概要情報
事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和6年(不)第21号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1組合(組合)
X2 |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和7年7月25日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、個人X2が組合に加入し、組合活動をしていたところ、会社が、①同人を雇い止めにしたこと、②雇止めを議題とする団交において、合理的理由等を説明せず、復職には一切応じないとの意見の繰り返しに終始したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、①について労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し(ⅰ)雇用契約が1年間継続していたものとしての取り扱い、(ⅱ)バックペイ、(ⅲ)文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 会社は、申立人X2の雇用契約が令和6年1月30日から令和7年1月29日まで継続していたものとして取り扱い、同人に対し、この間の賃金相当額を支払わなければならない。
2 会社は、申立人X1組合及び同X2に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X1組合
執行委員長 A1様
X2様
Y会社
代表取締役 B
当社が、貴組合員X2氏を令和6年1月29日付けで雇止めとしたことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
3 申立人らのその他の申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 本件の争点は次のとおりである。
① 会社が、令和6年1月29日付けでX2を雇止め(以下「本件雇止め」)としたことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。(争点1)
② X2の雇止めを議題とする令和6年1月28日の団体交渉(以下「本件団交」)における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点2)
2 争点1について
⑴ 会社とX2との間の労働契約は、令和6年1月29日以降も更新される可能性があったのであるから、本件雇止めは不利益な取扱いに当たる。
⑵ 会社は、本件雇止め通知をした時点では、X2が組合員であることを認識していたということができる。
会社は、X2個人との間で労使紛争を抱えていたところ、組合が介入することにより紛争が拡大して新たな負担を強いられたものと認識して、それ以上の負担の増加を回避すべく、X2の雇止めを決定したとみるのが相当であり、本件雇止めは、不当労働行為意思に基づいてなされたものというべきである。
⑶ 以上のとおりであるから、X2を雇止めしたことは組合員であるが故の不利益取扱いに当たり、それはまた、従業員の組合加入を抑止する効果を持つものであるから、組合に対する支配介入にも当たる。
3 争点2について
⑴ 会社は、雇止め理由についての組合の質問に対し、一旦は回答を拒否したものの、その後、組合からの改めての説明要求に対して、契約更新という組合要求に応じられないことを具体的理由を挙げて説明しており、誠実性を欠くとはいえず、不誠実団交に当たるとはいえない。
⑵ 組合からのソフトランディングの提案に対しては、金銭的解決という新たな提案をしており、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索するものと言えるのであって、不誠実団交に当たるとはいえない。
⑶ 以上のとおり、X2の雇止めを議題とする本件団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるとはいえない。 |
掲載文献 |
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