労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  三重県労委令和元年(不)第2号
伊藤製油不当労働行為審査事件 
申立人  個人X 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和3年4月21日 
命令区分  却下 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、①平成27年4月28日に申立人Xにかかる賞罰審査委員会を設置し、同年5月15日に開催される同人の出席を求めたこと、②に対し平成27年9月1日付けで降格減給処分としたこと、28年1月15日付けで懲戒解雇としたこと、③Xが提訴及び控訴した訴訟においてYが争訟活動を行ったこと、④Xが救済を申し立てた事件(三労委平成30年(不)第2号)においてYが応訴活動を行ったことが不当労働行為に当たるとして申立てがあった事案である。
 三重県労働委員会は、申立てを却下した。 
命令主文   本件申立てを却下する。 
判断の要旨  1 労組法第27条第2項の趣旨について
 労組法第27条第2項にいう「継続する行為」とは、1個の行為自体が現に継続して実行されていた場合をいい、行為の結果が継続しているに過ぎない場合や、複数の行為が相次いで行われた場合を指すものではない。
2 ①に係る申立てについて
 会社が賞罰審査委員会を設置し、申立人に対し出席を求めたとの事実については、行為の日から1年を経過した事件にかかるものとして、労委規則第33条第1項第3号の規定から却下せざるを得ない。また、会社が、当該懲戒事由につき、懲罰審査委員会以降も主張し続けたとの事実については、「不当労働行為を構成する具体的事実」を特定できておらず、申立てが労委規則第32条に定める要件を欠き補正されないものとして、同規則第33条第1項第1号の規定により却下せざるを得ない。
3 ②に係る申立てついて
  当該事実については、平成30年(不)第2号において審理のうえ、却下を決定しており、改めて審査し、判断する必要はないことなどから、却下せざるを得ない。
4 ③に係る申立てついて
  被申立人の争訟活動は、遅くとも、控訴審の口頭弁論終結日である平成30年2月28日に終了しており、いずれも、行為の日から1年を経過した後の、令和元年11月18日に、本件申立てがなされている。また、当該事実が継続しているものでもない。したがって、本件申立ては、行為の日から1年を経過した事件にかかるものとして、労委規則第33条第1項第3号の規定から却下せざるを得ない。
5 ④に係る申立てついて
 本件申立てのうち、被申立人の平成30年11月16日付け準備書面の提出を除き、行為の日から1年を経過した事件にかかるものとして、労委規則第33条第1項第3号の規定から却下せざるを得ない。
 また、同号に該当しないとしても、申立人の救済申立てに対応するかたちで、被申立人が自らの主張を述べ、その根拠となる証拠を提出することは、申立人の見解に沿うものではないとしても、正当な権利行使の方法であり、不当労働行為には該当しないというべきである。
 よって、労委規則第33条第1項第5号の規定により却下せざるをえない。 
 
6 申立人の「継続する行為」に関する主張について
 「継続する行為」とは、1個の行為自体が現に継続して実行されていた場合をいい、申立人が審査を求める多岐に渡る複数の行為が、申立人の意に沿わない被申立人の見解が一貫しているからといって、「継続する行為」となるわけではない。
7 以上の次第で、本件申立ては、改めて審査して判断する必要がないか、労委規則第33条第1項第1号、第3号又は第5号に該当するから、その余を判断するまでもなく、却下せざるを得ない。   
掲載文献   

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