概要情報
事件番号・通称事件名 |
神奈川県労委令和4年(不)第24号
岩城ステーブル不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和6年2月16日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合が組合員A2の労災問題等を交渉事項とする団体交渉を申し入れたところ、会社が正当な理由なくこれを拒否したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
神奈川県労働委員会は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、文書交付を命じた。 |
命令主文 |
会社は、本命令受領後、速やかに下記の文書を組合に交付しなければならない。
記 当社が、貴組合から令和4年11月4日付けで申し入れのあった団体交渉に出席しなかったことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
令和 年 月 日
X組合
執行委員長 A1殿
Y会社
代表取締役 B
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判断の要旨 |
○争点
会社が、令和4年11月4日付けで組合の申し入れたA2の労災問題等を交渉事項とする団体交渉に出席しなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(1)令和4年11月4日頃、組合は、会社に対して、レターパックライトにより団体交渉要求書(以下「4.11.4団体交渉要求書」)を送付している。そして、会社は、令和5年5月18日の団体交渉において、同要求書について、心当たりのない送付元から書面が届いたため、開封しなかったと述べており、同要求書が会社へ到達していたことは認めている。
(2)会社は、4.11.4団体交渉要求書は心当たりのない送付元から普通郵便で送付された書類であり、他の郵便物等に埋もれてしまったため、同要求書の内容を確認することができなかったにすぎず、正当な理由なく団体交渉を拒否したものではないと主張する。
郵便法第70条第3項によれば、郵便物は差し出された日から土曜日、日曜日、祝日等を除いて原則4日以内に送付されるものとされていることから、4.11.4団体交渉要求書は、組合が団体交渉開催日として指定した令和4年12月2日より3週間前の同年11月8日頃には、会社に到達していた。
このように、4.11.4団体交渉要求書が会社に到達してから指定された団体交渉の日までに3週間の期間があったことを踏まえると、会社には、同要求書を確認し、組合に対して、対応を取るための期間は十分にあったのであるから、会社の主張は到底採用できず、団体交渉に出席しなかったことに正当な理由があったと認めることはできない。
(3)以上のことから、会社が、令和4年11月4日付けで組合の申し入れたA2の労災問題等を交渉事項とする団体交渉に出席しなかったことは、労働組合法第7条第2号に該当する正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。 |