01/12/21 第2回建築物衛生管理検討会議事録            第2回建築物衛生管理検討会                 議事録            日時:平成13年12月21日(金)10:00〜            場所:中央合同庁舎第5号館17階               専用第18〜20会議室            議事 1)事業者の登録制度について               2)建築物環境衛生管理基準について               3)その他 ○事務局  それでは、ただいまから第2回建築物衛生管理検討会を開催させていただきます。  本日は、御多用のところ建築物衛生管理検討会に御出席いただき、誠にありがとうご ざいます。  本日は、眞柄委員が欠席との御連絡をいただいてございます。  開会に当たり、厚生労働省健康局の下田局長よりごあいさつを申し上げる予定でござ いましたが、国会業務の関係で遅れておりますので、到着した段階でごあいさつを申し 上げます。  なお、本日は固定マイクを用意しておりますので、御発言の際にはお手もとのボタン を押していただきますようお願いいたします。  それでは、座長の吉澤先生、よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  おはようございます。本日はお忙しいところ出席いただきましてありがとうございま した。これまでにいろいろな資料などについてご協力をいただきまして、厚く御礼を申 し上げます。  それから、傍聴者の皆様方もお忙しいところをよくお出でくださいました。この会議 は、時間の関係もありますので、委員だけに発言は限定されておりますけれども、必要 ならば、後ほど書面か何かで御提出願えれば審議の対象になると思います。どうぞよろ しくお願いいたします。  それでは、まず、事務局から資料の確認をいただきたいと思います。 ○事務局  本日、お手元にお配りさせていただきました資料の紹介をさせていただきます。  まず、資料一覧に基づいて説明させていただきます。  資料1から資料7までございますが、資料1につきましては、委員限りとさせていた だいてございます。  それから、参考資料は1から6までございまして、これも原則委員限りとさせていた だいてございます。  参考資料1、参考資料2、参考資料3につきましては、傍聴者の方々には文献の目次 のみを提示させていただいてございます。  それから、参考資料4といたしましては、田中正敏委員から提出いただいております 「室内化学物質汚染−シックハウスの実態と対応−」の書籍を参考資料4とさせていた だいてございます。  それから、相澤委員の方からいただいている文献が参考資料5、後ほどコピーでお渡 しいたしました「Anxiety and Depressive States in Multiple Chemical Sensitivity 」、これも相澤委員からの提出でございます。  それから、参考資料6で、小田委員から「札幌市健康快適居住環境の指針」をいただ いてございます。  以上が本日の資料でございます。不足等がございましたら申しつけください。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  いかがでございましょうか。もし何かございましたら、どうぞおっしゃってください 。  では、なさそうですので、先へ進ませていただきます。  議事次第がございますので、これに従いまして進めさせていただきます。  まず最初が、前回議事録の確認をお願いします。これは事務局でやっていただけませ んか。 ○事務局  それでは、資料1をごらんください。これは前回の議事録案でございますが、速記録 をもとに、事前に委員の先生方にはお目通しいただきましたものでございます。特段の 問題がなければ、この内容で確定した上で公開の手続に入らさせていただきたいと思い ますが、いかがでございますでしょうか。 ○吉澤座長  御意見か修正提案か何かございますでしょうか。  もし問題なければ、これを議事録として確定いたしたいと思いますが、よろしゅうご ざいますでしょうか。  では、御異議がなさそうなので、前回議事録についてはこれで確定させていただきま す。 ○事務局  ありがとうございました。  それでは、議事録につきましては、厚生労働省のホームページに掲載する形で公開の 手続に入らせていただきます。 ○吉澤座長  それでは、議題に入ります。  この議事次第によりましては、議題としては、「事業者の登録制度について」が1つ 、2番目に「建築物環境衛生管理基準について」があります。3番目は、それ以外に委 員の先生方からの御提案などがあれば、審議したいと思います。  それでは、まず議題1の「事業者の登録制度について」について、これは事務局から 御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  まず、資料2に基づいて御説明させていただきます。  建築物における衛生的環境の確保に関する法律、いわゆる「建築物衛生法」におきま しては、都道府県知事によるビルメンテナンス業務の登録制度というものがございます 。この制度につきましては、資料の2「現行制度」に書いてございますが、建築物の大 型化、あるいはビルメンテナンス業務の外注化に伴うビルメンテナンス事業者数の増加 やその役割の増大を背景として、優良業者の一つの目安とするとともに、事業者にイン センティブを付与することでその資質の向上を図るものとして、昭和55年の法改正によ り設けられた制度でございます。  これまでは、現行の登録業種、(1)から(6)に書いてございますけれども、建築物清掃 業、建築物空気環境測定業、建築物飲料水水質検査業、建築物飲料水貯水槽清掃業、建 築物ねずみこん虫等防除業、そして建築物環境衛生一般管理業、この6つの業種につい て登録制度が設けられてございました。  詳細は次のページをめくっていただきますと、別表という形で現行の登録基準を書い てございます。1号から6号までございますが、それぞれにつきまして、厚生労働省令 におきまして基準を定めてございます。例えば建築物清掃業におきましては、真空掃除 機、床みがき機、掃除用具一式、そういった機械器具を有していることが登録の要件と なってございます。  それから、人的な基準といたしましては、清掃作業監督者あるいは清掃作業従事者が 所定の講習を受講していることを登録の基準としているものでございます。  この登録制度につきましては、さきの臨時国会におきまして、この法律の一部を改正 する法律が成立いたしまして、平成14年の4月1日から施行することとなってございま す。その改正の内容につきましては、以下のとおりでございます。  1番目は、登録業種の拡充といたしまして、現行の6業種に加え、新たに「建築物空 気調和用ダクト清掃業」及び「建築物排水管清掃業」の2業種が追加されました。  それから、現行の第6号の登録業種、「建築物環境衛生一般管理業」でございますけ れども、その従来の業務内容は、清掃、空気環境測定及び飲料水の簡易な水質検査をあ わせて行う事業を一般管理業と言っていたわけでございますけれども、空気環境の調整 、そして給水及び排水の管理が業務として加わりまして、名称が「建築物環境衛生総合 管理業」と改められてございます。  それから、3番目の改正内容といたしましては、各登録業種の登録要件の追加が行わ れてございます。具体的な内容は、厚生労働省令で定めることとされてございますけれ ども、現行のいわゆる人的な基準、物的な基準に加えまして、厚生労働省令で「その他 の事項」に関して基準を定めることとされたものでございます。  資料2の6ページをごらんいただきますと、左側のコラムが今回法律の改正が行われ た改正後の内容でございます。右側は現行でございます。  現行では、十二条の二の第一号が「建築物における清掃を行う事業」、第二号が「建 築物における空気環境の測定を行う事業」、そして、第三号が「建築物における飲料水 の水質検査を行う事業」となってございましたけれども、改正後におきましては、第三 号が「建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業」と変更されてございます。そして 、「建築物における飲料水の水質検査を行う事業」は従来三号であったのが四号に、従 来の四号の「建築物飲料水貯水槽清掃業」が第五号に変更されました。六号といたしま して「建築物排水管清掃業」、七号といたしまして「建築物ねずみ昆虫等防除業」、八 号といたしまして「建築物環境衛生総合管理業」というように変わったわけでございま す。  それから、十二条の二の第2項でございますけれども、従来からの登録に係る事業を 行うための機械器具その他の設備、その事業に従事する者の資格に加えて、その他の事 項として、先ほど申し上げましたような形での改正が行われてございます。  それから、次の7ページでございますけれども、十二条の三は各業種の名前でござい ますけれども、第三号につきましては「登録建築物空気調和用ダクト清掃業」、第六号 につきましては「登録建築物排水管清掃業」、第八号につきましては「登録建築物環境 衛生総合管理業」と表示することができるとされたものでございます。  以上が今回の法改正の内容でございます。  この法改正は、来年の4月1日から施行されますが、厚生労働省といたしまして、厚 生労働省令で基準を定める必要がございます。その基準の内容について、事務局で検討 しているところでございますけれども、資料3をごらんいただきたいと思います。  資料3の方が、現行の登録基準とあわせて今回改正を考えている部分を一覧表にした ものでございます。この線を引いている部分が、今回追加、あるいは改正を考えている 部分でございます。  左の方から、上の方、物的基準と人的基準、そしてその他の基準が今回加わった部分 でございますけれども、順番に説明させていただきます。  1号の「建築物清掃業」でございますが、建築物清掃業につきましては、機械器具、 人的基準につきましては、変更は考えておりません。  その他の基準といたしまして新たに加わる部分でございますけれども、作業の実施方 法が、厚生労働大臣が告示で定める技術的基準に適合していること。要するに、業務の 適正さを基準に加えたいと考えております。  それから、第2号の「建築物空気環境測定業」、この部分につきましても、物的基準 、人的基準については変更は考えておりませんが、その他の基準といたしまして、機器 に関する精度管理が適正に行われていること、という基準を加えたいと考えております 。  そして、第3号の「建築物空気調和用ダクト清掃業」、これは新たに今回の法改正で 加わった業種でございますけれども、物的基準といたしまして、内視鏡カメラ、電子天 びん、コンプレッサー、集じん機、真空掃除機、ダクト開口道具一式、掃除用具一式を 物的基準。そして、人的基準といたしましては、監督者といたしまして空気調和用ダク ト清掃作業監督者、従事者といたしましては、空気調和用ダクト清掃作業従事者の研修 をそれぞれ受講しているものといたします。  それから、その他の基準といたしまして、作業の実施方法が、厚生労働大臣が告示で 定める技術的基準に適合していること、という要件を設定したいと考えております。  それから、第4号「建築物飲料水水質検査業」でございますが、ここにつきましては 、従来は(1)光電分光光度計又は光電光度計、そして(2)原子吸光光度計、(3)高圧蒸気 滅菌器、乾熱滅菌器、乾燥器及びふ卵器、(4)蒸留装置、還流冷却装置及びヒ化水素発 生装置、(5)化学天びん、(6)比色管、分液ロートその他の水質検査用器具といったもの が基準となってございましたけれども、分析技術の進歩による分析法の変化、水道法に 基づく水質基準の測定方法の変更などを踏まえまして、従来の原子吸光光度計をフレー ムレス−原子吸光光度計又は誘導結合プラズマ発光分光分析装置に変更し、そしてガス クロマトグラフ又はガスクロマトグラフ−質量分析計を新たに登録の要件として加えた いと考えてございます。また、従来の蒸留装置、還流冷却装置及びヒ化水素発生装置に つきましても、最近の機械装置の普及状況・使われ方の現状を考えまして、蒸留装置及 び還流冷却装置と変更したいと考えております。それから、化学天びんでございますけ れども、最近の使用実態を踏まえまして、電子天びんに変更したいと考えてございます 。  その他の基準といたしましては、器具等の精度管理が適正に行われていること、とい う基準を設けたいと考えております。  第5号の「建築物飲料水貯水槽清掃業」でございますが、こちらにつきましても物的 基準、人的基準の変更は考えておりませんが、その他の基準といたしまして、作業の実 施方法が、厚生労働大臣が告示で定める技術的基準に適合していること、という要件を 考えてございます。  第6号の「建築物排水管清掃業」、これは今回の法改正で新たに加えられた業種でご ざいますが、物的基準といたしまして、内視鏡カメラ、高圧洗浄機、排水ポンプ、スネ ークワイヤ、ウォーターラム、高圧ホース及び洗浄ノズル、掃除用具一式、これらの器 具につきましては、排水管の清掃の専用のものとするといったことを物的な基準と考え てございます。それから、設備につきましては機械器具等を適切に保管することのでき る専用の保管庫を設けること。  人的基準といたしましては、排水管清掃作業監督者、排水管清掃作業従事者の講習を 受けている者を置くこと。  その他の基準といたしましては、作業の実施方法が、厚生労働大臣が告示で定める技 術的基準に適合していること、という要件を考えてございます。  第7号の「建築物ねずみ昆虫等防除業」でございますが、従来の登録要件に加えまし て、新たに4番でございますが、実体顕微鏡及び調査用トラップ、これは作業の前後で の効果の判定のために用いる用具ということで加えるものでございます。それから、1 番上の煙霧機、あるいはその他の薬剤散布用機械器具というところが従来ございました けれども、最近の使用の実態にあわせて、噴霧機及び散粉機という形で整理させていた だいております。