資料3 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)」の策定に向けた意見 (要約) 1.第9条関係(図書館の利用に係る体制整備等) (1)周知・啓発 @公共図書館、学校図書館などすべての図書館においてアクセシブルな書籍の充実を図るべき。また読書バリアフリーやアクセシブルな書籍の普及啓発のため、各図書館においてアクセシブルな書籍について紹介するコーナーの設置を積極的に進めることが重要である。 A各自治体に対し、読書バリアフリー基本計画の策定を呼びかけるとともに、読書バリアフリー体制強化事業予算の趣旨を理解した事業実施と好事例の収集と公表を行うべきである。 B図書館におけるアクセシブルな書籍の充実を図るため、アクセシブルな書籍の収集方法や製作方法などのノウハウの共有が有効である。 C視覚障害者等と同様にディスレクシアや全身性障害等により読書に困難のある人も読書バリアフリーの対象であり、障害者サービスを受けられることについて、全国の自治体に通知するなど、普及啓発を行う必要がある。またこれらの読書に困難のある人が障害者手帳の提示などを条件とせず、利用申し込みの手続きが円滑に進められるような仕組みづくりについて検討する必要がある。 D「図書館の望ましい基準」に読書バリアフリーに関する記述を盛り込むべきである。 (2)支援 @公共図書館や学校図書館でのアクセシブル対応を進めるため、障害者サービス職員の配置やアクセシブルな書籍の製作等に要する予算の増額などを含めた支援の充実を図るべきである。 A読書バリアフリーの推進のため、閲覧コーナーのテーブルが車椅子の高さにあわせたものであることや検索機が車椅子で使いやすいこと等の施設整備の充実にも留意する必要がある。 B特別支援学校を含むすべての学校図書館がアクセシブルな書籍等の蔵書構成の充実が図られる方法を検討すべきである。 C児童生徒の障害の程度や種類に応じた書籍や電子書籍の容易入手への配慮が必要である。また、児童生徒が電子書籍にアクセスできるよう学校図書館にも高速データ通信の整備をすべきである。 D教育委員会や自治体のセキュリティ制限のため、学校等が公衆送信を介したアクセシブルな書籍のやり取りができない状況があるため改善について周知等を行う必要がある。 (3)職員研修 @図書館において障害者の読書について指導ができる司書等の育成及び配置が重要である。また、全国の図書館(学校図書館、公立図書館)における障害者サービス担当職員向けの研修は充実すべきであり、その際には、単なる方法論にとどまらず、図書館がアクセシブルな資料の製作機能を有することの重要性を強調する必要がある。また、学校図書館の運営への理解を促すためには校長を対象とした研修も必要である。 ? 2.第10条 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 (1)周知・啓発 @インターネットを利用したサービスについて、ディスレクシアが使えることについて周知を図る必要がある。 Aサピエ図書館の会員加入を増やす方策を検討する必要がある。公共図書館や学校図書館がサピエに加入できるよう支援を検討すべきである。 B国立国会図書館の「みなサーチ」はよい取組だが、認知が低いことが課題であり、当事者への積極的な周知が必要である。 (2)利便性の向上 @インターネットを利用したサービスについて、利用にあたり障害者手帳の提示などを条件とせず申し込みがしやすい手続きの仕組みについて検討するべきである。また、サピエ図書館と国立国会図書館のIDに互換性を持たせたり、マイナポータルやミライロを活用した障害者手帳の確認の効率化を進めたりするなど、利便性の向上について検討すべきである。 Aサピエ図書館と国立国会図書館のデータの管理方法、情報の一元化など、サピエ図書館と国立国会図書館との役割について整理する必要がある。 B大学が、アクセシブルな書籍を国立情報学研究所リポジトリに登録することについてのインセンティブを向上させる取組として、社会的認知を高めたり、交付金算定等に反映させたりすることを検討すべきである。 3.第11条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 (1)製作に関する支援 @特定書籍等の製作環境の整備には、障害種別ごとの提供媒体や利用方法についての対応が必要であり、出版社側ではなく障害者等に近いところでの細かなケアが必要であることから、障害当事者の期待に応えらえる窓口の整備が期待される。 A点字図書館や公立図書館においてアクセシブルな書籍の製作等に携わる人材を確保するため国や自治体による支援が必要である。音訳等の資料製作者の確保のための支援、資料製作者の専門技術の習得のための研修への支援、製作のための支援策を検討すべきである。 Bガイドラインが公表されるなど製作基準の作成等の質の向上の取組は進展しているが、ユーザーの多様なニーズに応えるためには多様なデータ形式の特定書籍等の製作を支援する仕組みも重要。 