労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委令和5年(不)第70号
ウィンスター不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和6年12月3日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、組合員A2及びA3に係る未払賃金の支払を要求事項とする団体交渉に応じなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 東京都労働委員会は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、(ⅰ)団体交渉応諾、(ⅱ)文書交付等を命じた。 
命令主文  1 会社は、組合が令和5年11月6日付けで申し入れた組合員A2及び同A3の未払賃金に関する団体交渉に速やかに応じなければならない。

2 会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を組合に交付しなければならない。
 年 月 日
X組合
執行委員長 A1殿
Y会社       
代表取締役 B
 当社が、令和5年11月6日付けで貴組合が申し入れた組合員A2氏及び同A3氏の未払賃金に関する団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。

3 会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨   組合は、会社に対し、会社が雇用する労働者であった組合員2名の未払賃金の支払について団体交渉を申し入れたものであり、組合の申入れ内容は義務的団体交渉事項に該当することから、会社は、これに応ずべき立場にあったといえる。
 しかし、会社は、組合の令和5年11月6日付けの団体交渉申入書の受領後、組合の問合せに対し、会社の従業員が「代表取締役に電子メール連絡をしているが返信がない」旨の報告を行ったのみで、組合の団体交渉申入れに対する回答については何ら行っていない。
 また、組合は、同年11月17日に「警告」と題する書面を送付するとともに、本件申立て以降の同年12月1日にも団体交渉拒否への抗議を内容とする電子メールを送信しているが、会社は、組合に対して何ら回答を行わず、団体交渉に応じていない。
 さらに、本件審査手続においても、当委員会は、会社に対し、本件不当労働行為救済申立書等を郵送するとともに、次回期日決定の都度、審査手続に関する書面をファクシミリで送信し、ファクシミリにより送信した各書面は、送信の完了により会社に到達したものとみられるが、会社は、本件に関する主張書面や証拠を提出せず、期日にも出席しないなど、何ら主張及び立証を行わなかった。
 上記経緯のとおり、会社は、組合からの団体交渉申入れに一切応じておらず、その理由について、本件審査手続において、何ら主張及び立証を行っていないのであるから、会社が、令和5年11月6日付けで組合が申し入れた組合員2名の未払賃金に関する団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。 

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