資料2 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第9回)資料 構成員による読書バリアフリーに関する活動について 日本弱視者ネットワーク幹事筑波大学附属視覚特別支援学校教諭宇野和博 全国視覚障害者情報提供施設協会理事長川崎弘 日本図書館協会障害者サービス委員会委員長 佐藤聖一 全国学校図書館協議会理事長設楽敬一 日本書籍出版協会専務理事樋口清一 (表紙) 所属 日本弱視者ネットワーク幹事筑波大学附属視覚特別支援学校教諭 氏名 宇野和博 取組 @令和5年3月30日に、学校図書館の充実に向けて、学校図書館における読書バリアフリーの現状・課題や、支援者が知っておきたい著作権について、学校図書館関係者を対象としたオンラインセミナーを開催。(主催:公益財団法人 文字・活字文化推進機構)セミナーにて、「読書バリアフリーと著作権」について講演を実施。 A令和4年9月10日に、「日本語とにらめっこ」著者のモハメド氏と共に「視覚障害と読書」をテーマに座談会を開催(オンライン) 成果 @主に学校図書館関係者を対象に多様な読書媒体の必要性や著作権との関係について周知することができた。 Aオンラインの視聴者に外国人から見た日本の障害者の読書環境の優れた点や課題について共有することができた。特に研究者の立場として、学術文献図書のバリアフリー化の遅れについて、広く伝えることができた。 今後の課題・計画 特になし。 添付資料 特になし。 (1ページ) 所属 全国視覚障害者情報提供施設協会 氏名 川崎弘 取組 @サピエ運営委員会の開催(参加利用者団体1増、盲学校長会増) AサピエPR動画の公開及びPR動画広報用チラシの製作と発送 昨年6月24日、全視情協ホームページに、サピエPR動画「サピエ図書館で読書の喜びを!」を公開した。7月には、このPR動画を広報するチラシ「サピエ図書館で読書を楽しみましょう」を、全国の公共図書館(3,295館)等へ配布 B地域の公共図書館に対するサピエ研修会事業(7道県、11か所で開催) 成果 学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアムシンポジウムにおいてサピエ図書館の紹介をしたことより学校関係者にも知って頂く機会となった今後、全国盲学校長会からもサピエ運営委員会へのご出席をいただくよう情報共有を図った 地域の公共図書館に対するサピエ研修会事業の効果もあり公共図書館24館の加盟増につながった(施設・団体会員の異動としては、22施設の純増) 【サピエ図書館の推移】※添付資料「サピエの状況」より抜粋 総目録数は、2019年3月は728,459件、2023年3月は808,802件(80,343件の純増) 個人会員数は、2019年3月は16,942人、2023年3月は19,951人(3,009人の純増) 個人会員数のうちB会員は、2023年3月は403人、2023年3月は698人(295人の純増) ※B会員とは、視覚障害以外の「その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者」の会員数 施設・団体会員数は、2019年3月は382、2023年3月は459(77の純増) うち点字図書館は、2019年3月は86、2023年3月はも86 公共図書館は、2019年3月は190、2023年3月は255(65の純増) 盲学校は、2019年3月は26、2023年3月は32(6の純増) 今後の課題・計画 「シカクの窓」の公開 サピエ停止時等にも、災害情報や公的情報のアクセシブルデータなど、視覚障害者の命と生活を守る情報を途絶させないために、新たに立ち上げるサイト「シカクの窓」を公開する。 対話型AIスピーカースキル開発。 スマートフォンやパソコンによるサピエの操作が困難な方などがAIスピーカーを使い、サピエ図書館を利用できる、簡単明解な専用スキルを開発する。 添付資料 サピエの状況(サピエ誕生から現在までの実績の推移) (2ページ) サピエの状況 サピエ誕生から現在までの実績の推移 (表の説明) 目録数・データ数 総目録(書誌)数(国会図書館からのアップタイトル数は含まない。) 2011年3月:529,380 2023年3月:808,802 データ数(タイトル数)点字 2011年3月:124,073 2023年3月:253,223 データ数(タイトル数)音声デイジー 2011年3月:22,897 2023年3月:116,920 データ数(タイトル数)テキストデイジー 2011年3月:37 2023年3月:14,085 データ数(タイトル数)マルチメディアデイジー 2011年3月:0 2023年3月:431 データ数(タイトル数)シネマ・デイジー 2011年3月:- 2023年3月:780 国会図書館データ数(タイトル数):点字 2011年3月:- 2023年3月:2,496 国会図書館データ数(タイトル数):音声デイジー 2011年3月:- 2023年3月:33,524 国会図書館データ数(タイトル数):テキストデイジー 2011年3月:- 2023年3月:92 国会図書館データ数(タイトル数):マルチメディアデイジー 2011年3月:- 2023年3月:783 年間ダウンロード(タイトル数)(国会図書館からのダウンタイトル数は含まない。):点字(音声利用多数) 2011年3月:710,502 2023年3月:471,177 年間ダウンロード(タイトル数):音声デイジー 2011年3月:359,655 2023年3月:4,320,850 年間ダウンロード(タイトル数):テキストデイジー 2011年3月:1,483 2023年3月:264,750 年間ダウンロード(タイトル数):マルチメディアデイジー 2011年3月:0 2023年3月:6,506 年間ダウンロード(タイトル数):シネマ・デイジー 2011年3月:- 2023年3月:163,542 利用会員数 個人会員 2011年3月:8,403 2023年3月:19,951 うちB会員 2011年3月:43 2023年3月:698 施設・団体会員 2011年3月:223 2023年3月:459 うち点字図書館 2011年3月:86 2023年3月:459 公共図書館 2011年3月:58 2023年3月:255 盲学校 2011年3月:8 2023年3月:32 地域生活情報 新規登録記事数(年) 2011年3月:- 2023年3月:7,657 記事閲覧数(年) 2011年3月:5,277 2023年3月:28,680 音声ダウンロード数(年) 2011年3月:4,677 2023年3月:48 情報閲覧の実利用者数 2011年3月:- 2023年3月:584 「訪問者数」合計(年) 2011年3月:- 2023年3月:57,360 図書製作支援 利用施設・団体数 2011年3月:27 2023年3月:94 読み方調べ検索数(年) 2011年3月:6,631 2023年3月:14,741 「訪問者数」合計(年) 2011年3月:- 2023年3月:83,213 (3ページ) 所属 公益社団法人日本図書館協会 氏名 佐藤聖一 取組 1地方公共団体の読書バリアフリー計画策定を支援し、またその内容充実を目的に、「地方公共団体において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定するための指針」を発表し、文部科学省等の協力を得てその周知を図った。 2公立図書館の障害者サービス充実を目的に、「図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編」を発表し、文部科学省等の協力を得てその周知を図った。 3『図書館利用に障害のある人々へのサービス 補訂版』を印刷版に引き続きアクセシブルなEPUB版で刊行し、図書館の障害者サービスの普及に努めると共に、アクセシブルな電子書籍を提案した。 4図書館の障害者サービス担当職員等の資質の向上を図るため、以下の講座を開催した。 (1)2022年8月2日「2022年度障害者サービス担当職員養成講座(基本編)」 (2)2022年8月6日「音訳者・音訳ボランティアのための著作権セミナー)」 (3)2022年10月7日「第108回全国図書館大会群馬大会 障害者サービス分科会」 (4)2022年12月6日〜8日「令和4年度 障害者サービス担当職員向け講座」(主催:国立国会図書館 共催:日本図書館協会) その他、全国の図書館からの問い合わせへの対応、講師の紹介や派遣に多数応じた。 成果 主催する研修会やセミナーには、オンラインの効果もあり全国から数多くの参加者を得ている。 