01/10/10 第2回小児慢性特定疾患治療研究事業検討会議事録 第2回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後 のあり方と実施に関する検討会 議 事 録        厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課 第2回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第 日 時:平成13年10月10日(水) 14:00〜16:53 場 所:厚生労働省専用第21会議室(第5合同庁舎(厚生労働省)17階) 1 開  会 2 議  事 (1)資料説明(委員要求資料を含む)等 (2)自由討議 (3)その他 3 閉  会 ○森本補佐  事務局でございます。傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たっては、既にお配り している注意事項をお守りくださいますよう、お願い申し上げます。  それでは、委員の皆様おそろいなので座長、よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  では、定刻になりましたので、ただいまから第2回の小児慢性特定疾患治療研究事業 の今後のあり方と実施に関する検討会を開催いたします。  まず、事務局から配付資料の確認と簡単な御説明をお願いしたいと思います。 ○森本補佐  事務局より資料の簡単な確認と説明をいたします。  まず、1枚目が議事次第でございまして、1枚めくっていただくと右上に資料1とご ざいます。これは検討会設置について、これは前回と同じでございます。  更に、1枚めくっていただきますと資料2でございまして、委員名簿でございます。  更にめくっていただきますと、資料3でございまして、その中に資料1から資料15ま でございます。前回の第1回におきまして各委員から御要望のございました資料につい ても、この中に含めて配付させていただいているという状況でございます。  更に、皆さんのお手元にピンク色の冊子と緑色の冊子があるかと思います。これは文 部科学省様の御好意によりまして、21世紀の特殊教育の在り方についてと特殊教育資料 について、今回御配付申し上げた次第でございます。これは、中央テーブルの委員の皆 様の御参考にということで、中央テーブルにのみ配付させていただいております。  以上でございます。  では、座長お願いします。 ○鴨下座長  それでは、早速、議論に入らせていただきますが、まず、資料3ですね。「小児慢性 特定疾患治療研究事業の現在の課題の検討」というものを事務局から説明いただきま す。資料3を2つに分けて説明していただきまして、それぞれの説明の後で資料につい ての御質問の時間を設けたいと考えております。なお、今お話がございました前回の宿 題といいますか、委員から要求のございました資料につきましては、一応、事務局の方 から説明させていただきますけれども、各委員がもし御希望でしたら、委員御自身で説 明をなさっても結構でございますので、そのときには申し出ていただければありがたい と思います。  それでは、事務局の方から資料番号に基づいて御説明をお願いいたします。 ○森本補佐  事務局より資料を御説明申し上げます。  右肩上に「資料3」と四角い中に囲まれた資料をごらんください。「小児慢性特定疾 患治療研究事業の現在の課題の検討」でございます。では、その中の更に1枚めくって いただきまして、右肩上にまた「資料1」と書いていますものをごらんください。これ は、前回の第1回の主要議論点を事務局なりにまとめたものでございます。頭の整理に お使いいただければ幸いでございます。  簡単に申し上げますと、まず、アトピー、特殊な肥満、拒食などの新疾病を取り入れ るべきという御意見がございました。  更に、どこまでが障害者対策なのか等を検討すべきという意見があったところでござ います。  更に、就学の関係でございますが、小慢児童を通常学級に通わせるに当たって問題が 多いので、通常・特殊を含めて就学関係を行うべきという御意見がございました。  4番でございますが、自己負担をする場合についてでございますが、自己負担を所得 に応じて徴収いたしますと、これは現在、育成医療等で行われている徴収方法でござい ますが、自治体等の事務が煩雑化してしまいますので、自己負担をする場合では、大人 の難病のような定額制がそのような面からは望ましいのではないかという御意見があっ たところでございます。  5番でございますが、少なくとも小学校に上がる年齢以下の児童の医療費、これは小 児慢性特定疾患に限定せず一般的な疾病についてですが、公費で負担すべきではないか という御意見をいただいたところでございます。  6番でございますが、保健医療、患者・保護者支援の地域でのネットワークをつくる ことが必要ではないかという御意見がございました。  7番ですが、これは検討会の検討方法でございますが、早期に結論を出すという、平 成13年内をめどでございますが、検討時間の制約上この検討会で議論することと、長期 的に行政機関に要望し、その中で検討してもらうことに分けて議論すべきではないかと いう御意見をいただいたところでございます。  また、8番といたしまして、調査研究事業の在り方について今後どうすべきかを考え るべきではないかという御意見があったところでございます。なお、これらのほかにも 幾つかの資料を提出する旨の指摘があったところでございますので、それについては資 料説明の中で御説明いたしたいと考えております。  1枚めくっていただきます。右肩上に「資料2」でございますが、これは平成4年5 月に「これからの母子医療に関する検討会」で検討した結果でございまして、この最終 報告について御説明申し上げます。  これは、検討会以外の場で小林委員から提出するように御要望をいただいた資料でご ざいます。母子医療一般については、今回の検討会に直接関係がございますものにつき ましては、下の方にページが振っていますが4ページをごらんください。4ページの右 下の「4.慢性疾患をもつ子どもたちへの対応」がこの報告書の中で出されている次第 でございます。 これにつきましては、長期にわたる入院、療養を続ける子どもたちにとってQOL、ク オリティオブライフを維持・向上させることは、重要な課題であるといたしまして、幾 つかの貴重な提言をいただいております。  まず、(1)でございますが、在宅ケア対策の推進ということでございます。これにおい ては、地域における医療の専門や専門医との連携等、在宅医療の推進を図るとともに、 訪問看護、ホームヘルパーの派遣等々の確保が望まれるということでございます。  次に、入院児対策の推進でございまして、入院、在宅における療養を続ける子どもの クオリティオブライフの視点からも、この点が強調されなければならないということで ございまして、院内学級等の配慮、あと、プレイルーム、学習室等の整備について御提 言をいただいております。  次に、民間団体における自主的な活動の支援。よく行われておりますのは、サマーキ ャンプ等の支援ですね。その他、総合的、体系的な対策の確立というのをこの提言の中 でいただいております。  ちなみに最後でございますが6ページに、平成4年にこのような慢性の子供さんの疾 病の対策についての御提言をいただいた委員の名簿を載せております。平成4年に一度 このようなことが検討されたところでございまして、今回の検討会においてもこれを踏 まえつつ、この方向性に沿って検討していくのが適切な道ではないかという御意見を小 林委員からもいただいているところでございます。  次に、資料3でございます。いわゆる医療制度改革でございまして、先般、厚生労働 省案として公表されたものでございます。これについては、小児慢性疾患と関係がござ いますので、これについて御説明申し上げます。  医療制度改革につきましては多岐にわたりますが、小児慢性疾患について関係がある のは下の下線を引いたところでございます。(ウ)「乳幼児に係る給付率の見直し」。現 在は、3歳未満の乳幼児に係る給付率を8割に高めるということをこの医療改革試案の 中では提言している次第でございます。ただし、高額医療費に係る自己負担限度額の見 直しもございまして、高額医療費に係る自己負担限度額は、現在一般的な方につきまし ては一月6万3,600円という限度額がございますが、これについて政府管掌健康保険の平 均標準報酬月額の25%程度の水準に引き上げるということでして、ある程度の引上げを この医療制度改革試案の中では提言している次第でございます。ただし、低所得者につ いては、現行の限度額を据え置くということを提言している次第でございます。これに ついては、まだ政府としての案ではございません、厚生労働省の案として先般公表した 次第でございます。  続きまして、資料4でございます。これは、前回、小林委員の方から御要望があった 資料でございまして、小児慢性疾患につきましては国費で小慢制度が行われているとこ ろでございますが、それ以外に自治体、具体的には都道府県や政令指定都市や中核市に ついて単独の事業が行われているので、それについて教えてほしい、資料を出すべきで はないかという御指摘があったところでございます。それにつきましてまとめたのが、 この資料でございます。内容につきましては多岐にわたりますので、きちんとしたまと め方がなかなか難しいところでございますので、あえて羅列的に御説明申し上げる次第 でございます。  ただ、このように各県と各市を羅列してございますが、都道府県につきましてはおお むね半分程度の県が実施しておりますが、実際に行われていない、つまり小慢の患者さ んに対しては国費だけ、国で行われている小慢事業だけという都道府県もございます。 例えば、北海道の次に行われている県は茨城県となっておりまして、東北6県等は行わ れていないというように、おおむね半分の県が行われていて、その他の半分の県は国費 だけという状況でございます。これが大つかみの傾向でございます。  次に、資料5でございます。これにつきましては、及川委員が前回、第1回の資料に おきまして医療費の分布がありましたが、その経年変化を御提出いただきたいという御 要望があったところでございます。これについて、後から及川委員からコメントをいた だければ幸いでございますが、グラフ的なものはコンピューターのデータベースに入っ ておりませんでしたので、事務局としてはつくることが難しかったので、一人当たりの 平均の変化というのをつくらせていただきました。これにつきましては、一般的な変動 というのはございますが、何か特定の著しい傾向とかある年度における大きな変化とい うのは、事務局としては見出せなかったというところでございまして、ある程度の変 化、上下変動はございますが、その原因は少なくとも事務局においては、これが原因だ というものはなかなか見つけられなかったというところでございます。  次に、資料6でございます。これは、都道府県ごとの疾病発生率の違いのデータでご ざいます。これは、本来、疾病発生率がそれほど違うはずがない疾病について、小慢の 対象患者さんの発生率が違うということは、各県ごとに認定の基準がばらばらではない か、差があるのではないかという問題意識から要望があった資料でございます。これに ついては、日本地図の濃淡で出されてございまして、やはり一般的に医療費が高いので はないかという都道府県におきまして、小児慢性疾患についても患者数は多いという傾 向は見出せるところでございます。  ちみなに個々の疾病につきましては、次をめくっていただきましたページの各県の発 生率について申し上げる次第でございます。これについては、あえて事務局からはこれ が原因というのは御説明せず、委員からこれが原因ではないかという御指摘を待たせて いただきたいと事務局としては判断した次第でございます。  次に、資料7でございます。これは、高松委員から前回御指摘のあったところでござ いまして、更正医療等障害者医療につきましては、国としては更正医療等の障害者福祉 医療を行っているところでございますが、実際には障害者医療については都道府県で行 われている点がかなり多くございます。これについて、各県で行われている状況を調べ なければ実態がわからないのではないかという御指摘があったところでございます。こ れについて、都道府県で行われている実施状況を調べたのが資料7でございます。 かなり羅列的でございますが、大まかな傾向を申し上げますと、対象者といたしまして は身体障害者の1級から2級、一部3級を含めてございますが、これが身体障害者の各 県の医療の対象となっているところが多いところでございます。  これにつきまして、一番右端の一部負担金というところをごらんいただくと、例えば 岩手県、宮城県については医療費なし、一部負担金なしというところがございます。こ のなしというのはどういう意味かと申しますと、医療費が掛からない。この医療費が掛 からないというのは、例えば極端な話、風邪で病院にかかっても医療費は掛からないと いうような意味でございまして、かなり障害者医療については都道府県において極めて 手厚い保護がなされているということが、この資料からはごらんいただけるのではない かと考えております。  前半は以上でございます。以上、座長お願いいたします。 ○鴨下座長  1番から7番まで前半の御説明をいただきましたが、何か委員の方から御質問はござ いますか。 ○柳澤委員  ただいま御説明いただいた中で、資料2「これからの母子医療に関する検討会最終報 告」、これは平成4年に出された非常に大事な報告で、一つの土台になると思いますけ れども、前回の会議で神谷委員がこれについて質問されました。 この報告書は平成3年に行った小慢の患者さんに対する調査に基づいているのですけれ ども、その後、平成8年か9年にもう一回、比較的似たような内容で患者さんあるいは その御家族のいろいろな状況を調査して、それは勿論、当時の心身障害研究でしたが、 その報告をまとめてあると、それはどうでしょうかという御質問があったと思うんで す。 ○森本補佐  よろしいでしょうか。申し遅れました。次に御説明する資料8に、平成10年4月研究 報告を御説明したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。こちらこそ失 礼いたしました。 ○小林委員  私からお願いしたのですけれども、平成4年のこれからの母子医療に関する検討会の 報告なんですが、大変患者団体でも高い評価をしていまして、特にこのときに初めて 「クオリティオブライフ」という言葉が、こういう慢性疾患の病気の話し合いの中で出 てきたと思うんですけれども、このときにここにあります在宅のことだとか、それか ら、分教室や院内学級の設置だとか、あるいは宿泊施設のことだとか具体的なことも幾 つか実現しておりまして、そのほかにもここで提言されていることがあったわけなんで すけれども、実は、この提言が出たときにやはり小慢の法制化という話が出ておりまし て、当時いろいろ検討したんですが、やはり難しい、はっきり言ってしまうと、そのと きも自己負担という話があったんですけれども、そういうようなことで法制化は実現し なかったんですね。