尾上構成員提出資料 第2期基本計画策定に向けて  第1期基本計画において施策の方向性は定められてはいるものの、これらの施策が着実に進んでいるとは言い難い現状である。その要因として、多様な視点で施策の方向性が示されているにも関わらず、十分な予算措置や事業展開がなされていないことがあげられる。  劇団や音楽団体等の芸術団体や美術館、劇場・音楽堂等を運営する団体、福祉事業者などの民間団体、行政がそれぞれに事業を展開するだけでは成果があげられないと考える。次期計画においては、上記の多様な主体がどのように具体的に連携するか、当事者の参画をどう進めていくか、その施策の方向性を具体的に盛り込むことが求められる。  また、芸術団体や美術館、劇場・音楽等の事業者等が、障害者の文化芸術活動をどのように捉え事業を実施したらよいか、その視座を十分にもつことができていないこと、障害者の文化芸術活動が共生社会の実現につながるという明確なビジョンをもつことができていないことも、基本計画の施策の推進につながらない要因と考えられる。第2期基本計画期間中における改正障害者差別解消法の施行を見据え、文化芸術分野における合理的配慮が当然のこととして提供されるよう、事業の実施を通して各事業者等の意識変革や人材育成を主眼に置いた施策展開が次期計画に盛り込まれるべきである。  上記を踏まえ、次期計画を策定に向け、以下の点を具体的に掘り下げた検討が必要である。 (1)美術館や劇場・音楽堂といった公立文化芸術施設、または映画館や民間の文化施設など、地域における複数の場所が分野に応じた拠点機能を担い、障害者の文化芸術鑑賞・創造・体験・交流する機会の確保 (2)鑑賞、創作、発表等の場や機会を創る過程において、障害当事者が積極的に参画できる体制整備 (3)改正障害者差別解消法によって事業者の合理的配慮が義務化されることをふまえた文化芸術における合理的配慮と環境整備の促進 (4)2025年大阪・関西万博に向け、日本博において障害者の文化芸術活動を一層推進し、国際社会への発信を強化。大阪・関西万博での障害者文化芸術の常設展示による世界への発信 (5)学校教育における障害者による舞台芸術公演等の促進(ユニバーサル公演の拡充) (6)劇団や音楽団体等の芸術団体や美術館、劇場・音楽堂等を運営する団体、福祉事業者、行政、民間団体等、多様な主体の連携を促進するための仕組みづくり (7)芸術分野、福祉分野いずれかに傾倒することなく、障害者の文化芸術活動を正しく理解し事業を実施したらよいか、その視座を十分に持つ人材の育成 (8)厚生労働省と文化庁の連携強化。及び両省庁における地方公共団体へのフォロー、必要な財政上の措置を図るなどの施策の強化