また、日本図書館協会障害者サービス委員会委員が各地に講師として赴き、障害者サービスの普及進展に努めてきた。 さらに、読書バリアフリーの関連団体が主催する種々な検討会に委員を派遣し、日本図書館協会として図書館サービスの普及を目指している。ガイドライン作成等の具体的成果にもつながっている。 今後の課題・計画 上記1の指針及び2の評価シートについては、今年度研修会などで広く活用し、その普及や具体的進展につなげていきたい。  図書館職員向け研修会の開催、全国の図書館からの質問への対応、講師の紹介や派遣には、引き続き積極的に行っていく。  また、障害者サービスの進展を妨げているいくつかの課題がある。具体的には、福祉の日常生活用具給付制度の利用拡大の問題、第4種郵便物(盲人用録音物)サービス縮小の懸念がある問題等である。これらの課題解決の働きかけをしていきたい。また、真にアクセシブルな電子書籍の刊行を促進するための活動を引き続きしていきたい。 添付資料 「地方公共団体において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定するための指針」 「図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート公共図書館編」 (4ページ) 地方公共団体において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定するための指針 2023年4月1日 公益社団法人日本図書館協会(障害者サービス委員会) (5ページ) はじめに  2019年6月に,「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下,「読書バリアフリー法」)が成立した。その第7条を受けて,国の「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(以下,「読書バリアフリー基本計画」)が公表され,地方自治体にも第8条で「視覚障害者等のための読書環境の整備の推進に関する計画」(以下,「読書バリアフリー計画」)の策定が努力義務とされている。  ところが,各地方自治体における読書バリアフリー計画の策定は思うように進んでいないのが現状である。また,すでに策定された計画を見てみると,内容的に不足しているもの,今後の改定で充実させていってほしいものも多い。  そこで,この指針では,地方自治体の計画策定を支援し策定を促すと共に,今後の改定にあたっての参考となることを目指している。  地方自治体の読書バリアフリー計画は,国の読書バリアフリー基本計画を受けて,まず都道府県・政令指定都市を中心に策定するのが現実的である。さらに,それらの地方自治体の計画を踏まえて市区町村の計画を考えていくものと思われる。そこで,ここでは主に都道府県を想定して,地方自治体における読書バリアフリー計画を策定するための指針を示す。  実際の計画は,「第2章 読書バリアフリー計画の内容」を参考に策定してほしい。  市区町村は,都道府県の基本計画を踏まえ,さらに地域の実情に合わせたものを策定する。市区町村が計画を策定するための考え方を第2章の末尾に入れる。 (6ページ) 目次 はじめに 第1章 読書バリアフリー計画策定の考え方 1 読書バリアフリー法の特徴と計画策定の意義 (1) 読書バリアフリー法の特徴 (2) 読書バリアフリー計画策定の根拠と目的 2 読書バリアフリー計画策定で注意してほしいこと (1) 計画策定のための体制作り(教育部局と福祉部局の連携) (2) すでに実施していることと,不足していることの把握(実態調査を含む) (3) 既存の実施内容のみをもって計画を構成しない (4) 地方自治体レベルで行うことと国レベルで行うことの区分け (5) 都道府県内に政令指定都市が存在する場合の注意点 (6) 指標(数値目標)の提示 (7) 進捗状況の把握と,計画の更新 (8) 従来の教育計画・福祉計画に新項目として追加する場合の注意点 3 読書バリアフリー計画を策定するための体制 (1) 関係者協議会を設立する方法 (2) 従来ある協議組織を活用する方法 (3) 地方自治体の組織内で策定する方法 (4) パブリックコメントの実施 第2章 読書バリアフリー計画の内容 1 概要 (1) 読書バリアフリー法の概要 (2) 読書バリアフリー計画策定の意義,目的 (3) 読書バリアフリー計画の対象 (4) 読書バリアフリー計画の策定者 (5) 読書バリアフリー計画の期間 (6) 地方自治体の現状 (7) 今後の目標 2 具体的施策 (1) 基本的な方針 (2) 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係) (3) インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係) (4) 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(第11条関係) (5) 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係) (6) 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援,情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) (7) 製作人材・図書館サービス人材の育成等(第17条関係) 3 指標,数値目標 4 読書バリアフリー計画の今後 (1) 読書バリアフリー計画の周知及び啓発 (2) 進捗状況の検討組織 (3) 読書バリアフリー計画の更新 5 「読書バリアフリー計画の用語集」の作成 6 参考資料(例) 補足 市区町村が読書バリアフリー計画を策定する場合の留意点 (1) 計画策定のための体制作り(関係部局などとの連携) (2)  計画実施のための連携協力 (3) 当該市区町村の実情に合わせた計画の策定 (4) 当該市区町村の実情を踏まえた住民への直接サービス,個別支援を踏まえた計画の策定 (5) 視覚障害者等への読書支援についての人材育成 第3章 読書バリアフリー計画の周知,普及 1 対象 (1) 住民(サービスの対象となる人,家族,ボランティアをはじめとする広く一般の市民) (2) 域内市区町村 (3) 関連する団体 (4) 文部科学省・厚生労働省 2 周知方法 (1) 各戸配布される県政だよりのような広報誌 (2) ウェブページ・SNS (3) 公立図書館 (4) 点字図書館(視覚障害者情報提供施設) (5) 公立小・中学校,義務教育学校,中等教育学校,高等学校及び特別支援学校 (6) 身近な医療機関等 3 配慮すべきこと (7〜9ページ) 第1章 読書バリアフリー計画策定の考え方 1 読書バリアフリー法の特徴と計画策定の意義 (1) 読書バリアフリー法の特徴  読書バリアフリー法には次のような特徴がある。読書バリアフリー計画策定においては,地方自治体の状況を踏まえ,これらの意味を十分理解し,適切に組み込んでいく必要がある。 @ 対象者は,「視覚による表現の認識が困難な者」(視覚障害者等)とされ,障害等何らかの理由で視覚による読書(情報入手)が困難な人である。障害者手帳の有無にはとらわれない。(第2条) A 国,地方公共団体の責務を明確にしている。(第4〜5条) B 関係者協議会(第18条)の協議により,国の基本計画(第7条)が公表されている。この基本計画は文部科学大臣及び厚生労働大臣の連名によるもので,事前に関係する省庁との調整も求めている。これは,教育や福祉の壁を越えて,民間も含め,社会全体で障害者への情報提供を行うことを示している。 C 地方公共団体に読書バリアフリー計画の策定を求めている。(第8条) D 国や地方公共団体に図書館や点字図書館の役割やその連携を提示している。(第9条) E 国や地方公共団体に「サピエ図書館」への支援と,「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」等との連携を求めている。(第10条) F 国や地方公共団体に著作権法第37条による障害者サービス用資料の製作支援と,国に製作施設への出版者からのデータ提供を促進している。(第11条) G 国に利用しやすいアクセシブルな電子書籍*の刊行を促し,もしくは本を購入した利用者へのアクセシブルなデータの提供を求めている。(第12条) H 国や地方公共団体は,アクセシブルなデータを再生する端末機器等と,それに関する情報の入手を支援する。