そんなことで、この報告がちょっと棚上げ状態みたいな形に当時な ってしまったといういきさつがありまして、そんなことで前回のときに共同アピール文 というのを配らせていただいたんですけれども、それは、このときのこういういきさつ があったものですから、そういう共同アピールをつくらせていただいたといういきさつ がございましたので、ちょっと御説明をさせていただきます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにどうぞ。 ○山本委員  2点お願いします。1点目は、今、小林委員からもお話があった資料2の5ページの ところですが、この会議の検討会にちょうど私はオブザーバーで参加をさせていただい ておりましたが、この入院児対策の推進の教育の問題については、前回のこの会議のと きに、慢性疾患の子どもに対する教育の重要性とその成果ということをお話ししました が、ここに書いてあること、医療機関の方の御理解、それから、当時の文部省、今の文 部科学省が各都道府県教育委員会等への働き掛けによりまして、特に病院の中の学級の 設置が年々増加をして、そういう意味では入院している子どもたちの教育の充実という ことで非常に大きな成果を上げているということで補足をさせていただきます。  もう一点は質問ですが、細かいことで恐縮ですが、資料7の表の中で身体障害者の対 象者3級のところに「(内部障害)」とただ総括的に書いてあるものと、心臓、腎臓等 各臓器が細かく分けて書いてあるものがありますが、これはどういうふうに違うのでし ょうか。 内部障害の中の一部ということでしょうか。例えば、北海道と青森県の比較でも結構な んですが、どなたに質問していいかわからないんですけれども、この内訳、内部障害と 書いてある県と、心臓、腎臓、呼吸器等を細かく分けて書いてあるのと同じかあるいは 内容が違うのかということなんですが。 ○森本補佐  身体障害者福祉法におきましては、いわゆる視覚障害、聴覚・平衡障害、音声機能障 害、肢体不自由がございますが、それ以外の、心臓、腎臓または呼吸器の機能の障害、 その他政令で定める障害で、政令では膀胱、直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる 免疫の機能という、これらの機能の障害がいわゆる内部障害というふうにここの資料で 呼んでおります。この中で、例えば心臓、腎臓、膀胱と書いてあるのは、この機能につ いては施策を行っていると。逆に言えば、これ以外についてはしていないということを 示しているわけでございます。3級でも行っています。 ○鴨下座長  よろしいですか。それでは、ほかに。 ○加藤委員  資料6に関して十分な説明がなかったので、私からちょっとコメントさせていただき たいと思います。10疾患群ごと、または都道府県ごとの頻度に関してですが、中核市な ど人口の少ない地域で地域差が多いのは統計上やむを得ないかなというふうに考えてお ります。この10疾患群の中で一番地域差が少ないのは悪性新生物で、殊に悪性新生物は 従来の小児がん登録に比べて登録率が高かったり、小児科以外の脳神経外科または整形 外科からの疾患も多く登録されていますし、かなり貴重なデータで地域差が少ないので はないかと思っております。  そのほか、対象を入通院ともにしている糖尿病とか先天性代謝異常などが次に地域差 が少ない疾患群ですが、最も地域差が多いのが喘息になっています。喘息に関しては後 で資料が出てくるかもしれませんが、県単独事業との関連でかなり違っています。県単 独事業として通院も含めていたり、また、別の事業で気管支喘息を対象としている大気 汚染等にかかわる補助事業とか、多分東京都だと思うんですが、そういったところでは 喘息の頻度が非常に少なくなっております。  それから、次に対象の頻度の地域差が多く見られるのが慢性心疾患ですが、宮本先生 からいただいた育成医療との関連で見ると、育成医療の対象者と今回の小慢対象者を合 算して計算すると、頻度の差が約2倍から3倍程度ですので、かなり悪性新生物に近づ いて、それほど問題ないのではないかなというふうに考えております。  ただ、やはり個人的に問題だと思うのは、この成長ホルモン分泌不全性低身長症が厚 生労働省として以前から基準をいろいろ設けた割には依然地域差が多い。やはり一けた も頻度が違うというのは、本来あり得ない差ですので、殊に医療費との関係で今後検討 すべきかなというふうに考えております。ありがとうございました。 ○鴨下座長  では、ほかによろしいでしょうか。  資料を要求された及川委員あるいは高松委員は、特に何かコメントはございません か。 ○及川委員  ありがとうございました。資料5をお願いしたわけですけれども、私としましては、 一人当たりの分布というところを見たかったものですから、1か月分の平均にしますと 余り変化はないということはわかっておりましたので、どうもありがとうございまし た。 ○高松委員  資料7をお願いいたしました高松でございます。ありがとうございました。  私としては、うれしい誤算といいますかデータでございますのは、内部障害の3級で ございますね。実は内部障害は1級、2級、3級、4級とある中の2級がなくて1級と 3級、4級になっていくわけなので、3級、4級はないかな。とりあえず、3級になる 人々が多いから、これで助かったと言ってもらえる子どもさんが少ないのではないかと 心配しておりましたが、3級が拾われているということであれば、これが都道府県のレ ベルを超えて国レベルのところで統一していただければかなりいけるかなと思ったり、 これはまた後で意見を申し上げていきたいと思います。とりあえず、ありがとうござい ました。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。ほかに何か御質問か御意見はございませんか。  それでは、もしございませんでしたら、次の後半の資料の御説明をお願いしたいと思 います。資料8からですね。 ○宮本補佐  私からは資料8の説明を簡単にさせていただきます。  先ほどからお話になっておりますけれども、資料8は平成9年に行いました小児慢性 特定疾患対策調査結果というものの概要であります。4ページに調査の概要が出ており ます。 平成9年9月1日に、この事業の給付対象になっております患者さんとその御家族を対 象としまして、10の疾患群それぞれに約600名ずつの対象者を選択いたしまして、全国均 等になるように配分しまして、そういった方々を対象として実施をいたしました。6,000 名に対しまして調査票を送付いたしましたけれども、調査票は3,671名回収されまして、 61.2%の回収率であったということです。  内容としましては、前回御紹介しました平成3年のものと重なる点がかなりあるわけ ですけれども、特徴的なものを幾つか紹介してまいります。  14ページ「主治医に対する満足度」というところがございます。これは、平成3年の ときの調査に比べまして、ある程度満足、満足という両方の選択肢を合せますと89.3% とかなり満足度が高かったということであります。不満であったというふうにお答えに なった方は7.8%でありまして、その理由としましては、詳しい説明がない、それから、 説明が難しいというような点が回答されております。子どもの病気について御家族は多 くのことを知りたいと思っているということが示されている、このようにまとめられて おるところであります。  続きまして、15ページですけれども、介護必要度を疾患群ごとにどの程度の方が介護 が必要なのかということでまとめております。これによりますと、神経・筋疾患では 76.5%が日常生活で介護が必要としているということで、大変高い状態になっておりま すが、そのほか悪性新生物、喘息、慢性心疾患、先天性代謝異常でも、かなりの方が介 護が必要であるというように回答されております。  それから、続きまして、学校での生活状況等ずっと続いておるわけですが、20ページ 「保護者からみた患児の精神的変化」。病気にかかったことによってお子さんがどうい った気持ちの変化があったかというような問いがございます。それによりますと、消極 的になった、神経質になったという否定的な変化というのもかなりの方が示されており ますけれども、一方で、忍耐力がついたというふうに回答されている方も26.5%に上っ ておりますし、最初に調査を実施したときに予想しておりましたほどマイナス傾向の答 えが少なかったというようにまとめられております。  それから、21ページでありますけれども、保護者の悩みと要望ということで5つ以内 を選択するような調査を行っておりますが、この中で求められておりますこととしまし ては、医療機関における相談窓口の設置というのが40.7%になっておりまして、そのほ か小児慢性特定疾患に関する最新情報が知りたい64.2%でありますとか、公的な経済援 助の充実強化53.3%、精神的ケアの専門家の育成、それから、小児慢性疾患に関する教 育現場での正しい知識の普及などの希望が高くなっておりました。  続きまして、22ページ、最後でありますけれども、自由記載欄の内容をまとめてまい りますと、小慢の仕組みは現在20歳までの対応となっておりますが、そういったものを それ以降も対応してほしいというような意見、それから、18歳と20歳と2つに疾患によ って分かれて対応しておりますけれども、そういったものをそろえて20歳までにしてほ しいというような意見、それから、医療情報を適切に提供してほしいというような意 見、それから、相談所でありますとか病院といったところの対応というのを向上してほ しいというような意見、こういったものが続いておるということでありました。  以上が、資料8であります。  続きまして、資料9ですけれども、小児慢性特定疾患治療研究事業は、医療費の助成 のほかにどういった対応を行っているかというのを都道府県、それから、指定都市、政 令市にそれぞれアンケートを行いまして、その結果をまとめたものであります。これに よりますと、相談事業等というのを実施しておる都道府県、市町村というのはかなり多 くなっておりまして、25の都道府県、それから、政令市、指定都市を合せまして15の市 におきまして訪問、相談会、交流会といったものによります患者さんの相談というもの に乗っているということであります。これは、こちら側の質問の仕方にもよるかと思う わけでありますけれども、このほかにも保健所等におきます相談というのは、各自治体 において取り組まれておるものというふうに考えております。  その資料の一番下の方なんですが、相談以外の福祉的な事業にどういうものがあるか ということで、1県仙台市より通院介護料交付事業、それから、難病患者に対します見 舞金支給事業といったものを行っているという回答をいただきました。  続きまして、資料10にまいります。こちらは、この近年に患者団体の皆様方からいろ いろな要望をいただいたわけですけれども、そういったものを羅列的にまとめたもので あります。いろいろな点でいただいた意見というものを並列的に並べておるというもの であります。  1番目は、通院入院の支援ということで、医療費の助成のほか院内におけます医療 ケースワーカーの設置、それから、院内の学習環境の向上といったことが要望されてお ります。  2番目としましては、家族の支援ということでありまして、ショートステイの受入れ でありますとか、親の休暇の支援といった点を要望されております。  3番目としましては、社会生活全般ということで、リハビリ施設の充実でありますと か、いろいろな施設のバリアフリー化を推進してほしいといったことが要望されており ます。  4番目としましては、保育、学習支援ということで、学習環境における医療的ケアの 充実などが要望されております。  5番目としましては、就労支援ということで作業所におきます対応の充実、それか ら、企業の採用時点での対応の向上といったことが要望されております。  続きまして、めくっていただきまして6番目、必要な医療器具ですとか日常生活用具 といったものに関します要望でありますけれども、(1)としましては、身に着けるものと いうことでかつらでありますとかサングラスでありますとか、それぞれ疾患に合ったそ ういった用具というのを要望されております。  (2)としましては、医療的な色彩の強いいろいろな用具に対する支援の要望ということ で、コンタクトレンズでありますとか、血糖値の自己測定器あ りますとか、紫外線防止のためのクリームといったものが希望されております。  (3)としましては、施設といいますか機器的なものでありますけれども、空気清浄機、 それから、紫外線の測定器、意志疎通のための電子機器といったものが要望されており ます。  (4)としましては、部屋の施設ということで、紫外線遮断のために必要なもの。  (5)その他としましては、疾患であることをお知らせするようなカードといったものが 今までの中で要望されてきたということでございます。  続きまして、資料11にまいります。資料11は、特定疾患治療研究事業、いわゆる大人 の難病の方で行われております福祉サービスの概要であります。こちらの方では、難病 患者と居宅生活支援事業という形で福祉的なサービス事業が行われておりまして、事業 の対象者としましては、日常生活を営むのに支障があり、介護等のサービスの提供を必 要とする者であること。それから、特定疾患対策研究事業の対象疾患にかかっている患 者さんであること。それから、身体障害者福祉法、介護保険法などそういった施策の対 象にならないような方、こういった方々を対象に行われているものであります。  行われている事業としましては、ホームヘルプサービス事業ということで、ホームヘ ルパーさんを御家庭に派遣しまして、入浴等の介護や家事サービスを提供するというこ とを行っております。  これに対応しまして、4番に飛んでしまいますけれども、難病患者とホームヘルパー 養成研修事業ということで、こういった患者さんの多様なニーズに対応するホームヘル パーを養成するための事業というのが取り組まれております。  戻りまして、2番目ですが、難病患者等短期入所事業、いわゆるショートステイの事 業というのも実施されております。  それから、3番目ですが、難病患者と日常生活用具給付事業ということで、9つの種 類の日常生活用具、特殊マットでありますとか、寝台でありますとか、そういったもの について給付をするといった事業であります。いずれも、これは市町村を実施主体とし て行われている事業であります。4番目の養成事業以外は市町村を主体として行われて おります。  続きまして、資料12にまいります。こちらは、お手元の方に文部科学省さんから提供 いただいてお配りしております「21世紀の特殊教育の在り方について」というものがあ りますが、そちらの抜粋、それから、関係資料がつけられております。  平成13年1月15日にまとめられたということでありまして、その中で特に病気の療養 に関係したものを紹介いたしますと、2ページにあります第3章「特別な教育的支援を 必要とする児童生徒への対応について」、この中で1−1「障害の重度・重複化や社会 の変化に対応した指導の充実」。この下に2つ目の○がございますが、養護学校に在籍 する日常的に医療的ケアが必要な児童生徒等への対応については、医療機関と連携した 医療的バックアップ体制の在り方等について検討を行い、その成果を踏まえ指導の充実 を行うこと、このようにまとめられております。  