労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委令和5年(不)第2号
JR東日本(支配介入)不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2地本(併せて「組合」) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和8年2月3日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、①組合員A1とB1駅長の面談(「本件駅長面談」)におけるB1駅長の言動(「本件駅長発言」)及び②組合員A2とB2副長の面談(「本件副長面談」)におけるB2副長の言動(「本件副長発言」)が不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事案である。
 東京都労働委員会は、①②ともに労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、文書交付及び掲示等を命じた。
 
命令主文  1 被申立人Y会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人X1組合及び同X2地本に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人の八王子支社及び同支社管内の各事業場の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
年 月 日
X1組合
中央執行委員長A3 殿
X2地本
執行委員長A4 殿
Y会社       
代表取締役B3
 ①令和4年4月19日に貴組合らの組合員A1氏と面談した際の当社のT駅長(当時)の発言及び②5年10月16日に同A2氏と面談した際の当社のT運転区副長(当時)の発言は、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 
2 被申立人は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
 
判断の要旨  1 本件の争点は次のとおりである。
(1) 本件駅長発言は、組合の組織運営に対する支配介入に当たるか否か、当たる場合、救済利益が存在するか否か(争点1)
(2) 本件副長発言は、組合の組織運営に対する支配介入に当たるか否か、当たる場合、救済利益が存在するか否か(争点2)

2 争点1について
(1) 本件駅長発言は、A1が、組合の分会長と相談し、退職の話を保留にしてほしい旨を述べたことを受けて、「人のプライベートなとこに土足で入ってくる」、「自分たちの主義主張だけ言って」、「会社にある意味反旗を翻すような労働運動をやってる人たち」などと組合の活動を批判し、「最終的には会社が責任持たなくちゃいけないんだよ、社員に対しては。」、「最終的に面倒をみるのは会社なんだよ。人事権持ってるのは組合じゃねんだよ、会社なんだよ。」などと述べて、頼りになるのは組合ではなく会社であることを力説し、「会社にさあ、文句ばっかり言う組織に入って、・・・どうやってお前60(歳)までこの会社で生きていくのかよ。」、「だから早まるなって。もう駄目か、取り返しつかねえか。」、「もう1回考え直せよお前。」などと述べて、A1が組合から脱退するよう、又は加入を思いとどまらせるよう働き掛けているものであるから、組合の運営に干渉し組合を弱体化させる行為であるといえる。

(2) また、本件駅長面談は、B1駅長の部下であるA1が、退職の申出の保留について話をするために、勤務時間中に駅長室を訪れて行われたものであり、B1駅長は、面談の中で、A1が組合に加入した(又は加入しようとしている)ことについて、会社の立場に立った発言をしているのであるから、本件駅長発言は、勤務時間中に職制が部下に対して行った使用者としての行為であるというべきであり、会社は、勤務時間中に駅長から部下に対してなされた本件駅長発言による責任を免れることはできない。
 したがって、本件駅長発言は、会社による組合の運営に対する支配介入に当たる。

(3) 本件駅長発言について、組合との関係で既に解決済みであるとか、集団的労使関係秩序が正常に回復されたとまで断ずることはできないので、本件申立てに救済の利益ないし必要性がないとする会社の主張は採用することができない。

3 争点2について
(1) 本件副長発言は、A2に対し、労働組合加入を確認した上で、「人間関係的に辞めれないのかな。」、「あと30年は余りにも長すぎると思う。」などと、労働組合に加入していることを否定的に述べ、A2が主任試験に受からないことについて、「もしかしたら、そこに原因があるのかもね。」と、労働組合の組合員であることが主任試験に受からない原因であることを示唆し、「試験に受からない要素の一つに組合に入っていることが考えられるようであれば、それを排除する意味で考えてみてね。」と、主任試験合格を動機付けとして労働組合から脱退するよう働き掛けているものであるから、組合の運営に干渉し、組合を弱体化させる行為であるといえる。

(2) 本件副長発言は、部下社員の人事に密接に関連した自己申告面談という場において、副長という職制上の地位に基づいてなされたものであるから、業務上において職制が部下に対して行った使用者としての行為であるというべきであり、職務とは離れた個人的な関係に基づいて発言したものとはいえない。
 会社は、自己申告面談の場で管理者から部下に対して行われた本件副長発言による責任を免れることはできない。
 したがって、本件副長発言は、会社による組合の運営に対する支配介入に当たる。

(3) 本件副長発言について、組合との関係で既に解決済みであるとか、集団的労使関係秩序が正常に回復されたとまで断ずることはできないので、本件申立てに救済の利益ないし必要性がないとする会社の主張は採用することができない。
 
掲載文献   

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