令和7年度 厚生労働省 障害者等のICT機器利用支援事業 第1回 ICT利用支援会議 【テーマ: 地域の担い手と連携について】 * 日時 2025年7月10日(木)10:00-12:00 オンライン開催(Zoom) * テーマ詳細 テーマ:地域の担い手と連携について 発表者: ・ 一般社団法人 日本支援技術協会 理事 田代 洋章 様 ・ 東京都障害者IT地域支援センター アドバイザー 森川 英子 様 ・ 特定非営利活動法人 滋賀県社会就労事業振興センター 平岡 章博 様 ・ 特定非営利活動法人 滋賀県社会就労事業振興センター 赤松 望 様 オブザーバー: * 日本福祉大学 工学部 教授 渡辺 崇史 様 オブザーバー:(厚生労働省) * 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 室長補佐 吉元 信治 様 係長 小松 伸章 様 厚生労働事務官 坂上 修哉 様 * 内容 1. 開会挨拶 2. 事業概要の紹介 3. 運営の手引き・支援事例集説明 4. 事例共有 * 事例@「東京都障害者IT地域支援センターの取組みについて」 一般社団法人 日本支援技術協会 理事 田代 洋章 様 東京都障害者IT地域支援センター アドバイザー 森川 英子 様 * 事例A「滋賀県障害者ICT支援センターの取組みについて」  特定非営利活動法人 滋賀県社会就労事業振興センター 平岡 章博 様    特定非営利活動法人 滋賀県社会就労事業振興センター 赤松 望 様 5. 意見交換 6. 連絡事項・閉会挨拶 * 議事概要 1. 開会挨拶 ○事務局(北野)  開始5分前となりましたのでご案内いたします。  簡単な説明をさせていただきます。  WEB接続に不具合がある方はお知らせください。  音声はミュートでお願いいたします。  10時になりましたら、できましたら映像はONにしてお顔が分かるようにしていただきたくお願いいたします。  なお、資料は画面に映してご説明いたします。  参加時の表示名は、「センターや自治体名_苗字」としていただきたくお願いいたします。 本日は通訳者2名に入っていただいています。画面下に通訳ボタンがございます。日本手話を選択すると、手話通訳がうつるウインドウが表示されます。事前に連絡があった方には、ホストが設定いたします。グループワークで、例えばギャラリービューで見たい、手話通訳をピンでとめたいときに活用ください。それでは開始まで少々お待ちください。 ○事務局(北野)  これより、令和7年度厚生労働省 障害者等のICT機器利用支援事業「第1回ICT利用支援会議」を開催いたします。本日は、お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。  本日の会議は、「地域の担い手と連携について」をテーマとさせて頂いております。私、本日の司会進行を務めますNTTデータ経営研究所の北野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の資料を確認させて頂きます。事前にメールにてお送りいたしました資料をご確認ください。 00_第1回 ICT利用支援会議 プログラム 01_資料1_事業概要について 02_資料2_障害者ICTサポートセンター 運営の手引き・支援事例集 03_資料3_事例紹介@ 東京都障害者IT地域支援センターの取組 04_資料4_事例紹介A 滋賀県障害者ICT支援センターの取組  本日は、文字通訳と手話通訳を手配しております。事前に表示方のマニュアルを送付させて頂きましたが、簡単にご説明させていただきます。 文字通訳:チャットいたしましたURL(チャット投稿)をクリック頂きますと、別ブラウザより、文字通訳を閲覧頂くことが可能でございます。 手話通訳:本日お二方に、入っていただいています。ご希望の方は通訳ボタンがあります。事前にご連絡のあった方には、マルチピンの許可をいたしますので、グループワークで、ギャラリービューで大きく見たい方は、手話通訳のお二人をピン留めしていただきますと常時画面上に表示されるようになります。   また、出席確認及び意見交換のグループ分けの為に、Zoomの表示名は「ご所属(センター名または自治体名)+名前」として頂けますようお願いします。本日グループに分かれて意見交換を行うため、表示名にアルファベットを追記させていただきます。予めご了承ください。  なお、本日の会議の様子ですが、本事業の報告書作成のために、録画を撮らせていただきますので、ご了承くださいませ。  続きまして、本日のオブザーバーと登壇者をご紹介いたします。恐れ入りますが、ご紹介させていただいた後、一言ご挨拶いただけますでしょうか。