令和5年度 厚生労働省障害者総合福祉推進事業 身体障害者補助犬の専門職のかかわりに関する調査研究報告書 令和6年3月 社会システム株式会社 目次 1.事業概要 1 1.1 本調査研究の目的 1 1.2 調査研究の結果概要 1 (1) 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 1 (2) 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 2 (3) 専門職の補助犬のかかわりのあり方に関する検討 3 (4) 補助犬使用の普及につながるツール等の作成 4 2.本調査研究の目的 6 2.1 本調査研究の目的 6 2.2 本調査研究実施の流れ 6 3.事業の実施内容 7 3.1 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 7 (1) 専門職の障害者のかかわりの現状整理 7 (2) 専門職に対する補助犬についての認知度等に関する調査 8 3.2 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 10 (1) 調査の視点の整理 10 (2) 補助犬ユーザーヒアリング調査の実施 10 3.3 専門職の補助犬のかかわりのあり方に関する検討 11 (1) 専門職アンケート調査から整理された課題点 11 (2) 補助犬ユーザーヒアリング調査から整理された課題点 12 (3) 専門職の補助犬のかかわりのあり方としてのアウトプットの方向性 13 3.4 補助犬使用の普及につながるツール等の作成 14 (1) アウトプットの作成イメージ 14 (2) アウトプット案の作成 14 4.調査等の結果 17 4.1 専門職アンケート調査の結果 17 (1) 属性 17 (2) 補助犬に対する認識 19 (3) 補助犬とのかかわり 24 (4) 補助犬の問い合わせや専門職の役割 29 (5) 補助犬を学ぶ機会 32 4.2 補助犬ユーザーヒアリング調査の結果 35 (1) 盲導犬ユーザー 35 (2) 聴導犬ユーザー 36 (3) 介助犬ユーザー 38 4.3 普及ツール(専門職向けリーフレット)の作成 40 5.分析・考察 53 5.1 分析・考察 53 (1) 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 53 (2) 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 53 5.2 今後の展開 54 5.3 その他の課題 55 6.検討会の設置・運営 57 6.1 検討会の設置 57 6.2 検討会の運営 57 (1) 検討会の開催状況 57 (2) 検討会の議事概要 58 7.成果の公表計画 82 1ページ 1.事業概要 1.1 本調査研究の目的 身体障害者補助犬(以下、補助犬という)については、訓練及び認定における専門職のかかわりが重要であり、令和3年度の「身体障害者補助犬の訓練及び認定のあり方検討会」においてもその重要性についての意見があったものの、専門職の補助犬に関して学ぶ機会は現状では少ない。そこで、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士等の専門職の方々に対する調査により実態を把握し、かかわりのあり方について整理を行う。また、専門職に対する普及について検討するとともに、補助犬の普及につながるツール等を作成する。 1.2 調査研究の結果概要 (1) 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 障害者が社会参加を進めるために自立生活を考えるにあたって、「補助犬使用」がひとつの選択肢であることの情報を得るためには、そのタイミングにおいて関わりのある専門職がキーパーソンとなると考えられる。そこで、専門職における補助犬の認知度や、障害者との関わりの実態を把握するため、アンケート調査を実施した。対象の専門職は、社会福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歩行訓練士とした。 〇調査方法:各職域の協会を通じてアンケート調査についての案内をした上で、インターネットアンケートに回答をいただいた。 〇回  収:1,693サンプル(理学療法士931票、作業療法士515票、社会福祉士84票、歩行訓練士22票、その他41票)を回収した。 ■補助犬への認識は薄い 盲導犬については、名前・役割ともに知っている人が9割を超えているものの、介助犬・聴導犬の割合は低く、また導入プロセス、補助犬法については9割以上が知らない状況にある。 ■補助犬について学ぶ機会が少ない 社会福祉士・歩行訓練士については、「日々の業務」で補助犬について知る機会が比較的あるものの、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「業務外の自主的な学習」が知る機会となっている。また、自由記述を見ても、「教育課程や研修会などの学ぶ機会を作ってほしい」という意見が多数見られ、こうした「知る機会」が増えなければ知識を得られない現状にあると言える。 ■補助犬を障害者にとっての選択肢として見ていない(こうした助言をしていない) 障害者の相談・助言をする上で、補助犬の使用については93.2%が「含んでいない」と回答しており、また、補助犬と暮らしたいという問い合わせも3.4%しか受けたことがない状況にある。また、自由記述では、「補助犬を選択肢に入れることを考えてもみなかった」という意見もあった。 以下、グラフ 補助犬の認知度 盲導犬 名前・役割ともに知っている91.1%、名前だけ知っている8.4%、名前・役割ともに知らない0.4% 介助犬 名前・役割ともに知っている61.8%、名前だけ知っている33.0%、名前・役割ともに知らない5.2% 聴導犬 名前・役割ともに知っている46.0%、名前だけ知っている25.1%、名前・役割ともに知らない28.9% グラフ、終わり。 2ページ ■まずは、補助犬がどういう働きをしているのかを知ることから始めたい 自由記述を見ると、「まずは補助犬を知ることから始めなければならない」という記述が多数あり、補助犬が障害者に対してどんな支援をするのか、また導入プロセスや背景についても「知る」ことから始めなければならない現状にあると言える。 ■補助犬を持つこと、誰に相談すべきかの情報提供が専門職の役割 専門職全体としては「補助犬を持つことへの情報提供」「補助犬について誰に相談すべきかの情報提供」を多くの人が挙げている。なお社会福祉士は「補助犬の貸与についての情報提供」も専門職の役割として多数挙げている。 ■学ぶ方法としては、研修会、e-learning、簡潔なリーフレットが挙げられた 多く挙げられたのは「簡潔なリーフレット」「e-learning」であるが、職域ごとに見ると、相談に乗っている人は「リーフレット」を、治療・リハに当たっている人は「リーフレット」「e-learning」を、教育・研究に当たっている人は「e-learning」を挙げている。 (2) 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 補助犬ユーザーの視点として、補助犬に関してどのような情報をどんなタイミングで提供されれば「補助犬を使用するという選択」に繋がると考えているかを把握するため、補助犬ユーザーへのヒアリング調査を実施した。 〇調査方法:補助犬ユーザーに対するヒアリング調査 〇対  象:8名(盲導犬ユーザー2名、聴導犬ユーザー3名、介助犬ユーザー3名) 以下、表 盲導犬ユーザー ユーザーA:先天性。ユーザー歴は10年以上、ユーザーB:中途障害・ユーザー歴は10年以上 聴導犬ユーザー ユーザーC:先天性。ユーザー歴は10年以上、ユーザーD:先天性。ユーザー歴は10年以上、ユーザーF:中途障害。ユーザー歴は10年以上 介助犬ユーザー ユーザーE:交通事故。ユーザー歴史10年未満、ユーザーG:進行性。ユーザー歴は10年未満、ユーザーH:進行性。ユーザー歴は10年未満 ■補助犬使用を選択したきっかけ ・補助犬の情報には、ほとんどが「自分で調べて」たどり着いている ・社会参加や生活のあり方のイメージをする中で、「補助犬の使用」を有効と感じた ・積極的な外出、自立した生活のために、「補助犬を使用すること」を選択している 〇視覚障害者 ・生活をどのようにしていこう?と考える中で、たくさんのユーザーの声や本を読んで「盲導犬と暮らすこと」がイメージできた ・体験歩行をしてみて、外出の機会が広がるのではないかと楽しくなった 〇聴覚障害者 ・外で働くことへの不安を抱えていたが、新聞で聴導犬について知り、働くことに意欲がわいた ・子どもを育てていく中で、聴導犬のサポートが自分にとって必要なものだと思った ・聴導犬への興味から、他のユーザーと繋がり、補助犬との暮らしを希望した 3ページ 〇肢体不自由者 ・積雪時に溝にはまって動けなくなった時、調べて「介助犬」という存在を知り、一人での外出時に安心できるのではと思った ・リハビリテーションセンターで出会った人が介助犬ユーザーとなり、興味を持った ・手の力が弱くなっていく中で、介助犬の存在を知り、家族に迷惑をかけずに生活ができるのではないかと考えた ■自立した生活について考えたタイミング リハビリや訓練等を行っていく中で、自立した生活のイメージを考えている ・各障害の「生活をどうしていくか」のイメージを考える段階において、その人のイメージにあった補装具やサポートの情報を適切に提供し、それぞれの人にあったより良い生活を立てていくことができることが重要。 〇視覚障害者: 盲学校、歩行訓練、日常訓練をしていく中で、自分の生活のイメージができる 〇聴覚障害者: ろう学校等の機会はあるが、視覚障害者や肢体不自由者とは違って日常生活をしていけるために、考える機会はさまざま。 〇肢体不自由者: 急性期では生活について考える余裕がないが、回復期に入って生活をどうするか考えられるようになる。リハビリを行う上で専門職に相談して補装具使用について考えるが、専門職は生活全般のイメージまでは相談できないこともある。 (3) 専門職の補助犬のかかわりのあり方に関する検討 専門職の方々に補助犬のことを知っていただき、補助犬の普及につなげていくために、実態調査で得られた専門職が求めている情報内容、学びの機会の視点から、アウトプットの方向性を検討した。 実態調査から整理された、求められているアウトプット ■求められている「内容」 〇専門職自身が「補助犬」について知ること 〇障害者の相談・助言時に「情報提供」ができる程度の知識を持てること …補助犬はどんな人が持てるのか、誰に相談するとよいのか ■求められている「学びの機会」(どんなツールが必要か) 〇業務中などに活用できる「簡潔なリーフレット」 …基本的な情報やポイントが示されている 〇研修や自分の知識を深めていくために活用できる「教材ツール」 …教育課程や研修に使える教材 〇E-learningに活用できる動画(情報センターの動画プログラム等既往素材の活用) アウトプット作成の方針 1.障害者の中には、「補助犬使用が選択肢の一つである人がいる」ことの理解 すべての障害者にとって補助犬使用が必要ではないが、社会参加や生活の質の向上のために「補助犬使用が選択肢の一つである人がいる」ことを認識していただく必要がある。 2.補助犬についての「情報提供」ができるよう、基本的な補助犬の機能を伝える 盲導犬の認知度は高かったものの、介助犬・聴導犬は名前・役割ともに知らないという人もいた。また「まずは知ること」「知識を増やすこと」などのご意見もあり、基本的な情報、障害者にどんな支援ができるのかなど基本的な情報のインプットが必要。 3.補助犬の使用による障害者にとっての効果を伝える 専門職の方たちが補助犬の普及啓発を図っていくには、「障害者にもたらす補助犬使用の効果」などの情報も認識しておくことが必要である。 4.障害者を補助犬使用につなげていくために必要な「誰に相談すべきか」の情報を提供する ユーザー団体・支援団体・育成団体などの相談先の情報を提供することが必要である。 5.学びやすい機会を生むためのツール展開 専門職が学びやすい、使いやすいツールを展開していくことが必要である。 4ページ、5ページ (4) 補助犬使用の普及につながるツール等の作成 専門職の方々に向けた補助犬使用の普及につながるツールとして、以下のリーフレットを作成した。リーフレットは、弊社ホームページにデータを公開し(転載可能として公表)、各専門職の協会等を通じたデータ案内、また専門職の養成機関(専門職の養成科のある大学、専門学校)へのダイレクトメールによる案内を行って周知を図った。 (リーフレットは「専門職向け身体障害者補助犬にかかるリーフレット_テキストデータ.txt」を参照されたい) 6ページ 2.本調査研究の目的 2.1 本調査研究の目的 身体障害者補助犬(以下、補助犬という)については、訓練及び認定における専門職のかかわりが重要であり、令和3年度の「身体障害者補助犬の訓練及び認定のあり方検討会」においてもその重要性についての意見があったものの、専門職の補助犬に関して学ぶ機会は現状では少ない。そこで、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士等の専門職の方々に対する調査により実態を把握し、かかわりのあり方について整理を行う。また、専門職に対する普及について検討するとともに、補助犬の普及につながるツール等を作成する。 2.2 本調査研究実施の流れ 本調査研究は、以下の流れで実施した。 以下、フロー図 1.補助犬の認知度等に関する調査 ・専門職のかかわりの現状整理 ・専門職に対する補助犬についての認知度に関する調査(アンケート調査) 2.専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 ・補助犬ユーザーヒアリング調査の実施 3.調査から整理された課題点 4.専門職の補助犬のかかわりのあり方としてのアウトプットの方向性 5.補助犬使用の普及につながるツール等の作成(専門職に向けたリーフレットの作成) フロー図、終わり。 7ページ、8ページ 3.事業の実施内容 3.1 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 (1) 専門職の障害者のかかわりの現状整理 障害者が社会参加を進めるために自立生活を考えるにあたって、「補助犬使用」がひとつの選択肢であることの情報を得るためには、そのタイミングにおいて関わりのある専門職がキーパーソンとなると考えられることから、専門職がどのような形で障害者と関わっているかの実態を整理し、対象となる専門職及びその職域を抽出した。 ・障害当事者や家族の相談に対応する機関(専門職にとっては職場)は下図のように様々あり、相談に応じる者の職域や主な相談内容が機関により異なっている。 ・障害当事者にとって補助犬は、社会復帰を果たした後、QOL向上や社会参加をより進めるにあたって重要な存在であることを踏まえ、本事業において専門職のかかわりのあり方の検討対象となる専門職及びその職場は、下図の赤枠内と想定した。 以下、図表 〇病院、リハビリテーションセンター、保健所 障害者の相談に応じる者:医療従事者等、医療相談員(ソーシャルワーカー) 相談に応じる者の職域:医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歩行訓練士、看護師、社会福祉士、介護士など 相談等の内容:医療行為、リハビリテーション、相談業務、退院後の適用サービスの紹介など 〇相談支援センター、事業所 障害者の相談に応じる者:相談支援専門員 相談に応じる者の職域:社会福祉士、介護士など 相談等の内容:サービス等利用計画の作成、成年後見制度利用支援事業、住宅入居等支援事業など 〇更生相談所、事業所 相談に応じる者の職域:医師、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、保健師、介護士ほか 相談等の内容:自立支援医療の要否判定、補装具の支給要否・処方・適合判定、巡回(移動)相談、手帳の審査・交付など 〇障碍者施設 障害者の相談に応じる者:生活支援員 相談に応じる者の職域:社会福祉士、介護士など 相談等の内容:利用者支援(介護) 図表、終わり。 以下、表 【参考】ケガによる身体障害当事者への理学療法士・作業療法士のかかわり例 〇急性期(急性期病院等) 理学療法士:病状の安定や疾病の治癒を目的に、病態の急変などに対するリスク管理をしながら、身体機能の低下を防ぎ、その後の順調な回復に繋げる。 作業療法士:将来の生活を見越し、その時の症状に合わせ、こころとからだの基本的な機能の改善を援助するとともに、新たな機能の低下を予防する。 〇回復期(回復期リハ病棟等) 理学療法士:病気やケガの状態が安定した当事者を対象に、退院して自宅に戻ることや社会復帰を目指し、可能な限りの機能回復や能力改善を目的に、集中的なリハビリを実施。 作業療法士:より具体的な生活をイメージして機能や能力の改善を図る。生活していくために必要な能力の開発や手段の獲得を通じて、人それぞれに応じた生活の方法を習得する。 〇生活期(自宅・施設・通所) 理学療法士:退院した後、自己の能力を活用し、その人らしい生活と社会参加を実現するため、能力の維持向上を図り、状態悪化・再発を防ぐ。理学療法士は、運動方法の指導や住宅改修、福祉機器等の利用の提案などを通じてサポートを行う。 作業療法士:住み慣れた場所でその人なりの生活を送る支援をする。社会の中で、それぞれが生きがいを持ち、豊かに生きるための、生活の実現を図る。 (日本理学療法士協会及び日本作業療法士協会公式サイトより作成) 表、終わり。 上記及び、本調査研究の目的が「補助犬使用の普及拡大のための専門職のかかわりのあり方の検討」を踏まえ、本調査研究の検討対象とする専門職を以下のように設定した。 【本調査研究の目的】 補助犬使用の普及拡大のための専門職のかかわりのあり方の検討 ◎障害の内容や程度・本人の性格・家族構成・自宅の環境等、障害当事者個々人の状況は多様 ◎その中には、補助犬と暮らすことでQOLの大きな向上が期待できる人もいる ◎障害当事者に現場で日々寄り添う専門職の方々のアクションをきっかけとして、障害当事者と補助犬との出会いのチャンスを増やすことができれば、社会参加等を通じた、QOLのより高い生活を、より多くの障害当事者に送ってもらうことに繋がるのではないか ◎そのためには、専門職の方々に、補助犬のことをより知ってもらうことが重要 【本事業において検討対象とする専門職】 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、歩行訓練士 (2) 専門職に対する補助犬についての認知度等に関する調査 1) 調査の視点の整理 (1)で対象とした専門職の補助犬使用の普及拡大のためのかかわりのあり方を検討するにあたっては、障害者のリハビリテーションや自立生活に向けた相談業務の中で、補助犬使用についてどこまでのかかわりがあるか、また補助犬使用そのものの認知度がどのような実態にあるかを把握することが必要である。そこで、対象の専門職に対するアンケート調査を実施し、その実態を把握するものとした。 専門職に対する補助犬についての認知度に関する調査を実施するにあたって重視すべき視点を整理した。 9ページ 視点1 自立生活における補助犬使用にかかる専門職のかかわりのあり方 ・障害当事者に対して、どのような場面で、どのような専門職が関わっているか ・補装具の使用の相談や助言がどのようなタイミングであり、どのような場面か(入院時、リハビリ時、日常生活に復帰ししばらくして慣れてきた時など・・・)。その中に補助犬使用に関することは含まれているのか。 ・どのような場面で、障害当事者に「補助犬」の情報を提供すると、どのような効果があるか 視点2 補助犬の使用、補助犬使用にかかる事項についての認識 ・補助犬の使用についてどんな知識を有しているか。(3種の補助犬がいること、補助犬法、補助犬使用までのプロセス等) ・補助犬にかかる知識を習得したきっかけ、場面 視点3 補助犬使用の普及拡大のための専門職の役割 ・補助犬使用の普及拡大のためにどんなことができるか(情報提供、使用の適性の見極め、具体的な使用のための情報提供等)。 