(第14条) I 国や地方公共団体は,視覚障害者等の情報通信技術の習得支援を行う。(第15条) J 国や地方公共団体に図書館職員等のサービス人材の育成と,障害者サービス用資料の製作人材の育成を図る。(第17条) (10ページ) (2) 読書バリアフリー計画策定の根拠と目的  条文では,地方自治体の読書バリアフリー施策とその計画について,以下のように書かれている。 (地方公共団体の責務) 第5条 地方公共団体は,第3条の基本理念にのっとり,国との連携を図りつつ,その地域の実情を踏まえ,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し,及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の計画) 第8条 地方公共団体は,基本計画を勘案して,当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ,当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない 2 地方公共団体は,前項の計画を定めようとするときは,あらかじめ,視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。  これらの条文から,国の基本計画を踏まえて,地域の実情に合わせた地方自治体独自の読書バリアフリー計画を策定することを求めていることがわかる。なお,地方自治体の読書バリアフリー計画の策定は必須項目ではなく,努力義務となっている。ただし,法律の趣旨を実現するためには,都道府県・政令指定都市・市区町村においてそれぞれの計画を立てることには大きな意義がある。さらに,都道府県の計画を受けて市区町村の計画が策定されるであろうことから,都道府県の計画策定は必須である。 2 読書バリアフリー計画策定で注意してほしいこと (1) 計画策定のための体制作り(教育部局と福祉部局の連携)  国の読書バリアフリー基本計画でも地方自治体の読書バリアフリー計画でも,その策定に当たっては「あらかじめ,視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」よう努めるものとされている。  また,国の基本計画策定においては,「第4章 協議の場等」で 第18条 国は,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため,文部科学省,厚生労働省,経済産業省,総務省その他の関係行政機関の職員,国立国会図書館,公立図書館等,点字図書館,第10条第1号のネットワークを運営する者,特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者,出版者,視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。 としている。この条文を受けて,国は関係者協議会を設置し,基本計画を検討し発表した。また,その評価や実施について協議を継続している。  地方自治体においても,これらの趣旨を踏まえ,地方自治体内の関係部局(教育・福祉等)・公立図書館・学校図書館・大学図書館(短期大学・高等専門学校含む。以下同じ)・点字図書館・障害者支援施設・視覚障害者等の当事者団体・専門家・有識者等,地域の実情に合わせた構成員による検討組織における協議が求められる。具体的には本章「3 読書バリアフリー計画を策定するための体制」にて後述する。 (2) すでに実施していることと,不足していることの把握(実態調査を含む)  読書バリアフリー計画を策定するためには,その前提として地方自治体内の状況を正しく把握することが必要となる。  点字図書館においては定期的に全国的な実態調査を行っているが,都道府県レベルで域内の状況を毎年調査している例はわずかである。定期的に実態調査を行い,地方自治体内の図書館等で,どのようなサービスがどのくらい行われているのかを把握し,現状と不足している点を確認することが必須である。  あわせて図書館や関連施設間の連携の状況も把握したいが,事情により把握が難しい場合は,協議会における情報交換,お互いの訪問,ヒアリング調査なども活用する。  さらに,実態調査を行うこと自体が,普及のためのPRになる。 (3) 既存の実施内容のみをもって計画を構成しない  読書バリアフリー計画を策定する前提として,従来の公立図書館・学校図書館・点字図書館等による視覚障害者等へのサービスがまだ不十分であるという認識を持つことが重要である。事実,サービスが必要であると思われる人と,現実に利用している人の数には大きな隔たりがある。先進地域の状況を知ることで,問題点を見つけることもできる。  そこで,計画策定においては,従来実施している施策のみをまとめたのでは不十分といえる。先進地域の事例も参考にして,地域で不足している点を把握し,それを改善するための前向きな計画策定が求められる。 (4) 地方自治体レベルで行うことと国レベルで行うことの区分け  国の読書バリアフリー基本計画と地方自治体の読書バリアフリー計画では,当然その内容に違いがある。  たとえば,都道府県のものは,都道府県が自ら行うべきこと,都道府県立図書館・都道府県立学校の図書館の役割に加え,点字図書館等の関連施設との連携や,域内の市区町村立図書館や小・中学校等を加えた全体としてのビジョンが必要となる。さらに,国や地方自治体の福祉サービスも念頭に置く必要がある。 「サピエ図書館」への支援や,出版社が行うアクセシブルな電子書籍の刊行等については,国の基本計画で明らかにするべきものである。  市区町村の読書バリアフリー計画では,地方自治体や地域の図書館の役割に加え,ネットワークを活用した視覚障害者等への直接サービス・個別支援に関することが中心になるものと思われる。 (5) 都道府県内に政令指定都市が存在する場合の注意点  域内に政令指定都市がある都道府県が読書バリアフリー計画を策定する場合は,以下のことに留意する。 @教育部門の公立図書館では域内の都道府県立図書館や市区町村立図書館同士の何らかのネットワークが存在するのが普通で,そこには政令指定都市立の図書館も含まれる。それに対して,福祉部門の点字図書館等は,政令指定都市が存在するとそこにあるものは都道府県の所管ではないため内容を把握していないことが多い。 A義務教育学校は,政令指定都市内の学校とそれ以外の県内の学校では管轄が異なることも多い。 Bこれらの組織上の違いを考慮して,都道府県が計画策定をする場合は,政令指定都市内の点字図書館や学校図書館等もネットワークに加えて考えなくてはならない。 (11〜13ページ) (6) 指標(数値目標)の提示  読書バリアフリー計画では,本来指標・数値目標の提示が必要であることはいうまでもない。しかし,前述のように地域の実態把握がなされていない場合は,それを示すことも困難となる。各図書館等の業務統計から数値を出すと,現状の域を出ないものとなり,計画としては不十分になりやすい。  現状を把握した上で,計画期間満了までの数値目標を立てると共に,現在行っていないが新たに行うべきことを加えたい。指標は館・施設ごとの目標ではなく,地方自治体全体として示したい。 (7) 進捗状況の把握と,計画の更新  読書バリアフリー計画では,計画策定自体が目標ではなく,その推進,目標達成が求められる。数年単位で計画が策定されるが,その進捗状況を最低でも年に1度は確認していきたい。関係者協議会等の協議会組織による継続的な確認と検討が求められる。  読書バリアフリー計画の更新時は,これらの進捗状況の確認と,全国で新たに取り入れられたサービス等を踏まえ,地方自治体の特徴も加味して,より積極的な計画を策定したい。他地方自治体の優れた計画も参考になる。 (8) 従来の教育計画・福祉計画に新項目として追加する場合の注意点  独立した読書バリアフリー計画を策定するのではなく,従来の福祉や教育の計画に追加する方法で計画を策定することもできる。その場合は以下の点に注意する。 @ 視覚障害者等の当事者の意見を反映できるように工夫する。単なるアンケート調査や,後述の本章「3(4)パブリックコメントの実施」だけではなく,ヒアリング調査等により,具体的な意見を定期的に取り入れられるようにする。 A 庁内の教育部門と福祉部門の連携はもちろん,公立図書館等と点字図書館,福祉関係機関等との連携についても十分配慮する。前述したように,従来の施策に満足してはならない。 