概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和6年(不)第6号
不当労働行為審査事件 |
| 申立人 |
X組合(組合) |
| 被申立人 |
Y会社(会社) |
| 命令年月日 |
令和7年5月12日 |
| 命令区分 |
一部救済 |
| 重要度 |
|
| 事件概要 |
本件は、①会社が、営業所の閉鎖を理由に、組合員らを解雇する旨通知したこと、②組合が、当該解雇の撤回について団体交渉を申し入れたところ、会社がこれに応じないことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、②について労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し(ⅰ)団交応諾、(ⅱ)文書交付を命じ、その他の申立てを棄却した。 |
| 命令主文 |
1 会社は、令和6年1月14日に開催する予定であった団体交渉及び組合が同月15日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 会社は、組合に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。
記
年 月 日
X組合
執行委員長 A様
Y会社
代表取締役 B
当社が、貴組合と令和6年1月14日に開催する予定であった団体交渉及び貴組合から同月15日付け申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
3 組合のその他の申立てを棄却する。
|
| 判断の要旨 |
1 本件の争点は次のとおりである。
① 会社が、組合員ら6名を令和6年1月29日付け解雇する旨通知したことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。(争点1)
② 令和6年1月14日に開催する予定であった団体交渉に係る会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるともに、組合に対する支配介入に当たるか。(争点2)
③ 令和6年1月15日付け団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるともに、組合に対する支配介入に当たるか。(争点3)
2 争点1について
本件解雇通知当時、会社が組合に対して大阪営業所の廃止について十分な説明をしていないことに問題はあるものの、大阪営業所の廃止についてはやむを得ないものであったといえ、これに伴う本件解雇通知は、組合員を排除するためになされたものとも、組合の弱体化を図ったものともいえず、組合員に対する不利益取扱いには当たらず、組合に対する支配介入にも当たらない。
3 争点2について
令和6年1月14日団交の要求事項は、組合員らの賃金等であり、義務的団交事項に該当する。
組合は、会社に対し、令和6年1月15日付け及び同月22日付けで団交申入書を送付し、団交の開催を求めているが、会社は何ら回答しておらず、ほかに団交に応じなかったことについて正当な理由があったとは認められない。
したがって、令和6年1月14日に開催する予定であった団体交渉に係る会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たる。
かかる行為は、組合を軽視し、組合に対する信用を失墜させるものといえ、組合に対する支配介入にも当たる。
4 争点3について
令和6年1月15日付け団交申入書は、議題として本件解雇通知の撤回、未払賃金の支払等が挙げられており、これらは義務的団交事項に該当する。
会社は、組合に電話をかけて連絡をしていたが、組合に連絡がとれないことが続いたのであり、団交を拒否していない旨主張する。
しかしながら、電話で連絡をとれなかったとしても、書面の送付や組合員を通じて組合に連絡するなど連絡手段は他にもあるのであるから、電話で連絡をとれなかったことが団交を開催しなかったことの正当理由とはなりえない。そのほか正当事由に当たると認めるに足る疎明はない。
したがって、令和6年1月15日付け団交申入書に対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たる。
かかる行為は、組合を軽視し、組合に対する信用を失墜させるものといえ、組合に対する支配介入にも当たる。 |
| 掲載文献 |
|