その他の視点 専門職に啓発すべき内容 ・専門職として、補助犬使用にかかる情報をどう届けていくか ・補助犬使用の普及拡大に協力していただくには、専門職にとってどのような情報が必要か(QOLが向上している事例など、補助犬が障害当事者にもたらす効果を含めて) ・専門職の職場や職域の違いにより、果たす役割や必要な情報に違いがあるか ・効果的に情報を届けるために必要な関係者(自治体、病院、指定法人、訓練事業者等)との連携のあり方 ・専門職が障害当事者に補助犬にかかる情報を届けていくためには、どのような連携が必要か 10ページ 2)門職アンケート調査の実施 対象の専門職に対するアンケート調査は、@で設定した視点を踏まえ、以下の方法、調査期間等により実施した。 ■調査の方法 本調査研究の委員が所属する各専門職の協会等の団体を通じて、会員(専門職)に対してメール送付やホームページへの掲載などにて周知をし、WEBにて回答をしてもらった。 ■調査期間 専門職の協会により周知のタイミングは異なるものの、2023年10月2日〜11月6日 の約1か月間回答を受け付けた。 3.2 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 (1) 調査の視点の整理 3.1で専門職の視点による補助犬使用へのかかわりの現状や考え方を把握したが、補助犬ユーザーの視点として、どんなタイミングで、どのような情報を提供いただければ「補助犬を使用するという選択」ができるかを把握するため、補助犬ユーザーへのヒアリング調査を実施するものとした。 調査を実施するにあたり、補助犬ユーザーと専門職のかかわりの実態を把握するために重視すべき視点を整理した。 視点1 ご自身が補助犬使用に至った経緯における専門職との関わりの把握 ・自立生活に向けてどのようなタイミングの時に補助犬使用という選択を行ったのか ・その際の専門職とのかかわりはあったのか、あった場合にはどんなかかわりのあり方であったか 視点2 専門職に期待する補助犬使用にかかる支援の内容 ・自身の経験を踏まえ、自立生活に向けて専門職に期待する支援の内容はどのようなものであるか ・補助犬使用者となった場合においても、どのような支援を受けたいか 視点3 専門職にアピールしたい補助犬使用の効果 ・補助犬使用により、生活の質の向上があったのか、それはどんな内容であったか ・心理的効果があったか、それはどんな内容であったか (2) 補助犬ユーザーヒアリング調査の実施 補助犬ユーザーヒアリング調査は、(1)で設定した視点を踏まえ、以下の方法、調査期間等により実施した。 11ページ ■調査の方法 日本補助犬情報センター等の支援団体等に補助犬ユーザーの紹介を受け、3種の補助犬のユーザーに対する対面又はWEBによるヒアリングを行った。 以下、表 盲導犬ユーザー A・Bさん(web)2名同時のヒアリング。令和5年12月4日10:00〜11:30 聴導犬ユーザー Cさん(対面)令和6年1月21日14:30〜16:00、Dさん(WEB)令和6年1月25日15:00〜16:30、Fさん(WEB)令和6年2月21日9:00〜10:30 介助犬ユーザー Eさん(WEB)令和6年1月28日15:00〜16:30、Gさん(WEB)令和6年2月21日10:30〜12:00、Hさん(WEB)令和6年2月26日19:00〜20:30 表、終わり。 3.3 専門職の補助犬のかかわりのあり方に関する検討 (1) 専門職アンケート調査から整理された課題点 ■補助犬への認識は薄い 盲導犬については、名前・役割ともに知っている人が9割を超えているものの、介助犬、聴導犬の割合は低く、また導入プロセス、補助犬法については9割以上が知らない状況にある。 ■補助犬について学ぶ機会が少ない 社会福祉士、歩行訓練士については、「日々の業務」で補助犬について知る機会が比較的あるものの、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は「業務外の自主的な学習」が知る機会となっている。また、自由記述を見ても、「教育課程や研修会など学ぶ機会を作ってほしい」という意見が多数見られ、こうした「知る機会」が増えなければ知識を得られない現状にあると言える。 ■補助犬を障害者にとっての選択肢として見ていない(こうした助言をしていない) 障害者の相談・助言をする上で、補助犬の使用については93.2%が「含んでいない」と回答しており、また、補助犬と暮らしたいという問い合わせも3.4%しか受けたことがない状況にある。また、自由記述では、「補助犬を選択肢に入れることを考えてもみなかった」という意見もあった。 以下、グラフ 補助犬の認知度 盲導犬 名前・役割ともに知っている91.1%、名前だけ知っている8.4%、名前・役割ともに知らない0.4% 介助犬 名前・役割ともに知っている61.8%、名前だけ知っている33.0%、名前・役割ともに知らない5.2% 聴導犬 名前・役割ともに知っている46.0%、名前だけ知っている25.1%、名前・役割ともに知らない28.9% グラフ、終わり。 12ページ ■まずは、補助犬がどういう働きをしているのかを知ることから始めたい 自由記述を見ると、「まずは補助犬を知ることから始めなければならない」という記述が多数あり、補助犬が障害者に対してどんな支援をするのか、また導入プロセスや背景についても「知る」ことから始めなければならない現状にあると言える。 ■補助犬を持つこと、誰に相談すべきかの情報提供が専門職の役割 社会福祉士は「補助犬の貸与についての情報提供」も専門職の役割として多数挙げているが、全体としては、「補助犬を持つことへの情報提供」「補助犬について誰に相談すべきかの情報提供」を挙げている。 ■学ぶ方法としては、研修会、e-learning、簡潔なリーフレットが挙げられた 学ぶ方法としては、多く挙げられたのは「簡潔なリーフレット」「e-learning」であるが、職域ごとに見ると、相談に乗っている人は「リーフレット」を、治療・リハに当たっている人は「リーフレット」「e-learning」」を、教育・研究に当たっている人は「e-learning」を挙げている。 (2) 補助犬ユーザーヒアリング調査から整理された課題点 ■補助犬使用を選択したきっかけ ・ほとんどが「自分で調べて」補助犬の情報にたどり着いている ・社会参加や生活のあり方のイメージをする中で、「補助犬の使用」が有効と感じている ・積極的な外出、自立した生活のために、「補助犬を使用すること」を選択している 〇視覚障害者 ・生活をどのようにしていこう?と考える中で、たくさんのユーザーの声や本を読んで「盲導犬と暮らすこと」がイメージできた ・体験歩行をしてみて、外出の機会が広がるのではないかと楽しくなった 〇聴覚障害者 ・外で働くことへの不安を抱えていたが、新聞で聴導犬について知り、働くことに意欲がわいた ・子どもを育てていく中で、聴導犬のサポートが自分にとって必要なものだと思った ・聴導犬への興味から、他のユーザーと繋がり、補助犬との暮らしを希望した 〇肢体不自由者 ・積雪時に溝ではまって動けなくなった時、調べて「介助犬」という存在を知り、一人での外出時に安心できるのではと思った ・リハビリテーションセンターで出会った人が介助犬ユーザーとなり、興味を持った ・手の力が弱くなっていく中で、介助犬の存在を知り、家族に迷惑をかけずに生活ができるのではないかと考えた ■自立した生活について考えたタイミング リハビリや訓練等を行っていく中で、自立した生活のイメージを考えている ・各障害の「生活をどうしていくか」のイメージを考える段階において、その人のイメージにあった補装具やサポートの情報を適切に提供し、それぞれの人にあったより良い生活を立てていくことができることが重要。 13ページ 〇視覚障害者: 盲学校、歩行訓練、日常訓練をしていく中で、自分の生活のイメージができる 〇聴覚障害者: ろう学校等の機会はあるが、視覚障害者や肢体不自由者とは違って日常生活をしていけるために考える機会はさまざま。 〇肢体不自由者: 急性期では生活について考える余裕がないが、回復期に入って生活をどうするか考えられるようになる。リハビリを行う上で専門職に相談して補装具使用について考えるが、専門職は生活全般のイメージまでは相談できないこともある。 (3) 専門職の補助犬のかかわりのあり方としてのアウトプットの方向性 専門職の方々に補助犬のことを知っていただき、補助犬の普及につなげていくために、実態調査で得られた専門職が求めている情報内容、学びの機会の視点から、アウトプットの方向性を検討した。 ■求められている「内容」 〇専門職自身が「補助犬」について知ること 〇障害者の相談・助言時に「情報提供」ができる程度の知識を持てること …補助犬はどんな人が持てるのか、誰に相談するとよいのか ■求められている「学びの機会」(どんなツールが必要か) 〇業務中などに活用できる「簡潔なリーフレット」 …基本的な情報やポイントが示されている 〇研修や自分の知識を深めていくために活用できる「教材ツール」 …教育課程や研修に使える教材 〇E-learningに活用できる動画(情報センターの動画プログラム等既往素材の活用) アウトプット作成の方針 1.障害者の中には、「補助犬使用が選択肢の一つである人がいる」ことの理解 すべての障害者にとって補助犬使用が必要ではないが、社会参加や生活の質の向上のために「補助犬使用が選択肢の一つである人」がいることを認識していただく必要がある。 2.補助犬についての「情報提供」ができるよう、基本的な補助犬の機能を伝える 盲導犬の認知度は高かったものの、介助犬、聴導犬は名前・役割ともに知らないという人もいた。また「まずは知ること」「知識を増やすこと」などのご意見もあり、基本的な情報、障害者にどんな支援ができるのかなど基本的な情報のインプットが必要。 3.補助犬の使用による障害者にとっての効果を伝える 専門職の方たちが補助犬の普及啓発を図っていくには、「障害者にもたらす補助犬使用の効果」などの情報も認識しておくことが必要である。 4.障害者を補助犬使用につなげていくために必要な「誰に相談すべきか」の情報を提供する ユーザー団体・支援団体・育成団体などの相談先の情報を提供することが必要である。 5.学びやすい機会を生むためのツール展開 専門職が学びやすい、使いやすいツールを展開していくことが必要である。 14ページ 3.4 補助犬使用の普及につながるツール等の作成 (1) アウトプットの作成イメージ 求められているのは、「基礎的な情報等」と「活用ツール(業務に活用できる簡易なもの、教育や研修に活用できるもの)」であることから、以下の2種のツールを提案し、まずは基礎的な情報を入手できる「簡潔なリーフレット」を作成するものとした。(検討会にて議論して決定した) ツール1 業務中にも活用でき、基本的な情報を入手できる「簡潔なリーフレット」 ツール2 教育や研修に活用でき、基本的な情報に加えて、さらに知識を深めることができる「補助犬使用について学ぶBOOK」 (2) アウトプット案の作成 調査等から明らかとなった専門職が得るべきと考えている情報、また補助犬ユーザーが知ってほしい情報等を整理し、以下の構成案により検討会での議論を行い、最終のアウトプットとしてのリーフレットを作成した。 構成内容(案) 1.補助犬を必要としている人がいます ●障害者の中には、社会参加への意欲、生活状況、生活環境などから鑑みて「補助犬使用の選択肢がある人」がいること。 2.補助犬のもたらす効果 ●3種の補助犬が果たす支援の内容 ●障害者のQOLを上げる効果 社会参加が拡大した、生活の質が向上したなどの事例(ユーザーヒアリングから整理) ●障害者に対する心理的効果 補助犬と暮らすことによる心理的効果(学術論文、ユーザーヒアリング(使用者の声)などから整理) ※補助犬と暮らすことによる使用者の心理的な変化として、第一に、補助犬が果たす機能的な働きにより使用者の気持ちがポジティブに前向きになっていることがあげられる。視覚による情報を入手できない視覚障害者にとって、外出は大きな課題であるが、盲導犬と共に安全にスピーディに歩けることは使用者にとって大きな喜びとなっていた。また聴覚障害者にとっては、必要な音がいつ発生するかわからず常に身構えていなければならない緊張を強いられる状態から、聴導犬が自発的に音を報せてくれるという安心感を持って、余裕ある日常生活を送ることが可能になっていた。使用者は補助犬から得られる安心感により気持ちがポジティブになり、さらに行動範囲が広がるという相乗効果が生じていると考えられた。 (日本補助犬科学研究原著論文「身体障害者補助犬に対する使用者の意識調査−補助犬の心理的サポートについて」山崎学園大学山川氏ら) 2.「身体障害者補助犬法」について ●社会の受入れの責務 ●補助犬使用者の管理の責務 15ページ 3.補助犬を希望してから、認定を受けるまで ●希望〜認定までのステップ ●補助犬使用の要件 ●各ステップにおいて必要な要件、事項等 ●かかる費用の目安 【各自治体が定めている補助犬使用の要件】 ・身体障害者認定を受けている(視覚障害1級又は2級、肢体不自由1・2級又はこれに準ずる、聴覚障害2級又はこれに準ずる) ・社会参加(就労等)に効果が認められる ・補助犬を飼育できる ・飼育環境がある(障害者支援施設への入所者は除く) ・合同訓練を受け、事業者が適切と認める人   などが挙げられている。 4.障害者を「補助犬使用」へとつなげていくために ●ユーザーとつながる ・ユーザー団体のリスト ・ユーザーの声 ●支援団体とつながる ・支援団体の紹介 ・【コラム】支援団体等が開催している使用体験イベント ●育成団体の紹介 16ページ 5.普及・啓発の必要性(専門職としてできる「補助犬の普及・啓発」) ●補助犬の普及啓発の必要性 ●専門職としてできる「補助犬の普及・啓発」のあり方 ・障害当事者の身体と精神状況、生活状況などを把握している専門職だからこそ、「社会参加に大きな支援となる補助犬使用」に対する助言ができる。 ・補助犬について具体的に使用についての支援を行うのではなく、育成事業者や補助犬使用者の支援団体等につなぐことで、補助犬の普及が期待できる。 ・補助犬が行う障害支援や心理的効果などQOL向上が期待できる機能があることの知識を得ておくことで、障害当事者に日々寄り添う専門職が行う相談や助言の幅が広がる。 6.動画を活用した研修のススメ ●補助犬使用に対する認識を拡大し、普及啓発の一端を担っていただくために必要な知識を深めていただくためのツールのご紹介 ・厚生労働省、日本補助犬情報センターが公開している動画のご紹介 ●研修実施のポイント ・研修に組み込むときの留意点(時間が確保できない場合でも、何を伝えるべきか) ・ユーザーを入れることの意義(画像でも、補助犬を使用するユーザーを研修に入れることで、よりリアルに補助犬の使用を理解することができる) ●【コラム】ユーザーを入れた研修の事例 ・日本補助犬情報センターなどが実施しているユーザーを入れた研修の事例をコラムで紹介する。 7.その他の補助犬情報 ●身体障害者補助犬に関する支援団体等のご紹介 ・日本補助犬情報センター ・身体障害者補助犬学会   など ●補助犬についての情報はこちらをご覧ください ・厚労省のホームページ ・補助犬センターがホームページに挙げている動画や資料の紹介 17ページ 4.調査等の結果 4.1 専門職アンケート調査の結果 本調査研究の対象である専門職(理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、社会福祉士、歩行訓練士)に対するアンケート調査は、1,693サンプルを回収した。結果は以下のとおりである。 (1) 属性 1)今の職場での職種(専門職) 今回のアンケートでは、作業療法士が約55%、言語聴覚士が約30%と、2つの専門職からの回答が多かった。 以下、グラフ 専門職別の回答割合(N=1693) 理学療法士、100、6% 作業療法士、931、55% 言語聴覚士、515、30% 社会福祉士、84、5% 歩行訓練士、22、1% その他、41、3% 《依頼した会員数に対する回答割合》 理学療法士:0.1%(100/136,357) 作業療法士:1.4%(931/64,468) 言語聴覚士:2.4%(515/21,081) 社会福祉士:0.2%(84/43,267) 歩行訓練士:2.9%(22/750) 各専門職の会員数は、「日本理学療法士協会」、「日本作業療法士協会」、「日本言語聴覚士協会」、「日本社会福祉士会」、「日本歩行訓練士会+視覚障害リハビリテーション協会」のHPにて公表されている数値より ※なお、以降の集計において、「計」にはその他も含むが、その他の割合等は図化していない。 グラフ、終わり。 2)今の職場及び職域・部門 ア.職場 回答した専門職の職場は、病院が53%、介護・福祉等施設が29%で多い。 ※専門職に記入していただいた回答を「病院」、「介護・福祉等施設」、「教育・研究機関」、「クリニック・診療所」、「行政機関」、「補助犬関連施設」に分類して集計 以下、グラフ 専門職別の職場(N=1693) 病院905、53% 介護・福祉当施設492、29% 教育・研究機関169、10% クリニック・診療所43、3% 行政機関14、1% 補助犬関連施設4、0.2% その他51、3% グラフ、終わり。 18ページ イ.職域 治療・リハ系で働く専門職が多い。 ※専門職に記入していただいた回答を「治療・リハ」、「教育・研究」、「相談」に分類して集計 以下、グラフ 専門職別の職域(N=1693) 治療・リハ1390、82% 教育・研究116、7% 相談109、7% その他70、4% なし7、0.4% グラフ、終わり。 ウ.専門職ごとの職場 専門職ごとに職場を見てみると、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は「病院」「クリニック・診療所」が半数を超える。社会福祉士と歩行訓練士では、「介護・福祉等施設」が多い。 以下、グラフ 専門職ごとに見た職場(N=1693) 理学療法士 病院48.0%、クリニック・診療所5.0%、教育・研究機関19.0%、介護・福祉当施設26.0%、その他2.0% 作業療法士 病院57.3%、クリニック・診療所2.1%、教育・研究機関10.5%、介護・福祉当施設27.7%、その他0.6% 所属なし1.3% 言語聴覚士 病院59.6%、クリニック・診療所3.1%、教育・研究機関7.8%、介護・福祉当施設27.0%、その他1.7% 社会福祉士 病院10.7%、クリニック・診療所2.4%、教育・研究機関3.6%、介護・福祉当施設52.4%、行政機関7.1% その他19.0% 歩行訓練士 病院4.5%、教育・研究機関13.6%、介護・福祉当施設36.4%、補助犬関連施設13.6% その他31.8% グラフ、終わり。 19ページ (2) 補助犬に対する認識 1)補助犬の種類や役割を知っているか? どの専門職でも「名前・役割ともに知っている」は盲導犬が最も高く、8割を超える。一方で、聴導犬は「名前・役割ともに知っている」の割合が低く、半数に満たない専門職も多い。盲導犬・介助犬(の名前)の認知度は9割を超えるのに対し、聴導犬は8割に満たない。 以下、グラフ 補助犬の名前・役割の認知状況 1.盲導犬 理学療法士 名前・役割ともに知っている86.0%、名前だけ知っている13.0%、名前・役割ともに知らない1.0% 作業療法士 名前・役割ともに知っている89.9%、名前だけ知っている9.6%、名前・役割ともに知らない0.5% 言語聴覚士 名前・役割ともに知っている93.4%、名前だけ知っている6.4%、名前・役割ともに知らない0.2% 社会福祉士 名前・役割ともに知っている92.9%、名前だけ知っている7.1% 歩行訓練士 名前・役割ともに知っている100.0% 計 名前・役割ともに知っている91.1%、名前だけ知っている8.4%、名前・役割ともに知らない0.4% 2.介助犬 理学療法士 名前・役割ともに知っている61.0%、名前だけ知っている32.0%、名前・役割ともに知らない7.0% 作業療法士 名前・役割ともに知っている60.9%、名前だけ知っている33.9%、名前・役割ともに知らない5.2% 言語聴覚士 名前・役割ともに知っている60.4%、名前だけ知っている34.2%、名前・役割ともに知らない5.4% 社会福祉士 名前・役割ともに知っている67.9%、名前だけ知っている28.6%、名前・役割ともに知らない3.6% 歩行訓練士 名前・役割ともに知っている90.9%、名前だけ知っている9.1%  計 名前・役割ともに知っている61.8%、名前だけ知っている33.0%、名前・役割ともに知らない5.2% 3.