2番目の毒じ皿、捕そ器その他の殺そ用器具につきましても、毒じ皿 、毒じ箱及び捕そ器という変更を考えてございます。  そして設備につきましては、機械器具及び防除作業に必要な薬剤を適切に保管するこ とのできる専用の保管庫を設けること。  人的な基準といたしましては、従来は、毒劇物を扱う場合につきましては、毒物劇物 取扱責任者を置くことという基準がございましたけれども、それを削除することを考え てございます。  それから、その他の基準といたしまして、作業の実施方法が、厚生労働大臣が告示で 定める技術的基準に適合していること、という基準を考えてございます。  8番の「建築物環境衛生総合管理業」でございますが、従来の一般管理業に加えまし て、物的基準といたしましては、空気環境の調整並びに給水及び排水の管理に必要な工 事用具一式を加えたいと考えてございます。  それから、人的基準といたしましては、空気環境の調整や給排水の管理、要するに空 調設備や給排水設備などの維持管理に従事する者の研修を考えてございます。  そして、その他の基準といたしまして、作業の実施方法が、厚生労働大臣が告示で定 める技術的基準に適合していること、精度管理が適正に行われていること、という基準 を考えてございます。  以上が今回の省令の案として考えているものでございます。これにつきましては、本 日、先生方の意見をお伺いした上で、来週の前半にでもパブリックコメントという形で 皆様方に意見を求める手続に入らせていただきまして、1月の末か2月の頭には省令と して公布したいというふうに考えてございます。  それから、資料4につきましても説明させていただきます。  これは今回の法改正とは直接関係ない部分でございますけれども、告示の中で防錆剤 についての規定がございます。防錆剤は、飲料水が錆びた赤水の発生を防ぐための薬剤 でございますけれども、防錆剤を使う場合に防錆剤管理責任者を置くこと、といったこ とを通知等で定めてございますが、現行は、その防錆剤管理責任者の要件といたしまし て、建築物環境衛生管理技術者の免状を有する者、又は財団法人ビル管理教育センター が行う防錆剤管理責任者のための講習を修了した者のいずれかに該当するものとされて ございます。しかし、当該法人による講習は、平成4年度以降、実施されていないとい うことがございますので、実質的にこの法人の指定を今回外した上で、この法人が実施 してきた講習と同程度の内容の講習を行っているものについては、防錆剤管理責任者と して選任するに当たって必要な講習として認める。そういった内容の改正を考えている ものでございます。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問ございましたら、ど うぞよろしくお願いいたします。 ○田中(正)委員  7号のところにあります「昆虫」というのが漢字に変わっておりますが、これはどう したんでしょうか。 ○事務局  これは法令用語上の使い方でございまして、例えば、同じく細かいところで、従来、 5号の貯水槽の槽という字にルビを打ってございましたが、今回の法改正ではルビが取 れております。それと同じように、昆虫の「昆」につきましても、従来ひらがな表記を しておりましたが、昆虫は今回は漢字に変わっております。これは法令用語の使い方の 変化を踏まえた修正が行われたものでございます。 ○田中(正)委員  試験問題などで、かなり関係します。ねずみなど動物については一般的に使用されて いる「カタカナ」ではなく、「ひらがな」で従来どおり使われるのですか。 ○事務局  ねずみはひらがなで書く、昆虫の「昆」は漢字で書くというのが、最近の法令用語の 使い方でございます。 ○田中(正)委員  わかりました。 ○吉澤座長  よろしゅうございますか。勉強しなければいけないことが増えてきます。  続いて、中谷先生、お願いします。 ○中谷委員  それでは、私のほうから何点か気がついたところでお話をさせていただきたいと思い ます。  その他の基準のところで、空気環境測定、あるいは水質検査といったところで「精度 管理が適正に行われていること」と、こういうふうに加えるというお話で、そのとおり だと思うんですが、この件だけではなくて、精度管理という部分、ある程度具体的な精 度管理の実施の方法というものが、このようなものというところのある程度の基準にな るようなものがありませんと、きちんとしたものが担保されないんじゃないかなという ような印象がございまして、できれば具体的な精度管理方法の指定をお考えをいただけ ればありがたいなと考えております。また、2点目が、今回、化学天びんを電子天びん に表現を変えたというお話もあったわけですが、電子天びんも機器によって精度が大き く変わるというところがございますので、どの程度の精度の電子天びんが必要なのかと いうところの最低の基準といったものも、できれば決めていただけるとありがたいなと 考えております。  あと、具体的な個々の部分で5号の飲料水貯水槽の清掃業の部分でございますが、清 掃前後の簡易の水質検査を行うために色濁度計、0.5 度以下ぐらいの精度のものがあり ませんと、簡易の水質検査を行うにあたって支障を来すようなところがございますので 、ぜひそれを追加していただけないかなということ。  あと、照明器具についてはほかの登録業のところにもあるわけですが、特に水回りの 関係で細かい話でございますけれども、この部分については防水型の照明器具というよ うなものが必要なのではないかなというところで、少し個別の登録業の性格に応じた機 械器具の物的基準というようなところでどうでしょうかという御提案でございます。  あと1点、全体を通してでございますが、場合によっては、作業に当たっての完全の 確保というようなところから、作業時の安全標識というようなというものも必要な登録 業もあるかなというふうにも考えておりまして、このあたりも付加的にお考えいただけ るのであれば、念頭に置いて御検討いただけるとありがたいなと、こんなふうに考えて おります。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  精度管理の問題とか、付加すべき器具とかがありましたが、何か今の時点でお考えの ことはありますか。 ○事務局  まず、1点目の精度管理の部分でございますけれども、例えば第2号の建築物空気環 境測定業の部分のいわゆる測定器具でございますけれども、現行では、浮遊粉じん計に つきましては、指定機関での較正をお願いしているわけでございますが、例えば一酸化 炭素、あるいは炭酸ガス、温度、湿度、そういった測定用具について、厳密な外部精度 管理が必要なのかどうかは、まだ検討が要るかと思うんですけれども、内部精度管理、 自らが適正に機械器具の点検をすると、そういったことをイメージをしております。  それから、第4号の水質検査業でございますけれども、かなり高度な精密機器を使用 しますので、機械器具の定期的な点検や確認をやっていただくということは、従来、通 知でもお願いしてきたところでございますが、今回その他の基準として省令に盛り込み たいと考えてございます。中谷委員の方からは告示で具体的に定めていただきたいとい うことでございましたけれども、告示として定めることができるのか、あるいは通知等 の形で私どもの考えをお示しするのか、そのあたりについてはこれからまた検討させて いただきます。  それから、貯水槽の部分で色濁度計と照明器具についての御意見をいただきましたが 、その部分につきましては検討させていただきます。  それから、安全確保等の標識等の部分についても検討させていただきます。  それから、電子天びんの部分につきまして、具体的にどこまではかれるかの基準をと いうことでございましたけれども、電子天びんの精度の基準ということにつきまして、 もし委員の先生方から何か意見がございましたらお聞かせいただきたいと考えておりま す。 ○吉澤座長  中谷先生の方は大体そういうことでよろしゅうございますか。今の電子天びんの精度 と感度について何か御意見があればというふうにおっしゃっているんですが、何かござ いますでしょうか。 ○小田委員  これは教えていただきたいんですけれども、初歩的なんですが、空気調和用ダクト清 掃業で電子天びんを挙げておりますけれども、この使われ方というか、必要性というか 、その辺を教えていただきたいんですが。 ○事務局  ダクトの壁面に油脂成分とかが付着していると思うんですが、そういったところの清 掃の作業効果の判定ということで、作業前と作業後で布を用いたぬぐい取り法により重 さをはかって、作業が適切に行われたかどうかを判定するために使う器具であると考え てございます。 ○小田委員  わかりました。 ○石塚委員  8号のところで、建築物環境衛生総合管理業に今回変わるというわけですが、従前の 一般管理業におきましても研修等は行われていたわけですけれども、今後、総合管理業 なので、研修の内容のさらに充実が必要になるのではないかと思います。  昨今、省エネルギーとかということを言われておりまして、これはコスト削減にもつ ながるわけで、省エネルギー運転ということが求められているのではないかと、このよ うに思います。  関連して、経済性の確保ということも総合管理という面では非常に出てくるかと思う わけですが、そういうような経済性を確保するために、例えば巷間でライフサイクルコ ストとかそういうことを言われておりますが、そういうことも含めた研修の内容の充実 が必要かと、このように思います。  以上です。 ○事務局  ありがとうございます。  従来から建築物一般管理業におきましても、指定機関で行われている統括管理者の講 習につきましては、省エネルギーの問題ですとか、適切な管理のあり方についての講習 の内容が含まれてございましたけれども、先生の意見を踏まえまして、そういったとこ ろの充実を図っていきたいと考えてございます。 ○田中(生)委員  7号のところで、1番に噴霧機及び散粉機があがっています。今、空間処理方式が随 分とられますすが、以前ですと、その他の薬剤散布用機械器具で読めました。これはど う考えたらいいのかというのが1つ。  もう1つは確認ですが、毒劇の取扱責任者を削除したその理由、その2つをお聞きし たい。 ○事務局  その他の薬剤散布用機械器具については、従来「その他の」ということで定めてござ いましたが、「その他の」という書き方をした場合に、具体的に何を指すのかというの があいまいになってしまうということで、都道府県レベルで運用にあたって混乱があっ たという話も聞いておりますので、最小限必要なものといたしまして、噴霧機と散粉機 に今回限定したものでございます。もしそれ以外でも絶対必要なものということがあれ ば、それを必須条件として加えることは可能かと思いますけれども、何かございますで しょうか。 ○田中(生)委員  つまり、ねずみ、害虫防除では、害虫の種類とか対処方法、使用する薬剤の剤型等に よって、たくさんの機器があるわけです。そのどれを使うかというのは、その時々で考 えていかなければいけないので、ここには「その他の」というのが入っていた方がいい のではないかという気がします。 ○事務局  煙霧機というのも、やはり従来どおりあった方がいいんでしょうか。 ○田中(生)委員  煙霧機は、今、余り使われていません。むしろULVなどの機械が随分使われていま す。 ○事務局  最近では、煙霧機が余り使われていないということを聞いておりましたので、そうい った観点から、煙霧機を削除いたしますが、煙霧機を削除した場合に、「その他の薬剤 散布用機器」というのが何を意味するのかということが問題となります。先ほどの先生 の御指摘どおり、使う剤型や作業の実施方法によって用いる薬剤散布用機器が異なるの であれば、作業の実施に当たって必要な機器を所有するのが当然かと思われますので、 登録にあたり最小限必要な物的基準として、噴霧機と散粉機を考えているところでござ います。このあたりにつきましては、先生の御意見も踏まえ、また、パブリックコメン トでの意見も踏まえて、適切に対応したいと考えております。  それから、2点目の毒物劇物取扱いの関係でございますが、これも従前は、毒劇物を 取り扱う場合という規定がありました。この制度ができた昭和55年当時は、原則とし て、薬事法上の承認を得た医薬品又は医薬部外品を使うのが一般的だったんですけれど も、場合によれば、毒劇物を使っている実態もあるということで、そういった実態を踏 まえて、毒劇物を取り扱う場合には、毒物劇物取扱責任者を置いて厳重な管理のもとで 運用しなさいということで規定されていたわけでございます。しかし昨今、安全性、健 康の問題に関する関心が高まってございまして、前回の検討会でも御説明しました通り 、8月に通知を出させていただき、毒劇物を使わずに医薬品又は医薬部外品を使うよう お願いしてきたところでございます。そういったところを踏まえて、多数の者が利用す る建築物におけるねずみ昆虫等の防除に使う薬剤は医薬品又は医薬部外品に限定され、 毒劇物を使用することがないのに毒劇物取扱責任者を置くというのは整合性がとれない ので削除することを考えております。 ○吉澤座長  多少、異論の点がありそうですけれども、いかがでございましょうか。 ○事務局  ただし、この薬剤の安全性につきましては、従来からも防除作業監督者の講習の中で 安全性については十分配慮しているところでございますけれども、そういった安全性に 関する部分の講習内容の充実を図っていきたいと考えております。 ○田中(生)委員  毒劇のところでお聞きしたのは、この前の通知で使用する薬剤は医薬品、医薬部外品 に限る、というお話があったのですが、実際には医薬品、医薬部外品で許認可を受けた 対象生物以外のものをかなり多数防除しなければならないというところがあって、その 場合どうするのかという問題があります。そのようなケースで、それ以外のものを使用 する場合に、毒物劇物に相当するものがないかどうかというのは、私も十分よく理解は していないので、この条項を削ってしまってもいいのかどうかというのがちょっと気に なったということです。 ○事務局  実は今先生に発言いただいた部分を含め、本来でありますと、この検討会で議論いた だいた意見の集約を踏まえて、省令の改正を行っていくのが筋ではありますが、法律で 4月1日からの施行と明記されておりますので、それまでに省令を公布しないといけな いという事情がございます。従いまして、順番としては前後してしまいますが、本日提 示いたしました改正案をもとに、本日先生方からいただきました意見を踏まえて、省令 を公布させていただき、この検討会で結論が得られればこれを踏まえ、必要があれば再 度見直しを行いたいと考えております。 ○吉澤座長  そんなことでよろしいんでしょうか。多少異論がありそうですけれども、しょうがな いですかね。よろしゅうございますか、田中先生。 ○紀谷委員  若干細かいことになりますが、第5号、貯水槽清掃の関係に長らく付き合っているも のですから、しょっちゅう審査会等で問題になっているのですが、この配列がいかにも 作業手順を踏まえていないということがありまして、これはほかの規定にも関係すると 思いますが、できる限り作業手順に従って並べかえていただきたい。これが試験等でも 非常に苦慮しているというところであります。  それから、今回、第8号で(4)「空気環境の調整並びに給水及び排水の管理」という 言葉が出てきたわけですが、この給水及び排水の管理というのが具体的に何を指すかと いうところで、このほかの号の該当するところ、例えば4、5、6号を指すということ かと思いますが、その辺が明確になる必要がないのかどうか。  その場合に、その他の基準のところを見ますと、精度管理というのが括弧付きで空気 環境の測定ということだけが書いてあって、水質検査というのが入っていないというと ころは、あえてそうなさったのかどうか、その辺のところをちょっと伺いたいんですが 。 ○事務局  まず、1点目の貯水槽清掃業の機械器具の並べ方の部分でございます。あるいは貯水 槽清掃業以外についても並べ方がおかしいという部分がございましたら、具体的に案を お示しいただければ考慮したいと考えておりますので、後ほどメモをいただければと思 います。  それから、8号の総合管理業の基準ということでございますけれども、総合管理業が 何なのかということ、法律上の定義で、改正後の十二条の二の第8号で「建築物におけ る清掃、空気環境の調整及び測定、給水及び排水の管理並びに飲料水の水質検査であっ て、建築物における衛生的環境の総合的管理に必要な厚生労働省令で定める程度のもの を行う事業」ということが定められております。具体的に、総合的管理に必要な厚生労 働省令で定める程度のものという内容につきましても、今回の省令改正で定義付けを行 う必要がある部分でございますけれども、いわゆる一般的な通常の維持管理、すなわち 空調設備の運転や調整、あるいは水回りの日常的な点検やメンテナンスを総合管理業の 業務として考えてございます。従いまして、空調設備や給排水衛生設備の日常的なメン テナンスに用いる用具を物的基準の4番目に掲げております。  それから、精度管理が空気環境の測定だけで、水質関係のものを書いていないという ことの御指摘でございますけれども、総合管理業はあくまでも一般的な日常的なメンテ ナンスを行う業種であり、ここでいう水質検査とは、残留塩素の濃度ですとか、濁度な ど簡易な検査ですので、そういったところに厳密な精度管理は必要ないのではないかと 考えております。 ○吉澤座長  よろしゅうございますでしょうか。 ○紀谷委員  これは法律の方でそうなってしまったからしょうがないと言えばしょうがないですが 、給水及び排水の管理というのは、そこまで拡大して解釈してしまうと、それに必要な 工具用具一式なんていうのは大変なことになるのではないですかね。 ○事務局  あくまでも、日常のメンテナンスで必要な程度のもの、通常の維持管理ということを 想定しておりまして、本格的な清掃作業や改修作業は業務の範囲外になると思われます 。例えば、6号の排水管清掃業というのは、本格的に排水管を掃除をするという業務で すけれども、これは例えば半年ですとか、1年とか、数年に1回実施する作業をイメー ジしていますが、一方で、日常の維持管理、日常の水回りの点検をやるのが第8号の総 合管理業だと、そのような認識をいたしております。ですから、作業にあたっては、そ れほど高度な機械器具を要するものでもないのかなと考えておりますが、いかがでしょ うか。 ○吉澤座長  いかがでしょう。 ○紀谷委員  そうすると、この従事者のところに、例えば水質検査従事者なんていうのが入ってく るというのは、ちょっと矛盾するのではないですか。 ○事務局  従来の一般管理業の業務内容は、掃除と空気環境の測定と簡単な水質検査であったわ けでございますが、簡易な水質検査というものが給排水、水回りの点検の中に含まれる ものと考えれば、水質検査従事者というのをあえて項立てする必要はないと考えられま す。そういった意味では、空調設備や給排水設備の維持管理に従事する者の中に水質検 査従事者を統合することも可能だと思われますので、先生の意見を踏まえて考えたいと 思います。 ○吉澤座長  今の件に関して、よろしゅうございますか。 ○坂上委員  用語のことだけなんですが、3号と6号で新しく内視鏡カメラというのがございます ね。これは用語ですから、これでいいかと思うんですが、今は、カメラよりビデオの方 が多いと思うんです。今、事務局の方で最低の物的要件であるというおっしゃり方をさ れましたので、一番最低がカメラで、通常はビデオというので、ビデオも対応できると いうふうに解釈できれば、このままでいいかと思いますが、内視鏡撮影機とか、そうい う用語はどうでしょうか。あえて変えなくてもいいですけれども、ちょっとコメントを お願いいたします。 ○事務局  内視鏡カメラもそうなんですが、全体的な表現ぶりにつきましては、いわゆる法令用 語上の整合性について改めて検討させていただく予定でございますので、内視鏡カメラ 、あるいはそれ以外の器具についても、今回挙げさせていただいている表現がそのまま 省令になるのではなく、細かい表現ぶりは変わる可能性があるということを御理解いた だきたいと思います。内視鏡カメラの表現ぶりにつきましては、先生の意見を踏まえて 、再度検討させていただきます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。 ○池田委員  その他の基準の中に「作業の実施方法が、厚生労働大臣の告示で定める技術的基準に 適合していること」というのが再三出てくるわけですが、「技術的基準」というのはあ る程度数値的なものが示されたものなんでしょうか。どんなイメージになるかだけでも 教えていただければと思います。 ○事務局  参考資料の1番を見ていただきたいんですが、30ページに「中央管理方式の空気調和 設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」というのがございます。これも前回 の第1回目のときにも簡単に御説明させていただきましたけれども、ここでの技術的基 準というのは、建築物環境衛生管理基準を適切に守って維持するに当たって必要な技術 上の基準について告示で定めて、この基準を遵守することをビルのオーナーに求めてい るところでございますけれども、こういった内容を基本的に登録業者についても守って いただきたい考えてございます。  ただし、これはビルのオーナー等に課している基準でございますので、この内容がそ のまますべて登録業者に当てはまるかどうかについては、再度検討していきたいと考え ております。 ○池田委員  わかりました。ありがとうございました。 ○吉澤座長  よろしゅうございますか。  それでは、議題1に関しましては、ここではそのくらいにしておきます。今の議題の 課題に関しては、事務局のほうでがっちりその趣旨を捉えて書き直してください。 ○事務局  わかりました。先ほど先生方からいただいたを御意見を再度検討させていただきまし て、来週中にはパブリックコメントを開始したいと考えてございます。その期間中にも 先生方から意見をいただければ参考にさせていただきたいと考えております。よろしく お願いいたします。 ○吉澤座長  それでは、次の議題2にまいります。  建築物環境衛生管理基準についてですが、非常に幅広いものですから、今日は空気環 境の問題に関して集中して話をしていただきたいと思います。幾人かの先生方から資料 が提出されておりますので、その辺の御説明から始めたいと思いますが、順番から言う と、池田先生からですか。 ○池田委員  それでは、資料5について簡単に説明させていただきます。  今後のビル管理における「空気環境における」というのを入れればよかったと思いま すが、特に詳しい裏付けをとったというわけでもなく、私が思いつくまま書かさせてい ただいたものでございます。余り十分な推敲もしていないので、おかしなところもある かと思いますが、一応問題点を列挙させていただきました。  まず「はじめに」のところでは、御存じのように、ビル管理法ができてから30年ぐら い経つわけで、この法律というのは、いろいろ欠点があるとは言われつつも大変効果の あった法律であろうと思います。ただ、30年も経てばいろいろ見直しもしなければいけ ないということで、今回の一部改正にもつながったのだろうと思いますが、さらにもう 少しこういった項目が必要なのではないかということを幾つか挙げさせていただきます 。  まず、具体的なこれからの検討課題としては、空気環境においては、有名なCO、C O2 と、粉じん、温度、湿度、気流という、いわゆるビル管6項目というのがあるんで すが、これは今まではそれなりに有効に機能してきたと言えるかと思いますが、昨今の いわゆる化学物質汚染問題に関連して、社会的な関心が非常に高い化学物質、特にその 中でもホルムアルデヒドなどといった化学物質については、何らかの格好でビル管理法 に盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。例えば、国土交通省などでは、 建築基準法の中に、ホルムアルデヒドとか、間違って書いておりますが、クロロピリフ ォスなどを規制するという方針だということなので、その辺との対応とかも考えた方が いいのではないかということが化学物質についてはあります。  それから、ダクトというのは、室内にきれいな空気を送り込む末端の大事なシステム であるにも関わらず、そこを今まで放っておいたということが、今回、ダクト清掃とい うこともビル管理法に盛り込まれ、改正された点はよろしいんですが、そこで送られて くる空気中の粉じんだけを問題としているのですが、それだけでよろしいでしょうか。 粉じんの中に有害な微生物がいたりすると、その方がもっと影響は大きいわけでして、 ただ単に普通に粉じんで汚れるという点だけではなくて、昨今のいわゆる炭疽菌問題の ような危機管理的な意味もダクト中の微生物汚染評価には含まれている必要があると思 います。浮遊微生物は非常に測定しにくいものですが、一般のビル管のCOやCO2 と 一緒のレベルでは考えられないにしても、少なくとも1年に一度、数年に一度でも、何 らかの格好で微生物の評価をするというようなことを考えるべきだと思います。それか ら、ダクト清掃の実施されたときの効果の指標として、微生物の空中浮遊、あるいはダ クト壁面に付着の微生物の量を評価するというようなことが必要なのではないかという ふうに思っております。  幸い、厚生科学研究費をいただきまして、私どもダクト清掃の評価に関する研究をさ せていただいておりますので、研究成果の社会的還元という意味で、いずれ何らかの格 好で評価法を提案させていただければと思っております。  あと、もともと室内の空気の質を左右するものとして大事な要素に臭気というものが ございます。臭気の指標というような意味合いもあってCO2 をはかっているわけです けれども、臭気は化学物質汚染とも絡んできますので、できれば臭気そのものを調査項 目に入れられたらいいのではないかなと思っています。  それから、次の項目といたしましてダクト清掃なんですけれども、これは今もちょっ と言いましたように非常に大事な項目です。今回の改正でビル管理法の規定に入ったの はいいんですけれども、ダクトの風上側についている空調機というのも問題としなけれ ばいけないのではないかなとは思いますが、その辺はどうなっているかはっきりしない のがちょっと気になります。法律に入ればそれでいいということではなくて、実際、法 律を運用していく上でいろいろな問題が出てきますでしょうから、その辺の問題点の洗 い出しとか、それに対する緊急的な対応、さらに先ほどちょっと申しましたとおり、い わゆる災害とか、テロ事件のようなときに空調がさらされたとき、空調システムとかダ クトに対する危機があったときにどうするかというようなことも今後検討していかなけ ればならないのではないかというふうに思って、そのようなことを書かせていただきま した。  それから、現在のビル管理法の空調システムという中には「中央管理方式」という文 言が入っているわけですけれども、これはビル管理法ができた30年前なら、こういう文 言が入らないとぐあいの悪いこともあったかもしれませんが、最近はビルの空調システ ムもかなり多様化しておりまして、「中央管理方式」ということにいつまでもこだわっ ているというのも少しおかいしのではないかということがあります。これは改めて私が 言うまでもなく、多くの監視委員の方々から指摘されていることだから、このくらいで よろしいかと思います。  それから次は、前回、吉澤委員長の方から、これは難しい問題なんだと言われました けれども、やはり現状では温度、湿度の基準が季節に関係なく17度から28度、湿度は40 %から70%というような方法になっておりますが、特に温度の方は、夏は28度以下、冬 は17℃以上というような格好にすることが考えられていいのではないかということです 。  それと若干関連するんですが、ビル管理法というのは、地域とか、気象特性は全く考 慮されておりません。