それから、1つ飛びまして1−3「最新の情報技術(IT)を活用した指導の充実」 という点がございまして、こちらも2つ目の○ですが、訪問教育を受けている児童生徒 や入院中の児童生徒への情報通信手段による指導を積極的に推進すること、このように まとめられております。  具体的なデータが5ページ以降に出ておりますけれども、6ページ目に「特殊教育の 現状」ということでデータがまとめられておりまして、この中では一番上の段にありま す資料ですが、一番左側にあります盲・聾・養護学校の中で、養護学校の病弱な児童生 徒を対象としましたそういった養護学校が学校数として95校、それから、児童生徒数と して3,008名いらっしゃるというのがまとめられております。  右側に移っていただきまして、小・中学校の特殊学級の中で、3段目にやはり病弱・ 虚弱の児童生徒を対象とした特殊学級ということで801学級、児童生徒数は1,766名いら っしゃるというようにまとめられております。  続きまして、資料13にまいります。就労に関します厚生労働省が関係者に向けました 資料ということで、採用選考時に配慮すべき事項というものの中に幾つか項目がござい ますけれども、その一番下の(14)で、特に必要な場合を除く、採用選考時の健康診断の 実施が配慮すべき事項の一つであるというようにまとめられております。具体的には、 C型肝炎のウイルスのキャリアである状態、そういった状態の方を就職上排除しないと いうようなことが、具体的には指導されてきたという経緯であります。  続きまして、2ページ目になりますけれども、採用時に配慮すべきポイントというこ とでまとめられておりますのは、採用選考時の健康診断を職務内容との関連において、 その必要性を慎重に検討することなく実施することは、応募者の適正と能力を判断する 上で必要のない事項を把握する可能性があり、結果として就職差別につながるおそれが あります。 2番目としまして、したがって、採用選考時にいわゆる血液検査等の健康診断を実施す る場合には、健康診断が応募者の適正と能力を判断する上で真に必要かどうか慎重に検 討してくださいというような指導を行っております。  3番目の資料は「雇用主の皆様へ」ということで説明する資料でありまして、4ペー ジ目の下の方に下線を引いておりますが、雇入時の健康診断については、採用選考時に 実施することを義務付けたものではなく、また、応募者の採否を決定するために実施す るものでもありません。続きまして、結果として、就職差別につながるおそれがあると いうことで、慎重に検討してくださいと、このようにまとめられているところでござい ます。  続きまして、資料14でありますけれども、こちらは研究に関します資料でありまし て、私どもで所管しております子ども家庭総合研究事業の中で、平成11年度から平成13 年度に掛けまして、小児慢性特定疾患のそういった疾患に関連します研究テーマという のをまとめたものであります。内容としましては、小児慢性特定疾患研究事業そのもの から得られますデータを活用するものもあれば、サーベイランスに関するものもあれ ば、内容は多岐にわたっております。  私からは以上です。 ○鴨下座長  どうもありがとうございました。  それでは、質疑に移りたいと思いますが、一応、資料の順番に従って御発言いただき ましょうか。資料8「小児慢性特定疾患対策調査結果の概要(平成10年4月)」につい ては、いかがでしょうか。今日は残念ながら、神谷委員が御欠席ですけれども。 ○加藤委員  資料8の一番最後、22ページの一番上に書いてある行政に対する要望としてやはり多 いのが、小慢継続と小慢18歳ないし20歳以降も適応してほしいということなんですが、 以前から何回もお願いして無理だというふうに聞いてはいるんですけれども、改めてど うしてだめなのか、もし、可能であればありがたいんですが、そこら辺を教えていただ ければと思います。私が聞いているのは、児童福祉法に乗せたいので児童福祉法の中で 児童は18歳未満と定義しているから、今後もこれは絶対譲れないというふうに聞いては おりますが、母子保健課の担当者もすっかり変わりましたので、改めてお聞きしたいと 思っただけなんですけれども。 ○谷口母子保健課長  前回の第1回目でも御説明申し上げたかと存じますけれども、基本的に、この制度自 体がはっきり言いまして将来的補助金という形で位置付けられておりまして、今のまま でいくとどうにもならないというのがはっきり本音ではあるわけですね。 その中で、どのような形で持っていくのがいいのか、我々としても永続的な形で何とか したいというふうに思っておりますので、その点を一番望ましい姿というのは何なのだ ろうということで、先生方から幅広い御意見をいただきたいというのが、この検討会を 設けた趣旨でございます。その点を前回申し上げたと思うんですけれども、先生は御懸 念かもしれませんが、我々としては、この制度を縮小しようということがそもそもの発 想ではないという点を御理解いただきたいというふうに思っておるんですけれども。そ こは、ちょっと我々とギャップが……。 ○加藤委員  その点よりも、子どもが18歳とか20歳になると対象を打ち切られる、今まで医療補助 が受けられていたのに、何で20歳になると医療補助が受けられないのかというのが、患 者さんとしてみれば非常に不思議な……。 ○高松委員  それは仕方がないですよ。 ○加藤委員  仕方がないというのはわかるんですが、そこら辺の……。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  高額医療費の助成の問題はそれとして対策の枠組みがあるわけで、ですから、この事 業の目的といいましょうか、それをどういうふうに整理するかということとの関係で、 対象年齢ですとか疾患の範囲というようなこともおのずと結論が出るのかなというふう に思います。従来は先生がまさにおっしゃいましたように、児童福祉という枠組みの中 でやりましたので、原則18歳までの世界で、それをどういう理屈だったのか、個々の疾 病ごとに例外的に20歳まで延長しているケースがあるということだというふうに理解し ております。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。ほかに。 ○小林委員  感想で申し訳ないんですが、この調査結果を見て、意外に家族会の育成充実というの が大変低くて、例えば、21ページの保護者の悩みと要望の中で、家族会の育成充実を求 めているのが11.2%だということで、非常に意外に感じたんですね。親の会に入会して いるか、入会している人が13.9%ということで、私どもで電話相談などをやっているん ですけれども、仲間探しというのが最近多くて、特に、同じ病気の親御さんと知り合い たいというのがすごく多くて、掛かってくる相談の半分以上はそういう相談だったもの ですから、もうちょっと患者会も活動を勉強していい活動をしたいなというふうに、こ れを見ながら反省をさせていただきました。 ○鴨下座長  これは、総体的なものですから、全体的に低いというよりは、ほかにもっと大事なも のがあるという見方もできるのではないかと思うんですけれども。でも、大事な御指摘 ではあるだろうと思います。 ○大久保委員  この制度の目的は、今、局長がおっしゃいましたように2つあると思うんです。基本 路線は以前からそうですが、治療研究ということと医療費の公費負担といいますか、患 者・家族の経済的な軽減負担という2点がどうしてもあるわけで、その2点の二本柱を どういうふうにやっていくかという見直しなんだろうというふうに思います。私ども現 実に行政として患者さんから申請をいただきましたときに非常に苦慮しますのは、ある 疾病が小慢の対象疾患に入っていて、ある疾病が入っていないんです。ところが、患者 さんあるいは家族が置かれている状況は同じであるのに、どうしてこの疾患が入らずに この疾患が入るのかというところがございまして、この制度をこのまま維持していくと いうことであれば、1つは対象とするもの、治療研究ということを主眼に置くのか、あ るいは医療費助成というところを主眼に置くのか。仮にもし、後者であって医療費助成 ということを主眼に置くのであれば、小児慢性特定疾患というものをきちんと基準づく りをして、こういう基準であるからこれを助成しますと、こういう一定の基準に達しま したから再申請を却下しますというような一定の基準がございませんと、行政としては 非常にやりにくうございまして、そういう意味から、この制度としてのまず見直しの最 大の点は、もし、治療研究ということも続けるのであって、なおかつ医療助成も続ける ということであれば、一定の基準づくりというのはどうしても必要でございまして、対 象者をだれにするのか、対象疾患を何にするのかというその辺が非常に患者さんの家族 の方も、また、行政側もわかりやすいような仕組みにつくり変えないと、あくまでもわ かりづらい制度であるというふうに思います。  もう1つ、先ほど各自治体の報告している、加藤先生がまとめられた実施状況の患者 の数が余りにも違うと。例えば、ちょっと例を見ていただきますと、資料6の1ページ 目ですけれども、悪性新生物は確かに入院も通院も公費負担で見ていただいているとい うものですので、これは各都道府県で差はございません。これはそのとおりだと思いま す。ただ、慢性腎疾患であるとか慢性心疾患とか喘息というところ、あるいは膠原病も そうだと思ますが、1か月以上の入院しか認めませんという制度でございます。  そうでありますと、それを厳密に守りますと、現在長期入院という方向は、老人にお いてさえも長期に入院する、1か月以上もずっと入院するという疾患はほとんどないよ うな状況に実はなっているのではないか。そうすると、1か月以上だけを補助の対象に するとしますと、どうしてもそれを厳密にやりますと非常に少ない県が出てくる。それ を非常におおらかな気持ちでみんな拾い上げていると非常に数が多くなる。では、それ が果たして調査研究と言えるのかという問題もございますので、先ほど申しましたよう な基準づくりというのは、この制度を続けていく上では必要不可欠であろうというふう に思っております。  それと、あと、先ほど20歳で医療費の助成が切られてしまうのはどういうことだとい うお話もございました。また一方で、実は患者さん方からよくおしかりを受ける点は、 小児慢性の医療券を持っているのに、あるお医者さんに行って風邪を引いてかかった ら、これは使えないと言われたというお話が実にたくさんございまして、それは違うん ですよと。これは、疾病限定の医療費補助であって、認定された方の小児医療全般につ いての医療費補助でないんですよというお話をして御納得いただくんですけれども、そ の辺を国としては、今までもそうであったと思いますが、疾病限定の医療費助成なんだ と、それはあくまでもこの事業の目的にかかわってくることであろうというふうに思い ますけれども、その辺をきちんと周知していかなくてはいけないのではないか。行政の 立場ではそのような点でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○雪下委員  今の資料8の6ページを見ますと、小児慢性疾患は18歳あるいは20歳までで切れると いうことで、この分布がこういう形を示しているのかどうかということをお尋ねしたい んです。今の小児慢性疾患に入っているのは、このような形で20歳くらいで自然にずっ と減少していくのかどうか。あるいは、その中で20歳過ぎても継続して必要なものとい うのが実際どのくらいあるのかということ。いわゆる成人の特定疾患に移行していくも のがこの中にどのくらいあるのか、そんなことをちょっとお教え願いたいと思います。 ○鴨下座長  これは、神谷班長の報告書で、神谷委員はお休みなんですけれどもどうでしょう、事 務局お答えできますか、難しいですか。 ○谷口母子保健課長  事務局では、この辺の医学的な問題というのはなかなか難しゅうございますし、ちょ っと答える能力がないんですが、加藤先生、もしフォローしていただけるのであれば。 ○加藤委員  疾患とか疾患群によって大分違うと思いますが、やはり先ほどもお話ししたように、 糖尿病とか先天性の代謝異常は20歳になったから治るというものではありませんし、こ こら辺は、やはり年齢で区切られるのは非常に患者さんとしてはありがたくないと思い ますから、先ほどの大久保先生の話で、やはり対象疾患にとにかく凹凸があって非常に 問題ということで、今後は極力福祉の視点からどの程度患者さんが困っているかという ことを一番念頭に置いて、対象疾患というより対象の可否を判定したいというふうに、 私が言っていいのかどうかわからないんですが、考えているところです。その意味で は、全疾患に関して今見直しを行っていますし、極力凹凸がなくなるように専門医の先 生方に依頼しているところですので、この次か次辺りの会で資料がお示しできるのでは ないかというふうに考えております。 ○谷口母子保健課長  今の雪下先生のお話の答えは、次回に、医学的なものにつきまして取りまとめて事務 局から御報告させていただきたいと思います。 ○雪下委員  特に、継続を必要とするものの率がどのくらいあるのか。今、小林委員の方からも継 続を願いたいという患者さんの声があるというのを聞いたわけですけれども、実際に多 い数なのかどうか。この棒グラフを見る限りは、大体ここで収まってきているのかなと いうような印象を受けるわけです。そういうことではないですか?それは18歳とか20歳 で切られているからということですね。 ○加藤委員  済みません、その点なんですが、原則は18歳未満になっています。18歳とか19歳が認 められるのは都道府県によって違っていまして、特殊な場合、例えば、継続申請した場 合だけになります。その意味で、ここで上がっている15歳から19歳でまとめられた数字 は、本来20歳までと全部ならして考えればもっと増える数だと思います。その意味で、 0歳から14歳までの子の数はきちんと対象患者さんの全国的な数を把握しているものと いうふうに考えていますが、15歳から19歳、殊に20歳というのは全く当てにならない数 字というふうに考えていただければと思います。 ○雪下委員  わかりました。 ○小林委員  ちょっと確認なんですけれども、先ほど大久保先生から基礎疾患に対しての治療費と いうお話があったんですが、以前に、当時母子衛生課だったと思うんですけれども確認 したんですが、基礎疾患が起因になって起きる病気については、それも対象にするとい うふうに聞いていて、そういうふうにされているかと思うんですけれども。それでよろ しいんですね。 ○大久保委員  はい。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。  柳澤先生、総括班長は先生だったんですけれども、何かございますか。 ○柳澤委員  大久保委員からの対象疾患あるいはまた患者さんについての基準づくりが制度を続け る上では不可欠だという御指摘は、私も今後の小慢の制度というものを考えた場合には どうしても必要だと思います。そういう観点から、現在の500種に及ぶ疾患を見ますと、 疾患としては一般的に軽い疾患であって、半年に一遍とか年に一遍、定期的な観察をし ていけばよいというような疾患が疾患名として挙げられていたり、また、急性な疾患と みなされている疾患が挙げられていたり、そういった点をもう一度よく整理する必要が あるということと、同じ疾患名であっても非常に重症度の幅があること。