聴導犬 理学療法士 名前・役割ともに知っている43.0%、名前だけ知っている27.0%、名前・役割ともに知らない30.0% 作業療法士 名前・役割ともに知っている38.7%、名前だけ知っている26.6%、名前・役割ともに知らない34.7% 言語聴覚士 名前・役割ともに知っている56.3%、名前だけ知っている22.5%、名前・役割ともに知らない21.2% 社会福祉士 名前・役割ともに知っている46.4%、名前だけ知っている27.4%、名前・役割ともに知らない26.2% 歩行訓練士 名前・役割ともに知っている90.9%、名前だけ知っている4.5%、名前・役割ともに知らない4.5%  計 名前・役割ともに知っている46.0%、名前だけ知っている25.1%、名前・役割ともに知らない28.9% グラフ、終わり。 20ページ 2)補助犬導入のプロセスを知っているか? 補助犬導入のプロセスを知っているのは全体で10%未満、「知らない」が4割弱を占める。歩行訓練士は(サンプル数が少ないながらも)多くの方が導入プロセスを知っているが、それ以外の専門職は全体の傾向と同じく「知っている」が5〜15%程度である。 以下、グラフ 補助犬導入のプロセスの認知度 理学療法士 知っている11.0%、 具体的には知らない52.0%、 知らない37.0% 作業療法士 知っている7.4%、 具体的には知らない54.0%、 知らない38.6% 言語聴覚士 知っている5.6%、 具体的には知らない55.1%、 知らない39.2% 社会福祉士 知っている15.5%、 具体的には知らない53.6%、 知らない31.0% 歩行訓練士 知っている72.7%、 具体的には知らない27.3% 計 知っている8.5%、 具体的には知らない53.9%、 知らない37.6% グラフ、終わり。 3)補助犬法とその内容を知っているか? 補助犬法の内容まで知っている人は全体では5%程度にとどまる。歩行訓練士を除き、法律も知らない人はそれぞれの専門職で半数以上存在する。 以下、グラフ 補助犬法とその内容の認知度 理学療法士 法律もその内容も知っている4.0%、 法律は知っているが内容までは知らない29.0%、 法律も内容も知らない67.0% 作業療法士 法律もその内容も知っている4.4%、 法律は知っているが内容までは知らない24.4%、 法律も内容も知らない71.2% 言語聴覚士 法律もその内容も知っている2.5%、 法律は知っているが内容までは知らない24.1%、 法律も内容も知らない73.4% 社会福祉士 法律もその内容も知っている10.7%、 法律は知っているが内容までは知らない39.3%、 法律も内容も知らない50.0% 歩行訓練士 法律もその内容も知っている68.2%、 法律は知っているが内容までは知らない27.3%、 法律も内容も知らない4.5% 計 法律もその内容も知っている5.1%、 法律は知っているが内容までは知らない25.8%、 法律も内容も知らない69.0%  グラフ、終わり。 21ページ、22ページ 4)補助犬について聞いたり学んだりしたことがある場面 回答した方全体では、「業務外の自主的な学習」や「研修・イベント」、「日々の業務」などで補助犬について聞いたり学んだりしていることがわかる。 専門職別では、歩行訓練士は「日々の業務」、「大学や専門学校、養成学校等の授業」で学んだ割合が多く、社会福祉士も「日々の業務」で補助犬について見聞きしている割合が高い。 一方で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「日々の業務」で見聞きする割合は低く、「研修・イベント」や「業務外の自主的な学習」など、自らで学びに行くことで情報を得ている割合が高い。 以下、グラフ 1.補助犬について聞いたり学んだりした場面(計:N=160) 大学や専門学校、養成学校等の授業 19.4% 研修、イベント 28.8% 日々の業務 26.9% 国家試験等資格取得の勉強 2.5% 業務外の自主的な学習 38.1% その他 23.1% 2.補助犬について聞いたり学んだりした場面(理学療法士:N=12) 大学や専門学校、養成学校等の授業 8.3% 研修、イベント 25.0% 日々の業務 8.3% 業務外の自主的な学習 33.3% その他 33.3% 3.補助犬について聞いたり学んだりした場面(作業療法士:N=77) 大学や専門学校、養成学校等の授業 13.0% 研修、イベント 36.4% 日々の業務 16.9% 国家試験等資格取得の勉強 5.2% 業務外の自主的な学習 37.7% その他 27.3% 4.補助犬について聞いたり学んだりした場面(言語聴覚士:N=31) 大学や専門学校、養成学校等の授業 22.6% 研修、イベント 19.4% 日々の業務 22.6% 業務外の自主的な学習 61.3% その他 16.1% 5.補助犬について聞いたり学んだりした場面(社会福祉士:N=15) 大学や専門学校、養成学校等の授業 13.3% 研修、イベント 20.0% 日々の業務 46.7% 業務外の自主的な学習 26.7% その他 26.7% 6.補助犬について聞いたり学んだりした場面(歩行訓練士:N=17) 大学や専門学校、養成学校等の授業 52.9% 研修、イベント 29.4% 日々の業務 64.7% 業務外の自主的な学習 23.5% グラフ、終わり。 23ページ ※研修、イベントの具体的な内容 ●補助犬の普及・啓発イベント 行政機関(自治体や厚労省など)のイベント 補助犬関連団体(日本介助犬協会、育成団体、日本補助犬情報センターなど)のイベント など ●学会・研修・セミナー・講演会・展示会 補助犬関連団体(協会、リハセンターなど)の研修会 補助犬学会の研修 大学での講演会 バリアフリー展示会   など ●その他 補助犬の認定試験や審査会 スーパーでの展示の際にもらった冊子  など ※その他の主な内容 ●TVやインターネット等のメディアを通じて テレビの特集 マスコミの報道、インターネットの情報  など ●知人やユーザーを通じて 補助犬を使っている友人がいる 友人の家族が補助犬の育成に関わっているため  など ●自身の学びなど 卒業研究、協会との共同研究を行ったため 総合リハセンターや訓練施設等で働いているため  など 24ページ (3) 補助犬とのかかわり 1)障害者自立支援のために必要な補装具等、生活のあり方について具体的な相談にのる・助言をすることがあるか? 具体的に相談にのったこと・助言をしたことがある(現在しているも含む)のは全体で60%程度、数は少ないが歩行訓練士は回答者全員が相談・助言の経験がある。言語聴覚士や社会福祉士は相談・助言の経験がある人が少なく、特に言語聴覚士は今後の予定もない人が約40%と他の専門職に比べて多い。 以下、グラフ 補装具・生活のあり方等の具体的な相談・助言の有無 理学療法士 これまでにしていたことがある25.0%、 現在している42.0%、 今後していく予定がある4.0%、 今も今後もする予定はない29.0%  作業療法士 これまでにしていたことがある28.3%、 現在している39.9%、 今後していく予定がある8.0%、 今も今後もする予定はない23.8% 言語聴覚士 これまでにしていたことがある20.9%、 現在している26.5%、 今後していく予定がある13.6%、 今も今後もする予定はない39.0% 社会福祉士 これまでにしていたことがある34.5%、 現在している16.7%、 今後していく予定がある21.4%、 今も今後もする予定はない27.4% 歩行訓練士 これまでにしていたことがある22.7%、 現在している77.3% 計 これまでにしていたことがある25.8%、 現在している35.0%、 今後していく予定がある10.0%、 今も今後もする予定はない28.7%  グラフ、終わり。 2)「相談にのる・助言をする」のはどのようなタイミングか? 相談・助言のタイミングとしては、「必要な補装具の使用に係る相談のとき」がどの専門職でも多く、総じて60%を超える。 以下、グラフ 「相談にのる・助言をする」タイミング ※(1)で「これまでにしていたことがある」「現在している」を選択した人が回答 理学療法士 必要な補装具の使用にかかる相談のとき91.0%、 自立にかかる支援を行った後に参考として6.0%、 その他3.0%  作業療法士 必要な補装具の使用にかかる相談のとき81.6%、 自立にかかる支援を行った後に参考として14.2%、 その他4.0% 言語聴覚士 必要な補装具の使用にかかる相談のとき77.8%、 自立にかかる支援を行った後に参考として16.9%、 その他4.5% 社会福祉士 必要な補装具の使用にかかる相談のとき62.8%、 自立にかかる支援を行った後に参考として25.6%、 その他7.0% 歩行訓練士 必要な補装具の使用にかかる相談のとき77.3%、 自立にかかる支援を行った後に参考として9.1%、 その他9.1% 計 必要な補装具の使用にかかる相談のとき80.4%、 自立にかかる支援を行った後に参考として14.5%、 その他4.5%  グラフ、終わり。 25ページ ★その他の主な内容 ●補装具の必要性を感じるなど、必要に応じたタイミング 補装具の必要性ができたところから 必要なことが予想されるとき 支援をする中で必要な時 本人が必要性を理解され始めたとき        など ●入院・退院などのタイミング 退院に向けて環境を調整していく中で 退院前のカンファレンスで 退院支援や困りごと相談時            など ●問い合わせを受けたとき 補助犬(盲導犬)についての問い合わせのとき 訓練事業者に相談したときやイベントで使用の相談を受けたとき  など ●情報提供の一環として提案 自立に向けての必要な提案として 動作をより安全に、スムーズに行うための手段として  など ●その他 補助具を用いてリハビリをする際 補助犬ユーザーと会うとき 研修講師、学校の非常勤講師の授業の中で   など 26ページ 3)「相談にのる・助言をする」の中に、補助犬の使用は含まれているか? 相談・助言をする中で、補助犬が選択肢の1つとなることは基本的には少なく5%未満が多いが、社会福祉士(約21%)、歩行訓練士(約73%)など、補助犬を選択肢の一つとして相談・助言を行っている人の多い専門職もある。 以下、グラフ 「相談にのる・助言をする」の中に、補助犬の使用が含まれるか 理学療法士 含まれている1.5%、 含まれていない98.5%  作業療法士 含まれている3.8%、 含まれていない95.9% 言語聴覚士 含まれている4.5%、 含まれていない95.5% 社会福祉士 含まれている20.9%、 含まれていない76.7% 歩行訓練士 含まれている72.7%、 含まれていない27.3% 計 含まれている6.5%、 含まれていない93.2%  グラフ、終わり。 4)「相談にのる・助言をする」の中に、補助犬の使用が含まれていないのはなぜか? 相談・助言の中に専門職が含まれていないのは、理学・作業療法士では「補助犬についての知識がないから」(専門職自身の都合)、言語聴覚士や社会福祉士、歩行訓練士では「補助犬使用についてのニーズがないから」(障害者自身の都合)と、専門職(分野)によって異なる。 以下、グラフ 「相談にのる・助言をする」の中に、補助犬の使用が含まれない理由 理学療法士 補助犬についての知識がないから40.9%、 補助犬使用がその障害者に適切であるかを判断できないから18.2%、 補助犬使用についのてニーズがないから24.2%、 その他15.2%  作業療法士 補助犬についての知識がないから39.1%、 補助犬使用がその障害者に適切であるかを判断できないから16.5%、 補助犬使用についのてニーズがないから35.8%、 その他8.6% 言語聴覚士 補助犬についての知識がないから28.0%、 補助犬使用がその障害者に適切であるかを判断できないから18.1%、 補助犬使用についのてニーズがないから42.2%、 その他10.8% 社会福祉士 補助犬についての知識がないから33.3%、 補助犬使用がその障害者に適切であるかを判断できないから15.2%、 補助犬使用についのてニーズがないから48.5%、 その他3.0% 歩行訓練士 補助犬についての知識がないから16.7%、 補助犬使用についのてニーズがないから66.7%、 その他16.7% 計 補助犬についての知識がないから35.8%、 補助犬使用がその障害者に適切であるかを判断できないから17.0%、 補助犬使用についのてニーズがないから37.2%、 その他9.7%  グラフ、終わり。 27ページ ※補助犬使用についての相談や助言の具体的内容 ●補助犬(選択肢として)の情報提供や提案 補助犬個別ではなく、補装具の相談で選択肢の1つとして 歩行手段の1つとして補助犬の情報提供 歩行訓練や日常生活の相談の際、補助犬に興味がありそうな発言があれば説明 主に車いすユーザーに対し、自立する上での選択肢として助言  など ●協会やユーザー、育成団体の紹介 補助犬(盲導犬)利用者の紹介 協会(盲導犬協会)の案内 補助犬(聴導犬)の希望があり、育成団体の情報を提供 補助犬使用にあたっての問い合わせ先や処遇の方法の支援  など ●補助犬の持ち方(申請・訓練など) 補助犬を使用したいがどうしたらよいか(支給・申請) 取得方法やその後の金銭面や生活について 実際に補助犬を導入する際の生活を見据えた、犬との暮らしやケア等、一緒にできることの確認  など ●補助犬を持つ人の適性 身体障害者と介助犬の適性について ●その他 犬の体調や民間施設の利用についての相談 就労先や作業所への通勤手段として利用可能だろうか、という相談  など 28ページ 5)補助犬の訓練や認定に関わったことがあるか? 歩行訓練士は補助犬の訓練や認定に関わったことのある人が40%程度存在するが、それ以外の専門職ではごく少数で10%にも満たない。 以下、グラフ 補助犬の訓練や認定への関与 理学療法士 今後も関わる予定はない94.0% 作業療法士 今後も関わる予定はない96.5% 言語聴覚士 今後も関わる予定はない97.7% 社会福祉士 今後も関わる予定はない95.2% 歩行訓練士 関わったことがある31.8%、 現在関わっている9.1%、 今後も関わる予定はない59.1% 計 今後も関わる予定はない96.1%  グラフ、終わり。 6)関わりのある人(友人、知人、患者等)に、補助犬ユーザーはいるか? 補助犬ユーザーが身近にいる人は、歩行訓練士はほとんどがそうだが、それ以外の専門職は身近に補助犬ユーザーがいる人は少ない。 以下、グラフ 補助犬の訓練や認定への関与 理学療法士 いる12.0%、 いない88.0%  作業療法士 いる5.6%、 いない94.4% 言語聴覚士 いる5.2%、 いない94.8% 社会福祉士 いる14.3%、 いない85.7% 歩行訓練士 いる90.9%、 いない9.1% 計 いる7.8%、 いない92.2%  グラフ、終わり。 29ページ、30ページ (4) 補助犬の問い合わせや専門職の役割 1)障害当事者から、補助犬と暮らしたいという問い合わせを受けたことがあるか? 障害当事者から専門職への補助犬の問い合わせは、歩行訓練士を除きほとんど受けたことがない。 以下、グラフ 補助犬と暮らしたいという問い合わせの有無(計:N=1,693) 理学療法士 ある3.0%、 ない97.0%  作業療法士 ある1.5%、 ない98.5% 言語聴覚士 ある1.6%、 ない98.4% 社会福祉士 ある10.7%、 ない89.3% 歩行訓練士 ある72.7%、 ない27.3% 計 ある3.4%、 ない96.6%  グラフ、終わり。 2)専門職として果たすことが望ましいと思う役割 どの専門職でも同じような傾向を示すが、「補助犬を持つことへの情報提供」と「補助犬について誰に相談すべきかの情報提供」が他の項目について“はい”の選択割合が高くなる傾向にあり、具体的な内容(適性の見極め、貸与までの過程など)よりも導入部分を専門職として果たすことが望ましいと考えていることが伺える。 以下、グラフ 1.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(計:N=1,693) 補助犬を持つことへの情報提供 はい92.4%、 いいえ7.6% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい78.2%、 いいえ21.8% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい83.0%、 いいえ17.0% 補助犬貸与についての情報提供 はい79.4%、 いいえ20.6% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい91.5%、 いいえ8.5% その他 はい14.2%、 いいえ85.8% 2.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(理学療法士:N=100) 補助犬を持つことへの情報提供 はい91.0%、 いいえ9.0% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい81.0%、 いいえ19.0% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい79.0%、 いいえ21.0% 補助犬貸与についての情報提供 はい76.0%、 いいえ24.0% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい90.0%、 いいえ10.0% その他 はい10.0%、 いいえ90.0% 3.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(作業療法士:N=931) 補助犬を持つことへの情報提供 はい93.7%、 いいえ6.3% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい84.2%、 いいえ15.8% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい85.4%、 いいえ14.6% 補助犬貸与についての情報提供 はい81.6%、 いいえ18.4% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい92.7%、 いいえ7.3% その他 はい14.6%、 いいえ85.4% 4.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(言語聴覚士:N=515) 補助犬を持つことへの情報提供 はい89.1%、 いいえ10.9% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい69.9%、 いいえ30.1% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい77.5%、 いいえ22.5% 補助犬貸与についての情報提供 はい73.6%、 いいえ26.4% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい88.9%、 いいえ11.1% その他 はい11.1%、 いいえ88.9% 31ページ 5.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(社会福祉士:N=84) 補助犬を持つことへの情報提供 はい96.4%、 いいえ3.6% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい67.9%、 いいえ32.1% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい90.5%、 いいえ9.5% 補助犬貸与についての情報提供 はい90.5%、 いいえ9.5% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい95.2%、 いいえ4.8% その他 はい17.9%、 いいえ82.1% 6.専門職として果たすことが望ましいと思う役割(歩行訓練士:N=224) 補助犬を持つことへの情報提供 はい100.0% 障害当事者の補助犬使用適性の見極め はい63.6%、 いいえ36.4% 補助犬を持つまでの過程の情報提供 はい86.4%、 いいえ13.6% 補助犬貸与についての情報提供 はい86.4%、 いいえ13.6% 補助犬について誰に相談すべきかの情報 はい100.0% その他 はい45.5%、 いいえ54.5% グラフ、終わり。 ★その他に専門職として果たすことが望ましいと思う役割の具体的内容 ●自らが補助犬を知ること 補助犬の役割、(介助として)できることできないこと 施設や訓練の見学など、自らが補助犬(との生活)を体験すること など ●補助犬の扱い方・補助犬との生活の情報提供 補助犬の管理の方法 補助犬と暮らすことで起こりうる情報の提供 補助犬を持つことでのメリット・デメリットを伝えられること  など 32ページ (5) 補助犬を学ぶ機会 1)今後補助犬を学ぶ場合には、どのような方法で学ぶことを望むか? ア.専門職ごと これから補助犬を学ぶ場合の方法は「リーフレット」や「e-learning」など気軽に学ぶことができるものを望む声が多い。ただ、「研修会」も比較的多く、専門職によっては「e-learning」を上回るものもあるため、実体験など現場の声を聞くことができるような研修会も有用と考えていることが伺える。 以下、グラフ 補助犬を学ぶ方法(専門職ごと) 理学療法士 職場から派遣される研修会28.9%、 職場で受けられるe-learning32.0%、 相談や助言時に対応できるマニュアル13.4%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット25.8%  作業療法士 職場から派遣される研修会26.7%、 職場で受けられるe-learning33.0%、 相談や助言時に対応できるマニュアル13.0%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット27.4% 言語聴覚士 職場から派遣される研修会24.3%、 職場で受けられるe-learning27.4%、 相談や助言時に対応できるマニュアル11.3%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット37.0% 社会福祉士 職場から派遣される研修会28.4%、 職場で受けられるe-learning16.0%、 相談や助言時に対応できるマニュアル14.8%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット40.7% 歩行訓練士 職場から派遣される研修会350%、 職場で受けられるe-learning25.0%、 相談や助言時に対応できるマニュアル15.0%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット25.0% 計 職場から派遣される研修会25.5%、 職場で受けられるe-learning29.5%、 相談や助言時に対応できるマニュアル12.6%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット30.0%   グラフ、終わり。 イ.職場ごと サンプル数の比較的多い「病院」、「介護・福祉等施設」、「教育・研究機関」の従事者は多少の高低はあるものの、おおよそ学ぶ方法として求めるものは同じである。 以下、グラフ 補助犬を学ぶ方法(職場ごと) 計 職場から派遣される研修会25.5%、 職場で受けられるe-learning29.5%、 相談や助言時に対応できるマニュアル12.6%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット30.0%  病院 職場から派遣される研修会27.9%、 職場で受けられるe-learning30.3%、 相談や助言時に対応できるマニュアル11.3%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット30.5%  介護・福祉等施設 職場から派遣される研修会23.4%、 職場で受けられるe-learning29.7%、 相談や助言時に対応できるマニュアル15.5%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット31.4% 教育・研究機関 職場から派遣される研修会25.3%、 職場で受けられるe-learning33.7%、 相談や助言時に対応できるマニュアル11.4%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット29.5% クリニック・診療所 職場から派遣される研修会14.0%、 職場で受けられるe-learning46.5%、 相談や助言時に対応できるマニュアル7.0%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット32.6% 行政機関 職場から派遣される研修会35.7%、 職場で受けられるe-learning28.6%、 相談や助言時に対応できるマニュアル14.3%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット21.4% 補助犬関連施設 職場から派遣される研修会75.0%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット25.0%   グラフ、終わり。 33ページ ウ.職域ごと 研修会・e-learning・リーフレットが多いが、「教育・研究」分野の従事者ではe-learningが、「相談」分野の従事者ではリーフレットがそれぞれ他に比べて多くなっている。 以下、グラフ 補助犬を学ぶ方法(職域ごと) 計 職場から派遣される研修会25.5%、 職場で受けられるe-learning29.5%、 相談や助言時に対応できるマニュアル12.6%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット30.0%  治療・リハ 職場から派遣される研修会26.8%、 職場で受けられるe-learning30.2%、 相談や助言時に対応できるマニュアル12.6%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット30.4%  教育・研究 職場から派遣される研修会19.5%、 職場で受けられるe-learning39.8%、 相談や助言時に対応できるマニュアル12.4%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット28.3% 相談 職場から派遣される研修会24.3%、 職場で受けられるe-learning23.4%、 相談や助言時に対応できるマニュアル13.1%、 相談や助言時の対応を簡単にまとめたリーフレット39.3% グラフ、終わり。 ※補助犬を学ぶこと「その他」の主な内容 ●実体験を学ぶ 一定期間補助犬と暮らす 補助犬育成団体と、実際のユーザー(複数)から直接聞いたり見たりすること 補助犬団体でのボランティア活動  など ●研修等(職場に限らず)への参加 職場に限らず、体験会や研修会に参加する オンラインでのセミナー・講習・研修会等へ参加 今の職場で補助犬が必須とは考えにくいので、自由な立場での講習会等への参加  など ●メディア等から学ぶ 新聞やテレビなどの情報から 34ページ (6) 今後の普及啓発に向けて専門職ができること・専門職の役割と思うこと ●補助犬の知識を得る(知る)こと 補助犬に関心を持つこと(補助犬にふれる) 補助犬についての(基礎的な)知識を得ること 補助犬の種類や役割を知ること 補助犬が行うことのできる補助・サポートを知ること  など ●補助犬の知識を得るための機会の創出 リハビリテーションの専門職に向けた研修(知識を得る)の機会の増加 補助犬と一緒に生活されている方の生の声を聞く機会が欲しい 補助犬の知識を得る機会が少ないので、学校教育などでも授業があるとよい ショッピングモールなどの身近な場所で、補助犬導入の流れを知ることができる機会のセッティング  など ●専門職の役割の明確化 補助犬の導入にあたり、PT(専門職)の役割を明確にしたものがあるとよい 補助犬に関する情報提供の窓口的な役割(パイプ役)は担えるのではないか  など ●正しい情報提供ができること 補助犬団体との関係を構築し、必要な方に必要な情報を提供できるようにすること 福祉用具と同じように選択肢の一つとして適応判断や情報提供ができるようになるとよい 相談を受けた際に補助犬についての適切な情報提供・見立てができること  など ●SNSやメディア等を活用した情報発信・広報 SNS等を利用した体験会などの情報発信 他業種との連携や情報交換が必要 専門職が集まる場所(全国学会など)での情報発信や参加しやすい研修会の開催 など ●その他 リハビリ職として犬の生活に関する助言や訓練に参加する体制が必要と思った QOL向上の一手段として、補助犬導入の適応判定・効果判定ができること  など 35ページ 4.2 補助犬ユーザーヒアリング調査の結果 補助犬ユーザーの視点での専門職の実態とあり方を把握すべく、補助犬ユーザー(盲導犬ユーザー2名、聴導犬ユーザー3名、介助犬ユーザー3名)に対するヒアリング調査を実施した。結果は以下のとおりである。 (1) 盲導犬ユーザー 以下、表 1.対象の属性 ユーザーA 先天性。ユーザー歴は10年以上 ユーザーB 中途障害。ユーザー歴は10年以上 2.ご自身の経験について 1)障害当事者になってから、どのような専門職とどのようなかかわりがあるか ・ほぼ見えなくなった頃に、ロービジョン外来と自立支援施設にて歩行訓練や日常生活訓練を受けた。 ・障害福祉サービスの給付を申請し、リハビリセンターで歩行訓練士から歩行訓練・PC訓練・点字訓練を受けた(2回の時期に分けて)。 2)これまでの専門職とのかかわりについて、どのように受け止めているか。 ・偶然情報が入ってきたので、スムーズにこのようなサービスにたどり付いた。白杖にも訓練が必要なことや、訓練が受けられる場所などの情報が、確実に提供される体制があると良い。 ・手帳交付認定で1級となった時点か、初めの訓練時に、盲導犬の情報があれば、もう少し早く盲導犬歩行に変えていたと思う。 ・盲導犬以前に、視覚障害者がどこでどのような支援が受けられるのかの情報を得るのが難しかった(今はそうでもないかもしれないが)。特に中途障害の場合は、自治体の福祉課とのつながりも希薄であるため。 3)補助犬を知ったきっかけはなにか(誰が教えてくれたか) ・盲導犬ユーザーのホームページで。 ・2度目の歩行訓練のときに、歩行訓練士から聞いた。 4)補助犬に関することを詳しく知ったのは何によってか。 ・盲導犬に関する本を50冊ほど読んだ。 ・自ら盲導犬訓練所に問い合わせて、体験を受けた。 3.専門職のかかわりのあり方について 1)どのタイミングで、どの専門職から、どのような情報やアドバイスを受けられたら、補助犬使用を考える人がもっと増えると思うか。 ・訓練施設の職員や盲学校などで、具体的な説明をしてもらえると良い。盲学校出身者でも、盲導犬についてよく知らないという人がほとんど。自分の場合は、自立支援施設の訓練の中で、一度体験歩行の機会があった。時期は、やはり外出に不自由や危険を感じた時期だと思う。どのような人が盲導犬を持てるかという情報が最も重要。弱視だと持てないと思っている人もいる。盲導犬との生活でかかる費用やお世話が可能なのかも大切。 ・障害認定を受けた時期に役所でまずは視覚障害者の歩行手段を教えてほしい。それぞれの問い合わせ先、相談先を提示してほしい。 36ページ 2)訓練中や、補助犬ユーザーとなってから、この専門職から、こんなサポートを受けられたらもっとありがたい、というようなお考えはあるか。 ・犬と生活する上での犬の体調などの管理について、専門の方に相談できると良い。犬と暮らしたことがない人にとっては、犬の動作一つ一つの意味を知るだけでも大変。 ・視覚障害者向けアプリ(地図、信号認識)を使用しての盲導犬歩行訓練ができたらよい。 4.補助犬と暮らすことの効果 (日常生活の変化、補助犬を使用する前と後での補助犬へのイメージ、補助犬と暮らすことの心理的な効果、補助犬ユーザーとしての他の障害者へのメッセージなど) ・他の人の時間を気にせず、自分のタイミングで外出できること。晴眼者と同じような速さで、安全に歩くことができること。自分も周りも笑顔が増えること。一人じゃないと思えること。 ・人と交流しやすくなること。いつでも自己の判断で外出できること。 表、終わり。 (2) 聴導犬ユーザー 以下、表 1.対象の属性 ユーザーC 先天性。ユーザー歴は10年以上 ユーザーD 先天性。ユーザー歴は10年以上 ユーザーF 中途障害。ユーザー歴は10年以上 2.ご自身の経験について 1)障害当事者になってから、どのような専門職とどのようなかかわりがあるか ・幼少期(3〜12歳ごろまで)に言語聴覚士のいる言葉の教室に通う。人工内耳を埋め込んだあとも、定期的に言語聴覚士のもとで訓練を受けている。 ・言葉の教室で言語聴覚士と関わる。診断は医師、申請は役所福祉課職員。補助犬申請のあとで訓練所の社会福祉士と出会った。 ・聴覚障害の中途は(不便だが)ある程度生活ができるため、リハビリ職と関わることはほとんどない(精神的なサポート・カウンセリングはある)。補聴器のことや、障害者手帳を取得する際に専門職と関わることはあるが、基本的には関わらない。聴導犬は自治体よりもユーザーの方が詳しい。 2)これまでの専門職とのかかわりについて、どのように受け止めているか。 ・自分が困っていないことについて、リハビリで言語聴覚士から話されるのは厄介でもある(耳が聞こえるようになったらいろいろなことができる 等)。聴導犬という存在を教えてもらいたかった。 ・役所の福祉課担当が聴導犬の助成制度を教えてくれた。医師はできるだけ聞こえるようになる方がいいと思っているようで、診断書を書いてもらいに行くと「訓練を…」という話をされ、自分が求めているものとは異なり的外れに感じた。 ・自分が実は不自由な思いをしていることに気が付けないため、(その気づきを与えるために)専門職と関わったほうがいい部分もあると思う。QOLを上げるためには専門職が案内するべき。聴覚はST、生活は社会福祉士など。このあたりがタッグを組んで、聴覚障害者の生活全般の支援をするような部分があればよいのではないか。 ・聴覚障害者と継続的にかかわる専門職がいない。 ・専門職には、本人のQOLを上げるためにどうすればいいかという発想をもっと持ってもらいたい。聴覚障害の場合、自身の聴力を引き出すことや、補聴器や人工内耳ばかりが選択肢ではないのではないか。補聴器をつけたうえで聴導犬と暮らすことで、助かることもある。補聴器や人工内耳を常に付けているのは負担を感じる。 37ページ 3)補助犬を知ったきっかけはなにか(誰が教えてくれたか) ・ドッグトレーナーの専門学校で補助犬の授業があった。聾学校では補助犬の紹介程度。 ・聴導犬の新聞記事を読んで知った。当時はもっと聞こえなくて困っている人が使うもので、自分はもらえないと考えていた。 4)補助犬に関することを詳しく知ったのは何によってか。 ・聴導犬ユーザーとつながり話を聞いた。 ・仕事と家庭の両立で負担が大きいと感じていた時に、補助犬法が始まったことを新聞で知った。当時はまだユーザーも少なく、自ら訓練事業者を調べた。 3.専門職のかかわりのあり方について 1)どのタイミングで、どの専門職から、どのような情報やアドバイスを受けられたら、補助犬使用を考える人がもっと増えると思うか。 ・自分が将来どのように生きていくか(暮らしていくか)をイメージすることで選択肢の幅を広げられる。聴導犬を持つためには、まずは市役所に訓練所を紹介してもらうことになるため、役所職員に周知することが重要。 ・補聴器のお店の方が情報を持っているといいように思う。他には言語聴覚士や医師とは大人子供関係なくかかわりがあるので、そこでも情報提供ができるように思う。 ・聴覚障害者が生活に困ったときに行くのは自治体の福祉部門。補装具の一つ(選択肢)として福祉部門から情報提供を受けるのもありなのではないか。 2)訓練中や、補助犬ユーザーとなってから、この専門職から、こんなサポートを受けられたらもっとありがたい、というようなお考えはあるか。 ・先天性の場合には、最初は医師に相談することになる。医師から補聴器や人工内耳の説明はあるが、併せて聴導犬の存在も説明があるとよい。 ・専門職に限らず、いろいろな人に相談するのがよい。言語聴覚士では補助犬のことを詳しく知っている人はまだ少ない。訓練士との関係は強いので、訓練士に相談することも重要。 ・専門職同士や訓練士と専門職など、それぞれで意見交換をするなどして連携を取ることが大事ではないか。訓練事業者は、ペアを多く輩出したいとどうしても考えがち。補助犬を希望する人にNOと言えるか。訓練士が社会福祉士的な判断をできるようになるとよいが。 38ページ 4.補助犬と暮らすことの効果 (日常生活の変化、補助犬を使用する前と後での補助犬へのイメージ、補助犬と暮らすことの心理的な効果、補助犬ユーザーとしての他の障害者へのメッセージなど) ・耳が聞こえるようになることがいいことではない。耳が聞こえる人にはなれないので、自身が何ができなくてどういうサポートを必要としているか、周りに伝えることができるかどうか。耳が聞こえない人と聞こえる人をつなぐツールとして聴導犬は重宝されているのだと感じている。 ・人とのかかわりを再構築できる。補聴器・口話だけだとコミュニケーションがうまくいかなくても、聴導犬がいることで筆談などいろいろとコミュニケーション方法を考えてくれるから助かる。まだまだ犬と一緒にいると不審がられるときもあるが、認めてもらいたいと思うようになった。補助犬を見て知ってもらいたい。 ・音は受け身な情報であり、いつ来るのかわからず、常に気にしないといけないので疲れる。聴導犬がいると音を教えてくれるので、精神的な安定がある。聴覚障害者は見た目は障害者に見えないため埋もれる(取り残されることに気が付かない)。聴導犬がいることで情報を得られるし、存在を周りに気が付いてもらえる。気が付いてもらえる安心感は大きい。 表、終わり。 (3) 介助犬ユーザー 以下、表 1.対象の属性 ユーザーE 中途障害(交通事故)。ユーザー歴は10年未満 ユーザーG 中途障害(進行性)。ユーザー歴は10年未満 ユーザーH 中途障害(進行性)。介助犬ユーザー歴は10年未満 2.ご自身の経験について 1)障害当事者になってから、どのような専門職とどのようなかかわりがあるか ・リハビリ期に医師、看護師、理学療法士、作業療法士、ケースワーカーとかかわりがあった。ただ、退院してしまうと専門職とのかかわりはない。 ・病気になった当初は医師のみだったが、ロボットスーツ治療やリハビリに通うようになり、理学療法士、作業療法士、リハビリ科の医師とはかかわりがある。理学・作業療法士は普段お世話になっている方と訓練事業者の方とそれぞれにいる。 ・急性期・回復期は病院内で理学療法士、作業療法士、医師、看護師と関わるが、退院すると専門職とはほとんど関わらなくなる。自分はパラスポーツをやっているので、理学療法士、医師とはかかわりがある。 2)これまでの専門職とのかかわりについて、どのように受け止めているか。 ・専門職からの情報提供は基本的にはない。入院中は「わからないこと」がわからない。家に帰ったらこういうことで困るかもしれません、というような事例(知識)をもっと教えていただけるとよいと思った。若かったこともあるが、例えばケースワーカーがどういう役割なのかわからないので、なにを頼ればよいのかがわからない。 ・いろいろな職種の方とお話をし、いろいろな意見を聞けたのがよかった。 ・社会参加を考えると専門職とのかかわりは欠かせないが、退院してしまえばほとんどかかわりはない。なので、病院にいる間に社会参加を考え、その選択肢の一つとして補助犬があればよい。 ・入院中と退院後で、当事者を継続的に見る職務の人が必要ではないか。 39ページ 3)補助犬を知ったきっかけはなにか(誰が教えてくれたか) ・同じリハビリ病院にいた人が介助犬ユーザーになり、自分にも勧めてくれた。 ・まちなかで盲導犬を見かけて、補助犬を自らweb検索した。 ・退院(社会復帰スタート)時に障害者手帳の申請などアドバイスがなかったため、自分でいろいろと調べていく中で、介助犬のことを見つけた。 4)補助犬に関することを詳しく知ったのは何によってか。 ・自ら訓練事業者に問い合わせをし、見学に行って説明を受けた。 ・訓練事業者に問い合わせ、最初はキャリアチェンジ犬の相談をし、職員から介助犬のことをより深く教わった。