.64)--------------------------------------------------- パソコン・スマホ相談会の開催 鹿児島県障害者ITサポートセンターの事例 地域密着!気軽に学べるパソコン・スマホ相談会×ゲーム体験を通じた認知度向上 ●当事者・家族からのニーズに応えてパソコン・スマホ相談会を開催しています。「スマートフォン操作を教えてほしい」・「メールを使いたい」などのご相談に、ボランティアやIT企業が直接対応しています。 ●実施方法は、以下の2パターンがあり、相談者は希望に応じて選択することができます。 IT企業によるパソコン・スマホ相談会 パソコンボランティアによる相談受付 開催方法 パソコン・スマホ相談会の開催 派遣・来所相談 対応者 地元IT企業 パソコンボランティア 相談体制 開催:毎月2回 定員:月延べ8名 ボランティア17名体制(R6年度時点) 相談内容(例) ・迷惑メール対策 ・スマホ・PCの写真連携 等 ・LINE操作方法・情報配信サービスへの登録 等 工夫1 知ってもらう 利用し続けてもらえる ・スマホ相談会は、「リピーターが多いこと」が大きな特色となっています。 ・相談者の方からは、「地域の携帯会社には、『こんなことを聞いても良いのかな?』と思ってしまうことでも、センターなら気兼ねなく何でも聞くことができる!」とのお声をいただきます。 ・地元企業による講習会の開催頻度の高さや、県の講習を修了したパソコンボランティアによる支援などにより、地域密着型の支援体制を実現しています。 ・相談者の中には知的障害の方などもいらっしゃいますが、こうした安心感がセンターの利用につながっていると言えます。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.65)--------------------------------------------------- 工夫2 知ってもらう 利用し続けてもらえる ・ICTサポートセンターの認知度を高め、パソコンボランティアによる支援の輪を広げていくために、地域のイベントを活用しています。 ・具体的には、センターが入居する「ハートピアかごしま」で開催されるイベントにゲーム体験会を出展しています。パソコン・スマホ相談会も同時開催し、ゲームを通じてICTツールに興味を持ってくださった方には、そのままパソコン・スマホ相談会へご参加いただくことも可能です。 ※「ハートピアかごしま」には県の難病相談支援センター・精神保健福祉センター・身体障害者更生相談所・鹿児島県障害者自立交流センター・鹿児島県視聴覚障害者情報センターといった、障害福祉関連施設が入っています。多目的ホール・体育館などは一般利用もされています。(一般の方は有料) 出展先イベント 「あったか交流フェスタ」 (参考)令和7年度のイベントURL:https://heartpiakagoshima.jp/pages/20/ 出展内容 障害者の方も遊ぶことができるゲームの体験展示 ねらい ゲームを通じて楽しみながらソフトウェアを操作していただくことで、ICTをこれまであまり操作されてこなかった方に対する心理的なハードルを下げ、パソコン・スマホ相談会などのコミュニケーション支援へとつなげる ここがポイント ボタン一つで操作できるものや、振るだけで操作できるような、障害者の方も楽しめるゲームを選定 出展にあたっては、ゲーム会社への申請や調整も必要 画像:ゲーム出展の様子の写真 パソコン・スマホ相談会の様子 鹿児島県障害者ITサポートセンター(運営:社会福祉法人 鹿児島県身体障害者福祉協会) ●鹿児島県障害者ITサポートセンターの運営として、障害を持つ方のパソコン・スマホ操作に関する相談に応じています。 ●パソコンを使いたい、メールを使いたい、デジカメの映像をパソコンで処理したいなど、ご相談をお待ちしています! HP:https://shogaisha-kagoshima.jp/etc/pc-soudan/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.66)--------------------------------------------------- 長野県障がい者ITサポートセンターの事例 スマートフォン・タブレット講習会を通じて、アクセシビリティの向上を図る 長野県障がい者ITサポートセンターでは、障害のある方のICT活用を支援する取組として、タブレット端末の活用講習会を開催しています。以前はパソコンを使った講習会を中心に実施していましたが、近年はスマートフォンやタブレットの性能向上、とくに音声認識機能の進歩を踏まえ、パソコンからタブレット活用に特化した講習会へ移行しました。 なぜタブレットなのか 音声のみでの操作が可能な機能が増え、視覚障害のある方にとって大きな支援となるスマートフォン・タブレットは携帯性が高く、日常生活で使う場面が多い文字入力・情報取得・コミュニケーションなど、多様なニーズに応えられます。そのため、講習会では、視覚障害のある方には音声認識・読み上げ機能を中心に、それ以外の方にはアクセシビリティ全般の活用方法を学んでいただいています。 Day 研修内容 1日目 講師が実際に使っている便利なアプリを紹介・その使い方の解説・その他Q&A 2日目 便利なアプリのステップアップ ・その他Q&A 実施の工夫 ・本研修は、タブレット端末を「うまく活用しきれていない」「もっと活用の幅を広げたい」と感じている方を対象に、全2回のステップアップ形式で実施している点が大きな特徴です。 ・視覚障害のある方向け講習会では、「全盲でスマートフォンを高度に活用している達人」に依頼しています。このため、講師が日常的に利用している便利なアプリを具体的に紹介できるほか、参加者からの質問にも的確に回答していただいています。 ・また、県および各地域の視覚障害者団体とは、参加者募集の面で連携していますが、講習内容については、講師および参加申込者との相談を踏まえて決定しています。 主な連携先 音声認識機能(ボイスオーバー等)は、視覚障害のある方にとって特に大きな助けとなるため、本研修でも重点的に扱っています。この点をより多くの方に知っていただくため、県内の視覚障害の関連団体とも連携し、講習会の周知にも力を入れています。 画像:研修の様子の写真 長野県障がい者ITサポートセンター(運営:特定非営利活動法人SOHO未来塾) ●当センターは、障がいのある方からの、「ITで仕事をしたい」、パソコン等IT関連機器の利用にあたり「使っているがトラブルが生じてしまった」のようなIT機器利用全般に関する相談に対してアドバイスなどを行っています。 HP:https://www.sohomiraijuku.jp/it_support/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.67)--------------------------------------------------- 3 関係機関との連携と情報共有 全国のICTサポートセンターで取り組まれている様々な講習会やイベントを紹介します。 @関係機関との連携 愛媛県障がい者ICTサポートセンターの事例 ■支援機器つながる連絡会 愛媛県障がい者ICTサポートセンターは、厚生労働省「支援機器の開発・普及のためのモデル拠点構築に資する研究」に協力し、愛媛県内で支援機器の開発や利活用に関わる方々が一同に会するモデル拠点構築を行っています。