CABSCの稼働により出版者から製作者に対する電磁的記録等の提供促進のための環境整備は前進したが、特定書籍等の製作に資する段階には至っていないため、出版社がデータを国立国会図書館に視覚障害者等用のデータとして提供する仕組みを検討する必要がある。その際、ファイル形式の変換方法の検討や、著者の権利処理上の課題の整理、生成AI等の新技術を使った特定書籍等の製作支援を実現するための課題整理等が必要である。 D特別支援学校だけでなく普通学級に通う読み書きが困難な児童生徒に対しても利用しやすい電子書籍の製作ができるような基準の作成を希望する。 E学校図書や大学等で利用する学術書などのアクセシブルな電子書籍が不足しており、充実に向けて公共図書館等とのシステマティックな連携による充実が不可欠である。また、アクセシブルな書籍の製作依頼があってからの製作だけではなく、潜在的なニーズを考慮したアクセシブルな電子書籍の製作フローについても検討が必要である。 (2)提供に対する支援・仕組みづくり @ABSCが設立されるなど一定の進展はあるが、書籍にかかる電磁的記録の提供を促進するための環境整備を進めるため調査研究を早急に実施すべきである。また、調査研究を通じて得た成果について継続して調査する必要がある。さらに提供の仕組みについて周知を図ることも重要である。 A出版者から特定書籍等の製作者への電磁的記録の提供方法について、海外の先行事例等を参考としつつ、費用負担や流出防止のための管理手法の在り方について検討が必要である。 B出版者の理解を得るためには、特定電子書籍等の製作者ごとに品質の違いがでないようにする必要があり、そのための製作手順の共有化が必要である。第12条関係の製作過程で明確となる規格に関するノウハウを出版社が電子出版製作において獲得することで、特定電子書籍等の製作を行う者の作業負担が軽減できると思われる。 C補助教材や参考書等の児童・学生が必要とする一部書籍の電子書籍化が進んでいなかったり、テキストデータを持たない形式で流通されていたりする。アクセシブルな電子書籍等が存在しないが必要性の高いジャンルの書籍の電磁的記録の提供の推進については出版社等民間企業の自助努力だけでは難しいため国の支援策の検討が必要である。 D学校図書館や大学図書館、公立図書館が点訳等のためにテキストデータが入手できるよう速やかにモデル事業を実施し、案の前倒しを検討する。 4.第12条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 (1)製作者・出版者(データ提供者)に対する支援 @読書困難者の種別や書籍の特性により提供が求められるデータ形式が異なるため、多様なニーズを分析し先端的技術を活用しつつ、取り組む姿勢が重要である。 A大学等の高等教育機関で使用する教科書や中学校や高等学校で使用する学習参考書は民間出版物だが、出版社の経営規模が小さく市場も小さいため電子書籍化が遅れているため支援策を検討すべき。 B著作権者や出版者においてデータ提供に向けた意識醸成が見られてはいるものの、どんな本でもアクセシブルなデータが入手できるという段階はほど遠い状況である。ABSCに行政から支援がない状況では、実効的な活動に結び付けるのは困難である。 (2)販売における環境整備 @国内書籍販売サイトについて、書籍情報の検索時や購入時の案内等がアクセシブルなウェブサイト・ウェブコンテンツになるようにすべきである。 Aアクセシブルな電子書籍等の製作や流通に関わる規格の整備や環境整備に関わる施策や支援について検討が必要である。 B出版業界では紙の出版物の売り上げは減少しており、電子書籍もコミック分野以外では伸び悩んでいる。経産省の書店支援プロジェクト等の動きとも連携し、電子書籍の販売促進策を検討すべき。 C国が障害者用電子書店を立ち上げるなど、各出版社がアクセシブルな書籍を販売しやすい環境を整備する。データ販売促進の環境整備に必要な支援を行う。 D個人のプライバシーの問題もあり、書籍を購入した視覚障害者等と出版者またはABSCが直接販売サイト等を通じてやりとりする方法を検討すべきである。 E特に児童生徒の参考書や問題集、大学生や研究者のための専門書のテキストデータ販売が喫緊の課題であることを考慮し、数式や図式等がない人文科学系・社会科学系の学術文献図書について2025年度にはテキストデータ販売がなされるような環境を整備する。 F書籍の電子データの引換券は個人向けであり、図書館が書籍を購入した際は、提供してもらえないという課題がある。 Gアクセシブルな電子書籍等の販売実績に関する情報収集が必要。既に販売している各社のサービスを利用しやすくする仕組みづくりが必要。また、電子書籍等にアクセスするためのブラウザやアプリ等の開発へ国が支援・広報することで販売実績を増加する必要がある。 (3)規格について @電子書籍出版において国際規格(EPUB)に準拠する環境整備を進めるべき。