最初にキャリアチェンジ犬の相談をしたのは、もっと重症の人が介助犬を持つのであって、自分は対象ではないと思っていたため。 ・訓練事業者に問い合わせをし、職員とやり取りをする中で詳しく知った。 3.専門職のかかわりのあり方について 1)どのタイミングで、どの専門職から、どのような情報やアドバイスを受けられたら、補助犬使用を考える人がもっと増えると思うか。 ・急性期は先のことを考えられないので、回復期に症状・治療が落ち着いてきた段階で、看護師や理学療法士・作業療法士から補助犬と暮らす選択があることを伝えてもらえるといいと思う。 ・入院中は早すぎる気がする。自分にできることとできないこと、何をしたいかが明確になってからでないと介助犬との生活はイメージできない。そのうえでユーザー・協会や訓練士といった専門職に話を聞くのがよい。中途半端・曖昧な情報だと、自分に合った情報ではなく、介助犬を持つイメージができなくなる可能性もある。 ・病院にいる間(回復期)に社会参加や就労のことを考えるべきで、その中の選択肢の一つとして補助犬があればよいのではないか。 2)訓練中や、補助犬ユーザーとなってから、この専門職から、こんなサポートを受けられたらもっとありがたい、というようなお考えはあるか。 ・介助犬のケアをする際に必要な補助具を相談しながら、一緒に作っていけたらよい。 ・訓練事業者の理学療法士・作業療法士と通院している病院の理学療法士・作業療法士が自宅に来て、介助犬と暮らしていくにあたってどうしていくのがよいのかを話し合ってくれた。病院側の理学療法士・作業療法士は介助犬のことはあまり知らなかったが、知っていただく貴重な機会であった。これから病気が進行した場合にも、訓練士と、訓練事業者と病院双方の理学療法士・作業療法士にサポートしてもらえると心強い。 ・訓練中は問題ないが、ユーザーになってからは日々試行錯誤。補助犬も犬なので感情があり、一緒に暮らしていく中でこちらの思い通りに動かない時もある。相談したい時に相談できる専門職が近くにいてほしいと思う。 40ページ 4.補助犬と暮らすことの効果 (日常生活の変化、補助犬を使用する前と後での補助犬へのイメージ、補助犬と暮らすことの心理的な効果、補助犬ユーザーとしての他の障害者へのメッセージなど) ・癒しだけでなく、生活と直結して介助をしてもらえ、心の余裕ができる。失敗したら怖いと思っていることでも、大丈夫と考えることができ、プラス思考となり前向きに外出できるようになった。 ・補助犬を持つことで外出するようになったし、安心して暮らすことができるようになっている。外出や犬の世話により、筋力や体力維持につながっているようにも感じる。また、病気の進行でできなくなること(動作)もあるが、だれかに助けてもらえばいいか!と考え方が変わった。 ・介助犬を持つことは大変だが、その大変さを打ち消すくらいの効果がある。介助犬がいれば社会参加の機会は増えるし世界は変わる。健常者のときとはまるで違う人とのかかわりあいがあり、障害をもつ前後で2つの人生を生きている感じ。できない理由を探すのではなく、どうすればできるか?犬と一緒にQOLを上げていきたいという発想ができる人には向くのではないか。 表、終わり。 4.3 普及ツール(専門職向けリーフレット)の作成 補助犬使用について知っていただき、障害者に情報提供をいただくためのツールとして、リーフレットを作成した。次ページから示す。 41ページ〜52ページ リーフレットは「専門職向け身体障害者補助犬にかかるリーフレット_テキストデータ.txt」を参照されたい。 53ページ 5.分析・考察 5.1 分析・考察 (1) 専門職の補助犬の認知度等に関する調査 補助犬の使用は、障害者にとって補装具と同様に日常生活の支援を行うものであり、障害者の自立支援に関わる専門職にとっても「選択肢のひとつ」であることの認識を持っていただくことが望まれるが、専門職(今回、社会福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歩行訓練士を対象とした)に対するアンケート調査結果としては、盲導犬は比較的認知度が高かったものの、介助犬・聴導犬については「名前・役割ともに知らない」人がいる(介助犬5.2%、聴導犬28.9%)ことが明らかとなり、未だ「補助犬は障害者の自立支援のための選択肢の一つ」という認識が広がっていないことが明らかとなった。 しかし一方で、専門職として補助犬普及に対して果たすことが望ましい役割については、「補助犬を持つことへの情報提供」「補助犬について誰に相談すべきかの情報提供」が上位にあげられ、役割としては「情報提供」にとどまるとの認識も大きいことがわかった。 しかし、障害者が社会参加を進めるために自立生活を考えるにあたって、「補助犬使用」がひとつの選択肢であることの情報を得るためには、そのタイミングにおいて関わりのある専門職がキーパーソンとなると考えられることから、まずは補助犬を使用することについての理解から始めていただき、補助犬使用の有効性を理解していただくことが重要である。また、「情報提供」ができる役割であるとの認識から、障害者からの相談や助言の際に効果的かつ正確な情報提供をいただくため、「正確な情報を得られる場所に障害者をつなぐ」ことが重要である。 (2) 専門職の補助犬使用へのかかわりの実態調査 (1)調査を踏まえ、補助犬ユーザーが補助犬を使用することを選択した際の専門職のかかわりについてユーザーに対するヒアリング調査で実態を把握したが、ヒアリング対象においては、ほとんどが専門職からのアプローチはなく、また、専門職とのかかわりはほとんどないという障害者もいた。しかし、補助犬の使用を希望するにあたって、障害者自身の身体の状態についての専門家である専門職に関わりを持ってほしいという希望はあり、専門職と訓練事業者の連携が必要であるとの課題も出された。 一方で、補助犬を使用することで積極的な外出につながり、筋力・体力の維持につながったという例も見られた。また、ヒアリング対象者すべての人が、犬が介在することでコミュニケーションが生まれるなど、外出だけでなく「社会とのつながり」が生まれたことを効果として挙げている。このように、補助犬の使用が身体的にも精神的にも効果があることを、障害者の自立に関わる専門職に知っていただくことが重要である。 54ページ 5.2 今後の展開 本事業では、専門職に対するアンケート調査やユーザーヒアリングなどを踏まえ、「補助犬を使用することの選択」は、障害者にとってひとつの選択肢として有効であり、QOLの向上にも資するものであるが、補助犬に関する情報へは、障害者本人が調べてたどり着いているケースが多くみられ、十分に届いていないと考えられることから、障害者との関わりを持つ専門職も、その情報を伝える役割を担うことが望まれることがわかった。 これらを踏まえ、今回、専門職に向けたリーフレットを作成した。今後、専門職の業界団体を通じて配布をしていくものとするが、今後に向けて以下の課題が挙げられる。 課題1. 現場の専門職にリーフレットで伝えたい情報が伝わっているかの検証が必要 業界団体を通じて、アウトプットであるリーフレットを展開していくものとするが、現場の各専門職に補助犬の果たす役割、補助犬使用による効果、障害者を補助犬使用にかかる情報につなげていただきたいなどの「伝えたい情報が伝わっているか」を今後検証していくことが必要である。 課題2. 適切なタイミングで情報提供がなされているかの検証が必要 インタビュー等では障害者にとって自立生活を考えるタイミングは多様ではあるものの、補装具等を選択する専門職との関わりのタイミングはニーズが高いことが分かった。 リーフレットの展開の検証と合わせ、専門職が障害者の自立支援を行うにあたり、適切なタイミングで補助犬使用についても情報提供がされているかを検証し、リーフレットの効果や不足点などを整理してブラッシュアップを図っていくことも重要である。 課題3. 専門職の養成課程における「補助犬使用」に関する学びを取り入れていただくよう 業界への積極的な働きかけが必要 専門職に対するアンケート調査では、専門職の養成課程など専門職の役割やあり方などについて詳細に学ぶ機会において、「補助犬の使用」による支援の内容や効果について学ぶことができることが望ましいことが明らかとなった。本事業では医療専門学校への周知も図っていく予定であるが、今後は、研修プログラムの作成や積極的な業界団体への働きかけなども必要である。 55ページ 5.3 その他の課題 検討会議(6章)で出た意見や、補助犬ユーザーヒアリングで伺ったお話の中から、本研究事業の検討範囲を超えるものについて、その他の課題として以下の点を挙げる。 ・今回検討対象としなかった専門職のかかわりのあり方(医師・看護師・獣医師 等) ・専門職を繋げる職務の必要性 ・訓練事業者と専門職との連携 ・当事者が必要な情報(補助犬に限らず)を得られる機会 ・QOL向上や社会参加に向けた、本人への関わりのあり方 ・訓練中や、補助犬ユーザーになった後に望む支援 【検討会議での意見から】 ・今回検討対象としなかった専門職のかかわりのあり方について(医師・看護師・獣医師 等) ・英国では「リエゾンオフィサー」という職種を置いて、専門職につなげるという職務を担っている。日本でも認知症に関しては同様の職務でリンクワーカーという職種がスタートした。今後、専門職を繋げる職務が重要になってくる。 ・訓練事業者も、「専門職との連携が、より多くの当事者にQOLのより高い生活を送ってもらうことに繋がる」ということを意識することが重要。 【ユーザーヒアリングから】 ・当事者が必要な情報(補助犬に限らず)を得られる機会について ・盲導犬以前に、視覚障害者がどこでどのような支援が受けられるのかの情報を得るのが難しかった(今はそうでもないかもしれないが)。特に中途障害の場合は、自治体の福祉課とのつながりも希薄であるため。(盲導犬ユーザー) ・退院後、情報がなく、自力でいろいろと調べざるを得なかった。入院中と退院後で、当事者を継続的に見る職務の人が必要ではないか。(介助犬ユーザー) ・退院後は、入院時よりも専門職との関わりは少なくなるが、入院していた時は、「わからないこと」がわからなかった。家に帰ったらこういうことに困るかもしれない、という事例の知識をもっと提供していただければよかった。(介助犬ユーザー) ・聴覚障害者と継続的にかかわる専門職がいない。(聴導犬ユーザー) ・補聴器を取り扱う店舗等が聴導犬の情報を持っているのもよいのでは(聴導犬ユーザー) ・自治体担当者は、聴導犬のことを知らない(ユーザーの方が詳しい)ことが多いので、自治体の窓口に聴導犬の相談に行っても意味がないことがある。自治体は、窓口に相談があったときにそこで終わらないように、最低限のことを知っていてもらいたい。(聴導犬ユーザー) 56ページ ・QOL向上や社会参加に向けた、本人への関わりのあり方について ・入院中に、退院後の生活や、就労をはじめとする社会参加をどうするのか考える機会が重要。補助犬との暮らしを考えるのは、その中に位置づけられる。(介助犬ユーザー) ・専門職には、本人のQOLを上げるためにどうすればいいかという発想をもっと持ってもらいたい。聴覚障害の場合、自身の聴力を引き出すことや、補聴器や人工内耳ばかりが選択肢ではないのではないか。補聴器をつけたうえで聴導犬と暮らすことで、助かることもある。補聴器や人工内耳を常に付けているのは負担を感じる。(聴導犬ユーザー) ・訓練中や、補助犬ユーザーになった後に望む支援 ・訓練事業者の獣医師とふだん通っている動物病院の獣医師との連携を望む。(盲導犬ユーザー) ・訓練事業者との関係はもちろんあるものの、物理的な距離があると、タイムリーに対応してもらえるわけではない。当事者の生活や身体の状況が分かっている専門職が近所にいて、その人と訓練事業者が連携して対応できることが望ましい。(介助犬ユーザー) ・今後も、日常生活動作が上手くいかなくなった時に、訓練事業者のスタッフ(介助犬をよく知っている)と普段通っている病院のスタッフ(本人の身体をよく知っている)が話せる機会があれば、とても助かる。(介助犬ユーザー) ・訓練事業者の訓練士と本人とのコミュニケーションを仲介する役割を担う人が欲しい。例えば同伴拒否にあったとき、相談すると、こうすべきという指導を訓練士から受けるが、自身の性格的にそれほど強く出ることができず、悩むことがある。(聴導犬ユーザー) 57ページ 6.検討会の設置・運営 6.1 検討会の設置 本事業を進めるにあたり、補助犬にかかわりのある専門職、学識経験者等に、事業検討へのご助言やご意見をいただくため、検討会を設置した。 ○検討会名:身体障害者補助犬の専門職のかかわりに関する検討会 ○設置期間:本事業実施期間(〜令和6年3月31日) ○検討会委員名簿:下表のとおり 以下、表 有識者(座長)中野 泰志 慶應義塾大学経済学部 教授 理学療法士 佐藤 史子 (社福)横浜市リハビリテーション事業団 障害者スポーツ文化センターラポール上大岡 スポーツ課長 社会福祉士 森戸 崇行 公益社団法人日本社会福祉士会 作業療法士 吉田 文 一般社団法人日本作業療法士協会 言語聴覚士 立石 雅子 一般社団法人日本言語聴覚士協会副会長 歩行訓練士 金井 政紀 公益財団法人 日本盲導犬協会 視覚障害サポート部 管理長(視覚障害リハビリテーション協会、日本歩行訓練士会) 支援団体 橋爪 智子 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長 表、終わり。 6.2 検討会の運営 (1) 検討会の開催状況 第1回 令和5年8月29日(火)10:00〜12:00 (1)本調査研究の趣旨と進め方について (2)アンケート案について (3)アウトプットイメージについて 第2回 令和5年12月5日(火)13:30〜15:30 (1)専門職アンケートの結果について (2)アウトプットイメージについて 第3回 令和6年3月11日(月)13:30〜15:30 (1)補助犬ユーザーヒアリング結果の報告及びアウトプット案について (2)今後の課題について 58ページ (2) 検討会の議事概要 1)第1回検討会 日時:令和5年8月29日(火) 10:00〜12:00 場所:TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3D 以下、表 有識者(座長)中野 泰志 慶應義塾大学経済学部 教授 理学療法士 佐藤 史子 (社福)横浜市リハビリテーション事業団 障害者スポーツ文化センターラポール上大岡 スポーツ課長 社会福祉士 森戸 崇行 公益社団法人 日本社会福祉士会 作業療法士 吉田 文 一般社団法人 日本作業療法士協会 言語聴覚士 立石 雅子 一般社団法人 日本言語聴覚士協会 副会長 歩行訓練士 金井 政紀 公益財団法人 日本盲導犬協会 視覚障害サポート部 管理長(視覚障害リハビリテーション協会、日本歩行訓練士会) 支援団体 橋爪 智子 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長 オブザーバー 河野 健資 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 室長補佐 事務局 高光 美智代 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 牧村 雄 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 白木 文康 社会システム株式会社 社会経済部 ※佐藤委員はWEBにて参加 表、終わり。 【議事概要】 1.委員の自己紹介 2.論点についての議論(資料1-2と資料2) 橋爪委員 ・設置の趣旨のところで、対象とする専門職の中に獣医師が入っていないのは、今回は人間側の専門職の話として進めるのであるため、対象に含めない、という説明を入れておくべき。 吉田委員(作業療法士) ・関わりのあり方の検討対象となる図の赤枠内ということであるが、どのタイミングで補助犬を紹介するのかというところとも関係があるかと思う。例えば介助犬で言えば、ほとんどの場合は何らかの形で医療と繋がって(リハビリを月に1回とか、訪問リハビリを使用している)おり、現在受けている医療的なリハビリテーションの機関に所属しているPT、OT、STといった医療の従事者が、訓練事業者と協力しながら、補助犬の導入をしていくというようなことが、実際に起こっている。そう考えたときに、この赤枠が実際にはもっと広く、医療従事者というところまで来ているのではないか。 59ページ 橋爪委員 ・同感である。それに加え、補助犬ユーザー、もしくは希望者に関わる専門職として、手話通訳士、ガイドヘルパー、ケースワーカー、ケアマネージャーなども対象としてあってもいいかと思う。 ・また、本検討会の論点であるが、「QOLのより高い生活より多くの障害者に送ってもらうことに繋がる」という部分であるが、訓練事業者に、この意識をしっかり持ってもらう、専門職との連携により、ここに繋がるんだ、ということをしっかり認識してもらわないといけない。専門職と希望者がいいねとなっても、繋がった訓練事業者が、医療従事者や専門職との連携を重要と思っていなかったらうまく進まない。その重要性を知ってもらうということが必要。 ・専門職の関わりとしては、3段階ある。一段階目が補助犬を希望する前、しかし今回は普及啓発の部分ということで、必要だと思った人が申請をするというところまでの部分かと思う。二段階目が訓練の途中。そして三段階目は、補助犬との生活を始めてからの専門職との関わり方。今回の対象は、一段階目の希望するところであるという認識を共有しておきたい。 ・論点にある図であるが、これは介助犬に特化した図である。しかしユーザーの中でも全く医療が手つかずの方もいて、そういう方だとまた変わってくる。また、視覚障害者、聴覚障害者の場合は違う。3つのタイプの障害当事者をどう考えていくのかというのもポイントの一つである。 中野座長 ・これは今後の議論の中で、この図を含めて書き換えていくことが重要。それぞれの障害の特性によって、関わる専門職や構造も変わってくるので、今後の議論の中で修正をしていくことが必要。いずれにしろ、今回の各委員の専門職だけの話で考えないで、より広く、表も図も、書き換えをしていただけると良い。その中で、あるところに特化した形でこの委員会を構成しているという整理にしていただけると良い。 吉田委員(作業療法士) ・今の構造図であるが、「補助犬との生活を考えるきっかけとなるのはどのような場面か」というところで、図の中に入っていないサービスとして、訪問のサービスがある。 ・私が先ほど、病院に勤めている医療従事者にもぜひ知ってもらいたいとお伝えした理由の一つには、PT、STもおそらくそうだと思うが、7割以上が病院に勤めている。すると、生活や自立を支援する施設・機関にいるOT、PT、ST、社会福祉士の皆さんだけが知っていたのでは、おそらく届かないということになろうかと思う。そこで、もう少し広い範囲の専門職の方が知っていることが大事である。 佐藤委員(理学療法士) ・橋爪さんから、専門職の関わりには3段階あり、今回の検討対象は希望する段階という理解という話があったが、専門職に対する補助犬についての認識を普及させることが今回のテーマだとすると、希望する段階だけではないのかなと思う。 ・訓練途中の障害当事者、あるいは、生活の中で補助犬をどのように利用して生活をよりよいものにしているのか、社会参加に繋げているのかというところの認識を専門職が持っていないと、希望者に補助犬を渡しました、一緒に生活しています、で終わってしまうと思う。 ・本当の意味で補助犬との生活の価値が生まれてくるのは生活が始まってからなので、そこのところをどう広げていくかというところでは、その領域の専門職にもきちんと、普及ということだけでなく、生活を広げていくというところの認識を持ってもらわないと、補助犬自体が広がらないと思う。 60ページ 中野座長 ・図や表は少し複雑になるが、まずは必要な要素を入れていただいた上で、今回の会議の中ではどこに焦点を当てているのかというように整理していただくと良い。 金井委員(歩行訓練士) ・私からは、視覚障害に関わることで話をさせていただく。まず、視覚障害者の方が盲導犬の情報を知るとなると、まず目が見えにくくなって最初に眼科に行かれて、この視力は治らないとなった後に、障害者手帳の申請で障害福祉課に行くわけであるが、その二つの中で、盲導犬、白杖、視覚リハといった情報に出会えれば、すごく早い段階でその次のステップの情報にも関われると思う。 ・ただ、当事者の方は、見えにくくなって失明してしまうという聞かされたときに、盲導犬の話をされても、ほとんど頭に残っていない。