概要情報
事件番号・通称事件名 |
東京都労委令和4年(不)第39号
東京都公園協会不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y法人(法人) |
命令年月日 |
令和6年3月5日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、法人が、臨時職員として就労していた組合員Aの雇用を継続しなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
東京都労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合は、法人が、令和4年4月1日以降、組合員Aの雇用を継続しなかったことは、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に該当する旨を主張するので、以下検討する。
2 組合は、Aが68歳以降の雇用延長について合理的期待を有していたと主張し、その根拠として、公共職業安定所における法人の求人票に「定年制なし」と記載されていたことや、令和3年9月27日付けの雇用契約書において、契約更新について「更新する場合がある」と記載されていたことを挙げるようである。
しかし、一方で、①上記求人票には、求人の対象である「パート労働者」の「雇用期間」としては「雇用期間の定めあり(2か月)、契約更新の可能性あり(条件あり)」と記載されていたことに加え、②Aと法人とは、平成30年4月15日付けで有期雇用契約を締結した後、複数回にわたり雇用契約の更新を行っていたところ、同日付けの雇用契約書にも、令和3年9月27日付けの契約書にも、契約期間について期間の定めがあり、雇用契約の更新や雇止めについては、臨時職員就業規則による旨が明記されており、③組合及びAと法人とが令和元年12月1日に締結した合意書にも、雇用契約の更新は同就業規則にのっとり実施する旨が記載されていた。
また、④臨時職員就業規則では、臨時職員の雇用延長の条件は雇用期間初日が属する年度の年度末において68歳以下であることが明記されていることに加え、⑤法人は、Aに対し、令和3年3月下旬、同人が68歳に達する令和4年3月末日をもって雇用契約を終了する旨の雇止め通知を行い、同年3月1日にも改めて雇止め通知を行っている。
さらに、⑥法人における実際の運用においても、これまで、定年者が発生したときには採用活動を行い、その結果欠員を補充することができない場合に、例外的に68歳以降の雇用延長を行っていたが、人員を確保できた場合には雇用延長をしていない。
以上から、法人は、定年者が発生したときには、欠員を補充する人員を確保できたか否かにより、雇用延長を行うかどうかを決定する対応をしていたことがうかがわれる。
3 令和3年度末における法人では、Aを含む3名の臨時職員が68歳に達していることから、法人が採用活動を行った結果、欠員を補充する見込みが立ったため、法人は、Aを含む3名のいずれの者にも68歳以降の雇用延長の打診を行わず、雇用を継続しなかった。
これは、従前の定年者が発生したときの対応と同様であって、格別不自然な点は認められず、Aが組合員であることを理由とする不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
なお、組合は、法人がAの雇用を継続しなかったことは、法人内におけるハラスメント問題や新型コロナウイルス感染症関連の休業手当問題に関する団体交渉等のAの組合活動を嫌悪し、A及び組合を法人から排除するために行ったものである旨主張する。しかし、法人は、人員が確保されたことを理由に非組合員を含む定年者全員を雇用延長しなかったものであり、組合及びAの活動を嫌悪するが故にAの雇用を継続しなかったと認めるに足りる事情は特にうかがわれないから、組合の主張は採用できない。 |