資料1-1「障害者による文化芸術活動の推進状況等について」令和6年3月文化庁 (1ページ目) 調査概要、法律・計画の認知状況 ○令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の概要 実施団体:株式会社文化科学研究所 調査対象:全国の総合博物館・美術博物館・歴史博物館・科学博物館 調査期間:令和5年10月13日から11月8日 調査手法:郵送による調査協力依頼、郵送又はメールによる回答 回答数:770件 【回答者属性】 (館種別)美術 58.7%、総合 7.7%、歴史 24.3%、科学 7.1% (設置者別)国(独立行政法人) 4.0%、都道府県 20.4%、政令指定都市・特別区 11.6%、 市町村 33.1%、広域連合・行政組合 0.3%、民間非営利法人 18.7%、 民間企業 6.2%、個人 2.1%、その他 3.0% ○担当職員における法律・計画の認知状況 ・「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」について、障害者が利用・参加しやすくなる事業・取組を担当する職員が「認知している」と回答した施設は全体で46.8%。 ・「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」について、障害者が利用・参加しやすくなる事業・取組を担当する職員が「認知している」と回答した施設は全体で41.3%。 (帯グラフ) (n=770)  障害者による文化芸術活動の推進に関する法律を認知している 46.8% 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律を認知していない・わからない 51.7% 無回答 1.6% 障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画を認知している 41.3% 障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画を認知していない・わからない 57.4% 無回答 1.3% (グラフ、終わり) ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の速報値に基づき作成しているため、今後修正の可能性あり (2ページ目) 施設を円滑に利用できるようにするための取組 ○障害者が施設を円滑に利用できるようにするための取組(研修以外) ・今までに障害者が施設を円滑に利用できるようにするための取組(研修を除く)を実施した施設は全体で93.6%。 ・具体的な実施内容としては、「施設設備」が88.4%、「展示に関しての配慮」が50.0%、「施設案内表示」が38.7%。 (棒グラフ) (n=770) ※複数回答可 施設設備(障害者等用駐車場、バリアフリートイレ(多機能トイレ、多目的トイレ)、点字誘導ブロック、スロープ等)がある 88.4% 施設案内表示(ピクトグラムの活用、表示の色の組み合わせ、案内文のルビ等)をしている 38.7% 施設内での機器、支援用具(磁気誘導ループ、筆談ボード等)を用意している 26.5% 展示に関しての配慮(音声ガイド、字幕、車いすの導線確保、資料へのルビ等)をしている 50.0% 施設ホームページ等で、障害者が施設を利用する前に知りたい情報について発信している 31.7% 障害者に対する対応・接遇等についての施設としての考え方やガイドライン等を持っている 15.2% その他 5.8% その他:車いすの設置・貸出、観覧料の免除・割引等 以上の取組を実施した施設の合計:93.6% 実施していない 6.0% 無回答 0.4% (グラフ、終わり) ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の速報値に基づき作成しているため、今後修正の可能性あり (3ページ目) 障害についての理解等に係る職員の研修、障害者からの意見の聴き取り ○障害についての理解等に係る職員の研修 ・障害についての理解等に係る職員の研修を行っている施設は32.2%。 ・具体的な実施内容としては、「障害者への対応・接遇についての研修」が17.8%、「障害についての理解、障害者の権利に関する研修」が15.5%。 (棒グラフ) (n=770) ※複数回答可 障害についての理解、障害者の権利に関する研修を行っている 15.5% 法律、制度に関する研修を行っている 4.7% 障害者への対応・接遇についての研修を行っている 17.8% 事業の企画・実施に関する研修を行っている 2.3% 他団体・施設の研修に職員を派遣している 7.0% その他 4.0% その他:地方公共団体主催の研修に参加、資料の回覧等 以上の研修を行っている施設の合計 32.2% 行っていない 66.6% 無回答 1.2% (グラフ、終わり) ○障害者からの意見の聴き取り ・施設の利用や事業の企画・運営等について障害者から意見を聴いたことがある施設は39.0%。 ・具体的な実施内容としては、「ヒアリング、意見交換を行う場を設定」が13.8%、「随時、普段つながりのある障害者に相談」が11.6%。 (棒グラフ) (n=770) ※複数回答可 障害者を対象にアンケートを実施 2.5% 障害者や障害者団体・施設等と懇談やヒアリング、意見交換を行う場を設定 13.8% 運営委員会等に障害者が構成員として参加 0.9% 疑問に思ったことを随時、普段つながりのある障害者に相談 11.6% その他 16.6% その他:館内アンケートや問合せメールを参考、団体・施設・専門家に相談等 以上の障害者の意見を聴いた施設の合計 39.0% 何もしていない・わからない 59.5% 無回答 1.6% (グラフ、終わり) ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の速報値に基づき作成しているため、今後修正の可能性あり (4ページ目) 主に障害者を対象とした事業の取組状況 ○主に障害者を対象とした事業の取組状況 ・令和4(2022)年度までに、主に障害者を対象とした事業を実施した施設は全体で35.7%。 ・「実施したことがある」の内訳をみると、「障害者の創造機会の拡大等に向けた施設内での教育普及活動(施設内でのワークショップ、体験会など)」が36.0%、「障害者の鑑賞機会の拡大等に向けた常設展における展示内容等に係る見直し・工夫」が35.6%と多い。 ・美術館のみ選択可能な「障害者の発表機会の確保に向けた作品の展示活動」は41.8%。 ・「実施していない」理由についての自由記述では、「障害の有無に関わらず幅広い人を対象としている」、「人員体制が充分でない」といった趣旨の回答が多い。 (帯グラフ) (n=770)  2019年度から2022年度の間に実施したことがある 27.5% 2019年度から2022年度の間は実施していないが、2018年度以前に実施したことがある 8.2% 以上の実施したことがある施設の合計 35.7% 2022年度までに実施したことはない 62.1% 主な「実施したことはない」理由:障害者に特化した形では事業を実施していない、事業は実施していないが障害のある方でも利用しやすいように努めている、実施したいが相談窓口がわからない、具体的に何から手をつければよいかわからない等 無回答 2.2% (グラフ、終わり) (棒グラフ) 【「実施したことがある」の内訳】 (n=275)※複数回答可 障害者の鑑賞機会の拡大等に向けた常設展における展示内容等に係る見直し・工夫 35.6% 障害者の鑑賞機会の拡大等に向けた企画展等の開催 28.0% 障害者の鑑賞機会の拡大等に向けた施設外での教育普及活動 20.0% 障害者の創造機会の拡大等に向けた施設内での教育普及活動 36.0% 障害者の創造機会の拡大等に向けた施設外での教育普及活動 13.1% 障害者の発表機会の確保に向けた作品の展示活動(美術博物館のみ、n=170) 41.8% 障害のあるアーティストの作品収蔵(美術博物館のみ、n=170) 7.1% 障害者による文化芸術を通じた交流活動 10.5% その他 10.2% その他:障害者を対象とするイベント、作品鑑賞会、福祉施設の製品委託販売等 無回答 2.2% (グラフ、終わり) ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の速報値に基づき作成しているため、今後修正の可能性あり (5ページ目) 事業の実施に必要となるサポートに関する情報、連携している施設・機関 ○主に障害者を対象とした事業の実施に必要となるサポートに関する情報 ・主に障害者を対象とした事業の実施に必要となるサポートに関する情報について、「他の施設等における好事例・ノウハウ」に関する情報が最も多く62.5%、次いで「職員が、事業についてのスキル(ノウハウや情報を含む)を身に付けるための研修等」に関する情報が55.6%。 (棒グラフ) (n=770)※複数回答可 職員が、事業についてのスキル(ノウハウや情報を含む)を身に付けるための研修等 55.6% 事業の企画や実施に必要な知識や経験を持った専門家や支援団体、相談窓口等 48.4% 事業の実施等に活用可能な補助金 51.0% 他の施設等における好事例・ノウハウ 62.5% その他 5.5% その他:人員確保のための支援、環境・設備面の改善等 (グラフ、終わり) ○主に障害者を対象とした事業の実施に連携している施設・機関 ・主に障害者を対象とした事業を実施するに当たり、連携している他の施設・機関がある施設は、33.5%。 ・連携先は、「特別支援学校・学級・教育委員会」が17.7%、「住民団体以外の非営利活動法人、団体」が13.9%。内容は「事業企画」「広報、参加者の募集」との回答が多い。 (棒グラフ) (n=770)※複数回答可 地方公共団体の文化芸術担当部署 7.4% 地方公共団体の福祉担当部署 10.8% 他の文化施設 5.6% 福祉施設(障害福祉サービス事業所等)10.0% 大学・専門教育機関 5.3% 特別支援学校・学級・教育委員会 17.7% 地域の住民団体(自治会、子供会など) 3.6% 住民団体以外の非営利活動法人、団体(社会福祉協議会、社団、財団、NPO、任意団体など) 13.9% 民間企業 5.2% 障害者芸術文化活動支援センター 4.3% その他 1.9% その他:作家、手話通訳派遣、市観光協会ユニバーサルツアー担当者 以上の連携している施設の合計 33.5% 連携している組織・機関はない 57.8% 無回答 8.7% (グラフ、終わり) ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」の速報値に基づき作成しているため、今後修正の可能性あり (6ページ目) 施設における取組事例(ヒアリング調査より) ・令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」において、主に障害者を対象とした事業を行う美術館等10施設に対して、ヒアリング調査を実施(以下はそのうち6施設の取組概要)。 ・取組内容のほか、事業実施のきっかけや、実施プロセスにおける気づき等についてヒアリングを実施(調査結果は文化庁HPで公開予定)。 「横須賀美術館」 ■障害児のためのワークショップ『みんなのアトリエ』 ・2007年度からの継続事業 ・障害の種類に関わらず参加可能な、障害児とその家族を対象としたワークショップを定期的(年9から12回)に実施 ・参加者に造形活動の場を提供し、交流の機会を拡大 ・ワークショップの運営補助を美術館ボランティアの活動として位置づけ 「滋賀県立美術館」 ■アール・ブリュット作品収集 ・2017年3月からの継続事業 ・目的は、アール・ブリュット作品の鑑賞機会を広く提供するとともに優れた作品を後世に継承すること ・2023年9月現在、収蔵数は731件にのぼり、国内のみならず世界でも有数の規模のコレクションとなって企画展などで積極的に活用 「徳島県立近代美術館」 ■あの手この手で交流トーク ・2018年度、2019年度、2021年度、2022年度、2023年度実施 ・視覚・聴覚に障害のある人も含む「アートイベントサポーター」が、鑑賞支援グッズやコミュニケーション・ツールの開発・製作、鑑賞プログラムの企画・実施などに協力 ・サポーターがナビゲーターとなって障害の垣根を越えて交流 「はじまりの美術館」 ■福島県障がい者芸術作品展「きになる・ひょうげん」 ・2017年度からの継続事業(福島県からの委託) ・応募や審査でのキーワードを「きになる」とし、作家本人や周囲の人が気になった作品を応募し、審査員や来場者も自身が気になった作品を選定して表彰 ・気になった作品を起点に様々な交流が生まれることを目指す 「九州国立博物館」 ■「ならべてわかる“本物のひみつ”」「さわって体験“本物のひみつ”」 ・2020年度からの継続事業 ・レプリカや模型に触って、重さや形を感じたり、音を鳴らしたりしながら作品の鑑賞をすることができる展示(手話通訳付きミュージアムトークや、視覚障がい者とともにつくる対話型鑑賞会も実施) ・解説や案内を自動音声で聞くことができるスマートフォンアプリ「ナビレンス」や、展示室の触知図も用意 「大阪市立自然史博物館」 ■M3(Motto