概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和6年(不)第22号・第41号
不当労働行為審査事件 |
| 申立人 |
X組合(組合) |
| 被申立人 |
Y会社(会社) |
| 命令年月日 |
令和7年10月24日 |
| 命令区分 |
一部救済 |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
本件は、会社が、①組合員A2の自然退職の撤回等を求める団体交渉に応じなかったこと、②組合及び大阪府労委に対して、組合を誹謗中傷する文書を送付したこと、③組合の執行委員長A1及び組合員A2を刑事告訴したこと、がそれぞれ不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、②について労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対して文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。
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| 命令主文 |
1 会社は、組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X組合
執行委員長A1 様
Y会社
代表取締役B
当社が、貴組合及び大阪府労働委員会に対し、令和5年11月6日付け「犯罪の成立要件の概要」と題する書面、同日付け「欺罔行為」と題する書面、同年12月8日付け「質問状」、同月15日付け「質問状(Ⅱ)」及び同6年1月12日付け「質問状(Ⅲ)」を電子メールで送信したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
2 組合のその他の申立てを棄却する。
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| 判断の要旨 |
1 本件の争点は次のとおりである。
(1) 令和5年6月13日付け及び同年10月10日付け団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか。(争点1)
(2) 会社による次の行為は、組合に対する支配介入に当たるか。(争点2)
①大阪府労委のあっせんの際に、令和3年7月14日付け「意見書」、同月23日付け「意見書(Ⅱ)」及び同年9月7日付け「意見書(Ⅲ)」を大阪府労委に提出したこと。
②組合及び大阪府労委に対し、令和5年11月6日付け「犯罪の成立要件の概要」と題する書面、同日付け「欺罔行為」と題する書面、同年12月8日付け「質問状」、同月15日付け「質問状(Ⅱ)」及び令和6年1月12日付け「質問状(Ⅲ)」を電子メールで送信したこと。
(3) 令和6年1月から同年5月頃までのいずれかの時点において、会社が組合執行委員長A1及び組合員A2を刑事告訴したことは、組合に対する支配介入に当たるか。(争点3)
2 争点1について
(1) 5.6.13団交申入書による団交申入れに対する会社の対応について
5.6.13団交申入書による団交申入れについては、5.9.12あっせん案にその内容が含まれており、これを組合及び会社が受諾し、あっせんが成立しているのだから、5.6.13団交申入書に対する会社の対応が、不当労働行為に当たるとはいえない。
(2) 5.10.10要求書による団交申入れに対する会社の対応について
会社は、団交開催場所及び費用負担について組合の理解を得るよう努力し、団交日時については組合との調整に応じ、団交会場の手配も行い、また組合に他の場所の提案も求めておりホテルCに固執していたとも認められないのであるから、かかる会社の対応をみると、団交開催に向けた活動をしていたとみるべきである。そうすると、会社が団交開催に向けた活動を行っているといえる以上、5.10.10要求書による団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否とまではいえない。
3 争点2について
(1)大阪府労委のあっせんの際に、会社提出意見書3通を大阪府労委に提出したことについて
会社は、あっせんに際して、大阪府労委に対して、自己の見解を自由に表明することができるというべきである。
したがって、大阪府労委のあっせんの際に、会社提出意見書3通を大阪府労委に提出したことは、組合に対する支配介入には当たらず、この点に関する組合の申立ては棄却する。
(2)組合及び大阪府労委に対し、会社提出書面5通を電子メールで送信したことについて
上記の各書面は、組合活動である要求が、犯罪行為に当たるとの不穏な表現を用いて殊更に非難したものであり、組合活動を行うことについての不安を生じさせ、もって、組合活動への抑圧効果があるものであるといえる。
会社は、組合活動への抑圧効果がある書面を組合に送信しており、かかる会社の行為は、組合の組織、運営に影響を及ぼしたり、一般的に影響を及ぼしたりする可能性があるといえるのだから、組合に対する支配介入に当たる。
また、会社による大阪府労委への送付行為も、同様に組合に対する支配介入に当たる。
4 争点3について
会社が、刑事告訴することもまた、権利の行使として尊重されるべきものであり、労働委員会が公的判断をもってこれを制限することは慎重であるべきである。したがって、例えば、それが権利の濫用に当たるなど特段の事情がない限り、不当労働行為に該当しないというべきである。
本件において、権利の濫用に当たるなどの特段の事情があったと認めることはできず、会社が執行委員長A1及び組合員A2を刑事告訴したことは、組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
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| 掲載文献 |
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