事件番号・通称事件名 |
東京都労委平成30年(不)第11号
ビックアップ住宅販売不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和2年9月8日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
平成27年12月16日、Aは、会社に入社し、3か月間の試用期間終了後、会社に対し、自らの基本給を求人票に記載されていた額に引き上げるよう求めたが、会社は、何ら回答せず、基本給は試用期間中の額に据え置かれたままであった。
29年12月29日、Aは、会社に対し、同月をもって退職する意思を伝えるとともに、求人票記載の基本給と実際に支払われた賃金との差額の支払等を求めたが、会社は、何ら回答しなかった。
30年1月9日、Aは、組合に加入した。
組合は、1月18日付け及び同月26日付けで、会社に対し、上記差額等の支払などを議題とする団体交渉を申し入れたものの、会社は、何ら回答しなかった。
本件は、会社が、組合が1月18日付け及び同月26日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったことが正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
東京都労働委員会は、申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
1 当委員会における審査等の経過
(1) 当委員会の調査期日は、30年3月23日から9月14日までの間に5回行われた。
9月14日の第5回調査期日において、組合及びAと会社とは、会社が組合に対し解決金を、10月から31年2月まで毎月末日限り、5回に分割して支払うこと、組合が解決金支払の履行確認後速やかに本件申立てを取り下げることなどの条項を定めた和解協定書を締結した。当委員会は、これ以降、当面期日を設けず、和解協定書の履行状況等の推移を見守ることとした。
その後、会社からの申出を受けて、当委員会が期日外で調整を行った結果、組合及びAと会社とは、上記和解協定書における解決金の支払方法について、30年10月から令和2年5月まで毎月末日限り、20回に分割して支払うよう変更することで合意し、上記和解協定書は、平成30年10月3日付けで更新された。
(2) 組合から当委員会への連絡は、31年3月を最後に途絶えた。
(3)
前記(1)の和解協定書に基づく解決金支払の最終履行期限であった令和2年5月31日を経過しても、組合は、当委員会に解決金支払の履行状況の報告や取下書の提出等を行わなかった。
6月8日、当委員会は、その後の状況について聴取すべく、組合、A及び会社に電話で連絡を試みたが、組合及び会社の電話番号は、いずれも使われておらず、また、Aは、応答しなかった。
さらに、当委員会は、6月23日、組合、A及び会社宛てに、郵便により連絡を試みたが、組合及び会社宛ての郵便は、宛て所に尋ね当たらないとしていずれも返送された。A宛ての郵便は、返送されていないが、その後も同人及び組合からの応答はない。
2 判 断
以上の事実経過のとおり、組合は、平成31年3月以降、当委員会への連絡を絶っており、本件についても長期間にわたり何ら対応しておらず、もはや本件申立てを維持する意思を放棄したものと認めざるを得ない。 |
掲載文献 |
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