国土交通省で実施しているような、一種の地域指定というか、北 海道を1地区として、東北を2地区とするというような格好で、全国を7つの地区に分 けて、分割して法律の運用をするといったような考え方も今後取り入れていったらいい のではないかなというふうに考えたので、このようなことを書きました。  それから、思いついた最後なんですけれども、これは私が考えたというよりは、むし ろ委員長の吉澤先生からかつて言われて、私なりに調べてみて、なるほど、そういうこ とだなと思ったことなんですが、いわゆる建物が竣工したとき、いわゆる設計者からビ ル管理技術者に渡されるときの性能検証(コミッショニング)。現状ではそれはほとん ど一種のセレモニーとだけ化していて、神事を行って、お酒を飲んで、めでたし、めで たしというだけで終わっているような状況で、ちゃんとやっていらっしゃる方には怒ら れるかもしれませんけれども、実質的な引き継ぎというのはほとんど行われていません 。マニュアルといったって大したものはなくて、それをぽんと渡されるだけというよう な状況です。  それに対してアメリカでは、設計者と居住者の間に立ったコミッショニングエンジニ アという方がいて、その方が設計の段階から管理のことも考えて、居住者の立場に立っ て設計者と設計について協議するし、もちろん本当の意味での竣工時の性能検証も立ち 会います。それも1回や2回の簡単な立ち会いだけではなくて、1年、2年、3年かけ て、それぞれのシーズンに問題がないかどうかを見るということをしています。さらに 建ってからもずっとコミッショニングに携わっていて、そういうのをリコミッショニン グと言うそうです。さらに壊すときまでのことも考えて、そういうのをディコミッショ ニングと言うそうです。一番最初の設計者と渡り合うときはデザインコミッショニング と言うそうで、それを含め、コミッショニングは全部で4段階に分けられているそうで す。  そうすることによって、現在、建物を管理する人の声が設計者に届いて、より管理し やすい建物が設計されるようになると思います。現状ですと、設計者が設計しやすいよ うな建物しか立てられなくて、設計した人は、その建物の設計意図が実際の現場の管理 技術者にどう伝わっているかということに余り興味がなかったりします。管理技術者の 声を設計者にフィードバックするとすれば、現在のところではビルのオーナーぐらいし かいないわけですが、オーナーは建物のことをよく知らない場合もありますので、設計 者に対し、技術的に細かい話はできないということも少なくなく、フィードバックがう まく行きません。結局、設計がまずくて管理がうまくいかないというようなことの責任 はみんな管理技術者の方にしわ寄せがくるというような状況がありますが、コミッショ ニング制度の確立によりこのようなことが少し改善されるのではないかと思われます。  このコミッショニングに関しましては、蓄熱槽とか一部の空調設備の性能については 、空気調和・衛生工学会の方でも委員会が立ち上がって検討がされておりますが、もう 少し広くビル全体の空気環境とか、あるいはこれは水の環境についても検討することが 必要と思われますので、挙げさせていただきました。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  この3枚目に書いてあるのは。 ○池田委員  3枚目は、先ほどの湿度の下限値に関連したことで、これはよく言われることですが 、ビル管理法では、先ほども申し上げましたとおり下限値を40%以上と設定されており ます。しかし、特に冬ですけれども、これがなかなか守れないと言われております。こ れに対しては、空調設計者から、なぜ40%を守らなければいけないんだという疑問が当 然出てくるわけでして、それに関しましては幾つかの根拠があるわけでして、それを簡 単にメモにしたものでございます。参考資料2に載っておりますように、Hemmesさんと いう方が、インフルエンザの活性に基づき、相対湿度との関連を検討いたしました結果 、40%以下と50%以上では、インフルエンザウイルスのデスレイト(死滅率)が一桁違 うそうです。Hemmesさんの実験等が正しいとすると、やはり原則としては湿度の下限値 というのは50%以上と言わなければいけないのだろうとは思います。したがって、射場 本先生の方からは別な御反論があるかもしれませんが、そうとう譲歩したとしても40% は譲れないところではないだろうかということがあります。  また、資料の2のHarperさんという方も同じような実験をされておりまして、それら もやはり40%以上は必要と言われております。  ただ、HarperさんもHemmesさんも大変古い実験結果ですので、最近これの実験をやり 直して、もう少し新しい目で見ようというような試みも射場本先生を中心になされてお ります。  あと日本では、東北大学の学長をやられて、大変インフルエンザウイルスの研究では 有名な石田先生のお弟子さんの庄司眞先生からいろいろなデータをいただきました。庄 司先生によりますと、相対湿度でというよりは、どちらかというと絶対湿度を基準に考 えた方がいいのではないかというようなことです。そこに書かれているような資料を挙 げて、やはり余り湿度が下がることは好ましくないとのことです。たくさんの文献をい ただきましたので、まだ庄司先生の文献は十分読み切れていないのですが、後で田中先 生の方から、その辺を解説していただければと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、射場本先生。 ○射場本委員  それでは、資料6に基づいて話させていただきます。私の方は、今、池田先生がお話 しされた温度と湿度の部分を、世の中の実体と動向を含めて調べてまいりました。  私が池田先生と少し違う考えを持っているというのは、夏に室内の相対湿度が40% を割るような新しい空調方式が出始めており、それらは省エネルギーを目ざしているも のですので、そのような地球環境保全の動きに対して、ブレーキをかけるのはいかがな ものかというようなスタンスに私は立っているわけです。  1ページ図−1に、低温送風の分類を書いてございますが、普通の空調では16℃ぐ らいで吹いているのに対し、新しい方式は10℃程度で吹くわけです。アメリカでは4 〜5℃という極めて低い温度で吹いているものもあります。温度差に比例して搬送動力 が大幅に減りますので、低温送風による省エネルギーが指向されつつあるというのが図 1でございます。  表−1は、ASHRAEの環境指標になっておりますETスターを逆算したもので、建築資 料集成に出ておりますが、例えば一番上の相対湿度で言いますと、相対湿度が35%増 えると、気温を1.1℃下げなくてはいけない。これは定常状態でございますが、計算 上はこのようになるということであります。  図−2は、一番下側に温度が書いてございますが、吹き出し温度を下げ、例えば10 ℃で吹きだすと、相対湿度が40%を割ってしまうということを示しております。  図−2の中の緑で囲った部分がビル管法の範囲、ブルーで囲った部分がアメリカのA SHRAEの夏、ピンクで囲ったもめがASHRAEの冬の環境基準でございます。  5枚ほどめくっていただきまして、下のぺ一ジ番号で参考1・1から参考1・3まで は東京都のビル管法の調査データ、28年間分、合計6万9千件のデータを空気調和衛 生工学会の委員会で統計処理させていただいたものでございます。  一番上の円グラフは建物の用途、真ん中の図−参考1−2は調査対象サンプル数でご ざいます。年度によって多く測定している年もありますし、そうでない年もございます 。  それから、このサンプルを月ごとにまとめたものが一番下の図1−3でございます。  参考1・2ページでございますが、一番上の部分が気温で、28年分ございますので 、それをある年度スパンごとに区切って、横軸に月、縦軸に室内気温をとって示してご ざいます。夏は25℃程度、冬は24℃程度かと思います。  真ん中の図は相対湿度でございます。夏は55%程度、冬は40%を少し切っている というぐあいでございます。その相対湿度を絶対湿度で見たのが一番下の図1−6でご ざいます。  ちなみに、縦軸が絶対湿度でございますが、17℃40%という冬の下限値では大体 4.5ぐらいに相当いたします。  参考1・3ページでございますが、室内気温の変化を季節別、年度別に見たものでござ います。太い青い線が冬の平均気温でございまして、破線と点線が上と下にございます が、これはいずれも標準偏差の幅でございます。夏25℃、冬24℃という平均的な値にな っております。  真ん中が相対湿度でございます。青い線が冬、赤い線が夏でございます。これを見ま すと、冬には殆ど守られていないということがわかろうかと思います。こちらの方がむ しろ夏の湿度より問題かなというふうに感じております。  それから、図1−9は室内気流の話でまた後で出てきますが、こういう状況になって いるということを示してございます。  続きまして、参考2・2にまいります。これは横浜に建つ約4万平米の事務所ビルの実 態例でございます。給気と還気、緑で書いたものが還気、これが室温と思っていただけ れば結構かと思います。赤い点は外気の温湿度でございます。1時間値で2000年の ものでございます。空調時間帯だけのデータです。  一番上が夏でございまして、この例ですと40%ぎりぎりになっている。黒で囲んだ 部分がビル管法の基準の範囲でございます。真ん中が中間期、一番下が冬でございます 。  それを参考2・2のページで見ていただきますと、縦方向に左から夏、中間期、冬。赤 が冬でございます。赤色の一番右下、これが給気の湿度でございますが、冬になります と、給気湿度が随分とばらけて低いところまで至っております。これが問題と思います 。実は、加湿器の効率が悪いということになります。ただ、加湿器の効率が悪いと言っ てしまえば、それだけでございますが、今、多くのオフィスビル等の中央式冷房で使わ れております、気化式の加湿器の現実だと思います。そのほかに、水噴霧式だとか、蒸 気式とかありますが、白粉、白いカルシウムが飛びまして、パソコン画面等にくっつい たりしますものですから、それを嫌がられて、現状では、機器は設置されていても使わ れていないというのが実態かと思っております。  それで、次に参考3にまいりますが、参考2の建物で使っている加湿器の加湿効率を測 定したものでございます。加湿器は、一番左上にございます加熱コイルのあとに気化式 の加湿器を配置した空調機でございます。  真ん中の絵を見ていただきますと、横軸が風量でございます。負荷が大きくなればな るほど風量を大きくする必要がある。負荷が小さくなると、風量が少なくなる。それで 、ピンク色の太い線、これが実測した加湿効率でございます。  参考までに実測の数値等を3・2ページ、3・3ページに示します。ここで言う加湿効率 は、空調機へ入る空気の温湿度条件から湿球温度線に沿って相対湿度100%まで加湿 されたときを100としております。  ちなみに、この真ん中の図で太いピンクの線を見ていただきましても、40%以下と いうようなのが1つの実態でございます。  加湿が乗りにくいという話をもう1つ、参考4・1で見ていただきます。これは実測で はございませんで、世の中での一つの考え方と言う意味で示しますが、ある31階建て の建物の設計値から拾ってきたものでございます。加湿器の効率が悪い、つまり、水を 供給しても空気に乗らずに、水のまま外へ排出される。いわゆる空調ドレンの量をピン ク色で示してございます。冬になりますと、負荷が小さくなりますので風量が減ります 。パーセンテージは、便所洗浄水の中に含まれる空調機のドレン水の割合でございます が、例えば1月で見ますと、中水の約半分は空調機のドレン水です。つまり、加湿効率 が悪い分その水の供給が増えます。この例の場合ですと、便所洗浄水に利用しています ので、ある意味ではエネルギーのむだにはなっていないわけでございますが、そういう 使い方をしていないところでは、どんどん垂れ流しで水を捨てているという実態を示さ せていただきました。  また1ページに戻っていただきます。今まで申しましたのは湿度の下限値の話でござ いましたが、次は、気温の上限値の話です。今のビル管法では28℃以下という縛りが ございますが、世の中では、ほかの方法を利用して28℃よりもっと高い温度で快適を 得よう、省エネルギーをしようという動きがございます。  その1つが変動風、風との併用でございます。1ページ目に、これは定常状態でござい ますが、風速が0.1cm/sec増えると、気温を1.1℃上昇させても等価という数値 がありますように、風を利用することが検討されております。  2ぺ一ジの表2に、風のつくり方の分類がございますが、風の量を変えたり、風向を 変えたり、風が出る場所を変えたり、あるいは扇風機を併用したりというような方法が ございます。  3ページに、風の吹かせ方の組み合わせ例を書いてございます。単純に室内気温と同 じ温度の空気の風速を上げる。あるいはそれを間欠的に人に当てる。あるいは室温より も若干低い、例えば室温が25℃としますと、それより2℃ばかり低い、具体的にはこの 場合、室温を28℃以上を目標にしておりますので、27℃とか、そのような空気を時々人 に当てる、そのような方法が考えられております。  3ページの写真1にございますが、これはギリシャの事務所の例で、床吹き出しと天井 扇を併用しています。これはEUの省エネ補助金でつくられたギリシャの省エネ建物で ございます。  それから、4ページ目です。これは情報がたくさんあり過ぎてわかりにくいのですが 、下の方に折れ線グラフが書いてございます。横軸は経過時間です。ある温湿度条件の 人工環境室に入ったのが0という時間。マイナス20分というのは、それ以前に前室に おいてトレッドミルで汗をかいて運動している状態。その後、人工環境室に入室し2時 間滞在するという状況下での体重の減少、つまり、汗をかいて体重が減りますが、その 減少率等を見たものでございます。一番左上の棒グラフ群で説明させていただきます。  