概要情報
事件番号・通称事件名 |
東京都労委令和4年(不)第26号
SOMPOケア不当労働行為審査事件 |
申立人 |
個人X |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和5年3月7日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、①会社が、申立外C組合の組合員であるXの解雇問題等を協議事項とするC組合との団体交渉において、交渉権限のない弁護士による交渉を行ったこと、②出席した弁護士が会社からの委任状を提示しなかったこと、③その後、当該弁護士がXの代理人弁護士に対し、団体交渉で会社とC組合が後日開催することで合意していた事務折衝に応じない旨連絡したことなどが不当労働行為に当たる、として個人Xから救済申立てがなされた事案である。
なお、上記団体交渉の後、C組合とXとは事務折衝へのXの出席を巡って対立する状態となり、C組合はXに対し、事務折衝及びその後の交渉については一切関与しないので、貴殿の責任において行うよう求める旨などを通知している。
東京都労働委員会は、X個人によりなされた本件申立ては、申立適格を欠く不適法なものであるとして、申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
1 労組法は、第7条第2号において、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことを不当労働行為として禁じ、不当労働行為救済制度をもって、団体交渉権の保護を図っている。
そして、労働者が団結し、その代表者を通じて組合員の労働条件等を交渉し、労使の合意達成と労働協約の締結を目指す団体交渉の性質からすれば、団体交渉の主体となる当事者は労働組合である。
労組法第7条第2号に当たる不当労働行為については、このように団体交渉権がその性質上は集団的に行使され、団体交渉の主体は労働組合であること、そして団体交渉の機会の喪失という労働組合が受けた被害についての救済がなされるべきことからすれば、不当労働行為救済制度により救済を求めることができる者は、労働組合に限られるというべきである。
2 この点、Xは、所属する組合から団体交渉における交渉権限の委任を受けているとして、本件の申立適格を有することを主張するようである。
しかし、たとえXが組合から団体交渉における交渉権限を付与されていたと評価できたとしても、そのことは、いわゆる交渉担当者として会社と交渉する権限が与えられたにとどまるものであり、労組法第7条第2号の使用者の行為に係る不当労働行為救済申立てを行う権限が同人に承継されたと解することは困難である。
よって、Xの主張は採用できない。
3 以上を踏まえると、X個人によりなされた本件不当労働行為救済申立ては、申立適格を欠く不適法なものであり却下を免れない。
よって、その余の争点については判断を要しない。
4 以上の次第であるから、本件申立ては、労働委員会規則第33条第1項第5号の「申立人の主張する事実が不当労働行為に該当しないことが明らかなとき」に該当するので、主文のとおり決定する。 |
掲載文献 |
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