労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委令和元年(不)第77号
PRIMEVISION不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和2年9月15日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   A2は、C店舗において勤務していたが、同店舗は、平成30年8月分賃金を同人に支払わないまま、9月3日に閉店した。
 A2は、組合に加入し、組合は、11月13日付けで、C店舗を経営していた会社等に対し、A2の未払賃金等に関する団体交渉を申し入れた。
 11月26日、組合が、会社に関連すると考えた店舗に団体交渉の申入れに出向くと、同店舖から連絡を受けた会社のB2が応じた。組合と会社とは、12月3日に団体交渉を行ったが、会社は、その後の団体交渉には応じなかった。
 本件は、会社が、30年12月3日の団体交渉後、組合との団体交渉に応じていないことが正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労働委員会は、会社に対し、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる不当労働行為であるとして、誠実な団交応諾とともに、文書の交付を命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合が平成30年12月22日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
 年 月 日  
 組合
 共同代表 A1 殿
会社          
代表取締役 B1

 当社が、平成30年12月3日の団体交渉後、貴組合との団体交渉に応じていないことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  〇30年12月3日の団体交渉後、組合との団体交渉に応じていないことが正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か
1 A2は、会社が経営するC店舗において勤務していたのであるから、会社は、同人の使用者であった。そして、C店舗は平成30年9月3日に閉店したが、組合が交渉事項として申し入れたA2に対する未払賃金の問題は、会社と元従業員との間の未清算の労働契約関係に係るものであるから、義務的団体交渉事項に当たる。したがって、会社は使用者として組合の申し入れた団体交 渉に応ずべき立場にある。
2 B2は、11月26日の組合との面談において、C店舗は「僕がやっていた店」と述べるとともに、A2に対する未払賃金があれば支払う旨を述べ、団体交渉を行うことに同意し、12月3日の団体交渉においても、未払賃金の支払方法や次回の団体交渉の日程等について具体的に交渉に応じた。
 B2は、29年5月8日付けで会社の取締役及び代表取締役を退任してはいるが、B2自身の上記の発言から、B2が、引き続き、会社におけるA2の労働条件についての決定権限を有する者として交渉に応じていたことが明らかである。
3 しかし、会社は、12月3日の団体交渉後、同月10日開催予定の団体交渉を取りやめて以降、組合が団体交渉日時の再提示を求めた同月22日付「再申入書」に対しても、また、改めて団体交渉の開催を求めた31年1月12日付「争議警告書」に対しても、何ら応答していない。
 上記1のとおり、会社は使用者として組合の申し入れた団体交渉に応ずべき立場にあるが、会社は、12月3日の団体交渉後、組合との団体交渉に応じていないのであり、このことに正当な理由は認められない。
エ 以上のとおり、会社が、12月3日の団体交渉後、組合との団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる。 
掲載文献   

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