上から2番目が26℃50%という標準的な状態の室内でございます。例えば下から2番目の 28℃30%の場合、汗をかいた状態でその部屋に入ったとしますと、体重の減り方が、標 準的な状態の部屋の1.47倍ということでございまして、その度合いは湿度が低いほ ど大きくなります。このグラフの中には変動風の影響も併せて書いてございます。風が あると体重減少率は更に大きくなるわけでございます。  言いたいことは、例えば銀行のロビーであるとか、飛行場の待合室とか、外から汗を かいた状態で入ってくるような空間では、例え28℃を越えていても、低湿度や、少し 風を吹かせてあげることで、早く汗が引けて、早く快適な状態になる、つまりエネルギ ーの節減ができるということです。しかも同時に、右側のグラフが定常状態を示してい ますが、長時間滞在している人にとっても、過剰な冷却を伴いませんので、暑くも寒く もないことをグラフが示してございます。  余り細かくなりますといけませんので、こんなことが世の中で考えられ、行われてい るということを強調して、私の説明を終わらせていただきます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、田中先生、今の温湿度関係に関係した部分だけについてお願いできますか 。汚染に関してはその後でやりたいので。 ○田中(正)委員  温湿度ですが、冬になりますと、特に老人ホームなどで呼吸器疾患が多く発生します 。それで死亡し問題になります。1年間にわたり福祉施設、老人ホームで測定した結果 が、参考資料の2の(8)です。  49ページにありますのは、午後2時における温湿度の結果です。温度関係は、ほぼ年 間を通じて20度から25度で一定しているんですが、湿度につきましては変動が大きくて 、夏にはA施設では80%近、B施設では60%ぐらいです。冬季には20%を切る状態もあ り、かなり呼吸器疾患が問題となりました。施設では、冬期に特に呼吸器が悪くなった 人には、局所的、一時的になりますが、ポータブル式加湿器を用いている状態でした。  それから、その次の資料(9)の方は、同じく温熱感覚についての結果です。入居して いる高齢者の場合、コントロールを職員にしたのですけれども、温度感覚が鈍いといい ますか、本人の感覚が余り当てにできない、という結果が出ました。  その次の資料(10)ですが、先ほどの射場本先生と同じような実験です。57ページの図 を見ていただきますと、相対湿度を80%と40%に設定し、夏に人工気候室で気温を30度 に設定した結果です。80%の高湿の場合には、経時的に身体的負担も大きくなります。 この場合の被験者は学生など、若い人なんですけれども、こうした結果を得ています。5 7ページは心拍数ですが、湿度80%で頻脈となり有意差が見られてます。  それから、56ページの右の上の図は、直腸温で次第次第に上昇するのが特徴的で、○ が80%の平均湿度、▽が40%なんですが、明らかに40%の方が負荷が少ないというよう なことです。その下は、射場本先生の体重減少に似た表なんですけれども、これも有意 差が見られ、やはり夏の高湿というのは、身体的に、そして能率的にも負担になるとい うことです。  次の資料(11)は集中暖房に伴う低湿度のフォールドワークです。これは加地先生らが 中心になってやっております、臨床疫学面の調査研究ということで参考にしました。  66ページにありますように、低湿低温状態に一致して、呼吸器疾患の症状が多く見ら れているということでありまして、ある程度加湿しなければいけないということが述べ られています。  次の資料は池田先生のとダブっておりますが、英文で記しましたものは、「ネイチャ ー」誌に出ておりますもので、かなりこういった実験データが1960年代にあります。湿 度40%を境にしまして、かなりインフルエンザの死滅率が低湿側で低下してくるという ことで、低湿の場合においては、特に老人・小児の場合には問題になると思っています 。  ワクチンに関して、以前は小児の場合などは強制的に行われ、副作用などの問題があ りました。今は自己責任というようなことで、経費の負担があります、老人ホームなど でも個人負担だと二の足を踏むというような状態があります。環境の面から言いますと 、やはり湿度40%以上は守ってほしいと思っています。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ただいまお三方から御説明がございましたが、どういうふうにしましょうか。田中先 生は、40%ということは守った方がいいというような御意見だったみたいですね。 ○田中(正)委員  1960年代のインフルエンザなどのウィルスの実験結果から申しましてもそうですとい うことですね。逆に言いますと、データとして夏の湿度80%云々というのは、逆に他の ウイルス、脳炎ウイルスなどですと高湿状態でウィルスの死滅率が低いということです から、夏においては低湿にしなければいけないということがあると思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、先生方からの御質問と御意見をお伺いしなければいけないですね。まだも う1つ汚染物の問題がありますので、余り時間を使えないんですが、しかるべき時間、 もしだめなら、また延ばしたっていいのでしょうから、ひとつよろしくお願いいたしま す。どなたか御意見ございますでしょうか。 ○池田委員  低湿の影響のことに関しましては、私なりに今まで調べた、湿度とインフルエンザウ イルスの関係の既存の文献がありまして、田中先生にも御説明いただいてしまったのが あるんですが、インフルエンザウイルスと相対湿度温度の関係がありまして、やはり温 度が低いほど、それから相対湿度が低いほど、インフルエンザウイルスの生存率が高い ということが出ております。特に22℃ぐらいですと、50%と20%では全然桁違いにイン フルエンザウイルスが元気になるという話も、このHarperさんのデータから出ておりま す。これもやはり1963年ごろのデータです。  それから、三浦先生がおやりになった実験だと思うんですけれども、口の中の粘膜の 乾燥度合いというものが温度との関連で出ておりまして、20度から25℃ぐらいで湿度が5 0%から40%以下になりますと口腔粘膜が乾いてしまって、喉にインフルエンザウイル スがくっついた場合、それを排出できにくい状況になるということです。乾燥するとイ ンフルエンザウイルスは元気になるし、人間の方はそれを排出できないという両方の状 況から非常に風邪を引きやすくなるということだと思います。  それから、たくさんデータがあるので適当にはしょりますが、先ほど田中先生が御紹 介なさった平賀先生のデータによりますと、北海道地区の居住者を対象とした風邪の自 覚症状と相対湿度の関係は、湿度40%になりますと、目が乾燥するとか、鼻が詰まると か、鼻が乾燥する、喉が乾くといったような症状を訴えられる方の率が圧倒的に多くな ってくるということです。60%、80%ではそういうことはほとんどないので、これらを 総合すると、できれば50%以上であること。ただ、それは大変だということだったら、4 0%がぎりぎりの下限なんじゃないかというようなデータが集まっております。ただ、 古いという最大の欠点があります。そういうことでございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  何かほかにございますでしょうか。 ○田中(正)委員  付け足してよろしいですか。  今、古いということなんですが、再興感染症というのがございまして、結核なんかで 、昔のデータは古いから、すべてウイルスが変わったというわけでもありませんので、 私は参考になると思います。  私のデータのところで、最後のページに出しましたけれども、呼吸器疾患だけではあ りませんで、静電気の問題も起こり、人体にとりましては、肌荒れとかそういった問題 にもなってまいります。呼吸器疾患だけではなくて、静電気の問題、肌荒れ、そういっ たことも関係してきます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  射場本先生、その辺は、空調学会のデータを見ると、40%前後を中心としてわやわや っとあるみたいですね。 ○射場本委員  そうですね。冬の低湿はすごく目立つんです。ASHRAEのスタンダードでも、夏の湿度 はかなり低い方を好んで取り扱っています。静電気の話も、夏の低湿というときには、 気温が高めですので、少し汗っぽい状態です。着衣の保湿量が多うございますので、夏 にはぴりっとこないんです。勿論、絶対湿度をえらく下げたら別でしょうけれども、普 通の空調機で実現できる低湿度のレベルでは、全く静電気の問題は起きていない。 ○吉澤座長  静電気は冬の場合です。 ○射場本委員  私どもが問題にしているのは、夏に加湿しなくてはいけない、法律上でそういうこと をさせるのは問題ではないか。むしろ冬の加湿をちゃんとさせるべきだと言うことです 。先ほど申したように、冬は加湿はのらないわけです。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。 ○宿谷委員  意見ですけれども、池田先生の2ページ目の真ん中の5番目のところで、表現方法の 話があったんですけれども、私ももしできることならば、夏の話と冬の話が一緒くたに なっちゃってこうなっているので、これが一人歩きしたときに、例えば28度というのは 、我々が見ると、これは夏のことを言っているんだと思うわけですけれども、極端な話 、これを冬と思っちゃう場合もあるんだろうと思うんですよね。世の中全体で見ると。 ですから、冬と夏を何とか分けるということで、湿度の話も冬の話と夏の話で区切れる ような表現方法というのを考えるのがいいのかなと、実は今、先生方からいろいろお話 を伺っていて思いました。  それから、これはさらに複雑化しちゃってわかりにくくすることになってしまうこと になるかもしれませんけれども、空気環境ではあるんですけれども、やはり放射の影響 ということは室内環境の場合すごく大事ですので、そのことをどこか注記のような格好 で入れられるといいのかなというようなことを先ほどから思っていました。  以上です。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ただいま、夏と冬の表現方法を変えることと、もう1つ、輻射を入れた方がいいんじ ゃないかという御意見があったんですけれども。 ○射場本委員  夏と冬の話は難しい。この部屋も、恐らく冷房状態だと思いますが、現在では、冬の 冷房が増えていますので、加湿が乗らないんですね。この部分、難しくなってしまうん ですが、しっかり表わしておかないと誤解を招くことになると思います。 ○吉澤座長  何かうまい知恵はございませんか。最初に申し上げましたように、最初は別に出てい て、やむをえず一緒になってしまったのですから、非常に心残りのままではあるんです 。ですから、何かうまい手があれば、今のような誤解も入ってくるだろうし、実際にち ょっと矛盾のところもあると思いますけれども。少なくとも、夏と冬を一緒にしたこと によって生じる誤解というのはかなり大きそうですね。 ○石塚委員  いい考えにならないかもしれないですけれども、今、季節だけで考えているわけです が、冬でも冷房をしているときがあるし、夏でも暖房するということは、実際、季節間 で起こるわけですから、季節と冷房時運転と暖房時運転という分け方をして、温度湿度 を決めるとすれば、かなり具体的にそういう問題が解決できるのではないかと思います 。 ○吉澤座長  そうですね。確かに、これを決めた当時は、非常にあいまいなものばっかりだったで すからね。最近になりまして、いろんな知識が普及しておりますから、きめ細かい決め 方も不可能じゃないかもしれませんですね。  しかし、これはどうするんですか。今後、ある種の原案をつくってみて出されるわけ ですか。 ○事務局  いろいろ先生方の意見を伺っておりまして、温度湿度の管理はいろんな意味で難しい なということはよく認識しておりまして、ただ、例えば夏と冬で分けるとか、あるいは 地域ごとに温湿度の状況も全然違ってきますので、地域分けを行い、法令上でそれを明 記するというのは非常に難しいのではないかなと。  そうしますと、例えば現行の17、28、あるいは40%、70%という値の善し悪しは別と しまして、法令上ある一定の値は示した上で、それ以外の地域別の条件ですとか、ある いは輻射の問題とか、そういったところにつきましては、例えばガイドラインを定めて 参考に提示していく、そういった方法というのがあり得るのかなというふうに感じてい るところでございます。  ですから、法令上で夏と冬、あるいは季節ごとの条件を事細かく書いていくのはなか なか難しいのかなと。ある程度の簡略的なものができるのであれば、それも一つの手で はないかなというふうには認識しているところでございますので、また引き続き御意見 をいただければと考えております。 ○吉澤座長  この問題については、原案のようなものができて議論できるわけでしょうか。 ○事務局  そうですね。 ○吉澤座長  その辺は、たたき台というか、何かあった方が効率的ですし、最終的になるのかもし れないけど、やってみる価値はあると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。 ○事務局  わかりました。 ○吉澤座長  それでは、時間の関係もありますので、先に進めさせていただきたいと思います。  室内汚染の問題なんですが、この五、六年の間に急激に出てきましたのが、いわゆる 化学物質汚染ということなんですが、これについて田中先生と相澤先生から資料が出て おりますので、御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○田中(正)委員  私の方の資料としましては、衛生学会でシンポジウムをやりまして、そのときのもの をまとめ小冊子にしたものです。