B 個々の部局からの計画の寄せ集めにならないように,地方自治体全体としての実情把握に努め,地方自治体全体としての計画が策定できるように工夫する。特に,指標や目標設定では,全体を見据えた前向きな対応が求められる。 C 個々の計画が離れた位置に掲載されることも考えられる。それにより読書バリアフリー計画の全体が把握しにくくなることが懸念されるため,関係の計画をまとめたもの(ウェブサイトや冊子)を提示したい。 3 読書バリアフリー計画を策定するための体制  以下のいずれの方法をとる場合でも地方自治体本庁の教育部局と福祉部局の協力体制が必須となる。また,図書館も計画策定に必ず参画しなくてはならない。 (1) 関係者協議会を設立する方法  国の関係者協議会を参考に,その地方自治体版を立ち上げる方法。  必ず障害当事者(障害のタイプが異なる複数の団体から)の構成員を含める。  必要に応じて途中で構成員の追加や変更もある。  事務局は,教育・福祉部局の職員が担当する。状況により都道府県立図書館等の職員が担当することも考えられる。  障害当事者の構成員のために,情報保障*や会議への安全な参加方法に十分配慮する。 ★関係者協議会の構成員の例 地方自治体内の関係部局(教育・福祉等),公立図書館,学校図書館,大学図書館,点字図書館,障害者支援施設,視覚障害者等の複数の当事者団体,出版社や書店,音訳等の資料製作者,専門家・有識者等 (2) 従来ある協議組織を活用する方法  既存の協議会等をそのままあるいは新構成員を追加することで関係者協議会と同じものとする方法。  地方自治体によっては,従来から公立図書館と点字図書館や学校図書館等との連絡協議会を設置しているところがある。その協議会をそのまま,もしくは新構成員を追加することで関係者協議会と同じものとする方法がある。  事務局は従来担当しているところがそのまま担当することが多い。ただし,読書バリアフリー計画に対する責任を確認するためにも,本庁内の教育・福祉部門の職員を必ず参加させる。 (3) 地方自治体の組織内で策定する方法  特別な関係者協議会や協議組織を立ち上げずに行う方法。  地方自治体の教育・福祉部門が協力して計画案を策定する。ただし,図書館や点字図書館等の現場の職員とも連携して,より具体的な実情把握と計画策定に努める。さらに,障害当事者の意見の集約について積極的に取り組む必要がある。  注意する点は前述の「2(7)進捗状況の把握と,計画の更新」に示したので,あわせて参照いただきたい。 (4) パブリックコメントの実施  読書バリアフリー計画案ができたところで,必ずパブリックコメントを実施する。特に関係者協議会を設けていない地方自治体では,パブリックコメントに寄せられた意見を反映できるように柔軟に修正していく。  パブリックコメントの実施に当たって,パブリックコメント募集のウェブサイトや回答方法のアクセシビリティにも配慮して,さまざまな障害者が意見を出せるように工夫する。また,募集期間も十分な長さをとる。さらに,関連する障害者団体へのヒアリング調査を行う方法もある。 寄せられた意見とそれに対する対応策をまとめて,ウェブサイト等で公開する。 (14〜16ページ) 第2章 読書バリアフリー計画の内容  以下の内容を参考に地方自治体の読書バリアフリー計画を策定する。 表紙 (地方自治体名)視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画 目次 1 概要 (1) 読書バリアフリー法の概要  初めに法律の目的・対象・施策の概要等を簡潔に記す。 (2) 読書バリアフリー計画策定の意義,目的  地方自治体の状況を踏まえ,この計画で何をしたいかを簡潔に記す。 (3) 読書バリアフリー計画の対象  本計画の対象者を具体的に示す。 (4) 読書バリアフリー計画の策定者  読書バリアフリー計画を検討,策定した組織やプロセスを記す。 (5) 読書バリアフリー計画の期間  本計画がいつの期間を対象としているかを記す。 (17ページ) (6) 地方自治体の現状  地方自治体の読書バリアフリーの現状を以下の点について記す。実態調査等を行っている場合は,その結果の概要も加える。 @ 視覚障害者等の状況 A 都道府県立図書館(資料,サービス,利用者等) B 市区町村立図書館(全体的なサービスの状況,特徴のあるサービス等) C 点字図書館(資料,サービス,利用者等) D 大学図書館 E 学校図書館 F 音訳者等のボランティアグループ G ネットワーク,連携の状況 H 福祉サービス,ICTサポートセンター等 I 課題 (7) 今後の目標  地方自治体全体として,これからどこに力を入れていくのか,特に取り組む項目等を記す。 2 具体的施策 (1) 基本的な方針 @ アクセシブルな電子書籍等の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供  出版社によるアクセシブルな電子書籍の刊行を見守り,図書館等は刊行された場合に積極的に購入提供する。また,視覚障害者等が自ら購入して利用できるように支援する。  図書館は,引き続きアクセシブルな書籍等を積極的に購入し提供する。提供にあたってはネットワークを活用して種々な図書館で行えるようにする。 A アクセシブルな書籍等の量的拡充・質の向上  著作権法第37条第3項で製作する資料について,国立国会図書館・都道府県立図書館・市区町村立図書館・点字図書館等による製作分担,役割分担を行い,より多くの資料が提供されるように努める。  資料の質の向上のための研修会を連携して行う。 B 視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮  公立図書館等・点字図書館・ICTサポートセンターの,それぞれによる支援等を明らかにする。  関連する福祉サービスを紹介する。 C その他  それぞれの地方自治体で特に力を入れる部分や,特徴を明らかにする。 (2) 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係)  以後の項目は,「基本的な考え方」「具体的施策」のように分けて表記してもよい。 @ アクセシブルな書籍等の充実(資料)  図書館の種類(都道府県立・市区町村立・大学・学校等)ごとに,購入等して蔵書とするものを示す。  点字図書館の資料についても明らかにする。  現在実施していることだけではなく,これから実施する予定も加える。 A 円滑な利用のための支援の充実(サービス)  図書館の種類(都道府県立・市区町村立・大学・学校等)ごとに,実施している障害者サービスを示す。  点字図書館のサービスを示す。  現在実施していることだけではなく,これから実施する予定も加える。 B その他,体制の整備等(施設,予算,職員)  現状と新たな取り組み,課題などを示す。 (3) インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係) @ 基本的な考え方  「サピエ図書館」「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」を活用して,資料の全国的な相互貸借とダウンロードによる情報提供と,視覚障害者等が自ら利用できるサービスを記す。 A 具体的施策  公立図書館等・点字図書館等によるネットワークを活用したサービスを示す。 (4) 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(第11条関係) @ 基本的な考え方  著作権法第37条第3項による資料製作について,都道府県立図書館・域内の市区町村立図書館・点字図書館等の役割を示す。 A 具体的施策  各図書館の実情や,目指すものを示す。 (5) 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係) @ 基本的な考え方  アクセシブルな電子書籍の販売等の促進については,地方自治体の読書バリアフリー計画でそのまま記すものではないが,利用者が図書を購入した場合に,出版社からアクセシブルな電磁的記録(テキストデータ等)の提供が受けられる場合があることを知らせる。  図書館は電子書籍の配信サービスのアクセシビリティを検証し,優れたものを積極的に導入する。 A具体的施策   電子書籍配信サービスのアクセシビリティの検証には,国立国会図書館等の関係者による「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」の報告(ガイドライン)を用いる。 ★第13条(外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備)については,地方自治体の読書バリアフリー計画でそのまま記すものではないが,外国で製作されているアクセシブルな電子データの相互貸借ができることを知らせる。記載場所は,図書館のサービス,またはネットワークを活用したサービスに入れる。 (6) 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援,情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) @ 基本的な考え方  各図書館等による,再生機器の体験,操作支援,貸出を行う。  福祉サービスの「日常生活用具給付等事業」や障害者ICTサポート事業等の情報を記す。  図書館等職員は,これらの情報や操作技術を学ぶ。 A 具体的施策  上記サービスの具体的利用方法等を記す。 (7) 製作人材・図書館サービス人材の育成等(第17条関係) @ 基本的な考え方  司書,司書教諭・学校司書,職員等の確保と資質向上  点訳者・音訳者,アクセシブルな電子データ製作者等の人材の養成と育成 A 具体的施策  職員の状況,職員研修会の実施状況  音訳者等の資料製作者の状況,養成講座や研修会の状況  これらの課題と解決策 3 指標,数値目標  この計画期間に達成したい数値目標を記す。  ただし,現状を数字で把握していないと目標も立てられないため,最初からは出さずに,次回更新時の課題とすることもできる。  おおむね以下のことを図書館の種類別(都道府県立,市区町村立,点字)に,数値で記したい。 @ 視覚障害者等の利用者数 A 障害者サービスのサービス実施館数 B 資料の所蔵数,製作数(著作権法第37条第3項によるもの) C 資料の提供数 D 再生機器等の所蔵数,貸出・案内件数 E ICTサポートセンター等,福祉サービスの利用件数 F 担当する職員数,音訳者等資料製作者数 G 職員研修会,音訳者等資料製作者研修会の状況 H その他 4 読書バリアフリー計画の今後 (1) 読書バリアフリー計画の周知及び啓発  第3章にある普及方法を参考に,具体的取り組みを示す。 (2) 進捗状況の検討組織  計画の進捗状況をどの機関ごとに確認するのか。また,それはどこで検討されるのかを記す。 (3) 読書バリアフリー計画の更新  この計画を何年ごとに更新していくのか。また,更新のための検討組織について記す。 5 「読書バリアフリー計画の用語集」の作成  計画で用いている用語の解説を付ける。 6 参考資料(例) (1) 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」 (2) 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(国の読書バリアフリー基本計画) (3) 「著作権法(抜粋)」 (4) 都道府県立図書館障害者サービスの利用案内 (5) 都道府県内点字図書館の利用案内 (6) 障害者ICTサポートセンターの案内 (7) 「サピエ図書館」「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」の案内 補足 市区町村が読書バリアフリー計画を策定する場合の留意点  第1章で都道府県における読書バリアフリー計画策定で注意してほしいことを記載しているが,そこにある注意事項は第1章2「(5)都道府県内に政令指定都市が存在する場合の注意点」を除き市区町村にも当てはまる。  しかし,第1章2(4)「地方自治体レベルで行うことと国レベルで行うことの区分け」にあるように,市区町村の読書バリアフリー計画では,地方自治体や地域の図書館の役割に加え,ネットワークを活用した視覚障害者等への直接サービス・個別支援に関することが中心になるものと思われる。  そこで,ここでは特に市区町村レベルで計画策定をする場合の留意点を記載する。 (1) 計画策定のための体制作り(関係部局などとの連携)  都道府県と同じく市区町村でも,地方自治体内の関係部局(教育・福祉など),学校(特別支援学校・学級など),障害者支援施設,高齢者施設,点字図書館,障害者の当事者団体,専門家・有識者等,地域の実情に合わせた構成員による検討組織における協議が求められる。  市区町村では地方自治体の規模・地域により,点字図書館や,障害者の当事者団体などがない地方自治体もある。その場合は,これらの施設・団体の代わりとなるような方法(例:当事者団体がなければ,地域の障害当事者を構成員に含めるなど)を取り入れる。 (2)  計画実施のための連携協力  上記(1)で挙げた組織・団体等とは,計画を実施していくにあたっても連携協力を行う。 (18〜23ページ) (3) 当該市区町村の実情に合わせた計画の策定  市区町村立図書館は住民と直接サービスを行う最前線の図書館である。そのため,身近にある図書館だからこそ行いやすい,各市区町村の実情に合わせた計画を策定する。 例: @ 自館で実施している障害者サービス(図書館利用に障害のある人々へのサービス)の具体的提示。特に,扱っている障害者サービス用資料,行っているさまざまなサービス,行っている支援,施設設備等を明らかにする。 A 障害者・高齢者福祉,包括支援センターとの連携 B 地域の学校,学校図書館,特別支援学校・学級との連携 C 地域の障害者・児施設,障害者団体との連携 D 過疎地域,離島,山間部,豪雪地域など,アクセスが良くない地域においては,郵送,配本,自動車文庫等の,より積極的な活用 E 地域への障害者サービスの広報の充実 (4) 当該市区町村の実情を踏まえた住民への直接サービス,個別支援を踏まえた計画の策定 例: @ デイジー・拡大読書器等の読書支援機器に関する情報及び読書支援機器の操作説明 A 視覚障害者等が読みやすい資料の案内 B 自宅への訪問・配本 C 日常生活用具給付等事業等の福祉サービス,ICTサポート等のボランティア活動 (5) 視覚障害者等への読書支援についての人材育成  策定した計画を実行していくには,視覚障害者等への読書支援を行える人材が必要である。  読書バリアフリー計画には,視覚障害者等へのサービスのための研修への積極的な参加,人材の育成,障害当事者の雇用なども計画に取り入れる。  デイジー等の資料を製作している図書館では,資料製作の充実(製作数,質の向上)等の目標も立てる。音訳者等の資料製作者の養成や育成についても明らかにする。 (24〜25ページ) 第3章 読書バリアフリー計画の周知,普及 1 対象  策定した計画を推進するにあたり,地方自治体内部で共有することはもちろんであるが,次のような対象へ周知することが求められる。 (1) 住民(サービスの対象となる人,家族,ボランティアをはじめとする広く一般の市民)  視覚障害者等のサービス対象となる人が,居住する地方自治体の読書バリアフリー計画の存在を知り,自分に役立つ情報であることを知ってもらうことが大切である。  さらに,ネットワークを活用した図書館等のサービスやアクセシブルな図書等を実際に利用することにより,現状の問題点や課題を考え,それは計画の評価や修正にもつながっていく。  そのためには,サービス対象である人に計画の周知がなされることが必要であるが,当事者に直接周知するのは難しい点もあるため,合わせて広く一般の市民にも周知したい。  広く住民に伝えることで,今現在サービスを必要としている人だけでなく,サービスを必要とする人の家族,友人,介護者等,本人と関係する人に伝えることにもつながる。  さらには,将来,誰しも「視覚による表現の認識が困難な者」となるかもしれず,視覚障害者等への情報提供の存在を知っておくことは,将来の読書機会の喪失を回避することにもつながる。 (2) 域内市区町村  読書バリアフリー計画の策定は,都道府県のみならず市区町村にも求められる。 (26ページ)  域内市区町村が計画を策定するにあたり,都道府県が策定した計画が参考となることから,研修や会議等を通じて,域内市区町村に都道府県の計画を周知することが重要であり,同時に市区町村に計画策定を働きかけることも求められる。 (3) 関連する団体  教育・福祉・当事者団体・ボランティア等の関連する団体に周知することで,視覚障害者等につないでもらうことができる。  また,関連団体の多くは,直接当事者とつながっているか,あるいは障害当事者への周知の手段を確立していることも多く,協力を得ることが欠かせない。 (4) 文部科学省・厚生労働省  文部科学省及び厚生労働省では,地方自治体の計画策定を推進するため,両省のウェブサイトや主催する会議・研修会等において,地方自治体の策定状況や実際に策定した事例等の周知が図られている。 