労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和5年(不)第72号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和8年1月19日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、①会社が、65歳に達した組合員A1の雇用を6か月間継続した後、再雇用しなかったこと、②組合員A1の雇用継続に係る団体交渉における会社の対応、③組合員A2に対する評価の見直しやハラスメント等に係る団体交渉における会社の対応、④組合員A1の再雇用契約終了後、当該組合員が会社から貸与されていた業務用パソコンに保存していた組合活動資料ファイルの組合への引渡しに係る会社の対応、がそれぞれ不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。
 
命令主文   本件申立てを棄却する。
 
判断の要旨  1 本件の争点は次のとおりである。
 ①令和5年1月1日以降、会社がA1組合員の再雇用契約の更新を行わなかったこと(以下「本件取扱い」)は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。(争点1)
 ②4.12.21団交及び4.12.29団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点2)
 ③A2組合員に係る本件各団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点3)
 ④A1のPCに保存していた組合活動資料ファイルの組合への引渡しに係る会社の対応は、組合に対する支配介入に当たるか。(争点4)

2 争点1について
(1) まず、本件取扱いの不利益性についてみる。
 定年後再雇用規程において、再雇用契約社員の契約期間は65歳に達する月の末日までと定められていること、 本件再雇用契約には、 「契約の更新はしない。」と記載されていることが認められる。一方で、前提事実によれば、会社は、令和5年12月から過去3年の間に、事業運営上、高度の必要性があることを理由として、65歳を超えて7名を継続雇用したことが認められる。
 このことからすると、A1組合員が65歳を超えて継続雇用される可能性も存在していたといえ、A1組合員が自身の雇用契約の更新を期待することに理由がなかったとはいえないのであるから、本件取扱いが、身分上及び経済上の不利益性を有するというべきである。
(2) 次に、本件取扱いが組合員であることの故をもってなされた不利益取扱いといえるかについてみる。
 会社における65歳以降の継続雇用の取扱いについてみると、令和2年12月から本件申立てがなされた令和5年12月までの3年間において、会社が65歳以降の継続雇用をしたのは、55名中7名であることが認められる。
 そうすると、会社が、65歳以降の継続雇用を希望した組合員3名を継続雇用しなかったことは特別な取扱いではなく、特段、組合と非組合員との間で、65歳以降の継続雇用の取扱いに不均衡があったとまではいえない。
(3) したがって、会社がA1組合員の再雇用契約の更新を行わなかったことは、A1組合員が組合員であることの故をもって行われた不利益取扱いということはできない。

3 争点2について
⑴ 4.12.21団交及び4.12.29団交の交渉議題は、労働者の労働条件その他の待遇に関する事項であって、会社に処分可能なものであるから、義務的団交事項に当たるといえる。
⑵ 組合がこれらの団交において、具体的な資料の提示を要求したことは認められず、会社は、組合の追及の程度に応じて説明しているから、組合との合意達成の可能性を模索したといえる。したがって、4.12.21団交及び4.12.29団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるとはいえない。

4 争点3について
⑴ 本件各団交の交渉議題は、上司に対する慰謝料等の要求を除き、A2組合員に係る労働条件その他の待遇に関する事項であって、会社に処分可能なものであるから、義務的団交事項に当たるといえる。
⑵ 次に、会社が誠実交渉義務を果たしたかどうかについてみる。
 本件各団交において、会社は組合の追及の程度に応じて対応しているといえ、合意達成の可能性を模索しているといえるので、誠実交渉義務に反するとはいえない。

5 争点4について
 組合と会社との間で、外部媒体による引渡しについて合意できていたとみることはできないことに加え、担当部署の承認を要するのは当然であること、会社内の調整に時間がかかることはやむを得ないことから、A1組合員が会社から貸与されていた業務用パソコンに保存していた組合活動資料ファイルの組合への引渡しに係る会社の対応は、不当に組合の活動を阻害することを目的としたものとはいえないから、組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
 
掲載文献   

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