資料3−1 第2期「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」(素案)(第1期計画との新旧表) (元の原稿は新旧対応を表組で示されているため、ここでは文章化して補足する) (1ページ目) 第1期計画での大見出し「第1 はじめに」は、第2期計画素案では変更なし。 第1期計画での中見出し「(1)法律成立までの背景や経緯」は、第2期計画素案では「(1)法律成立までの背景やこれまでの経緯」としている。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 我が国の障害者による文化芸術活動については,近年,障害福祉分野と文化芸術分野双方から機運が高まっており,平成30(2018)年には,議員立法により「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)」(以下「障害者文化芸術推進法」という。)が成立した。 第2期計画素案では、当該段落を「削る」としている。 第1期計画の2段落目では、以下の通り。 我が国の障害者施策は,国際連合が定めた「国際障害者年(昭和56(1981)年)」を契機に,大きく推進され始め,平成7(1995)年に策定された「障害者プラン」においては,障害者の生活の質の向上を目指し,芸術・文化活動の振興も施策の一つとして掲げられ,その後の「障害者基本計画」においても文化芸術活動の振興が施策の一つとして位置づけられてきた。 第2期計画素案では、以下の通り。 我が国の障害者施策は,国際連合(以下「国連」という。)が定めた「国際障害者年(昭和 56(1981)年)」を契機に,大きく推進され始めた。 平成7(1995)年に策定された「障害者プラン」においては,障害者の生活の質の向上を目指し,芸術・文化活動の振興も施策の一つとして掲げられ,その後の「障害者基本法(昭和45年法律第84号)」に基づく「障害者基本計画」においても文化芸術活動の振興が施策の一つとして位置づけられた。 第1期計画の3段落目では、以下の通り。 平成13(2001)年には「国連・障害者の十年(昭和58(1983)年〜平成4(1992)年)」を記念し,国は,国連の精神である障害者の完全参加と平等の実現を図り,障害者の国際交流や芸術・文化活動の場,また,広く国民の参加する交流の場として「国際障害者交流センター」を大阪府に設置し,同センターを会場として「第1回全国障害者芸術・文化祭」を開催した。その後,厚生労働省は平成 24(2012)年に,全国障害者芸術・文化祭を,原則として「国民文化祭」と同一都道府県で開催することと定め,平成29(2017)年度の奈良大会からは,両文化祭の会期も同一となり一体的に開催されている。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (2ページ目) 第1期計画の4段落目では、以下の通り。 文化芸術施策においても,平成13(2001)年に成立した「文化芸術振興基本法(平成13年法律第148号)」で,文化芸術を創造し,享受することが人々の生まれながらの権利であることが規定され,同法を受けて平成 23(2011)年に制定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次基本方針)」では,文化芸術は子ども・若者や,高齢者,障害者,失業者,在留外国人等にも社会参加の機会をひらく社会的基盤となり得るものであり社会包摂の機能を持つということが明示された。その後,平成29(2017)年に文化芸術振興基本法を改正して制定された「文化芸術基本法」においては,年齢,障害の有無,経済的な状況又は居住する地域にかかわらず,文化芸術の機会を享受することができるような環境の整備を図ることが基本理念として示され,これを受けて平成30(2018)年に制定された「文化芸術推進基本計画(第1期)」においても,文化芸術による社会包摂の推進や障害者による文化芸術活動の推進環境の整備等が重要な施策として位置づけられたところである。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画の5段落目では、以下の通り。 平成20(2008)年に,文部科学省・厚生労働省は,「障害者アート推進のための懇談会」を共催し,障害者による文化芸術活動を福祉的観点からだけでなく文化芸術の観点からも検討する場を設け,美術分野における関係者の意見交換を行い,必要な取組について提言をまとめた。平成25(2013)年には,文化庁・厚生労働省は「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」を設置し,主に美術分野の活動を対象とした障害者の芸術活動に関する支援についての「中間とりまとめ」を報告した。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (3ページ目) 第1期計画の6段落目では、以下の通り。 平成25(2013)年の「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」招致決定を契機に,障害者による文化芸術活動への関心や注目がさらに高まり,平成27(2015)年には,文化庁・厚生労働省は,「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会」を設置し,関係者相互の情報共有やネットワークの構築を図るとともに,広く関係者による意見交換を定期的に行ってきた。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画の6段落目のあとに、第2期計画素案では新たに以下の文章が加えられている。 こうした障害福祉分野と文化芸術分野双方からの機運の高まりを受け,平成30(2018)年には議員立法により「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)」(以下「障害者文化芸術推進法」という。)が成立し,同法に基づき平成31(2019)年3月に第1期の「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)」が策定された。 第1期の基本計画では,障害者文化芸術推進法に規定する3つの基本理念である,@文化芸術の鑑賞・参加・創造等,障害者による文化芸術活動の幅広い促進,A障害者による芸術上価値の高い作品等の創造に対する支援の強化,B地域における障害者の作品等の発表,交流の促進による,心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現を基本的な視点として具体的な施策に取り組むこととし,鑑賞や創造の機会の拡大,作品等の発表の機会の確保,芸術上価値が高い作品の評価等,11の施策の方向性について定められた。 続いて第1期計画の7段落目では、以下の通り。 厚生労働省では,平成25(2013)年の中間とりまとめを受け,平成26(2014)年度から3年間にわたり,地域における障害者の芸術活動を支援する「障害者の芸術活動支援モデル事業」を実施し,平成29(2017)年度からは,その成果を全国に普及・展開する「障害者芸術文化活動普及支援事業」を実施している。