日本福祉大学健康科学部福祉工学科教授渡辺 崇史(わたなべ たかし)様。 〇渡辺 皆さん、こんにちは。日本福祉大学の渡辺です。今、健康科学部と紹介がありましたが4月から工学部にかわっています。大学で活動しています。私は地元が名古屋ですが、名古屋でも地域で相談に乗らせていただいております。 ○事務局(北野)  一般社団法人 日本技術支援技術協会理事田代 洋章(たしろ ひろふみ)様。 ○日本支援技術協会(田代)  ご紹介いただきました田代です。今年度から東京都障害者IT地域支援センターの運営を担当しています。今日はよろしくお願いいたします。 ○事務局(北野)  東京都障害者IT地域支援センターアドバイザー森川 英子(もりかわ えいこ)様。   ○東京都障害者IT地域支援センター(森川)  東京都障害者IT地域支援センターの森川です。よろしくお願いいたします。日頃は、センターでICTの相談業務や講習の準備をしています。よろしくお願いします。 ○事務局(北野)  特定非営利活動法人滋賀県社会就労事業振興センター公益事業部 コーディネーター平岡 章博(ひらおか あきひろ)様。   ○滋賀県社会就労事業振興センター(平岡)  おはようございます。滋賀県障害者ICT支援センターの平岡です。このあと発表もさせていただきます。今日はよろしくお願いします。   ○事務局(北野)  また、本利用支援会議にはオブザーバーとして、厚生労働省様にもご参加いただいております。(厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部企画課 自立支援振興室 室長補佐 吉元 信治(よしもと しんじ)様。係長 小松 伸章(こまつ のぶあき)様、厚生労働事務官 坂上 修哉(さかうえ なおや)様。   〇厚生労働省(小松)  このたび、貴重なお時間をありがとうございます。私たちとしても障害者のICT機器については、全国でかなりの数がつくられていると思いますが、それをしっかり障害者に届けるにあたり、皆さんの力が重要です。ぜひ貴重なお時間としてください。   ○事務局(北野)  ありがとうございます。それではプログラムを進めてまいります。まずはじめに、本事業の概要について事務局から説明致します。 2. 事業概要の紹介 〇事務局(奈良) (掲載対象外) 3. 運営の手引き・支援事例集説明 〇事務局(保坂) (掲載対象外) 4. 事例共有 ○事務局(北野)  続きまして、事例共有に移ります。まず初めに、一般社団法人日本支援技術協会理事田代 洋章様、東京都障害者IT地域支援センターアドバイザー森川 英子様より、東京都障害者IT地域支援センターの取組みについてご紹介頂きます。田代様・森川様、よろしくお願い致します。   〇東京都障害者IT地域支援センター(森川)  東京都障害者IT地域支援センターの森川です。よろしくお願いします。私からはセンターの紹介と地域の連携についてお話します。  東京都障害者IT地域支援センターは、2004年設立、昨年で20年の節目を迎えました。この間、社会全体でオンライン授業やリモートワークが当たり前になりましたが、重度の障がいがあり外出が不便な方は、20年以上前から、パソコンを駆使し、リモートで仕事や学びに取り込んできたという歴史があります。  私たちは障害のある方の社会参加をデジタル技術で支援するのを目的に、現在、21年目の活動を続けています。その中、私たちはさまざまな障害や困りごとを正しく理解し、一人ひとりにあった支援機器や技術を提供してきました。そして、これらの取組をより効果的に進めるために、各団体や関係機関との連携が不可欠と感じています。  今年、7月1日、東京都障害者情報コミュニケーション条例が施行されました。この条例は障害の有無に関わらず誰もが安心して意思を伝え合い、理解しあえる社会の実現を目指しています。その実現に向けて、特に次の2点が求められています。  1つめ。障害の種類や程度に応じて、必要な配慮やコミュニケーション手段が異なることを理解すること。  2つめ。情報通信技術を活用し、その人にあった手段をより利用しやすくすること。  このような背景のもと、当センターでは、デジタル機器やスマートフォンアプリといった情報意思疎通機器の普及と啓発を主要な取り組みとしています。これこそが、条例が推進する具体的なコミュニケーション手段の提供と利用の促進に直結するものと考えます。  当センターは、こういう意思疎通機器の導入や活動を通して、障がい者が情報を取得したり、活用しやすくするバリアフリー化をしています。また、条例が掲げる共生社会の実現にむけ、具体的にツールや技術的支援を提供する重要な役割を果たすべく活動しています。  