労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和6年(不)第50号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和8年3月23日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合員Aに対し、業務中の事故を理由として、自宅待機命令を発し、それを複数回繰り返し続けたこと、②組合員Aに対し、関係者と連絡を取ることを禁じていること、③団体交渉において、誠実交渉義務違反を繰り返したことがそれぞれ不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事案である。
 大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。
 
判断の要旨  1 本件の争点は次のとおりである。
⑴ 会社が、組合員Aに対し、「自宅待機命令書」により自宅待機を命じたことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。(争点1)
⑵ 会社が、組合員Aに対し、「自宅待機命令書」により会社の立ち入りや関係者と連絡を取ることを禁止したことは、組合に対する支配介入に当たるか。(争点2)
⑶ 令和6年9月18日の団体交渉における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点3)

2 争点1について
⑴ 会社が、組合員Aに対し、自宅待機中の賃金として支払ったのは、平均賃金の約6割であったのだから、組合員Aは本件自宅待機命令書により自宅待機を命じられたことにより経済的な不利益を被ったことは明らかである。
⑵ 会社は、組合からの団交申入れについては団交に応じるなどの対応をしており、組合と会社の労使関係は、団交により問題解決を図る通常の労使関係を超えて緊張した関係にあったとはいえない。
 また、組合員Aの運転の状況をみると、乗務中に時速120kmを超える速度で走行したことがあるなど、旅客自動車運送事業者である会社が、組合員Aについて継続して乗務させることを問題視するのは当然のことであった。
⑶ したがって、会社が、組合員Aについて、自宅待機を命じたことには合埋的な理由があったとみるのが相当であり、自宅待機命令書による自宅待機は、A組合員が組合員であるが故になされたものとは認められない。

3 争点2について
⑴ 使用者が、従業員に非違行為があるとして懲戒処分を決定するまで当該従業員に自宅待機を命じる場合においては、当該自宅待機命令に付随して、一定程度、当該従業員に対して行動の制限を課すことも許容されるというべきである。もっとも、自宅待機命令に付随して課せられる制限として不合理であると認められる場合には、支配介入に当たり得るので、以下、この点について検討する。
⑵ 会社への立入り禁止は、自宅待機命令に付随して課せられる当然の制限であり、また、従業員への接触禁止については、会社の業務に関する事項に限定して従業員と接触することを禁止しているにすぎないから、かかる制限が不合理な制限であるとはいえない。
 その他、自宅待機命令に付随して課される制限として不合理な制限を組合員Aに課したと認めるに足る事実の疎明はない。
⑶ 以上のとおりであるから、会社が、組合員Aに対し、本件自宅待機命令書により、会社の立ち入りや関係者と連絡を取ることを禁止したことは、組合に対する支配介入には当たらない。

4 争点3について
 組合は、令和6年9月18日の団体交渉における会社の対応が不誠実である旨主張するが、組合の見解とは異なる見解を会社が回答したからといって、組合の追及の程度に応じた回答があれば、会社の対応が不誠実団交に当たるとはいえず、会社が社員の損害賠償はしない旨回答したことのみをもって、不誠実団交には当たらない。また、会社の発言は、自宅待機命令についての組合からの質問に対し、組合の追及の程度に応じて会社の見解を説明したものとみるべきであって、団交権を無視する発言とはいえない。
 したがって、当該団体交渉における会社の対応は、不誠実団交には当たらない。
 
掲載文献   

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