概要情報
事件番号・通称事件名 |
広島県労委令和5年(不)第1号 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和5年2月24日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①団体交渉において組合が求めた、会社の解散を決定するに至った経緯の説明や決算資料の提示等を拒否したこと、②その後、清算結了を理由に組合との団体交渉を拒否したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
広島県労働委員会は、会社の法人格は消滅し、実態的にも存在していると認めることはできないから、組合の請求する救済内容を法令上又は事実上実現することが不可能であることが明らかであるとして、申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
組合は、清算結了登記は,設立登記と異なり,創設的効力を持つものではなく,清算事務が終了していない場合には法人格は消滅ぜず、そのため,会社には団体交渉に応じる義務がある旨主張する。
しかしながら、本件申立ては令和5年1月5日になされたところ、会社は、本件申立て前の令和4年10月28日に清算を結了し、同日付けで清算結了登記がなされており、当該登記申請には決算報告が株主総会の承認を得たことを証する書面として株主総会の議事録の添付が義務づけられている(商業登記法第75条、第46条第2項)ことからすると清算は結了しているものと解され、これに反する証拠はない。また、当委員会が令和5年1月 16 日に行った会社の肩書地での調査において会社の所在の事実を確認することができなかったことや、当委員会が会社宛てに発送した郵便物が同月19日に返戻されたことからすると、前記調査時点において会社が実態的に存在していたと認めるに足りる証拠はない。
そうすると、会社について法人格は消滅しており、実態的にも存在しているとは認めることはできないから、組合の請求する救済内容を法令上又は事実上実現することが不可能であることが明らかである。
したがって、本件申立ては却下を免れない。 |
掲載文献 |
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