また違法コピー対策についてアクセシビリティを阻害しない手法を用いた技術(LCP)について適切な調査と評価を進めていただきたい。将来的にはより検索性の高いEPUB(もしくはマルチメディアデイジー)形式の電子書籍が国内の規格の主流になるような検討を継続してほしい。EPUBの国内向けガイドラインを整理し、アクセシビリティのチェックが客観的に行われる環境整備に着手してほしい。 Aデータ販売を促進する上で誤解を生じている点などを整理し関係者に周知する。ワンソース・マルチユースしやすいテキストファイルの生成のための配慮点を整理し周知する。 B既にある優れたアクセシビリティ基準や諸外国の先進的な取組を参考にしつつ、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及促進が重要。民間の技術等をより積極的に活用した技術開発を進めるべき。 5.第13条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 (1)周知・啓発 @外国で製作されたアクセシブルな電子書籍などの入手にあたり課題整理や環境整備、好事例などについて具体的に検討する必要がある。 A国立国会図書館や全視情協等が国内外の連絡相談窓口の役割を担っているが、サービスの認知度は低い。特に外国からの電子書籍等のニーズが高い大学等への普及活動等の普及啓発が必要である。 B外国で製作された学術文献のアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手をすすめるため、文献の所在を視覚障害者等が検索しやすい環境を整備することが必要である。そのための相談窓口の入手や、利用者への周知も併せて検討するべきである。 (2)利用促進 @障害のある外国人のための多言語サービスとの効果的な連携について検討。英語を中心に有名な作品や資料価値の高い書籍などのラインナップを拡充し、学生等が親しみやすい原書の著作物に触れられる環境の整備。諸外国にどのようなバリアフリー図書があるか利用者が直接確認できるようにする。 A海外で製作されたコンテンツの利用について、視覚障害者等が公共図書館経由で国会図書館を活用し利用できる体制の拡充が必要である。 B特別支援学校の児童生徒に加えて、日本語以外の母語を持つ児童生徒が多様な言語で読書に親しめるような環境整備が求められる。 6.第14条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 (1)周知・啓発 @地方自治体における点字ディスプレイやデイジープレイヤーの日常生活用具としての給付状況について調査・公表するべきである。日常生活用具の対象者や基準額が自治体ごとに異なるため地域格差が生じており、実態と合っていないため、読書権が担保されていない。自治体が全国の動向を把握できるよう実態調査を実施するとともに、機器の給付の好事例を紹介する等の対応をお願いする。 A日常生活用具の対象になっている読書支援機器について、全国の自治体において、視覚障害者以外の読書困難者にも給付するようにできるか検討し、実効性のある策を講じる必要がある。 B自治体の障害福祉課等の窓口や教育機関がアクセシブルな電子書籍等について相談を受けた際に的確な情報提供が行えるよう職員への教育を推進すべき。 C公共図書館や学校図書館とICTサポートセンターの連携事例などの事例を、背景や地域社会政策の経緯も含めて、全国の関係者に周知する必要がある。 Dアクセシブルな電子書籍等を利用するためのブラウザ・アプリについての周知が不十分。学校への周知も不可欠。 (2)入手にかかる支援 @視覚障害者等が使用する専用機器は市場が限られており民間企業の努力のみでは採算が取れない。今後とも障害当事者が利用しやすい機器類が安定的に利用できるよう生産体制への資金面での支援や使用者の機器操作サポート支援体制の充実の方法等について検討する必要がある。 Aアクセシブルな電子書籍等を利用するために端末機器等が、障害者を特定したものではなく、実施に読書が困難な視覚障害者等に必要に応じて給付されるよう運用や判断に十分に留意する。また図書館等も給付対象に加えるべきである。 Bすべての児童生徒を含む読書困難者が、情報端末を利用して容易に電子書籍等を利用できる環境整備を進めるべきである。 Cアクセシブルな書籍の読書方法の動画を配信するなど、読書障害者が自分に合った読書媒体と出会える手段を広く提供する。 7.第15条関係 情報通信技術の習得支援 (1)ICTサポートについて @サピエ図書館とICTサポートセンターの運営に関する課題の抽出と支援が必要である。自治体間で格差が大きいと指摘されるICTサポートセンターの実態を把握し、人員や財政の強化や当事者の円滑な利用につなげる必要がある。 A読書困難者の電子書籍等の利用にはICT機器の操作やサピエ利用に係る支援が必要である。図書館職員だけでなく、行政職員全般への研修も必要である。 