2 周知方法  本章1に示した対象者への周知に当たって,特に必要と思われる周知方法に次のようなものがある。  それぞれ協議会,関係部局,関係団体等と協働して行うことが望ましい。 (1) 各戸配布される県政だよりのような広報誌  地方自治体の広報の基本であり,各戸配布されることで,広く住民に伝えることができる。  音声版,点字版といった視覚による表現以外の媒体に変換されることも多い。  計画策定時や更新時には,特集を組むなどして紹介するとより効果的である。 (2) ウェブページ・SNS  作成に当たっては,アクセシビリティに配慮する必要がある。  ICTの進化により画面の文字情報を自動的に音声化することが可能になってきているが,操作が困難であったり,そもそもウェブへのアクセスができない人がいることも忘れてはならない。 (27ページ) (3) 公立図書館  公立図書館には,さまざまな障害者サービス用資料や,それを利用するための方法を広く市民に周知する役割がある。その中で,読書バリアフリー計画の存在や内容を案内する。さらに,より具体的な個別相談に応じられるようにしておく必要がある。 (4) 点字図書館(視覚障害者情報提供施設)  点字図書館には多くの利用者(視覚障害者等)がいて,定期的に目録・利用案内等の情報を発信している。また,拡大・点字・録音等,利用者の希望に合わせた形での情報提供を行っている。  そのような情報提供の機会に読書バリアフリー計画を合わせて掲載してもらう。 (5) 公立小・中学校,義務教育学校,中等教育学校,高等学校及び特別支援学校  児童生徒においては,学校から伝える方法も有効である。特に,読書に困難のある子どもを最初に見つける可能性があるのが学校であることから,学校関係者にこの計画を周知して,そこから子どもや保護者への周知が期待される。 (6) 身近な医療機関等  突発的な傷病による受診や検査で立ち寄るほかに,「視覚による表現の認識が困難な者」は,障害の原因となる疾患等で受診していることが考えられる。そこで,医療機関による案内やポスターの掲示なども有効である。     3 配慮すべきこと  本施策の対象となる「視覚による表現の認識の認識が困難な者(視覚障害者等)」は,情報に触れる機会や方法が制限されている恐れがある。  視覚障害者等への周知にあたっては,家族や支援者から伝わるということもあるが,自らが情報を得て理解できるようにすることが最も重要である。  具体的な方法としては,障害特性に合わせ適切な媒体で情報を提供できるよう,通常の印刷版の他に,テキストデータや点訳データなどを準備するといったことがある。提供方法も,郵送・インターネットによる提供・データのメール添付等も行う。  なお,家族や知人,福祉関係者から「直接話して伝える」ということも重要なので,関係者が広く知っていることは大切である。  主な媒体においては,次の事柄に配慮する。 @ウェブページ:JIS規格「JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第三部:ウェブコンテンツ」を参照して作成する。 A配布物:印刷資料においてはUDフォントを活用するなどフォントを工夫し,文字間隔やコントラストにも配慮する。必要に応じて拡大文字版,音声版,点字版,やさしい日本語版などを提供できるよう準備する。 (28〜29ページ) 図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート公共図書館編 日本図書館協会障害者サービス委員会 図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート公共図書館編検討チーム 2023年4月1日 国立国会図書館関西館 杉田正幸 専修大学 野口武悟 西宮市視覚障害者図書館 山田友香 目次 はじめに:本評価シートについて (1)図書館の区分 図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編 日本図書館協会障害者サービス委員会 図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編 検討チーム 2023年4月1日 国立国会図書館関西館 杉田正幸 (2)評価のランク分け 1 職員体制 2 予算 3 職員の研修 4 指定・届け出・会員登録 5 利用登録 6 設備・サイン(館内表示) 7 読書支援,コミュニケーションを支援する機器 8 所蔵資料 9 資料製作 10 実施しているサービス 11 PR,利用案内,目録 12 催し物,集会活動 13 障害者サービスに関わる図書館協力者,ボランティア 14 都道府県立図書館の障害者サービスに関する市区町村支援 15 公共図書館相互ならびに他館種,他機関との連携 (30ページ) はじめに:本評価シートについて 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称「障害者差別解消法」)が2016年に施行されるのを機に,日本図書館協会では,「図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン」および「JLA障害者差別解消法ガイドラインを活用した図書館サービスのチェックリスト」を作成,公表した。 その後,「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(通称「読書バリアフリー法」)が2019年に,「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(通称「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」)が2022年に制定された。 しかしながら,いまもなお,多くの公共図書館では十分な障害者サービスを提供できているとは言いがたい現状にある。特に都道府県立図書館の取り組みは,域内の公共図書館の障害者サービスのモデルとなるべきであるが,残念ながらそうなっていない場合も多い。障害者サービスの地域差が大きいのも課題といえる。 そこで,日本図書館協会障害者サービス委員会では,過去に作成したガイドラインやチェックリストをふまえて,図書館の規模ごとに具体的にどのような取り組みが必要かをまとめた「図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編」を作成することとした。各図書館では,この評価シートを活用して,職員,予算,研修,設備,サービス,広報,連携などについて具体的に自館の状況を確認したうえで,障害者サービスの達成目標を定めるなどして,改善につなげていただければ幸いである。 なお,自治体内に複数の図書館を設置している場合は,障害者サービスの拠点となる図書館を本評価シートでは想定している。委託や指定管理の図書館では自治体が障害者サービスの仕様書を作る際に自治体の規模に合わせたサービスが行えるよう,この評価シートの内容をできる限り盛り込んでほしい。 すべての公共図書館が「障害者差別解消法」および「読書バリアフリー法」,「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の目的とするところの実現を目指して,障害者サービスの一層の充実に取り組むことを期待する。 (1)図書館の区分 本評価シートは,総務省の自治体区分に沿って区分けしている。 区分は,左から順に 「1:都道府県立図書館」 「2:政令指定都市・人口50万人以上の自治体の図書館」 「3:人口20万人以上50万人未満の自治体の図書館」 「4:人口5万人以上20万人未満の自治体の図書館」 「5:人口5万人未満の自治体の図書館」 「6:私立図書館」 の6つに分けている。 なお,県人口の少ない地域等では,単純に人口だけで自治体のあり方を区分できるとは限らない。そのため,人口規模によらず,各自治体の特性や歴史的・社会的背景も考慮しつつ,以下のランク分けをより積極的に考えてほしい。 (2)評価のランク分け 各項目においてA〜C,該当しないの4つのランクを示している。 