情報の共有と支援機器に関連する取組において、「つながる」ことの意義や重要性について意見交換を行い、ネットワーク構築の足掛かりとしています。 つながる連絡会では、愛媛県障がい者ICTサポートセンターの相談員がコーディネートを行っています。 〈プログラム〉 第1回:「つながることで可能になることを探る!妄想型ワークショップ」、振り返り 第2回:実際に機器を体験しながらの事例交流、自助具製作ワークショップ、振り返り 〈参加機関〉 ※第1回 ・愛媛県障がい者ICTサポートセンター ・愛媛県障害福祉課 ・松山市障害福祉課 ・CIL星空(当事者団体) ・愛媛大学医学部付属病院(難病ケア) ・松山相談支援センター(在宅ケア) ・愛媛県福祉サービス協会(副用具) ・新居浜工業高等専門学校 ・愛媛県作業療法士会 ※すべてICTサポートセンターが日頃連携をとっている機関 〈参加者の感想〉 ・他の立場の方の意見を聞いたり、話したりする機会が少ないので、貴重な機会だった。 ・多機関で共通の困りごとを抱えていることがわかった ・一人でできることには限界がある。いろんな人の強みを知れた。 ・顔が見えることで、安心して連絡ができる。 ・つながることで、したいことが実現するかもしれないと思った。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.68)--------------------------------------------------- ■大学との連携・学生との協働 愛媛県障がい者ICTサポートセンターでは、現在、愛媛県障がい者ICTサポートセンターの相談員を愛媛大学から出向して実施しています。学生ボランティアを中心にボランティアと一緒に活動しています。各種MTGの参加など、活動自体への参画があると団体が一つの居場所として機能でき、継続した活動への参画の可能性が上がります。 画像:社会貢献活動等への従事に関する証明書 工夫 大学と連携し、教員や研究室ごと活動に巻き込む 持続可能な取組にするためには、大学と連携し、教員や研究室をボランティア活動に巻き込む仕組みにすることが大切です。ポイントを3つご紹介します。 ●学生(大学)にもメリットがある仕組みづくり 学生ボランティアと協力するためには、学生や大学側にもメリットがある形にすることが重要です。例えば、ボランティア証明書を発行したり、活動報告書に謝辞を記載したりすることで、学生は就職活動時に履歴書に記載でき、経験や専門性をアピールできます。また、教員にとっても、学生の教育や研究に繋がることがあり、学生の学びに貢献することが期待されます。学生と協力する際には、これらのメリットをしっかりと伝えることが大切です。 ●孤立(一人で頑張ら)させない体制 ケアは消耗的な活動であるため、学生のフォローも重要です。ボランティア活動がうまくいかなかった部分、いわゆる「ゆらぎ」を共有し、その経験を次の学びに活かすことが重要です。活動の振り返りとして、うまくいった部分や課題を相互に共有し、ファシリテーターとしてサポートしながら次のステップにつなげていきます。最初の1〜2ヶ月間は特に丁寧に進め、学生が成長し自ら動けるようになるための支援体制が必要です。 ●リスクを減らす視点 訪問活動は必ず2人1組で行う、SNSなどの個人情報の扱いにあらかじめ説明するなど、活動のリスクを減らす観点での取組が重要です。特に、学生が感動的な場面で動画や写真を撮ると後で問題になることがあります。学生には、SNSの使い方やリスクについて十分な指導が必要です。 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.69)--------------------------------------------------- 沖縄県障がい者ITサポートセンターの事例 一人職員でもできる「地域連携型ICT支援」―多様な協働で広域支援を実現するために― 沖縄県障がい者ITサポートセンターでは、実務職員1名という体制の中で、重度・視覚・難病など多様な支援ニーズに対応しています。強みを活かしつつ、「できないことを補い合う関係づくり」によって、一人職員でも継続的に支援を展開できる仕組みをどのように構築したかを紹介します。 課題 沖縄県障がい者ITサポートセンターは、実務職員1名という体制で県内全域をカバーしています。限られた人員の中で、「支援ニーズが少なく見えるが重要な分野」(重度障害者のコミュニケーション支援、視覚障害者支援など)にどう対応するかが大きな課題でした。 そこで、まず自らが担える領域・担えない領域を整理し、「自分たちが持たない専門性を地域連携で補う」ことを基本方針とました。 画像:縦軸の「ノウハウがある/無い」(ノウハウがあるが上、無いが下)、横軸に「ニーズ(相談)が多い/少ない」(多いが右、少ないが左)を配置したマトリクス図。左に「運用方法の模索・検討」、右に「積極的に取り組む」が配置。「積極的に取り組む」から「積極的に取り組む事業」に矢印が伸びている。積極的に取り組む事業 @重度障がい者コミュニケーション支援 A視覚障がい者向け支援 BITお困り相談(パソコン・スマホ) C支援者サポート(講習会等) まず行ったこと 関係団体との接点づくり 既存の伝手がほとんどなかったため、県内の障害者支援団体を自ら検索し、一件ずつ訪問・挨拶に行きました。最初は「なぜ来たの?」という反応も多くありましたが、「できることは少ないが、動くことはできます」と率直に伝え、“負担を増やさず一緒に動く”姿勢を強調しました。この丁寧なアプローチから、視覚障害者福祉協会など協力的な団体との最初の連携が生まれました。 信頼関係の構築 「何を一緒にするのか具体的に示してほしい」と慎重な反応なところもあり、「相手が必要と感じる提案を持って行く」重要性を学びました。 自センターができることを伝え、先方が望むことをまずは率先して行うという姿勢で対応しています。 主な連携先 画像:沖縄県障がい者ITサポートセンターを中心に、以下の連携先がつながっている 沖縄県障がい者ITサポートセンター Okinawa Disability IT Support Center 視覚障がい者支援 沖縄県視覚障害者福祉協会 視覚障がい者サポートセンター 医療機関等 沖縄病院 沖縄肢体不自由児協会 特別支援学校 AT-Okinawa 特別支援学校 ICT特別指導員 遠隔地支援 地域協力員 重度障がい者コミュニケーション支援 沖縄県難病相談支援センター 認定NPO法人 アンビシャス 保健所 ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.70)--------------------------------------------------- 事例@ 沖縄県難病支援センター(認定NPO法人アンビシャス)との連携 難病による重度障害者へのコミュニケーション支援では、「保健医療ルート」と「障害福祉ルート」が別々に存在していました。難病支援センター「アンビシャス」と協議し、相談・支援機器貸出・訓練支援を連携的に行うルートを確立しました。 ・アンビシャス:初期相談・医療的評価を実施(訪問支援は実施していない) ・ITサポートセンター:機器設定、操作訓練を訪問支援で担当(OTと訪問) さらに、共通資料「沖縄県におけるコミュニケーション意思伝達装置導入ガイダンス」を作成。本人・家族・自治体職員にも分かりやすい解説資料とし、県内統一の理解促進ツールとして活用しています。 ●ポイント:相手の「望むことを先に動く」姿勢が信頼構築の鍵。 ●成果:機器の貸出調整・勉強会共催・情報共有が定常化し、県内全域の難病支援ルートが滑らかになった。 事例A 視覚障がい者サポートセンター(当事者団体)との連携 「沖縄県視覚障害者福祉協会」へ挨拶に行き、支援事例を作った後に、協会より当事者団体「視覚障がい者サポートセンター」を紹介いただきました。そこから、視覚障害者向けの勉強会(共同企画)が始まりました。 ・視覚障がい者サポートセンター:講師・当事者対応 ・ITサポートセンター:企画・会場調整 支援内容は、iPhone・iPad操作や音声読み上げ機能(VoiceOver等)の使い方講習。視覚障害当事者が講師となり、1対1や少人数で支援する形式としたことで、受講者からの理解度・満足度が高まりました。各地域で開催予定です。 ●ポイント:当事者団体を「講師」として位置づけることで、センター職員が苦手な直接支援を補完。 ●成果:共同開催による講習会は20名規模で満席。北部・離島(名護・石垣)への展開要望も生まれている 沖縄県障がい者ITサポートセンター(運営:NPO法人沖縄県脊髄損傷者協会) ●関係機関と連携することで、重度・視覚・難病など沖縄県内の多様な支援ニーズに対応しています。現在は、PC本体の修理やソフト面など様々な強みを有する「地域協力員」を各地域に配置し、支援体制を強化しています。 HP:https://o-it.jp/ ---第4章 ICTサポートセンターの対応力向上に向けた取組事例(P.71)--------------------------------------------------- A専門職等との情報共有 ■デジ滋賀 デジ滋賀は、滋賀県の障害を持つ方々や児童へのIT支援技術を向上させることを目的とした任意団体です。主にコミュニケーション支援に重点を置いています。現在、メンバーは約35名で、保健行政、医療、リハビリ職、福祉用具の専門家、ICTサポートセンターの職員、そして当事者やその家族など、さまざまな分野の人々が参加しています。 デジ滋賀では、メンバーが自分が使っているICT機器を紹介し合い、体験談や支援事例を共有しています。また、メーカーを招いて機器のデモンストレーションを行い、メンバーのスキルアップを図っています。 活動内容 頻度 第1回(第4金曜日)19:00-20:30 開催方法 オンライン・現地のハイブリッド 内容 ICTに関する情報共有や相談 施設や研修会への参加 ICT業者の協力にて機器のデモンストレーション研究 連絡手段 LINE(オープンチャット) 良いところ 多職種連携で支援力を高める! デジ滋賀の活動は、多職種が連携しながら学べる貴重な場です。定期的な活動を通じて、メンバーは自然と人脈を広げ、普段の業務でも、分からないことがあれば、すぐにLINEで誰かに聞くことができます。お互いに相談しあえる場があることで、1人で問題を抱え込みにくくなります。 さらに、デジ滋賀はメンバー全員がそれぞれの専門性を活かし、スキルや知識を深めながら共に成長する場でもあります。 今後も、イベントの開催やメンバーの拡大を進め、支援の質を向上させていきます。デジ滋賀は、協力し合いながら成長していける、持続可能で価値のある活動を目指しています。 チャットの様子 ---参考情報(P.72)--------------------------------------------------- 参考情報 本章では、ICTサポートセンターの相談対応等に役立つ情報やツール等をご紹介します。 1 知識 @センター職員の人材育成 ■デジタルアクセシビリティアドバイザー ICTサポートセンターの職員は、地域の関係者や関係機関をつなげるコーディネート力、障害に関する知識や対応力、ICT等に関する知識などが求められます。 また、ICT機器などを利用して障害者などの困りごとに合わせて適切にコーディネートし、その利活用をサポートできる知識と技術について学べるデジタルアクセシビリティアドバイザーのテキストも参考になります。 【目次】 第1章:障害を理解する 第2章:テクノロジーを理解する 第3章:OD標準のアクセシビリティを理解する 第4章:困難別の支援技術 第5章:安心・安全で快適な環境を作るために 出典:デジタルアクセシビリティアドバイザー https://daa.ne.jp/ 1人の職員が様々な幅広い知識や技術を習得することが困難である場合もあり、時間もかかります。障害者等の困りごとを解決することができるのであれば、必ずしも1人の職員が支援に必要な全ての知識や技術を獲得する必要はありません。地域の資源をうまくつなげ、活用することも有効な手段の1つであり、そのようなつながりの中で各種ケースに対応していくことでセンター職員の経験も蓄積していきます。 ---参考情報(P.73)--------------------------------------------------- A障害種別ごとの主な特性について 障害当事者の方と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。また、障害の程度や状態等、具体的場面に応じて柔軟に対応するよう留意する必要があります。 以下に、代表的な障害特性と意思疎通に係るICT機器利用支援の例を示します。 〈参考〉 厚生労働省 「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/R6fukushi_guideline.pdf 厚生労働省「障害者支援機器の活用ガイドブック」 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307902.pdf (1)視覚障害(視力障害・視野障害) ●先天性で受障される方のほか、最近は糖尿病性網膜症等で受障される人も多く、高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い ●視力障害、視野障害の状況によって、明るさの変化への対応が困難なため、移動等に困難さを生じる場合も多い 概要 視力障害 ●視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる(全盲、弱視といわれることもある) ・視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚等、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握している ・文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばかりではない) ・視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり近づいて見る等の様々な工夫をして情報を得ている 視野障害 ●目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる ・「求心性視野狭窄」:見える部分が中心だけになって段々と周囲が見えなくなる。遠くは見えるが足元が見えず、つまずきやすくなる ・「中心暗転」:周囲はぼんやり見えるが真ん中が見えない。