また,文化庁では,障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示の実施や,映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド制作への支援等,障害者による文化芸術活動の充実に向けた支援に取り組んでいる。その他関係省庁においても,障害者による文化芸術活動の施策に取り組んできている。 第2期計画素案では、以下の通り。 厚生労働省では,平成25(2013)年の障害者の芸術活動に関する支援についての「中間とりまとめ」を受け,平成26(2014)年度から3年間にわたり,地域における障害者の芸術活動を支援する「障害者の芸術活動支援モデル事業」を実施し,平成29(2017)年度からは,その成果を全国に普及・展開する「障害者芸術文化活動普及支援事業」(以下「普及支援事業」という。)を実施している。 また,文化庁では,障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示の実施や,映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド制作への支援等を行うとともに,令和元(2019)年度以降,障害者等による文化芸術の鑑賞や創造機会の拡大,発表の機会の確保に係る先導的・試行的な取組への支援や,作品等の評価を向上する取組,支援人材の育成,地方公共団体の実施する取組への支援等,障害者による文化芸術活動の推進に向けた支援の充実に取り組んでいる。 その他関係省庁においても,文化施設のバリアフリー化や国際交流等をはじめとして障害者による文化芸術活動の施策に取り組んできている。 (4ページ目) 第1期計画の7段落目のあとに、第2期計画素案では新たに以下の文章が加えられている。 第1期の基本計画期間においては,障害者による文化芸術活動は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けたものの,令和3(2021)年夏の「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催も追い風となり,障害者を中心とした,文化芸術団体や文化施設,福祉団体や福祉施設,教育機関,企業等の民間事業者,非営利団体等の多様な主体の積極的な参画により各地域において様々な形で広がりを見せており各施策分野において鑑賞・創造・発表活動等に係る取組が着実に進みつつある。 なお令和4(2022)年8月には,障害者の権利に関する条約の締約国として,国連の障害者の権利に関する委員会による我が国政府報告の審査が実施され,同年9月に採択・公表された総括所見においては障害者文化芸術推進法の制定について肯定的な評価がなされている。 (5ページ目) 第1期計画での中見出し「(2)基本的計画の位置づけ」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者文化芸術推進法は,「障害者基本法(昭和45年法律第84号)」及び文化芸術基本法の基本的な理念にのっとり,文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とするものである。障害者文化芸術推進法第7条には,「文部科学大臣及び厚生労働大臣は,障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定め」る旨の規定があり,基本計画には基本的な方針,政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策,その他必要な事項を定めることとされている。 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者文化芸術推進法は,障害者基本法及び文化芸術基本法の基本的な理念にのっとり,文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とするものである。障害者文化芸術推進法第7条には,「文部科学大臣及び厚生労働大臣は,障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定め」る旨の規定があり,基本計画には基本的な方針,政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策,その他必要な事項を定めることとされている。 第1期計画の2段落目では、以下の通り。 障害者基本法に基づく「障害者基本計画(第4次)」では,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者を,必要な支援を受けながら,自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉え,障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援するとともに,障害者の活動を制限し,社会への参加を制約している社会的な障壁を除去するため,政府が取り組むべき障害者施策の基本的な方向を定めている。 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者基本法に基づく「障害者基本計画(第5次)」では,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者を,必要な支援を受けながら,自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉え,障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援するとともに,障害者の活動を制限し,社会への参加を制約している社会的な障壁を除去するため,政府が取り組むべき障害者施策の基本的な方向を定めている。 第1期計画の3段落目では、以下の通り。 文化芸術基本法では,「文化芸術を創造し,享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み,国民がその年齢,障害の有無,経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく」文化芸術の機会を享受することが基本理念としてうたわれており,文化芸術推進基本計画(第1期)では,全ての国民があらゆる地域で容易に文化芸術活動に触れられ,表現活動が活発に行われるような環境を整備することが方針として示されている。 第2期計画素案では、以下の通り。 文化芸術基本法では,「文化芸術を創造し,享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み,国民がその年齢,障害の有無,経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく」文化芸術の機会を享受することが基本理念としてうたわれており,文化芸術推進基本計画(第1期)では,全ての国民があらゆる地域で容易に文化芸術活動に触れられ,表現活動が活発に行われるような環境を整備することが方針として示された。 (6ページ目) 第1期計画の4段落目では、以下の通り。 基本計画においては,障害者基本計画及び文化芸術基本計画における基本理念や方針を踏まえ作成する必要がある。また,基本計画の実現に向けた取組を進めることは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)」の趣旨にも適うものである。 第2期計画素案では、以下の通り。 基本計画は,障害者基本計画及び文化芸術基本計画における基本理念や方針を踏まえ作成するものである。また,基本計画の実現に向けた取組を進めることは,令和3(2021)年の改正により事業者に対する合理的配慮の提供を義務付けることとされた「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)」や,令和4(2022)年に制定された「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号)」の趣旨にも適うものである。 第1期計画の5段落目では、以下の通り。 なお,基本計画における「障害者」とは,障害者文化芸術推進法の規定に基づき,障害者基本法第2条第1号で定める身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (7ページ目) 第1期計画での中見出し「(3)障害者による文化芸術活動の推進に当たっての意義と課題」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目から3段落目について、第1期計画では、以下の通り。 文化芸術は,新たな価値を社会に生み出すとともに,多様性を尊重し他者との相互理解を進める力を持っている。 障害者が生み出す文化芸術活動には,作品や成果物にとどまらず,表現や創造の過程に魅力があるもの,既存の文化芸術に対して新たな価値観を投げかけるものも多く存在する。また,視覚障害者による美術鑑賞など,従来の参加方法や既存の芸術理解を揺さぶる多様な在り方を示唆するものもある。障害者による文化芸術活動は,それまで見えづらかった障害者の個性と能力に気づかせるだけでなく,障害者を新たな価値提案をする主役として位置づけ,障害の有無にかかわらない対等な関係を築く機会を提供する。 また,障害者のアイデンティティ形成,自己肯定感の向上や,自己表現及びコミュニケーション能力の拡大に大きな成果をもたらすと同時に,障害者を取り巻く家族や支援者の考え方を前向きにするなど,障害者本人だけでなく,周りの人々の人生や生活を幸福にするとともに,地域における多様な人々をつなぐことにより,共生社会の実現に寄与するといった報告もされている。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画の3段落目のあとに、第2期計画素案では新たに以下の文章が加えられている。 こうした文化芸術の持つ多様な人々をつなぐ力は,一人一人の多様な幸せであり,社会全体の幸せでもあるウェルビーイング(Well-being)の理念の実現にも資するもの(脚注2)であり,障害者の文化芸術活動の推進は重要な意義を持つ。 第2期計画素案では、以下の脚注を加える。 2 「文化に関する世論調査(令和3年度調査)」では,ウェルビーイングと文化芸術活動との間に一定の関係があることが示唆されている。 続いて第1期計画の4段落目では、以下の通り。 一方で,障害者による文化芸術活動においては,活動の際に生じる制限や障壁,文化・福祉・教育等関連分野の縦割り,障害者本人に十分な支援や情報が届かない,本人の意思が尊重されない,などの様々な課題もある。現状では,このような実態について全国的に把握し,課題や改善策を明らかにするための基礎調査も十分であるとはいえない。また,障害者による文化芸術活動を推進することは,ともすれば「障害者の文化芸術」という分類・枠組みがあるという印象を強め,その他の文化芸術活動との分断を生じさせるのではないかとの懸念があることにも留意する必要がある。 第2期計画素案では、以下の通り。 一方で,文化施設におけるバリアフリー化が進むなど,第1期の基本計画期間において障害者による文化芸術活動は着実に進んでいるものの,障害者が文化芸術を創造し享受するためには,依然として活動の際に生じる制限や障壁,文化・福祉・教育等関連分野の縦割り,障害者本人に十分な支援や情報が届かない,本人の意思が尊重されない,などの様々な課題もある。また,障害者による文化芸術活動を推進することは,ともすれば「障害者の文化芸術」という分類・枠組みがあるという印象を強め,その他の文化芸術活動との分断を生じさせるのではないかとの懸念があることにも留意する必要がある。 (8ページ目) 第1期計画の5段落目では、以下の通り。 本来,文化芸術活動においては,障害の有無に関わりなく,誰もが対等に享受・創造する権利をもっている。しかし,現状では障壁や制限,それによる負担も生じているため,これらを解消するための具体的な対応が必要となっている。障害者による文化芸術活動の推進は,現在生じている文化芸術活動への参加や創造における物理的・心理的障壁を取り除き,誰もが多様な選択肢を持ち得る社会を構築するためのものであり,文化芸術活動全般の推進や向上に貢献し,我が国に新しい価値の提案をもたらすと同時に,共生社会の実現に寄与するものである。 第2期計画素案では、以下の通り。 本来,文化芸術活動においては,障害の有無にかかわりなく,誰もが対等に享受・創造する権利をもっている。しかし,現状では障壁や制限,それによる負担も生じているため,これらを解消するための具体的な対応が必要となっている。障害者による文化芸術活動の推進は,現在生じている文化芸術活動への参加や創造における物理的・心理的障壁を取り除き,誰もが多様な選択肢を持ち得る社会を構築するためのものであり,文化芸術活動全般の推進や向上に貢献し,我が国に新しい価値の提案をもたらすと同時に,共生社会の実現に寄与するものである。 第1期計画での大見出し「第2 基本的な方針」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 本基本計画においては,障害者文化芸術推進法の定める3つの基本理念を基本的な視点とし,具体的な施策に取り組むこととする。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での小見出し「視点1)障害者による文化芸術活動の幅広い促進」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目から2段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害の種別や特性の違いに関わらず,いかなる障害者でも,自宅学校,福祉施設,文化施設,民間の教室等,地域の様々な場で,幼少期から生涯にわたり,美術,音楽,演劇,舞踊など,多様な文化芸術活動に,全国津々浦々で参加できることが重要である。 