Minna no Museum)プロジェクト ・2022年度実施(文化庁「Innovate MUSEUM事業」) ・博物館がすべての人々が学び楽しむ場となれるよう、「もっとみんなのミュージアム」を目指し、プログラムや利用環境整備の工夫の試行や、博物館職員向けの研修会等を実施 ・近隣の美術館や博物館、障害者スポーツセンター等と連携 ※本資料は、令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」に基づき、文化庁において作成 (7ページ目) 地方公共団体における計画策定状況 ○地方公共団体における「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」に基づく計画の策定状況 (表) 以下、数値は策定済団体数、パーセントは策定率 R4.10.1時点 都道府県 31 策定率66.0% 政令指定都市 12 策定率60.0% 中核市 23 策定率37.1% その他市町村 87 策定率5.3% (参考)R3.10.1時点 都道府県 27 策定率57.4% 政令指定都市 6 策定率30.0% 中核市 15 策定率24.2% その他市町村 36 策定率2.2% (表、終わり) (表)(参考)都道府県、政令指定都市における計画の位置づけ ・単独の計画として策定:千葉県、滋賀県、鳥取県、大分県 ・文化政策の計画の一部に位置付け:岩手県、宮城県、山形県、茨城県、静岡県、京都府、高知県、福岡県、鹿児島県、川崎市、堺市、神戸市 ・障害者施策の計画の一部に位置付け:北海道、福島県、福井県、山梨県、岐阜県、愛知県、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、熊本県、千葉市、横浜市、静岡市、名古屋市、岡山市 ・文化政策と障害者施策の両方の計画に位置付け:栃木県、埼玉県、神奈川県、札幌市、相模原市、京都市、福岡市 (表、終わり) 出所:文化庁「地方文化行政状況調査」に基づき作成 (8ページ目) 美術館等や地方公共団体における取組促進に向けた今後の対応 1.ノウハウ・具体的な取組事例の収集・周知 ・令和5年度「障害者による文化芸術活動の推進に向けた全国の美術館等における実態調査」(以下「令和5年度美術館等調査」)において、先行して取り組む美術館等にヒアリングを行い、ノウハウ・具体的な取組事例(取組内容、事業実施のきっかけ、実施プロセスにおける気づき等)をまとめ、文化庁HP等で周知予定。 ・既に計画を策定した都道府県・政令指定都市の担当部署にヒアリングを行い、法律に基づく計画等の策定の参考となる情報(計画策定のきっかけ、策定プロセス、外部からの意見聴取、主なポイント等)をまとめ、文化庁HP等で周知予定。 2.障害者による文化芸術活動の普及・展開に向けた人材育成の充実 ・以下で構成される人材育成プログラムの開発・実施を支援(オンライン配信を積極的に活用)。 ・障害者等の鑑賞に配慮した取組や利用しやすい環境づくりをはじめとした先進事例等を示しつつ、施設・団体等において取組を行う意義や障害等に対する理解について普及啓発を行うためのプログラム。 ・取組を行ったことがない参加者を主な対象とした、取組を行うために必要となる基礎的な知識・能力を得ることを目的としたプログラム。 ・取組を行ってきた参加者を主な対象とした、施設・団体・地域等において取組の中心的な役割を担うために必要となる知識・能力を得ることを目的としたプログラム。 3.法律・計画等の更なる周知 ・「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」(「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」を含む)の認知度の向上や理解の促進を目的とした紹介資料を作成し、説明動画をオンラインで配信予定。 ・令和5年度美術館等調査に、法律・計画の概要や、合理的配慮、文化庁・厚生労働省の関連事業の概要をまとめた資料を添付し、美術館等に周知。 4.先進的な取組等の支援 ・「障害者等による文化芸術活動推進事業」において、先導的・試行的な取組や文化芸術へのアクセスの改善、地方公共団体における計画等に基づく取組に対して引き続き支援。 ・「Innovate MUSEUM事業」において、これからの博物館に新たに求められる社会や地域における様々な課題の解決を図る先進的な取組に対して引き続き支援。