労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委令和2年(不)第69号
愛生会不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2組合(「組合」、併せて「組合ら」) 
被申立人  Y法人(法人) 
命令年月日  令和8年4月7日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、①令和3年11月2日に予定されていた団体交渉を拒否し、以後、組合員の解雇に関する団体交渉に応じていないこと、②同年12月29日以降、組合に貸与していた組合事務所を使用できないようにしたことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事案である。
 東京都労働委員会は、①について労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、法人に対し、(ⅰ)誠実団交応諾及び(ⅱ)文書交付等を命じ、その余の申立てを棄却した。
 
命令主文  1 Y法人は、X2組合が、B2病院の閉院に伴う組合員の解雇に関し、団体交渉の開催を申し入れたときは、誠実に応じなければならない。
2 法人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書をX1組合及びX2組合に交付しなければならない。
年 月 日
X1組合
執行委員長 A1 殿
X2組合
執行委員長 A2 殿
Y法人       
代表理事 B1
 当法人が、令和3年11月2日に予定されていたX2組合との団体交渉を拒否し、以後組合員の解雇に関する団体交渉に応じていないことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
3 法人は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
4 その余の申立てを棄却する。
 
判断の要旨  1 本件の争点は次のとおりである。
(1) 法人が、 3年11月2日に予定されていた団体交渉を拒否し、以後、組合員の解雇に関する団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか(争点1)。
(2) 法人が、12月29日以降、組合に貸与していた組合事務所を使用できないようにしたことは、組合らの組織運営に対する支配介入に当たるか(争点2)。

2 争点1について
 団体交渉を継続する余地は残されており、法人は、文書で提出した、病棟を一部建て替えた場合のシミュレーション資料や、グループ内の別法人への出向の検討結果、出向を含む雇用継続を前提とした組合の要求を受け入れることはできない旨の回答について、団体交渉において、説明や協議を行う必要があったのであるから、法人が、令和3年11月2日に予定されていた団体交渉を拒否し、以後、組合員の解雇に関する団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

3 争点2について
(1) 病院は令和3年12月31日をもって閉院することとなり、法人は、希望退職者を募集して、順次職員の退職を図り、組合員10名を除く対象職員の全てが希望退職に応募し、希望退職に応じなかった組合員10名については12月31日付けの解雇を通知した。12月31日には、法人の職員は、病院内の残務処理を担当する職員を除き、退職又は解雇により法人を離職することとなっており、残務処理の担当職員も、令和4年1月には退職することとなっていた。
 そうすると、閉院により病院施設を管理する職員がいなくなるのであるから、法人が、12月31日の病院の閉院に先立ち、同月29日までに、組合事務所のあるホールを含む病院の敷地全体を柵で囲って閉鎖したことは、防犯や安全性の観点から必要な措置であったということができる。
(2) 組合らは、組合事務所のあるホールが、病棟施設とは別の建物であることから、敷地全体ではなく病棟施設のみを塀や柵で囲い、組合事務所貸与を継続することは可能であったと主張するが、病院の閉院後は、法人に施設管理を担う職員がいない以上、現実的な方策であるということはできず、組合らの上記主張は、採用することができない。
(3) 組合らは、新たな組合事務所の賃料の支出など、組合の被る不利益が多大であり、代替施設の提供等の不利益を軽減する措置もなかったことを主張するが、閉院により病院事業の収入も途絶えるのであるから、法人が便宜供与の終了に伴う代替措置等を提示しなかったのも無理からぬ面があり、法人が、組合事務所貸与の便宜供与を中止したことが合理性を欠くとまではいえない。
(4) 組合らは、法人が、病院の閉院の直前に組合事務所の明渡しを要求し、組合に対し、相当の期間をおいて、明渡しに係る説明や協議を行うような手続を踏んでおらず、支配介入意思が強く推認されると主張する。
 しかし、明渡しの要求における手続がやや拙速であったとしても、法人は、組合との書面のやり取りにおいて、組合事務所の貸与を継続できない理由を繰り返し説明し、明渡しの時期を延期する譲歩案も提案するなど、それなりに手続を尽くそうとしていたことがうかがわれる。そして、法人が、組合事務所貸与の便宜供与を取りやめ、病院の敷地全体を柵で囲って閉鎖したのは、やむを得ない措置であり、法人が、組合の弱体化や組合活動の妨害を企図して行ったものであるということはできない。
(5) 以上のとおりであるから、法人が、12月29日以降、組合に貸与していた組合事務所を使用できないようにしたことが、組合らの組織運営に対する支配介入に当たるということはできない。 
掲載文献   

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