労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和6年(不)第25号
労働行為審査事件  
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y1会社、Y2会社(会社ら) 
命令年月日  令和7年7月18日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、Y1会社及びY2会社(以下「会社ら」)が①春闘要求等を議題とする団体交渉において、根拠を示さずにゼロ回答を行ったこと、②団体交渉が平行線であったこと等を理由として、その後の団体交渉申入れに応じないことがそれぞれ不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 大阪府労働委員会は、②について労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社らに対し、(ⅰ)団体交渉応諾、(ⅱ)文書交付を命じ、その他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 会社らは、組合が令和6年5月1日付け、同月13日付け及び同月16日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。

2 Y1会社は、組合に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。
 年 月 日
  X組合
   執行委員長 A様
Y1会社      
代表取締役 B
 貴組合から令和6年5月1日付け、同月13日付け及び同月16日付けで申し入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 Y2会社は、組合に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。
 年 月 日
  X組合
   執行委員長 A様
Y2会社      
代表取締役 B
 貴組合から令和6年5月1日付け、同月13日付け及び同月16日付けで申し入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

4 組合のその他の申立てを棄却する。
 
 
判断の要旨  1 本件の争点は次のとおりである。
⑴ 令和6年3月21日の団体交渉における会社らの対応は、不誠実団交に当たるか。(争点1)
⑵ 令和6年5月1日付け、同月13日付け及び同月16日付け通知書による団体交渉申入れ(以下「本件団交申入れ」という。)に対する会社らの対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか。(争点2)
2 争点1について
⑴ 令和6年度春闘要求書による要求事項は、賃金引上げや一時金及び夏季・冬季手当等14項目他であったことが認められ、労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項を含み、使用者に処分可能なものであるから、義務的団交事項に当たるといえる。
⑵ 令和6年3月21日の団体交渉(「6.3.21団交」)における組合と会社らのやりとりの内容を見ると、会社らは、賃上げについて、資料を示さずゼロ回答を行ったことが認められる。
 しかしながら、団交議事録や団交メモなどの証拠は提出されておらず、具体的にどのような協議がなされたかについての疎明はない。また、組合が主張するようなやりとりが行われたとみることはできず、組合の主張は採用できない。
⑶ 以上のことから、6.3.21団交における会社らの対応は不誠実団交に当たると認めることはできない。
3 争点2について
⑴ 本件団交申入れの要求事項は、令和6年度春闘要求書を含むことから、義務的団交事項に該当する。
⑵ 本件団交申入れに対し、Y1会社は団交を打ち切る旨を回答し、本件申立てまでの間に団交が開催されていないことについて、当事者間に争いはない。
⑶ また、6.3.21団交において会社らがゼロ回答を行ったことは認められるものの、当日の協議が平行線であったことを認めるに足る事実の疎明はないことなどから、会社が団交に応じなかったことにつき、正当な理由はない。
⑷ 以上のとおりであるから、本件団交申入れに対する会社らの対応は、正当な理由のない団交拒否に当たり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

[先頭に戻る]