そういう場合 に、本当の意味での慢性疾患としての継続的な治療を続けている患者さんに対して適応 するという、診断名の中で更に重症度あるいは患者さんの状態に応じて適応するかしな いかということが判定できるような基準というものが、やはり検討されていかなければ ならないだろうというように思います。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにこの資料8については、大体よろしいでしょうか。 ○柳澤委員  ちょっと付け加えて申し上げると、これも大久保委員からの御指摘の疾患限定という 点に関して、小林委員もお話しになっていたように、基礎疾患と関連する病態であれば 適応するということですけれども、それについての解釈というのは、診る主治医によっ て相当幅が実際上はあるだろうと思います。例えば、先天性心疾患で定期的な治療をし ているような患者さんが風邪を引いたと。それは、たまたま風邪を引いたというふうに 考えるか、あるいは先天性心疾患が基礎にあるからというように考えるか、それは解釈 に差があってもやむを得ないというか、難しい点だろうと思います。 ○加藤委員  21ページの表24で、できれば小林委員に教えていただきたいんですが、この中の要望 で、やはり小慢に関する最新情報提供とか教育現場での知識普及というのは、やはりい ろいろな情報知識を知りたい、広めてほしいという要望が比較的多いんですが、私たち が研究面で困っているのは、プライバシー保護条例、いろいろな情報をなかなか中央に 集められないということと同時に、こちらで集められた情報を患者さんに還元すること もできないんですね。もし、そういうものがしていいものであれば、もうちょっと伝わ ると思うんです。例えば、インターネットで公開していいとか、個別に保健所単位まで は把握できていますので、保健所を通して何か必要な情報をもっと伝えるとか。難しい んでしょうか。 ○小林委員  個別の個人個人の情報というのはなかなか難しいものがあって、実際つい最近もある 研究会がありまして、そこに患者団体とお医者さん方が集まっていろいろな研究発表を されたそうですけれども、ある先生が発表したものが、ある病気の患者さんの情報を基 に発表しているわけですけれども、その患者のお母さんがその場にいたんですね。発表 した人は、患者さんのことは何も知らないんです、初めて顔を見た人なんです。つま り、治療も何もしていない方がどこかほかから情報が入ってきて、こういうものを発表 したということで、これはどういうことなんだろうかというふうなことを言っておりま したけれども、プライバシーというのは当然ある程度きちんと認識していただく必要が あると思うんですが、一方で病気ということに対する病気の知識という点では、素人は なかなか持ち切れないんですね。自分の子どもはどういう病気なんだろうか、これから どうなるんだろうか、みんなはどんな治療法を受けているんだろうか、その結果、例え ば3分の1はどうなって、3分の2はどうなってとかそういうようなことは当然のこと ながら自分の子どものことですから知りたいに決まっているわけで、これからどうなっ ていくということについては非常に不安に思いますから、そういう情報はすごく探求し ている。そのことを患者団体とか私どももそうなんですけれども、問い合わせてくると いうことは非常に多くあるわけですね。医療機関の相談窓口設置と書いてありますが、 ここでも恐らくそういう相談もかなり寄せられてくるのだろうというふうに思います。 ですから、そういうことについての情報というのは、大きなところでこういう病気でこ ういう治療法がある、今はこんなことが試されているというようなことは、いろいろな 形で情報が提供される仕組みができていると大変助かるのではないかというふうに思い ます。 ○加藤委員  そういうようなシステムを今後つくっていくという方向性はよろしいんでしょうか。 ○鴨下座長  それは、この検討会でも議論して、もし、必要であればそういう方向が検討できるだ ろうと思いますけれども。 ○小林委員  例えば、別のときにちょっと提案してだめと言われたことなんですが、研究班の報告 書がありますよね。厚生科学研究の報告書が、分厚いいろいろな班ごとにつくられてい るものがありますけれども、それが伺った範囲では大学病院と国立病院と都道府県に送 られている、病院の図書館などに送られているということなんですけれども、普通、国 立病院の図書館というと我々一般人はなかなか入れない、そういうものを買うこともで きないというのが実情ですから、できればそういうものが何かの形で提供されて、購入 したりということができればいいなと。インターネットで今は見れるんですか。 ○加藤委員  見れるようになっているはずなんですが。つい最近ですけれども。 ○小林委員  わかりました。 ○鴨下座長  そうですね。最近は、みんな公開されるようになっているのではないでしょうか。そ れから、これは私の個人的な印象ですけれども、最近の難病とか特定疾患に関しては、 患者さんあるいはその団体の方々は、本当によく勉強していらっしゃいますね。こっち が驚くほど。ですから、うかうかしていられないといいますか、それは結構なことだと 思うんですけれども。 ○雪下委員  もう一つよろしいですか。山本先生にお聞きすることになると思うんですが、資料8 の21ページを見ますと、院内学級の設置というところが18.8%ぐらい要望があるわけで すが、一方では、先ほどの先生のお話をお聞きしますと、院内学級が次第に増加してい るというような話もあったわけです。この18.8%というのは子どもの常態が異なります ので、いちがいには言えないかもしれませんが、実際問題としては必要がどのくらい満 たされているのかと考えれば良いのか?私の経験では、この方法が一番理想的だと思う んですが、これをつくろうと思ってもなかなかつくってもらえないという経験があるの です。山本先生の方から現状と、できにくいとすればどういう問題があるのかというの をお教え願いたいと思います。 ○山本委員  データは今日は持っていないんですが、恐らく必要よりはまだかなり実際設置されて いる率は少ないのではないかと思います。数的なものは、今日はちょっと持ち合わせて おりませんけれども、現状としてはさっき申し上げたように年々増えているということ は確かですけれども、需要を満たすにはもっとつくらないといけないと思います。つく るにはいろいろな条件があるんですが、まず、病院の中に教育機関をつくりますので、 どうしても医療機関、病院の理解というか、教育に対する認識、必要性をつかんでいた だかないといけないということで、特に病院の院長先生がつくることに賛成してくださ るかというのが一つあると思います。  それから、次に、院内学級といってもいろいろな設置の趣旨によって違うんですが、 特殊学級ということに限ってみると、小学校か中学校の1つの学級がたまたま病院の中 に設置されるわけなので、教育委員会が関係してきます。市町村の教育委員会がどのく らい必要性を考えて設置に踏み切ってくれるか、つまり財政的な問題もありますし、人 的配置もあります。  それから、母体になる小学校、中学校が、私も小学校をあちらこちら伺いますと、校 長先生によってはそういう特殊教育に対する理解が余りない方と非常にある方といまし て、院内学級をつくるということについて小学校か中学校のどこかの学級になるという ことで、地元のできるだけ病院の近くの方がいいんですが、小学校、中学校の方でそう いう学級設置についての積極的な考えがないといけないということで、いろいろな条件 がございますけれども、そういうものをクリアすることによって病院の中の学級がだん だん増えてきているということと、前回お話ししたように実際につくってみますと、子 どもたちの生活態度あるいは治療に対する意欲や取り組み、その他非常にプラスの面が たくさんあるので、だんだん医療機関の方も病院内学級の意義を認めてくださってきて いるということがありますので、これからも増える方向で進んでいくのではないかとい う期待はしております。数的なことを申し上げられなくて申し訳ないんですが、大体そ んなような傾向だと思います。 ○雪下委員  ありがとうございました。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。 ○永井委員  先に、今の先生の院内学級の件なんですけれども、少し実情をお話ししますと、私ど もの県で唯一病弱児の養護学校があるんです。その中で、各病院の小児科医の先生方を 中心に、私も入っているんですけれども、病弱児教育相談等研究協議会が開催されてい ますが、そこで院内学級が話題になりまして、その中で、先生に今いろいろ教えていた だいたいんですけれども、1か月以上の入院の子どもが対象になるというのがありまし て、今私どもの小児慢性疾患の子どもさんでも大体96%以上が在宅の状況の中で、非常 に短期間の入院をしているということ。院内学級に行きたいんだけれども対象にならな いからというのがあって、病院の中では便宜的に先生方と院内学級の先生方で実質は通 学しているんですが、そういう状況があります。文部科学省の方では1か月以上になっ ているんですかね、厚生労働省との関連で少し連携をよくしていただいて、入院すれば 院内学級へ行くことができるという様なことを考えていただければいいのではないかと いうことが議題に上がっています。  あと、少し神谷先生がなさった小児慢性特定疾患調査のことで、私どもも国に順じて その後県で長期療養児の調査を行いました。  これは国の予算をいただいてですが、比較してみますとその中で非常に内容的にも県 独自のものがあるなと思って、帰ってまた十分見てみようと思っています、ありがとう ございました。  続いて、対象疾病についてですけれども、私どものセンターに来られる子どもさんの 約6割は、小児慢性のこの対象10疾患の子どもさんです。次に多いのは、その他の先天 性疾患のお子さんなんですね。その方たちは、福祉の方でカバーされているのだろうと 思うんですが、初めに高松先生の方からも御意見が出されたと思うんですけれども、そ れらを含めて対象疾病の方も検討されるべきではないかというのを感じています。  それから、もう一つは、資料10の要望のあった福祉サービスですけれども、その中で 感じていますのは、医療費は勿論、特定疾患の対象になりますから無料になるんです が、それ以外の機器、医療品、ここに(2)に医療品と書いていますけれども、例え ば、糖尿病の測定器でも病院によって違うんですね、貸出しをするところとしないとこ ろ。そうしますと、そこの病院にかかったお子さんは貸し出してもらえるとか、呼吸器 でも私どもの小さい病院ではなかなか貸出しがないとか、そういう非常に不合理が生じ てきています。小児糖尿病の場合でも測定器などの貸出し、インスリンポンプなども貸 出しのできる病院とかできない病院がある。病院によって非常にバランスが取れていな いという実情がまだあります。そういうものも含めて対象にしていただければいいので はないかなと思います。それと、細かいことですけれども、慢性心疾患の場合は、心臓 カテーテルなども短期の入院ですので対象にならない。そういう現実が非常に多く相談 がございます。  以上です。 ○鴨下座長  高松委員、何か御発言ございましたら。 ○高松委員  質問でございますが、子どもの難病はこの慢性特定疾患という概念の中でまとめられ ている。大人になったら難病というふうになっていく。その難病の患者さんについての 医療費補助ということはないのですか。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  あります。 ○高松委員  あるんですか。それは、ちょっと知りたいのです。 ○森本補佐  第1回の資料の大人の難病の公費負担制度について。申し遅れました。第1回の資料 についても、委員席の上に準備させていただきました。今後、御議論いただくに当たっ て、資料として御利用いただきたいと思います。今、高松委員から御質問がございまし たのは、資料6の横になっております紙、その一番最後の欄がいわゆる大人の難病でご ざいます。ページでいいますと、2ページの一番最後、または、5ページになります。 5ページ、6ページの方が詳しゅうございますので、そちらの方をごらんいただいた方 がよろしいかと思います。 ○高松委員  それと、我々の小児科領域の子どもの問題とは大いに格差でもあるんでしょうか。要 するに、私は18歳という年齢の問題で現場のドクターたちが悩んでおられるのはよくわ かるんですが、小児期と成人期とを分けなくてもいい、要するに、この辺のところで整 理していける可能性はどうかと思って質問しております。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  大人の難病は病気の原因がわからないあるいは治療方法が未確立であるいったような 疾病が指定されているというふうに理解されておりますが、一方、小児慢性特定疾患の 方は当初の状況はよくわかりませんが、現時点ではほとんどの疾病は原因や治療方法が 確立している。しかしながら、子どもの成長の時期に非常に長い間治療とかかわらない といけないという、そもそもの違いがあるように理解しております。  障害者対策との関係を前回御議論いただき、また今日も出ましたけれども、少し議論 を私なりに整理してみたいというふうに思うんですが、小児慢性特定疾患のこの事業は どういう目的で、どういう内容で行われているかということについては、大久保委員の 方からもございましたけれども、1つは、調査研究、そして、もう一つ非常に大きな柱 になってきているのが医療費の公的な助成、そして、今回新しく福祉サービスの在り方 というのも多分ここで検討されるのだと思うんですね。  それで、一番わかりやすい医療費助成をちょっと例に取って頭を整理してみたいとい うふうに思いますが、国の医療費助成は、障害者関係はどうなっているかというと、前 回お配りしました資料6というのを見ていただいて、3ページに「更正医療の概要」が ございます。これが、大人の身体障害者関係の公費助成なんです。そして、子どもにつ いては次をめくっていただきまして、育成医療というのがございますが、これも公費助 成なんですけれども、例えば、2の対象者というところをごらんいただきますと、「身 体に障害のある児童又は現存する疾患が将来障害を残すと認められる児童であって比較 的短期の治療により効果が期待される児童」というふうになっております。ですから、 治療すると障害を起こさずに済むとか、あるいは障害の程度が軽く済むという方に対し た一時期の治療が育成医療だと思うんです。これについては、公費助成がございます。 ですから、障害者について地方自治体がいろいろな手厚い上積みの医療費の全般的な軽 減や免除の制度を持っているかもしれませんが、国としては障害者に対する医療費助成 というのはこれだけなんです。 ですから、子どもについては育成医療でやっているわけで、そうしますと、今の小児慢 性特定疾患のお子さんたちをこれに移すというのは、育成医療の方が器が小さいんです ね。 障害にならないようにあるいは障害が軽度で済むように、一時期、短期の治療について の医療についての公費助成なんですね。