概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和6年(不)第45号
不当労働行為審査事件 |
| 申立人 |
X組合(組合) |
| 被申立人 |
Y1会社(会社)、Y1会社Y2支店(「支店」。会社と併せて「会社ら」) |
| 命令年月日 |
令和7年10月31日 |
| 命令区分 |
却下、棄却 |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
本件は、組合からの計9回の団体交渉申入れに対し、会社らが、組合には会社の従業員がいない等として応じなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、支店に対する申立て及び会社に対する申立てのうち申立期間を徒過したものについて却下し、その余の申立てを棄却した。
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| 命令主文 |
1 Y2支店に対する申立てを却下する。
2 Y1会社に対する、組合の平成30年8月27日付け、同年10月15日付け、同年11月8日付け、令和元年5月30日付け、同年10月31日付け及び同2年3月26日付けの各団体交渉申入れに係る申立てを却下する。
3 Y1会社に対するその余の申立てを棄却する。
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| 判断の要旨 |
1 本件の争点は次のとおりである。
(1) Y2支店は、被申立人適格を有するか。(争点1)
(2) 平成30年8月27日付け団交要求書、同年10月15日付け団交要求書、同年11月8日付け団交要求書、令和元年5月30日付け団交要求書、同年10月31日付け団交要求書及び同2年3月26日付け団交要求書による団体交渉申入れに対する会社らの対応に係る申立ては、労働組合法第27条第2項の申立期間を徒過していないといえるか。
徒過していないといえる場合、会社らは、上記の団体交渉申入れについて、労働組合法上の使用者に当たるか。当たる場合、会社らの対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。(争点2-1)
(3) 会社らは、令和5年12月12日付け団交要求書、同6年2月14日付け団交要求書及び同年5月22日付け団交要求書による団体交渉申入れ(以下「本件団交申入れ」)について、労働組合法上の使用者に当たるか。当たる場合、会社らの対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。(争点2-2)
2 争点1について
不当労働行為救済命令の名宛人とされる使用者は、法律上独立した権利義務の帰属主体であることを要すると解するべきであるところ、Y2支店は、会社が設置していた支店のーつであり、会社を構成する組織の一部にすぎず、不当労働行為救済命令の名宛人たる法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできない。
したがって、本件申立てにおけるY2支店の被申立人適格は認められず、Y2支店に対する申立ては却下する。
3 争点2-1について
本件申立ては、令和6年10月16日になされているから、本件申立ての対象となる行為は、労働組合法第27条第2項の規定により同5年10月16日以降のものに限られ、同月15日以前の行為に係る申立ては、同項の申立期間の制限に反するものとして却下されることとなる。
この点につき、組合は、団交申入れを継続して行っていることをもって、継続する行為である旨主張する。
しかしながら、令和2年3月26日までの団交申入れに対する会社の対応と、同5年10月16日以降の団交申入れに対する会社の対応は、一連の行為として「継続する行為」に当たると認めることはできない。したがって、組合の主張は採用できない。
4 争点2-2について
本件団交申入れは、組合に会社の従業員がいなくなって相当長期間が経過した後にされたものである上、本件要求事項は、解雇の撤回や退職条件に関するものではないことは明らかであり、直接に組合員の労働条件等に関する事項ではない。さらに、会社に組合室がなくなってから6年8か月以上が経過している本件団交申入れ時点において、労使間で交渉によって解決すべき団体的労使関係の運営に関する事項に当たるとは到底いえない。よって、組合と会社との集団的労使関係はなお継続しているとは認められず、組合は、会社が団交に応ずべき労働組合には当たらない。
したがって、会社は、本件団交申入れについて、労働組合法上の使用者に当たらないのであるから、その余を判断するまでもなく、会社が組合の本件団交申入れに応じなかったことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当するとはいえず、また、組合に対する支配介入にも当たらない。
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| 掲載文献 |
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