また障害福祉課に行って福祉制度の話をされているところで、盲導犬や白杖歩行の話をされても、なかなか頭には残らず、その次の段階に進むというのは難しい。他の障害もそうだと思うが、受障して、しばらくしてから、人によっては早い段階でもうその次のステップを考える方もいるが、眼科医や障害福祉課で盲導犬や視覚リハの話をする時間も当然ない。 ・そうなってくると、どこでその情報を当事者の方に伝えるかというと、我々盲導犬協会や、各都道府県に眼科医会が中心になって作っている「スマートサイト」というネットワークなどである。眼科医が詳細を説明しなくても、盲導犬協会の電話番号や、ここに相談すれば何とかなるよといった情報だけでも発信をしてもらえるようなツールがある。その中に各団体が入っていることで、どこかに繋がれば、盲導犬協会に繋がっても、盲導犬でない話であればそれを対応する団体に繋がれば良いのかなという形なのでそういうネットワーク。 ・肢体不自由や聴覚障害の方向けにもそういったネットワークというのがあるのかもしれないが、どこかに伝わるだとか、またそういったところに、当事者や家族の方がそういった情報にちょっとでも繋がるような発信とか、そういったとっかかりの窓口やパンフレットとか、様々なものをとにかくたくさん配布していって、どこかに引っかかってくれればと思う。 佐藤委員(理学療法士) ・どこのタイミングで当事者の方に情報を伝えるかは結構難しい。まず、難病の方だと、今ある生活をどう維持していくか、どう自分の気持ちと折り合いをつけながらQOLを考えるかという支援の視点になると思う。そうすると、関わっている人たちは病院の医療従事者の人たちが一番多い。本当は保健所、保健センターの保健師などがもっと支援をしないといけないと思うが、現状では病院の専門職の人が、その情報を伝えていくということになると思う。 ・一方、中途障害者の場合は少し違って、今までできていたことが、ある日突然できなくなって、そこから再構築していくので、いろいろな情報を早いうちに言われても全然頭に残らないのではないか。自宅などでの生活に戻る段階まできたときに、医療機関の段階で言われたことが頭に残っているかというと疑問に思う。ただ、言い続けていく小さいことの積み重ねで、生活をしながらふっと思い出すということがあるので、言い続けなくてはいけないと思う。 ・最終的に効果的に情報を発信するのは、生活の時期を見ている中でタイミングを見計らってということだろう。障害の成り立ちによって情報を伝えるタイミングが違う。 ・いま補助犬は補装具の認定になっていると思うが、生活に入ってから、医療で作った装具はこの先どうするのという状態になっているので、専門職が総合支援法で補装具をどう提供していくのかというところの認識もすごく弱い。その中に補助犬を入れると、専門職、相当混乱すると思うが、ある意味いいチャンスかもしれない。総合支援法の補装具とはこういうもので、どういうタイミングでどういうふうに支給していくことを伝えるいいチャンスである。 61ページ 立石委員(言語聴覚士) ・聴覚障害で考えると、先天性の方と中途失聴の方がいるが、全ての方に聴導犬がいいのかというとそうではないので、いろいろある選択肢の中の一つとしてまず知っていただくということが、一般論としてはすごく大事である。 ・その上で、専門的に考えたときに、この方にはやはりこれがいいと考えられる場面での情報提供の仕方は色々なのではないかなと思う。中途失聴の場合は、やはりまずは補装具である補聴器をどうするかが検討されることになり、それでもうまくいかない、あるいはそれはつけた上で、行動半径を広げていくという段階になったときにやはり聴導犬が要るという話になる。また、補聴器がうまく使えず、在宅で使うのに、聴導犬がいると生活の質が上がるというようなケースもあると思う。やはりケースバイケースである。 ・最初の情報としては、やはり専門職がよく理解をしていて、撒き餌のように広げられるような情報を誰もが持っているということは、とても必要だと思う。そこは金井さんがおっしゃったことに賛成で、いろいろな場所で情報に触れられるようにしたい。 ・それから専門職としては、この方にはやはりこれがベストじゃないかという判断ができるだけの知識を持っていてほしい。 吉田委員(作業療法士) ・おそらく「リハビリテーション」という言葉を中心に教育を受けてきた専門職にとっては、目の前の方の今の困難状態だけではなく、この方がお家に帰られたらどんな生活をされるのかとか、社会にどんなふうに参加したいと思っているのかなどを遠くに予測しながら、その生活を実現するためにいま何をすべきかを考えているかと思う。 ・そこを考えたときに、いろいろなタイミングで、今後このような生活をするのであればこんな選択肢もありますよということの一つとして補助犬を一般的にご紹介できるような情報を持っておくということが一つである。 ・それに加えて、障害やその方ご自身の特性によって、もっと生活を広げていこうとか、もっと自立したいとか、社会の中での自分の役割を作っていきたいとか、その方が生活の質を上げる、あるいはもっとできのではないかというようなことを提起する場面で、補装具のことと同じように必要だよねということを詳細に説明すること、この二つのことを考えないといけないと思う。 森戸委員(社会福祉士) ・社会福祉士は、面談とかアセスメントのところで大きく関わりがあるが、その人の生活をどう考えていくかという点と、補助犬を使っての生活をどうイメージしながらアセスメントできるかという点が非常に重要であり、そのためには、補助犬との暮らしをどう理解するかが重要である。 ・議論のところで、自立生活を考えていくときと、補助犬なのでやはり社会参加をどう定義するかという点が重要だと思う。いま、家の中でもいろいろ社会参加できるということはもちろんあるが、補助犬法によって、補助犬と一緒にいろいろな場所へ行けるという点、家の中での生活が充実することによって外に出ていこうという気持ちになれる、外との繋がり、という点を考えたときに、社会参加の定義をある程度統一しておかないと、意見としてはばらけてしまうのではと考える。 ・本当に多職種がいろいろな場面で関わっている中で、図にあるような各所といろいろ関係しながら1人の方の支援をしていくわけであるが、そうしたときに、補助犬の存在をどう知らせていくのかは、社会福祉士自身が補助犬と出会う機会がないということもあり、まだ知られていないため、やはり広報が重要かと思う。 62ページ ・先天性の障害の方の場合、思春期ぐらいのときに犬との触れ合いというか出会いがあると非常に大きい。今、当センターでも少し動物介在の形で犬と出会う機会を作っているが、先天性のお子さんが中高生あたりで出会うというのは、非常に選択肢として広がり、その方が補助犬を使うということにすぐ繋がるわけではないが、そういった出会いは非常に重要だと思う。 ・他の補装具との比較の観点から補助犬をみると、他の補装具は治療用で始まって、その後、生活に必要なものに変わっていくという過程であるが、補助犬は、治療用という観点はもちろんないので、生活の場面で、犬との暮らしがどのように重要になってくるのかを見ていくという点が違うところである。 ・他の補装具は更生相談所や障害者相談センターなどが関わっているが、それらの機関では補助犬については現状では多分ほとんど知られていないと思われる。そうすると、そういった機関での補助犬の理解の促進というのもあっていいのかなと思う。 橋爪委員 ・まさに社会福祉士が一番のキーだと思う。補助犬の難しさは視覚・聴覚・肢体不自由と3種類あるため、それぞれの専門職はいるものの、全ての障害に関わる専門職としては社会福祉士さんがとても重要なポジションにいる。 ・専門職と書くときには一番に社会福祉士が出すべき。リハビリテーションという言葉も、この3種の障害によって捉え方が違う。医療的なリハビリテーションはもちろんであるが、まさに社会リハビリテーションを担っていると思う。 ・障害がある方一人一人の社会リハビリテーションの中に補助犬をどう位置づけるのか、また補助犬に関わる方々が社会リハの中のどこに位置づくのかということを、もう少し明確にしていかない限りは、なかなか見えてこない。 ・今、横浜市の障害福祉課と少し今議論を始めているが、医療の専門職からは、どうしても犬の関係者と見られて障害の専門職とは見られない。例えばトレーナー、訓練士は、犬のことだけをやっているのではなく障害者のこともちゃんと学んでいて、一緒のチームになれる人です、という認識を、どのようにして持ってもらうのかというところから、いま横浜市さんとも話をしている。 中野座長 ・私は今月イギリスで調査をしていた。イギリスでは、視覚障害中心であるが、障害を告知されたところから、それぞれリハビリテーションやハビテーション、教育にどう繋がっていくかということを20人ぐらいのワーカーにヒアリングをして調べてきた。 ・イギリスには、リエゾンオフィサーという、それぞれの専門職に繋げていく仕事をしている職種がある。例えば日本でも、認知症で「リンクワーカー」というものがスタートしているが、これと同じような仕事で、障害を告知された人がものすごく精神的なショックを受けているところのショックを受け止め、家族支援含めて、スタートするというような職種で、それぞれの障害ごとにいらっしゃるのだそう。 ・私は視覚障害を中心に、アイクリニック、リエゾンオフィサーを中心に調べてきたが、繋げるだけでも専門職が必要で、障害当事者が精神的なダメージを受けている中で、本人が前向きに生活を進めていくためにはどこと繋がる必要があるかを検討して、精神的なケアをしながら実際に繋げていく。しかも専門職が繋げる作業をやると自分の専門職に引っ張っていきたくなるものであるが、例えば自分が元々はある専門職であったとしても、リンクワーカーは決してそこには引っ張っていかず、必ず今ある専門職に繋げていくということをしっかりやっている。 63ページ ・繋ぐ先の中に盲導犬の訓練センターがあって、これも患者およびその家族中心でやっているので、将来的には日本にもこういった制度がないと、特にこの補助犬に関しては専門職の中でもなかなか理解が得られないため、全部をカバーできるかというとなかなか難しい。ソーシャルワーカーがすごく重要という話があったが、ソーシャルワーカーがこれを全部担うとなると大変。全障害についてのそれぞれのリハを知っていて、なおかつ補助犬についても知っているということになると、元々ものすごく忙しい職種であるため、そこまではなかなか難しいので、そういう新しい職種も考えていかないといけない。 ・こういったことも、もしかしたらこの検討会の最後の結論の中では出していかないといけないことの一つかなと思う。幸い今、日本では認知症リンクワーカーが注目され始めたところであるので、そういう役割の中に入れ込んでいく必要があるのかなと思いながら、皆様のお話を聞かせていただいた。 ・今回の論点に関しては、ここで十分に議論しつくせないと考えるので、今日のご議論を踏まえた上で、最終的にこの図・表を完成させていくように、今後の議論を進めていければと思う。 事務局 ・今回、障害のある方を3種類の補助犬に繋げるにあたって、障害の程度によってもいろいろ違う、専門職の方もいろいろな職場にいろいろな立場でいらっしゃるということがある。今回の資料の図は肢体不自由の方をモデルに作っているが、私どもがまだ理解していない点もいろいろあると思うので、たたき台を作り、それぞれの専門職の方にご相談しながら整理していきたいと思う。 3.アンケート案に関する議論(資料3) 橋爪委員 ・調査対象に医師は入れないのか。といいますのも、兵庫県の認定審査員は、リハビリテーション医、耳鼻科医、眼科医が入っており、訓練事業者と関わっている医師もいる。医療従事者の専門職としての医師を入れるかどうかの検討をしていただきたい。 事務局 ・今までの議論でも出てきたように、医師が時間を割いて当事者の方に補助犬の話をするというのは難しいのかなと考える。もちろん連携させるというところが重要だとは思っており、訓練事業者・自治体・病院との連携をどう考えるかというところでフォローしていきたい。 中野座長 ・将来的にはやっていく必要性があると思うが、今の段階で調査をお願いするのは非常に難しい。医師会に調査を依頼するときには、倫理審査を受けないと調査に応じていただけない。これは今後の課題として残させていただくということでよろしいか。 金井委員(歩行訓練士) ・歩行訓練士も対象であるが、質問の2問目の主な職場については、盲導犬育成施設にも歩行訓練士はいる。補助犬育成施設等という選択肢があってもよいのではないか。 64ページ 事務局 ・入れておく。 中野座長 ・この選択肢だとほとんどがその他になってしまう。例えば、視覚障害情報提供施設に勤めている歩行訓練士も結構いる。また、自治体、盲学校、特別支援学校の方も。これはSTも同じ。 立石委員(言語聴覚士) ・今の職場の選択肢の1から11までというのは、何が論拠になっているのか。 事務局 ・先ほどの論点の資料でお出しした図と一緒に整理をしたもの。今回車椅子の方をイメージして作った図ということもあり、特に視覚障害、聴覚障害のところが抜けている点がある。ぜひご教示をいただきたい。 立石委員(言語聴覚士) ・言語聴覚士に関して言うと、7割以上の方は確実に医療機関にいる。それから今は、地域完結型医療のように、同じ医療機関の中に介護保険関連の施設も持っているというような複合した施設が結構増えており、所属を分類するのが難しい。どう選択肢を作ればいいかというのは、1個2個増やしたらそれで収まる感じでもないと思う。 佐藤委員(理学療法士) ・アンケート調査での職場の回答にはいつも困っている。所属しているのは病院だが、携わっているのは急性期医療だったり回復期医療だったり訪問だったりする。職場のほかに職域を足すとよいのではないか。 吉田委員(作業療法士) ・「補助犬を勧める場合どんな情報を持っておくことが必要だと思いますか」という質問の回答選択肢の中に、回答者を含めた専門職の役割というような選択肢を入れるべきではないか。どんな情報があれば勧められると問うとともに、「自分が何をしたらいいのかというのが分からないと勧められない」ことを聞くべきか。 事務局 ・たぶん今そんなに役割として認識していない人が多いと考えていた。そこをきちっと書くべきであるというご議論があれば入れ込みたい。 吉田委員(作業療法士) ・アンケートをすることによって、ああ自分たちの役割だったのかと知るというきっかけにもなるのではないか。 ・その前の設問の中で、補装具の中の一つであるというような認識にここでなるのかと思うので、「それと同じように、専門職がやることを分かっていたら勧められる」ことがもしあるのであれば、重点的に今後、専門職の皆さんには知らせしないといけない。そこを明確に出せた方が良くないだろうかと思う。 佐藤委員(理学療法士) ・吉田委員に賛成である。認識をしてもらうことが大事だと思う。入れる場所としては、補助犬の関わりの最初の質問で、専門職としての役割の理解があるかどうかをストレートに聞いてしまうのがよいのではと思う。 橋爪委員 ・吉田委員の意見に賛成である。「どのような内容を学びたいと思いますか」という設問に専門職としての役割というのがあればいいのではないか。 65ページ 金井委員(歩行訓練士) ・補助犬の認識というところの二つ目の選択肢が、盲導犬については知っているが他の二つは知らないという選択肢は必要ないのではないか。逆に介助犬は知っているという人もいる。 中野座長 ・ここは3種類の補助犬をまとめず、3種類それぞれについて知っているかどうかを聞いたほうが良い。 森戸委員(社会福祉士) ・4ページの表は、選択肢の中に「最も必要」があるが、これがあると、これ一つしか選べない。非常に回答に困る。 ・先ほどあった補助犬の認識を3種類に分けて聞くということはそれでよいが、その役割を情報として持っておくことが必要かというのは、聞いているためいらない。 ・調査目的に、「補助犬と関わりのあると考えられる専門職」とあり、続けて、「特に補助犬の普及ということを踏まえて」とあるが、これらの職種が補助犬の普及に関わる職種だという認識なのであれば、「補助犬の普及に関わりのあると考えられる専門職」とするべきか。 佐藤委員(理学療法士) ・「補助犬について学ぶ機会があった場合積極的に学びたいと思いますか」という質問で、学びたくないと回答されてしまうと身も蓋もない。学んでもらわないと困る内容なので、ここは学ぶ時期を聞くべきか。 ・学校教育の中で基礎知識として学びたいか、例えば医療機関で働く専門職と社会参加を考える段階の人をサポートする専門職とは学ぶ内容も違ってくるかと思う。いま自分の関わっているものの中では多分優先順位が低いので、その中にどう織り込んでいくかというところが聞けたらいい。 森戸委員(社会福祉士) ・職場の選択肢について、「老人福祉施設」というのは、「高齢者施設」とすべき。 吉田委員(作業療法士) ・補助犬への認識についての最初の問いで、補助犬の種類ごとに聞くということになったが、これまでに研究されているアンケートの項目と合わせた方が比較しやすいのではないか。これまでの研究では確か「知っている」「名前は知っているが内容は知らない」「知らない」というような3段階になっていたかと思う。そうすれば、一般の方との差とか、これまでに行われている専門職へのアンケートとの差とかが、分かりやすくなるのではないか。 中野座長 ・それぞれまたこの会議終わった後に、事務局が今日出していただいたご意見について修正したものを皆さまに提示し、それに対してさらにご意見をいただきたいと思う。 4.アウトプットイメージに関する議論(資料4) 中野座長 ・橋爪さんのところでは、いろいろな補助犬に関してユーザー等と繋ぐということもたくさんやっておられると思うが、ユーザーが選択をして、実際にそれで訓練施設等と繋げていくというような事例の中で、こんなものがあるとやはり専門職の方には響いたのではないかというようなご経験があればお聞かせいただきたい。 66ページ 橋爪委員 ・当事者からの相談はたくさんあるが、専門職に繋ぐところまでいく事例が非常に少ないです。ご自身が持っていくための資料があるので、ご自身で動いてもらうというケースが多い。 ・生活を始めてからの困り事の方がケースとしてはすごく多い。本当に様々な困りごとトラブルがあるので、自治体担当者向けの資料と、当事者が自分の関わる医療従事者や専門職に持っていく資料などがある。 中野座長 ・私は心理学が専門で、医学部や薬学部の1年生に心理学を教えている中で実際に補助犬に関して学生たちに紹介をしている。犬の訓練で心理学の手法を使われているため一環で紹介しているのであるが、学生たちにはインパクトがあるようで、実際に聴覚障害の人が聴導犬をどう使っているかというのが目の前でわかると意味がある。ユーザーが実際にどういうふうに生活の中で使っているのかをリアルな形でわかるようにできればよいのではないか。 ・橋爪さんのところで作っているビデオ教材などは専門職には多分知られてないと思うので、見ていただくと、自分のケースにももしかしたら適用できるかもしれないとイメージを持っていただけるケースもあるかと思う。いま既にあるリソースをうまく提供できると、単なる情報だけではなくて、動画等はすごく有効なのではと思うので、そういったこともアウトプットの中で考えていけると良いのではと思う。 ・その他、それぞれお考えいただいて、こんなものがあるといいのではということを事務局の方にお寄せいただければと思う。 67ページ 2) 第2回検討会 日時:令和5年12月5日(火) 13:30〜15:30 場所:TKPガーデンシティ渋谷 カンファレンスルーム4E 以下、表 有識者(座長)中野 泰志 慶應義塾大学経済学部 教授 理学療法士 佐藤 史子 (社福)横浜市リハビリテーション事業団 障害者スポーツ文化センターラポール上大岡 スポーツ課長 社会福祉士 森戸 崇行 公益社団法人 日本社会福祉士会 作業療法士 吉田 文 一般社団法人 日本作業療法士協会 言語聴覚士 立石 雅子 一般社団法人 日本言語聴覚士協会 副会長 歩行訓練士 金井 政紀 公益財団法人 日本盲導犬協会 視覚障害サポート部 管理長(視覚障害リハビリテーション協会、日本歩行訓練士会) 支援団体 橋爪 智子 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長 オブザーバー 河野 健資 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 室長補佐 事務局 高光 美智代 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 牧村 雄 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 白木 文康 社会システム株式会社 社会経済部 ※立石委員、吉田委員はWEBにて参加。