そのためにも,より多くの障害者が鑑賞,創造,発表等の多様な文化芸術活動に参加できるよう,芸術家を目指す人から日常の楽しみとして行う人まで,幅広い障害者のニーズや多様な特性に応じた環境整備が必要である。また,障害者による文化芸術活動を幅広く促進することは,全ての国民の文化芸術活動の推進につながるものである。 第2期計画素案では、以下の通り。 障害の種別や特性の違いにかかわらず,いかなる障害者でも,自宅,学校,福祉施設,文化施設,民間の教室等,地域の様々な場で,幼少期から生涯にわたり,美術,音楽,演劇,舞踊など,多様な文化芸術活動に,全国津々浦々で参加できることが重要である。 そのためにも,より多くの障害者が鑑賞,創造,発表等の多様な文化芸術活動に参加できるよう,芸術家を目指す人から日常の楽しみとして行う人まで,幅広い障害者のニーズや多様な特性に応じた環境整備が必要である。また,障害者による文化芸術活動を幅広く促進することは,全ての国民の文化芸術活動の推進につながるものである。 (9ページ目) 第1期計画での小見出し「視点2)障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援の強化」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目から2段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動の中には,人々が本来有する創造性が発揮され,様々な場面で高い評価を受けるものや,国内外への幅広い発信力をもつものなどもある。このような文化芸術活動は,障害者の個性を活かし自己肯定感を高め,社会参加を促すことからも,創造活動に対する支援は重要な方向性である。 また,文化芸術には多様な価値があり,芸術上の価値においても,時を超えて変わらないものもあれば,時代とともに変化し続けるものもあることに留意が必要である。障害者による文化芸術活動には,作品や成果物にとどまらず,表現や創造の過程に魅力があるものや文化芸術に対して新たな価値観を投げかけるものも多く存在し,既存のジャンルに収まらない,新たな文化創造に寄与する作品や活動も多く生まれている。このため,障害者による文化芸術を論じていく際には,このような文化芸術が有する本質的価値,社会的・経済的価値といった文化芸術推進基本計画で示されている多様な価値を幅広く考慮し,その評価のあり方を固定せずに議論を続けていくことが必要である。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (10ページ目) 第1期計画での脚注は以下の通り。 2 文化芸術は多様な価値を有しており,価値の尺度も様々であることから,「芸術上価値が高い」という表現により,ある特定の価値や評価軸を前提としてしまわないよう,留意が必要である。 3 文化芸術基本計画(第1期)において,文化芸術は以下のような本質的及び社会的・経済的価値を有しているとされている。 (本質的価値) ・文化芸術は,豊かな人間性を涵養し,創造力と感性を育む等,人間が人間らしく生きるための糧となるものであること。 ・文化芸術は,国際化が進展する中にあって,個人の自己認識の基点となり,文化的な伝統を尊重する心を育てるものであること。 (社会的・経済的価値) ・文化芸術は,他者と共感し合う心を通じて意思疎通を密なものとし,人間相互の理解を促進する等,個々人が共に生きる地域社会の基盤を形成するものであること。 ・文化芸術は,新たな需要や高い付加価値を生み出し,質の高い経済活動を実現するものであること。 ・文化芸術は,科学技術の発展と情報化の進展が目覚ましい現代社会において,人間尊重の価値観に基づく人類の真の発展に貢献するものであること。 ・文化芸術は,文化の多様性を維持し,世界平和の礎となるものであること。 第2期計画素案では、既述の脚注の追加により、脚注番号が繰り上がっている。 第1期計画での小見出し「視点3)地域における,障害者の作品等の発表,交流の促進による,心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動は,地域の様々な領域で取り組まれている。同時に,障害者本人のみならず,地域の学校,福祉施設,文化施設,文化芸術団体,行政など様々な主体が関わる活動であり,これらの多様な主体が円滑に活動できる環境や関係者の連携体制を地域に整備することが重要である。この連携によって,新たな活力が地域に生まれると同時に,地域における障害への理解が進み,誰もがお互いを尊重し合う豊かな地域社会の基盤が生まれる。それぞれの地域で等しく,このような支援基盤を整えると同時に,広域的な連携やネットワークの構築も必要である。また,国民一人一人も,地域社会の一員として関わっていく役割を担っている。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (11ページ目) 第1期計画の「第2 基本的な方針」のあとに、第2期計画素案では新たに「第3 第2期の基本計画期間において目指す姿」として、以下の文章が加えられている。 第2期の基本計画期間においては,第1期における取組の成果や課題等を踏まえつつ,引き続き共生社会の実現に向け,障害の有無にかかわらず,誰もが地域の中で日常的かつ継続的に文化芸術活動の豊かさを享受する可能性を広げ,持続させることを目指して施策を推進することが必要である。また,「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」を契機とした,「日本博」「beyond2020プログラム」等の文化プログラムを通じた社会包摂に資する文化芸術活動の広がりや文化事業・活動へのバリアフリー対応等のアクセシビリティの向上といった成果をレガシーとして受け継ぐとともに,令和7(2025年に大阪・関西で開催される「2025年日本国際博覧会」(以下「大阪・関西万博」という。)やその後の更なる発展も見通して取組を進めていくことが重要となる。 このため,第2期の基本計画においては,「第2基本的な方針」を踏まえ,合理的配慮の実現に向けた障害特性に配慮した情報保障や環境整備に留意しつつ,障害者による文化芸術活動の裾野を広げ障害者による文化芸術活動の実践の場となる地域における基盤づくりを進める観点から,計画期間における取組を進めるに当たり念頭に置くべき目標を次のとおり示すこととする。 更に,目標ごとに具体的な進捗状況を把握するための指標を精選して設定する。その際,障害者の文化芸術活動がもたらす社会の変化にも着目しながら,個々の指標の内容を達成すること自体が目的ではないことや,定量的のみならず定性的な進捗状況も含めて状況全体から判断することが重要であることに留意して進める必要がある。 (12ページ目) 目標1) 障害者による幅広い文化芸術活動の更なる促進や展開 障害者の文化芸術活動は,障害者を中心とした,文化芸術団体や文化施設,福祉団体や福祉施設,教育機関,企業等の民間事業者,非営利団体等の多様な主体の参画を得て横断的に進められており,障害者のアート作品や演劇,ダンスなどの芸術活動についての鑑賞や参加,報道等を通じて,社会において一定の認知が得られつつある(脚注5)。 