文字等、見ようとする部分が見えなくなる ---参考情報(P.74)--------------------------------------------------- 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇パソコンの利用支援(音声読み上げソフト、メール、ホームページ検索、表計算の活用等) ◇スマートフォン・タブレット及びアプリの設定・操作の支援(音声の読み上げ機能の設定等) 〈利用機器等の例〉 ◇拡大読書器、文字・画像拡大ソフト・アプリ ◇テキストリーダー ◇音声読書機 ◇スマートグラス ◇スマートスピーカー 等 (2)聴覚障害 ●聴覚障害は外見上分かりにくい障害であり、その人が抱えている困難も他の人からは気づかれにくい側面がある ●聴覚障害者は補聴器や人工内耳を装用するほか、コミュニケーション方法には手話、筆談、口話等、様々な方法があるが、どれか一つで十分ということではなく、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせる等使い分けている ●補聴器や人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じる等、残響や反響のある音は、聞き取りにあまり効果が得られにくい ●聴覚の活用による言葉の習得に課題があることにより、聴覚障害者の国語力は様々であるため、筆談の場合は、相手の状況にあわせる 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇パソコンやスマートフォン・タブレットにおける音声を文字に変換するソフト・アプリの利用支援 〈利用機器等の例〉 ◇音声の文字変換ソフト・アプリ ◇ヒアリング補助機能付きイヤホン ◇音検知通知アプリ 等 ---参考情報(P.75)--------------------------------------------------- (3)盲ろう(視覚と聴覚の重複障害) ●視覚と聴覚の重複障害の人を「盲ろう」と呼んでいるが、障害の状態や程度によって様々なタイプに分けられる(視覚障害、聴覚障害の項も参照のこと) ●盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障害の状態や程度、盲ろうになるまでの経緯、あるいは生育歴、他の障害との重複の仕方によって異なり、介助方法も異なる ●テレビやラジオを楽しむことや本や雑誌を読むこと等もできず、家族といてもほとんど会話がないため、孤独な生活を強いられることが多い 概要 見え方と聴こえ方の組み合わせによるもの @全く見えず聴こえない状態の「全盲ろう」 A見えにくく聴こえない状態の「弱視ろう」 B全く見えず聴こえにくい状態の「盲難聴」 C見えにくく聴こえにくい状態の「弱視難聴」 各障害の発症経緯によるもの @盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」 Aろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」 B先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」 C成人期以後に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇パソコンやスマートフォン・タブレットにおける音声読み上げソフト・アプリの利用支援 ◇点字の入力機能と点字ディスプレイ、音声入出力機能等を備えた点字情報端末の利用支援 〈利用機器等の例〉 ◇拡大読書器、文字・画像拡大ソフト・アプリ ◇テキストリーダー ◇音声読書機 ◇スマートスピーカー ◇音声の文字変換ソフト・アプリ 等 ---参考情報(P.76)--------------------------------------------------- (4)肢体不自由 〈車椅子を使用されている場合〉 ●脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障害、知覚障害、体温調節障害等) ●脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、言語障害、知的障害重複の場合もある) ●脳血管障害(片麻痺、運動失調) ●病気等による筋力低下や関節損傷等で歩行が困難な場合もある ●ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴等、日常の様々な場面で援助が必要な人の割合が高い ●車椅子使用者にとっては、段差や坂道が移動の大きな妨げになる ●手動車椅子の使用が困難な場合は、電動車椅子を使用する場合もある ●障害が重複する場合には、呼吸器を使用する場合もある 〈杖等を使用されている場合〉 ●脳血管障害(歩行可能な片麻痺、運動失調) ●麻痺の程度が軽いため、杖や装具歩行が可能な場合や、切断者等で義足を使用して歩行可能な場合は、日常生活動作は自立している人が多い ●失語症や高次脳機能障害がある場合もある ●長距離の歩行が困難な場合や、階段、段差、エスカレーターや人ごみでの移動が困難な場合もあり、配慮が必要 〈上肢に障害がある場合〉 ●上肢(肩から関節を含む手指)に欠損がある、あるいは可動域に制限が生じる変形障害、動作に制限が生まれる運動機能障害等に分類 ●身体のバランスを上手くとることが難しいため、歩行が困難になる方もいる ●両上肢に障害がある場合は、配慮すべき場面が多くなり、支援が必要となることがある ●物を掴んだり持ち上げたりといった行為が難しい場合もある 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇重度障害者用意思伝達装置の利用支援(文字盤入力、メール、ホームページ検索、コール機能等の活用) ◇入力装置(スイッチ:マウス トラックボール 視線 音声等)の調整・設定 ◇固定具の調整・設定 ◇環境制御装置の調整・設定 〈利用機器等の例〉 ◇意思伝達装置 ◇環境制御装置 ◇入力装置 等 ※透明文字盤(ローテク製品)によるコミュニケーション支援も併用することが多い ---参考情報(P.77)--------------------------------------------------- (5)構音障害 ●話す言葉自体を聞き取ることが困難な状態 ●話す運動機能の障害、聴覚障害、咽頭摘出等の原因がある 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇音声読み上げアプリ等の会話補助装置の利用支援 ◇音声合成アプリの活用支援(自身の音声を合成したうえで音声を読み上げるコエステーション等) 〈利用機器等の例〉 ◇音声読み上げソフト・アプリ ◇音声合成アプリ ◇電気式人工喉頭 等 (6)失語症 ●聞くことの障害 ・音は聞こえるが「ことば」の理解に障害があり「話」の内容が分からない ・単語や簡単な文なら分かる人でも早口や長い話になると分からなくなる ●話すことの障害 ・伝えたいことをうまく言葉や文章にできない ・発話がぎこちない、いいよどみが多くなったり、誤った言葉で話したりする ●読むことの障害 ・文字を読んでも理解が難しい ●書くことの障害 ・書き間違いが多い、また「てにをは」等をうまく使えない、文を書くことが難しい 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートフォン・タブレット及びアプリの設定・操作の支援(VOCA、光学式文字読み取り(OCR)・音声の読み上げ機能、メッセージアプリの活用等) ◇スマートフォン・タブレットの手書き入力の設定 〈利用機器等の例〉 ◇会話補助&言語訓練器 ◇メッセージアプリ ◇VOCAアプリ ◇音声の文字変換ソフト・アプリ ◇音声読み上げソフト・アプリ 等 ※ローテク(文字盤、絵カード、シンボル、写真等)のツールを併用する場合もある ---参考情報(P.78)--------------------------------------------------- (7)高次脳機能障害 ●交通事故や脳血管障害等の病気により、脳にダメージを受けることで生じる認知や行動に生じる障害。