労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和元年(不)第15号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y法人(法人) 
命令年月日  令和3年2月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、①組合からの団体交渉申入れに対し、自らが提示する団体交渉開始条件に固執し、団体交渉に応じないこと、②二つの別組合とは就業時間内に学校施設内で団体交渉を行っているにもかかわらず、組合に対しては就業時間外で学校施設外での団体交渉開始条件を提示して、これに組合が合意しないことをもって団体交渉を拒否したことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
 大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 3.15団交申入れに対する法人の対応は、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為に当たるか
①団交開始時刻について
 法人は、就業時間内に団交を行うことで差しさわりがある点を示している一方、組合は、法人が提案する午後6時からの団交開始により、いかなる不利益や不都合があるかを具体的に示すことなく、就業時間内での団交開始を求め続けていたといえ、かかる組合の対応は、就業時間内での団交開始に固執していたといえる。そうすると、団交開始時刻が合意に達しなかったことについて、法人のみに責任があるとはいえない。
②団交開始場所について
 法人がC会館を団交開催場所として提案したことは合理的であったといえ、また、C会館で団交を開催することにより、組合又は少なくとも本件組合員3名に対し格別の不利益をもたらすとはいえず、さらに、法人は、組合が提案する場所以外を指定する理由を組合に一定説明していたといえるのであるから、法人が提案したC会館も団交の開催場所として認め得るところである。したがって、法人が、C会館での団交開催を主張し、組合の本校内会議室での開催の求めに応じなかったからといって、かかる法人の対応を不合理であったということはできない。
 加えて、組合は、本校会議室以外の場所で団交を開催することで、組合又は組合員が、いかなる不利益を被るかについて具体的に提示することなく、本校会議室での団交開催を求め続けたといえ、かかる組合の対応は、団交の開催場所について労使で協議して決定するという姿勢に欠けていたといわざるを得ない。
 以上からすると、団交開催場所について合意に達しなかったことについて、法人のみに責任があるとはいえない。
③団交出席者の事前通知について
 法人は、少なくとも最終的には、団交出席者を事前に通知しなければ団交に応じないとの姿勢をとっていたとはいえない。
④ 以上のことを総合的に判断すると、法人の対応には、団交開催に向けて調整する姿勢が認められること、また、3.15団交申入れに係る団交が開催に至らなかったことについても、正当な理由がないとはいえないのであるから、3.15団交申入れに関する法人の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとまではいえない。
2 3.15団交申入れに対する法人の対応が、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為に当たるか
①第一組合への対応との比較
 確かに、法人は、平成10年以前に本校内で第一組合と団交を行ったことがあるものの、これをもって、3.15団交申入れに対する法人の対応が、第一組合に対するものと比べ、差別的な取扱いであったとまでいうことはできない。
②第二組合への対応との比較
 第二組合が法人に対し団交申入れをし、法人がそれに対して就業時間中の本校内において団交に応じたものとは認めることはできず、平成30年3月20日頃に理事長室で第二組合執行委員長と当時の理事長や高校教頭との間でやり取りがあったことをもって、3.15団交申入れに対する法人の対応が、第二組合に対するものと比べ差別的な取扱いであったということはできない。
③ 以上のとおりら、3.15団交申入れに対する法人の対応が、第一組合又は第二組合への対応と比べ、差別的な取扱いであったということはできないのであるから、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為に当たるとはいえない。
 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約413KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。