A:必ず取り組みたい,B:取り組みたい,C:できれば取り組みたい,―:該当しない (31ページ) 1 職員体制 1-1 事務分掌に障害者サービスがある 1-2 障害者サービスを担当する専任の職員がいる 1-3 障害者サービスを担当する職員がいる 1-4 障害者サービスを担当する障害のある職員がいる 1-5 障害者サービス以外を担当する障害のある職員がいる 1-6 点字の読み書きができる職員がいる 1-7 手話のできる職員がいる 1-8 録音資料製作の基礎的なスキルを有する職員がいる 1-9 対面朗読のできる職員がいる 1-10 読書支援機器等の説明ができる職員がいる 2-1 対面朗読の予算がある 2-2 障害者サービス用の資料購入費がある 2-3 録音資料(音声デイジー・マルチメディアデイジー)製作の予算がある 2-4 点字資料製作の予算がある 2-5 テキストデータ(テキストデイジー・プレーンテキスト)製作の予算がある 2-6 拡大写本製作の予算がある 2-7 字幕・手話入り資料製作の予算がある 2-8 図書館協力者(音訳者・点訳者等)養成のための予算がある 2-9 図書館協力者への報償費を予算化している 2-10 図書館協力者,ボランティアへの交通費等の実費を予算化している 2-11 読書支援機器等の利用をサポートする人材育成の予算がある 2-12 研修会・イベント等の開催に際して,障害のある参加者に対する情報保障(手話通訳・要約筆記・点訳等)の予算がある 2-13 読書補助具(拡大鏡,老眼鏡,リーディングトラッカー等)の購入予算がある 2-14 障害者サービス用機器(拡大読書器,デイジー再生機,音声読書器等)を購入またはリースする予算がある 2-15 利用者向けの読書支援機器の使い方講座を開催する予算がある 2-16 障害者サービスに関する職員研修(開催・派遣)の予算がある 2-17 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」に加入する予算がある 2-18 郵送貸出用サービスに関わる予算がある 2-19 障害者サービスに関する広報パンフレットを作成する予算がある 3-1 自館または都道府県立図書館が開催する障害者サービスの基本的な事項に関する研修会に参加 3-2 自館または都道府県立図書館が開催する障害者サービスの専門的な事項に関する研修会に参加 3-3 障害者差別解消法や読書バリアフリー法等に関する職員研修会を実施・開催 3-4 日本図書館協会等が開催する障害者サービス研修会に参加 3-5 自館または他機関で開催される点字の研修会に参加 3-6 自館または他機関で開催される手話等のコミュニケーションスキル向上等の研修会に参加 3-7 自館または他機関で開催される音訳の研修会に参加 3-8 自館または他機関で開催される読書支援機器の研修会に参加 (32ページ) 4 指定・届け出・会員登録 4-1 特定録音物等郵便物発受施設の指定を受けている 4-2 心身障害者用ゆうメール発受施設の届出をしている 4-3 聴覚障害者用ゆうパック発受施設の指定を受けている 4-4 「サピエ」に会員登録をしている 4-5 「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」(国立国会図書館)の送信承認館になっている 5 利用登録 5-1 家族や代理人による利用登録を受け付けている 5-2 登録申し込み等で必要な場合は職員が代筆,筆談の支援をしている 5-3 登録申し込み等で必要な場合は職員が手話,点字等のコミュニケーション支援をしている 5-4 来館せずに電話,郵送,FAX,メール,オンライン等の方法で利用登録ができる 5-5 「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」の別表に該当するかの確認をもって,障害者サービスの登録・利用ができる 5-6 視覚障害者の「サピエ」の個人利用登録を受け付けている(A会員) 5-7 視覚障害者でない障害者の「サピエ」の個人利用登録を受け付けている(B会員) 6 設備・サイン(館内表示) 6-1 障害者用の駐車スペースがある 6-2 2階建て以上の建物の場合はエレベーターがある 6-3 エレベーターに点字・音声・車いす用ボタン等の配慮がしてある 6-4 入口や館内の段差にスロープがある 6-5 階段や廊下に手すりがある 6-6 階段や廊下の手すりには点字表示が付いている 6-7 階段や廊下の手すりには触覚でわかるものが付いている 6-8 対面朗読室がある 6-9 音訳の部屋(録音室)がある 6-10 点訳の部屋がある 6-11 障害者サービス用資料コーナーがある 6-12 障害者のための読書室(録音図書の閲覧,知的障害者のクールダウンスペース)がある 6-13 車いす利用者を意識したカウンターがある 6-14 貸出用の車いすを用意している 6-15 高さ調節のできる閲覧机がある 6-16 明るさ調節用のカーテン等がある 6-17 バリアフリートイレ(多機能トイレ)がある 6-18 補聴援助システム(ヒアリングループ)がある 6-19 聴覚障害者用の緊急連絡システム(デジタルサイネージ,点滅ランプ等)がある 6-20 入口に盲導鈴(チャイム)がある 6-21 入口付近に職員と連絡するためのインターホンがある 6-22 道路から入口までの点字誘導ブロックがある 6-23 館内に点字誘導ブロックがある 6-24 点字誘導ブロックは黄色,または弱視に見やすい床面と区別がつくような配色になっている 6-25 館内の案内にルビがついている 6-26 案内表示は大きく見やすくなっている 6-27 案内表示にピクトグラム(絵記号)を活用している 6-28 案内表示の色の組み合わせに注意している 6-29 案内表示に点字がついている (33ページ) 6-30 点字案内板が設置されている 6-31 音声案内版が設置されている 6-32 通路上にブックトラックを放置するなど移動の障壁となる物を置いていない 6-33 車いすや高齢者等のために,通路の幅や書架の高さと幅に配慮している 6-34 透明なドアや仕切りがある場合,衝突防止への配慮ができている 7 読書支援,コミュニケーションを支援する機器 7-1 据え置き型の拡大読書器 7-2 携帯型の拡大読書器 7-3 卓上型デイジー再生機 7-4 携帯型デイジー再生機 7-5 音声読書器 7-6 点字ディスプレイ 7-7 視覚障害者等が利用できるソフトウェア (1) スクリーンリーダー(画面読み上げソフトウェア) (2) 画面拡大ソフトウェア (3) 音声ブラウザ (4) 読書専用ソフトウェア (5) 活字OCRソフトウェア (6) 点訳ソフトウェア(点字エディタ) (7) 自動点訳ソフトウェア 7-8 上肢障害者向けのパソコン操作を補助する装置およびパソコン支援ソフトウェア 7-9 点字プリンター 7-10 拡大鏡や老眼鏡 7-11 ウェアラブル眼鏡 7-12 リーディングトラッカー 7-13 書見台 7-14 ページめくり機B 7-15 タブレット端末(読書支援用) 7-16 筆談器 7-17 コミュニケーションボード 7-18 立体プリンター(3Dプリンター),立体コピー機 7-19 スマホスタンド,タブレットスタンド 7-20 電子ルーペ 7-21 点字器 7-22 点字タイプライター 7-23 表面作図器(レーズライター) 7-24 卓上ライト 8 所蔵資料 8-1 録音資料(音声デイジー・テープ) 8-2 録音資料(朗読CD,朗読テープ,オーディオブック等) 8-3 点字資料(冊子) 8-4 点字資料(データ) 8-5 マルチメディアデイジー 8-6 テキストデイジー 8-7 プレーンテキスト 8-8 その他のアクセシブルな電子書籍(EPUB,透明テキスト付きPDF等) 8-9 大活字本 8-10 拡大写本 8-11 点字付き絵本 8-12 触る絵本 8-13 布の絵本 (34ページ) 8-14 その他のバリアフリー絵本(手話付き等) 8-15 LLブック 8-16 字幕・手話入りDVD 8-17 音声解説付きDVD 9 資料製作 9-1 録音資料(音声デイジー等)の製作 9-2 点字資料(データ・冊子)の製作 9-3 マルチメディアデイジーの製作 9-4 テキストデイジーの製作 9-5 プレーンテキストの製作 9-6 拡大写本の製作 9-7 字幕・手話付きビデオの製作 9-8 点字付き絵本の製作 9-9 触る絵本の製作 9-10 布の絵本の製作 9-11 完成した資料の書誌情報は国立国会図書館「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」,「サピエ図書館」を通じて提供している 9-12 完成した資料のデータは国立国会図書館「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」,「サピエ図書館」を通じて提供している 10 