身体的には障害が残らないことも多く、外見では分かりにくいため「見えない障害」とも言われている。 概要 記憶障害 ●すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、何度も同じことを繰り返したり質問したりする 注意障害 ●集中力が続かなかったり、ぼんやりしてしまったりして、何かをするとミスが多く見られる ●二つのことを同時にしようとすると混乱する ●主に左側で、食べ物を残す、障害物に気が付かないこと等がある 遂行機能障害 ●自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てたりできない 社会的行動障害 ●ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい ●こだわりが強く表れる、欲しいものを我慢できない ●思い通りにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする 病識欠如 ●上記のような症状があるという認識が乏しく、できるつもりで行動してトラブルになる その他 ●失語症を伴う場合がある(失語症の項を参照) ●片麻痺や運動失調等の運動障害や眼や耳の損傷による感覚障害を持つ場合がある 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートフォン・タブレット及びアプリの利用支援(カメラ、スケジュール、アラーム、録音・メモ機能等) 〈利用機器等の例〉 ◇カメラアプリ ◇スケジュールアプリ ◇録音アプリ 等 (8)内部障害 ●心臓機能、呼吸器機能、腎臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、HIVによる免疫機能等の障害により日常生活に支障がある ●疲れやすく長時間の立位や作業が困難な場合がある ●常に医療的対応を必要とすることが多い 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートウォッチの利用支援(バイタルサイン等) 等 ---参考情報(P.79)--------------------------------------------------- (9)重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者 ●自分で体を動かすことが困難な重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発達がみられない重度の知的障害が重複している場合がある ●ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多く、特殊型車椅子を使用 ●移動、食事、着替え、洗面、トイレ、入浴等が自力ではできないため、日常の様々な場面で介助者による援助が必要(紙おむつを使用していることが多い) ●常に医学的管理下でなければ、呼吸することも栄養を摂ることも困難な人もいる ●鼻に留置した管や胃ろう等から医療用ミルクやミキサー食を注入する人がいる ●重度の肢体不自由や重度の知的障害はないが、人工呼吸器を装着する等、医療的ケアが必要な人もいる ●言葉でのコミュニケーションが困難な人が多い 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇環境制御装置の調整・設定 ◇重度障害者用意思伝達装置の利用支援(文字盤入力、メール、ホームページ検索、コール機能等の活用) ◇入力装置(スイッチ)の調整・設定 〈利用機器等の例〉 ◇環境制御装置 ◇意思伝達装置 ◇入力装置 ◇VOCAアプリ(重度知的障害の方) 等 (10)知的障害 ●概ね18歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適応に困難が生じる ●「考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり」する等の知的な機能に発達の遅れが生じる ●金銭管理、会話、買い物、家事等の社会生活への適応に状態に応じた援助が必要 ●主な原因として、ダウン症候群等の染色体異常、または先天性代謝異常によるものや、脳症や外傷性脳損傷等の脳の疾患があるが、原因が特定できない場合もある ●てんかんを合併する場合もある ●ダウン症候群の場合の特性として、筋肉の低緊張、多くの場合、知的な発達の遅れがみられること、また心臓に疾患を伴う場合がある 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートフォン及びアプリの設定・操作の支援(地図アプリ、カメラ、メッセージアプリの活用等) 〈利用機器等の例〉 ◇ルビ振りソフト・アプリ ◇音声の文字変換ソフト・アプリ ◇VOCAアプリ 等 ---参考情報(P.80)--------------------------------------------------- (11)てんかん ●何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる ●発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うもの等、様々なタイプのものがある 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートウォッチの利用支援(バイタルサイン、転倒検出等) 等 (12)発達障害 概要 自閉症、自閉症スペクトラム ●コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振り等を用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手な部分もある ●特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりする ●感覚の過敏さを持ち合わせている場合もある ●強い関心や感覚の鋭さを社会の中で活かして活躍される方もいる 学習障害(限局性学習障害) ●「話す」「理解」は普通にできるのに、「読む」「書く」「計算する」ことが、努力しているのに極端に苦手 注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害) ●年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性・衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性がある ●多動性・衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もある ●また、いろいろなことに関心を持ったりエネルギッシュに仕事等に取り組まれたりする方もいる その他の発達障害 ●体の動かし方の不器用さ、我慢していても声が出たり体が動いてしまったりするチック、一般的に吃音と言われるような話し方等も、発達障害に含まれる 