労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和6年(不再)第14号
大阪府(令和4年度任用等)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  大阪府(「府」) 
命令年月日  令和7年7月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、組合(地方公務員法(「地公法」)が適用される一般職の地方公務員(「地公法適用者」)と労働組合法(「労組法」)が適用される労働者(「労組法適用者」)の双方を構成員とする、いわゆる「混合組合」である。)が、府の公立学校の常勤講師及び非常勤講師等である組合員について雇止めの撤回及び雇用継続を行うこと等を求める団体交渉の申入れをしたところ、府が、団体交渉において、これら組合員に対する要求事項は管理運営事項に該当するため回答できないとしたこと等が労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、救済申立て(「本件救済申立て」)があった事案である。

2 初審大阪府労働委員会は、本件において組合の申立人適格を認めることはできないとして、本件救済申立てを却下した(「初審決定」)ところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。
 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨   組合は、本件救済申立ての申立人適格を有するか(争点)

(1) 混合組合は、労組法適用者に関する事項については不当労働行為救済命令の申立人適格を有するが、地公法適用者に関する事項については申立人適格を有しないと解するのが相当である。
 令和4年2月14日付けの団体交渉の申入れ(「本件団交申入れ」)は、府の公立学校に勤務する常勤講師等の臨時的任用職員(「本件臨時的任用職員」)、府の公立学校に勤務する非常勤講師と外国語指導員の会計年度任用職員(「本件会計年度任用職員」)及び府の特別支援学校に勤務していた特別非常勤講師(看護師)(「本件看護師組合員」)についてのものであった。

(2) 常勤講師等の臨時的任用職員は、令和2年4月1日に施行された地公法の改正(「本件地公法改正」)の前後を通じて、一般職の地方公務員である。また、非常勤講師と外国語指導員は、本件地公法改正前は、特別職の地方公務員として任用されていたところ、本件地公法改正後においては、一般職の地方公務員である会計年度任用職員として任用されることとなった。
 そうすると、本件臨時的任用職員及び本件会計年度任用職員は、本件団交申入れ時において、いずれも一般職の地方公務員であるから、これらの者については、地公法第4条第1項の規定により、地公法が適用され、同法第58条第1項の規定により、府との関係においては労組法の規定は適用されないこととなる。
 したがって、本件救済申立てのうち、本件臨時的任用職員及び本件会計年度任用職員に係るものに関して、組合は申立人適格を有するとは認められない。

(3) 本件看護師組合員は、府の特別支援学校の特別非常勤講師(看護師)として任用されていたが、平成29年4月1日以降は、府に任用されていない。
 特別非常勤講師(看護師)は、本件地公法改正前は特別職の地方公務員として任用されていたところ、本件地公法改正に伴い、令和2年4月1日以降、一般職の地方公務員である会計年度任用職員として任用されることとなった。そうすると、組合が、令和4年2月14日に行った本件団交申入れにおいて、府に対し、本件看護師組合員の雇止めを撤回し、特別非常勤講師(看護師)としての雇用の継続を求めるということは、一般職の地方公務員である会計年度任用職員としての任用の継続を求めることを意味するが、このような本件団交申入れ及びこれに関する本件団交は、地公法適用者に関する事項である。
 したがって、本件救済申立てのうち、本件看護師組合員に係るものに関して、組合は申立人適格を有するとは認められない。

(4) 以上のとおり、組合が本件救済申立ての申立人適格を有すると認められないことは明らかであるから、本件救済申立てを却下した初審決定は相当であって、本件再審査申立てには理由がない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委令和4年(不)第43号 却下 令和6年3月25日