事務局から人体影響についてという話がありましたの で、9ページの方を見ますと、シックビル症候群とアレルギーと化学物質過敏症の関係 が書いてあります。シックビル症候群の方は、高断熱、高気密というようなところから 発生している有機溶剤、ホルムアルデヒド、こういったものを中心とした急性あるいは 慢性の症状でありまして、その場を離れれば、次第に症状は引くと思います。ただ、厄 介なのが、化学物質過敏症というようなことでありまして、これは相澤先生が多分御説 明してくれると思うので、シックビル症候群の場合、環境側から言いますと、環境をよ くすればいいんじゃないかということで、建物の場合には、日本ではビル管理法での従 来の換気状態からしますと余り問題が起きていないということです。ただ、CO2 のみ を指標にいたしますと、やはり新しい物質、汚染物質に対しては弱いと思っています。  この前、解剖学実習のことを少し言いましたけれども、学生にアンケートをやり、目 の症状、鼻の症状、手の荒れ、こういったものが多くみられ、何ともなかった、影響が なかったという人は30%ぐらいで他は何らかの症状は出ているということです。鼻の症 状でも次第に慣れてきたとか、目の痛みにも次第に慣れてきたというような人もいるん ですけれども、今年も解剖学の先生と一緒に調査をいたしますと、目の症状でゴーグル をつけて解剖するというようなこともあります。マスクと手袋は、今年からは準備し全 員にやるようにしたんですけれども、中にはゴーグルをつけたのが3名で、最後までそ れを離せないというような状態だったということです。アレルギーとか、過敏症的な症 状の人も中にはみられます。  実際にそういったところの濃度をはかりますと、0.03から0.02ppmの段階が一番低い 状態で、実際に解剖をやるときには遺体カバーを外します。そうしますと非常に高い濃 度になり、0.2から0.6ppmに上がります。そして、1時間ぐらいして下がるという状態 です。これは今年文部科学省の方から、解剖実習の場合においては、空気環境に十分に 注意してくださいとの連絡があり、解剖の先生から言われて調査しました。ここでは、 シックスクールというようなことでも問題になっております。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、相澤先生に化学物質過敏症の問題についてお話をお願い いたします。 ○相澤委員  参考資料の5でございますけれども、これは平成12年度の厚生科学研究費で総説を書 かさせていただいたものでございます。ここでは、シックハウスという言葉でなくて、 化学物質過敏症という言葉で出ておりますが、これは文献を引いた場合に、シックハウ スというのは日本で出た言葉ですので検索できないので、化学物質過敏症という言葉で 引いたものでございます。  概念的には非常に混乱といいますか、決まった概念というのはございませんけれども 、化学物質に大量、あるいは低濃度でも長期曝露された後、ごく微量の化学物質曝露に よって生じる非特異的な多臓器の症状を一般的に化学物質過敏症と言っております。マ ルチプルというのは、いろいろな物質によって症状が引き起こされるという意味で使っ ております。  2ページ目に概念の変遷というのがございますが、20年くらい前から米国ではCullen という人が、シックハウスというよりも職業病で大量の有機物質に曝露された方で、そ の後、その症状がとれた後もいろんな物質に対して反応を起こすというような症例報告 をしておりまして、7つの概念というのをCullenが出しております。  そこに書いてございますけれども、環境由来の化学物質曝露によって発症する。症状 は二臓器以上であるということ。原因と思われる物質に対する反応によって再発したり 減弱するということ。それから、いろいろな化学物質の曝露によってその症状が誘発さ れるということ。それから、その症状は非常に低濃度でありますけれども、検出可能な 曝露によって生じるということ。7番目が、一般的に行われている検査では症状を説明 できないという、ちょっと漠然としておりますけれども、7つの疾患概念でこの病気を 提唱しております。  それから、ヨーロッパでもこういった例がたくさん出てきたわけでございますけれど も、いろいろな名前で言われておりまして、30種類ぐらい今まで名前がついております 。トータルアレルギー症候群とか、脳のアレルギーだとか、そういった名称もついてお りました。それから、湾岸戦争で帰ってきた人が非常に疲れるとか、そういう症状を訴 えておりましたので、湾岸症候群とか、そういった名前もついております。  最近、WHOが委員会をドイツで開きまして、疾患として確立されたものでないけれ ども、悩んでいる患者さんがおられるということで、病気というよりもむしろ状態では ないかということで、idiopathic environmental intolerances、本態性環境不寛容状 態と環境省は名付けておりましたけれども、そういうふうな概念で出しております。  そのときの仮の定義としまして、一番下のところにありますように、多発して反復す るような症状を呈する獲得性の障害、これは先天性でないというので獲得性という言葉 を使っています。それから、多くの人々は耐えられる多様な環境要因によって生じる、 ある特異的な人たちが起きるということ。それから、今までの医学的な、あるいは精神 心理学的な疾患では説明できないというふうな3つの概念を出しておりまして、研究は 必要であるということをWHOは言っております。  どういった症状が出るかといいますと、3ページ目にございますが、疫学的には、こ れはかなり多い方でありますけれども、10%ぐらいの人口の人が悩んでいるというのが ございますが、ちょっとこれは多過ぎると思います。重症例というのは当たるのかもし れませんが4%ぐらいです。  女性が圧倒的に多くて、特に40歳代が多いということであります。男性と女性の比は 、女性が男性の4倍でありまして、症状はいろいろな臓器症状がございまして、特に多 いのは14ページにございますけれども、これはダラスの環境医学センターでの例でござ いますけれども、集中力の低下とか、不眠とか、精神的な症状が多いですね。倦怠感、 あるいは思考力の低下とか、それに加えて関節痛でありますとか、刺激の症状でありま す咽頭痛、そういった症状を訴えられる方が多いようです。  元に戻りまして3ページの方ですけれども、典型的には、大量の化学物質に曝露して から急性症状が起きて、そういった低濃度の化学物質で誘発されるような症状が繰り返 して起きるということであります。その原因物質としては、いろいろ言われております けれども、建築材料から出るホルムアルデヒドとか有機溶剤、それから、殺虫剤の場合 もございます。  それから、その病態については非常に難しいわけでございますけれども、大きく分け ますと4ページ目にございますように、心因性のもの、これもアメリカの学者でもかな り主張されている方がおられまして、診断として比較的価値のあると言われている化学 物質を曝露をいたしまして、その症状が誘発されるかということで見ていることが行わ れているわけですけれども、その曝露でもなかなかはっきりとした結果が出ないとか、 あるいは、やり方次第で出るというような意見もございます。化学物質に曝露されてい ると、だんだんそれに反応しなくなっていきますので、その反応しなくなった状態を化 学物質の濃度の低い環境に少しいてもらって、マスキングをとるということをしてから 曝露をしないと意味がないというようなMillerの主張もございまして、いろいろな報告 でやり方が違うということで、その結果が違うこともあると思います。  曝露をしたときに、例えば、過換気症候群という、呼吸が早くなって、しびれてきた り、集中力が落ちるというような症状が不安発作であるわけでありますけれども、そう いうことを見ている方もおられます。  心理的なものについては、もうちょっと詳しくございますけれども、身体的な因子と しては、今、考えているのは、免疫学的な機序でございます。過敏症という言葉は、普 通はアレルギーとか、皮膚炎とか、そういった特定のアレルゲンに対して反応すること をあらわすわけでございますけれども、それと同じ病因というものも考えられておりま すが、いろいろな報告を見ますと一定の傾向が得られていないということでございます 。  5ページ目の神経学的な機序という、これが比較的今も考えられている病因でござい まして、これは例えば、動物実験で非常に低い電気刺激を脳に加えておりますと、普通 は何とも起きないような刺激ですけれども、それを繰り返しているとけいれんを起こす という動物実験がございまして、それは化学物質でも同じようなことが起きるというこ とがわかっておりますので、人でもやはりそういったことが起きるのではないか。その ために、けいれんは起きませんけれども、いろんなものに対して感受性が高くなるとい うことが起き得るのではないかということ、それをキンドリングと言っております。  もう1つ、時間依存性感作というものは、量が少ないものを加えておりますと、症状 がだんだん強くなるということも動物実験で認められておりまして、これもこの病態に 関係するのではないかと言われております。  それから、6ページ目に臨床検査でございますが、いろんな条件で難しいわけですけ れども、曝露試験が診断をする上では一番価値があるというふうに考えられておりまし て、北里研究所の臨床環境医学センターで現在行われ、国立病院等でも設立が急がれて いるわけでございます。  それから、心理的な評価ということで、こういう化学物質過敏症の方というのは、抑 うつ状態が強くなったり、あるいは不安状態が強くなるということが言われておりまし て、それは後ほどもう1つぺーパーがございますので御紹介いたします。  それから、脳波とか、あるいは画像検査でも少し脳の血のめぐりが少なくなっている というような変化が観察されているものもございます。  それから、嗅覚についても、いろんな化学物質に対して嫌な感じを持つということで 、嗅覚が過敏ではないかというような報告もございます。フェニルエチルアルコールと いうのはバラの匂いで、気持ち良く感じるんですけれども、この患者さんは非常に嫌に 感じるというようなことでございまして、嗅覚閾値が上がっているのか、あるいは感受 性が異なっているのか、そういったところも学問的には大変興味のあるところでござい ます。  それから、視覚の検査は石川先生が眼科でございますので、いろいろな自律神経機能 の検査をしておられます。  それから、免疫機能についても検討されております。  診断は大変難しいわけですけれども、今までクラシカルなクライテリアとしては、先 ほどのCullenの7つの基準というのがございますし、それから、石川先生がつくられた 厚生省アレルギー研究班の診断基準等もございます。  いろんな病気と区別がつきにくいわけでございますけれども、7ページにございます けれども、先ほども田中先生からお話がありましたが、嗜癖とか、アレルギーとか、中 毒とかというところとかなり症状がオーバーラップしておりますし、精神的な疾患とか 、あるいは慢性疲労症候群という非常に体が疲れてしまうような症候群がございますが 、その中でも化学物質に対する不寛容があるという方も少しおられますし、逆に、化学 物質過敏症の中でも、アメリカのCDCの慢性疲労症候群のクライテリアがございます が、それを満たすという方も30%ぐらいいるということで、かなりオーバーラップして いる方がおられると思います。  それから、リューマチ性の病気で、線維筋肉痛というのがございますが、オーバーラ ップしている例がございます。  それから、精神的な疾患との関連につきましては、お医者さんが診ていろいろな診察 をしても、所見は全くなくて、訴える症状がほとんどでございますし、訴える症状が集 中力の低下とか、記銘力の低下とか、イライラするとか、そういった症状でありますの で、精神的な疾患がこの病気の背景にあるという考え方がかなりございまして、パニッ ク障害、広場に出るとパニックになるというような、8ページでございますけれども、 そういうような症状が化学物質の曝露で出るというふうな指摘もございます。  それから、治療につきましては、ここにございますが、余りはっきりとしたものはご ざいません。いろんなものが試みられております。  もう1つの文献、番号がございませんが、英文でTohoku.J.Exp.Med. という雑誌に今 年出たものでございますが、これは教室の遠乗先生が化学物質過敏症の方を対象といた しまして検討したものでございます。  化学物質過敏症の方48人とコントロールの方48人、コントロールの方は、眼科に来 られた化学物質過敏症のないコントロール対象をとっております。その方の不安尺度と 抑うつ尺度を自記式質問票と構造化質問票で調査をいたしました。年齢と性はコントロ ールと同じようにしております。  その結果でございますが、119 ページというところがあると思います。これは図の1 でございまして、上の方が初診の方でございます。Bは、もう一度再診で来られたとき のデータで、同じ対象ではございません。  上の方は初診でございまして、不安の中でもその状況によって非常に不安になるとい う状態不安、state anxiety というもので調べているわけですが、そうしますと、黒い バーが患者さんで、白いバーがコントロールですが、大体同じような分布をしておりま す。  ところが、再診に来られたときには、コントロールの方は大体ノーマルのところに移 動しておりますけれども、患者さんの方はかなり高い人が何人かいるということで、時 間経過を追いますと差が出てくるという結果でございます。  それから、次の120 ページは、生まれつき非常に不安に思う方がどうなのかというこ とを調べて、trait anxiety と言っておりますが、Aは初診で、Bは再診ですが、やは り初診のときは、コントロールと患者さんは余り変わらないんですが、再診になります と状態不安と同じように、Highというところが逆転しておりますし、Low がコントロー ルは出ているんですけれども、患者さんではないというふうに、生まれつきの不安にな りやすい傾向も過敏症の方に2度目の再診のときにはあるということがわかりました。  