一方で,第1期の基本計画期間の後半においては,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け,文化芸術を鑑賞したことがある障害者の割合は減少している。また,鑑賞以外の活動を行っている障害者の割合も依然として低い活動状況(脚注6)にとどまっている。 これらを踏まえ,障害者による文化芸術活動の裾野を更に広げるとともに,障害者が活動しやすい環境づくりを進めることにより新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受ける以前の活動状況への回復を図るととともに,更なる向上を目指す。 (進捗を把握するための指標) ・文化芸術を鑑賞した障害者の割合 ・鑑賞以外の文化芸術活動を行った障害者の割合 ・活動しやすい環境づくりが進んでいると考える障害者の割合 (13ページ目) 目標2)文化施設及び福祉施設等をはじめとした関係団体・機関等の連携等による障害者が文化芸術に親しみ参加する機会等の充実 文化施設や福祉施設,障害者等において,障害者による文化芸術活動に取り組む意義についての理解は広がっているものの,障害者文化芸術推進法及び基本計画の内容についての認知・理解は必ずしも十分とはいえず,地域における取組の着実な推進を図る観点からも,引き続き周知に取り組んでいくことが必要である。 文化施設は,障害者を対象とする鑑賞・創造・発表等に係る取組を実施する意義は認識しつつも,人材確保やノウハウの共有等に課題を抱えている。文化施設がこうした課題を単独で解決することは難しいことから,まずは施設ごとの事情を踏まえて可能なことから取組を進めつつ,支援を必要とする障害者と文化施設とをつなぐ中間支援団体や障害者による文化芸術活動の普及支援を担う障害者芸術文化活動支援センター(以下「支援センター」という。)も含めた関係団体・機関等との連携を図りながら取り組んでいくことが重要である。また,劇場・音楽堂において貸館事業を行う際には,公演を行う文化芸術団体とも相互の役割を踏まえて知見を収集・蓄積しつつ,連携して取組を進めることが重要となる。 (14ページ目) また,文化芸術活動を行う福祉施設においても,鑑賞・創造・発表等に係る取組が進みつつある一方で,人材の育成やノウハウの共有等の課題を抱えており,地域における関係団体・機関等や,他の福祉施設や文化施設等との連携を図りながら取り組んでいくことが重要である。 これらの連携においては,障害者による文化芸術活動の推進を広く捉え,共生社会の実現という枠組みで取組が行われることも期待される。 (進捗を把握するための指標) ・文化施設及び福祉施設,障害者における障害者文化芸術推進法及び基本計画の認知状況 ・文化施設における障害者の文化芸術活動に関する取組状況(鑑賞・創造・発表・交流・連携 ・文化芸術活動を行う福祉施設の取組状況(鑑賞・創造・発表・販売等・連携) 目標3)地域における障害者による文化芸術活動の推進体制の構築 地方公共団体においては,地方行政の中に障害者の文化芸術活動の推進を明確に位置付けて地域社会から障害者の文化芸術活動を捉え直し,文化や福祉等の分野を越えて横断的に取り組むことが重要となる。このため,地方公共団体において,障害者や地域における関係団体・機関等の意見を踏まえながら計画等を策定し,地域の資源を活用した取組を進めていくことが期待される。国としても,こうした計画等の策定に必要となる情報の提供等を実施するとともに,地方公共団体と連携しながら,基本計画に定める取組を進めていくことが重要である。 (15ページ目) また,支援センターの設置は全国的に進んでいるが,身近な地域で支援を必要とする人が質の高い支援を受けられるようにするためには,更なる設置の促進や全国の支援センターの横のつながりの強化,支援センターと行政の文化担当部署や福祉担当部署,中間支援団体等との連携も重要である。更に,支援センターによる社会全体で障害者の文化芸術活動を支えるための国民への普及啓発活動や,普及支援事業における連携事務局と文化芸術に関する統括団体等との連携も期待される。 (進捗を把握するための指標) ・地方公共団体における障害者文化芸術推進法に基づく計画等の策定状況 ・支援センターの設置状況 第1期計画での大見出し「第3 施策の方向性」は、第2期計画素案では「第4 施策の方向性」としている。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 基本計画は,障害者基本計画及び文化芸術推進基本計画における計画期間を踏まえ,平成31(2019)年度〜34(2022)年度までに下記の施策に取り組み,障害者による文化芸術活動の推進を図るものである。 第2期計画素案では、以下の通り。 第2期の基本計画は,障害者基本計画及び文化芸術推進基本計画における計画期間を踏まえ,令和5(2023)年度から令和9(2027)年度までに下記の施策に取り組み,障害者による文化芸術活動の推進を図るものである。 なお,各施策に個別に取り組むのではなく施策間の連携を取りながら総合的・複合的に推進していくことが求められる。 (16ページ目) 第1期計画での中見出し「(1)鑑賞の機会の拡大」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 文化芸術の鑑賞は,本来,誰もが参加できるものであり,鑑賞の機会に当たって物理的・心理的な障壁が改善されれば,より多くの人が参加しやすくなることから,より一層の環境整備の充実が求められる。 第2期計画素案では、以下の通り。 文化芸術の鑑賞は,本来,誰もが参加できるものであり,鑑賞の機会に当たって物理的・心理的な障壁が改善されれば,より多くの人が参加しやすくなり,障害者にとっての鑑賞の質を高めることにもつながることから,より一層の環境整備の充実が求められる。また,障害の有無や年齢にかかわらず,最初に文化芸術に触れる際のハードルを低くしていくことが重要であり,子供たちが文化芸術を鑑賞する機会の拡大等に取り組むことは,障害者による文化芸術に触れる土壌づくりにもつながるものである。 第1期計画での2段落目については、以下の通り。 具体的には,文化施設等のハード面の整備のみならず,情報保障などの障害特性に応じた配慮やサービスの提供等の利用しやすい環境の整備に加え,適切な対応ができる人材の育成,施設間のノウハウの共有や,実演芸術分野における鑑賞サポート等が求められている。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案では、以下の通り。 具体的には,文化施設等のハード面の整備のみならず,情報保障などの障害特性に応じた配慮やサービスの提供等の利用しやすい環境の整備に加え,適切な対応ができる人材の育成,施設間のノウハウの共有や,心理的負担なく利用できる鑑賞サポート等が求められている。また,文化施設においては,支援センターや中間支援団体等と連携し,障害特性に応じたサービスの提供に関する助言を受ける他,障害者の意見を聴きながら準備・企画に取り組むことが期待される。 [略](※資料B参照) 第1期計画での中見出し「(2)創造の機会の拡大」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による創造活動は,学校や福祉施設にとどまらず,文化施設,社会教育施設等や民間のダンス教室,美術サークル,劇団など,多様な場において行われるものであり,それぞれの場において,環境や内容の充実が望まれる。