概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
東京都労委令和6年(不)第9号
サランウイングサービス不当労働行為審査事件 |
| 申立人 |
X組合(組合) |
| 被申立人 |
Y会社(会社) |
| 命令年月日 |
令和8年4月7日 |
| 命令区分 |
全部救済 |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
本件は、会社が、①組合員A1との間で、同業種の従業員の月額賃金の平均額との差額を支払うとの条項(以下「本件和解条項」)を含む和解協定書(以下「本件和解協定書」)が締結されているにも拘わらず、支払っていないこと、②本件和解協定書の履行を求める団体交渉申入れ(以下「本件団体交渉申入れ」)に応じなかったことが、労働組合法(以下「労組法」)第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事案である。
東京都労働委員会は、上記①について労組法第7条第1号及び第3号、上記②について労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、(ⅰ)バックペイ及び(ⅱ)文書交付等を命じた。
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| 命令主文 |
1 会社は、組合の組合員A1に対し、金894,307円を支払わなければならない。
2 会社破産管財人B1は、前項の金員につき配当手続を実施したとき、又は配当手続が実施されないことが確定したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
3 会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を組合に交付しなければならない。
記
年 月 日
X組合
執行委員長 A2 殿
Y会社
代表取締役 B2
当社が、貴組合との間で令和5年5月22日付けで締結した和解協定書の一部を履行しなかったこと及び6年1月29日付けの貴組合からの団体交渉申入れに応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
4 会社は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
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| 判断の要旨 |
1 本件の争点は、
①会社が、本件和解条項を組合と合意したにもかかわらず、A1に同業種の従業員の月額賃金の平均額との差額を支給していないことは、A1が組合の組合員であることを理由とした不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか
②会社が、本件団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否及び組合の運営に対する支配介入に当たるか
である。
2 本件申立てに係るA2委員長の代表権について
本件申立てが、労働組合の代表権を有しない者が当該労働組合を代表して救済申立てをした場合に当たるとは認められず、却下事由に該当するということはできない。
3 会社がA1に同業種の従業員の月額賃金の平均額との差額を支給していないことについて
本件和解条項の不履行は、団体交渉を経て組合と締結した労働協約に相当する本件和解協定書をないがしろにするものであり、結果として組合の運営に支障を与えたというほかないから、組合の運営に対する支配介入に当たる。
また、組合と締結した本件和解条項を履行しなければ、組合員であるA1に経済的不利益を与えることは明白であり、会社はそのことを認識しつつ正当な理由なく本件和解条項を履行しなかったのであるから、本件和解条項の不履行は、A1が組合員であることを理由にした不利益取扱いにも当たるといわざるを得ない。
4 会社が本件団体交渉申入れに応じなかったことについて
会社は、既に破産申立てを弁護士に相談しており、経営状態がひっ迫し、業務も混乱していたことから、団体交渉に応じられるような状況になく、会社が団体交渉に応じなかったことについては正当な理由があると主張する。
しかしながら、会社にそうした事情があったのであれば、その旨組合に事情を伝えるなどの方法も採り得たのであり、会社がこのような方法を何ら採ることなく本件団体交渉申入れに応じなかったことについて、これを正当化することは困難である。
したがって、本件団体交渉申入れに会社が応じなかったことは正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
そして、団体交渉が開催されなかったことで、組合は、本件和解協定書の履行について協議することができず、組合の運営に支障を与えたといわざるを得ないから、上記団体交渉拒否は組合の運営に対する支配介入にも当たる。
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| 掲載文献 |
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