参考資料1−2 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律 平成三十年法律第四十七号 目次 第一章 総則(第一条―第六条) 第二章 基本計画等(第七条・第八条) 第三章 基本的施策(第九条―第十九条) 第四章 障害者文化芸術活動推進会議(第二十条) 附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、文化芸術が、これを創造し、又は享受する者の障害の有無にかかわらず、人々に心の豊かさや相互理解をもたらすものであることに鑑み、文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、障害者による文化芸術活動(文化芸術に関する活動をいう。以下同じ。)の推進に関し、基本理念、基本計画の策定その他の基本となる事項を定めることにより、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「障害者」とは、障害者基本法第二条第一号に規定する障害者をいう。 (基本理念) 第三条 障害者による文化芸術活動の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 一 文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、国民が障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるよう、障害者による文化芸術活動を幅広く促進すること。 二 専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された文化芸術の作品が高い評価を受けており、その中心となっているものが障害者による作品であること等を踏まえ、障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援を強化すること。 三 地域において、障害者が創造する文化芸術の作品等(以下「障害者の作品等」という。)の発表、障害者による文化芸術活動を通じた交流等を促進することにより、住民が心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現に寄与すること。 2 障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を講ずるに当たっては、その内容に応じ、障害者による文化芸術活動を特に対象とする措置が講ぜられ、又は文化芸術の振興に関する一般的な措置の実施において障害者による文化芸術活動に対する特別の配慮がなされなければならない。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (財政上の措置等) 第六条 政府は、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 基本計画等 (基本計画) 第七条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(以下この章において「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害者による文化芸術活動の推進に関する施策についての基本的な方針 二 障害者による文化芸術活動の推進に関し政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 基本計画に定める前項第二号に掲げる施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の時期を定めるものとする。 4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。 5 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 6 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 7 第四項及び第五項の規定は、基本計画の変更について準用する。 (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。 第三章 基本的施策 (文化芸術の鑑賞の機会の拡大) 第九条 国及び地方公共団体は、障害者が文化芸術を鑑賞する機会の拡大を図るため、文化芸術の作品等に関する音声、文字、手話等による説明の提供の促進、障害者が文化芸術施設(劇場、音楽堂、美術館、映画館等の文化芸術活動のための施設をいう。第十一条において同じ。)を円滑に利用できるようにその構造及び設備を整備すること等の障害の特性に応じた文化芸術を鑑賞しやすい環境の整備の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術の創造の機会の拡大) 第十条 国及び地方公共団体は、障害者が文化芸術を創造する機会の拡大を図るため、障害者が社会福祉施設、学校等において必要な支援を受けつつ文化芸術を創造することができる環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術の作品等の発表の機会の確保) 第十一条 国及び地方公共団体は、障害者の作品等の発表の機会を確保するため、文化芸術施設その他公共的な施設におけるその発表のための催し(障害者の作品等が含まれるように行われる一般的な文化芸術の作品等の発表のための催しを含む。)の開催の推進、芸術上価値が高い障害者の作品等の海外への発信その他の必要な施策を講ずるものとする。 (芸術上価値が高い作品等の評価等) 第十二条 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等が適切な評価を受けることとなるよう、障害者の作品等についての実情の調査及び専門的な評価のための環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。2 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等について適切に記録及び保存が行われることとなるよう、その保存のための場所の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。 (権利保護の推進) 第十三条 国及び地方公共団体は、障害者の作品等に係るこれを創造した障害者の所有権、著作権その他の権利の保護を図るため、関連する制度についての普及啓発、これらの権利に係る契約の締結等に関する指針の作成及び公表、その締結に際しての障害者への支援の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 (芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等に係る販売、公演その他の事業活動について、これが円滑かつ適切に行われるよう、その企画、対価の授受等に関する障害者の事業者との連絡調整を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術活動を通じた交流の促進) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害者による文化芸術活動を通じた交流を促進するため、障害者が小学校等を訪問して文化芸術活動を行う取組の支援、特別支援学校の生徒等と他の学校の生徒等が文化芸術活動を行い、相互に交流する場の提供、文化芸術に係る国際的な催しへの障害者の参加の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (相談体制の整備等) 第十六条 国及び地方公共団体は、障害者による文化芸術活動について、障害者、その家族その他の関係者からの相談に的確に応ずるため、地域ごとの身近な相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、第九条の説明の提供又は環境の整備に必要な知識又は技術を有する者、第十条の支援を行う者、第十二条第一項の評価を担う専門家、前条の相談に応ずる者その他の障害者による文化芸術活動の推進に寄与する人材の育成及び確保を図るため、研修の実施の推進、大学等における当該育成に資する教育の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (情報の収集等) 第十八条 国は、障害者による文化芸術活動の推進に関する取組の効果的な実施に資するよう、国内外における当該取組に関する情報の収集、整理及び提供を行う等、障害者による文化芸術活動に関する調査研究の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。 (関係者の連携協力) 第十九条 国及び地方公共団体は、第九条から前条までの施策の円滑かつ効果的な推進のため、国及び地方公共団体の関係機関、障害者による文化芸術活動を支援する社会福祉法人その他の団体、大学その他の教育研究機関、事業者等の相互間の連携協力体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。 第四章 障害者文化芸術活動推進会議 第二十条 政府は、文化庁、厚生労働省、経済産業省その他の関係行政機関の職員をもって構成する障害者文化芸術活動推進会議を設け、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。2 前項の関係行政機関は、障害者による文化芸術活動の推進に関し学識経験を有する者によって構成する障害者文化芸術活動推進有識者会議を設け、同項の連絡調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。 附則抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。