労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和6年(不)第56号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y法人(法人) 
命令年月日  令和8年1月8日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、大阪府労委から、組合員A1の懲戒処分に係る団体交渉申入れに応じるよう命じられているにもかかわらず、組合の申入れに応じなかったため、組合が、団体交渉応諾等を求める内容のビラ(本件ビラ)を配布したところ、法人が、組合に対し、組合がビラの配布を中止する旨の誓約書を提出しない限り、組合員A1のプライバシーに相当する事項を法人のホームページに掲載する旨の警告書(本件警告書)を送付したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 大阪府労働委員会は、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、(ⅰ)誓約書が提出されなかったものとしての取り扱い及び(ⅱ)文書交付を命じた。
 
命令主文  1 法人は、組合が令和6年11月29日に法人に対して提出した「誓約書」が提出されなかったものとして取り扱わなければならない。
2 法人は、組合に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。
年 月 日
  X組合
   支部長A2 様
Y法人     
理事長 B
 当法人が貴組合に対し、令和6年11月29日付け警告書を送った行為は、大阪府労委において、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
 
判断の要旨  ◯ 争点
 法人が、組合に対し、本件警告書を送付したことは、組合に対する支配介入に当たるか。

(1) 本件ビラの内容について
 本件ビラの内容を総じてみると、A1に対する懲戒解雇処分に係る団交応諾命令が交付されたにもかかわらず、法人が、組合の団交申入れに応じないため、かかる法人の対応を非難するとともに、団交に応じるよう一般の人に理解や支援を呼びかけるものということができる。
 本件ビラは、労働者の労働条件の維持改善という活動目的に沿って、組合の立場から見た評価、意見を表明したものであり、法人が問題であると主張する表現を考慮しても、労働組合の正当な組合活動の範囲内のものとみるのが相当である。

(2) 本件警告書の送付が支配介入に当たるかについて
 法人が組合に送付した本件警告書には、本件ビラに限らず、法人を対象とする一切のビラの配布を直ちに中止するよう警告する旨記載されていたことなどが認められるから、当然組合活動に影響があったといえる。
 また、法人は、組合がビラの配布を中止する旨の誓約書を提出しなければ、A1の犯罪経歴を含む個人情報を法人のホームページに掲載すると警告している。本件警告書は、個入情報に対する配慮も著しく欠くうえ、A1を畏怖させるに足りる害悪を告知するものであるといえる。さらに、法人は、組合員の犯罪経歴を含む個人情報を法人のホームページに掲載すると警告することで、組合を、本件警告書に従わざるを得ない状況に追い込んだといえ、本件警告書は、組合をも威嚇し、組合活動に影響を及ぼすものといえる。
 以上のことから、本件警告書は、その内容や方法及び組合に与える影響等を考慮すると、組合員及び組合に対し、威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすものということができる。

(3) 以上のとおりであるから、本件警告書の送付は、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
 
掲載文献   

[先頭に戻る]