それから、121 ページの図の3は抑うつ尺度でございます。これも同じように、初診 のときは大体同じような分布をしているわけですけれども、再診のときには、ノーマル のところが過敏症の方は非常に減っておりまして、高いところで効いておりますので、 抑うつ傾向が余り変わらない。病院に来るというだけで不安になったり抑うつになると いうのは、どなたでもあるわけですけれども、過敏症の方はそれが持続するという傾向 がございます。  122 ページにその平均値が書いておりますが、これも同じようなことでございますの で、表の2はFollow-up patiens で再診ですが、そうしますと差が出てきますけれども 、New-patiens という初診の方の場合は差がないということが出ております。  これは過敏症になったから不安になったり、あるいは抑うつになったという考え方も ありますし、もともと不安とか、抑うつになりやすい方がこういう病気になったという 、その2つの考え方があって、どちらかという判定は、こういうデザインですとできな いわけで、フォローアップをして、不安の方がなりやすいとか、そういったことはまた 別のデザインをしないとわからないわけですけれども、そういった精神的な背景も患者 さんにはあるというのがこの結果でございます  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  何かよくわかったような気がいたします。ありがとうございます。勉強させていただ きました。ただ、これを行政的なあれにもってくるのは、まだなかなか大変じゃないか という感じがいたしますけれども。  それでは、自治体の方でこの問題に対してどういうふうに受けとめておられるかにつ きまして、まず札幌市の小田先生からお願いいたしましょうか。 ○小田委員  それでは、札幌市で指針を作成しましたので、これを若干御説明します。その前に、 組織について御説明したいと思います。  平成9年の4月に各区にある保健所を1つにまとめました。そのときに住まいの衛生 係というものを設けまして、係長を含めて3名の小さな係なんですけれども、この係で 住居の内外に係わる市民相談の窓口となっております。また、各出先を残しております ので、そこに対して情報の提供ですとか昆虫の検索など、センター的な役割を果たして います。  この指針もこの係でまとめたわけなんですけれども、実際その係で扱っている室内の 空気環境の相談と申しますのは、平成12年度は112 件ございまして、測定は実際に63件 について行っております。これは主に簡易測定でございますが、ホルムアルデヒド、ト ルエン、パラジクロロベンゼンについて測定をしております。ここ数年は、市民からの 要望があれば、データを集積するという意味で積極的に測定しているところでございま す。  それでは指針に移りまして、最初にめくっていただくと目次があります。いろいろ項 目を掲げておりますが、家庭用品から室内の安全、ペットも加えまして、なるべく幅広 く取り込んでいます。これは多分札幌市が先駆的ではなくて、ほかの都市においてもい ろいろこういったものが出されているところでございます。  次のページを開いていただきまして、2ページなんですけれども、室内住環境実態調 査報告書の抜粋を載せてございます。この中身は、これをつくるに際しまして、平成10 年度、11年度に、一般家庭を35軒選びまして、ホルムアルデヒドとVOCについて測定 をしております。  簡単に申し上げますと、ホルムアルデヒドは新築後3年経てば、厚生労働省の指針値1 00 マイクログラム/m3を超えなくなった。それから、VOCにつきましては暫定目標 値が400 でございますけれども、5か月経てば、この目標値を超えなくなった。そのよ うな中身でございます。  この指針は、主に札幌市の環境衛生に関係する職員向けにつくったマニュアルでござ います。今、市民向けに、もっとわかりやすく、カラーで絵も入れたりいたしまして、 この項目を5つに分けまして、相談内容に応じてお渡しをして指導するものを作成中で ございます。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、質問につきまして御一緒にさせていただきまして、今の議論で大きなポイ ントは、いわゆるシックハウス絡みのVOCとかですけれども、いわゆるビルに関しま して、意外にデータがないわけです。それにつきまして東京都の方でおはかりになった のがおありだそうで、中谷課長から御説明願いたいと思います。 ○中谷委員  それでは、資料7でございます。時間がございませんので、ポイントを絞ってお話を させていただきますと、資料7をおめくりいただきまして2ページのところでございま す。ちょっと図が小さくて申し訳ないんですが、左側が特定建築物ということで、今、 ホルムアルデヒド100 マイクログラム/ m3ということで、ごらんいただきますと100 マ イクログラム/ m3の指針値にすべて入っているという状況でございますが、右を見てい ただきますと、住宅、特定建築物ということで分けますと、住宅の部分について、これ も築後の年数がございますが、新しいところの建物については、100 という数字を上回 るものが出ているという、まだまだこの部分の検体の数は少ないわけですけれども、そ んな結果が出ております。  ちなみに、これからの議論の中で少し参考になるのかなと思うのは、6ページの方を お開けいただきますと、実際に空調機を運転しているときと、そうでないときとどうな のかというようなところで、連続測定をした事例が幾つかございますので、それを示し ておりますが、これはたまたま特建非該当の事務所の施設でございますが、それなりの 規模を有している施設で新しい施設ということでございますが、ここはホルムアルデヒ ドは0.1 mg/m3ということで指針値はずっと下の方になるんですが、空調の運転のとこ ろが明示されていませんが、ガクッと落ちているところが空調機の運転をその日に開始 したときということで、グッと落ちまして、空調機を運転している間は、少し上がって いる部分もございますが、おおよそ下がるんだけれども、空調機が止まると上がるとい うような状況でございます。  ちなみに、下の方のTVOCの方は基準値からいうと0.4 mg/m3ということですから 、暫定目標値ということでありますが、空調機の運転いかんに係わらず、この施設はま だまだ新しいということもありまして、目標値よりも上回っているという状況でござい ます。  7ページ、8ページをめくっていただきますと、空調運転中というところが上に明示 してありますが、そうでないときとの比較という部分では、有為の差が出ているという ことでございます。  今、札幌市さんの方からもお話がございましたけれども、国の方からホルムアルデヒ ドあるいはVOCということで化学物質について指針値が出されて、それを私どもの方 も都民の方、住民の方に指導を申し上げるときの目安という形で取り扱いはするわけで すけれども、翻って今のビル管法が、ある意味では室内のよりよい環境を実現するとい う中で、炭酸ガスなんかも先駆的にかなり厳しい数値を打ち出して指導してきていると いう経緯の中で、そういう意味では多大な効果を上げてきている。そういう中で、ホル ムアルデヒドあるいはVOCというものについて、環境衛生管理基準という観点からど のように取り扱うのかというところが、今後、特定建築物だけではなくて、特定用途外 の建築物も含めたすべての建築物について、言ってみれば拠り所ということになるのか というところが大変重要なところなのかなというふうに考えておりまして、この場で、 あるいは今後この議論を踏まえて、どのようにそのあたりを位置づけるかというところ が、今後の私ども自治体の独自の施策にどう反映させていくのかという拠り所としては 大変重要になるかなということで考えております。もちろんその根本は健康影響という ところなんでしょうけれども、より快適性を目指して、指標としてどのように捉えるか というところが一番のポイントかなというふうに考えております。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。参考資料3はいかがでしょうか。 ○事務局  参考資料の3につきまして事務局から説明させていただきます。  ここに15件ほど文献を挙げさせていただいてございますが、これは最近の5年間程度 の間に、各自治体で行われた調査結果をいただいておりまして、それをリストアップし たものでございます。この数年間、いわゆるシックハウス問題に関連し、一般住宅につ きましては、かなり大量な調査が行われておりまして、いろんなデータが蓄積されてき ておりますが、いわゆるビルについては余り調査結果が多くないという現状がございま すけれども、一部の自治体で調査が行われてきたところでございます。  1番、2番は、札幌市が1995年に行ったデータでございます。3番から9番までは東 京都で過去5年間に行われた報告、そして名古屋市、愛知県、神戸市、千葉市、千葉県 、宮城県の各自治体におけるデータを紹介させていただいております。  細かいところについては、事務局でも検討させていただいているところですが、幾つ か御紹介させていただきますと、まず1番目の札幌市が95年に行った調査につきまして は、41施設について調査をしたデータが並んでございます。ほかの事例もそうなんです けれども、一般家庭においては、データを集めると二、三十%ぐらいの家屋でホルムア ルデヒドが0.08ppm を超えているという状況でございますけれども、いわゆる建築物衛 生法の対象となるようなビルにおいて空調が適切に機能している場合は、0.08を超える 事例というのはそう多くないのかなという印象を受けております。  それから、資料の2番の同じく札幌市のデータの第2報でございますけれども、これ はその前の第1報の方の41施設の中から6施設について、さらに調査地点数を増やして 、夏と冬とに分けてはかったという調査でございますけれども、この中で興味深いのが 、10ページをごらんいただきたいんですけれども、AからFまで6施設の中でAとDの 施設が個別制御、いわゆる中央管理じゃない方式の施設であるわけでございますが、13 ページ、14ページで個別のデータがございますが、14ページのDを見ていただきますと 、Dの施設、個別制御の施設でございますが、例えば冬場に5番、6番の地点でござい ますと、CO2 が1,200 ですとか、1,750 といった比較的高い値を示している。夏と冬 とで全体的に比較しますと、夏の方がホルムアルデヒドの発生量は多くなっている。そ ういった結果が得られてございます。  それから、3番から9番までは東京都のデータで、やはり同様の結果が得られており ます。  それから、13番の千葉市の調査でございますが、こちらは、いわゆるビルが使われる 前の段階、工事をしている段階での従事者が健康の影響を訴えたという話でございます ので、純粋な意味でのビルの一般の使用状況での問題ではございませんけれども、工事 期間中に一部の化学物質の濃度が高くなって、しばらくベイクアウトを実施すれば、濃 度が低減されていったと、そういった報告がなされております。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  今御説明をいろいろいただいたんですが、余り時間がなくなっちゃったんですが、先 生方からの御質問もしくは御意見をお願いいたします。  先ほどの中谷課長の方から、要するにこういった基準値とか、特に指標の場合と汚染 そのものについての問題というのは混在していて、考え方、コンセプトということがあ りました。どうもこの辺の基準では、そういったコンセプトとか考え方というのは大き な問題になりそうですね。何か先生方から御意見、御質問ございますでしょうか。 ○池田委員  田中先生の本についてですけれども、先ほど先生から、9ページのところに、シック ビル症候群、化学物質過敏症、アレルギーの関係ということで、これは大変わかりやす い方だと思うんですけれども、1つだけ私、疑問だと思うのは、シックビル症候群とい うのは、いわゆるBuilding related illnessの中に入ってしまうという格好になってい るのが、そこだけがちょっと納得できないなと思うんですけれども、ビル起因疾患の場 合は因果関係がわかって、例えばレジオネラ症のようなものがビル起因疾患で、シック ビルを含むというのも変な感じがしたなということが1つ。  それから、中毒というのがこの中でどう入ってくるのかということです。中毒という のは、化学物質過敏症を含むような格好で楕円で囲まれるんでしょうか。その2点を教 えていただきたいなと思いました。 ○田中(正)委員  ビル起因性というのは、ビルに関係したということで解釈しているので、シックビル もその中に入るというようなことで概念図としては示しました。 ○池田委員  いわゆるレジオネラみたいなものも入るということですか。 ○田中(正)委員  もちろん入ります。ですから、シックビル以外にこの図で上の方にありますところに はレジオネラとか、院内感染なども入るということです。 ○池田委員  ということは、Building related illnessというのはちょっと違うということですね 。 ○田中(正)委員  建築物に起因するシックビルですから、全体として関係しますという考え方です。 ○池田委員  いわゆるEPAなんかのいうBRIとは、もっと広いということですね。 ○田中(正)委員  そうです。 ○池田委員  わかりました。中毒の方は。 ○田中(正)委員  中毒は、いわゆる急性的な中毒、先ほどの解剖実習で症状が出るのも1つの中毒の症 状ですというようなことです。それでシックビルの中に入るということです。むしろこ の中毒の方がシックビル症候群の中心と思います。 ○池田委員  中毒全般がシックビルに入るわけですか。 ○田中(正)委員  建物に関係する中毒とすればですね。 ○吉澤座長  シックビルの定義は多少いろんなことがありますので、言葉で余りつつかない方がい いかもしれませんね。 ○田中(正)委員  そうですね。先ほど相澤先生もおっしゃいましたように、過敏症の問題もまだいろい ろありますので。これは概念図としてわかりやすく示したということです。 ○池田委員  ただ、これだけ世の中にこの問題が知れ渡ってきますと、昨日も室内環境学会があっ たんですが、そこでも、この辺の定義をもうそろそろはっきりさせないと混乱があるし 、まずいんじゃないかということもあるので、この場でやるのがいいかどうかわかりま せんが、いずれ、だんだんはっきりさせていった方がいいかなと思ったので、ちょっと 申し上げました。 ○吉澤座長  よろしいですか。  シックビル自体は、その定義自体が、歴史的に変遷していますので、最初はあらゆる ものがシックビルだったんですね。ところが、これはレジオネラなんかが出てきちゃう し、これはおかしいんじゃないかということで、そういう特定なやつだけ除いていって 、最後に残ったやつが統計的に処理して初めて出てくるような種類のぐあい悪さという ことになっているんじゃないかと思いますけどね。その辺のことがありますけれども、 それはまたこの話とは違う感じがしますので。  ほかに何かございますでしょうか。 ○池田委員  私ばかりで申しわけないんですけれども、これを踏まえて、厚生労働省としては、い ずれこれを何とかしようという基本線はあると思ってよろしいんでしょうか。 ○事務局  先ほど中谷委員の方からもございましたように、自治体では、医薬局で定めている室 内濃度指針に基づいていろんな取組がされていると思いますが、法令上に明確にホルム アルデヒドですとか、VOCを基準値として盛り込むある種の強制力といいましょうか 、そういう法的に明確な位置づけで基準値として定めるのが適当なのかを検討する必要 があります。  換気を徹底すれば、ビルの場合、比較的高濃度な汚染が起こることはあり得ないとい う意見もあります。実際、築年数が経つに従って、濃度が低減していくというデータも ございますので、そういったところも踏まえて、必ずしも基準値として位置づける必要 がないという考え方と、あるいは暴露レベルを確認するために測定が必要だという意見 があると思うんですけれども、そのあたりは委員の先生の意見も踏まえて、今後考えて いきたいというふうに考えているところでございます。  もう1点、前回も申し上げましたけれども、実際、法的に位置づけるとなった場合に 、測定方法が確立しているかどうかも確認する必要があります。ある一定の精度が得ら れる標準的な測定方法が確立しているのかどうか。あるいは、測定方法が比較的簡易で 高コストにならないような方法でできるのかどうか。そういったところも配慮する必要 があるのかなというふうに考えている次第でございます。そういったところも含めて御 意見をいただければというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。 ○吉澤座長  なかなか交通整理が難しいと思うんですけれども、例えば、ビル衛生管理法関係の値 というのは非常によくなってきているわけですね。だから、一部には、あんな測定なん かもう要らないんじゃないかというようなことが出てきたりしていますし、それから、 ビル衛生管理法自体ももういいんじゃないかという説もあることはあるんですね。だけ ども、やはりそれを外した場合には、何かまた別なことが起きてきてしまいます。逆に 今度は、ビル衛生管理法で決めました炭酸ガスを指標とした対策、これは結局、工学的 には換気量の対策ですね。ですから、これは対策基準なんですね。対策基準が30年間う まく機能してきたわけですね。それがとても大きな落とし穴で、汚染がなぜできるかと いう知識や体系が日本の中に広まらなかったわけです。したがいまして、アメリカやヨ ーロッパなんかでシックビルが大問題となったために、建材からの汚染物質の発生量の 調査・表示などがどんどん進んだのに、日本は全くされていない。シックハウスの方は 、そんなことが大きな原因になっているわけですね。  だから、ここで対策基準としての換気量とか指標値というのがあってうまくいってい るけれども、ただ、それ以外のいろんなVOCの幾つかのものについてのチェックとか 何かというのもしなければいけないし、先ほど話がありましたように、その辺の指標値 とほかのものの関係をどう考えたらいいかということについてのまとめをしなければい けないんじゃないかという感じはしますね。コンセプトというんですか。  厚生労働省でやっている研究会がありますね。例えば弱者に対する対策をちゃんとし なければいけないということもおっしゃっている。これはWHOの健康的な空気の権利 宣言から引いているということをおっしゃっているのですが、やはり一番基本的には、 権利宣言のコンセプトである「人々は健康的な空気を呼吸する権利がある」ということ が抜けています。このことを言ったっていいんじゃないかという感じはします。いわゆ る医学的な基準値の決め方とは変わってくる可能性がありますけれども、これだけ何百 種類も出てきていると、複合影響を含めますと、すべてのものがわかる日はそう簡単に は来ないんじゃないかという感じはしますので、コンセプトの問題と法律の問題という のがきっと二本立てであるんじゃないかという感じはしているんです。  先ほどの相対湿度の問題もきっとそうですね。法律でもってある何%で決めてしまう と、いろんなすっきりしない点が出てきてしまいますね。だから、その辺を何とかして うまくカバーしていく必要があるんじゃないかという感じはしますね。 ○事務局  こちらからの指名で申しわけないんですけれども、相澤先生、田中正敏先生、あるい は自治体の方々の方から何か具体的な提案とかがあればお願いしたいんですけれども。 ○相澤委員  化学物質を測定するかどうかということが1つあると思うんですが、古いものも含め てすべて建物の中のホルムアルデヒドないしVOCをはかる必要はないと思うんですけ れども、新築のビル等で実際に健康に影響が起きない程度の濃度かどうかということを チェックをして、何ともなければそのままでいいですし、あるいは問題があるようです と、何かフォローアップするとか、あるいは対策を立てるとか、そういったハードルを つくっておくという考え方と、それからもう一つは、換気がうまく行われているかどう かということを調べて、それでよければ、恐らく大丈夫だろうと。データが今日いただ いた参考資料の3にあると思うんですが、よく見ていないのでわからないんですが、ほ かの例えばCO2 で換気が行われているかどうかということをチェックできれば、それ でもよろしいと思いますし、そういったエビデンスが1つほしいという感じがします。 ですから、CO2 の濃度とそのほかのVOCとか、ホルムアルデヒド濃度がどういうふ うに動いているのかというような、それは今の現存するデータであれば、ぜひ検討すべ きではないかなと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ほかに。 ○田中(正)委員  私も同じなんですが、マスの観点からしますと、ある程度簡易な測定法が必要なんじ ゃないかと思います。検知管法で実際にやってみましても、どこで判定したらいいかと いうとなるとかなり主観が入るような感じがしまして、数値で出るような簡易なものが 必要と思います。  そして、そうした場合に、いろいろな物質じゃなくて代表的なもの、今の場合、ホル ムアルデヒドなどを中心に注意を喚起しないと問題になります。換気口の前に物が置い てあったりしまして、施設管理の面から注意を喚起することも、基準に入れてほしいと 思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。 ○事務局  自治体の中谷委員、あるいは小田委員の方からも何か御意見があればいただきたいん ですけれども。 ○中谷委員  先ほど申し上げましたように、建築物環境衛生管理基準ということになると特定建築 物ということになるわけですけれども、この法律そのものが4条3項の中でも、その他 の特定用途外の建築物についても特定建築物の内容を踏まえて努力規定というようなこ とになっているわけで、その範疇で新築、あるいはそうでないものとのホルムアルデヒ ド、VOCというのは価値判断が違うところがあるわけで、そのあたりの一定の考え方 をビル管法の枠組みの中でどのように考えるかということを整理することによって、私 ども自治体も今の段階では、指針値を踏まえて指針、あるいはガイドラインということ で位置づけているわけですけれども、これを政策的にもっと進めるとなれば、自治体独 自の条例化も視野に入れた位置づけというものを考えてやっていくという責任ある立場 にある中では、今回の議論の過程でどのような議論がなされたのか。それがどういうふ うに収れんするのかというところを特定建築物だけに限らない建築物全体でどう考える のかというところで位置づけていただけると、そういう意味では、私どもの方の実際に 施策を進める立場としては大変ありがたいなというふうに考えていまして、ぜひこの機 会に私も含めて議論させていただきたいなというふうに思っています。 ○吉澤座長  ありがとうございました。 ○小田委員  先ほどから新しい化学物質の規制についての話なんですけれども、個々の化学物質を 直接測定しないで、炭酸ガスで1,000 という基準を設けて、それで制御できればもちろ んよいわけであります。維持管理はできるだけ簡単である必要があります。これからも 行政なり専門家がデータを積み上げ検討の上で、どうしても特定の化学物質を抑えてお く必要が出てきたときには、できるだけ平易に測定できる方法に拠るべきと思います。 今、炭酸ガスという判断指標がありますが、この換気量のなかで、もし、化学物質量も 問題ないのでれば今のままでよいわけですが。  それからもう一つ、先ほど地域性の問題がちょっとございましたけれども、私の取り 違いであれば申しわけないんですが、例えば湿度の面で、北海道は統計的に見ると他都 市と比較して不適合率は高くはないんですね。データの取り方にもよると考えますが、 本当かなと思っておりました。たまたまこの前、管理している人と話をする機会があっ たのですけれども、冬季に40%を維持するのは大変である。また仮に湿度を上げるこ とができても、24時間空調機を運転しているビルであれば結露の心配はないが、特に古 いビルでは結露の問題が大きいということでした。  地域性との関係なんですけれども、ビル管理法の管理基準というは、人の健康、快適 な環境を確保するためにちょっと高いレベルに置いてあるということからして、例えば 寒冷地にある古いビルが湿度の基準に適合できないのであればそれはそれでよいと思う んです。これからどんどん技術も向上していくでしょうから、これから後どのように改 善していくのか努力していただければよろしいのではと、そんなふうに思った次第です 。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  当初からその辺の課題がありまして、新築ビルと旧築ビルですか、現在あるビルは変 えるべきだというような意見も出たんですけれども、そこまできめの細かい法律はでき なかったんだと思いますけれども、今おっしゃったようなことで対応ができればいいと 思いますけどね。  ほかにございますでしょうか。 ○池田委員  簡易の測定法につきましては、生活化学安全対策室が、先ほど東京都のお使いになっ たマルチガスモニターも含めてお調べになっているんじゃないかと思いますので、GC /MSではかるようなレベルの測定ではなくて、ちょっと高目に出ても安全側に誤差が 出る、いわゆるスクリーニング用のもので簡易な測定機というのが使えるものがあるか どうかという検討を、事務局でやっていただければと思います。 ○吉澤座長  そうですね。精度とか感度とかばっかり言わないで、チェックのためのというのは必 要だと思いますよね。とにかく、かつてパッシブ型のサンプラーが、空気汚染、大気汚 染の学会の中で袋叩きになったことがありましたね。今みんな使っていますけれども。 それはケミストとしたら不満だと思うんですけれども、ただ、ほかの意味では非常に意 味があることがありますから、その辺は使い分ければいいんじゃないかという感じはい たしますね。  それでは、今日はこのぐらいにしておきましょうか。  それで、もう一つ、議題3に「その他」があるんですが、何かございますでしょうか 。 ○事務局  事務局の方では特にございませんけれども。 ○吉澤座長  それでは、今日はいろいろありがとうございました。また引き続き検討しなければい けないことがいっぱいございますけれども、事務局の方で整理していただいて、この次 に提案していただくことになると思います。今日はどうもありがとうございました。  では、スケジュールを事務局の方からおっしゃってください。 ○事務局  先ほど吉澤先生がおっしゃったように、事務局で本日御議論いただいた内容を整理い たしまして、次回以降にたたき台的なものを出せればというように考えてございます。 また次回は、給水及び排水、あるいは清掃やねずみ昆虫の防除、そういったところにつ いて深く議論いただけたらと考えております。  次回の予定でございますけれども、2月ごろの開催を考えてございますが、これから 日程表をお配りさせていただきますので、後ほど事務局の方に御提出ください。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  今日は長い時間ありがとうございました。傍聴の方々もどうもありがとうございまし た。また今後よろしくお願いいたします。 ○事務局  どうもありがとうございました。                                     (了) 【照会先】  厚生労働省健康局生活衛生課   林(2434)、小林(2432)