近年,芸術活動において,作品はもとより,創造過程そのものに着目した表現など,既存の芸術ジャンルに収まらない多様性が見られる。このような活動の場やジャンルの多様性にも対応できる支援体制,創造活動の現場と障害者をつなぐ支援者やコーディネーター等の育成も求められている。 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者による創造活動は,学校や福祉施設にとどまらず,文化施設,社会教育施設等や民間のダンス教室,美術サークル,劇団など,多様な場において行われるものであり,それぞれの場において,環境や内容の充実が望まれる。近年,芸術活動において,作品はもとより,創造過程そのものに着目した表現など,既存の芸術ジャンルに収まらない多様性が見られる。このような活動の場やジャンルの多様性にも対応した,障害者本人の意思決定を大切にした創造活動等を推進できる支援体制,創作活動の現場を安全かつ適切にコーディネートする学芸員や劇場スタッフ創造活動の現場と障害者をつなぐ支援者やコーディネーター等の育成も求められている。 (17ページ目) 第1期計画での2段落目から3段落目については、以下の通り。 また,学校教育における創造の機会のより一層の充実とともに,希望する障害者が卒業後も創造活動を行うことができる場を創出・確保していくことが課題となっている。 多様な人々が創造活動に参加することで,文化芸術の新たな価値や優れた作品を生み出す契機となることや,人々の心のつながりや相互理解,多様性の受け入れなどにつながる可能性に鑑み,様々な主体が創造活動に参画できるような環境の醸成が期待される。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での中見出し「(3)作品等の発表の機会の確保」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 作品等の発表の場は,障害者やその支援者等の創造活動のモチベーションの向上につながり,また障害者が多様な関係者や地域社会等と交流する機会としても重要であるが,現在そうした発表の場が少ないことが課題となっている。中でも,音楽,演劇,舞踊などの実演芸術分野に関する発表の場が少ないことから,これらの分野での充実を図ることが必要である。 第2期計画素案では、以下の通り。 作品等の発表の場は,障害者やその支援者等の創造活動のモチベーションの向上につながり,また障害者が多様な関係者や地域社会等と交流する機会としても重要であるが,現在そうした発表の場が少ないことが課題となっている。中でも,音楽,演劇,舞踊などの実演芸術分野に関する発表の場が少ないことから,これらの分野での充実を図ることが必要である。文化施設や福祉施設等と支援センター等の様々な主体が連携し,地域における作品等の発表の機会を更に広げていくことも期待される。 (18ページ目) 第1期計画での2段落目については、以下の通り。 また,作品発表の目的は,芸術水準の向上や日頃の活動の成果発表など,様々である。それぞれの立場で発表の機会が増え,その機会が多様な人々の交流や相互理解につながっていくことが望ましい。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での中見出し「(4)芸術上価値が高い作品等の評価等」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動については,作品はもとより,創造過程に着目した表現など,既存の芸術ジャンルに収まらない活動も含まれる。それらの成果には,海外に発信できる芸術の創出や販売につながるもの,未来の文化芸術のあり方を創造するもの,活動に関わる人々の自己肯定感を育むもの等,多様な価値が含まれる。そのような価値が見い出され,成果が生まれるためには,多様な活動が排除されず,受け入れられていく必要がある。また,作品の評価に当たっては,その創造過程を切り離して評価を行うことができないものもあることや評価のものさしが人によって異なること等に留意すべきである。そのため,評価のあり方は文化芸術が有する多様な価値を考慮する必要がある。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動については,作品はもとより,創造過程に着目した表現や地域の多様な人々と協働する表現活動など,既存の芸術ジャンルに収まらない活動も含まれる。それらの成果には,海外に発信できる芸術の創出や販売につながるもの,未来の文化芸術のあり方を創造するもの,活動に関わる人々の自己肯定感を育むもの等,多様な価値が含まれる。そのような価値が見い出され,成果が生まれるためには,多様な活動が排除されず,受け入れられていく必要がある。また,作品の評価に当たっては,その創造過程を切り離して評価を行うことができないものもあることや評価のものさしが人によって異なること,既存の文化芸術の価値観では測れないものもあること等に留意すべきである。そのため,評価のあり方は文化芸術が有する多様な価値を考慮する必要がある。文化と福祉という領域を越えて,考え方の整理や言語化について多様な立場から対話や熟議を重ねながら,障害者による文化芸術活動全般や社会との関わりに関する批評や分析,調査研究の実施や研究成果の実践への還元といった取組を発展させていくことが期待される。 [略](※資料B参照) (19ページ目) 第1期計画での中見出し「(5)権利保護の推進」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 創造された作品等には,著作権(著作者人格権や著作隣接権を含む)といった知的財産権や所有権などの様々な権利が伴う。これらの諸権利についての認知度が低いため,普及啓発活動等を通じて,意識の向上等が図られる必要がある。 第2期計画素案では、以下の通り。 創造された作品等には,著作権(著作隣接権を含む)といった知的財産権や所有権などの様々な権利が伴う。これらの諸権利についての認知度が低いため,普及啓発活動等を通じて,意識の向上等を図り,文化芸術活動の現場での取組を促していく必要がある。 第1期計画での2段落目から4段落目については、以下の通り。 また,障害者が文化芸術活動を行う過程でも,様々な関係者が関わり作品の諸権利の帰属が不明確になりやすいため,これらの諸権利について,まずは本人の意思を尊重するとともに,福祉施設や周囲で支援に携わる者も認知かつ理解していくことが必要である。なお,自らの意思表示に困難を伴う障害者に関しては,特段の配慮が必要である。 また,必要に応じて成年後見制度等の知識や手続きに関し,専門家へ相談できる体制づくりや研修等を行うなど,環境整備を進めていくことも必要である。 なお,権利の保護により作品等の利活用が損なわれることがないよう,不断に現場のニーズをくみ上げ,必要な対応を行っていくことも望まれる。