吉田委員は途中退席 表、終わり。 1.専門職アンケート調査結果について(資料2) 橋爪委員 ・歩行訓練士さんの補助犬の認知度がすごく高いことに驚いた。補助犬の訓練施設にいる方が多いこともあるかもしれないが、そうでもなさそうである。どういうきっかけがあると考えられるのか。 金井委員 ・歩行訓練士が補助犬をよく知っているというのは、盲導犬を知っている人が大多数ではないかと理解している。視覚障害者の方が外出する手段として、白杖歩行と合わせて盲導犬という存在が近くにあるため、認知度が高いと思う。また、盲導犬を知ることで、身体障害者補助犬法や、聴導犬・介助犬についても知ってくれていると考えられる。 中野座長 ・今後、どう介入していくかを考えるときに、歩行訓練士でこれだけ認知度が高いということは参考にできると思う。 吉田委員 ・今の橋爪委員のご質問について、アンケート結果では、歩行訓練士は授業などで知識を得ている方の割合が他の専門職に比べて多い。授業の一部としてそういう内容が盛り込まれているのではないかと感じたがどうか? 68ページ 金井委員 ・自分自身は、日本ライトハウスの白杖の歩行指導員の養成講座を受講した。20年前の経験ではあるが、当時、盲導犬という単語は出てきたが、介助犬・聴導犬などまでは出なかった。補助犬についての内容はそれほど多くはなかったと個人的には感じていた。 中野座長 ・日本ライトハウスは、補助犬の訓練センターを持っているので、そこに研修に行くと、自然に少なくとも盲導犬を知ることになり、盲導犬に関わる法律ということで補助犬法にもわりと繋がりやすいのかもしれないなと思った。 金井委員 ・5.2(3)の「補助犬法とその内容を知っているか」の質問に対して、法律の内容まで知っている人は全体で5%という結果となっている。今年度、盲導犬協会では、補助犬がどの程度社会に浸透しているかということで、一般市民向けにアンケートを行った。その中で、この質問と同様に「補助犬法を知っていますか」と聞いたところ、回答結果がこの数字とほぼ同じであった。法律の内容まで知っているが4%、存在を知っているが内容は知らないが20%程度。この結果については当協会のホームページに公開している。 https://kyodonewsprwire.jp/release/202309280359 2.補助犬ユーザー座談会について(資料3) 中野座長 ・専門職の皆さんにアピールする際、ユーザーというのが一番重要なポイントかと思う。 橋爪委員 ・(2)のご自身の経験についてで「どこで補助犬の情報を得たか」という質問があるが、お住まいの自治体によって差があると思う。この方々は十数年前の経験であるので、お住まいの自治体でも今は当時と違う可能性はあると思う。自治体が非常に機能している良い事例も少なからずあると思うので、地域差が見えるといいかなと思う。 ・(3)の「どのタイミングで専門職からの情報提供があるとよいか」の質問で、情報提供のタイミングは外出に不自由や危険を感じた時期だと思うとA様が言っているのが、まさに生の声だと思う。不自由や危険を感じる時期というのはすごく個人差があると思う。バスに轢かれそうになった、道を間違えた、ホームに落ちたなどは多く聞く。やはりそういう危険を感じられたときはすごく大きなポイントなのかなと。 ・「白杖訓練を受けたがうまく歩けなかったことが盲導犬を持つきっかけ」というご回答だが、これもよく聞く。しかし、個人的には、それはあまりよいことではないと思っている。白杖訓練をうまくできなくとも、ある程度のところまでは頑張ってやらなければ。白杖では歩けなかったから盲導犬だ、という安易な考え方が広まりすぎている印象を受けるので、少し怖いなと思う。これを介助犬で考えると、肢体不自由の方のリハビリテーションは少しスパルタのイメージがあります。日常生活動作をある程度のところまでできるようになって、プラス、介助犬だともっと早く行動できるよとか、起き上がりが1人で何十分もかかっていたところが、介助犬がいると5分でできたなど、プラスになっているところは、介助犬のパターンの方がイメージがよい。 69ページ ・最後の心理的な効果についての質問は素晴らしいと思った。他のユーザーさんからもおそらく同様のご回答が出てくると思われる。これを専門職の方に見てもらえることはすごく貴重である。 事務局(社会システム) ・自治体による差について、以前と最近ではもしかしたら変わっている可能性があることなどを念頭に置いて、次にお伺いする方の特性、例えば比較的最近ユーザーになった方からは違う回答が出てくるのかどうかなどを見ていきたい。また、白杖訓練がうまくいかなかったことが盲導犬を持つきっかけという話について、白杖歩行と盲導犬歩行との関係をどのように捉えていくのかという点をこれから気をつけていきたい。 金井委員 ・決して盲導犬歩行が白杖歩行より優れているということではない。この2人はたまたま白杖歩行がうまくいかず盲導犬を選択されたということであるが、白杖ができないから盲導犬ということでもない。私達が盲導犬を紹介するときには、盲導犬の良いところ、また白杖歩行の良いところ、それぞれの負担になる部分など、両方の正しい情報を伝える。どちらかを選択をするかはご本人。白杖歩行で困っていることが、盲導犬歩行にすると解決できるのであれば、盲導犬歩行を選択するのも一つかもしれないが、白杖歩行で困っていることが、盲導犬歩行を選択しても解決できないのであれば、盲導犬歩行を選択する必要はないと紹介もさせてもらっている。 ・(2)の「ご自身の経験等について情報に乏しい」というのはやはり視覚障害者の方々にとっての最大の課題。A様はロービジョン外来に通っていたことがすごくプラスだったが、B様は眼科ではほとんど情報を得なかったということなので、眼科であってもこれぐらいの差がある。 ・また、B様は2回目の歩行訓練のときに盲導犬の話を聞いたということだが、この2回目というのは、2003年の1回目の最中なのか、それとも2006年にもう一度歩行訓練に通ったときのことを言っているのか。後者なのであれば、補助犬の情報にたどり着くまで3年かかってしまっている。B様は、情報を得たいタイミングについて「障害認定をもらったときにその役所で」としているが、やはり早い段階で情報にたどり着くと、引きこもったりしないで済むのかなと思う。ただし、障害認定をされたときなど早い段階で、色々な情報を聞いたとして、ちゃんと取捨選択できるのか、というものも課題である。ただ、全く知らない状態で、障害者手帳やサービスの話と併せて聞いた白杖歩行や盲導犬歩行のことが、何となく頭に残っていて、盲導犬の団体に電話してみようかとなれば、比較的早く繋がれる可能性も残されるのかと思う。 事務局(社会システム) ・この2回目の訓練で白杖歩行があまりうまくいかなくて悩んでいたというのは、2006年の2回目の通所のときのことを言っておられた。 金井委員 ・視覚障害者の方は、病院に入院している期間に視覚リハのサービスに関わる機会は、他の障害の方と比べると少ない。そのため、視覚障害の方が情報にたどり着くまでの期間には個人差がだいぶ生じている現状だと思う。 中野座長 ・私は、日本視覚障害者団体連合と一緒に全国調査を実施し、約1000人の視覚障害者から回答を得た。その調査の結果でいうと、日常生活用具や補装具ですら、その制度を知るまでに5年以上かかった人が2〜3割いた。これが今の日本の現状。先ほどのご意見のように、視覚障害のリハビリテーションは病院から始まらない。病院で失明を告知されて、もうこれ以上病院に行っても目は良くならないということがわかった段階から引きこもったりして、福祉の専門家に出会うまでにも何年かかかり、なおかつそこからいろんな福祉制度を知るという状況。補装具の情報を知るまでに5年以上かかっている人が22.1%となっていて、これはなかなか大変な状況である。視覚障害は特に情報障害なので、そういうようなことがあるのかなと思う。 70ページ ・特にイギリス等では病院内で専門職と繋ぐというような仕組みが作られているが、そういう仕組みが視覚障害に関しては必要なのかもしれない。 ・専門職と繋がると、専門職は少なくとも盲導犬のことについてはかなり知っている人が多いので、この選択肢の一つとして盲導犬に繋がるというケースが多くなるという話なのかもしれない。 吉田委員 ・今回、補助犬のデメリットについてあまり出てこなかったが、やはり外出のときに同伴拒否があるということが最大のデメリットかなと感じている。これは盲導犬だけでなく補助犬使用者は皆さん体験されたことがあるので、情報提供をするときにはその点ももちろん情報提供し、そして、同伴拒否があったときにどう対処したらいいのかは、訓練に盛り込まれている(訓練事業者へのお願いも必要)ので、大丈夫ですよ安心してください、というような情報提供がこれからできるようになるといいと感じている。 ・介助犬使用者の方の中には、入院中に医療スタッフから介助犬についての情報提供があって、退院してから何年かしてから実際に持つことを決断するという方もいる。早い時期に情報提供し、それからしばらく経ってから自己自身で選択するというような手順というかプロセスを踏むものなのかもしれないなとも感じている。 ・視覚障害の方に対しては、眼科に通っている方に対して、白杖歩行や盲導犬歩行の訓練ができる施設についての情報を提供するということを共同で取り組んでいる地域がある。そういう仕組みが、盲導犬だけではなく介助犬・聴導犬でも行われるように、この専門職の関わり方の検討会が協力していけたらいいのではないか。 佐藤委員 ・専門職の関わりのところで、もう少し詳細がわかるといいなと思う。情報提供するタイミング、訓練するタイミング、その後のフォローアップでの関わり。それはどういう人がどんなタイミングでどんな頻度で関わっていたのか。 ・盲導犬の情報が入るまでに3年かかったというご回答があったが、介助犬に関してはそれぐらいかけてもいいかなと私は思っている。基本動作はある程度自分でやれるようになって、生活を広げる段階で、補助犬とか、また改めて次の福祉用具に関して、何を導入してどう広げていくか、という流れがあるので。 ・盲導犬でも、施設の中をちゃんと歩けていたからいいよということと、生活の中で歩行がきちんとできたかいうことのフォローアップができていれば、もう少し早く情報提供ができたかもしれない。どういうフォローアップを受けてきたかというのはぜひ追って聞いていただきたい。 事務局(社会システム) ・(2)ご自身の経験について、1)の「どのような専門職の方とどのような関わりがありましたか」という質問の回答を見ていただくと、歩行訓練士さんからの指導を受けたという話は当然出てきたが、それ以外に関わった方について、具体的にどんな資格専門職の方だったかという回答がいただけなかった。 71ページ 金井委員 ・視覚障害者に関わる白杖の歩行訓練士とかまた日常生活訓練を指導する職員は、その他の専門職と違って国家資格ではない。視覚障害の方に関わる歩行訓練する人間がパソコン訓練をやったりする。日常生活訓練は、作業療法士ではなくて、視覚障害の方に指導する職員の方だったのではないか。例えば日本ライトハウスは、「歩行訓練士」ではなく「生活訓練等指導者」による養成というふうに呼んでいる。今の日本ライトハウスの訓練を受けている人の数が圧倒的に多いので、そちらの訓練を受けられている方が担当されている可能性が高い。中には障害当事者が日常生活について指導を展開しているところもある。 中野座長 ・東京都でいえば、東京都の盲人福祉協会に当事者の指導員がおり、日常生活に関してはその当事者の指導員が指導することがあり得るので、そういう場合は国家資格認定資格もお持ちではなく関わっておられるケースはあるかと思う。いずれにしろ視覚障害は国家資格がないため、そういう意味で、他の専門職と違って、細かく聞いてもなかなか出てこないかなと思われる。ちなみに聴覚障害の場合は他の国家資格、STとかOTが関わられているケースもちろんPTが関わられているケースというのもあるかと思う。 ・先ほど吉田委員が、地域によって、眼科から様々な専門職へ繋いでいるケースがあるということを、お話いただいが、日本眼科学会が「スマートサイト」というものを全国各地に立ち上げている。これは、先生方が患者さんに対していろんな情報を提供する際に、それぞれの県ごとにどんなリハ施設や教育施設があるかなどをまとめてパンフレットにしているもの。これを作る段階で非常に密に連携を取られたところは、もうお互いが顔の見える関係になっていて、すぐに施設の誰々さんというような繋ぎ方ができている。逆に情報だけという地域もある。 ・全ての都道府県でこのスマートサイトは立ち上がっているので、県内に盲導犬訓練施設があれば、盲導犬のことがサイトに書かれている。逆にない場合はもしかしたら入っていない場合があるかもしれない。今後の啓発をしていく中では、ぜひ眼科医会にお願いをして、自分の県になかったとしても最寄りの盲導犬の訓練施設をサイトに開催してもらう、もしくは盲導犬の場合は必ずしも同一県内でなく県域を越えて犬の貸与を受けるというのがかなりあるので、どこの県にも全国の盲導犬訓練施設を全部掲載していただくというようなお願いをしても悪くないのかなと思う。 参考 日本眼科医会 スマートサイト関連情報 https://www.gankaikai.or.jp/info/detail/SmartSight.html 3.アウトプットについて(資料4) 森戸委員 ・今回のアウトプットは、専門職向けということなので、「補助犬使用が選択肢の一つ…」というところが、どういう人に、どういうタイミングで、専門職として情報提供するのかとか、どういうことを伝えるのかというもの。希望する本人は、憧れとかも含め、介助犬と生活したいという希望をお持ちということで全然かまわないが、専門職としてそういった方に対してどうアプローチするのかという視点が少し入るといいのではないか。 ・また、「補助犬」という言葉、説明する部分と、それぞれ盲導犬・介助犬・聴導犬という言葉で説明するところが、三つに分けただけではなく、色々な場面で意識的に使い分けする伝え方みたいなものがあった方が、わかりやすいのかなと思っていた。それぞれに役割も違うし、使用する人のそれまでの状況も違うので、補助犬というとちょっと遠い存在に思えるような情報と、それぞれの3種類の名称で、説明してもらえると、より身近に感じられるということもあるのかなと思う。 72ページ 橋爪委員 ・難しいとは思うが、実際に専門職がそのきっかけを情報提供して、ユーザーさんが誕生したという方がいらっしゃったら、その方を紹介できるとすごくいいなと思った。ちょっと探してみる価値はあるのかなと思ったのでご提案まで。 金井委員 ・日本盲導犬協会のケースであるが、大学病院のロービジョン外来の方に歩行訓練士が関わらせてもらっていて、そこに来た患者さんに対して視覚リハの話をして、白杖、生活訓練、便利なグッズの紹介などから入っていって関わっていったその先で盲導犬に繋がったというケースは何人かいる。歩行訓練士が病院で関わって、数年後に盲導犬に繋がったというケースもある。 中野座長 ・専門職にアピールするには、今のような方法はとてもいいと思う。ぜひ当事者に対するヒアリングとともに、そこでたどっていって後ご紹介いただいた専門職にどういうふうに考えて繋げていったのかっていうところを聞いていただき、このパンフレットの方に反映されるととても良い。 橋爪委員 ・少し前の事例としては、岡山県の吉備リハビリテーションセンターで、最初の1人目はご自身で見つけて訓練事業者にアプローチして介助犬ユーザーとなったが、その方が吉備リハに関わっていて、そこで2人目の介助犬ユーザーが誕生したという事例。病院でユーザーさんをお呼びして、そこで見ていた肢体不自由でリハビリ中の方が自分も持ちたいと思って何年か後に同じリハビリテーションセンターで2人目が誕生したという事例。 金井委員 ・このアウトプットを実際に使って、専門職の方が患者さんなりに補助犬についてしっかり説明をするというようなことまでを考えているのでしょうか。実際、専門職の方がそこまで詳しく説明を業務の中でできるものなのか。2ページ目の方針のところだとこの4番がすごく大事かなと。それ以外のところについては、そこまで深く知っていなくてもいいのではないかという感じがする。これを配布して、専門職の方が、そこまで求められているのか…みたいな受け止めになるのは、ちょっとどうなのかなと感じた。 事務局(社会システム) ・専門職アンケートで、「補助犬を知らない」の回答割合が高いという結果を皆さんに見ていただいたが、「まずは補助犬の基本的な情報を知りたい」ということがあったので、基本的な情報などを入れさせていただいた。そうすると例えば構成を少し変えて、まずは「補助犬とはこういうもので、どこういうところと繋がるとよい」ということと、参考資料として、例えば、4ページの上にあるようなものは参考資料として後ろに入れておくとか、そういう構成の方が、皆さんに過度な負担をかけないですむかもしれない。 佐藤委員 ・現場の専門職として、一番怖いのは、補助犬を紹介してみたものの、違っていたら…ということ。理学療法士だと、装具や杖などについては学校でだいぶ学ぶので、どうやって使ってどういう効果があるということが分かっていて、その効果まで確認して本人に渡す、というプロセスなので、違っていても修正ができる。しかし、補助犬に関しては、誰にでもある意味適用するし、誰にも適用しないかもしれない、という怖さがあって、だから専門職に何を伝えたら本人に紹介できるのかはすごく悩ましいところ。制度の中の一部なので出せますということと、これをやると何が変わる、何ができるようになるという点が示されれば、ちょっと情報提供はできる。後は相談先の情報ももちろん必要。 73ページ 橋爪委員 ・今の佐藤先生のお話について、例えばあるPTさんが、この方は補助犬使用がどうなのかなと思ったときに、例えば、PT協会のどことか、この先生とかに相談したらよい、といった、専門職が頼れる専門職の相談窓口みたいなものができるといいなという希望的観測です。 ・中野座長 ・盲導犬の場合、難しいですね。訓練所がいくつかあるが、それぞれに特徴があって、多分ユーザーとのマッチングを考えていくと、このユーザーの場合はこの訓練所がいいかなというようなことを考えたりしないといけないので、そんなに単純にはマッチングできない。 金井委員 ・どこの訓練事業者がよいというのではなく、例えば日本盲導犬協会に相談をされても、その方が日本盲導犬協会よりも別の協会の方がご自宅に近い場合ももちろんあり、まずはそちらにも聞いてみてくださいと伝えたりとか。盲導犬育成団体は日本に11団体あってそれぞれに特徴があることから、やはり、各団体と話をされてみて、自分がここの協会の盲導犬を使ってみたいなとか、この職員のサービスを受けたい、というように感じてほしい。マイカーを買うときに、日産・トヨタ・ホンダ…があるように、一つだけ御紹介するのではなく、一つの選択肢として、介助犬はこういったことができる、育成団体がこれぐらいあるので、それぞれに聞いてみて、というような感じで、どこか一つ紹介というのはなかなかすごく責任も感じてくると思うので、難しい。 橋爪委員 ・盲導犬の場合は、訓練事業者の中に歩行指導員がいらっしゃるので、歩行指導員としての意見が聞けると思うが、介助犬・聴導犬の場合は多くが、訓練事業者の中に専門職がいないので、連携していない団体さんもいるので、直接訓練事業者に繋がるのはちょっとリスクがあるので、その前にOT・PTとして、自分は補助犬に関わったことがないけれど、自分の見ている患者さんに介助犬・聴導犬がいいかもしれないと思ったときに、多分経験とか知識があるOT・PTさんに聞きたいと思う。その時に、例えばPT協会の佐藤先生のところの連絡先が書いてあるとか、そういう窓口が現場の人は必要じゃないかなと思った。 佐藤委員 ・特定の何かの動作を改善するためにこの用具を使おうというものは、同じ専門職のアドバイスでどうにでもなると思う。例えば、お風呂に入るのにボードがいるとか。しかし、他の補装具と違って、補助犬、特に介助犬聴導犬は、生活全体に関わるので、PTが他のPTに相談してOKって言ったものの、その判断の際に情報として得られていなかった多くのものがあってやっぱり違った…というところがすごく難しい補装具である。本来、多くの個人情報を提供してもらわないとアドバイスができないが、聞いてくれる内容は限られている。