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇スマートフォン・タブレット及びアプリの設定・操作の支援(光学式文字読み取り(OCR)・音声の読み上げ機能、音声の文字入力機能、計算機等の活用) ◇スケジュール管理アプリの利用支援 〈利用機器等の例〉 ◇ルビ振りソフト・アプリ ◇音声の文字変換ソフト・アプリ ◇カメラ・スケジュール・タイマー等のアプリ(記憶障害の方) ◇所持品探索アプリ(ADHDの方) ◇音声教材、UDブック、計算補助アプリ(学習障害の方) 等 ---参考情報(P.81)--------------------------------------------------- (13)精神障害 ●精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、その障害特性や制限の度合いは異なる ●精神疾患の中には、長期にわたり、日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態が続くものがある ●代表的な精神疾患として、統合失調症や気分障害等がある ●障害の特性もさまざまであるため、積極的に医療機関と連携を図る、専門家の意見を聴く等、関係機関と協力しながら対応する 概要 統合失調症 ●発症の原因はよく分かっていないが、100人に1人弱かかる、比較的一般的な病気である ●「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている ●陽性症状 ・幻覚:実態がなく他人には認識できないが、本人には感じ取れる感覚のこと。なかでも、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い ・妄想:明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのこと。誰かにいやがらせをされているという被害妄想、周囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想等がある ●陰性症状 ・意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる ・疲れやすく集中力が保てず、人づきあいを避け引きこもりがちになる ・入浴や着替え等、清潔を保つことが苦手となる 等 ●認知や行動の障害: ・考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる ・相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない 等 気分障害 ●気分の波が主な症状としてあらわれる病気。 うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼ぶ ・うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとする等の症状がでる ・躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でも出来ると思い込んで人の話を聞かなくなったりする 依存症(アルコール) ●飲むことが良くない状況やタイミング等を分かっているにもかかわらず、飲酒したいという強い欲求がコントロールできず、過剰に飲酒したり、昼夜問わず飲酒したりすることで身体的、社会生活上の様々な問題が生じる ●体がアルコールに慣れることで、アルコールが体から抜けると、発汗、頻脈、手の震え、不安、イライラ等の離脱症状が出る ●一念発起して断酒しようとしても、離脱症状の不快感や、日常生活での不安感から逃れるために、また飲んでしまう 認知症 ●認知症とは、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により記憶障害等、認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態である ●原因となる主な疾患として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症等がある ●認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(歩き周り、不穏、興奮、幻覚、妄想等)がある ---参考情報(P.82)--------------------------------------------------- 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇感情コントロールアプリの利用支援 ◇スマートフォンのメモ機能等の利用支援 ◇吃音者向け訓練ソフトの利用支援 〈利用機器等の例〉 ◇メモ・スケジュールアプリ ◇感情コントロールアプリ ◇気圧計・気象アプリ ◇アバター・VRチャット(場面かんもくの方に有効な場合) (14)難病 ●神経筋疾病、骨関節疾病、感覚器疾病等、様々な疾病により多彩な障害を生じる ●常に医療的対応を必要とすることが多い ●病態や障害が進行する場合が多い 〈ICT機器利用支援の例〉 ◇重度障害者用意思伝達装置の利用支援(文字盤入力、メール、ホームページ検索、コール機能等の活用) ◇入力装置(スイッチ:マウス トラックボール 視線 音声等)の調整・設定 ◇固定具の調整・設定 ◇環境制御装置の調整・設定 〈利用機器等の例〉 ◇意思伝達装置 ◇環境制御装置 ◇入力装置 等 ※透明文字盤(ローテク製品)によるコミュニケーション支援も併用することが多い ---参考情報(P.83)--------------------------------------------------- B活用・連携が考えられる制度 ■職場適応援助者(ジョブコーチ) 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は、障害者の職場適応に課題がある場合に、訪問型の場合は、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的としています。 ジョブコーチ支援が必要な場合は、地域障害者職業センターにお問合せください。 (なお、必要に応じて、ハローワークから地域障害者職業センターに取り次ぐことも可能です。) ICTサポートセンターとの連携例 ジョブコーチは、職場で利用者(障害者)の特性に合わせた支援を提供しますが、その過程で、ICTサポートセンターが利用者に提供する技術的なサポートを活用することが考えられます。例えば、職場で使用するパソコンやソフトウェアの操作方法に関する支援が挙げられます。 また、利用者がICTサポートセンターに相談する際に、職場での状況をジョブコーチに伝えてもらうことで、センターはその情報をもとに具体的なサポート方法を検討し、より効果的な支援を提供することが期待できます。 画像:ジョブコーチ「支援のしくみ」と「標準的な支援の流れ」 職場適応援助者(ジョブコーチ)が中央に配置されて、矢印が「事業主(管理監督者・人事担当者、上司・同僚)」、「障害者」「家族」に伸びている。 画像下に、支援期間と内容が記載されている。 