概要情報
事件番号・通称事件名 |
埼玉県労委令和3年(不)第2号
ジェコー不当労働行為審査事件 |
申立人 |
個人X |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和4年10月20日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社従業員によるパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントを議題とした団体交渉における会社の対応が不当労働行為に当たる、として個人Xから救済申立てがなされた事案である。
埼玉県労働委員会は、申立期間を徒過しているとして申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
争いのない事実によれば、会社従業員によるXへのパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント(以下「パワハラ・セクハラ」)(平成31年4月3日)の件を議題とする団体交渉は、令和元年5月22日から令和2年2月13 日までに5回行われ、この間、会社は組合に対して、第1回及び第2回団体交渉における会社の説明内容について、令和元年7月15日付け文書を発出した。また、会社は組合に対し、令和2年5月21日付け文書により、Xへのパワハラ・セクハラに関し、平成31年4月3日の経緯について回答した。
労組法第27条第2項は、救済申立期間を行為の日から1年としており、これは、行為の時点から長期間経過することにより、証拠収集や事実認定が困難となり、救済命令を出したとしても実益がないか、又はかえって労使関係の安定を阻害するおそれもあるとして定められた客観的な期間というべきである。
本件救済申立てに係る会社の行為としては、令和2年5月21日付けで文書を発出したことが最後であり、本件救済申立ては令和3年8月20日になされているから、本件救済申立てが会社の行為の日から1年を超えてなされているのは明らかである。
なお、申立人Xは、当該団体交渉における会社側の発言及び会社発出の組合宛て文書が、今もなお、Xを精神的に虐待し続けており、団体交渉の議題として提示する限り「継続する」不当労働行為である旨を主張するが、令和2年5月21日以降において、「継続する行為」として認められる会社の行為は確認できず、組合が同様の議題について団体交渉を申し入れ続けていることのみをもっては、「継続する行為」として申立期間が未だ経過してないという申立人Xの主張を採用することはできない。
したがって、本件の労組法第7条第1号及び第3号に係る救済申立ては、申立期間を徒過しており、適法になされたものとは認められない。 |