そもそも専門職が生活全体の改善に向けた情報を持っているのかという懸念もある。病院で従事している専門職が特にそうだと思う。 74ページ 中野座長 ・最終的には、この研究で作ったもので補助犬の数が増えればいいと思うが、いきなりそこに1年間で行くのはなかなか難しいところがあるのではないかといま議論を聞きながら思った。具体的な問題になればなるほど、かなり難しい問題に直面するもの。 ・今回のアンケートの5ページにある、補助犬法とその内容を知っているかという質問に対して、専門職の知っている割合が、先ほど金井委員からあった、一般の人の割合と変わらないというのは、専門職としては寂しい。今回のパンフレットでは、専門職にこの補助犬や補助犬法のことをしっかりと知っていただき、自分の目の前の患者さんが使えるかどうかはまだ次の問題だけれども、少なくとも自分の患者さんに使いうるものなのかもしれないから、専門職としては補助犬のことを少なくとも知っておかないと、という意識を持っていただくことを目的にしたパンフレットぐらいでないとちょっと厳しいのではないかなと思う。 橋爪委員 ・まさにそうだと思ったので、最後に「もし相談したい場合は」という形で、補助犬を認定する指定法人を紹介すべきだと思う。認定指定法人は必ず専門職が関わっていなければいけない場所で、盲導犬は訓練施設がそれを兼ねているが、介助犬と聴導犬に関しては認定指定法人に必ず専門職がいらっしゃるので、何か専門職として聞きたいことがあれば、認定指定法人にご相談くださいっていう形の情報提供がよいかなと思った。 中野座長 ・では情報提供としては、いま整理していただいたように、認定指定法人の情報を載せるということで、パンフレットそのもののイメージとしては、先ほどちょっと整理させていただいたように、補助犬や補助犬法のことについてしっかり知っていただき、もしかしたら自分のケースの方もその対象になるかもしれないと思っていただけるところまでこのパンフレットで引き上がって、次に同じようなアンケートしたときには、この補助犬の内容を知っている方の割合がぐんと増えているといい。 ・私の立場で個人的な質問だが、橋爪委員にお聞きしたいが、日本補助犬センターでお作りになっている動画はわかりやすく、しかもヒューマンファーストになっており、補助犬そのものではなく、補助犬を通して視覚障害・聴覚障害・肢体不自由の方の生活がわかるという作りになっていてとても良い教材と思っている。あの動画は、それぞれのところで紹介したいので提供してくださいとお願いすれば、今の段階でもDVD等は提供していただけるのか? 橋爪委員 ・可能。YouTubeにもアップをしているし、DVDも「24時間チャリティー」で作っていただいたもので、無償でお送りしている。研修に使いたいけれどもということで、DVDの本体が必要であればお送りすることができる。 ・中野座長 ・養成課程等で、実際に授業の中で見るまではもしかしたら難しいかもしれないが、YouTubeにあるので学生の皆さん見てくださいねとかというようなご紹介に使えるのではないかと思いますので、パンフレットの中にYouTubeのURLとか、それからDVDが必要な場合はお問い合わせくださいという情報が入っていても良いのではないか。 ・啓発として、専門職がそれぞれの障害について、世の中一般の人に知ってもらうときにも良いツールの一つになると私は思っていて、私自身も使わせていただいている。視覚障害を理解してもらう際に、あのDVDには盲導犬が出てくるが、その中でいろんな生活のことが出てくるので、実は盲導犬そのものを知ってもらいたいのではなく、各障害のことを知ってもらいたくて、こういう方法があるという説明をそこからさせていただいている。そういう使い方も今後出てくると、いろんな養成課程の中や一般への啓発に使っていただく可能性が出てくるのかなと思う。 75ページ 立石委員 ・アウトプットのところで中野先生がまとめてくださったように、専門職が「まずは知る」ということにポイントが絞られるということになってそこはとても良かったと思う。誰に相談すべきかという点で、具体的に専門職が、いくつもの補装具の一つとしての聴導犬・介助犬・盲導犬なんだとわかることが第一段階かなというふうに思いながら、お話を聞かせていただいた。 4.その他 〇第3回の日程については、中野座長の日程が決まり次第、調整する。 〇国立障害者リハビリテーションセンター学院では、来年1月20日から補助犬についての研修会を行政や訓練対象者向けに実施する。ぜひ皆さまのネットワークでこの情報を広めていただき、ご参加いただきたい。(厚労省河野様) 3)第3回検討会 日時:令和6年3月11日(月) 13:30〜15:30 場所:TKPガーデンシティ渋谷 カンファレンスルームD 以下、表 有識者(座長)中野 泰志 慶應義塾大学経済学部 教授 理学療法士 佐藤 史子 (社福)横浜市リハビリテーション事業団 障害者スポーツ文化センターラポール上大岡 スポーツ課長 社会福祉士 森戸 崇行 公益社団法人 日本社会福祉士会 作業療法士 吉田 文 一般社団法人 日本作業療法士協会 言語聴覚士 立石 雅子 一般社団法人 日本言語聴覚士協会 副会長 歩行訓練士 金井 政紀 公益財団法人 日本盲導犬協会 視覚障害サポート部 管理長(視覚障害リハビリテーション協会、日本歩行訓練士会) 支援団体 橋爪 智子 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長 オブザーバー 河野 健資 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 室長補佐 事務局 高光 美智代 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 牧村 雄 社会システム株式会社 社会経済部 事務局 白木 文康 社会システム株式会社 社会経済部 ※立石委員(途中参加)、吉田委員、金井委員はWEBにて参加。 表、終わり。 76ページ 1.アウトプット案について(資料2−1、2−2) 1)1〜2ページについて 事務局 ・(途中参加の立石委員の事前にいただいたご意見の紹介)。「さまざまな専門職の教育課程で、補助犬について入れてもらうというのはよい案と思います。ただ今回対象となった専門職以外にもまだまだ広報が必要であると思います。まずは知らしめることが重要であるとすれば、その方法については今後も検討する課題は多いと思います。」 橋爪委員 ・p.1の四角枠内、「…積極的な外出につながることができるとイメージ…」は、「…積極的な外出につながるとイメージ…」でよいのではないか。 金井委員 ・p.2に実働頭数は減少傾向にありますとあるが、なぜ減っているのかを書く必要はないのか? 事務局 ・明確な要因を抽出できていないため、ここではあえて記入していない。 金井委員 ・減っているのならば必要はないのではないかと思われることはないか?しかし、さまざまな理由があり、3種の補助犬の要因も違うかもしれない。書くと複雑になってしまうか。 中野座長 ・補助犬が減っているのは専門職の努力が足りないと言えるわけではないこともあり、ダイレクトには書きにくいことがあった。 吉田委員 ・前向きな方向で書くとしたら、「皆さまの協力で、情報提供があれば増えるかもしれません」というのはどうか。 中野座長 ・良いご提案だと思う。「皆さまのご協力で必要な人に補助犬がいきわたるようにご協力を願います」などとすればよいか。 佐藤委員 ・ユーザーは補助犬についてなぜ調べようと思ったのか?最初の一歩は何だったのか。 事務局 ・盲導犬を知っていたので調べてみた、もともと知っていてさらに本を読んだ、補助犬法の成立のニュースを見た、生活全般の支援について調べたら補助犬についての情報が出てきたなど。 佐藤委員 ・ユーザーが何かをしたいことがあって、それを実現するために何が必要かを調べて補助犬を見つけたのであれば、その「したいこと」を専門職が知っておく必要があるかと思ったが、そのような理由であれば必要はないか。 橋爪委員 ・きっかけを今、ユーザーに聞いてみた。@オーストラリアで聴導犬ユーザーを見て日本で調べた。A福祉の勉強の中で聞き、ユーザーの本を読んだ。 77ページ 中野座長 ・豊かな生活をしているロールモデルを知ったことがきっかけという人もいるということか。ロールモデルと出会うことが大切ということが書ければよいか。 森戸委員 ・「社会とのつながり」という言葉はよいと思うが、「社会参加」という表現も入れるべきか。また、生活の質(QOL)は、(QOL)はいらないか。 佐藤委員 ・専門職へのメッセージが出るタイトルとするか、最後にメッセージを掲載するか(「補助犬に対する情報が足りていません提供してください」「補助犬ユーザーの社会参加が活発になっています」など)、など専門職にしてほしいことをメッセージとして載せてはよいのではないか。 中野座長 ・とても重要なご指摘。どんなメッセージを出すべきか?働きかけとなり、自分がやってみようと専門職に思ってもらえるメッセージがよいと思うが。 橋爪委員 ・本検討会の委員(専門職)からのメッセージを寄せていただき、リーフレットに掲載するとよいのではないか。専門職の先生方にお願いしたい。 中野座長 ・今この時点では難しいと思うので、事務局からメールでお願いしていただく。 2)3〜4ページについて 吉田委員 ・3ページの冒頭の3行と、次のセンテンスの3行がまったく同じになっている。下のセンテンスでは、生活をし始めるとこんなことに困って、生活に苦労されているが、自己実現をするために苦労して補助犬という情報にたどり着いているが、「補助犬」というワードを知ることで、さがすきっかけを作ってはどうか…といった内容ではどうか。また、「お力」は「協力」でよいと思う。 森戸委員 ・「補助犬のことを知っていただく」ことが第一番目となると思う。「まずは、…」など知ってくださいということを強調した方がよい。 中野座長 ・そのように修正していただきたい、その際には、補助犬そのものではなく、ユーザーがどう変わるかということがポイント。 金井委員 ・4ページの破線枠内の視覚障害者については、今回インタビューした2人については事実だと思うが、実際には、ほとんどの人は盲学校や歩行訓練には通っていない。自分で障害を受け入れて、今後の生活をどうしていくかを考えている。 中野座長 ・確かにその通りである。ここはインタビューからとしているので、今回の方はこうであったが、そういう人も多い、ということをなお書きなどで入れておいていただきたい。 佐藤委員 ・1〜2ページから3〜4ページに移ってくる流れが同じトーンなのでわかりにくい。1〜2ページは、インタビューの結果を整理していることがわかるように最初に記述しておくべき。それをもとに3〜4ページはユーザーの声を受けて専門職に知っておいてほしいことをまとめている…それ以降は知っておいてほしい知識…といった流れがわかるようになってほしい。 78ページ 金井委員 ・4ページの最後、『…「補助犬を使用すること」にたどり着いています。』と言い切っていてよいのか。 中野座長 ・確かに今回のインタビューした方がそうだということであって、修正すべき。また「リサーチ」という言葉は「情報を探している」ということか。 ・「補助犬に関する正確な情報・適切な知識を専門職から提供してほしい」ということをメッセージとして出してほしい。 立石委員 ・4ページの破線枠内の聴覚障害者については、「ろう学校などの在学中の場合もあるが、日常生活のさまざまな場面で考えた」ということだと思う。 佐藤委員 ・破線枠はインタビュー結果なので、1ページにもっていってはどうか。アンケート結果は、今は皆さんこのような認識ですと紹介し、空いた部分には「専門職から自立した生活を考えるタイミングでの情報提供をお願いします」をいれてはどうか。 中野座長 ・3〜4ページは専門職へのメッセージに絞ったほうがいい。破線枠内の内容は、障害別にせず、「具体的な日々の生活をする中で、補助犬使用に関する重要性を感じた(実生活の中で考えた)」という内容を1〜2ページに入れる程度としてはどうか。 森戸委員 ・破線枠の肢体不自由者の「…考えられるようになるとした方がいる」については、「…考えられるようになった方がいる」でよいのでは。「専門職は生活全般のイメージまでは相談できない場合もあった」は自立した生活を考えるタイミングの内容ではないので、書くなら別の場所の方が適切。 中野座長 ・認知度に関するアンケート調査結果を載せたが、やばいと思ってもらえるか、メッセージを書き添えるべきか。 佐藤委員 ・思ったより知っているというのが率直な感想。このデータを見てまずいぞと思うような流れが必要。この委員会としては、「認知度が低いこと、情報提供がされていないこと、役割を認識していないこと…を専門職の皆さん、わかってください」ということをアピールしたい。補助犬が関わることで、どんなメリットがあるかを伝えられると「これではまずい」と思ってもらえるかもしれない。(アンケート調査結果の前にそうしたメッセージを載せる) 金井委員 ・結果として、盲導犬は知られていることがわかったが、頭数は増えておらず、歩行訓練士からの紹介が少ないのではないかと感じている。歩行訓練士の回答数も少なく、補助犬に関心をもっと持ってほしい。 吉田委員 ・破線枠を移動させて空いた部分には、専門職がかかわったらこんないいことがあるよという内容を載せてはという意見に賛成である。インタビュー結果の中に「こんなことをもっと教えてほしかった」「このタイミングで言ってくれたらよかった」という内容も入っているので、こうした意見を使って、「専門職の方にこういうタイミングでこんな情報を提供してもらえると変わるかもしれません」「それぞれの専門職が関わることによって補助犬を使用することがスムーズになります」といったことが入ってもよいのでは。具体的に何をしたらよいかというところが弱いので、こうした文言を入れるべきか。 79ページ 橋爪委員 ・今回はマニュアルではないので、具体的なことを書くのは難しいかもしれないが、実際に専門職として何か提案をしたという事例があれば載せられればイメージがつくのではないか。 事務局 ・情報提供という意味ではよい事例はなかった。しかし、自分が通っている病院の専門職、訓練事業者にいる専門職、訓練士が連携して訓練を実施したというのは、身体の面を自分の通っている専門職がサポートし、犬の訓練の面を訓練事業者の方々がサポートするという連携ができている事例はあった。しかし、病院の専門職は訪問看護を行っていたので実現したこと。特殊な事例であった。 中野座長 ・事例という形で載せようとすると、ぴったりのものがないと思う。何がポイントで、どんな関わりがあるといいんじゃないかという書き方で載せられるといいか。 橋爪委員 ・身体を見ている専門職が関わっているのは重要。ただし、肢体不自由者だからそういう事例があったことであって、視覚障害者、聴覚障害者にあてはまらないか。表現が難しい。 中野座長 ・難しさはあるが、例えば視覚障害者の場合、歩行訓練士が盲導犬訓練施設に関心を持ったり、一緒に行ってくれることで変わると思う。また、ロールモデルとなりうるような人を紹介してもらえるだけでも、違いが出るかもしれない。そういうアンテナは張っておいてほしい。連携をするということはとても重要。 吉田委員 ・リハセンターの専門職が補助犬のことを知っていれば、連携できることもある。連携をどう図るかは考えればいい。まったくできないことではない。知っている人につなげるということが専門職の役割。知識があることのメリット。 中野座長 ・専門職が何を知っていればいいのかが整理されていて、次のページにスムーズにつながっていける。事例だけでなく整理できればつながる。 3)5ページ〜について 森戸委員 ・7ページ、「具体的に補助犬を希望するときには」の指定法人のリストにリハビリセンターも入っているが、リハビリセンターでは犬は訓練していない。つながっても、リハビリセンター以外に話を回すしかない。 事務局 ・これは、厚労省のホームページのリストを挙げているもの。リハセンターだけではなく、訓練事業者でも実際に動いているかわからない事業者が含まれている。精査できていない。頭数を出している事業者に絞るか。 80ページ 吉田委員 ・リストは毎年更新される。ここに今時点のリストを載せると来年使えなくなってしまう。厚生労働省のホームページのここにあるということだけ載せておけばよいのではないか。 金井委員 ・6ページの「全国盲導犬使用者の会」は「全日本盲導犬使用者の会」である。 ・7ページにまずは都道府県(政令市)に相談してからとあるが、盲導犬の場合、それは絶対ではない。聴導犬・介助犬もそうなのか。 橋爪委員 ・聴導犬・介助犬も絶対ではないが、自治体にニーズの存在を認識してほしい(→自治体の助成金の枠を確保していただきたい)ということがあるので、訓練事業者に問合せがあってもいったん自治体を通す場合もある。 金井委員 ・そうであれば、この表現でもよい。 佐藤委員 ・4ページで専門職へのアンケート結果として、補助犬の認知度、法の認知度、導入プロセスの認知度を出しているので、参考資料にある認定までのステップを前(p.5)にもっていくべきか。 金井委員 ・参考資料のステップの盲導犬の共同訓練の中に、入所型、訪問型とあるが、これは削除すべき。 橋爪委員 ・5ページに障害者差別解消法のことを入れていただきたい。補助犬同伴拒否は差別的取扱いとなることを入れていただきたい。 ・6ページの日本介助犬使用者の会のウェブサイトのURLはあとでお知らせする。 4)表紙のタイトルについて 森戸委員 ・「専門職」という言葉を自分事ととらえてもらうために、専門職とは何かを明記すべきか。医師も含めてみてほしいところである。 金井委員 ・3に患者さんという言葉が入っているが、歩行訓練士だと関係ないと思ってしまう。医師なども含めてみていただくとなると、4が伝わりやすいのではないか。 立石委員 ・4がいいと思う。キャッチーにしてはいけないのかもしれないが、「…選択肢があることをご存じですか?」などとしてはどうか。 中野座長 ・キャッチーでよいと思う。4を修正してキャッチーで若い専門職の方でも興味を持ってくれるような形で整理していただきたい。 3.今後の課題(資料3) 橋爪委員 ・課題、しっかり意識していきたい。3の医療専門学校とあるが、吉田委員も大学に所属されている。大学もいれていただければと思う。私自身も帝京平成大学のOT学科で毎年授業をさせていただいている。そういうところから広げていきたい。 81ページ 中野座長 ・歩行訓練士の場合でも、日本ライトハウスや国立障害者リハビリテーションセンターで養成をしているので、そうしたところにも広げていただきたい。 吉田委員 ・専門職の養成機関と書くと、すべてが含まれるのではないか。 中野座長 ・課題を整理していただいたので、今後も続いていくと捉えた。 4.その他 吉田委員 ・冒頭で、出来上がったリーフレットの配布について、専門職の委員に協力をしてほしいということであったが、各団体の可能な方法ということでよいか。公文書等が必要となるので、連絡する。 ・身体障害者補助犬学会にも何らかの形で報告させていただきたい。それについては、社会システムと相談すればよいか。各団体の学会誌にも掲載してもよいのではないか。 中野座長 ・各関係者に周知できるよう、事務局から委員の皆さまに周知の方法を連絡いただきたい。委員の皆さまにぜひ広報にご協力いただきたい。 5.事務連絡 〇ご意見に基づきリーフレット案を修正し、皆様に照会して最終案を整理する。 〇周知には委員の皆さまにご協力いただきたい。 〇これまでの調査や検討会の内容、リーフレット等を報告書として整理し、厚労省に報告する。提出後は弊社ホームページ、厚労省のホームページに掲載する。 〇その他ご意見あれば、メールにて事務局にいただきたい。 〇議事概要を作成して、皆様にご確認いただきたい。 82ページ 7.成果の公表計画 本調査研究の報告書と、普及ツール(専門職向けリーフレット)については、納品後、調査実施主体である社会システム(株)の公式サイトに掲載し、公表する。 なお、普及ツール(専門職向けリーフレット)は、検討会の専門職委員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士・歩行訓練士)の所属協会等を通じ、専門職に対する普及ツールの周知を行う。また、専門職を目指す学生の学びに役立てていただくことを想定し、上記の専門職の養成を行っている大学・専門学校等に対し、普及ツールの周知のためのダイレクトメールを配布した。 以上、報告書終わり。