集中支援/週3〜4日訪問:職場適応上の課題を分析し、集中的に改善を図る 移行支援/週1〜2日訪問:支援ノウハウの伝授やキーパーソンの育成により支援の主体を徐々に職場に移行 フォローアップ:数週間〜数か月に一度訪問 出典:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html ---参考情報(P.84)--------------------------------------------------- ■意思疎通支援 意思疎通支援は、障害者総合支援法の地域生活支援事業に基づき、各地方自治体において実施しています。 支援にあたっては、障害特性に配慮した意思疎通支援のニーズに即して行います。 利用にあたっては、まず相談者の住む市区町村の窓口に確認してください。 (意思疎通支援の具体例) 聴覚障害者:手話通訳、要約筆記 視覚障害者:代筆・代読、点訳、音声訳 盲ろう者:直接本人に接触する触覚手話、指点字、指文字 失語症者:会話における理解や表現の補助(必要に応じて道具や絵の利用等) (対象者) 聴覚、言語機能、音声機能、視覚、盲ろう、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体等の障害や難病のため、意思疎通を図ることに支障がある方 参考:厚生労働省 HP https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sanka/shien.html ICTサポートセンターとの連携例 聴覚障害者の方の相談時に、配慮事項として意思疎通支援の希望があった場合は、まず、相談者本人が手話通訳や要約筆記の手配を行うことが可能かを確認します。基本的には、相談者ご本人に手配をしてもらいますが、難しい場合は、センターが手配を支援することもあります。 ---参考情報(P.85)--------------------------------------------------- C機器情報の知識・収集 本ページでは、最新の障害者向けのICT機器等の情報収集に役立つページやイベントを中心に紹介します。 〈ICT機器・支援技術情報に関連するサイト〉 ●障害者ICT機器支援ポータルサイト インクルサポーター ・インクルーシブな社会(共生社会)をサポートするポータルサイト。ICT機器の検索や、障害者のICT利用に関するイベント等の情報発信を行っています。 https://inclsupporter.jp/ ●テクノエイド協会「障害者自立支援機器情報システム」 ・対象分野や、使用場面等の条件から、補助機器やサービスを検索することができます。 https://www.techno-aids.or.jp/assistive/ ●情報アクセシビリティ支援ナビ「Act-navi」 ・国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運用する障害関連情報データベースです。情報アクセシビリティに配慮したICT機器やサービスの開発を促進するため、開発の初期段階から障害を持つ人々のニーズや日常生活での困りごとを反映できる「当事者参加型開発」を進めています。 https://www.actnavi.jp/ ●東京都障害者IT地域支援センター ・様々な支援機器(ハード、支援ソフト)の特徴、メーカー、価格や、展示スマートフォン・タブレットアプリ等の情報がまとめられています。 東京都障害者IT地域支援センター https://www.tokyo-itcenter.com/ ●新潟市障がい者ICTサポートセンター「ATティービー」 ・新潟市障がい者ICTサポートセンターの山口氏によるYouTubeでは、支援技術、アシスティブテクノロジーに関する情報が週に1回程度更新されています。 ATティービー −YouTube https://www.youtube.com/@ATtvjp ●かながわ障害者IT支援ネットワーク ・障害に応じた支援機器を紹介しています。目的別で機器の検索も可能です。 https://shien-network.kanafuku.jp/use/devices/ 〈展示会やイベント〉 ●H.C.R.国際福祉機器展 ・ハンドメイドの自助具から最先端技術を活用した介護ロボットまで、世界の福祉機器を一堂に集めたアジア最大規模の国際展示会です。 https://hcr.or.jp/ ●バリアフリー展 ・高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展です。 https://www.tvoe.co.jp/bmk/ ●ニーズ・シーズマッチング強化事業 交流会 ・障害者福祉の現場において、真に必要とされる実用的な支援機器の開発・実用化を支援する一環として、開発の早い段階から障害者や支援者の「ニーズ(課題や要望)」と企業や研究者等の「シーズ(技術)」のマッチングを強化する事業です。作る人と使う人が出会う交流会も事業の一環で実施しています。 https://www.techno-aids.or.jp/2024koryukai/web/hall/cms/#tab25_detial ---参考情報(P.86)--------------------------------------------------- 2 ツール @アセスメントシート 本アセスメントシートの活用について 本アセスメントシートは、特に初心者の職員が情報収集・アセスメントの観点を押さえるために役立つこと、そのままアセスメントに利用するだけではなく、センター独自のアセスメントシートを作成する際の参考としてもらうことを想定して、ICT機器利用支援に必要と考えられる情報やアセスメントの観点をできる限り網羅して作成しています。以下の相談受付・アセスメントのポイントを踏まえ、支援活動を効果的に進めるための参考ツールとして活用ください。 〈相談受付・アセスメントのポイント〉(P.17より一部引用) ●支援においては、本人の障害や生活状況等、詳細な情報を把握することが必要な場合があります。一方で、細かい情報は支援を進める中でも得ることができます。初回の相談では特に、情報収集に注力しすぎないよう留意し、相手のペースに合わせて話を引き出しましょう。 ●アセスメントでは、「何ができないのか?(課題)」と「何がしたいのか?(ニーズ)」をある程度把握することで支援の方針を見出すことができます。課題・ニーズが不明確な場合は、様々な機器等を見ながら一緒に言語化していく、本人の困りごとや関心から引き出すこともあります。 図表:アセスメントシート 【初回】 基本情報 氏名 ICT機器の利用目的・希望(例:学習、仕事、日常生活等) 本人: 家族・その他: 解決すべき課題 障害の概要 日常の生活状況 配慮の要望等 支援環境に関する情報 使用中の用具・機器 ・ICT・関連機器 □パソコン(   ) □スマートフォン(   ) □タブレット(   ) □マウス(   ) □スイッチ(   ) □その他(   ) ・その他 □呼吸器 □電動ベッド □車椅子 □リフター □呼び鈴 □その他(   ) 機器の使用場所・Wi-Fi環境 □在宅 □病院 □施設(種別   )□学校 □職場 □その他(   ) ・Wi-Fi環境の状況: 機器活用のスキル 主な支援者(記載例) ・ヘルパー ・支援頻度:週2回(2時間) ・機器活用のスキル:基本的なスマートフォン、PC等の操作ができるレベル。PCの再起動など機器トラブルの時に基本的なサポートが可能。 