ですから、医療費助成という観点だけからいい ますと、障害者対策にこの小児慢性特定疾患の政策を吸収するというのが果たしてそれ でいいのかというのが、医療費助成という観点から見ると、国のレベルではむしろ範囲 が非常に限定されて後退するということになるのではないかという感じがいたします。 ○高松委員  重度の1級、2級の障害者の医療費は、ほとんどの都道府県と言えると思うんです が、無料化されているというのは、あれは都道府県の政策なんですね。しかし、それで も可能なんですよね、我々は。もし、そうであるなら。是非ともそちらの方向へと言っ ているわけではないんですが、どういう方向に行けば行けるのかというので、育成医療 にはちょっと無理ですね。育成医療のところでこれを拡大していこうというのは、おっ しゃるとおり難しいと私も思います。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。まだ御質問あるかもしれませんが、一応、資料8を中心にかな りいろいろな御意見等が出ましたので、それでは、今後のスケジュールについて事務局 の方から少し御説明をお願いしてよろしゅうございましょうか。 ○谷口母子保健課長  今、御議論していただいている14までの資料の中で、また御質問がございましたら、 後ほどお伺いしたいと存じますけれども、とりあえず座長と事務局担当者の方で検討会 の今後の進め方と申しますか、検討スケジュール、それから、議論点につきまして打ち 合わせさせていただきました。その点につきまして、若干、御説明を申し上げたいとい うふうに思っております。資料15という最後の1枚紙でございますけれども、こちらの 方をごらんになりながら御説明をさせていただきます。  9月14日に第1回目、今日10月10日が第2回目でございますけれども、今後ここに書 いていますような形で進めさせていただければというふうに考えておりますが、まず、 関係者のヒアリングというところから述べさせていただきたいと存じます。関係者のヒ アリングにつきましては、事前に小児慢性特定疾患治療研究事業の見直しの論点をある 程度整理して、それをお示しいたしてから行うのが適当ではないという考え方に立ちま して、11月中下旬と書いてございますけれども、それまで掛けて議論をこの検討会の場 でしていただきまして、論点整理をある程度した段階で、その後で関係者ヒアリングを させていただこうかと考えておるところでございます。そのため、今後の検討スケジ ュールにつきましては、ごらんの資料15のとおりでございまして、このような形で進め させていただければというのが一つの御提案でございます。  その中で、雪下先生からも御指摘がございましたけれども、早急に検討すべきこと と、それから、ちょっと時間を掛けて検討すべきことを整理してはどうかという御発言 が前回もございましたが、その点につきまして、これも座長と御相談をさせていただい た結果でございますが、第2回、第3回のところに書いてございますように、対象疾 病、対象者の在り方、それから、調査研究の在り方、福祉サービスの在り方、自己負担 の在り方、こういったものをちょっと急ぐものとして、関係者ヒアリングまでに論点整 理まで持っていきたいということで御議論をしていただくのが適当ではないだろうかと いうふうに考えております。  それから、ここに書いてございませんが、議論にしょっちゅう出てまいります就学の 問題等につきましてですが、就学につきましては第1回の検討会の後、私どもの方で検 討会で出された御意見を踏まえながら、文部科学省の方に出向きまして御相談をしてま いりました。文部科学省の方では、従来から特殊教育に限定をせずに、通常の学級に係 るものにつきましても患者団体の方々から直接要望というのも受けておられるようでご ざいまして、既に資料の中でも御説明いたしましたように、それらを踏まえた検討とい うものもかなり進んでおるということでございまして、この検討会ではとりわけの議論 というのをするということではなくて、必要に応じまして出た御意見を文部科学省の方 にお伝えをするというのが適当ではなかろうかというふうに考えておるところでござい ます。本日も、実は文部科学省の担当の方にお越しいただいているわけでございますけ れども、そういった形で文部科学省にお伝えするということで整理をさせていただいた 方がいいのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから、次の大きな問題、就労でございますが、就労につきましては、直接的には 児童ではなく、むしろ大人という形の切り口でやる形がございませんで、またその福祉 的な就労なのか、それから、経済就労なのかという視点もございまして、そうなります と他部局にわたる問題ということもありまして、小児慢性特定疾患治療研究事業の枠内 ではかなり扱いにくい問題であることも事実でございます。その重要性というのも従前 から御議論が出ておりますように、私ども重々承知はいたしておりますけれども、とり あえずは先ほど申しました4つの議題を優先的に御議論いただきまして、その議論の済 んだ時点で就労の問題というふうに、もう一度じっくりと扱いを考えさせていただきた いというふうに考えておるところでございます。  それから、もう一点、乳幼児医療費、子どもさんの医療費全般の話、費用負担の問題 を考えてはどうかという話もございましたけれども、これにつきましては、御案内のよ うに健康保険を含めました医療改革全体の検討というものが別の場で現在進められてお るところでございまして、この検討会で議論することにつきましては、少し外れるので はないかというふうに考えております。そういうことから、この検討会の方では冒頭で 述べました4つの点、資料15に書いてございますけれども、この4つの点につきまして 御議論をまずいただきまして、そこで出た意見を基に国として制度を組み立ててまいり たいと、かように考えておるところでございます。  以上、座長の先生と御相談をした結果ということで、この辺につきまして、また御検 討いただければというふうに思いますが、いかがでございましょうか。 ○鴨下座長  どうもありがとうございました。  今、課長の方からうまく御説明いただきましたけれども、今回は第2回目でありまし て、資料15にございますように4点、対象疾病、対象者の在り方、調査研究の在り方、 福祉サービスの在り方、自己負担の在り方について、今日残りの時間を是非自由に御討 議いただきたいと思います。対象疾患の見直しに当たりましては、慢性疾患ということ になっておりますけれども、慢性とはそもそも何なのか、どのくらいの期間を指すの か、急性疾患は入ってはいけないのか、急性疾患でも後遺症的なものが慢性になること はよくあるわけですし、合併症等を認めるのかどうかという点が一つあると思います。  それから、病気によって重症度というのはかなり違いますよね。軽い病気もあれば、 小慢に属するものでも非常に重度の疾患もございますが、治療法の確立によって特に重 症な疾患と言えなくなったものもあるのではないか。  それから、対象者の見直しに当たりましては、今、申しましたような重症度分類を導 入して、軽症の患者さんは対象外とするのか、あるいは治療という観点から治療の困難 さという点でどうであるのか。  それから、もう何度も出てまいりましたけれども、患者さんのQOLという点に着目 して重症度を設定すべきではないか、いろいろな考え方があろうかと思います。  それから、先天性心疾患につきましては、特に手術が広く行われておりますけれど も、その術後の経過観察あるいは腎炎も最近は慢性腎炎が多いわけですが、経過観察等 の症状が安定していてもフォローは絶対必要でございますね。そういう点をどう考えた らいいのか。  今日は、その辺まで主に議論していただければよろしいと思いますけれども、もし、 時間がございましたら、調査研究の見直しに当たって登録事業を更に充実させる。これ は、意見書というのを柳澤委員などが中心でやっていただいたことかと思いますが、研 究目的のためにはもう少し疾患情報を多くすることが必要ではないか。現在10疾患につ いて意見書の様式が定められておりますけれども、もう少し細かく疾患を類型化して様 式を作成する必要がありはしないかというようなことがあります。  それから、先ほど議論が出ましたが、収集した情報を更に活用して、患者さんのQO Lを上げる方向にどう持っていくかというような問題点もあろうかと思います。  あと、治療開発の充実というのは大変大きなテーマでございますけれども、研究班の 構成は適切かどうか。いろいろ今、申し上げたのは本当にたとえでございますけれど も、是非、今回あるいは次回に及んでもよろしいと思いますが、フリートーキングの形 で委員の先生方からいろいろと御意見を出していただければありがたいと思います。  いかがでしょうか。 ○宮本補佐  済みません、先ほどの議論に1つだけ付け加えさせていただきたいんですけれども、 研究報告書の入手の話がございましたが、平成10年度以降の研究報告書につきまして は、現在、国立公衆衛生院のホームページで閲覧できるように準備を進めておりまし て、でき次第どなたでもごらんいただけるようになるということで進めております。そ れだけでございます。 ○小林委員  まだ見れないんですか。 ○宮本補佐  まだです。 ○事務局  平成10年のものは今現在見れます。それ以降のものは、今、入力中で作業をしてござ います。 ○小林委員  1つ質問なんですけれども、関係者のヒアリングなんですが、論点を整理してからと いうことは、何かたたき台みたいなものを用意してということになるんですか。 ○谷口母子保健課長  もう一度、検討会の場でこれでいこうという方向性がまとまりましたら、それはそれ で勿論論点として一つ出るわけでございますけれども、まだ生煮えといいますか、議論 の中間でもってこういう意見もあった、ああいう意見もあったということであれば、両 論併記みたいなものを論点整理として一つ出させていただくということだろうというふ うに思っております。 ○小林委員  個人的には、早く皆さんの意見を集約して、私たちがみんなの意見を聞くような機会 が早くあればいいなというふうに思っているものですから、御検討をお願いしたいと思 うんです。  もう一点よろしいですか。先ほどから制度について、どんなふうなまとめ方をしたら いいだろうかという話が何度が出ていたものですから、ちょっと私は素人なりにいろい ろ考えて、課長が先ほど省がまたがる、あるいは局がまたがるということからいうとち ょっとピント外れかもしれないんですけれども、自分なりに制度をどうつくったらいい かというのを考えてみたものですから、ちょっとお時間をいただいてお話しさせていた だきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。  この母子医療検討会もそうだったんですけれども、子どものQOL、子どもを地域で 支えていくということからすると、きっと幾つか柱が要るのだろうなというふうに思っ たんですね。4つ柱を考えてみたんですが、1つは、治療研究ということがやはり重要 な柱だろうなと。それから、2番目に公的なさまざまなサービス。3番目に社会資源の 開発と整備。4番目に社会教育啓発ということで考えてみたんですけれども、その治療 研究については、今もお話がありましたが、基礎研究とか臨床研究とかあるいは社会医 学とかいろいろな角度を変えた研究というものがあると思いますので、是非こういうも のを進めていただいて、前回もお話がありましたけれども、これはきっと厚生科学研究 の中でやっていただけるのかなと思ったわけです。  2番目の公的サービスなんですが、これもまた4つの柱を考えてみまして、1番目は 福祉サービスということで考えてみました。これには、医療費の公費負担だとか、現在 やっている制度がありますけれども、それから、日常生活用品の給付、先ほどの資料10 にありましたが、こうした日常生活用品の給付、こういった面での福祉的な部分がある だろうと。  公的サービスの2番目の柱は医療サービスということで、今さんざん言われています けれども、小児医療というものが後退の一歩でありまして、非常に医療が受けにくい状 況になってきているわけです。医師の不足とか救急医療ということがあります。そうい う小児医療というのを充実させていっていただく施策を考えていただきたい。  それから、学習室やプレイルームの整備を図っていただきたい。例えば、今は変わっ たかもしれないんですけれども、以前は食堂が病棟の中にありますと保険点数がプラス アルファがつくと。ところが、小児病棟のプレイルームではつかないという話があった ことがありまして、今はどうかわかりませんが、診療報酬とかそういう形で何か対応が できないのかなと。学習室だとかプレイルームといった整備ができないのかなと。それ から、心理士やメディカルソーシャルワーカーがまだまだ少ない状況だと思いますし、 保育士も同じだと思います。  それから、訪問看護とか、先ほどの調査の中にもありましたけれども、訪問看護やリ ハビリなども言えると思うんですね。訪問看護などですと、地域で訪問看護ステーショ ンがあるんですが、小児の看護ができる人がいても1人しかいないということで、看護 ステーションに頼んでも今は手いっぱいで行けませんというのが実情というふうに私は よく耳にしているんです。そういった幾つかのことがあるかと思うんです。  それから、3番目は、先ほどのお話ですと文部科学省にお願いするしかないわけです けれども、教育のプログラムをどう整備していっていただくか。これも通常教育と特殊 教育と、それから、教員に対する指導というふうに3つぐらいのプログラムを考えてい ただけないものだろうかと。1つは、前回もお話ししたんですが、例えば、体育は見学 だと通信簿に点数がつかないから進級ができない、無理して参加しなければいけないと か、さまざまなことがあるわけですけれども、今年から個別教育計画といって、一人一 人に応じた教育プログラムをつくるというふうなことが文部科学省の方で始まっており ますから、是非それを末端まで徹底していっていただいて、個々の子どもの病気だとか 障害だとかに応じたプログラムをつくっていってほしいというふうに思うわけですね。 施設整備だとか教員研修、その他もあると思います。  それから、特殊教育の分野では、先ほど病院学級の話がありましたけれども、やはり 学籍移動というのが非常に大きくて、入る場合には院内学級あるいは分教室に学籍を移 動しなくてはいけないために、やはり時間が掛かっていくという現状があります。アメ リカでは、州をまたいで病院に入院しても、学校から通知表みたいなものを、この子ど もはどこまで進んでいるよというレポートを持って病院に入院すると、その病院側の院 内学級では出席したというふうなレポートをつくって子どもさんにまた返してやって、 子どもは病院から帰ってきてもいつでも自分の学校に帰れるというようなことが実態だ と思うんですね。 ですから、そうした学籍移動がなくても柔軟に対応できるような仕組みができないもの なのかなと。  あと、もう一点は医療的ケア、先ほどの説明にもありましたけれども、吸引とか注入 とかあるいは気管カニューレをつけた子の吸引衛生管理だとか、そういうお子さんたち が訪問教育かあるいは親の付き添いというのを余儀なくされているわけなんですが、こ れが医療的ケアという言葉で、先だって朝日新聞にも出ていましたけれども、日常生活 行為という理解の仕方をしていただいて、そうした子どもさんが学校に通学できる、そ のことによって健康が回復されるということがあるものですから、是非そうしたことも 進めていっていただきたい。  