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 (20ページ目) 第1期計画での中見出し「(6)芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 文化芸術は,本質的価値,社会的・経済的価値などの多様な価値を有するものであり,様々な価値が社会において活かされることが望ましい。作品等の販売などにより,文化芸術活動が,市場を通じてその経済的価値を発揮する際には,障害の有無に関わらず,その対価は適切に還元されるよう配慮すべきである。 第2期計画素案では、以下の通り。 文化芸術は,本質的価値,社会的・経済的価値などの多様な価値を有するものであり,様々な価値が社会において活かされることが望ましい。障害者の文化芸術活動を多様な経済活動につなげ,文化芸術活動が,市場を通じてその経済的価値を発揮する際には,障害の有無にかかわらず,その対価は適切に還元されるよう配慮すべきである。なお,こうした活動は作品販売のほか地域のアートイベントや展覧会等で作品を作ったり,ワークショップを行うことで収入を得る場合や舞台作品への参加など,多岐にわたるものである。 第1期計画での2段落目については、以下の通り。 また,自らの意思の決定や表示が難しい障害者もいることから,販売や出演等における支援が必要であり,取引に関するノウハウの提供等を行う相談体制や中間支援の整備等も重要である。同時に,自立と社会参加の観点からも,文化芸術活動が障害者の生活支援や就労・雇用の選択肢の一つとして用意されることが望ましい。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での中見出し「(7)文化芸術活動を通じた交流の促進」は、第2期計画素案では変更なし。 (21ページ目) 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 文化芸術活動は,障害の有無に関わらず,多様な人々の出会いの場を創出し,お互いを知り理解し合う機会を提供する。また,特別支援学校,特別支援学級,福祉施設等への芸術家派遣や福祉施設同士の交流,文化施設と福祉施設の交流などにより,新たな発想,気づき,価値が創出されている。また,地域内での交流に加え,地域を越えた交流や国際交流などの広域の活動が障害者による文化芸術活動に大きな成果をもたらしている。一方で,障害者による文化芸術活動の交流においては,文化,福祉,教育等の各分野の連携が十分とはいえず,分野ごとの垣根を越えた交流を一層進める必要がある。 第2期計画素案では、上記の本文に続けて、以下の文章が追加されている。 特に,文化芸術活動を通じた交流の促進は,鑑賞,創造,発表,人材育成,関係者の連携協力等,他の施策との複合的な取組へ展開していくことが期待される。 第1期計画での中見出し「(8)相談体制の整備等」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者や障害者を支援する団体が文化芸術活動を始める,または,進めるに当たって,鑑賞や創造,発表等の支援や取組方法など,様々な疑問に対応できる地域の支援体制が整っていない現状がある。これらの現状に対応し,より多くの障害者が円滑に文化芸術活動に参加するために,全国各地に相談や支援体制の整備が必要である。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者や障害者を支援する団体が文化芸術活動を始める,または,進めるに当たって,鑑賞や創造,発表等の支援や取組方法など,様々な疑問に対応できる地域の支援体制が整っていない現状がある。また,障害者による文化芸術活動により一層取り組もうとする文化施設や文化芸術団体等からの相談も見込まれる。これらの現状に対応し,より多くの障害者が円滑に文化芸術活動に参加し,障害者による多様な文化芸術活動を推進するために,全国各地に相談や支援体制の整備が必要である。 [略](※資料B参照) (22ページ目) 第1期計画での中見出し「(9)人材の育成等」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動を理解し,鑑賞や創造,評価など様々な場面で,適切に支援することができる人材や地域におけるコーディネーターなど多様な人材の育成等が求められている。更に,障害者による文化芸術活動に関わる,文化,福祉,教育等の各分野における人材が,既に持っているそれぞれの専門知識に加え,他分野に関する知識や理解,経験を深め,障害者による文化芸術活動に関する専門性を高めると同時に,各分野をつなげる人材を育成することが重要である。 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動を理解し,鑑賞や創造,評価など様々な場面で,障害特性に応じて適切に支援することができる人材や地域におけるコーディネーターなど多様な人材の育成等が求められている。更に,障害者による文化芸術活動に関わる,文化,福祉,教育等の各分野における人材が,既に持っているそれぞれの専門知識に加え,他分野に関する知識や理解,経験を深め,障害者による文化芸術活動に関する専門性を高めると同時に,各分野をつなげて協働する人材を育成することが重要である。各施設や団体等において人材育成を進めるに当たっては,文化施設の全国組織である統括団体における研修等の取組や普及支援事業の取組と連携して進めていくことも考えられる。 第1期計画での2段落目については、以下の通り。 そのほか,専門家の活用や連携,大学等における人材育成等も視野に入れて進めていく必要がある。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での中見出し「(10)情報の収集等」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動に関する企画や取組,地域における支援等の情報が,障害者本人や活動を行う人のところへ十分に届いていないという現状がある。また,障害者による文化芸術活動の取組状況については,実態が十分に把握されているとは言い難い。よって,国内外における障害者による文化芸術活動に関する情報収集と発信を進める他,全国的な基礎調査や実態把握などを行い,情報の共有・活用を行うことが必要である。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動に関する企画や取組,地域における支援等の情報が,障害者本人や活動を行う人のところへ十分に届いていないという現状がある。そのため障害特性により文化芸術活動に必要な情報内容や伝達方法等が異なることに留意した情報発信を行う必要がある。特に地方公共団体においては,文化担当部署と福祉担当部署とが連携して文化芸術に係る情報の共有・発信を進めていくことも期待される。 (23ページ目) また,国内外における障害者による文化芸術活動に関する事例等に係る情報収集と発信を進める他,全国的な基礎調査や実態把握などを行い,情報を共有しながら意見交換や学び合いの機会を設けることで,障害者による文化芸術活動に関する専門知を育み,文化芸術の社会的価値等を示すことにつなげていくことが考えられる。 [略](※資料B参照) 第1期計画での中見出し「(11)関係者の連携協力」は、第2期計画素案では変更なし。 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動がより一層推進されるためには,障害者を中心に,支援者,地域住民,福祉団体,文化芸術団体,教育機関,行政等が連携し,ネットワークをつくりながら地域の支援体制を整えるとともに,各地域の活動をつないで,広域的な連携を図ることが重要である。 [略](※資料B参照) 第2期計画素案では、以下の通り。 障害者による文化芸術活動がより一層推進されるためには,障害者を中心に,支援者,地域住民,福祉団体,文化芸術団体,中間支援団体,教育機関,行政 ,企業,助成団体等が連携して相互理解を深め支え合うネットワークをつくりながら協働して課題の解決を図るとともに,障害者と文化芸術活動に取り組む様々な主体とのマッチングを含めた地域の支援体制を整えつつ,各地域の活動をつないだ広域的な連携を図ることが重要である。その際,文化分野と福祉分野をはじめ各専門分野におけるノウハウや技術を共有し,それぞれの専門的な言葉を翻訳することで,活動現場での協力関係を構築することが期待される。 [略](※資料B参照) 第1期計画での大見出し「第4 おわりに」は、第2期計画素案では「第5 おわりに」としている。 (24ページ目) 本文の1段落目について、第1期計画では、以下の通り。 基本計画は,文化芸術活動を通じて障害者の個性と能力が発揮され,社会参加が促進されることを目的とし,障害の有無にかかわらず,全ての国民が文化芸術を創造し又は享受する環境を整備すること,多様な人々がお互いを尊重し合いながら,文化芸術活動に関わる社会を構築することを目指している。 第2期計画素案で、当該段落の修正はない。 第1期計画での2段落目については、以下の通り。 文化芸術活動においては,障害の有無はかかわりないと捉えつつも,現状では障害があることにより文化芸術活動に困難が生じているため,基本計画では,これらにかかる課題を解消するための第一歩となる当面の目標を示した。今後,さらに実態把握について調査研究等を進め,より具体的な目標やその達成時期等について検討を行っていく。 第2期計画素案では、当該段落を「削る」としている。 第1期計画の1段落目のあとに、第2期計画素案では新たに以下の文章が加えられている。 第1期の基本計画期間においては,障害者文化芸術推進法や基本計画に基づく施策の総合的な推進により,「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」やそれに伴う文化プログラムのレガシーを受け継ぎながら,障害の有無にかかわらず文化芸術に触れ,地域あるいは日常の中でその豊かさを享受する活動が全国的に広がり,その活動基盤も形成されつつある。引き続き,2025年の大阪・関西万博やその後の更なる発展も見通して,こうした流れが継続するよう取り組んでいく必要がある。 また障害者本人や障害者の文化芸術活動に関わる多様な施設・団体・機関等において,改めて文化,福祉,教育等の枠組みを越えてつながる重要性が認識された。 様々な主体が相互に連携し,文化芸術を通して社会の課題と向き合い,地域の社会資源や文化資源を活用しながら取り組む中で,障害者の文化芸術の範囲は多様化しつつ広がりを見せ,時にはその領域を越えて他の分野に波及しながら,より良い社会を築くための新しい価値観を生み出し続けている。 (25ページ目) 今後,障害者の高齢化や障害の重度・重複化等の課題もある中で,障害の有無を越えて,地域や日常生活において文化芸術を楽しむことをどのように支えていくのか,改めて問われていくこととなる。共生社会の実現に向けて,文化芸術が社会の課題とどのように向き合うのかは,主要な課題の一つといえる。 第1期計画での3段落目については、以下の通り。 基本計画に基づき取組を推進していく際には,文化,福祉,教育等の分野を越えた協力が必要となるため,各省庁及び地方公共団体との連携や情報共有を継続し,民間や現場の関係者とも意見交換を行いながら,施策の実行及び検証を行うとともに,新たな課題や視点にも柔軟に対応することが必要である。なお,これらの施策を推進するに当たっては,必要な財源の確保に努める。 第2期計画素案では、以下の通り。 第2期の基本計画期間においては,こうした状況を踏まえ,国は,各省庁間及び地方公共団体との連携や情報共有を継続・強化し,民間や現場の関係者との意見交換を行いながら,障害者文化芸術活動推進有識者会議の意見を聴きつつ,中長期的に施策の実行及び検証,新たな課題や視点への柔軟な対応に取り組み,社会全体で障害者の文化芸術活動を支える基盤づくりを進める必要がある。なお,これらの施策を推進するに当たっては,必要な財源の確保に努める。 第1期計画での4段落目については、以下の通り。 また,地方公共団体においても,障害者の文化芸術活動の取組を促進する際には,組織内の各部局の枠を越えて取り組むことが重要である。 第2期計画素案では、以下の通り。 地方公共団体においても,障害者の文化芸術活動の取組を促進するため,障害者文化芸術推進法に基づいて策定する計画等を踏まえ,組織内の各部局の枠を越え,障害者や地域における関係団体・機関等とも連携して地域における推進体制の構築に向けて取り組むことが重要である。 第1期計画での5段落目については、以下の通り。 基本計画の対象期間には,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され,それに伴う文化プログラムの実施により,障害者がより一層活躍の場を広げることと思われる。大会終了後には,大会を契機とした活動基盤や活動体制が,レガシーとして全国各地に根づき,障害者による文化芸術活動が引き続き,振興されていくこが期待されている。 第2期計画素案では、当該段落を「削る」としている。 (26ページ目) 第1期計画での6段落目については、以下の通り。 今後も,障害者による文化芸術活動が,社会や文化芸術活動全般に新たな視点や活力をもたらし,全ての国民が相互に尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて,文化芸術推進基本計画及び障害者基本計画や障害者文化芸術推進法に基づく地方公共団体の策定する計画等とも連動しながら,基本計画の目的を達成していく必要がある。 第2期計画素案では、以下の通り。 文化芸術分野において,合理的配慮やその実現に向けた障害者の特性に応じた情報保障や環境整備が一層重要となるが,官民が連携して課題解決に必要な知見をつなぎ合わせ,共有する機会を設けていくことも必要となる。文化芸術へのアクセシビリティの向上やバリアフリー化が進むことにより,文化と福祉等の枠組みを越えて,障害の有無にかかわら,多様な考え方や価値,背景を持った人々の交流が活発化し,社会や文化芸術活動全般に新たな視点や活力がもたらされる。 障害者による文化芸術活動の推進はまさに未来への投資であり全ての国民が相互に尊重し合いながら共生する豊かな社会の実現に資するものであることを認識し,文化芸術推進基本計画及び障害者基本計画や障害者文化芸術推進法に基づく地方公共団体の策定する計画等とも連動しながら,基本計画の目的を達成していく必要がある。