当センターの主な事業です。こちらの図は、厚生労働省のホームページに掲載されているICTサポートセンターの基本的役割を示した図表を参考に作成したものです。当センターの主な事業を、それぞれの役割に対応づけて整理しています。  当センターの主な事業を今回のテーマである、地域の担い手と連携に関しては、このICT利用相談と、支援者養成事業の2つの取組からお話します。それぞれの事業を通じて、どのように地域の支援力を高め、連携を深めるのかを紹介します。  事例1。相談者は60代で脳性まひを抱えています。福祉機器を使うほどではないものの、パソコン操作について、時折困ることがあるとのことでした。今回のご相談は、そうした場面で対応する窓口があるか、もしくは、相談先を教えてもらえるか、とのことでした。丁寧にお話を伺うと、相談者が求めていたのは、例えばメール画面のユーザーインターフェイスが変わった時、どこを押せば送信できるかという、ほんの少しの操作の疑問に対して、気軽に相談できる場所でした。さらにお伺いするうち、その背景は、一人ぐらし、身近に頼れる人がいないことへの不安や孤独感があることが見えてきました。  こちら側の対応です。いくつかの選択肢を提示し、ご本人に選んでいただきました。その結果、地域の社会福祉協議会につなぐことができました。相談者に住んでいる地域で対応可能と伝えました。本当は近くで気楽に聞けるような友達のような存在がいたらいいと思っていたと、喜んでおられました。こうした声にこたえるためにも、当センターや社会福祉協議会など、地域ボランティアの方々など、地域を支える資源等と連携を深めることの重要性を改めて実感した事例です。  事例2。先日、別の研修で、区市町村職員が来訪し、センター展示機器をじっくり見学し、展示されている支援機器を見られました。  じっくり一通り機器を見てまわる中で、先輩職員が後輩職員にとても丁寧に機器の説明をしていました。こんなに丁寧に教えてくださる先輩がいらっしゃるとは頼もしいとお声を掛けました。また、先輩職員の方には、「とてもお詳しい」と声をかけると「ここでたくさん教えていただきました」と、笑顔で答えられました。この方はセンターが開催している支援者養成講習会に積極的にご参加いただいているようです。  知識を身につけ、現場で後輩に伝える姿は、私たちがまさに目指している姿です。支援者養成講習会では、技術の習得だけでなく現場での課題やニーズへの対応、障害のある方の社会参加とICTの関わりについても理解を深めていただきます。  さらに、地域資源や関係機関との連携のあり方を考えるきっかけづくりも行っています。区市町村の方が機器の知識を深めることは、例えば給付の可否を判断する際にも、より的確な支援の決定に役立つと思います。  こうした視点を持つ職員の方こそが、私たちの地域での大切な担い手で、その育成や支援こそがセンターの重要な役割の一つと考えています。続きまして、当センターの企画室長、日本支援技術協会の田代よりお話しします。   〇日本支援技術協会(田代)  田代です。本日はよろしくお願いします。ここからはICTサポートセンター業務に関連する当協会の取組についてお話ししていきたいと思います。  当協会の設立目的は障害者や高齢者が高度な情報社会でも、より豊かで自立した生活が営めるよう、情報支援技術と人材育成を目的に設立されました。  今、現在どんな分野の人材育成に注力しているか。社会課題として大きな問題になっている、デジタルデバイドの解消についての分野です。  デジタルサービスにアクセスできないことが、デジタルデバイド、いわゆる情報格差を生み、教育の場面、就労場面、日常生活でも、取り残されている。特にICTの操作が苦手な人に発生しがちです。このあたりは、みなさんもご存知かと思います。  どんなことでも共通していますが、人はだれに出会うかにより、QOLは大きく変わります。それが現実だと思います。  デジタルデバイドの解消でも、それは同じかと思います。デジタルやICTに強い人に出会えるかどうか、障害、ITテクノロジーに理解のある人なら最高だと思います。  そういう知識を持った理解者を地域にドンと増やすこと、いろんな生活場面、家庭や学校、近所、病院、会社、お店などで、そのような人と出会えるようになれば、デジタルデバイドも解消すると考えました。  そこで、系統的に学べる仕組みとして、その学習成果を認定していくために、デジタル アクセシビリティ アドバイザー認定制度を作りました。認定されることで、その人の有用感があがり、誇りを持って地域で働けるきっかけになるのではないかと思いました。  事実、始めてから町内会のスマホ教室や地域で相談役を買って出ているという話もあります。