3番目の教育システムの中では、教員指導、教員にこういう慢性疾患とか障害児の存 在だとか、そういうことに対する指導を徹底していただくような教員の研修というもの をやっていただけないものなのかなというふうに思うわけです。たまたま私どもで病弱 教育セミナーといって、病弱・養護学校の教員を対象にしたセミナーを毎年1回やって いるわけですけれども、非常に熱心に皆さん勉強されているわけなんですが、やはりこ ういう指導をしていくことで教員の方たち一人一人の資質の向上になっていくのだろう なというふうに思うんです。  それから、公的サービスの4番目では、自立支援ということで就労というのが、先ほ どもお話で出ましたけれども、医療費はどうしても18歳か20歳で切れてしまいますか ら、そこで仕事が持てないということになると、親からお金をもらって病院に行くとい うことになってくるわけですね。もう二十何歳になった人が親からお金をもらって行く のでは、なかなか自立ということには結びつかないのではないかというふうに思いま す。単にお金を渡すということよりも、そういう人たちが仕事を持って、だれでもみん な仕事を持って社会参加しているわけですけれども、そういう仕組みというものをまた 整えていただけるのではないかなというふうに思います。  大項目の3番目に、社会資源の開発整備ということを申し上げたんですけれども、こ れは私どものような民間人だとか、あるいは患者会のことを言っております。先ほど11 %ぐらいの支持率しかなくて、ちょっとお恥ずかしいなというふうに思ったんですが、 親の会というものの存在が患者さんの生活だとか医療を支えているのは事実だと思いま すので、そうした活動というものがやりやすくなるような体制を整えたい。あるいはボ ランティアを育成したり、現在随分進んでいますけれども、宿泊施設やあるいはキャン プといったものが、もっともっと広がるような仕組みができないだろうかと。この辺の ところは、きっとお金の問題につながってくるわけですけれども、民間の助成金とかそ ういったことで補っていけるのかなと。  それから、大項目の4は、やはり社会教育啓発だろうと思うんです。小児慢性特定疾 患の人たちのことは本当に社会の人たちは知りませんで、つい先だっても、私どもの電 話相談室に電話が掛かってきたんですが、自分の子どもの同級生にミトコンドリア病の 子どもさんがいるんだけれども、この病気はうつらないでしょうかという相談が掛かっ てきたんです。ちょっとばかげた相談だなと思いながらも、そんな心配はないです、普 通に接してあげてほしいという話をしたんですが、やはり実態というのは世の中の人た ちは知らないので、そうしたことを広めていっていただきたいなというふうに思うんで すね。  済みません、公的サービスの中で、さっき1番に福祉サービスというふうに言ったん ですけれども、これは小児慢性特定疾患の予算の中でやっていただけるのではないか と。2番目の医療サービスについては、診療報酬の中でこういうことは考えていってい ただけるのではないか。教育システムについては、文部科学省の予算の中で、そんなふ うに考えています。ちょっと余計なことまで考えておりますけれども、そんなふうなこ とをちょっと考えてみましたので御検討いただければと思います。長時間済みません、 ありがとうございました。 ○鴨下座長  大変ありがとうございました。包括的にいろいろおっしゃっていただきましたけれど も、この検討会で取り上げられないような大きな問題もあると思いますが、参考にさせ ていただければと思います。  では、是非ほかの委員からも順次御発言いただけないでしょうか。時間はまだ大分ご ざいます。今日は第2回目で、まだフリートーキングですから、何でも御発言くださ い。 ○柳澤委員  調査研究の見直しということもよろしいですか。 ○鴨下座長  それは、次回ぐらいにと思っていますけれども、何か手短にポイントだけ言っていた だければ。 ○柳澤委員  ここ数年、研究班で検討して医療意見書というものが整備されて、現在、小児慢性特 定疾患の登録集計というのは、こういった疾患の全国的な統計あるいは疫学調査として は、ほかの方法では得られない非常に貴重なデータが各疾患ごとに集積されつつあると 思います。ですから、そういう観点をこれからも是非きちんと維持していかないといけ ないということと、その場合に、先ほど加藤委員も言及されましたけれども、プライバ シーの保護がある意味で一つの問題になると。実際この小児慢性特定疾患の申請をする 際には、個人情報を全く除いた形で疫学的な調査に使われます、それについて同意しま すという同意書をつけていますね。そういう形で申請していただくのですが、それに同 意される人の割合というのは、地域によって随分違うということで、そういった点も調 査ということの意義では少し問題になります。個人情報は絶対に表に出ないようにする という条件の下に、そういった同意書がどうしても必要なのかという点もできれば御議 論願いたい。これは、がんの登録などに関しても同じような問題があると思いますけれ ども。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○大久保委員  今の点ですけれども、前回いただきました資料の小児慢性特定疾患治療研究事業を始 めるに当たり、昭和49年になっていますけれども、要綱を拝見しますと、目的が先ほど から申し上げている2つあります治療研究ということと、併せて患者家庭の医療費の負 担軽減にも資することを目的とするということで、治療研究というのがまず主眼だった のかなというふうに思います。  その際、今後、要綱で定めるような漠とした研究目的ではなくて、もし、治療研究と いう形でこの事業を続けるのであれば、いま一つこの研究目的を明確にすべきであろう と。 それが明確でないがために、非常に今混乱を来しているのも事実だと思います。例え ば、まずは全数把握なんだというのを大前提とした場合に、1か月以上の入院をした者 だけをというふうにしますと、どうしても全数把握には実際にはなっていない、その疾 病に関する全数把握になっていないというのが現状なんです。ですので、1つは、1か 月以上の入院だけを対象にする疾患群が幾つかございますが、そういったことのでこぼ この見直しというのも併せて必要だし、その際には、どうしても研究テーマをどういう テーマにするのか明確にするというのは是非お願いしたいと。それによって、手段は決 まってくるのだというふうに思います。 ○柳澤委員  とにかく疫学的に数を把握すると、いろいろな面から見た発生頻度などを明らかにで きるということとともに、現在の医療意見書の中で把握できる範囲で治療効果の判定、 あるいは新しい治療法の開発ですとか、そういったことに結びつく研究が小児慢性特定 疾患の登録、集計から可能になっていく可能性があるというように私は受け取っていま す。そういった点で、医療意見書についても今10疾患群それぞれ、それに、成長ホルモ ン分泌不全性低身長症については特別なものがあって11種類の医療意見書ができていま すけれども、それらを各専門領域の人の意見を入れて、もう少し改善していく余地もあ るかもしれません。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。いろいろまだ御意見あるかもしれませんが、対象疾患の見直し ということにちょっと絞ってみたいと思うんですが、いかがですか。 ○加藤委員  対象疾病の全般的なまず考え方ですが、まず昭和49年にこの小慢事業が制定されて以 降、一番大きな小児医療での進歩は、やはり新生児医療だと思っています。 NICU上がりでいろいろ後遺症を残したり、合併症があっても長期に生存できるような子 どもたちが増えている。その子どもたちがかなり医療費が掛かっていますし、そういっ た面を新たに追加したいというふうに個人的には考えております。その意味では、やは り新生児上がりで慢性肺疾患がありますので、従来の喘息と合せて慢性呼吸器疾患とし て1つの疾患群をつくりたいというふうに思っていますし、それから、やはり消化器系 のいろいろな外科疾患があって、大部分は亡くなったり治癒したりするんですが、一部 はストーマケアといいますか、いろいろ障害を持ちながら医療に掛かっている子どもた ちがいますので、そういう子どもたちを新たに慢性消化器疾患としてまとめたい。慢性 消化器疾患というよりも、従来、先天性代謝異常の中に肝胆道系疾患がありましたの で、それを広くとらえて考えれば、特に新たに疾患群を追加するわけではないのではな いかというふうに考えております。  それから、慢性疾患が何か月以上か1年以上かというのはいろいろ議論すれば切りが ないんでしょうが、一般的な考え方とすれば、やはり6か月以上というのが慢性疾患と 定義している疾患が比較的多いというふうに理解しておりますので、6か月以上重症な 状態ないしADLが著しく低い場合は、対象としていいのではないかというふうに考え ています。 従来は、その疾患名だけで対象疾患かどうかというのを登録できるようにしていて、確 かにその方が研究目的とすれば利にかなっているわけですが、今、大久保先生から話が ありましたように、とにかく1か月以上入院でなければ対象としないというのは、余り 研究目的としてはそぐわない。殊に、喘息や何かですと、入院した時点で1か月入院す るかどうかなどというのはわからないわけですし、本来おかしな話だというふうに考え ております。 その意味では、明らかに重症な疾患は疾患名だけで登録できるようにしたい。それか ら、軽いものから重いものまでいろいろな程度が含まれているものは、やはりある程度 以上の場合だけを対象とするのが筋ではないかというふうに考えております。もし、よ ければ、もうちょっと話しますけれども、とりあえず。 ○鴨下座長  今、加藤委員から具体的に範囲というか基準を示されたわけですが、これについてい かがでしょうか。 ○山本委員  私は、先ほど大久保委員がおっしゃったのと大体同じ意見なんですが、この検討会の 具体的な目的がまだ何となく私も明確に理解できていないんですが、今日の資料1の設 置目的の後段のところで、慢性疾患を持った子どもたちに適切な医療やサービスを安定 的に提供できる事業となるよう検討するという趣旨が書いてありまして、これを受けて 今までの治療研究事業をどう見直して、今後どう進めるかということになると思うんで すが、治療研究という形でやるのか、あるいは医療・福祉サービスの更なる向上とか、 そういう観点によって大分対象疾病も違うと思いますし、今日の資料3の中の資料1 で、アトピー、特殊な肥満、拒食などの新疾病を取り入れるべきという御意見が書いて ありますが、これも選ぶ基準等が明確でないと取り入れるべきかどうかというのは、ち ょっと判断ができないということもありますので、今、加藤委員からもいろいろ具体的 な御意見が出ましたけれども、そういう6か月とか1か月の期間の問題と、その辺のこ とを明確にしないと、どういう疾病を今後対象にすべきかということがなかなか判断で きないのではないかという印象は持っております。  以上です。 ○鴨下座長  南委員は何か。 ○南委員  範囲ということではなくて、もうちょっと前に伺うべきだったのかもしれませんけれ ども、先ほど対象疾患ということで、大久保委員の方から、窓口で非常に苦慮するのは 具体的に申請があったときに、対象疾患でないけれども置かれた状況は同じであるとい うような事例だというお話がございましたけれども、これは、具体的にどういうような 疾患とか何か特定できるんでしょうか。それとも、非常にたくさんあるんでしょうか。 ○大久保委員  詳しく言えばいろいろあるんだと思います。具体的に申し上げますと、例えばどうい うものがあるかといいますと、骨髄異型性症候群という白血病になる手前の状況という のがあるんですけれども、多分これは入っていなかったと思いますが。 ○加藤委員  いいえ、入っていますよ。 ○大久保委員  入っていますか、済みません。その異型性症候群の中にも幾つかございまして、その 中の幾つかは認められているけれどもというものがたしかあったと思うんですが、それ が余り適切な例でないとすれば、例えば、マルファンというのがあるんですけれども、 そういったものは対象外なんですね。それから、骨異形成症みたいなものも多分入って いないと思います。それから、消化器疾患は、今、加藤委員からお話がございました が、消化器系疾患群というのがこの10疾患の中に入っていませんので、そこでかなり長 期に実は医療が必要な方というのが多くなっている。先ほど加藤委員もおっしゃいまし たけれども、新生児医療がかなり進歩しまして、新生児期に消化器系の手術を受けた方 が実はかなり病院に残っているのが現実にございます。そういう方々で障害者医療の中 の1級にも3級にも当たらないというような方もおられます。というのは、ストーマと いう人工肛門をつけていなければ対象にならないというところがありまして、実はいろ いろな医療費助成制度と調整が本当は必要なんだと思うんですね、この小慢の医療費助 成制度というのは。それから、神経・筋疾患については、実は数限りなくございまし て、それを今ここで並べてもしようがないですけれども。 ○南委員  ありがとうございました。そうしますと、先ほど加藤先生がおっしゃったような新生 児医療が超速の進歩をしたためにという部分とかなりダブっている感じですか。 ○加藤委員  ちょっと追加させていただきますが、最初に言われたのは恐らく組織球症だと思いま す。組織球症の1型は血友病等血液疾患です。それから、3型は悪性新生物で登録でき るんですが、2型に関して対象外となっています。同程度かそれ以上に重症にもかかわ らず対象外としていますので、研究班としては極力対象にしてほしいというふうに要望 しているところです。恐らく今回は通らせてもらえるのではないかというふうに期待は しております。 ○小林委員  そういうことで言いますと、患者数の多いものだと水頭症だとかウェルドニッヒ・ホ フマン病だとか、ウェルドニッヒ・ホフマン病は小さいときに発病して、大きくなって 呼吸器をつけたりというようなことが多いんですけれども、そういうふうになると手帳 がもらえるんですが、手帳がもらえるというのは障害が固定されないとだめなんです ね。ですから、具合が悪いなというとそのままなんですね。指定されていれば、それで 医療費が補助されているわけですけれども、されていなければ悪くなり切ってしまうの を待つというのが実態だということなんです。 ○加藤委員  済みません、それに関して。水頭症とかウェルドニッヒ・ホフマン病、レノックス症 候群も極力今回の改正では入れてほしいというふうに強く要望する予定になっていま す。 ○鴨下座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。神経疾患がなかなか難しいところで すね。レノックスを初め難治性のてんかんは子どもに多い病気ですし、かなり医学の専 門領域に入り込んできましたけれども、何かほかに。 ○大久保委員  ついでで恐縮でございますが、逆に、治癒、寛解した場合のもういいよという基準も 実は検討していただきたいなと思うので、最初は腫瘍ということで良性腫瘍でも幾つか 認められていると思うんですけれども、それが経過観察だけになった場合に、どこをも ういいよとするのかといった問題でありますとか、あとは術後の経過が順調な悪性新生 物の経過観察期間をどうするかでありますとか、悪性新生物であればまたセカンド・ネ オプラズマということもあるので、それが必要なのかもしれません。また、先天性心疾 患でも自然閉鎖した心室性中隔欠損などはどこまで認めるのか、いろいろございます。 ただ、1か月以上の入院だけを対象にするというところでは全部外れるわけです。 ○鴨下座長  ほかには、いかがでしょうか。 ○加藤委員  極力凹凸をなくすということで、従来入院だけを対象としていたものは原則としてす べて入院も通院も認める。その意味で、今後は1か月以上の入院を対象とするというの はなくすことになっていると思います。いろいろな病気があります中から資料1で書い たアトピーですが、本当に前回でこれを入れろというふうになっていたのかというの は、ちょっと記憶にないんですが、アトピーというのは病名ではありませんし。 ○森本補佐  一応、議事録で確認して入っておりましたが。 ○鴨下座長  これから議論すればよろしいのだと思います。アレルギーと広く取れば、喘息と同列 ということになりますので。  いかがでしょうか。今まで出された御意見で新生児、これは慢性呼吸器疾患というこ とですけれども、実際には脳障害を伴ったりいろいろな場合もあると思うんですが、そ ういうものは確かに人数から言っても増えてきてはいると思いますね。それから、消化 器の特にいわゆる管の方の病気は、病名としては少なくとも出ていなかったわけです ね。小児外科は非常に進歩してきていますので、そういう方もおられると思います。あ と、非常に細かい病気としてはまだまだいろいろあると思いますけれども、期間として は6か月が慢性ということの一つの目安、これはよろしいんでしょうかね。 ○及川委員  6か月とした基準の考え方は、どのような根拠によるものでしょうか。 ○加藤委員  何々病で慢性何とか病というのは、例えば慢性糸球体腎炎とか6か月以上を定義して いますので、医学的な定義として今話をしたんです。それから、この小慢事業として半 年以上としたのは、別の視点から持ってきた半年以上になります。時間があれば、もう ちょっと別のところから話していきたいと思いますが。 ○及川委員  今回、小慢をどう考えるかということとも関連してくると思いますが、医学的な側面 のみで規定をしていくのか、もっと生活をきちんと支えるという側面でどのくらいを意 図とするのか、その辺のをどう考えるかということもあるとおもいます。 ○加藤委員  まず、基本的な考え方として、従来は医療補助が実際上は主体だったのですが、今後 は福祉の視点からも見ていきたい。先ほど山本先生が言われたように、医療と福祉と両 面から対象の可否を判定するというような基本的な考え方。やはりかわいそうな患者さ んを何らかの形で救いたい、ADLが著しく低い患者さんを救うというのがまず大前提 で、その場合に考えたのは、入院期間または在宅医療がある程度以上長期間になる患者 さん、または、病理とか組織診断で予後が明らかに重篤と確定診断された場合、また は、子どもの場合は急にいろいろな発作が起きる病気が非常に種類が多くありますが、 重篤な発作等を繰り返す場合もやはり対象としていいのではないか。基本的には、こう いった福祉的な面から対象疾病または対象患者さんを選びたい。しかし、現実的に保健 所で患者さんが医療意見書を持ってきて、これが通るか通らないかというのは事務官が 判定しますので、こういう基準が本来は望ましいというふうに思っているんですが、現 実問題としてこれだけで基準を設定するわけにはいかない。それぞれの対象疾患でどん な治療法をやっているかやっていないかというのは、明らかにわかり医療意見書に書く ことができますので、それに関して対象の可否を判定していきたいというふうに考え て、専門医の先生方に今御意見を伺っているところです。  そういった議論の中で、それを半年にするか、1年にするかというのは、この検討会 で議論して結論が出ればそのようになると思いますが、とりあえず長期間にわたって日 常生活上いろいろな制限がある患者さんとか、長期間にわたって特別な治療ケアが必要 な患者さんということで、対象疾病を考えていきたいというふうに思っています。1年 以上でも問題ないと思うんですが、全体が1年以上だったり長期というのが半年以上で あったりばらばらなのはまずいから、どこかで統一した方がいいだろうということで、 現段階では半年で考えたらどうかという案になっております。ですから、半年がまずい ということであれば。ただ、どこかで基準を決めないと、現場の保健所の事務の担当者 が困るというふうに考えております。 ○小林委員  それは、この病気は6か月以上だから対象になる、この病気は6か月以下だから対象 にならないということなんですね。 ○加藤委員  基本的に、6か月以内に治る病気は対象外とすると。 ○小林委員  それは、治るということなんですね。 ○加藤委員  急性疾患ですから慢性とは言えない。 ○小林委員  つまり、急性疾患か慢性疾患かの分かれ目が6か月だということでなんですね。 ○加藤委員  無理に数字で当てはめればということです。 ○小林委員  例えば、同じ病気でも随分人によって差があるではないですか。一般的なレベルで決 めるということなんですね。 ○加藤委員  何か月かというレベルでの線引きとして、そこを一応とりあえず考えてみたと。それ から、対象疾患に関して具体的に6か月以上どうのこうのというのは、6か月以上特殊 な治療を必要としている場合を対象とするというふうに考えていますが。 ○小林委員  つまり伺いたいのは、Aという病気は6か月以上掛かるからあれだけれども、Bとい う病気は6か月治療期間が掛からないから、治ってしまうからいいんだよということな んですけれども、それは、何か治療期間の平均があって決めたものなんですか。 ○加藤委員  平均的治療期間です。専門医から見た平均的治療期間。そういうふうに考えたいとい うことなんですが、まだそこら辺は議論は煮詰まっておりません。 ○鴨下座長  非常に大きな一つの目安であって、それは必ずしもしゃくし定規に6か月に1日でも 足りなかったらどうこうという問題ではないのではないでしょうか。生まれた新生児医 療という話が出ましたけれども、では、6か月まで何もできないのか、これは別の育成 医療でありますけれども、障害として何も受けられないというのもちょっと不合理な気 がしますし、その辺はまたこれからいろいろディスカッションしてお考えいただければ いいかと思います。余り座長が勝手な発言はしない方がいいかもしれませんが、いかが でしょうか。ほかに、できるだけ皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。 ○柳澤委員  今の期間の問題ですけれども、ある子どもの患者さんが来られて、小児慢性特定疾患 として挙げられている病気というように診断されたと。この病気は一般的に長期的なフ ォロー、年に及ぶあるいは場合によっては成人に至るまでずっと治療が必要な病気とい うように診断して、そこで小児慢性特定疾患を申請するわけですよね。ですから、6か 月だとか1年、結果を見てそれから申請するわけではないですよね。常識的にこれは比 較的急性の病気、それから、長期的な治療が必要な慢性の病気というのがあるわけで、 そういうもののうち、急性の病気はこの対象から除かれるでしょうと。 ○小林委員  病気が対象なんですか。それとも、患者が対象なんですか。 ○柳澤委員  そこに、患者さんについての基準も入れたらどうかというのが、今回のこの検討会の 中の議論だろうというように思います。それはその患者さんお一人お一人の重症度ある いは日常活動性がどうかというような観点。 ○高松委員  よろしいでしょうか。最も素朴に考えますと、どんな子どもでもどんな病気でも多少 はお金が掛かる。それは、親であるから心得ている、一生懸命になっている。しかし、 病気が意外と長くなって、しかも、回復の見通しが極めてあいまい、しかも、病院通い をしなければならん、こういう状況になると、家庭のお父さんやお母さんたちが由々し き状態、経済的な問題もしっかり考えざるを得ない、こういう状況に実際にはなるわけ ですよね。こういう方々が医療費について心配をされているときに、お国はありがたい ことをしてくれたと言って喜んでもらえるような、本来はこれはそういう制度でござい ますよね、違うんですか、そうでしょう。 ○鴨下座長  先生、お国がありがたいということよりは、お国が当然すべき。 ○高松委員  それはそうだけれども、当然すべきことで下回ることはいっぱいあのですから。それ をベースにして考えれば、今の議論などは余り問題にならないような気がするし、その 医療費を今後とも安定して確保されていくためにはどうすればいいかという、こういう ことを考えなければならないのではないか。私はどうやら皆さん方より少し経済的に厳 しいと悲観的に考えているようです。どんなに努力しても、親がどんなに注意深く育て ても、どうしても病気になって、しかも、その病気がなかなか治らないのだという状況 がある。であれば、やはりそういう子どもさんを持たなくて済んだ普通の国民は何とか してあげたいと思うに違いないんですが、一般的な医学的常識からすると、ちょっと広 がり過ぎている、そんな人まで入れていいのかというふうな感じになりはせんかという 心配がやはり私はあります。広がっていけば広がっていくほど喜んでくださる方が多く なるのは当然です。私は医者の一人ですが、整形外科の医者ですから、慢性疾患のそれ ぞれの難しさというのはわかりませんから、それは小児科の先生方がお決めいただけれ ばいいのではないかと思います。思いますけれども、そこのところを何か社会的影響を どういうふうに見て線引きするかということを、ある程度それは一つの制限として見な がらしていただいた方が現実的ではないのかと思います。こうしたい、こうしてほしい ということと、こうできるということとやはりずれてきている現実がございますから、 こうしたいということは勿論結構でございますけれども、こうしたいと言った後、で は、どこまでできるかということも考えなければならないということだと思います。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。 ○永井委員  6か月でこだわって申し訳ないんですけれども、この6か月以上の基準、重症な状態 と言いますのは、この病気であれば6か月以上重症な状況が続くであろうという前提の 下に基準を設けられるわけですね。といいますのは、早く申請して、早く認定されるほ ど患者さんが公的給付を受けられるという状況の中で、勿論、病状が一番大事なんです けれども、私どももよく先生にどうですかというふうなことをお聞きするんですが、6 か月というのは少し長いかなという気もするんですけれども、どうでしょうか。 ○加藤委員  あくまでも慢性疾患というのが6か月、申請時点では6か月治療が必要だろうと予測 されれば、その時点でも申請して通るわけですので、6か月経ってから初めて申請する わけでは決してないです。 ○永井委員  そこをちょっと確認させていただきたかったので。 ○柳澤委員  私が先ほど申し上げたのは、そのことです。 ○雪下委員  よろしいですか。現在のこの制度は、医療費補助で医療行為が成立してなければ補助 されないわけです。医療行為は医者の判断でやるわけで、病気によってはその期間が3 か月とか6か月とか決まっているわけではないので、その先生がこれは長く掛かりそう だから申請していいだろうという判断の下に書類を出されるのですから、それは医療側 に任せておいていただければと思うのです。それを6か月では長過ぎるとか短過ぎると か、いろいろな関係から言われる問題ではないのではないかというふうに私は思うんで す。病気が長いかどうかは医者が判断する。それをどういうふうにそこに補助していく かとか、福祉を絡ませていくかというのを考えていただければいいんです。そういうこ とを分けて考えてほしいと思うんです。 ○鴨下座長  いかがでしょうか。 ○雪下委員  もう一つ、ついでによろしいですか。今日は、フリートーキングということで、私も ちょっと脱線したほかの質問をさせていただきました。このへんで座長の方からあるい は厚生労働省の方から早急に決めていくことと、長期的に決めていくことを分けて討論 したらどうかという提案もあったんで少し整理したらいかがでしょうか。というのは、 基本的に対象疾患を今のを見直すだけでいいのか、あるいは今のを見直してからそこに 追加するくらいでいいのか、あるいは基本的に初めから現在の分類を変えて新しくして いくのかというのを決めていかないと進んでいかないような気がするんですが、いかが でしょうか。 ○鴨下座長  おっしゃるとおりかと思います。ただ、そうは申しましても、やはり今までのものが それなりの歴史といいますか存在があったわけですから、その中で実際には、除外では ないですけれども見直しをしなければいけない点と、それから、必ずしもそれにこだわ らずに新しい、既に幾つか疾患としては病名が並びましたが、そういうものを加えてい くべきではないかと、そういう両面の議論があろうかと思います。ですから、そういう 意味では、全く新しく今までのものも加えた形で一つの見方を示すというような、そう いうことかなと座長としては考えておりますけれども、いかがでしょうか。今の点ある いは課長の方から何か考え方を。 ○谷口母子保健課長  事務局が余りこういうことを申し上げてはいけないのかと思いますけれども、基本的 には、先ほど山本先生の方から御質問といいますか御指摘がありましたが、そもそも治 療研究と考えるのか、福祉的な全体の、そちらの方にシフトしていくのかというところ にも大いに掛かってくると思うんですけれども、我々としましては、基本的には治療研 究ということでこれまでやってまいりまして、今、座長がおっしゃいましたように、歴 史のあるものということで、それをどのようにうまくつなげていくかということが基盤 としてあるのではないかというふうに考えたいわけであります。それに加えまして、可 能な範囲でもし御要望があるようなものについてできるのであれば、どういうふうにし ていくかというふうに論理構成を構築できればと考えておるんです。  元に戻りますけれども、根っこの治療研究につきましては、今、議論が出始めていま すが、従来の対象疾病でいいのか、対象患者さんでいいのかということを御議論いただ きませんと、制度そのものが今後本当にシャビーなものになっていく可能性もあります ので。 根っこにつきましては繰り返すようですが、やはり治療研究というところを押さえなが ら、次回以降になると思いますけれども、福祉といった問題についても御議論いただけ ればというふうに我々は考えたいわけでございます。これもまた、先生方の御意見を賜 れればというふうに思います。 ○鴨下座長  よろしゅうございますか、今の点。むしろ、雪下委員からはこうすべきだというよう なことをおっしゃっていただければ、ありがたいと思いますけれども。 ○雪下委員  私は、今ここで従来行われてきたものをやはり見直しながら、そこに新しい必要なも のを入れていくというのが妥当かなという感じがしているんです。