主な支援者1 主な支援者2 家庭のネット環境、再起動など機器トラブルの時に基本的なサポートできる人はいそうか? ---参考情報(P.87)--------------------------------------------------- 【初回〜2回目以降】 本人の情報 *必要な場合に収集 住所 訪問の場合:目印(   )、駐車場(   ) 連絡先(Tel)(Fax) (Tel) (Fax) 連絡先(e-mail) 障害状況 障害名及び原因となった疾病・外傷名(   ) □先天性 □中途(   頃) 現症・予後: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令で定める特殊の疾病(難病等)に該当 □する □しない □身障手帳【等級(   )級】 □申請中 □手帳なし □その他 ※療育手帳等(   ) コミュニケーション手段 □発話(日常会話可能) □発話(一部可能) □筆談 □手話 □触手話 □読唇 □文字盤 □50音読みあげ □Yes-Noサイン □その他 ※瞬き・指さし等(   ) 趣味 就労状況 利用サービス □無 □有(   ) 主治医 病院名:   診療科: 相談者(代表者)*本人以外の情報 相談者(代表者)氏名 属性 □家族(   )、□医療関係者(   )、□介護関係者(   )、□教育関係者(   )、□行政(   ) □生活支援関係者(   )、□就労支援関係者(   )、□企業(   )、□大学・研究職(   )、□その他(   ) 連絡先(Tel)(Fax) (Tel) (Fax) 連絡先(e-mail) 備考 支援環境に関する情報 適応が想定される機器等 使用機能 □会話 □電子メール(パソコン・スマートフォン) □コミュニケーションアプリ □文章読み上げ □音声の文章化 □Web会議システム □テレビ □ゲーム □動画視聴 □呼び出し □ホームページ検索 □環境制御全般 □その他(   ) 使用場所(詳細) □ベッド臥位(□仰臥位・□側臥位) □座位(ベッド・車椅子) □リクライニング座位(ベッド・車椅子) □その他(   ) 使用環境の調整 □不要 □機器の設置 □機器の調整 □Wi-Fi整備 □ポジショニング □本人指導 □支援者指導 □その他(   ) 操作部位 □頭頸部 □顔面 □上肢・手指 □下肢 □その他(   )(備考:   ) 固定具の必要性 □無 □有 □要検討(備考:   ) スイッチの必要性 □無 □有 □要検討(種類(   )、設定方法(   )、操作部位(   ) その他付属品の必要性 □無 □有 □要検討(備考:   ) 適応評価(初回) 機器の操作状況 □独力で可能 □一部介助 □全介助(備考:   ) 機器の使用感 □使いやすい □使いにくい □その他(備考:   ) 操作の理解力 □有 □無(備考:   ) 機器の点検・管理能力 □有 □無(備考:   ) スイッチの入力操作 □スムース □要練習 □要再選定 (備考:   ) 機器の操作状況(支援者) □独力で可能 □一部介助 □不可能(備考:   ) 機器の使用感(支援者) □使いやすい □使いにくい(備考:   ) 操作の理解力(支援者) □有 □無(備考:   ) 機器の管理能力(支援者) □有 □無(備考:   ) 本人の機器の使用希望 □大いにある □試用したら使えそうなので使いたい □多少興味あり □興味があるが機械は苦手 □どちらかというと消極的(家族が希望) □その他(   ) 機器の実用性 □有 □無(備考:   ) 機器使用上のリスクと対応 使用効果見込み 目標・実施事項の概要 目標 実施事項(計画概要) A個人情報保護の同意書 相談対応の際に個人情報を取得する場合、事前に本人の同意を得ることが必要です。書面や同意書を使って、どのような情報をどのように使うかを明示し、相手が十分に理解した上で同意を得ることが重要です。 また、特に注意が必要なのは、障害に関する情報等の「要配慮個人情報」です。要配慮個人情報には、障害、病歴、思想信条等、特に配慮を必要とする内容が含まれており、不適切に扱うと重大な法的責任を問われる可能性があります。こうした情報は、必要最低限の範囲でのみ収集し、取得後の取り扱いには十分な注意を払う必要があります。個人情報を収集する際は、むやみに情報を集めるのではなく、相談対応の目的に直接関係する情報のみを取得することが基本です。 ---参考情報(P.88)--------------------------------------------------- ■同意書の例 画像:同意書 個人情報のお取り扱いについて 個人情報を以下のように取扱い保護いたします。 お読みいただき、同意していただいた上でご署名ください。 ●利用目的 ご記入いただいた個人情報は、以下の利用目的で取得させていただき、目的の範囲を超えて利用することはありません。 ・XXX(センター名)の相談対応のため ・機器の貸与等のため ・当センターのイベントのご案内や機器等の情報提供のため ・お客様情報に関してのご連絡 ・アンケート回答のご連絡 ●個人情報保護方針、個人情報の取扱いについては、当団体のHPでご確認ください。 https://XXXXX 署名: Column スマートフォンを触る前に!個人情報を守るコツ ●相談対応やスマートフォン教室を開く際に、参加者のスマートフォンを触る場面では、注意が必要です。スマートフォンには個人情報や重要なデータが多く含まれているため、他人が操作することで情報漏洩のリスクが高まります。例えば、連絡先やメッセージ、メール、アプリの設定等はすべて個人情報に関わります。そのため、スマートフォンを操作する前に、必ず参加者の同意を得ることが大切です。 ●また、個人情報にはアクセスしないよう十分に注意しましょう。ボランティアスタッフや指導者がスマートフォンを直接触る場合も、無断で個人情報を閲覧しないことが最も重要です。特に視覚障害者のスマートフォンを操作する場合は、スマートフォンの音声読み上げ機能(スマートフォンの「ボイスオーバー」等)を使い、何をしているかが相手にわかるように操作を進めることが大切です。 ●さらに、個人情報を守るためには、設定やアプリ操作に関するアドバイスを行う際にも、プライバシーを尊重する姿勢を持ち続けることが求められます。参加者にもスマートフォンのセキュリティ対策をしっかり伝え、個人情報の取り扱いに対する意識を高めてもらうことが重要です。 ---参考情報(P.89)------------------------------------------------- Bリーフレット 地域の中で、障害のある方がICTの力をより活かせるように、ICTサポートセンターのご案内(リーフレット)を作成しました。 リーフレットは、「コミュニケーション機器等のICTを使ってみたい方(障害のある方向け)」、「ご家族や支援者など、支援する立場の方(支援者向け)」の2種類をご用意しています。 関係団体や施設等での掲示・配布に加え、ICTサポートセンター内での配布や、相談時のご案内資料としてもご活用いただけます。 地域の皆さまにICTサポートセンターをより広く知っていただくきっかけとして、ぜひご利用ください。 障害のある方向け 画像:リーフレットのチラシ 掲載先:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26552.html ---参考情報(P.90)--------------------------------------------------- ご家族・支援者向け 画像:リーフレットのチラシ ---以上-----------------------------------------------------------------