実施しているサービス 10-1 対面朗読サービス 10-2 読書支援機器の提供 10-3 一般資料の郵送貸出,または宅配サービス 10-4 視聴覚資料の郵送貸出,または宅配サービス 10-5 点字資料の郵送貸出,または宅配サービス 10-6 録音資料の郵送貸出,または宅配サービス 10-7 その他の著作権法第37条第3項により複製された障害者サービス用資料の郵送貸出,または宅配サービス 10-8 アクセシブルな電子書籍の配信サービス 10-9 アクセシブルなデータベースの提供 10-10 アクセシブルなデジタルアーカイブの構築 10-11 アクセシブルなウェブOPACの提供 10-12 アクセシブルな館内OPACの提供 10-13 施設入所者へのサービス 10-14 入院患者へのサービス 10-15 特別支援学校・学級へのサービス 10-16 来館時の合理的配慮の提供 10-17 機器の使い方などの個別支援の実施 11 PR,利用案内,目録 11-1 一般的な利用案内がある (1) 印刷版(ルビ有り) (2) 印刷版(ルビ無し) (3) 拡大文字版A (4) 点字版 (5) 音声版 (6) テキストデータ版A (7) LL版(わかりやすくて読みやすい) (8) 字幕手話入り映像版 11-2 障害者サービス利用案内がある (1) 印刷版(ルビ有り) (2) 印刷版(ルビ無し) (3) 拡大文字版 (4) 点字版 (5) 音声版A (6) テキストデータ版 (7) LL版 (8) 字幕手話入り映像版 11-3 障害者サービス用資料の目録がある (1) 印刷版 (2) 拡大文字版 (3) 点字版 (4) 音声版 (5) テキストデータ版 11-4 図書館だより(利用者向け広報) (1) 印刷版 (2) 拡大文字版 (3) 点字版 (4) 音声版 (5) テキストデータ版 11-5 図書館のホームページ (1) 図書館単独のホームページがある (2) ウェブアクセシビリティのJIS規格に準拠している (3) 読み上げソフトに対応したページを作成している (4) 文字の色・大きさ・背景色などの配慮をしている (5) 障害者向け利用案内ページを作成している (6) ウェブアクセシビリティ方針を公開している 12 催し物,集会活動 12-1 手話によるおはなし会の開催 12-2 バリアフリー映画会の開催 12-3 ICT読書支援機器講習会の開催 12-4 障害者サービスに関する資料展を実施している 12-5 障害者サービスに関する常設展示を実施している 12-6 障害者サービスなどに関するセミナーの開催 12-7 講演会・セミナーにおける障害者への配慮 (1) 障害を理由に参加を断らない (2) ボランティアなどの同伴者がいなくても障害者が個人で参加できる (3)申し込みや問い合わせについて,コミュニケーションに困難のある障害者が単独でもできるように配慮している (4) 希望により手話通訳をつけている (5) 希望により要訳筆記をつけている (6) 希望により点字資料を準備している (7) 希望により録音資料を準備している (36ページ) (8) 希望によりテキストデータを準備している (9) 希望により大きな文字の資料を準備している 13 障害者サービスに関わる図書館協力者,ボランティア 13-1 図書館協力者,ボランティアの登録体制がある 13-2 対面朗読を行う図書館協力者(音訳者)がいる 13-3 録音資料製作を行う図書館協力者(音訳者等)がいる 13-4 点字資料製作を行う図書館協力者(点訳者等)がいる 13-5 その他の資料製作を行う図書館協力者,ボランティアがいる 13-6 図書館協力者の養成講座を実施している 13-7 図書館協力者,ボランティアのためのフォローアップ研修を実施している 13-8 図書館協力者,ボランティアが外部研修を受けられる体制ができている 14 都道府県立図書館の障害者サービスに関する市区町村立図書館・学校図書館への支援 14-1 域内職員研修会の開催 14-2 域内職員の情報交換会や連絡会等の開催 14-3 運営相談や見学への対応 14-4 障害者サービス実態調査の実施 14-5 障害者サービス関連資料の収集,サービスマニュアル等の整備 14-6 市区町村等で製作が困難な障害者サービス用資料の製作 14-7 市区町村等で所蔵していない障害者サービス用資料の協力貸出 14-8 都道府県としての読書バリアフリー計画の策定に参画 14-9 市区町村の読書バリアフリー計画の策定支援 ※都道府県立のみの評価 15 公共図書館相互ならびに他館種,他機関との連携 15-1 公共図書館同士が相互に連携している 15-2 視覚障害者情報提供施設(点字図書館)と連携している 15-3 聴覚障害者情報提供施設と連携している 15-4 特別支援学校の学校図書館と連携している 15-5 小学校・中学校・高等学校の学校図書館と障害者サービスに関して連携している 15-6 大学図書館と障害者サービスに関して連携している 15-7 上記以外の図書館(福祉施設, 病院患者図書館,刑務所図書館等)と障害者サービスに関して連携している 15-8 図書館以外の機関と障害者サービスに関して連携している 15-9 自治体内に館種横断の障害者サービスに関する協議体を組織している (37ページ) 所属 公益社団法人全国学校図書館協議会 氏名 設楽敬一 当会主催の学校司書研修講座(7領域42講座)において「児童生徒理解の基礎」領域で次の講座を開設している。 @児童生徒理解の意義と方法 A特別支援教育の考え方 Bさまざまな障がい Cカウンセリングマインド D学校図書館づくりに関する配慮1 E学校図書館づくりに関する配慮2 講師は、@ABが磯部延之氏、Cが千葉尊子氏、DEが野口武悟氏 成果 学校司書がさまざまな障がいのある児童生徒と接するときの基礎・基本を具体例を交えて提供することで、障がいに応じた対応の拠り所となった。講座のまとめとして野口武悟氏による読書バリアフリー法の趣旨や運用等についての解説が日々の活動に有効であるとの感想が寄せられた。 今後の課題・計画 例年多くの受講者を得ているが、障害のある子も利用しやすい図書館となるよう特別支援学校の図書館はもとより全ての学校図書館での読書バリアフリー化を目指した活用に寄与できるように講座の内容を充実していきたい。 添付資料 なし (38ページ) 所属 一般社団法人日本書籍出版協会日本出版インフラセンター 氏名 樋口清一 取組 出版業界が一体となって、読書バリアフリー法に対応するため書協に「AB委員会」、JPOに「ABSC準備会」を立ち上げ、出版者としての取り組みの検討を行ってきた。 おもな取り組みは3つ。@出版業界の理解を促進するため「ABSC準備会レポート」を発行・配布 A「アクセシブルな電子書籍等」の量的拡大、質の向上を目指して、「ABSC準備会」の下に「TTS推進WG」を設置 B商用出版物を網羅した「本の総合カタログ Books(https://books.or.jp)の充実とアクセシブル化」 成果 「AB委員会」「ABSC準備会」を開催し、先行事例の調査・課題の検討を行った。 @出版者の理解を深めるために「ABSC準備会レポート」を2回発行。レポートの取材を通じでも気付きなども取組に反映した。 レポートの配布先は出版者2,600社だけでなく、出版業界団体、出版関連団体のほかに、日本視覚障害者団体連合を構成する団体や盲学校にも配布した。 また、電子書籍版やマルチメディアDAISY版、点字版も制作し、公開した。 ATTSに関わる事業者等を招いて勉強会を実施、TTSを推進するにあたっての課題発見に努めた。配信事業者とも連携して、理解の増進を図った。 BBooksをJIS8341-3:2016レベルAに改修。出版情報登録センター(JPRO)の電子書籍登録で「TTS対応」の項目を増設し、TTS対応の電子書籍が判別できるようにした。 またオーディオブックの登録もできるようにした。以上の取組によって「準備会」がとれて、2023年度より「ABSC」として活動していくことになった。 今後の課題・計画 @ 情報発信と問い合わせ受付用のABSC専用のウェブサイトを設置し、よりいっそう情報発信、理解促進に努める。「ABSCレポート」も継続して発行していく。 A アクセシブルな電子書籍の普及促進の為のEPUBリフロー電子書籍作成の普及促進。電子書籍のTTS対応の為の基準の策定などを手掛けていく。 B Booksのさらなる拡充。他団体の公開データと連携し、アクセシブルな情報を充実させる。 添付資料 https://jpo.or.jp/absc/report/ab/ (39ページ)