それで、具体的に は、やはり治療の基準というものが余りはっきりしないものの見直し、特に、内分泌疾 患の低身長症につきましては、地域差を見ていただくとわかりますが、かなりの地域差 があるし、しかも、これは件数からあるいは総補助から言っても40%を占めているとい うような事実もありますので、それがどういうところから起こっているのかは、いろい ろな問題があるのだろうと思いますけれども、その辺のところの検討をして、対応を考 えていくことが一番大きいかなという感じがします。  もう一つは、これはパーセントは低いですが、やはり喘息についての適応の基準とい うもの、先ほどの加藤委員からの報告もありましたが、これも地域差がかなりあるとい うこともあり、どこで線を引くかというのは大変大きな問題であると思います。その2 つはやはり基準等のしっかりした見直しというのが必要ではないかという感じがしま す。  そのほかのものについては、それほどの地域差もないし、罹患率といいますか、発症 率から言ってもそれほどの不都合もないということで、先ほどからもお話があったかも しれませんが、いろいろ治療効果の判定とか有効率というものから判断して、対象者の 見直しというのを少しこまめにやっていくというような操作をそこに加えていけばとい うような感じがしております。 ○鴨下座長  どうもありがとうございました。具体的なお話でしたけれども。 ○加藤委員  今の点に関してですが、喘息はできれば重症度で対象の可否を判定したいというふう に考えております。内分泌疾患で地域差が多いのは、私は少なくとも個人的には非常に 問題だと思っていますが、理由としてやはり専門医の分布があると思います。小児科の 医者の中で内分泌を専門にしている先生が大学病院に1人、2人はいるかもしれません が、大学によって内分泌を専門にしているところが多いところと、そうではないところ とありますし、やはり専門医の分布が一つあるのではないかと。  あと、もう一つは、検査キットによるメーカーの差があるのではないか。成長ホルモ ン関係は、メーカー別に補正式をきちんと提出させるようにしていますが、恐らくほか の内分泌疾患も同じように検査キットで差がある可能性がある。  それから、あとやはり一番大きなものは、ほかの病気だと病気があるかないかという のは大体あるかないかでわかるんですが、内分泌の場合は正常と異常が非常にオーバー ラップしているというか境界領域が多くて、現実的に患者さんを診て、検査結果を見て 本当にこれを診断していいのかどうかというのがはっきりわからない。それでどうする かというのが、専門医がどう判断するかでかなり地域差が出ているのではないかという ふうに考えていますし、それを今後どうしたらいいかは検討していきたいと思っており ます。 ○鴨下座長  では、グロス・ホルモンのことだけ1つ申し上げておきますと、これはオダ課長のと きですから何年前でしょうか、実は、この数字がもっと極端だったんですね。それで、 かなり地ならしを、地ならしという言葉は悪いですけれども、一度見直しはやらせてい ただいておりまして、それでもやはり非常にアンバランスといいますか、地域差は見直 さなければいけないと思っております。 ○小林委員  先ほどどういうふうに病気の見直しをということなんですけれども、病気という単位 の見方と、それから、重症度という見方があると思うんですけれども、今の制度が医療 費を補助していただく、これは非常に皆助かってきているわけですが、それは、単に病 院に保険で払う医療費だけではなくて、今はそこの部分しか補助されていないわけです けれども、それ以外の保険の掛からない、例えば差額ベッド料だとか厚生労働省はそう いうものはないんだというふうに前にも聞いているんですが、ないと言っても実際ある んですね。だから、多額な費用を払って、1日3,000円とか4,000円とか払うことが非常 に多いわけですよね。そういう保険が掛からない費用の部分がある、あるいは保険がき かない検査料というようなものがあるということと、それから、子どもが入院したりし ますと、お母さんが付き添ったり一般的にするようになるわけですが、私たちは間接医 療費というふうに呼んでいますけれども、そういう付き添いのために二重生活になって いくために、非常に目に見えないお金が掛かってくる。そういうことで、医療費の補助 をしていただくというのが非常に重要なことなわけなんですが、病気の見直しというこ とで、新しい病気単位で制度をつくっていくという形になっていくと、また永遠に同じ ように出て、また今度この病気、あの病気というふうになっていくと思うんですね。当 然、病気でお話がありましたように、ある病気、重症度の高いものというものは大事だ と思うんですけれども、形をどういうふうにしたらいいのかはちょっとわかりません が、そういう負担度というものをある数値だとかランクというような形にして、それに 応じた援助の仕方というようなことはできないのかなという感じがするんです。ちょっ と何と言っていいかよくわからないんですが、つまり、負担度というのを形にするとい うことができないのかなということなんですね。 ○鴨下座長  おっしゃるとおりで、そこがこの検討会で見直しの原点のように私は思います。つま り、病気ですべてくくるのではなくて、同じ病気であっても非常にお困りの方とそうで ない、いろいろな意味でですね、重症度も勿論加味されるべきですし、その辺を個別的 にやる方法がないのだろうかというのを考えるべきではないかと思います。ほかに、い かがでしょうか。 ○山本委員  先ほど雪下委員がおっしゃった御意見は大変よく理解できまして、今、座長がおっし ゃった個別に見直すというのは2つ考え方があって、全体的に今ある対象疾病と追加す べき疾病とを検討するときに、ある統一基準、同一基準を設けて個別に当たるのか、そ れとも基準は特に全体的には設けないで、個々の疾病ごと、それぞれの疾病ごとに何か 基準を設けて検討するのか、その辺はどちらですか。 ○鴨下座長  そうですね、むしろ後の方だろうと思うんです。疾患ごとにというのは大変作業とし ては煩雑になりますけれども、考え方としては、やはりそれが基本にあるのではないか と思います。いや、座長個人の考えかもしれません、皆さんがどういう認識を持たれる か御意見いただければと思います。 ○柳澤委員  今後の基準の見直しということの観点というかベースは、今、鴨下座長がおっしゃっ たとおりだと思います。 ○鴨下座長  ついでに付け加えますと、先ほど例えば新生児のいろいろな障害の後の、それは勿 論、数として大変増えてきているから問題だと加藤委員はおっしゃったわけですよね、 違いましたか。私はそう理解しました。だけれども、実を言えば数だけが問題ではなく て、むしろ、いわゆる希少疾患と呼ばれる非常にまれな疾患でありながら大変な苦労を なさっている、むしろ数が少ないためにいろいろな声が届かないといいますか、そうい う病気も加えるべきものは加えるのが適当ではないかと判断いたしますけれども、いか がでしょうか。 ○加藤委員  そのように検討させていただいております。 ○小林委員  その件なんですけれども、それは、数が増えることもそうですし、問題は今、特定機 能病院と療養型病院と分けられているわけですけれども、NICUでそういうお子さんが多 く入ってきますが、もう2年、3年ずっと置かれていて、病院で背負い切れなくなって くるわけですね。どこかに行ってよというふうになるわけですけれども、先生はさんざ ん経験しておられると思うんですが、行き先がないわけです。そういう重度のお子さん を受けるところがないから、家庭で受けざるを得ない。家庭は家庭でいろいろな事情が あって、受けられる家庭もあれば受けられない家庭もあって、そこのところが今非常に 困っているところだと思うんです。小慢とは直接関係ないかもしれないんですけれど も、そのNICUの受け皿が実際に幾つも相談が来るんです。 ○加藤委員  在宅医療も含めて極力援助したい、今、小林委員が言われたようなものも極力対象に したいというふうにして検討はしているところです。ちょっとまだ最終的にどうなるか というか、ここでどういう議論になるかわかりませんが。 ○雪下委員  よろしいですか。そうすると、座長が言われたことを考えると、従来の医療費補助プ ラス大ざっぱに福祉と考えて、そこに福祉というのをプラスした形で補助というのをつ くるのか、それとも、今までの医療費補助に限定して全体の疾患の重症度ということか ら、具体的に補助額を見直していくだけでいいのか、どういうふうにそこは考えればよ ろしいでしょうか。 ○鴨下座長  これは、私がお答えすべきかどうか、もし、間違っていたら事務局で補正していただ きたいんですが、これは前回御説明があったと思いますけれども、要するに、今のこの 在り方をできるだけ先延ばしをしたい、サステイナビリティーといいますか、そういう ためには限られた財源で見直しをして、できるだけそれを使うべき方向に持っていくと いうのが根底にあるのではないかと思います。医療費の補助、お金は勿論、財政が豊か であればどんどんつぎ込めるわけですけれども、日本全体がこれは小慢だけではなく て、そういう状況の中で、やはりそういう考え方も必要ではないかなと思いますが、こ れは事務局からお答えにくいでしょうか。どうぞお願いいたします。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  そもそもこの事業をどういう目的のどういう性格の事業として位置付けていくかとい う、本当に基本的な議論だと思います。ちょっと私の個人的な今の感情をお話ししまし て、次回までに中でよく議論して、厚生労働省としては例えばこういうふうに考えると いうようなことをお話しできればいいというふうに思うんですが、やはり今、座長もお っしゃいましたように、限られた財源の中で最も困っている人たちにどういうふうに公 平に支援をしていくかということだと思うんです。そして、最も困っている人というの は何かというと、やはり子どもが病気を抱えながらも健やかにというのは言葉が矛盾し ているかもしれませんが、病気を抱えながらも子どもが成長していく、その環境が最も しんどい方というのが対象になるように思うんです。その場合に、医療費助成というや り方もあれば、財源の問題がありますから、どこまでできるかという議論はしていただ かなくてはいけないと思いますけれども、サービスで支援するというやり方もあります し、そういう中で患者さんからある程度は自己負担をしていただくというようなことも あるでしょうし、今、漫然と思っておりますのは、やはり子どもの健やかな成育に最も 困難を来している人というのを優先的に支援をしていくような医療費助成であり、福祉 サービスであり、そして、調査研究事業であるというのが在り方かなというふうに思っ ております。ちょっとよくこなしてから、また次回お話ししたいと思います。 ○鴨下座長  どうもありがとうございました。今の局長のお言葉も非常に明快ではないかと思うん ですけれども、1つは、これは実は個人的なことで申し訳ないんですが、大人の難病の 懇談会というのがございまして、それにも関係しておりましたが、とかく既得権という のでしょうか、ちょっと言葉が問題だと思うんですが、ほかの疾患を入れないというよ うなことがあっては困ると思うんです。ですから、その辺は十分患者さんの方にも御理 解いただかなくてはいけないし、そういう意味で、この検討会が基本的なことから見直 さなければいけないと思うんですけれども。  そろそろ予定の時間に近づいてまいりましたが、何か特に今回、最後に御発言はござ いますか。 ○山本委員  先ほど座長が御説明くださった疾患ごとのいろいろな特質というか状況の違いで、 個々に見直すということで、それは了解できたんですが、そのもっと根底にあるこの検 討会の基本的な理念、共通した基本的理念というのは、やはり委員全体の共通の理解が 必要だと思います。コンセプトといいますか。今、局長がおっしゃった3点がそれに関 係すると思うんです。治療研究、それから、医療サービス、福祉サービス、その辺を押 さえた上で、では、この疾患についてはどういう観点から検討しましょうかということ で、まず基本理念をきちんと押さえて、観点も違うと思うので、その上で個々の疾患の 特質に応じた検討をしていく、その中から更に追加すべき疾病などが出てくるのではな いかと思いますけれども。 ○鴨下座長  先生おっしゃるとおりだと思います。共通理解というのも、ここでお話を1回聞いて わかるわけではありませんで、やはりこうやって議論をして、いろいろほかの方の意見 を聞いているうちにでき上がっていくものだと思いますので、是非それは次回ぐらいに は大体皆さんが共通の認識を持てるようにこぎつけたいと思いますけれども、今日は非 常に皆さんからいろいろ活発な御意見をいただきまして、まだ次回もフリーディスカッ ションの時間があるように思いますが、一応、時間も迫ってまいりましたので、今日は これで。 ○小林委員  済みません、1つ事務局の方へなんですけれども、今日は私のところへ患者団体の方 がお越しになりましていろいろお話ししたんですが、関係者のヒアリングについて、や はり皆さんお仕事を休んで来なければいけないので、できれば休日の日だとありがたい という話がありましたので、ちょっと一言伝えさせていただきたいと思います。  もう一点よろしいですか。それから、この検討会を開いていただいているんですけれ ども、広い範囲でいろいろな方の意見を聞きたいと思いまして、ちょっとお時間をいた だいて申し訳なかったんですが、私どもで主催させていただいて小児慢性疾患を考える フォーラムというのを10月27日に開かせていただくことにしました。検討委員の方と、 それから、ヒアリングの方だけではなくて、もっと一般の方も自由に発言できるような 場を用意したものですから、委員の皆さん、事務局の皆さんに、是非参加していただき たいと思います。課長と座長が、別に人質に取ったわけではないんですが、いらしてい ただけるということで、後で配らせていただきます。よろしくお願いします。 ○鴨下座長  日程のことは、また今向こうから御説明いただきますが。 ○及川委員  先ほど小林委員の方から患者サービスのことが出ており、先ほど山本委員の方からも ありましたように、3本柱できちんと考えていくとしますと、例えば、負担度をどのよ うに考えられるのか、大人の方のもので何か参考になるようなものがございましたら、 次の機会までに御提示いただけると、少し考える材料になるのではないかと思います。 ○鴨下座長  この点は、次回の宿題でよろしゅうございますか。  それでは、本日の議論はこの程度でとどめさせていただきまして、次回の日程でしょ うか。 ○森本補佐  まず、次回の日程でございますが、11月2日でございます。時間は、14時から17時で ございます。場所につきましては、実はまだ確定しておりません。厚生労働省かまたは この近辺のビルの会議室で行いたいと思いますので、確定次第、各委員には御連絡申し 上げたいと思います。  以上です。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  それでは、時間が少し早いですけれども、これで閉会にさせていただきます。どうも 御協力ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 森本(内線:7941) 桑島(内線:7933) 宮本(内線:7940)