BICTサポートセンターや学校のICTサポーターの中には、ICT機器への理解はあっても、様々な障害についての知識や、障害種別によってどのようなICT機器の機能が役に立つのか理解が十分ではない人もいるため、研修が必要。 (2)技術の習得について @日常生活用具の物販やそれらの開発等に対する助成はあるが、一般事業者が障害のある顧客に対して行うアクセシブルな技術の活用に関する利用支援サービスに対する支援の仕組みが構築されていないため、整備が必要と考える。 Aすべての児童生徒に対して、ICT技術を活用した授業が効率よく実践できるよう、ICT支援員への技術指導の機会の充実を希望する。 8.第16条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 (1)開発支援 @国は、新たな技術開発、助成の内容等を公開し、視覚障害者等利用者の普及に関する支援と開発者への啓発を実施すべき。また、研究開発者のモチベーションを高めるため、支援に加え、開発成果の公表が必要である。 A視覚障害者等が利用しやすい端末機器について、国内メーカーの撤退により機器の選択肢が少なくなっている現状を踏まえ、研究開発や既存機器の維持について、国の積極的な働きかけが必要である。また、点字図書製作用の機器の供給も不安定化しており、公的な支援や、複数企業による点字図書製作用の機器開発の活性化等の方法も検討が必要。 B新規性が説明しやすい技術開発のみが目的化しないよう読書困難者の意見を聞きながら、具体的な社会問題を設定し、その解決をKPIに据えた先端技術研究の推進が必要である。 Cいつでもどこでも児童生徒が障害の程度や種類に応じて電子書籍が利用できるような情報端末の高機能化やアプリの改良を進める必要がある。 Dデイジー図書をスマートスピーカーで再生できるようにすべき。書籍内の挿絵や図表等の解説に生成AIが活用できるか調査研究を実施する。 Eアクセシブルな電子書籍の利用にあたり、容易に扱うことができる安価な機器や、使いやすいEPUBビューワーの開発を積極的に支援し、その機器や情報が容易に入手できるような支援が必要。また読書における点字や点字データの活用を進めるため、高性能な点字端末の開発が求められる。 FJIS規格(JISX23761)でのアクセシブル書籍等を増やす取り組みが不可欠。またアクセシブルな電子書籍等を利用するスマートフォンのためのブラウザ・アプリの開発支援が急務。アクセシブルではない電子書籍等をアクセシブルなものに変換できる支援アプリの開発や生成AI活用のための支援が必要。 9.第17条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 (1)ボランティアへの支援 @人材育成の対象として、図書館運営を受託する民間事業者等も含めるべき。アクセシブルな書籍等の製作を担っているボランティアの高齢化への対応として、出版者がそのノウハウを継承することも検討すべき。 A点訳・音訳ボランティアの養成と活動支援が必要。「身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準」では、点訳指導員と音声訳指導員の配置に不均衡があり、音訳が安定的ではないという実態がある。地域生活支援事業においても手話や要約筆記が必須事業であるにもかかわらず、点訳や朗読奉仕員は任意事業に留められていて不公平がある。 (2)研修等の充実 @公共図書館や学校図書館の現場では非正規職員等が増えており、人材育成とは真逆の傾向となっている。図書館単位での取組や成果が問われがちだが、国や自治体の責務として対応すべき。日図協の研修などにも国や自治体が支援し、研修機会を増やすとともに、専門職員の手当にも期待。 A司書等の資質向上に向けた研修において、読字に困難がある発達障害者の障害特性やニーズに触れる内容を位置づけるべき。司書等の養成課程に「読書バリアフリー論」の講義を必修とすべき。都道府県立図書館において「読書支援コーディネーター」を任命し、地域の障害者サービスの中核を担うとともに、市町村立図書館への啓蒙も推進する。 B既存の図書館での障害者サービスの一般的技術にとどまらず、各地域の課題解決をターゲットとした包括的な人材育成プログラムを開発し実践すべき。 C学校図書館においては長期的視点に立った教育活動や他の図書館と連携に従事するため正規職員の配置が望ましい。司書については、大学の司書課程において障害者サービス論等の履修ができるよう国は条件整備を進める(図書館における障害者サービスは高度・多様化しており、ICT技術の進展も含めて学習する機会を設ける必要がある。) D特別支援学校では障害の程度や種類に応じたきめ細やかな支援が必要であり、そのための電子書籍等の製作や障害の程度や種類に応じた支援ができる人材の育成を希望する。 E司書や司書教諭、学校司書、職員等の図書館に携わる人材について、ディスレクシアを含めた障害への理解を深める取組が重要。 F点訳者や音訳者、アクセシブルな電子データ製作者の人材養成は急務。公立図書館等への人員配置やインセンティブの提供が不可欠である。