労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委令和5年(不)第63号
多摩美術大学不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y法人(法人) 
命令年月日  令和8年5月12日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、①令和5年10月19日開催の第4回団体交渉(以下「本件第4回団体交渉」)において、法人側出席者が途中退席したこと、②法人が組合からの同月27日以降の各団体交渉申入れに対して応じていないことが不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事案である。
 東京都労働委員会は、上記②について労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると判断し、法人に対し、(ⅰ)誠実団交応諾、(ⅱ)文書交付及び掲示等を命じた。
 
命令主文  1 法人は、組合が令和5年10月27日付けで申し入れた議題と同内容の、団体交渉ルールについてなど9項目を議題とする団体交渉を申し入れたときは、組合がその言動や態度を反省し、今後改めることを担保する方法について提案することなどの団体交渉開催の条件を付すことなく、誠実に応じなければならない。
2 法人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を組合に交付するとともに、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、法人が運営する大学構内の教職員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
年 月 日
 X組合
  執行委員長 A1 殿
Y法人     
理事長 B
 当法人が、令和5年10月27日付けで貴組合から申入れのあった団体交渉ルールについてなど9項目を議題とする団体交渉につき、貴組合に対して反省、謝罪及び誓約を求め、これに対する貴組合からの回答を確認してから団体交渉の再開に応ずるか否かを法人が回答するなどとして応じなかったこと、その後の同内容の貴組合からの申入れに対しても、同様に回答して団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。

3 法人は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
4 その余の申立てを棄却する。
 
判断の要旨  1 本件の争点は、次のとおりである。
①本件第4回団体交渉において、法人側出席者が途中退席したことは、法人による正当な理由のない団体交渉拒否又は組合の運営に対する支配介入に該当するか否か(争点1)
②法人が、組合からの令和5年10月27日以降の各団体交渉申入れに対して応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否又は組合の運営に対する支配介入に当たるか否か(争点2)

2 争点1について
 本件第4回団体交渉において、教員補充に係る組合側の説明を最後まで聞いた上で、法人がそれに対する見解を述べようとしたところ、組合が、 「曲解」に基づく話をしないよう繰り返し述べ、再度双方がほぼ同時に言い合う喧噪状態となり、法人が、教員補充に係る見解を述べることができない状態となっていたのであるから、法人において、自らの見解を述べることができないのであれば、団体交渉を続けられないと考えたのも無理からぬところであり、このような状況下で、団体交渉の継続が困難であるとして退席したのは、やむを得ないことであったといわざるを得ない。
 したがって、本件第4回団体交渉において、法人側出席者が途中退席したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとまではいえないし、組合の運営に対する支配介入にも当たらない。

3 争点2について
 法人が組合に対し、本件第4回団体交渉における言動や態度を組合が反省し、今後改めることを担保する方法について提案することという団体交渉開催の条件を一方的に付し、組合がその条件を満たしていないことを理由に、組合の10月27日以降の各団体交渉申入れに一切応じていない法人の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
 そして、法人の上記対応により、組合は、法人との団体交渉を全く実施できない状態が長期間続き、団体交渉事項のーつである組合員A2に関する事項については、団体交渉を行うことができず、組合活動が阻害されているのであるから、法人の上記対応は、組合の運営に対する支配介入にも該当する。
 
掲載文献   

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