労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委平成31年(不)第27号
交通機械サービス不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和3年2月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、組合員Aを定年退職後に嘱託社員として継続雇用しなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 東京都労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社のC事業所における嘱託社員の推移を見てみると、平成24年から29年にかけては同事業所に2名から4名の嘱託社員がいたが、この事実のみから同事業所において定年退職者を嘱託社員として採用する慣行があったと認定することはできない。
2 会社の就業規則によれば、会社は業務の都合により会社が必要と認めたときは定年退職者を嘱託として勤務させることができるとされているところ、C事業所の業務は清掃作業が主であり、本社の業務とは異なり特段専門性が要求されるとまではいえないことから、C事業所での経験を積んだ者を定年退職後も採用すべき業務上の必要性があったとはいい難い。
 また、本社では多くの業務において専門的な資格が必要とされており、会社が定年退職者の雇用について、本社とC事業所とでその対応を異にしたとしても、それが不合理であるとまではいえない。
3 組合は、会社がAの勤務成績不良等を問題にするのは後付けの理由であり、組合員を職場から排除する不当労働行為意思により同人の雇用延長を拒否したと主張する。
 しかしAは、28年7月以降遅刻や無断欠勤を繰り返し、厳重注意、訓告及び懲戒処分である戒告を受けているのであるから、会社が同人の勤務態度を問題視するのは無理からぬことである。上記のとおり、定年退職者を嘱託社員として採用するという慣行があったとはいえず、C事業所での経験を積んだ者を定年退職後も継続して雇用するという業務上の必要性があったともいえない以上、会社が遅刻や無断欠勤等による処分歴がある同人を嘱託社員として採用しなかったことには理由があったといわざるを得ない。
4 以上のとおり、会社がAを嘱託社員として採用しなかったことには理由があり、他に、会社が同人が組合員であることを嫌悪して同人を継続雇用しなかったと認めるに足りる疎明もないことから、会社が同人を定年退職後に嘱託社員として継続雇用しなかったことは、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱い及び組合の組織・運営に対する支配介入には当たらない。 
掲載文献   

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