一般民間企業で合理的配慮を提供する上で、スキルアップとして受験されることも増えてきました。  デジタルアクセシビリティアドバイザーは略称DAAと呼んでいます。このDAAに出会える確率を上げるために、日本国中で簡単に受験できるようにしました。  いま、全国約300のテストセンタ-の中から、都合の良い場所と日時を選び受験できるようになっています。そしてDAA合格者の希望者ですが、デジタル庁のデジタル推進員としてもデジタル大臣から任命されます。このあたりも特徴です。DAAの学習教材を揃えています。印刷書籍、電子書籍、動画教材、そして最近、eラーニングで可能な試験対策講座もやっています。  ここでDAA認定試験の結果を紹介します。これは受験直後に実施しているアンケート結果です。累計受験者数、認定者は523人。業種別では学生は19%、教育系が17%、IT企業関連が15%。特に最近はIT関連系の受験者が増えている、そういう傾向です。  アンケートの中で、受験前に知らなかったことは?という質問をしました。各OSの標準アクセシビリティについて新たに学習したことがうかがえる結果です。特にそのなかでAndroidについては知らないことが多かった傾向がみてとれます。  次のスライドをお願いします。受験学習前後でアクセシビリティの理解に、どんな変化があるかも聞いています。自由記述のアンケートなので、たくさん回答をいただいていますが、まとめると5つ位の傾向があります。  1つめは、知識・理解の深化と学習意欲の向上です。代表的コメントとしては、OS別のアクセシビリティ機能について幅広く理解が進んだというコメントが多かったです。  2つめは、アクセシビリティに対する認識の変化があったかどうかへの回答がありました。代表的なコメントは障害に対する社会的理解、環境と社会と個人特性の関係性、ICFのことですが、この理解が深まったというコメントです。  3つめは、現場での活用意欲と、社会貢献意識が出てきたというものです。例えば、自身の職場や、地域で支援できる人材として貢献したいと思うようになったとのコメントが多かったです。  4つめは、実用性の実感と応用意欲が出てきた。身近なデバイス、スマートフォン、タブレット、PCの活用方法を学んで実践に生かしたいというコメントがありました。  5つめは、課題意識と今後への希望についてです。知識の習得だけでなく、実際に体験することの重要性を強調する意見も多かったですし、アクセシビリティを学ぶ人材の裾野をひろげることが大事だということです。  このように、デジタルアクセシビリティアドバイザー認定制度は地域の担い手づくりそのものだと思っています。  当協会は東京都では、東京都障害者IT地域支援センターの運営者として支援者養成事業を行っています。デジタルアクセシビリティアドバイザー認定制度は、それを側面から支援者を拡大する、支援者の質を高める、支援者の活躍の場を増やすという意味で、ICTサポートセンターの事業に貢献できると考えています。そして、必要な人との出会いが増え、デジタルデバイドの解消に貢献できるのではないかと現在、注力して活動しています。私の話は以上です。ご清聴ありがとうございました。 ○事務局(北野)  田代様、森川様、ありがとうございました。  続きまして、特定非営利活動法人滋賀県社会就労事業振興センター公益事業部 コーディネーターの平岡 章博(ひらおか あきひろ)様より、滋賀県障害者ICT支援センターの取組みについてご紹介頂きます。平岡様、よろしくお願い致します。   〇滋賀県社会就労事業振興センター(平岡)  ただいまご紹介いただいた、ICT支援センターの平岡と隣は赤松です。今日はよろしくお願いします。  では、滋賀県ICT支援センター取組ということで、左の黄色いのが私、平岡で、右の赤色が赤松です。東京都さんの資料を拝見して、だいぶ、毛色が違いますが、楽しくいつも活動しているので、こんな感じですと紹介させていただきます。  今日は、ざっくり滋賀県のことやうちの法人のこと、取り組み内容、滋賀県独自の取組についても紹介します。せっかく全国の方に聞いていただいているので、最初に滋賀県とはどういうところか、簡単に説明します。  滋賀県は、関西で言うと、大阪と京都の上にある県で、大体人口が140万人くらいです。真ん中に琵琶湖という、滋賀県民の命という琵琶湖があり、底を中心に、東西南北に分かれているというところです。  私たちがいるのは、地図上のピンク色のピンの立っているところです。この南部、琵琶湖でいうと湖南と呼んでいますが、南部に人口や主要な施設があります。私たちが支援に行く中で、北に行くだけで、1時間半、西側に回り込むと2時間ぐらいで行けるところで活動しています。  