概要情報
事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和6年(不)第27号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和7年6月6日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①組合からの団体交渉申入れに応じなかったこと、②会社主催の忘年会に組合員2名を案内しなかったことがそれぞれ不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、①について労働組合法第7条第2号に、②について同条第1号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、(ⅰ)団体交渉応諾、(ⅱ)文書手交を命じた。
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命令主文 |
1 会社は、組合からの令和6年4月23日付け、同年5月13日付け及び同月24日付けの団体交渉申入れに応じなければならない。
2 会社は、組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記 年 月 日
X組合
執行委員長 A様
Y会社
代表取締役 B
当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
記
(1) 貴組合からの令和6年4月23日付け、同年5月13日付け及び同月24日付けの団体交渉申入れに応じなかったこと。(2号該当)
(2) 令和5年12月2日に開催された忘年会に、貴組合の組合員2名を案内しなかったこと。(1号該当)
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判断の要旨 |
1 令和6年4月23日付け、同年5月13日付け及び同月24日付けの団体交渉申入れ(以下「本件各団交申入れ」)に対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるか(争点1)
(1) 本件各団交申入れにおける要求事項は、組合員の労働条件に関するもの及び団体的労使関係の運営に関する事項に関する交渉を求めるものであり、義務的団交事項である。
(2) 会社の主張する団交拒否の理由は、裁判所で自宅待機の効力や自宅待機期間中の取り扱いが確定してから交渉するというものであるが、団交の開催要求に応じ、組合に対して現段階での会社の考え方や方針を説明することは可能であり、会社の主張は採用できない。また、中労委において再審査係属中であることを理由に団交に応じないことが、団交拒否の正当な理由となり得ないことは言うまでもない。
(3) 以上のとおりであるから、会社は、本件各団交申入れに正当な理由なく応じなかったと判断され、かかる行為は、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。
2 会社が、令和5年12月2日に開催された忘年会に、組合員2名を案内しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。(争点2)
(1)まず、本件組合員2名が忘年会に案内されなかったことで、不利益を被ったと言えるかについてみる。
本件組合員2名は、会社の従業員全員の参加が予定され、参加者がサービスを享受できる催しから自分達だけが排除されたことになり、不利益があったといえる。
(2)次に、会社が本件組合員2名を忘年会に案内しなかったことが、組合員故になされたかについてみる。
会社は、本件組合員2名を忘年会に案内しなかった理由として、自宅待機中であったからと主張する。しかし、本件自宅待機命令は、本件組合員2名が脱退勧告を拒否したことを受けて本件脱退勧告と同日に行われたものであるところ、本件自宅待機命令も労組法7条に違反する行為といえる。本件自宅待機命令が違法である以上、本件自宅待機命令をもって本件組合員2名を忘年会に案内しなかったことを正当な理由とすることは許されない。
以上のことからすると、会社が本件組合員2名を忘年会に案内しなかったのは、反組合的意思に基づくものであると認められる。
(3)以上のことから、会社が忘年会に本件組合員2名を案内しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たり、労組法7条1号に該当する不当労働行為である。
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掲載文献 |
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