概要情報
事件番号・通称事件名 |
神奈川県労委令和3年(不)23号
日研トータルソーシング不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和4年10月28日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、その雇用する派遣労働者Cが派遣先D会社において起こした組合員A(E会社からD会社に派遣されていた)に対する傷害事件に関する損害賠償を主な交渉議題とした団体交渉において、会社には労働組合法上の使用者性がなく、組合の行為は非弁行為の疑いがある旨主張したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
神奈川県労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
○会社は、Aとの関係において労組法第7条第3号の「使用者」に当たるか否か(争点1)
○会社が労組法第7条第3号の「使用者」に当たる場合、会社が令和3年6月29日の団体交渉の場において、同社には使用者性がなく組合の行為は非弁行為の疑いがある旨主張したことは、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為に当たるか否か(争点2)
〔注〕会社及びE会社は、いずれも労働者派遣事業を営む会社である。
1 組合員Aは、E会社に雇用され、同社からD会社に派遣され、S工場で就労していたのであり、Aと会社の間には契約関係はないことから、会社は、Aの労働契約上の雇用主には当たらない。
会社、D会社及びE会社の契約関係をみると、D会社がE会社及び会社から派遣された労働者に対して指揮命令をすることが定められており、会社がAを含むE会社の労働者に対して指揮命令することができるとは定められていない。また、S工場におけるAの配置や作業内容及び作業環境を決定していたのはD会社であり、同社の指揮命令に会社が関わっていたことを示す事実は証拠上認められない。
したがって、会社は、D会社に労働者を派遣するにとどまり、これを超えてAの基本的な労働条件について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるとはいえないから、組合の主張は採用できず、労組法第7条第3号の「使用者」に当たらない。
2 よって、会社が労組法第7条第3号の「使用者」であることを前提とした争点2については、これを判断するまでもなく組合の主張は認められない。 |