滋賀県は、福祉の父と言われていた糸賀先生が活躍されていた地です。今も言われているか分からないが福祉先進県と言われていた。福祉を頑張っているイメージのある方もいらっしゃると思いますが、ICT支援はと言われると、「?」かなと思います。  あと今年の目玉として、昔の国体、名前が変わって国スポというのがありますが、今年、滋賀県で開催で、受け入れにてんやわんやしています。  ここから本題に入ります。法人について説明します。正式名称がNPO法人滋賀県社会就労事業振興センターという長い名前なので、振興センターと略して呼んでいただいています。  私たちは主に行政から委託を受け、障害のある方の「働く」を応援している法人です。具体的には、障害のある方の通う作業所さんで働かれている方に向け、工賃向上、そこで働いている方の工賃アップ、それに向けたアドバイザー、専門家派遣などです。また、障害のある当事者に介護の資格を取ってもらう、資格支援などもしています。  それら委託等いろいろ県や市から受けていて、その中の一つの事業として、ICT支援センターを運営しています。  ICT支援センターでやっていることは、ざっくりこのようなことをしています。県から当法人が委託を受けて、ICT支援センター運営事業、もう一つICTサロン、ICTボランティア養成派遣事業という3つをしています。  ICT支援センターに関しては、個別に相談いただいたものや、問い合わせいただいたものに、必要であれば訪問させていただいています。  滋賀県は広いので、一部視覚障害の方に関しては、視覚障害者センターというのが、滋賀県の北のほうにありますので、そこと連携しやらせてもらっています。そちらも頑張っておられて、当センターは、全障害に対応しています。  ICTサロンは、ICTボランティア、昔で言うパソコンボランティアです。ICTサロンという、パソコンやスマホのことを聞いたり、そこで教えてくれる人を養成したり、そういうサロンを作る事業です。これも、私たちがいるところだけでなく、滋賀県各地で7ヶ所くらいに散らばって、ICTサロンがたくさんあります。主に各ボランティア団体さんに行っていただいていますが、そちらに事業をお任せして、各サロンに対して、必要に応じて私たちはバックアップしています。  新しくボランティアになりたい人には、その方に向け、養成するための研修などをしています。ICT支援センターに関わる事業について、こんなこともしたということで、ここからは赤松が担当します。   〇滋賀県社会就労事業振興センター(赤松)  こんな事業も行いましたというところで、社会参加の側面を持った事業を紹介します。  先ほど平岡からも今年滋賀県で国スポ・障スポの開催があり、そこに向けてのバレーボールの観戦事業を昨年行いました。  今、スポーツ観戦するうえで、情報保障、視覚障害者が現地でスポーツ観戦するときの情報保障が確立されていない現状がありましたので、国スポ障スポに向け、一緒に楽しむ事業ということで、バレーボール観戦の2回配信を行いました。  当事者のスマートフォンとイヤホンは、ご自身のものを活用し、QRコードから簡単に見る仕組みを作りました。写真にもあるように、配信ブースにアナウンサーのような顔をした平岡が写っていますが、こんな感じで配信ブースと、モニターブースに私がいます。  次のスライドからは、少しケースをあげさせていただきます。ケースを2例ほど紹介します。  まず、個別支援をさせて頂く場合、多くのICT支援センターも同じ流れだと思います。  今回、未設置自治体の方も見られているので、簡単にご紹介します。このようなスライドの流れで、私たちは普段の支援を行っています。  まず問い合わせは、本人さんというより、どちらかというと家族や支援者さん、訪問関係の支援者さんや保健所などの行政からの問い合わせが多い印象です。  2の初回訪問、Bの機器選定は同時に行っています。ここでは、先ほどの手引きの紹介にもあったように、私たちでのアセスメントシートを作成しています。今、二人でICT支援担当をしていますので、私が一人で行くときもあれば、平岡一人で担当することもあります。なるべく統一した情報がとれて、統一したアセスメントができるように、アセスメントシートの活用も進めています。機器のセッティング必要な情報提供、その後の導入については、必要に応じて対応しています。  次から、具体的な事例を紹介します。まず難病の方の事例です。ALSの60代の男性。初めて訪問したときから発話が困難でした。コミュニケーションの取り方として、当時は透明の文字盤を使用し、意思疎通をしていました。  