実態把握とともにボランティア依存しない体制整備を検討すべきである。 10.その他 @一般国民の理解が進むような積極的な情報発信を行う必要がある。 A障害者を特定して支援を行う従来の福祉的考え方から、何らかの理由で読書に困難のある人(社会的不利益のある人)が平等に読書・情報にアクセスできる社会にすることが分かるように追記する。 B次期計画の策定に当たっては、これまでの取組を通じて明らかとなった課題を明確化するとともに、できれば数値目標を作成することが望ましい。 C5年後の到達目標を設定した上で、行動計画を明示すべき。またその前倒しが期待される。また、視覚障害者等の対象者を拡大する準備を進めていく必要がある。 D9条から17条関係の施策の確実な実施のために、担当省庁や実施主体を明示し、責任の所在を明らかにすべき。 E読書バリアフリー基本計画を策定していない自治体に対しては、これまで以上に強い要請を行う必要がある。また読書バリアフリーの推進に当たっては教育委員会と障害福祉課の連携が必要である。 F特別支援学校に通う児童生徒の読書環境の改善は喫緊の課題である。電子書籍は障害の種類や程度に応じた対応が可能となるため、整備を進めるべき。 G著作権法37条3項の但し書きが障害者の「買う自由」「借りる権利」を実現する妨げになっていないか議論が必要。また第二期にあわせて、障害者の読書問題に詳しい有識者を関係者協議会に加えるべき。 Hアクセシブルな書籍等の製作に取り組む図書館はかなり多いため、「一部の図書館」という記載を修正してもらいたい。 I「点字図書館」「視覚障害者等」という文言は、直接的な該当者以外の利用者にとって利用におけるハードルとなることから文言の変更を検討すべき。 ? 参考:関係条文 (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等) 第九条 国及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも連携して、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、点字図書館について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化) 第十条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。 一 点字図書館等から著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第二項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援 二 視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、公立図書館等、点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化 (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援) 第十一条 国及び地方公共団体は、著作権法第三十七条第一項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため、製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、特定書籍及び特定電子書籍等の効率的な製作を促進するため、出版を行う者(次条及び第十八条において「出版者」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等) 第十二条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と出版者との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備) 第十三条 国は、視覚障害者等が、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう、その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとする。 (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。 (情報通信技術の習得支援) 第十五条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発の推進等) 第十六条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。 (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等、国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。