キーパーソンの奥様と、あとは訪問系のリハビリテーションの方と基本は意思疎通をします。  初めてお伺いしたときも、何か取って、と言われていましたが、何を取ったらいいかわからない状態が、10〜15分くらい続き、15分くらい経って、背中の湿布を取って欲しかったんだと分かりました。湿布、を伝えるところに15分くらいかかりました。  コミュニケーション機器の導入をしました。レジェンドの先生たちから学んだことをポイントにしています。入力装置の大切さを感じました。  3つポイントを書きました。まず身体のどの部分が一番動くのかが大事です。指先が1p動けば意思伝達装置が使えます。その人にあった入力装置が選べないと、どれもうまく使えません。これは2のタイミングよく押す、というところに繋がります。  基本は1、2、3のタイミングで押して4,5で離しましょうと伝え、そのように話したりします。動く、と実際に使えるというところで、違いがあります。タイミングよく押されているかも確認しています。  そこは、しっかりプロの方がいるので、スイッチの固定やポジショニングが適切か、PTさんやOTさん、セラピストさんと一緒に進める連携が必要だと感じています。  続いて視覚障害のある方のサポートをしています。視覚障害者、全盲の60代の男性です。PCトーカー、音声パソコンや視覚障害の方が読書をするプレクストークのヘビーユーザーで一日30冊読むような方です。いろんな希望を持たれています。OSやハード関連、PCトーカーやプレクストークの細かい関連のことや自分史も作成されていて、そこでchatGPTも使いたいと、さまざまなご希望を自宅で聞かせていただいています。  この方の支援のポイントは、OSのアップデートに関わり、警告文が出ると、PCトーカーでは一部読み上げ対応にしていないと、この方のサポートで知ったことがありました。  ICTボランティアさん、事業の中でも説明しましたが、その方だけでは対応できない高度な内容もあるので、そこも対応しています。  東京でも話されていましたが、日々、UIが変わるサイトは、「なんとか」と読み上げたら、下矢印キーを何度か押すと見たいところに行けます。といっても、日々変わるので、サポートしています。  今回、連携も会議のテーマにあがっていますので、支援者支援の取り組みも紹介します。  私たちは展示会の出展や講演、病院など、ケアマネさんの集まりに積極的に参加して講師をしたり展示の担当をしています。  下の部分も、渡辺先生に聞かせていただきましたが、支援者側が機器を知らないから支援できないというのをニーズがないと捉えないようにしたいと思っています。そのために、実際の操作方法も体験してもらいます。  日本全国で頑張って取り組みをしている自治体やセンターがあるので、その方と積極的に出会いたいというのが、滋賀県の大きな特徴と思っています。今年度もたくさんの皆さんと出会えることを楽しみにしています。次からは平岡に戻します。   〇滋賀県社会就労事業振興センター(平岡)  ではここからは、滋賀県独自の取り組み、デジ滋賀、これはデジタル滋賀の略です。私たちはこうやってお話ししていますが、すごいことはなく、たくさんの方に教えていただき、結果、たまたまここでしゃべっているだけです。  なぜかというと、滋賀県はどちらかというと田舎なので、IT技術が進んでいるわけでもないし、専門家がいるわけでもない。できることはみんなの知識を持ち寄ることだと思っています。というところで、みんなで補い合う、デジ滋賀という団体を作りました。  この団体は滋賀県の障害のある方やお子さん等のITの支援技術を高めるための任意団体です。特にコミュニケーション支援が中心です。できた当初、今から4,5年前だが、そのときは視線入力が出てきて、「視線入力すごいらしい」から始まった団体です。  実際のメンバーとしては保険行政の方、医療従事者、リハ職、福祉用具専門相談員、ICTサポートセンター、メーカー、当事者や家族など… に入っていただいています。メーカーさんや当事者、ご家族にも大阪、広島、沖縄など他府県からの参加者もいることが示されています。合い言葉として「デジっていきましょー!」としています。  デジ滋賀は具体的に何をしているかについてです。月1回(第4金曜日)19:00〜20:30ごろ 活動しています。主に、オンラインで、自分たちの取組を配信したり、ハイブリッドでもしています。具体的にどんな支援をしているかなど、情報交換をしています。  何年か前に東京都に訪問見学もしました。業者を招いて、スイッチ選定に関する研修も実施しました。普段は連絡手段では、ラインのオープンチャットで匿名でしています。この内容は手引きにも書いたので、参考にしていただけたらと思います。  右下は、自作のスイッチ作成です。私は中学生以来のハンダ付けをしたりなど、デジタルといいながらアナログの人たちの集まりでした。デジ滋賀のいいところは、これも渡辺先生から教えていただいたことですが、滋賀県は全国的に見てもですが、制度を知っている人でIT機器に詳しい人はなかなかいない。制度だけとかアセスメントだけなど、抜き出すとそれぞれ詳しい方がいるので、それぞれを組み合わせてデジ滋賀として持ちつ持たれつの関係を作っています。  デジ滋賀のいいところは、聞ける場があるところ、知識の集合体というのがひとつだと思います。誰か、疑問を投げかけると、10分ぐらいで返ってきたり、すごいマニアックなことを聞いても、絶対ではありませんがその分野に詳しい人がいて、こうやればできると教えてくれたり、そういうオープンチャットになっています。一人でないということも、デジ滋賀で交流ができ、感じてもらえるのではないかと思います。先ほどのQRコードを読んでいただけば参加できるので、配布資料にもあるので、もしよければ、皆さんご参加ください。  今後の展望についてです。アクセシビリティを「アタリマエ」に。デジタルアクセシビリティアドバイザーにもなっていただいて、なかなか知られていない、と思います。僕達ができることとしては、こんなのがあるから使ってというより、いろんなところで、こんなことできると知ってもらい、何々さん、こういうことをしていたが、うちもできないかな、ということで、沢山の人に興味を持ってもらい、滋賀県内、いろんな地域で花を咲かせていければと思う。あとは支援をしていて思うのは、ものだけあってもだめで、支援者の育成や支援者支援。支援者さんの育成など、支援者支援はとても大事だと思います。使える人を作っていけば、サポートできる人を増やせば、僕達が長時間かけていかなくても、その地域でまわっていくと思う。就労という名前が法人名にあるので、就労に向けたサポートも今後はしていきたい。  難病や重度障害の方については、コミュニケーションのところが中心ではありますが、そのようなところに関して、どういう風にしたら働けるか、OriHimeカフェの見学などもさせていただいたことがあるので、こういう働き方があることを肌で感じて、IT支援をより皆さんが実現できるように、こういうことをしたいというかたちに近づけられるものにしたいと思います。私たちの発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。   ○事務局(北野)  平岡様、赤松様、ありがとうございます。 5. 意見交換 ○事務局(北野)  ありがとうございます。皆さま、ご講演ありがとうございました。  続きまして、意見交換に移ります。続いて意見交換に移ります。  今回のテーマは、「地域の担い手と連携について」です。テーマとして、ご議論ください。この時の担い手は、ボランティアや機器メーカー他なども含めてください。工夫例や課題についても。他のセンターともアドバイスがあれば共有ください。  このあとグループに分けます。AからD、4つに分けて、ご議論いただきます。11時55分ぐらいまで、意見交換ください。意見交換については、各グループで進行役を決めていただき、進めていただければと思います。事務局も各グループにいます。不明点があったらその都度お伝えください。ではグループに分けます。よろしくお願いします。 テーマ:「地域の担い手と連携について」 ※4グループに分かれて意見交換を実施 ※各グループからの主な意見は次の通り * 地域との連携とボランティア養成の両面で、ICTサポートセンターに共通する課題が見られた。連携面では、センターの存在が地域の関係機関に十分認知されておらず、とくに多様な障害に対応するセンターでは、調整や役割分担に課題があることが指摘された。ボランティア養成では、派遣先の減少や高齢化、新たな担い手の確保が課題とされた一方で、少人数でも質を重視した育成を行う取り組みもあり、地域ニーズに応じた柔軟な対応の重要性が示された。 * 各地のICTサポートセンターからは、ICT支援の担い手育成や他機関との連携体制構築に向けた取組や課題が共有された。連携については、当初はどのようにアプローチすべきか分からず手探りだったものの、まず声をかけてみることで協力関係が築かれていったという報告もあった。具体的には、ICTサポーターを養成し、相談会などで支援にあたってもらっている取組や、視覚障害者への対応として専門性の高い支援者を定期的に招く工夫などが紹介された。一方で、支援者の高齢化や若年層の担い手不足、継続的な活動が難しいといった課題も多く挙げられた。 さらに、支援対象が広域にわたる地域では、1拠点では対応が困難であるとの認識から、複数拠点体制の必要性が示された。既存のパソコンボランティアを活用している地域でも、スマートフォンなど新たな機器への対応が課題となっており、全体としては、ICTに対応できる人材の育成、視覚障害への専門的支援、そして広域対応可能な支援体制の構築が共通の課題として共有された。 * ボランティアによる自宅訪問支援については、信頼関係がある場合のみ個別訪問を行う、あるいは当事者同士の訪問にボランティアが伴うといった形で役割を調整しているという実践が共有され、プライバシーや安全性の観点から個人宅支援には慎重なケースも見られた。また、地域ごとの他団体との連携体制や役割分担については、滋賀県のようにあえて支援の重なりを持たせて連携を図るケースや、県と市でそれぞれセンターを設置し、担当センターの所管や対象が異なる事例も紹介された。 * ITサポーター養成については、養成講座を年に複数回実施し支援につなげているものの、講座が複数日に渡るため参加者確保が難しく、参加者の多くは高齢者が中心となり、若い世代への拡大が課題となることが示された。また、センターの専門性と連携体制について、各センターでは、肢体不自由の方への専門性が高い、視覚障害者の方への専門性が高いなど、それぞれ得意分野がある。一方、得意分野ではない障害のある方への対応がセンター内のみで完結することが困難な場合もあり、地域の関係機関と連携を図りながら対応する事例が複数紹介された。各センターの専門性を活かしつつ、他機関との連携体制により補完する取組みの重要性があげられた。 グループディスカッションについての主な意見は以上。 ○事務局(北野)  皆さま、活発な意見交換をいただき、まことにありがとうございました。最後に、渡辺先生から一言ご意見がありましたら。よろしくお願いいたします。   〇渡辺  本日は、活動発表を聞かせていただき、ありがとうございます。日頃から懇意にしているところですが、あらためてまとまった時間できちんと聞くことがなく、すごいな、というシンプルな感想です。 いくつか感想にもなりますが、多くのICTサポートセンターがあり、障害種別もばらばらですし、地域によっても活動の地域性があり違うのですが、大きく分けて4つの事業に分けられると思いました。  1つ目は、導入支援です。個人に対して、ICTが壁にならないように、導入支援をしていく。機器の体験や、機器を知るというところもあります。それがICTサポートセンターの仕事と思います。  導入したICTや機器をどんどん学ぶための学習支援、よく言われるのが、支援機器を自分のものとすると、それは自分の能力の一つとして考えられるので、ニーズはどんどん変わっていくはず。そうなると、継続的なニーズに対する支援について、継続支援をどうやって行っていくか、2つ目かなと思いました。  3つめは、ICTそのものではなく、ICTをツールとして使うこともICTサポートセンターの事業と思います。具体的には、ICTを使い、地域コミュニティに参加したり、地域コミュニティを作っていく。わかりやすいのが、何かの勉強会をみんなでやるとか、学習会をするときに、ICTがテーマだが、実際には地域のコミュニティを作っていくというのがあるかなと思いました。  4つ目が、一番大きな問題だと思いますが、いわゆるICFの考え方で、ICTを活用して個人の地域の生活をどう支えていき、教育や就労、社会参加などの活動を支援するかという点です。ICTそのものは、ICFからいうと、環境因子になりますから、地域でいろんな専門職が関わっていくことが重要かなと思いました。  大きく分けて今の4つくらいが、ICTサポートセンターに求められる事業かなと思いました。ただ、皆さんの話にあるように、1つのセンターで全部やるのではなく、連携をしていく、地域にアウトリーチしていくなど、地域に根差した顔の見える関係性をつくることがすごく大事だと思いました。ありがとうございました。 6. 連絡事項・閉会挨拶 ○事務局(北野)  渡辺先生、ありがとうございました。これで本日のプログラムは全て終了となります。 チャットにURLを流しました。アンケートのURLです。資料の中にもURLがありますので、時間のあるときに回答ください。  次回の第2回ICT利用支援会議は9月1日から5日で調整をしております。日程が決まり次第、ご連絡させていただきます。  本日は、長時間にわたりご参加いただきまして、ありがとうございます。田代様、森川様、平岡様、赤松様、そして渡辺先生ありがとうございました。  それでは、これにて「第1回ICT利用支援会議」を終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。 以上